【解決手段】傷口に接触する多孔フィルムと、傷口からの滲出液を吸水する吸水シートと、吸水シートに吸収した滲出液が外部に漏れることを防止する防水フィルムと、を備え、前記多孔フィルムを最下層に、前記吸水シート、前記防水フィルムの順序で三層を構成する傷口被覆シートであって、前記多孔フィルムは、溶融した樹脂に発泡剤を混合して気泡を発生させ、この溶融した樹脂からシート状のフィルムを形成する工程で、溶融した樹脂に発生した気泡を破裂させることにより、複数の縦長孔がランダムに開設されていることを特徴とする傷口被覆シートとした。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、傷口に接触する多孔フィルムと、傷口からの滲出液を吸水する吸水シートと、吸水シートに吸収した滲出液が外部に漏れることを防止する防水フィルムと、を備え、前記多孔フィルム、前記吸水シート、前記防水フィルムの順序で複数の層を構成する傷口被覆シートであって、前記多孔フィルムは、溶融した樹脂に発泡剤を混合して気泡を発生させ、この溶融した樹脂からシート状のフィルムを形成する工程で、溶融した樹脂に発生した気泡を破裂させることにより、大きさや形状の異なる複数の楕円形の縦長孔がランダムに開設されていることを特徴とする。
【0014】
すなわち、本発明は、人体の傷口を保護する傷口被覆シートに関し、特に床ずれによる傷口の保護に最適な傷口被覆シートとして使用するものである。
【0015】
以下、本実施例に係る傷口被覆シートについて、図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施例に係る傷口被覆シート1は、平面視で所定の大きさの四角形の一枚のシート状に形成されている。裏面の多孔フィルム2は、表面の防水フィルム4よりも一回り大きい面積の四角形に形成され、この防水フィルム4よりも大きい面積の部分により、表面の防水フィルム4の四辺を覆って防水フィルム4の表面に張り付けられている。なお、傷口被覆シート1の大きさは、人体の傷口の大きさに合わせて複数種類のサイズが用意されているものである。さらに、傷口被覆シート1の形状は、四角形に限定されるものではなく、円形、楕円形、ひょうたん形など、貼付する傷口の形状に合わせて様々な形状とすることができる。
【0017】
図2に示すように、傷口被覆シート1は、多孔フィルム2を傷口との接触部である最下層に配置し、多孔フィルム2の上部に傷口からの滲出液や膿等の液体を吸水する吸水シート3を配置し、さらにこの吸水シート3の上部に吸水シート3で吸収した水分が外部に漏れることを防ぐ防水フィルム4を配置して、最下層の多孔フィルム2により表面の防水フィルム4の四辺を覆う三層構造としている。
【0018】
多孔フィルム2は、原料となる熱可塑性の樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)を加熱して溶融し、さらに、溶融した樹脂に発泡剤を混合して気泡を発生させ、この溶融した樹脂からシート状のフィルムを形成する工程で、溶融した樹脂に発生した気泡を破裂させることにより、大きさや形状の異なる多数の微細な楕円形状の縦長孔がランダムに開設されたシート状のフィルムが好適に用いられる。なお、多孔フィルム2の製造工程については、詳細は後述する。
【0019】
吸水シート3は、吸水性や吸油性に優れた素材が用いられ、例えば、安価なキッチンペーパーなどが好適に用いられる。防水フィルム4は、防水フィルム4に吸収した水分が傷口被覆シート1の表面に漏洩しない素材が用いられ、例えば、食品用ラップなどが好適に用いられる。
【0020】
本実施例の傷口被覆シート1は、
図3(a)に示すように、床ずれの症状が進行している人体の傷口Kに、
