【解決手段】複数のブロック金型を装着する装着面を有するベース金型12と、成形品の仕様に応じて選択される複数のブロック金型は、直線外形の拡張ブロック30と、L字外形のコーナーブロック32と、ブロー成形の際に賦形面を構成する側面部とを有し、成形品の輪郭に適合するように、複数の拡張ブロックと、4つのコーナーブロックとをそれぞれの端面を突き合わせる形態で連結して、装着面上に環状体を形成し、環状体の環状頂部が、ピンチオフ部を構成するとともに、装着面の環状体の内側部分がキャビティ31を形成し、ピンチオフ部に対する一方の側の側面部には、賦形面が形成され、ブロック金型を装着面に螺合するためのねじ穴が設けられていることを特徴とするブロー成形用金型。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷物、製品、小物等を載置あるいは収納して、搬送し、保管するのに、軽量で剛性があることから樹脂製パレットあるいは樹脂製トレイが用いられてきた。
樹脂製パレットあるいは樹脂製トレイは、金型を用いて成形されることから、大きさ、外形あるいは内部構造ごとに、それに適した金型を準備する必要があった。
この点、特許文献1および特許文献2には、1成形品―1金型ではなく、異なる仕様の成形品に対して、金型を兼用する技術が開示されている。
【0003】
より詳細には、特許文献1には、片面使用タイプの樹脂製パレットを対象に、上下方向に貫通する開口部を有する下半体の成形用に、金型を固定金型と可動金型とで構成し、いずれかの金型をベース金型として、その金型にリブ形成用入れ子式の金型を取り付け、リブの本数や肉厚等を変更した入れ子式の金型を交換することにより、リブの本数が少ない軽量タイプや、リブの本数が多い高強度タイプを射出成形により成形する点が開示されている。
【0004】
一方、特許文献2は、樹脂製パレットを対象に、上下金型のうちの下金型を断面L字、断面X字および断面T字のブロック金型に分割し、四隅に断面L字のブロック金型を、中心部に断面X字のブロック金型を、隣接する隅の中央に断面T字のブロック金型をそれぞれ配置し、パレットの仕様に応じて、これらのブロック金型を組み合わせて、金型を組み立てる技術が開示されている。
しかしながら、これらの樹脂製パレットは、射出成形により製造されることに起因して、以下のような技術的問題点を有する。
第1に、同じ金型を用いて、種々のパレットあるいはトレイの仕様、特に種々の外形および大きさのパレットあるいはトレイを成形するのが困難な点である。
より詳細には、射出成形によれば、金型内部に密閉空間を形成して、そこに溶融状態の樹脂を圧入することにより、樹脂を金型の内表面に押し当てて、賦形することになることから、密閉空間を構成する金型の内表面全体が賦形面となるとともに、密閉空間の外形自体が成形品の外形、大きさを必然的に決定することになる。
【0005】
このため、ベース金型自体は、複数のブロック金型を固定するのに用いられるに過ぎず、成形すべきパレットあるいはトレイの仕様、特に内部構造をなす格子状のリブの厚みあるいは配置を、ブロック金型の選択により変更することは可能であるものの、パレットあるいはトレイ全体の外形あるいは大きさを変更するのは困難であった。
【0006】
第2に、金型の部品点数が多く、成形作業効率が低く、管理コストがかさむ点である。 より詳細には、上述のように、射出成形によれば、密閉空間を構成するベース金型の内表面全体が賦形面となることから、密閉空間を構成する内表面全体に、隙間なく複数のブロック金型を装着する必要があり、そのため、特許文献1においては、複数のブロック金型の端部に設けた凸部と相補形状の凹部をベース金型の内表面に設け、複数のブロック金型の凸部を対応する凹部に嵌め込んで固定する必要がある。
この点、特許文献3には、金型ではなく、成形品である樹脂製パレット自体を分割化して、パレットの仕様に応じてパーツを組み立てる技術が開示されている。
【0007】
より詳細には、特許文献3には、複数の樹脂製ブロックと、複数の樹脂製連結部材と、平板とを有する樹脂パレットが開示され、樹脂パレットは、断面L字、断面X字および断面T字の樹脂製ブロックを有し、各樹脂製ブロックは、互いに上下方向に間隔を隔てた一対の樹脂製連結部材により連結されて、この隙間を通じて内部にフォークの挿入部を形成するとともに、骨格部を構成し、その上に平板が設けられる。
複数の樹脂製ブロックはそれぞれ、リブ付ボックス構造とされて、荷物の重さに耐え得る剛性が確保されている。
このような樹脂パレットによれば、複数の樹脂製ブロックおよび複数の樹脂製連結部材を適宜選択することにより、種々の仕様のパレットを組み立てることが可能であるが、部品点数が多く、コスト増となるとともに、パーツ同士の接合部に段差を生じやすく、荷物を載置すべき平板面の平面度が低下することがある。
第3に、軽量かつ高剛性の使い勝手のよいパレットを提供するのが困難な点である。
より詳細には、射出成形によれば、中空構造物を成形するのが困難であり、特に樹脂製パレットの場合には、嵩がある分重量化することから、特許文献1においては、いわゆる両面使用タイプではなく、片面使用タイプとして、使用しない下半体には、上下方向に貫通する開口部を設けている。
特に、パレットのデッキボード面に載置する荷物が大型の重量物である場合、たとえばドラム缶の場合には、荷物の安定性確保の観点から、デッキボード面に荷物の外形に合致した溝、たとえばドラム缶の場合には、円形溝を設けることがある。
