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特開2015-27069OFDM受信信号の処理方法及びこれを用いたOFDM受信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-27069(P2015-27069A)
(43)【公開日】2015年2月5日
(54)【発明の名称】OFDM受信信号の処理方法及びこれを用いたOFDM受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04J 11/00 20060101AFI20150109BHJP
【FI】
   H04J11/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-248877(P2013-248877)
(22)【出願日】2013年12月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0089392
(32)【優先日】2013年7月29日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】513303968
【氏名又は名称】エフシーアイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カング,ビューング ス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ベオム ジン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】同一チャネル干渉が存在したり、特定周波数位置の信号に歪曲が発生した場合に受信装置の性能を高めるための方法及びこれを用いたOFDM受信装置を提供する。
【解決手段】OFDMシンボルに対して高速フーリエ変換を行い、OFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換工程と、前記周波数領域の複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定し、チャネル推定値を用いてチャネル歪曲が補償されたデータシンボルを生成するチャネル補償工程と、前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッピング工程と、前記データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化工程とを含み、前記フーリエ変換工程と前記復号化工程との間に、干渉信号の位置情報に基づいて、前記干渉信号の位置に対応する信号値の加重値を調節する工程をさらに行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)受信装置でOFDM受信信号を処理する方法であって、
OFDMシンボルに対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)を行い、OFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換工程と、
前記周波数領域の複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定し、チャネル推定値を用いてチャネル歪曲が補償されたデータシンボルを生成するチャネル補償工程と、
前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッピング工程と、
前記データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化工程とを含み、
前記フーリエ変換工程と前記復号化工程との間に、干渉信号の位置情報に基づいて、前記干渉信号の位置に対応する信号値の加重値を調節する工程をさらに行うことを特徴とするOFDM受信信号の処理方法。
【請求項2】
前記加重値を調節する工程は、前記複素シンボルに対して、干渉信号が検出された位置に対応する信号値に加重値N(ここで、0≦N<1)を付与することを特徴とする請求項1に記載のOFDM受信信号の処理方法。
【請求項3】
前記加重値を減少させる工程は、前記データビットに対して、干渉信号が検出された位置に対応する信号値に加重値N(ここで、0≦N<1)を付与することを特徴とする請求項1に記載のOFDM受信信号の処理方法。
【請求項4】
前記干渉信号は、前記OFDM受信信号に含まれた同一チャネル干渉信号であることを特徴とする請求項1に記載のOFDM受信信号の処理方法。
【請求項5】
前記干渉信号は、特定周波数位置の信号値に歪曲を起こす信号であることを特徴とする請求項1に記載のOFDM受信信号の処理方法。
【請求項6】
前記OFDMシンボルから干渉信号の位置を検出する工程と、
前記干渉信号を除去するために前記OFDMシンボルに対してノッチフィルタリングを行う工程とをさらに含む、請求項1に記載のOFDM受信信号の処理方法。
【請求項7】
OFDM受信装置でのOFDM受信信号の処理方法であって、
OFDMシンボルに対して高速フーリエ変換を行い、OFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換工程と、
前記周波数領域の複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定してチャネル推定値を生成する工程と、
干渉信号の位置情報に基づいて、前記干渉信号の位置に対応するチャネル推定値の加重値を調節する工程と、
加重値が調節されたチャネル推定値を用いてチャネル歪曲を補償したデータシンボルを生成するチャネル補償工程と、