図3(b)に示すように、医療用テープTなどを用いて、防水フィルム4を表面に、多孔フィルム2が傷口Kに接触するように貼付される。そして、本願出願人の検証によれば、定期的に傷口被覆シート1を交換することで、
図3(c)に示すように、劇的に床ずれ等の傷口Kの治療効果を向上させることができた。
【0021】
本実施例にかかる多孔フィルム2は、
図4に示すように、多数の微細な縦長孔Bがランダムに上下に貫通して開設されているため、傷口が大きな場合でも、多孔フィルム2の全面に亘って形成された多数の縦長孔Bから、傷口からの滲出液や膿等の水分が排出され速やかに吸水シート3に吸収することができる。また、多孔フィルム2と傷口との接触面は、縦長孔Bが開設されるときの気泡の破裂により凸凹状になっているため、傷口との接触面に小さな隙間が生じる。このため、この隙間を通して傷口からの水分が流動して多数の縦長孔Bから排出されて吸水シート3に吸収することができる。このため、傷口からの滲出液や膿等の水分を吸水して、傷口を乾燥した状態に保つことができる。また、多数の微細な縦長孔Bがランダムに上下に貫通して開設されているため、縦長方向と直行する幅方向に伸縮性に優れており、乾燥した傷口への刺激が緩和される。
【0022】
さらに、
図7(b)に示すように、多孔フィルム2に開設された多数の縦長孔Bの内周端面には、破裂した気泡Aの表面を覆う薄膜F1が破裂した後の破裂片bが、多孔フィルム2の表裏面側にそれぞれ突出した状態で残ることになる。つまり、
図12に示すように、多孔フィルム2の表裏面は、平坦な平面状態ではなく無数の小さな凹凸を有することになり、この無数の小さな凹凸により、多孔フィルム2と傷口Kとの接触面に微細な間隙を生じさせることができる。
【0023】
これにより、
図12に示すように、傷口被覆シート1の多孔フィルム2を傷口Kに貼付した場合に、多孔フィルム2と傷口Kとの接触面に形成された凹凸による隙間により、傷口Kと多孔フィルム2との接触面が密着することを防ぐことができる。また、多孔フィルム2の縦長孔Bに突出した状態で残った破裂片bは、多孔フィルム2が傷口と接触した場合の緩衝部としても機能することになり、さらに、多孔フィルム2に開設されている多数の微細な縦長孔Bは、楕円形状のため伸縮性に優れ、乾燥した傷口Kと接触した場合でも傷口Kを刺激することが少なく、治療効果の向上を図ることが可能となる。
【0024】
図5に示すように、本実施例における傷口被覆シート1は、防水フィルム4の表面に、人体に傷口被覆シート1を貼り付けるための貼付部5を設けることができる。
図5(a)に示す例では、貼付部5は、四角形に形成された傷口被覆シート1の四辺をはみ出して十文字状(×印状)に形成されている。そして、この4か所のはみ出した部分の底面に、人体に傷口被覆シート1を添付するための接着面5aをそれぞれ有している。
【0025】
また、
図5(b)に示す例では、貼付部5は、四角形に形成された傷口被覆シート1の四角をはみ出して十文字状(×印状)に形成されている。そして、この4か所のはみ出した部分の底面に、人体に傷口被覆シート1を添付するための接着面5aをそれぞれ有している。
【0026】
このように、四角形に形成された傷口被覆シート1の四辺(又は4角)を抑えられるように、接着面5aを有する貼付部5を設けた構成とすることで、傷口被覆シート1を傷口に安定して貼付することができ、また、人体の傷口への傷口被覆シート1の貼付及び交換作業を容易とすることが可能となる。また、防水フィルム4の表面に貼付部5を設けることで、傷口と接触する多孔フィルム2に接着面5aを設ける必要がないため、多孔フィルム2の全面において、傷口からの滲出液や膿等の水分を吸水して、傷口を乾燥した状態に保つことを可能としている。
【0027】