このような場合、特許文献2のように、金型を既存の複数のブロック金型により構成するのが困難であり、パレットに要求される仕様に応じて、迅速かつ安価に軽量かつ高剛性で使い勝手の良いパレットを製造することが業界内で要望されている。
【0008】
この点、特許文献4には、対向配置した一対の分割金型の間に成形すべき溶融状態の樹脂材料を配置して、一対の分割金型を型締することにより、内部に密閉空間を形成し、密閉空間内からブロー圧をかけて、樹脂材料をキャビティに対して押し付けてブロー成形する技術が開示され、特に、金型のキャビティに対して脱着可能な入れ駒を用意し、成形品に応じて入れ駒を選択する点が開示されている。
しかしながら、入れ駒は、たとえば成形品の表面にマークを刻字する等、単に成形品の一部の賦形を変更するに過ぎず、成形品全体の外形、大きさを変更するものではない。
【特許文献1】特開2007−160894号公報
【特許文献2】特開平6−79757号公報
【特許文献3】特開2004−345737号公報
【特許文献4】特開2006−16035号公報
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
成形品が、両面使用で一方向差しタイプの矩形形状の載置面を構成するパレットを例として、本発明に係るブロー成形用金型およびこのブロー成形用金型を用いるブロー成形方法の第1実施形態を図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
まず、パレットPの成形装置について、以下に説明する。
パレットPの成形装置は、溶融樹脂の押出装置と、押出装置の下方に配置された、金型の締装置とを有し、押出装置から押出された溶融状態の筒状パリソンを型締装置に送り、型締装置により溶融状態の筒状パリソンを成形するようにしている。
押出装置は、従来既知のタイプであり、その詳しい説明は省略するが、押出スリットを通じて所定の長さの連続的な筒状パリソンが押し出され、型締装置の分割金型10の間に垂下される。
押出スリットは、鉛直下向きに配置され、押出スリットから押し出された筒状パリソンは、そのまま押出スリットから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリットは、その間隔を可変とすることにより、筒状パリソンの厚みを変更することが可能である。これにより、筒状パリソンが上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割金型10の間に配置される。
型締装置は、一対の分割形式の金型と、金型駆動装置とを有する。
2つの分割形式の金型は、キャビティを対向させた状態で配置され、それぞれキャビティが略鉛直方向に沿うように配置される。それぞれのキャビティ表面には、溶融状態の筒状パリソンに基づいて成形される成形品の外形、および表面形状に応じて凹凸が設けられる。
2つの分割形式の金型は、互いに同様な構造を有するので、以下にその一方について説明する。
【0013】
図1ないし
図3を参照して、ブロー成形用金型10について説明すれば、ブロー成形用金型10は、ベース金型12と、複数のブロック金型14とを有し、ベース金型12は、複数のブロック金型14それぞれを装着する平面状の装着面16を有し、複数のブロック金型14は、後に説明するように、成形対象品であるパレットPの仕様に応じて、選択されて装着面16に装着されるようにしており、複数のブロック金型14それぞれは、装着面16に当接可能な底面18と、賦形面39を構成する側面20とを有する(
図4参照)。
図2に示すように、装着面16は、成形対象品の最大寸法に見合う面積を有し、装着面16には、所定のピッチpの格子状に複数のネジ受け孔22(タップ孔)が設けられる。たとえば、装着面16は、横2000mm、縦1125mm、ネジ受け孔22のピッチpは、50mmである。後に説明するように、複数のブロック金型14はそれぞれ、その形態に応じて、底面18に、ネジ受け孔22に螺合可能なネジ部24を有したり、別途固定ネジ26により、ネジ受け孔22に螺合するようにしている。
複数のブロック金型14は、互いに連結して装着面16上に環状体28を構成する第1タイプと、環状体28内の装着面16上に装着される第2タイプとに大別される。
【0014】
図3に示すように、第1タイプについて、直線外形の拡張ブロック30と、L字外形のコーナーブロック32とを有し、成形品の仕様、特に輪郭に適合するように、複数の拡張ブロック30と、4つのコーナーブロック32とをそれぞれの端面34を突き合わせる形態で連結して、装着面上に環状体28を形成し、環状体28の環状頂部36がピンチオフ部38を構成するとともに、装着面16の環状体28の内側部分がキャビティ31を構成するようにしている。
【0015】
より詳細には、
図4に示すように、拡張ブロック30およびコーナーブロック32は、ともにL字断面を有し、鉛直部40の頂部には、ピンチオフ部38が形成され、ピンチオフ部38の内側には、成形品の立ち壁を形成する賦形面39が環状体28内部のキャビティ31に対して直立し、一方、水平部42には、ブロック金型14を装着面16に螺合するためのネジ孔43が設けられ、固定ネジ26により、水平部42を外向きにして装着面16に固定されるようにしている(
図5参照)。
【0016】
図3に示すように、拡張ブロック30は、直線長さの異なるものが所要個数準備され(たとえば、長さが50mm、75mm、100mmおよび500mmの4種類)、成形品の輪郭に応じて、4つのコーナーブロック32それぞれを、成形品の四隅に対応する位置に装着面16に固定した後、横方向および縦方向に隣合うコーナーブロック32同士の間に、横方向および縦方向の距離に応じて、適宜拡張ブロック30を選択して、装着面16に固定するようにしている(図において、横方向には、50mm、75mmおよび500mmを1つずつ配置し、縦方向には、50mmを1つ、100mmを2つ、500mmを1つ配置している)。
