【実施例】
【0048】
1.催芽時処理におけるハーバスピリラム・エスピー(Herbaspirillum sp.) 022S4-11株(受
託番号FERM
P−22001)のイネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
以下の条件でイネを育苗した。播種は、底に排水のために直径1mm程度の穴を5カ所あけたプラスチックケース(35mm×110mm×110mm)に育苗培土(イセキ培土)を入れ、15gの処理種籾を均一に播種して軽く覆土した。なお、播種後はガラス温室で管理した。
【0049】
【表2】
【0050】
(2)汚染籾作製方法
イネもみ枯細菌病菌(Burkholderia glumae MAFF301441)の懸濁液(約10
8cfu/ml)に種籾を浸漬し、約10分間真空減圧下で種籾に病原細菌を接種した後、水気を切った種籾をラボタオル等に広げ室温で一晩風乾させた。
【0051】
(3)各処理液の調製・処理方法
ハーバスピリラム・エスピー(Herbaspirillum sp.)022S4-11株(受
託番号FERM
P−22001)(以下、単に「022S4-11株」ということがある)をPPG培地で振蘯培養(25℃、2日間、100rpm)した培養液(以下「培養液」という)、培養液を遠心分離して得た上清液をさらに濾過滅菌した培養上清液(以下「上清液」という)および遠心分離で得た菌体に遠心分離で取り除いた上清と同量の滅菌水を加え懸濁した菌体懸濁液(以下「菌体懸濁液」という)をそれぞれ処理液として調製し、試験に供試した。
【0052】
図1は本実験(催芽時処理、022S4-11株、イネもみ枯細菌病)の処理工程を示す図である。イネもみ枯細菌病菌の汚染籾を含む種籾を浸種した後、培養液、上清液および菌体懸濁液の各液に、浸種後の種籾を32℃、16時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を出芽処理し、イネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果を調査した。なお、対照としてオキソリニック酸水和剤、トリコデルマアトロビリデ水和剤をそれぞれの使用方法に準じて供試した。
【0053】
(4)調査方法
各区の全苗について発病程度を調査し、程度別に指数を与え、発病苗率および次式により発病度を算出した。指数は、枯死苗:5、枯死以外の発病苗(白化・わい化・抽出異常):3、健全苗:0とした。
発病度={Σ(発病程度別苗数×指数)/(5×調査苗数)}×100
防除価=(1−処理区の発病度/無処理区の発病度)×100
【0054】
(5)結果
催芽時処理における022S4-11株のイネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果の検討結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
2.浸種時処理におけるハーバスピリラム・エスピー(Herbaspirillum sp.)022S4-11株のイネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記1(1)に示す条件と同じ条件でイネの育苗を行った。
【0057】
(2)汚染籾作製方法
前記1(2)と同様の操作により汚染籾を作製した。
【0058】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記1(3)と同様の操作により、022S4-11株の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。
【0059】
図2は本実験(浸種時処理、022S4-11株、イネもみ枯細菌病)の処理工程を示す図である。イネもみ枯細菌病菌の汚染籾を含む種籾を、培養液、上清液および菌体懸濁液の各処理液に25℃、48時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を浸種し、催芽及び出芽処理を行い、イネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果を調査した。なお、対照としてオキソリニック酸水和剤、トリコデルマアトロビリデ水和剤をそれぞれの使用方法に準じて供試した。
【0060】
(4)調査方法
前記1(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0061】
(5)結果
結果を表4に示す。また、一例として、
図3及び
図4に、播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図3中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株菌体懸濁液浸種時処理区、Cはオキソリニック酸処理区をそれぞれ示す。また、
図4中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株培養液浸種時処理区、Cはオキソリニック酸処理区をそれぞれ示す。
【0062】
【表4】
【0063】
3.催芽時処理におけるハーバスピリラム・エスピー(Herbaspirillum sp.)022S4-11株のイネ苗立枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
汚染率を減圧接種籾1%混合とした以外は、前記1(1)に示す条件と同じ条件で育苗した。
【0064】
(2)汚染籾作製方法
病原菌がイネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii MAFF301723)である他は、前記1(2)と同様の操作により、汚染籾を作製した。
【0065】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記1(3)と同様の操作により、022S4-11株の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。
【0066】