なお、床ずれ等を発症する患者は、高齢者が多く皮膚が弱いため、皮膚に傷口被覆シート1を直接貼付するのではなく、例えば、包帯などで傷口被覆シート1を傷口の上に巻きつけて固定するようにしてもよい。上述した構成の傷口被覆シート1によれば、安価な素材を用いて床ずれ等の傷口のラップ治療を行うことが可能となる。
【0028】
以下に、本実施形態に係る傷口被覆シート1を構成する多孔フィルム2の製造方法を装置とともに
図6〜8に基づき説明する。
【0029】
まず、ポリスチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン等から選択した熱可塑性樹脂原料を加熱溶融し、その中に発泡剤を混合して溶融樹脂原料中に多数の大小気泡を生成し、かかる気泡含有樹脂原料を筒状フィルムに成形し、筒状フィルムFの周壁内に気泡を含有させた状態とし、次いで筒状フィルムを扁平状に巻取るまでの間で、筒状フィルムが半硬化状態からゲル化した後に筒状フィルムFの周壁内の気泡を気泡破裂手段により破裂させて筒状フィルムFの全周壁に大きさや形状の異なる多数の縦長孔Bを不整順に開口形成して多孔フィルム2と、かかる多数の多孔フィルム2を傷口被覆シート1として所定形状に裁断成形するものである。
【0030】
図6に示すように、かかる多孔フィルム2を作製する孔付き筒状フィルム成形装置100は、熱可塑性樹脂原料41を加熱溶融してその中に発泡剤を混合して溶融樹脂原料中に多数の大小気泡を生成する加熱溶融手段40と、筒状フィルムFの周壁内に気泡を含有させた状態としてかかる気泡含有樹脂原料を筒状フィルムFに成形する押出成形手段46と、筒状フィルムFを扁平状に巻取るまでの間で、筒状フィルムが半硬化状態からゲル化した後に筒状フィルムFの周壁内の気泡を破裂させて筒状フィルムFの全周壁に大きさや形状の異なる多数の縦長孔Bを不整順に開口形成する気泡破裂手段47と、かかる筒状フィルムFを扁平状にしてロール状に巻取る巻取手段54と、巻取手段54で巻上げた扁平状の筒状フィルムFを所定の幅で切断してシート状の多孔フィルム2を形成する切断部59と、所定の幅に切断された多孔フィルム2を収容するフィルム収容部101と、により構成される。
【0031】
加熱溶融手段40は、溶融槽42と、加熱ヒータ44と、搬送コンベア45とを備える。
【0032】
すなわち、加熱溶融手段40は、
図6に示すように、熱可塑性樹脂原料41を収納可能に溶融槽42を構成し、溶融槽42の上部には溶融樹脂原料を投入する投入口43を構成し、溶融槽42内には収納した熱可塑性樹脂原料41を加熱する加熱ヒータ44を構成し、溶融槽42内にはスクリューコンベアからなる搬送コンベア45を構成している。
【0033】
押出成形手段46は、
図7に示すように、溶融槽42の搬送先端側に連通連設されており、外枠型46−2に一定間隔のスリットを保持して内枠型46−1を収納し、内枠型46−1と外枠型46−2との間隔のスリットは、溶融槽42により溶融された熱可塑性樹脂原料41を円筒形状に上方に押出すための環状スリット63を形成している。
【0034】
また、環状スリット63は、上方に向かってスリット幅員が漸次減少し、終端開口縁は、筒状フィルムFを成形する押出口62を構成しており、フィルムの厚み規制はこの押出口62の幅員の調整による。なお、62は外枠型46−2の内部に連通した樹脂通路を示す。
【0035】
気泡破裂手段47は、前記押出成形手段46で成形された筒状フィルムFの周壁内の気泡を破裂させるものであり、複数段に一定間隔で積層した円盤50と、その外周縁を下方に向かった傾斜面に形成して鋭角とした円盤先端縁58bと、それに当接した筒状フィルムF内周面により形成した断面略三角形状の空気溜り空間58aと、積層した円盤50間の空間に空気を送気する空気供給経路Oとより構成している。しかも、後述するように筒状フィルムFの押出し成形初期は半硬化状樹脂とし、その後ゲル化して気泡を固化し気泡破裂手段47により破泡する。