【0017】
このように、2つの分割形式の金型それぞれにおいて、キャビティ31のまわりには、ピンチオフ部38が形成され、このピンチオフ部38は、キャビティ31のまわりに環状に形成され、対向する金型に向かって突出する。これにより、2つの分割形式の金型を型締する際、それぞれのピンチオフ部38の先端部が当接し、筒状パリソンは、その周縁にパーティングラインが形成されるように溶着され、中空部を閉塞する外周壁が形成される。
第2タイプについて、円錐台形状の環状リブ形成用ブロック金型44、矩形状の長溝形成用ブロック金型46、環状リブ形成用ブロック金型44と長溝形成用ブロック金型46とを連結する連結用ブロック金型48とを有する。
【0018】
図6に示すように、環状リブ形成用ブロック金型44は、キャビティ31に対向してピンチオフ部38から離間して配置される溶融状態の樹脂材料をブロー成形する際、成形品であるパレットPの内部に環状リブ50(
図13参照)を形成するのに設けられ、成形の際、樹脂材料を金型から抜きやすいように、キャビティ31から離れる向きに先細の向きにキャビティ31に設けられる。環状リブ形成用ブロック金型44の外形により、パレットPに形成される環状リブ50の外形が決定される。
長溝形成用ブロック金型46は、後に説明するパレットPの内部に挿入されるフォークに対応してパレットPの表面に形成される長溝52を形成するのに設けられ、長溝形成用ブロック金型46の外形により、パレットPの表面に形成される長溝52の外形が決定される。
【0019】
図6および
図7に示すように、長溝形成用ブロック金型46は、その各端面34において、連結用ブロック金型48を介して環状リブ形成用ブロック金型44に連結される。より詳細には、連結用ブロック金型48は、環状リブ形成用ブロック金型44の底面18と同一の大きさの上面を備えた円錐台部分54と、円錐台部分54の側面20に連結され、長溝形成用ブロック金型46の端面34と同一の大きさの端面47を備えた線状部分56とを有し、環状リブ形成用ブロック金型44の底面18に設けられたネジ部24は、円錐台部分54の中心部に設けられた貫通孔58を貫通して装着面16のネジ受け孔22に螺合して、環状リブ形成用ブロック金型44と円錐台部分54とが全体として連続した円錐台形状を構成し、一方、長溝形成用ブロック金型46は、固定ネジ26を長溝形成用ブロック金型46に設けた貫通孔59を貫通して装着面16のネジ受け孔22に螺合して、長溝形成用ブロック金型46と線状部分56とが全体として連続した矩形形状を構成するようにしている。
このように、1つの長溝形成用ブロック金型46の各端面に、連結用ブロック金型48を介して環状リブ形成用ブロック金型44が連結され、それにより、フォーク挿入用ブロック金型47を形成する。
図7に示すように、貫通孔59は、上部に固定ネジ26のネジ頭が収まり可能な拡径部60を有し、長溝形成用ブロック金型46を装着面16にネジ固定する際、固定ネジ26のネジ頭が金型面から突出しないようにし、以て成形の際、成形品にネジ頭が転写されないようにしている。
【0020】
図1に示すように、第2タイプのブロック金型14は、環状体28の内側に整列配置されている。より詳細には、環状体28の内部のキャビティ31に対して、キャビティ31の幅方向中心部を通る上下方向軸線X−Xから1ピッチ隔てて環状リブ形成用ブロック金型44が1つ配置され、環状リブ形成用ブロック金型44から2ピッチ隔てて、フォーク挿入用金型47が1つ配置され、この配置パターンが、キャビティ31の上下方向に、2ピッチ隔てて繰り返され、このような配置パターンが上下方向軸線X−Xに関して線対称とされている。これにより、後に説明するように、それぞれキャビティ31の上下方向に延びる2列のフォーク挿入用金型47に対応して、パレットPには、各端に設けられた環状リブ50の間に、環状リブ50に連接する長溝52の列が2列、フォークの挿入方向に延びる2列の環状リブ50を隔てて形成され、2列の環状リブ50それぞれに対応して、パレットPの内部には、フォーク挿入スペース116が形成される。
【0021】
変形例として、ブロック金型14として、さらに立ち壁形成用ブロック金型62を設けてもよい。立ち壁形成用ブロック金型62は、パレットPの内部に構成される環状リブ50に対応して、パレットPの表面に形成される凹陥部110の開口の周縁部111と長溝52の底面53との連接部に立ち壁を形成する補強リブ64を形成するためのものである。より詳細には、凹陥部110と長溝52との連接部は、応力集中部となることから、パレットPに曲げ荷重が負荷されるときに、立ち壁がつっぱりとなって、パレットPの撓みを制限するものである。
【0022】
図8に示すように、立ち壁形成用ブロック金型62は、ほぼ三角柱状をなし、三角形の底面63の一辺および底面63に対向する三角形の頂面66の対応する一辺により構成される立ち壁形成用ブロック金型62の側面65が、環状リブ形成用ブロック金型44の側面に当接するように固定して設けられる。さらに、三角形の底面63の他の一辺および底面63に対向する三角形の頂面66の対応する他の一辺により構成される立ち壁形成用ブロック金型62の他の側面67が、連結用ブロック金型48の上面に当接するように固定して設けられる。