前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッピング工程と、
前記データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化工程とを含むOFDM受信信号の処理方法。
【請求項8】
前記チャネル推定値の加重値を調節する工程は、干渉信号が検出された位置に対応するチャネル推定値に加重値N(ここで、0≦N<1)を付与することを特徴とする請求項7に記載のOFDM受信信号の処理方法。
【請求項9】
OFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換部と、
前記周波数領域の複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定するチャネル推定値を生成するチャネル推定部と、
前記チャネル推定値を用いてチャネル歪曲が補償されたデータシンボルを生成するチャネル補償部と、
前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッパーと、
前記データビットを復号化して送信データビットを復元するチャネル復号部とを含み、
前記フーリエ変換部、前記チャネル補償部及び前記デマッパーのうちいずれか一つは、干渉信号の位置に対応する信号値の加重値を調節する機能を含むように構成されたことを特徴とするOFDM受信装置。
【請求項10】
OFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換部と、
前記複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定してチャネル推定値を生成し、生成されたチャネル推定値のうち干渉信号の位置に対応する推定値の加重値を調節するように構成されたチャネル推定部と、
加重値が調節されたチャネル推定値を用いてチャネル歪曲が補償されたデータシンボルを生成するチャネル補償部と、
前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッパーと、
前記データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化部とを含むOFDM受信装置。
【請求項11】
OFDM受信装置の信号処理方法であって、
RF(Radio Frequency)信号に基づいて周波数領域のOFDMシンボルを生成する工程と、
前記周波数領域のOFDMシンボルに対して、少なくともチャネル歪曲補償及びデマッピングを行ってデータビットを生成する工程と、
前記データビットを復号化して送信データビットを復元する工程とを含み、
前記各工程のうち周波数領域で演算を行ういずれか一つの工程で、干渉信号の周波数位置に対応する周波数成分に0より大きいかそれと同じで、1より小さい加重値を付与することを特徴とするOFDM受信装置の信号処理方法。
【請求項12】
OFDM受信装置の信号処理方法であって、
RF信号に基づいて周波数領域のOFDMシンボルを生成する工程と、
前記周波数領域のOFDMシンボルに対して、少なくともチャネル歪曲補償及びデマッピングを行ってデータビットを生成する工程と、
前記データビットを復号化して送信データビットを復元する工程と、を含み、
前記チャネル歪曲補償は、干渉信号の周波数位置に対応する値に0より大きいかそれと同じで、1より小さい加重値が付与されたチャネル推定値を用いることを特徴とするOFDM受信装置の信号処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施例は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)受信信号の処理方法及びこれを用いたOFDM受信装置に関し、より詳細には、同一チャネル干渉(同一チャンネル干渉)が存在したり、特定の周波数位置で信号の歪曲が発生した場合にOFDM受信装置の性能を高めるための方法及びこれを用いたOFDM受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記述した内容は、単純に本実施例に対する背景情報を提供するだけで、従来技術を構成するものではない。
【0003】
一般的なOFDMシステムでは、送受信しようとするデータの信頼性を高めるためにエラー訂正符号を使用する。送信機では、送信しようとする信号にチャネル符号方式に従って異なる形態の構造的な余裕分(冗長性:Redundancy)を追加した後でその信号を送信し、受信装置では、該当の余裕分の情報を用いて信号に含まれたエラーの検出及び訂正を行う。受信装置で使用されるチャネル復号部の入力は、受信された信号と推定されたチャネル情報とを組み合わせて作られるが、それぞれの値は、該当の信号として‘0’又は‘1’が受信された可能性を意味する。例えば、チャネル復号部の入力が‘0’に近いほど、該当の受信信号がどのような値であるかをよく知らないことを意味し、入力の絶対値が大きくなるほど、該当の受信信号が‘0’であるか、それとも‘1’であるかをより正確に知っていることを意味する。
【0004】
OFDMシステムでは、特定の副搬送波のチャネル状態情報が大きいほど、該当の副搬送波の信号に加えられる雑音の強さは相対的に小さくなるので、該当の副搬送波の受信正確度は高いと見なすことができ、そのような情報が値として表現されてチャネル復号部に入っていく構造を有する。
【0005】
ところが、同一チャネル干渉信号があると、各種同期化ブロックの安定性が大きく低下するおそれがあり、チャネル状態情報を推定するにおいても非常に不正確になるだけでなく、該当の周波数位置で損傷した信号値が相当大きい値を有した状態でチャネル復号部の入力に入るようになり、チャネル復号部の性能を相当大きく低下させ得る。
【0006】