【0036】
しかも、押出成形手段46における環状スリット63上方に一定間隔で積層した複数段の円盤50は最下層から3〜4段目までは漸次径が拡大し、その上方段は同径或いはやや拡径の積層円盤としている。
【0037】
更には、最下層から複数段目、例えば、3〜4段目の円盤まで押出され拡径の筒状となる熱可塑性樹脂原料41は、未硬化状態の樹脂原料のまま、すなわち、ゲル化しないままで保形される速度で押出成形を行う。未硬化状態とはいっても一定のシート状の形状を保形した状態であり、上方に連続して引張り上げられるだけの粘性を有している。
【0038】
この未硬化の未ゲル化状態で押出成形された筒状フィルムF中には気泡が含有されているが、樹脂原料は半溶融状態で粘稠性を有しているため半硬化状態で気泡周壁が伸長し、含有された気泡も縦方向に伸長する。しかし、この状態ではまだ気泡は破泡していない。
【0039】
そして、環状スリット63から押し出されて0.5〜1.8秒で円盤の3〜4段目より上方に至ると樹脂原料は未硬化状態から徐々にゲル化していき、ゲル化した気泡周壁において気泡が固化し、気泡破裂手段47により完全に破泡し、筒状フィルムF周壁に破泡による多数の孔が形成される。
【0040】
このように、押出成形手段46によって筒状フィルムFが成形されて積層円盤の外周縁に沿って引張り上げられる筒状フィルムFは、下層円盤から3〜4段上方の円盤に至るまでは樹脂原料は未硬化状態で上方に移動し、徐々にゲル化状態となって引張り上げられる。このことにより、次のような状況が理解できる。
【0041】
(1)最下層の円盤から未硬化状態で引張り上げられる距離を長くすれば(積層した円盤の数が多くなれば)その分包含気泡は縦長に引っ張られて徐々にゲル化し破裂した後は、縦長に伸長した大き目の気泡を形成する。
【0042】
換言すれば、未硬化状態の樹脂原料を引張り上げる距離や時間や未硬化状態でガイドされる積層円盤の個数等を調整することにより破裂気泡の縦長孔の大きさを調整することができる。例えば、本実施形態では、未硬化状態の樹脂原料がゲル化(破泡可能な程度に固化)するまでの時間は0.5〜1.8秒としている。
【0043】
(2)筒状フィルムFを引張り上げる際の時間経過とともに未硬化状態の樹脂原料は徐々にゲル化していくため、引上げ速度を調整することによって破裂気泡の縦長孔の大きさを調整することができる。例えば、本実施形態では、筒状フィルムFの引上げ(巻取)速度は10〜25m/minとしている。
【0044】
(3)未硬化状態の樹脂原料を上方に引張ることで形成される気泡の縦長形成(縦長楕円孔)は、ゲル化状態で破裂する際に破裂ひだが縦長の破裂孔の左右縁に形成され破裂ひだが縦方向になびく。その結果、多数筒状フィルムの孔表面は、フィルムの進行方向に対して左右縁のひだが干渉しないため滑動しやすくなるに対しては、進行横断方向に対しては左右縁の破裂ひだが微細突片となり横滑りに干渉して滑りにくくなる。従って傷口被覆シート1としてとして使用する場合は傷口に上方から被覆する取扱いが容易となる。
【0045】
(4)筒状フィルムFは引き上げられる際に円盤の外周縁部に沿って引き上げられるが、最下層から数段の円盤に至るまでは筒状フィルムが未硬化状態であるため、空気圧により拡開気味に膨大し、円盤外周縁との接触が全んど生起せず、その分筒状フィルムの引上げに円盤抵抗がない。しかし、その上方に変位するに従いゲル化していき硬化した筒状フィルム内面と円盤外周縁との滑動がしやすく硬化フィルムの引上げが円滑に行われる。
【0046】
すなわち、