図5は本実験(催芽時処理、022S4-11株、イネ苗立枯細菌病)の処理工程を示す図である。イネ苗立枯細菌病菌の汚染籾を含む種籾を浸種した後、培養液、上清液および菌体懸濁液の各処理液に、浸種後の種籾を32℃、16時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を出芽処理し、イネ苗立枯細菌病に対する発病抑制効果を調査した。なお、対照としてオキソリニック酸水和剤を使用方法に準じて供試した。
【0067】
(4)調査方法
前記1(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0068】
(5)結果
結果を表5に示す。また、
図6〜
図8に、播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図6中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株上清液催芽時処理区、Cはオキソリニック酸処理区をそれぞれ示す。
図7中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株菌体懸濁液催芽時処理区、Cはオキソリニック酸処理区をそれぞれ示す。
図8中、Aは無処理区、Bは022S4-11株培養液催芽時処理区、Cはオキソリニック酸処理区をそれぞれ示す。
【0069】
【表5】
【0070】
4.浸種時処理におけるハーバスピリラム・エスピー(Herbaspirillum sp.)022S4-11株のイネ苗立枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記1(1)に示す条件と同じ条件で育苗を行った。
【0071】
(2)汚染籾作製方法
病原菌がイネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii MAFF301723)である他は、前記1(2)と同様の操作により、汚染籾を作製した。
【0072】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記1(3)と同様の操作により、022S4-11株の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。
【0073】
図9は本実験(浸種時処理、022S4-11株、イネ苗立枯細菌病)の処理工程を示す図である。イネ苗立枯細菌病菌の汚染籾を含む種籾を培養液、上清液および菌体懸濁液の各処理液に25℃、48時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を浸種し、催芽及び出芽処理を行い、イネ苗立枯細菌病に対する発病抑制効果を調査した。なお、対照としてオキソリニック酸水和剤、トリコデルマアトロビリデ水和剤をそれぞれの使用方法に準じて供試した。
【0074】
(4)調査方法
前記1(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0075】
(5)結果
結果を表6に示す。また、
図10〜
図12に、播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図10中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株上清液浸種時処理区、Cはオキソリニック酸処理区をそれぞれ示す。
図11中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株菌体懸濁液浸種時処理区、Cはオキソリニック酸処理区をそれぞれ示す。
図12中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株培養液浸種時処理区、Cはオキソリニック酸処理区をそれぞれ示す。
【0076】
【表6】
【0077】
5.催芽時処理におけるハーバスピリラム・エスピー(Herbaspirillum sp.)022S4-11株のイネ褐条病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記1(1)に示す条件と同じ条件で育苗を行った。
【0078】
(2)汚染籾作製方法
病原菌がイネ褐条病菌(Acidovorax avenae MAFF301752)である他は、前記1(2)と同様の操作により、汚染籾を作製した。
【0079】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記1(3)と同様の操作により、022S4-11株の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。
【0080】
図13は本実験(催芽時処理、022S4-11株、イネ褐条病)の処理工程を示す図である。イネ褐条病菌の汚染籾を含む種籾を浸種した後、培養液、上清液および菌体懸濁液の各処理液に、浸種後の種籾を32℃、16時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を出芽処理し、イネ褐条病に対する発病抑制効果を調査した。
【0081】
(4)調査方法
各区の全苗について発病程度を調査し、程度別に指数を与え、発病苗率および次式により発病度を算出した。指数は、枯死苗:5、枯死以外の発病苗(褐色条斑・腰曲り症状):3、健全苗:0とした。
発病度={Σ(発病程度別苗数×指数)/(5×調査苗数)}×100
防除価=(1−処理区の発病度/無処理区の発病度)×100
【0082】
(5)結果
結果を表7に示す。また、
図14〜
図16に、022S4-11株の処理液で処理をした種籾を播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図14中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株培養液催芽時処理区、Cは病原無接種・無処理区をそれぞれ示す。
図15中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株菌体懸濁液催芽時処理区、Cは病原無接種・無処理区をそれぞれ示す。
図12中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株上清液催芽時処理区、Cは病原無接種・無処理区をそれぞれ示す。
【0083】
【表7】
【0084】