従来の技術では、一般に同一チャネル干渉信号を予め検出し、影響を受ける副搬送波位置の信号値を急激に減少させるノッチフィルター(Notch Filter)を使用して同一チャネル干渉信号を予め除去することによって、受信装置の動作安定性を確保し、チャネル状態情報の推定正確度を高め、チャネル復号部の入力が非正常的に大きくなることを防止する。
【0007】
しかし、前記のようなノッチフィルターを用いた方法に従うとしても、同一チャネル干渉信号が常にきれいに除去されるわけではない。例えば、干渉信号が単一トーン(単一基調の)雑音の形態でありながら、二つの副搬送波間に位置する場合や、干渉信号のサイズが所望の信号よりも非常に大きい場合は、ノッチフィルターを通過した後でも干渉信号が残るおそれがあり、干渉信号が残らないようにノッチフィルターの除去帯域幅(Rejection Bandwidth)を増加させると、干渉信号位置の周辺にある各信号値も共に除去されるので、却って性能が低下するという逆効果が発生し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本実施例は、OFDM受信装置で同一チャネル干渉が存在したり、特定周波数位置の信号に歪曲が発生した場合に受信装置の性能を高めるための方法及びこれを用いたOFDM受信装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施例では、同一チャネル干渉が検出された位置に該当する副搬送波の受信情報に、フーリエ変換器の出力後からチャネル復号部に入っていく前までの任意の位置において、1より小さい値を掛けることによって、フーリエ変換器の後段において動作する各ブロックの安定性とチャネル復号部の性能を改善させる方法を提案する。前記の方法は、チューナーで使用するアナログ高周波通過フィルターと同様に、特定位置に信号歪曲が発生する場合における性能改善のためにも使用することができる。
【0010】
本実施例の一側面によると、OFDMシンボルに対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)を行い、ODFM信号を周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換工程と、前記周波数領域の複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定し、チャネル推定値を用いてチャネル歪曲が補償されたデータシンボルを生成するチャネル補償工程と、前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッピング(Demapping)工程(量子化工程)と、前記データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化工程とを含み、前記フーリエ変換工程と前記復号化工程との間には、干渉信号の位置情報に基づいて、前記干渉信号の位置に対応する信号値の加重値を調節する工程をさらに行うことを特徴とするOFDM受信装置においてOFDM受信信号を処理する方法を提供する。
【0011】
前記加重値を調節する工程は、前記複素シンボルに対して、干渉信号が検出された位置(座標、位相、周波数)に対応する信号値に加重値N(ここで、0≦N<1)を付与するように構成することができる。
【0012】
また、前記加重値を減少させる工程は、前記データビットに対して、干渉信号が検出された位置に対応する信号値に加重値N(ここで、0≦N<1)を付与するように構成することができる。
【0013】
また、前記干渉信号は、前記OFDM受信信号に含まれた同一チャネル干渉信号又は特定周波数位置の(特定周波数での、特定周波数における)信号値に歪曲を起こす信号であり得る。
【0014】
併せて、OFDM受信信号を処理する方法は、前記OFDMシンボルから干渉信号の位置(位相、周波数成分)を検出する工程と、前記干渉信号を除去するために前記OFDMシンボルに対してノッチフィルタリング(Notch Filtering)を行う工程とをさらに含むことができる。
【0015】
本実施例の他の側面によると、OFDMシンボルに対して高速フーリエ変換を行い、OFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換工程と、前記周波数領域の複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定し、チャネル推定値を生成する工程と、干渉信号の位置情報に基づいて、前記干渉信号の位置に対応するチャネル推定値の加重値を調節する工程と、加重値が調節されたチャネル推定値を用いてチャネル歪曲を補償したデータシンボルを生成するチャネル補償工程と、前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッピング(Demapping)工程と、前記データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化工程とを含むOFDM受信装置のOFDM受信信号を処理する方法を提供する。
【0016】
前記チャネル推定値の加重値を調節する工程は、干渉信号が検出された位置に対応するチャネル推定値に加重値N(ここで、0≦N<1)を付与するように構成することができる。
【0017】
本実施例の他の側面によると、OFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換部と、前記周波数領域の複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定するチャネル推定値を生成するチャネル推定部と、前記チャネル推定値を用いてチャネル歪曲が補償されたデータシンボルを生成するチャネル補償部と、前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッピングと、前記データビットを復号化して送信データビットを復元するチャネル復号部とを含み、前記フーリエ変換部、前記チャネル補償部及び前記デマッピング部のうちいずれか一つは、干渉信号の位置に対応する信号値の加重値を調節する機能を含むように構成されたことを特徴とするOFDM受信装置を提供する。