なお、立ち壁形成用ブロック金型62は、環状リブ形成用ブロック金型44あるいは連結用ブロック金型48のいずれかと一体で形成されてもよい。
【0023】
さらに、ブロック金型14とは別に、ネジ受け孔22に螺合可能なネジ山部と、ネジ山部の端部に設けられたネジ頭とを有するネジが用意され、キャビティ31のネジ受け孔22のうち、ブロック金型14が装着されないネジ受け孔22には、ネジが螺合され、ネジ頭によりネジ受け孔22が閉鎖されるようにしている。ネジ頭は、扁平な形状を有し、パレットPにおいて、溶融状態の樹脂材料のキャビティ31に対向する面が荷物を載置する載置面を構成するが、ブロー成形の際、キャビティ31内のネジ頭の形状が樹脂材料の表面に転写されて、載置面に溝部が形成されるところ、溝部が、荷物を載置するのに支障がない程度にすることが可能である。
【0024】
なお、環状体28の外側の装着面16には、
図2に示すように、ピンチオフ部38の高さと同一のスペーサ69が、ブロック金型14と同様に、装着面16に螺合され、金型の型締時におけるピンチオフ部38への荷重負荷を軽減することにより、ピンチオフ部38を保護しており、構成する環状体28のサイズに応じて、スペーサ69の設置位置を調整することにより、ピンチオフ部38を有効に保護することが可能である。
【0025】
金型駆動装置については、従来と同様のものであり、その説明は省略するが、2つの分割形式の金型はそれぞれ、金型駆動装置により駆動され、開位置において、2つの分割金型10の間に、筒状パリソンが配置可能なようにされ、一方閉位置において、2つの分割金型10のピンチオフ部38が当接し、環状のピンチオフ部38が互いに当接することにより、2つの分割金型10内に密閉空間が形成されるようにしている。
分割金型10には、金型を型締したときに両金型により形成される密閉空間内から吹き込み圧をかけることが可能なように、従来既知のブローピン(図示せず)が設置されている。
【0026】
パレットPの樹脂材料は、熱可塑性樹脂であり、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、または非晶性樹脂などで、より具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)である。
以上の構成を有するパレットPの成形装置を利用したパレットPの製造方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0027】
まず、成形すべきパレットの仕様に応じて、ベース金型12に装着すべき複数のブロック金型14を選択する。より詳細には、パレットPの輪郭に適合する環状体28を形成するために、第1タイプの拡張ブロック30およびコーナーブロック32を選択するとともに、第2タイプの環状リブ形成用ブロック金型44、長溝形成用ブロック金型46および連結用ブロック金型48を選択する。
【0028】
次いで、選択したブロック金型14それぞれを装着面16の所定位置に螺合して固定し、環状体28を形成するとともに、環状体28の内部にキャビティ31を構成するとともに、フォークの挿入方向に応じて、環状リブ形成用ブロック金型44、長溝形成用ブロック金型46および連結用ブロック金型48を装置面16の所定位置に螺合して固定することにより、フォーク挿入用金型47を所定位置に固定する。
次いで、キャビティ31内でブロック金型14が装着されないネジ受け孔22に対して、ネジを螺合させて、ネジ受け孔22を閉鎖する。
次いで、
図9において、押出スリット34から、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出すことにより、熱可塑性樹脂はスウェルし、溶融状態の筒状パリソンが下方に垂下するように所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
次いで、
図10に示すように、分割金型10を型締して、金型内に密閉空間を形成する。
【0029】
次いで、ブローピンを介して型締された金型内の密閉空間からブロー圧をかけることにより、筒状パリソンを対応する金型のキャビティ31に向かって押し付けることにより、筒状パリソンを賦形する。より詳細には、環状体28の賦形面39により、周壁が賦形されるとともに、筒状パリソンのキャビティ31に対向する面には、ブロック金型14により、ブロック金型14の外形に応じた形状が賦形され、環状リブ形成用ブロック金型44、長溝形成用ブロック金型46および連結用ブロック金型48により、凹陥部110および長溝52が形成される。
次いで、
図11に示すように、分割金型10を型開きして、成形されたパレットを取り出し、ピンチオフ部38の外側のバリ部分Bを切断し、フォーク挿入用開口114をくり抜き、以上で成形が完了する。
以上のように、溶融状態の筒状パリソンを間欠的に押し出すたびに、以上のような工程を繰り返すことにより、パレットを次々に成形することが可能であり、押出成形により熱可塑性樹脂を間欠的に溶融状態の筒状パリソンとして押し出し、押し出された筒状パリソンを金型を用いて所定の形状に賦形することが可能である。
【0030】
ブロー成形方法の変形例として、成形材料として、上述のように、押し出し装置から下方に押し出された溶融状態の筒状パリソンを直接成形せずに、分割金型10の間に2条の熱可塑性樹脂製シートを配置して成形してもよい。この場合、2条の熱可塑性樹脂製シートはそれぞれ、たとえば、押し出し後成形前に、一対のローラー(図示せず)の間を通過させることにより、筒状パリソンを押しつぶしてシート状にしてもよい。