図8(a)に示すように、円盤50は、複数段に一定間隔で積層し、最下部に配置された円盤50の直径が最も小さく、その最下段から所定直径になる3段目までは直径が段階的に大きくなるように構成し4段目からは同直径となって複数段重ねている。
【0047】
また、円盤50の外周縁は、前述した通り
図8(a)に示すように、下方に向かった傾斜面により鋭角に形成した円盤先端縁58bを形成している。
【0048】
また、積層した円盤50を中心部において支持する中空パイプ51は内部に空気を送気する空気供給経路Oを形成しており、コンプレッサーの空気供給手段60からエアー供給管61を介して圧搾空気を送気する。そして、中空パイプ51の外周壁には積層した円盤間に送気するための複数のエアー吹出口57が開設されている。
【0049】
巻取手段54は、前記気泡破裂手段47を含む積層円盤の上方に配設し、2本の弾性ガイド線52a,52aからなる扁平手段52と、一組のピンチローラ53、53と、ガイドローラ55,55と、巻取装置(図示せず)とにより構成している。
【0050】
孔付き筒状フィルム成形装置100により傷口被覆シート1としての多孔フィルム2を作製する方法及びその装置は前述の通りである。
【0051】
なお、
図6に示すように、筒状フィルムFは左右二本の弾性ガイド線52a,52aの外方に沿って案内されながら扁平状に折り畳まれる。
【0052】
扁平手段52により扁平状に押し広げられた筒状フィルムFは、巻取手段54を構成する一組のピンチローラ53、53で巻き上げられた後、複数のガイドローラ55を介して切断部59に搬送され、切断部59により所定の幅のシート状に切断される。所定の幅に切断された筒状フィルムFは、シート状の多孔フィルム2としてフィルム収容部101に重ねて収容される。
【0053】
ここで、
図6〜8を参照して、筒状フィルムFの周壁内の気泡が気泡破裂手段47により破泡されて、筒状フィルムFの全周壁に大きさや形状の異なる多数の縦長孔Bが不整順に形成される態様について説明する。
【0054】
図6に示すように、所定厚みに引き伸ばされた筒状フィルムFは、複数の円盤50の円盤先端縁58bと接触しながら巻取手段54により上方に巻き上げられる。
【0055】
円盤50の外周端には下方に向かった傾斜面を鋭角に形成した円盤先端縁58bが形成されており、また円盤50の円盤先端縁58bには上端鋭角部58cが形成されており、この上端鋭角部58cに筒状フィルムFの内周面が接触する。
【0056】
そして、空気供給経路Oを通して中空パイプ51の外周壁に設けた複数のエアー吹出口57から積層した円盤50間に空気を送気すると、円盤50の円盤先端縁58bと筒状フィルムFの内周面との間に断面略三角形状の空気溜り空間58aが形成される。
【0057】
そして、筒状フィルムFの押出成形初期では、前述の通り、樹脂が未硬化状態であるため粘性を有しており、気泡が空気圧で伸長しても破泡しない。しかし、ゲル化すると樹脂に含有された気泡は固化し破泡して薄膜フィルムに破泡孔を形成する。
【0058】
すなわち、筒状フィルムFの内方に吹き込まれた圧搾空気は、空気溜り空間58aの下側開口部より空気溜り空間58aの上側狭窄部へ向かって圧送され、その圧送付勢力により、ゲル化した筒状フィルムFの内周面のうち、特に円盤50周縁の空気溜り空間58aに位置した筒状フィルムFの内周面は大きく膨出されて破泡を促すことになる。
【0059】
なお、前記円盤先端縁58bは、
図8(a)の形状に限られず、
図8(b)に示すように、下方に向かった傾斜面を湾曲状に構成することもできる。
【0060】
また、エアー吹出口57から筒状フィルムFの内部に吹き込まれる空気を加熱することにより、加熱膨張空気となって空気溜り空間58内でより強く筒状フィルムFの内周面を圧迫し破裂穿孔するように構成することもできる。