【0018】
本実施例の他の側面によると、OFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換するフーリエ変換部と、前記複素シンボルに基づいてチャネル状態情報を推定してチャネル推定値を生成し、生成されたチャネル推定値のうち干渉信号の位置に対応する推定値の加重値を調節するように構成されたチャネル推定部と、加重値が調節されたチャネル推定値を用いてチャネル歪曲が補償されたデータシンボルを生成するチャネル補償部と、前記データシンボルをデータビットに量子化するデマッピング部と、前記データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化部とを含むOFDM受信装置を提供する。
【0019】
本実施例の他の側面によると、RF(Radio Frequency)信号(高周波信号)に基づいて周波数領域のOFDMシンボルを生成する工程と、前記周波数領域のOFDMシンボルに対して、少なくともチャネル歪曲補償及びデマッピングを行ってデータビットを生成する工程と、前記データビットを復号化して送信データビットを復元する工程とを含み、前記各工程のうち周波数領域で演算を行ういずれか一つの工程で、干渉信号の周波数位置に対応する周波数成分に0より大きいかこれと同じで、1より小さい加重値を付与することを特徴とするOFDM受信装置の信号処理方法を提供する。
【0020】
本実施例の他の側面によると、RF信号に基づいて周波数領域のOFDMシンボルを生成する工程と、前記周波数領域のOFDMシンボルに対して、少なくともチャネル歪曲補償及びデマッピングを行ってデータビットを生成する工程と、前記データビットを復号化して送信データビットを復元する工程とを含み、前記チャネル歪曲補償は、干渉信号の周波数位置に対応する値に0より大きいかそれと同じで、1より小さい加重値が付与されたチャネル推定値を用いることを特徴とするOFDM受信装置の信号処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0021】
以上で説明したように、本実施例によると、同一チャネル干渉を除去するためのノッチフィルタリングされた受信信号に含まれた残余(冗長的な)干渉成分が、フーリエチャネル変換器の後段の機能ブロック及び/又はチャネル復号部に入力されることを防止することによって、結果的に受信装置の性能を改善する。
【0022】
また、本実施例に係る干渉信号除去方法によると、ノッチフィルタリングされた受信信号に含まれた残余干渉成分を効果的に除去できるので、既存より帯域幅の狭いノッチフィルターが使用可能になり、これに対応してノッチフィルタリングによって発生する元信号、すなわち、歪曲されていない信号成分の損失を最小化することができる。
【0023】
併せて、特定周波数に信号歪曲が発生する場合にも、該当する位置(座標、位相、周波数)の誤った信号値がチャネル復号部に入力されないように処理することによって、チャネル復号部の性能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一般的なOFDM受信装置の構造を例示した図である。
図2】単一トーン形態の同一チャネル干渉信号がある場合にOFDM受信装置の各機能ブロックで処理される信号を周波数領域で例示した図である。
図3】本発明の一実施例に係るOFDM受信信号で同一チャネル干渉信号を処理する方法を例示したフローチャートである。
図4】本発明の他の実施例に係るOFDM受信信号で同一チャネル干渉信号を処理する方法を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通して詳細に説明する。各図面の各構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に対しては、異なる図面上に表示されるとしても、可能な限り同一の符号を付していることに留意すべきである。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知の構成又は機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合は、それについての詳細な説明は省略する。
【0026】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を‘含む'、‘備える'と言うとき、これは、特別に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書に記載した‘…部'、‘モジュール'などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアやソフトウェア又はハードウェアとソフトウェアとの結合で具現することができる。
【0027】
図1は、一般的なOFDM受信装置の構造を例示した図である。
【0028】