【0031】
この場合、一対のローラーは、押出スリットの下方において、各々の回転軸が互いに平行にほぼ水平に配置され、一方が回転駆動ローラーであり、他方が被回転駆動ローラーである。より詳細には、一対のローラーは、押出スリットから下方に垂下する形態で押し出される筒状パリソンに関して、線対称となるように配置される。
また、筒状パリソンの直径方向対向位置2か所を切断して、2枚のシート状にしてもよい。さらに、いったんシート状に成形した樹脂材料を成形直前に再加熱して溶融状態にするのでもよい。
【0032】
また、成形手順として、上述のように、分割金型10を型締することにより、分割金型10内に密閉空間を形成し、この密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を成形するだけでなく、成形前にシート状樹脂とする場合には、分割金型10を型締する前にキャビティ31と樹脂材料との間に密閉空間を形成し、キャビティ31側から樹脂材料を吸引することにより、樹脂材料を予備賦形し、さらに分割金型10を型締後、同様に密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を本賦形するのでもよい。
【0033】
この場合、たとえば、分割金型10に対して、他方の金型に向かって移動可能に外嵌する型枠(図示せず)を準備し、分割金型10の内部には、真空吸引室(図示せず)を設け、真空吸引室を吸引穴(図示せず)を介してキャビティ31と連通させ、真空吸引室から吸引穴を介して吸引することにより、キャビティ31に向かって筒状パリソンを吸着させて、キャビティ31の外表面に沿った形状に賦形するようにしてもよい。より具体的には、シート状樹脂をキャビティ31に対向させた状態で、型枠を分割金型10に対して、シート状樹脂に向かって、金型10に対向するシート状樹脂の外表面に当たるまで移動させ、次いで、金型10のキャビティ31、型枠の内周面、および金型10に対向するシート状樹脂の外表面により構成された密閉空間を通じて、真空吸引室から吸引穴を介して吸引すればよい。
【0034】
この方法によれば、本賦形前に予備賦形することにより、複雑な形状の成形であっても良好な成形性を確保することができる。さらに、分割金型10を型締する際、キャビティ31側から樹脂材料を吸引しつつ密閉空間からブロー圧をかけることにより、樹脂材料を賦形するのでもよい。この方法によれば、吸引によりキャビティ31の凹部に溜まった空気を除去しつつブロー圧をかけることにより、同様に良好な成形性を確保することが可能である。
以上の成形方法により成形されるパレットPは、以下の構成を有する。
【0035】
すなわち、樹脂製パレットPは、
図12及び
図13に示すように、樹脂製第1板材102と、樹脂製第1板材102と対向する樹脂製第2板材104とを有し、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれの周縁部同士を溶着することにより、側周面106が形成されて、内部に中空部108が構成され、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれは、内表面側で突出するように内方に向かって先細の複数の凹陥部110を外表面に有し、複数の凹陥部110それぞれは、最先細部に突き合わせ平面部112を有し、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれの対応する凹陥部110同士の平面部112が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより、両板材間を延びる環状リブ50が形成され、側周面106の対向する一対の面それぞれに、フォーク挿入用開口114が設けられ、フォーク挿入用開口114に関連付けて、中空部108の内部にフォーク挿入用スペース116が形成され、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104それぞれの外表面のフォーク挿入用スペース116に対応する部位に、フォーク挿入方向とほぼ直交する向きに延びる複数の長溝52が設けられ、複数の長溝52は、フォーク挿入方向に互いに間隔を隔てて整列配置され、複数の長溝52はそれぞれ、裏面がフォーク挿入用開口114から挿入されたフォークに当接する底面53を有し、凹陥部110は、複数の長溝52それぞれの各端に、対応する長溝52に連接するように設けられる。
【0036】
図14に示すように、樹脂製第1板材102の外表面に設けられる複数の凹陥部110それぞれ、および樹脂製第2板材104の外表面に設けられる複数の凹陥部110それぞれに対して、補強リブ64が設けられる。補強リブ64は、外表面から凹陥部110の内周面に向かって傾斜する傾斜面57を底面とし、補強リブ64の対向する側面20それぞれが、立ち壁55を構成し、それぞれの立ち壁55は、凹陥部110の内周面と交差する向きに、長溝52の底面53から凹陥部110の深さ方向に延びるように形成される。凹陥部110は、内表面側に向かって先細の円錐台形状で、開口は、円形開口であり、立ち壁55は、円形開口のほぼ半径方向に延びるように設けられる。
【0037】
以上の構成を有する樹脂製パレットPによれば、樹脂製第1板材102と、樹脂製第1板材102と対向する樹脂製第2板材104との2部品によりパレットPを構成することが可能であるとともに、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104のいずれかの外表面に荷物を載置する際、樹脂製第1板材102および樹脂製第2板材104の間を延びる環状リブ50により、荷物の重さに耐える強度を確保することが可能である。