6.浸種時処理におけるハーバスピリラム・エスピー(Herbaspirillum sp.)022S4-11株のイネ褐条病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記1(1)に示す条件と同じ条件で育苗を行った。
【0085】
(2)汚染籾作製方法
病原菌がイネ褐条病菌(Acidovorax avenae MAFF301752)である他は、前記1(2)と同様の操作により、汚染籾を作製した。
【0086】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記1(3)と同様の操作により、022S4-11株の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。
【0087】
図17は本実験(浸種時処理、022S4-11株、イネ褐条病)の処理工程を示す図である。イネ褐条病菌の汚染籾を含む種籾を培養液、上清液および菌体懸濁液の各処理液に25℃、48時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を浸種し、催芽及び出芽処理を行い、イネ褐条病に対する発病抑制効果を調査した。
【0088】
(4)調査方法
前記5(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0089】
(5)結果
結果を表8に示す。また、
図18〜
図20に、022S4-11株の処理液で処理をした種籾を播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図18中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株培養液浸種時処理区、Cは病原無接種・無処理区をそれぞれ示す。
図19中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株菌体懸濁液浸種時処理区、Cは病原無接種・無処理区をそれぞれ示す。
図20中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株上清液浸種時処理区、Cは病原無接種・無処理区をそれぞれ示す。
【0090】
【表8】
【0091】
7.催芽時処理におけるハーバスピリラム・ルブリスバルビカンス(Herbaspirillum rubrisubalbicans)MAFF311406株のイネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記1(1)に示す条件と同じ条件で育苗を行った。
【0092】
(2)汚染籾作製方法
前記1(2)と同様の操作により汚染籾を作製した。
【0093】
(3)各処理液の調製・処理方法
ハーバスピリラム・ルブリスバルビカンス(Herbaspirillum rubrisubalbicans)MAFF311406株(以下、単に「MAFF311406株」ということがある)をPPG培地で振蘯培養(25℃、2日間、100rpm)した培養液(以下「培養液」という)を処理液として調製し、試験に供試した。
【0094】
図21は本実験(催芽時処理、MAFF311406株、イネもみ枯細菌病)の処理工程を示す図である。イネもみ枯細菌病菌の汚染籾を含む種籾を浸種した後、種籾を培養液に32℃、16時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を出芽処理し、イネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果を調査した。なお、対照としてHerbaspirillum sp. 022S4-11株培養液の催芽時処理を行った。
【0095】
(4)調査方法
前記1(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0096】
(5)結果
結果を表9に示す。また、
図22に、MAFF311406株の処理液で処理をした種籾を播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図18中、Aは病原接種・無処理区、BはMAFF311406株培養液催芽時処理区、Cは022S4-11株培養液催芽時処理区をそれぞれ示す。
【0097】
【表9】
【0098】
8.浸種時処理におけるハーバスピリラム・ルブリスバルビカンス(Herbaspirillum rubrisubalbicans)MAFF311406株のイネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記1(1)に示す条件と同じ条件で育苗を行った。
【0099】
(2)汚染籾作製方法
前記1(2)と同様の操作により汚染籾を作製した。
【0100】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記7(3)と同様の操作により、MAFF311406株の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。
【0101】
図23は本実験(浸種時処理、MAFF311406株、イネもみ枯細菌病)の処理工程を示す図である。イネもみ枯細菌病菌の汚染籾を含む種籾を培養液、上清液および菌体懸濁液の各処理液に25℃、48時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を浸種し、催芽及び出芽処理を行い、イネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果を調査した。なお、対照としてHerbaspirillum sp. 022S4-11株の培養液、上清液および菌体懸濁液の浸種時処理を行った。
【0102】
(4)調査方法
前記1(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0103】
(5)結果
結果を
図24〜
図26に示す。
図24〜
図26はMAFF311406株の処理液で処理をした種籾を播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図24中、Aは病原接種・無処理区、BはMAFF311406株培養液浸種時処理区、Cは022S4-11株培養液浸種時処理区をそれぞれ示す。