【0061】
また、エアー吹出口57の開口径は、圧送供給されるエアにより吹出音が生起される径としている。
【0062】
このような構成とすることにより、各円盤50間に形成された空間内で吹出音を反響させて定常波を生成し、この定常波の音圧によって破泡を促すことができる。
【0063】
このようにして、
図9(a)に示すように、筒状フィルムFに封じ込められた中央部が幅L1を有した縦方向に長楕円形状の気泡Aは、筒状フィルムFの内部からの空気圧による押圧付勢により、
図9(b)に示すように中央部が幅L1から幅L2に横方向に押し広げられる。
【0064】
そして、筒状フィルムFの内周面と、円盤50の外周上端縁の上端鋭角部58cとの接触及び空気溜り空間58aの空気圧による押圧付勢により、気泡Aを覆う表面の薄膜を破裂させ、異なる大きさ及び形状で、筒状フィルムFの縦方向に楕円状の多数の縦長孔Bが異なる位置に不規則に穿孔開設されることになる。
【0065】
筒状フィルムFの樹脂内に封じ込められた気泡Aは、
図10(a)に示すように、薄い薄膜F1により表面が覆われており、前述の通り空気溜り空間58aの空気圧による押圧付勢により気泡Aの表面の薄膜F1が破裂して、
図10(b)に示すように、筒状フィルムFの縦方向に長い楕円状の縦長孔Bが穿孔開設される。
【0066】
また、
図10(b)に示すように、筒状フィルムFに開設された縦長孔Bの内周端面には、破裂した気泡Aの表面を覆う薄膜F1の破泡による破裂片F2、いわゆる破裂ひだが破泡の外周縁に縦方向に並んで残る。
【0067】
このように、気泡破裂手段47により、筒状フィルムFの全周壁に縦長孔Bを大きさや形状が異なる状態で多数に穿孔開設することができる。
【0068】
この場合でも、筒状フィルムFに開設された複数の縦長孔Bは、未硬化状態の樹脂中で伸長されているために、巻取手段54により上部に巻き上げられる状態と相俟って縦方向の楕円状に形成される。更には、エアー吹出口57から筒状フィルムFの内部に圧搾空気が吹き込まれることによって筒状フィルムFの原料となる熱可塑性樹脂原料41は冷却され、
図10(b)に示すように、複数の縦長孔Bは縦方向に長い楕円状でゲル化される。
【0069】
このようにして多孔フィルム2を得ることができ、この多孔フィルム2を傷口被覆シート1として使用する。
【0070】
上述してきた工程で製造され、フィルム収容部101に重ねて収容されたシート状の多孔フィルム2は、拡張すると上下に開口部を有する筒状である。このため、筒状の多孔フィルム2の外周面を垂直に切断して一枚の多孔フィルム2に展開し、この一枚のシート状の多孔フィルム2を用いて本実施例における傷口被覆シート1(
図1参照)を構成している。
【0071】
しかしながら、筒状の多孔フィルム2をそのまま利用して傷口被覆シート1を構成することもできる。すなわち、
図11に示すように、上下に開口部を有する筒状の多孔フィルム2の内部に、吸水シート3及び防水フィルム4を重ねて挿入し、上下の多孔フィルム2と吸水シート3及び防水フィルム4を密着させて上下の開口部を熱シール等で接着してパッケージすることで傷口被覆シート1を構成する。この場合の傷口被覆シート1は、上下の多孔フィルム2の間に吸水シート3と防水フィルム4が挟持された四層構造となる。このような構成の傷口被覆シート1とすることで、切断部59により切断される所定の幅を変更するだけで、縦方向にサイズの異なる複数種類の傷口被覆シート1を容易に製作することが可能となる。
【0072】
以上、本実施例を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施例に記載されたものに限定されるものではない。