図1を参照すると、一般的なOFDM受信装置は、同一チャネル干渉信号を検出する干渉検出部110と、検出された干渉信号を除去するためにOFDMシンボルに対してフィルタリングを行うノッチフィルター120と、ノッチフィルタリングされたOFDM信号に対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)を行い、周波数領域の複素シンボルを生成するFFT部130と、パイロット信号などを用いて各副搬送波別チャネル状態情報を推定するチャネル推定部140と、推定されたチャネル状態情報に基づいて周波数領域の複素シンボルに対してチャネル補償を行い、チャネル歪曲が補償されたデータシンボルを生成するチャネル補償部150と、チャネル補償された信号及びチャネル状態情報を用いてデマッピング、すなわち、データシンボルをデータビットに量子化するデマッパー160と、デマッピングされた信号(すなわち、データビット)を復号化して送信データビットを復元するチャネル復号部170とを含む。
【0029】
図1の例示とは異なり、OFDM受信装置は、その適用分野に応じて、一部の機能ブロック間の順序を異ならせたり、各機能ブロック間に図示されていない他の機能ブロックを含むこともできる。例えば、FFT部の前段には、RF(Radio Frequency)信号を受信してOFDMシンボルに変換するRF部と、RF部のOFDMシンボルを並列形態に変換するS/P変換部と、S/P変換部からのOFDMシンボル間の保護区間を除去する保護区間除去部とをさらに含ませることができる。また、FFTの後段には、周波数領域の複素シンボルをデータシンボルとパイロットシンボルとに分離する副搬送波デマッピング部をさらに含ませることができ、チャネル推定部は、パイロットシンボルを用いてチャネル歪曲を推定するように構成することができる。
【0030】
図2は、単一トーン形態の同一チャネル干渉信号がある場合にOFDM受信装置の各機能ブロックで処理される信号を周波数領域で例示した図である。
【0031】
図2の(a)は、ノッチフィルター120を通過する前の受信信号の形状を示したものである。OFDM受信装置では、干渉信号を検出し、検出された位置(周波数)の干渉成分除去のために受信信号をノッチフィルター120に通過させる。干渉信号のサイズが大きい場合は、ノッチフィルタリングを経るとしても、図2の(b)に示したように、干渉信号成分が多少減少するが、依然として他の信号よりも大きく存在し得る。この場合、残存した干渉信号成分が以後の同期化ブロックに影響を与えることによって、受信装置の安定性が低下し得る。特に、残存した干渉信号成分が他の信号より大きい場合、誤った情報が大きな加重値を有する状態でチャネル復号部に入力されることによって、チャネル復号部の性能が低下する。このような性能低下を防止するためにノッチフィルター120の除去帯域幅を広く設定することによって、図2の(c)に示したように、干渉信号を十分に小さくすることは可能である。しかし、広い除去帯域幅により、周辺の各受信信号までノッチフィルター120によって切られてしまい、結果的に受信装置の性能が低下するという結果をもたらす。
【0032】
本実施例では、同一チャネル干渉が検出されたとき、干渉によって歪曲が発生した副搬送波付近の情報が同期化ブロック及びチャネル復号部170に入っていくことを防止するために、該当する位置(位相、周波数)のチャネル補償されたデータの加重値を減少させる方法と、推定されたチャネル状態情報値の加重値を減少させる方法とを提案する。
【0033】
本発明の一実施例によると、図1のFFT部130とチャネル復号部170との間のいずれか一つの位置で、同一チャネル干渉が検出された位置付近の受信信号に0より大きいかそれと同じで、1より小さい値を掛けることによって加重値を減少させる。例えば、図1のFFT部130の出力で加重値を減少させ、干渉や歪曲成分が、FFT部130の出力を用いる同期化ブロックとチャネル状態情報を推定する機能ブロック140に影響を与えないように遮断することもでき、チャネル復号部170の入力に入る直前にデマッパー(デマッピング部、量子化部)160の出力から出る対数尤度比による出力値の加重値を減少させることもできる。いずれの場合にも簡単に具現できるので、状況に応じて適当な位置で荷重値を変更することができる。
【0034】
本発明の他の実施例によると、図1のチャネル推定部140で生成したチャネル状態情報(すなわち、チャネル推定値)に0より大きいかそれと同一で、1より小さい値を掛けることによって加重値を減少させる。加重値が調節されたチャネル推定値に基づいてチャネル補償及びデマッピングが行われることによって、情報値が歪曲された状態でチャネル復号部に入っていくことを防止することができる。
【0035】
提案された各方法によると、干渉信号に該当する値がFFT部130の後段の機能ブロックに入力されることを遮断することによって受信装置の安定性を確保することができ、干渉信号によって損傷した各入力信号が大きな値を有した状態でチャネル復号部170に入っていくことを防止することによって、単純にノッチフィルタリングのみを適用した場合よりもチャネル復号部170の性能を改善させることができる。
【0036】
上述した各方法は、同一チャネル干渉がある場合を例示して説明したが、本実施例の適用範囲がこれに限定されることはない。例えば、チューナーで使用するアナログ高周波通過フィルターのように、特定の周波数位置に信号の歪曲を発生させる場合に該当の位置の推定されたチャネル状態情報が不正確になるが、この場合、上述した各方法を適用し、その位置の情報値が歪曲された状態でチャネル復号部に入っていくことを防止するように設定することによって、受信装置の性能を改善させることもできる。
【0037】
図3は、本発明の一実施例に係るOFDM受信信号で同一チャネル干渉信号を処理する方法を例示したフローチャートである。
【0038】