図25中、Aは病原接種・無処理区、BはMAFF311406株上清液浸種時処理区、Cは022S4-11株上清液浸種時処理区をそれぞれ示す。
図26中、Aは病原接種・無処理区、BはMAFF311406株菌体懸濁液浸種時処理区、Cは022S4-11株菌体懸濁液浸種時処理区をそれぞれ示す。
【0104】
9.催芽時処理におけるハーバスピリラム・ルブリスバルビカンス(Herbaspirillum rubrisubalbicans)MAFF311406株のイネ苗立枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
汚染率を減圧接種籾1%混合とした以外は、前記1(1)に示す条件と同じ条件で育苗を行った。
【0105】
(2)汚染籾作製方法
病原菌がイネ苗立枯細菌病菌(Burkholderia plantarii MAFF301723)である他は、前記7(2)と同様の操作により汚染籾を作製した。
【0106】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記7(3)と同様の操作により、MAFF311406株の培養液を調製し、試験に供試した。
【0107】
図27は本実験(催芽時処理、MAFF311406株、イネ苗立枯細菌病)の処理工程を示す図である。イネ苗立枯細菌病の汚染籾を含む種籾を浸漬処理した後、32℃、16時間処理液に浸漬することにより処理を行った。その後出芽処理を行い、イネ苗立枯細菌病に対する発病抑制効果を調査した。なお、対照としてHerbaspirillum sp. 022S4-11株培養液の催芽時処理を行った。
【0108】
(4)調査方法
前記1(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0109】
(5)結果
結果を表10に示す。また、
図28に、MAFF311406株の処理液で処理をした種籾を播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図28中、Aは病原接種・無処理区、BはMAFF311406株培養液催芽時処理区、Cは022S4-11株培養液催芽時処理区をそれぞれ示す。
【0110】
【表10】
【0111】
10.浸種時処理におけるハーバスピリラム・ルブリスバルビカンス(Herbaspirillum rubrisubalbicans)MAFF311406株のイネ褐条病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記1(1)に示す条件と同じ条件で育苗を行った。
【0112】
(2)汚染籾作製方法
病原菌がイネ褐条病菌(Acidovorax avenae MAFF301752)である他は、前記7(2)と同様の操作により汚染籾を作製した。
【0113】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記7(3)と同様の操作により、MAFF311406株の培養液を調製し、試験に供試した。
【0114】
図29は本実験(浸種時処理、MAFF311406株、イネ褐条病)の処理工程を示す図である。イネ褐条病菌の汚染籾を含む種籾を処理液に25℃、48時間浸漬することにより処理を行った。その後種籾を浸種し、催芽及び出芽処理を行い、イネ褐条病に対する発病抑制効果を調査した。
【0115】
(4)調査方法
前記1(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0116】
(5)結果
結果を表11に示す。また、
図30に、MAFF311406株の処理液で処理をした種籾を播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図30中、Aは病原接種・無処理区、Bは022S4-11株培養液浸種時処理区、CはMAFF311406株培養液浸種時処理区をそれぞれ示す。
【0117】
【表11】
【0118】
11.浸種時処理におけるハーバスピリラム(Herbaspirillum)属菌のイネもみ枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
以下の条件でイネを育苗した。播種は、底に排水のために直径1mm程度の穴を5カ所あけたプラスチックケース(15mm×44mm×44mm)に育苗培土(イセキ培土)を入れ、3gの処理種籾を均一に播種して軽く覆土した。なお、播種後はガラス温室で管理した。その他は、表2に示す条件で育苗した。
【0119】
(2)汚染籾作製方法
前記2(2)と同様の操作により汚染籾を作製した。
【0120】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記ハーバスピリラム(Herbaspirillum)属細菌が、ハーバスピリラム・オートトロフィカム(Herbaspirillum autotrophicum)、ハーバスピリラム・クロロフェノリカム(Herbaspirillum chlorophenolicum)、ハーバスピリラム・フリシンゲンセ(Herbaspirillum frisingense)、ハーバスピリラム・ハッチエンセ(Herbaspirillum huttiense)、ハーバスピリラム・プティ(Herbaspirillum putei)、ハーバスピリラム・セロペディカ(Herbaspirillum seropedicae)である以外は、前記2(3)と同様の操作により、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)属細菌の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。なお、対照として前記処理液に替えて蒸留水に汚染籾を浸漬し、その他は同様の条件で調査した区(病原接種・無処理区)を設けた。
【0121】
(4)調査方法
前記2(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0122】
(5)結果
結果を表12〜17に示す。また、一例として、
図31に、培養液処理を行い播種してから約2週間後の苗の生育状況を示し、
図32に、上清液処理を行い播種してから約2週間後の苗の生育状況を示し、