特に、パレットとして、両面使用タイプのパレットとして、内部に中空部を有しつつ、環状リブ50により強度を確保することが可能であり、軽量かつ高剛性な使い勝手のよいパレットをブロー成形することが可能である。
【0038】
以上の構成を有するブロー成形用金型によれば、ブロー成形すべき成形品の仕様、特に外形、大きさあるいは内部構造に応じて、それに適したブロック金型14を選択し、選択したブロック金型14それぞれの底面18をベース金型12の装着面16に当接させる形態で、ブロー成形すべき成形品の輪郭に適合するように、ブロック金型14同士の端面34を突き合わせることにより、全体として環状体28を形成し、それにより、環状体28の環状頂部36が、ピンチオフ部38を構成するとともに、装着面16の環状体28の内側部分が賦形面39を形成し、キャビティ31に対向してピンチオフ部38から離間して配置される溶融状態の樹脂材料をキャビティ31に対して押し付けてブロー成形することにより、所望の仕様の成形品を得ることが可能である。
【0039】
この場合、従来の射出成形用金型とは異なり、ベース金型12の全面をブロック金型14により隙間なく敷き詰める必要なく、環状体28を構成するのに必要なブロック金型14を準備すればよく、一方ベース金型12の環状体28の内側の装着面16は、賦形面として機能することから、金型部品点数を低減することが可能であり、さらに従来の射出成形用金型のように、溶融状態の樹脂材料を金型内部の密閉空間を満たすように圧入する必要がなく、キャビティ31と溶融状態の樹脂材料との間で密閉空間を形成することにより、キャビティ31側からこの密閉空間を吸引したり、あるいは溶融状態の樹脂材料をキャビティ31に向かってブロー圧をかけたりすることにより、溶融状態の樹脂材料を賦形することが可能である。
以下に、本発明の第2実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、成形品は、第1実施形態と同様に、両面使用タイプのパレットPであるが、第1実施形態では、フォークが1方向差しタイプであるのに対して、本実施形態では、2方向差しタイプである点が異なり、それに応じて、ブロー成形用金型10、特にブロック金型14が相違する点である。
【0040】
より詳細には、
図15に示すように、第1実施形態においては、1方向差しタイプであり、パレットの載置面が矩形状であり、載置面の短辺方向に沿ってフォークの挿入方向が形成されていたが、本実施形態では、2方向差しタイプであり、パレットの載置面が正方形形状であり、それに起因して、第1タイプのブロック金型14により、正方形形状のキャビティ31を構成するように環状体28を形成する。
【0041】
さらに、第2タイプのブロック金型14のうち環状リブ形成用ブロック金型44として、第1実施形態では、断面円形のものを採用したが、断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44A、断面楕円形の環状リブ形成用ブロック金型44B、C(長径/短径が大のものと、小のものの2種類)を採用している。断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44Aは、正方形のキャビティ31の4隅にそれぞれ配置され、キャビティ31の水平方向および上下方向に隣り合う断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44A同士の中央にそれぞれ、長径/短径が小の環状リブ形成用ブロック金型44Bを所定間隔を隔てて一対配置し、キャビティ31の中心部に長径/短径が大の環状リブ形成用ブロック金型44Cを同様な所定間隔を隔てて一対配置されている。それぞれのブロック金型14の向きは、断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44Aは、L字のいずれか1辺を水平向きとし、長径/短径が小および大それぞれの環状リブ形成用ブロック金型44B,Cは、長径を水平向きとしている。
【0042】
各隅に配置された断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44Aは、その水平部と、上下方向に隣接する長径/短径が小の環状リブ形成用ブロック金型44Bとの間に、およびその鉛直部と、水平方向に隣接する長径/短径が小の環状リブ形成用ブロック金型44Bとの間に、それぞれ、第1実施形態と同様に、連結用ブロック金型48を介して長溝形成用ブロック金型46が配置され、一方、長径/短径が大の環状リブ形成用ブロック金型44Cそれぞれと水平方向および上下方向に隣接する長径/短径が小の環状リブ形成用ブロック金型44Bとの間に、それぞれ、第1実施形態と同様に、連結用ブロック金型48を介して長溝形成用ブロック金型46が配置される。
加えて、第1実施形態と同様に、断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44A、断面楕円形の環状リブ形成用ブロック金型44B,Cそれぞれと対応する長溝形成用ブロック金型46との連接部には、立ち壁形成用ブロック金型62が設けられる。これにより、断面L字形の環状リブ形成用ブロック金型44A、断面楕円形の環状リブ形成用ブロック金型44B,Cそれぞれの形状に応じて形成される環状リブ50の周縁部には、立ち壁55を有する補強リブ64が形成され、パレットPに曲げ荷重が負荷されるときに、立ち壁55がつっぱりとなって、パレットPの撓みを制限することが可能である。