図3に例示した実施形態では、周波数領域の複素シンボルに対してチャネル補償が行われる前に、同一チャネル干渉信号に対する処理(すなわち、加重値適用)を行う。まず、受信信号又はOFDMシンボルから同一チャネル干渉信号情報(例えば、干渉信号のサイズ、周波数など)を検出する(S310)。次に、検出された干渉信号情報に基づいてOFDMシンボルに対するノッチフィルタリングを行う(S320)。次に、フィルタリングされた信号に対して高速フーリエ変換を行い、時間領域のOFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換する(S330)。次に、検出された干渉信号情報に基づいて複素シンボルに対して、同一チャネル干渉が検出された位置(座標、周波数成分)付近の信号値に0より大きいかそれと同じで、1より小さい値を掛けることによって加重値を減少させる(S340)。次に、加重値が付与された複素シンボルをデータシンボルとパイロットシンボルとに分離し、パイロットシンボルを用いてチャネル状態情報、すなわち、チャネル歪曲を推定し、チャネル推定値を用いてデータシンボルのチャネル歪曲を補償する(S350)。次に、チャネル補償されたデータシンボルをデマッピングしてデータビットに量子化し、データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化工程を行う(S360〜S370)。
【0039】
上述したように、本実施例で提案する同一チャネル干渉信号に対する処理は、図3に例示したように、チャネル補償が行われる前の複素シンボルに対して適用することもでき、必要に応じて、チャネル補償が行われた後の複素シンボル又はデマッピング工程でデータシンボルをデータビットに量子化する直前に行うこともできる。
【0040】
図4は、本発明の他の実施例に係るOFDM受信信号で同一チャネル干渉信号を処理する方法を例示したフローチャートである。
【0041】
図4に例示した実施形態では、周波数領域の複素シンボルに対してチャネル補償を行うのに使用されるチャネル推定値に対して加重値を付与することによって、チャネル補償と同時に、同一チャネル干渉による歪曲を補償する。まず、受信信号又はOFDMシンボルから同一チャネル干渉信号情報(例えば、干渉信号のサイズ、周波数など)を検出する(S410)。次に、検出された干渉信号情報に基づいてOFDMシンボルに対するノッチフィルタリングを行う(S420)。次に、フィルタリングされた信号に対して高速フーリエ変換を行い、時間領域のOFDMシンボルを周波数領域の複素シンボルに変換する(S430)。次に、複素シンボルをデータシンボルとパイロットシンボルとに分離し、パイロットシンボルを用いてチャネル状態情報を推定してチャネル推定値を生成する。生成されたチャネル推定値に対して、検出された干渉信号情報に基づいて同一チャネル干渉が検出された位置に対応するチャネル推定値に0より大きいかそれと同じで、1より小さい値を掛けることによって加重値を減少させる。加重値が付与されたチャネル推定値は、データシンボルのチャネル歪曲を補償するのに使用されることによって、チャネル補償と同時に、同一チャネル干渉による歪曲が同時に補償される(S440)。次に、補償されたデータシンボルをデマッピングしてデータビットに量子化し、データビットを復号化して送信データビットを復元する復号化工程を行う(S450〜S460)。
【0042】
図3及び図4では、各工程(S310〜S370、S410〜S460)を順次実行することを記載しているが、これは、本発明の一実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎない。換言すると、本発明の一実施例の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の一実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で図3及び図4に記載した順序を変更して実行したり、一つ以上の工程を並列的に行うことによって多様に修正及び変形して適用可能であるので、図3は、時系列的な順序に限定されるものではない。
【0043】
一方、図3及び図4に示したフローチャートの各段階は、コンピューター可読記録媒体にコンピューター可読コードとして具現することが可能である。コンピューター可読記録媒体は、コンピューターシステムによって読まれるデータが格納される全ての種類の記録装置を含む。すなわち、コンピューター可読記録媒体は、マフネティック格納媒体(例えば、ROM(Read Only Memory)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光学的判読媒体(例えば、CD―ROM、DVDなど)及びキャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)などの格納媒体を含む。また、コンピューター可読記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピューターシステムに分散され、分散方式でコンピューター可読コードを格納して実行することができる。
【0044】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したものに過ぎなく、本実施例の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。したがって、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのもので、このような実施例によって本実施例の技術思想の範囲が限定されることはない。本実施例の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈すべきであり、それと同等な範囲内の全ての技術思想は本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈すべきであろう。
【符号の説明】
【0045】
100:干渉感知部、120:ノッチフィルター、130:FFT部、140:チャネル推定部、150:チャネル補償部、160:デマッパー、170:チャネル復号部
図1
図2
図3
図4