図33に、菌体懸濁液処理を行い播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。なお、
図31〜33において、Aは病原接種・無処理区、Bはハーバスピリラム・プティ株浸種時処理区、Cは022S4-11株浸種時処理区(参考)をそれぞれ示す。
【0123】
【表12】
【0124】
【表13】
【0125】
【表14】
【0126】
【表15】
【0127】
【表16】
【0128】
【表17】
【0129】
12.浸種時処理におけるハーバスピリラム(Herbaspirillum)属菌のイネ苗立枯細菌病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記11(1)に示す条件と同じ条件でイネの育苗を行った。
【0130】
(2)汚染籾作製方法
前記4(2)と同様の操作により汚染籾を作製した。
【0131】
(3)各処理液の調製・処理方法
前記ハーバスピリラム(Herbaspirillum)属細菌が、ハーバスピリラム・オートトロフィカム(Herbaspirillum autotrophicum)、ハーバスピリラム・クロロフェノリカム(Herbaspirillum chlorophenolicum)、ハーバスピリラム・フリシンゲンセ(Herbaspirillum frisingense)、ハーバスピリラム・ハッチエンセ(Herbaspirillum huttiense)、ハーバスピリラム・プティ(Herbaspirillum putei)、ハーバスピリラム・セロペディカ(Herbaspirillum seropedicae)である以外は、前記4(3)と同様の操作により、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)属細菌の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。なお、対照として前記処理液に替えて蒸留水に汚染籾を浸漬し、その他は同様の条件で調査した区(無処理区)を設けた。
【0132】
(4)調査方法
前記4(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0133】
(5)結果
結果を表18〜23に示す。
【0134】
【表18】
【0135】
【表19】
【0136】
【表20】
【0137】
【表21】
【0138】
【表22】
【0139】
【表23】
【0140】
13.浸種時処理におけるハーバスピリラム(Herbaspirillum)属菌のイネ褐条病に対する発病抑制効果
(1)育苗条件
前記6(1)に示す条件と同じ条件で育苗を行った。
【0141】
(2)汚染籾作製方法
前記6(2)と同様の操作により、汚染籾を作製した。
【0142】
(3)各処理液の調製・処理方法
記ハーバスピリラム(Herbaspirillum)属細菌が、ハーバスピリラム・オートトロフィカム(Herbaspirillum autotrophicum)、ハーバスピリラム・クロロフェノリカム(Herbaspirillum chlorophenolicum)、ハーバスピリラム・フリシンゲンセ(Herbaspirillum frisingense)、ハーバスピリラム・ハッチエンセ(Herbaspirillum huttiense)、ハーバスピリラム・プティ(Herbaspirillum putei)、ハーバスピリラム・セロペディカ(Herbaspirillum seropedicae)である以外は、前記6(3)と同様の操作により、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)属細菌の培養液、上清液および菌体懸濁液を調製し、試験に供試した。
【0143】
(4)調査方法
前記6(4)と同様の算出方法により発病苗率および発病度を算出した。
【0144】
(5)結果
結果を表24〜29に示す。
【0145】
【表24】
【0146】
【表25】
【0147】
【表26】
【0148】
【表27】
【0149】
【表28】
【0150】
【表29】
【0151】
14.ハーバスピリラム・エスピー(Herbaspirillum sp.)022S4-11株のイネ苗に対する生育促進効果
(1)材料および方法
以下の要領により、イネ葉鞘から分離した022S4-11株を種籾(コシヒカリ)に接種して、イネ苗の生育に与える影響を調査した。まず、種籾を水道水に20℃下に3日間浸漬することにより、種籾に吸水させた。なお、水道水は1日毎に交換した。
【0152】
次に、022S4-11株をPPGA(ジャガイモ・ペプトン・グルコース・寒天)培地で2日間培養した後、遠心分離機で得た菌体を滅菌水に懸濁して、濃度を約10
8 cfu/mlに調整した菌体懸濁液を調製した。
【0153】
上記の種籾を25℃、3日間浸種した後、菌体懸濁液に投入し、種籾を30℃下で振とう(50rpm/min)しながら24時間浸漬することにより種籾に022S4-11株を付着させた(催芽時処理)。その後種籾を育苗培土に播種して栽培した。なお、対照として、催芽時に菌体懸濁液による処理は行わずに常法により30℃、24時間で催芽処理を行い、出芽の各処理を行った種籾を育苗培土に播種して栽培した。
【0154】
なお、播種は、底に排水のために直径1mm程度の穴を5カ所あけたプラスチックケース(3.5mm×10mm×10mm)に育苗培土(住友化学工業 ボンソル1号)を入れ、10gの処理種籾を均一に播種して軽く覆土した。栽培はガラス温室内で行い、播種後14日目に生重量と草丈を調査した。
【0155】
(2)結果
結果を表30に示す。また、
図34に、022S4-11株の細胞懸濁液で処理をした種籾を播種してから約2週間後の苗の生育状況を示す。ここで、
図34中、Aは022S4-11株菌体懸濁液催芽時処理区、Bは無処理区をそれぞれ示す。
【0156】
022S4-11株の菌体懸濁液で催芽時に処理した区(表中、「022S4-11株催芽時処理区」と表記する)では、無処理区と比較してイネ苗の生育が促進されることが判明した。また、アセチレン還元法により窒素固定能の有無を検討したところ、022S4-11株に窒素固定能が確認された。そのため、022S4-11株の菌体懸濁液で催芽時に処理した区においてイネ苗の生育が促進された要因は、022S4-11株の窒素固定能によるものと推察された。
【0157】
【表30】