以上のようにして、
図15に示すように、水平方向に延びる長溝形成用ブロック金型46が2列、上下方向に所定の間隔を隔てて整列し、一方上下方向に延びる長溝形成用ブロック金型46が2列、水平方向に所定の間隔を隔てて整列し、それぞれパレットPの内部にフォーク挿入用スペース116を形成するようにしている。
なお、このようなブロー成形用金型を用いたパレットのブロー成形方法については、第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
以下に、本発明の第3実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、成形品が、第1実施形態においてはパレットであるのに対して、本実施形態においてはトレーであり、それに応じて、ブロー成形用金型、特にブロック金型14が相違し、またブロー成形方法が若干異なる点である。
【0043】
図16に示すように、成形品であるトレーTは、底面200が矩形状の容器であり、底面200が収納物Sの収納スペースを構成し、底面200には、収納物Sの収納位置に応じて、所定位置に複数の突起体202が設けられ、この突起体202を利用して、収納物Sを収納スペース内で位置決めするようにしている。より詳細には、収納物Sは、平面部を有し、収納面に直接載置可能な長尺物、たとえば であり、長尺物の端部まわり、側方の複数の突起体202により、収納物Sを収納面内で位置決めするようにしている。
【0044】
また、底面200は、ブロー成形の際、溶融状態の樹脂材料のキャビティ31に対向する面と反対側の面が形成することから、収納面には、キャビティ31のネジ受け孔22に螺合されたネジの扁平なネジ頭により、格子状に配置された円形形状の複数の出っ張り部(図示せず)が形成され、複数の出っ張り部により、収納物Sの位置決めに利用することが可能である。
【0045】
トレーTは、ブロー成形により成形されたシート状樹脂の一体物であり、トレーTの厚みを構成するシート状樹脂の厚みは、トレーTに収納する収納物Sの重さに応じて、適宜定められる。なお、収納物Sの重さが重い場合、たとえば収納物Sが金属製のエンジンパーツである場合には、後に説明するブロー成形において、押し出し装置から押し出された溶融状態の筒状パリソンを成形する前に、たとえば一対のローラの間を通過させることにより筒状パリソンを押しつぶして、パリソンの厚みの2倍に相当する厚みのシート状に加工して、成形してもよい。
【0046】
図17は、ブロック金型14の配置を示す、第1実施形態の
図1と同様な図である。
図17に示すように、ベース金型12の装着面16に対して、第1タイプのブロック金型14により、成形すべきトレーTの輪郭に応じて、環状体28を形成して、環状体28の内部にキャビティ31を形成するとともに、環状体28の環状頂部36がピンチオフ部38を形成し、ピンチオフ部38の内側側面20がトレーTの周壁を成形する賦形面39を構成する点では、第1実施形態と共通であるが、第2タイプのブロックの金型14の選択が異なる。
すなわち、第1実施形態においては、環状体28の内部に、長溝形成用ブロック金型46、環状リブ形成用ブロック金型44および連結用ブロック金型48を配置したが、本実施形態においては、収納スペースに形成する突起体202の位置に応じて、突起体形成用ブロック金型206のみを配置している。
【0047】
突起体形成用ブロック金型206は、第1実施形態の環状リブ形成用ブロック金型44と同様に、円錐台形状であり、底面18に、ベース金型12の装着面16に設けられたネジ受け孔22に螺合するネジ部24を有するが、後に説明するブロー成形方法との関係で、円錐台の高さは、ピンチオフ部38の高さより低く設定されている。
【0048】
より詳細には、一度のブロー成形によりトレーTを2個取りするために、2条の熱可塑性樹脂製シートを分割金型10の間に配置して、分割金型10それぞれに対応して、トレーTを成形する際、それぞれの金型に設けた突起体形成用ブロック金型206により対応する熱可塑性樹脂製シートには、対向する金型に向かって突起する突起体202が成形されることから、分割金型10を型締するときに、各熱可塑性樹脂製シートに形成される突起体202同士が溶着しないように、ピンチオフ部38同士が突き合わされたときにも、突起体202の頂部同士が溶着しないように円錐台の高さをピンチオフ部38の高さより低く設定するものである。
【0049】
このようなトレーTのブロー成形方法について、第1実施形態とほぼ同様であるが、溶融状態の樹脂材料のキャビティ31に対向する面と反対側の面が収納物Sを収納する収納面を構成し、装着面16に設けられるネジ受け孔22について、キャビティ31内で突起体形成用ブロック金型206が設置されないネジ受け孔22を閉鎖するのに用いられるネジのネジ頭は、収納面に収納物Sを位置決めするのに利用可能な程度の出っ張り部が形成されるほどの扁平な形状を有するのが好ましい。
なお、トレーTを1個取りするのであれば、分割金型10を用いずに、単一の金型を用いて、この金型のキャビティ31と樹脂材料との間に密閉空間を形成し、キャビティ31側から吸引することにより、樹脂材料を成形してもよい。
以下に、本発明の第4実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、第1実施形態と同様な構成要素については、同様な参照番号を付することによりその説明は省略し、以下では、本実施形態の特徴部分について詳細に説明する。
本実施形態の特徴部分は、成形品が、第1実施形態においてはパレットPであるのに対して、本実施形態においてはトレーTであり、それに応じて、ブロー成形用金型、特にブロック金型14が相違する点である。
図18に示すように、トレーTは、第3実施形態と共通であるが、以下に示すように、トレーTに収納すべき収納対象物が異なり、それに起因にしてブロー成形用金型、特にブロック金型14が相違する。
【0050】
より詳細には、第3実施形態においては、収納品として、収納面上を転がらずに位置決め可能な平面部を有する物品を対象として、環状体28の内部のキャビティ31に突起体形成用ブロック金型206を配置したが、本実施形態においては、収納面上を転がり可能な円形断面部を有する物品、たとえばシャフト構造物を対象とし、それに起因して、環状体28の内部のキャビティ31に凹部形成用ブロック金型300を配置する点で異なる。
図18に示すように、トレーTの収納面の各端部には、トレーTの幅方向全体に亘る突起体301が設けられ、複数本のシャフト構造物がそれぞれ、各端部を対応する突起体301に嵌め込んだ形態で、トレーTの幅方向に所定間隔を隔てて整列配置されている。
各突起体301の上面302には、シャフト構造物の端部の輪郭に適合する凹部304が、収納されるシャフト構造物の数に応じて設けられ、互いにトレーTの幅方向に所定間隔を隔てる。
より詳細には、凹部304は、突起体301の1側面306側に抜けており、両突起体301は、この1側面306同士を互いに対向させて配置され、これにより、シャフト構造の各端面を対応する凹部304の端面308に当接させた状態で、位置決めすることが可能である。
【0051】
図19に示すように、凹部形成用ブロック金型300は、上部に収納物Sの輪郭に適合するように形成された凹部310を有し、キャビティ31上でシャフト構造物の両端部それぞれに対応する位置に配置される。なお、凹部形成用ブロック金型300を凹部310ごとに分割し、キャビティ31上で密接配置させるようにしてもよい。
【0052】
凹部310はそれぞれ、凹部形成用ブロック金型300の1側面312側に抜けており、両凹部形成用ブロック金型300は、この1側面312同士を互いに対向させて配置され、これにより、ブロー成形により、第3実施形態と同様に、溶融状態の樹脂材料のキャビティ31に対向する面と反対側の面に、トレーTの収納面が形成されるところ、収納面には、凹部形成用ブロック金型300の凹部310と相補形状の凹部304が形成され、凹部304にシャフト構造の端部を嵌め込むことにより、確実に位置決めすることが可能である。
このように、第2実施形態に比べて、本実施形態においては、長尺の収納物Sをより確実に位置決めすることが可能であるので、トレーTを搬送中、あるいは保管中に不動状態に保持される必要がある収納物Sには、本実施形態が適している。
なお、ブロー成形方法については、第3実施形態と共通であるので、説明は省略する。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
【0053】
たとえば、第1実施形態においては、パレットを成形する際、ブロック金型14により、環状体28を構成するとともに、環状体28内部に環状リブ形成用ブロック金型44等を設置したが、それに限定されることなく、載置すべき荷物が軽量でパレットP自体に高い強度が要求されない場合には、ブロック金型14により環状体28のみを構成し、環状体28内部に環状リブ形成用ブロック金型44等を設置しなくてもよい。
また、本実施形態においては、ベース金型12の平面状の装着面16にブロック金型14をネジ固定する場合を説明したが、それに限定されることなく、たとえば、ベース金型12の装着面16に凹部を設け、それに嵌合可能な凸部をブロック金型14に設け、嵌合させたうえでネジ固定してもよい。
【0054】
さらに、本実施形態においては、パレットPの内部に設ける環状リブ50は、パレットPの第1板材102および第2板材104それぞれの対応する凹陥部110同士の平面が互いに背向する形態で突き合わせ溶着することにより形成したが、それに限定されることなく、たとえば、第1板材102から第2板材104に向かって延びる凹陥部110の平面部112を第2板材104の内表面に突き合わせ溶着させることにより形成してもよい。なお、この場合、分割金型10の一方の環状体28内部には、環状リブ形成用ブロック金型44を設置しない。
【0055】
加えて、本実施形態においては、ブロック金型14として、成形品の周壁を形成するための第1タイプのブロック金型14、第2タイプとして、成形品がパレットPの場合、内部に環状リブ50を形成するための環状リブ形成用ブロック金型44、および表面にフォークに対する当接面を形成する長溝形成用ブロック金型46を採用し、成形品がトレーTの場合、収納面に位置決め用の突起体200を形成するための突起体形成用ブロック金型14を採用するものとして説明したが、それに限定されることなく、たとえば、パレットPにおいて、載置すべき荷物が大型重量物のドラム缶である場合、ドラム缶を支持するための円形溝を表面に形成するためのブロック金型14を用意してもよい。この場合、円形溝を賦形可能な賦形面を単一のブロック金型14により実現してもよいし、複数のブロック金型14において、それぞれの金型が円形溝の一部の賦形面を形成し、それらを密着配置することにより、全体として円形溝の賦形面を実現してもよい。