【解決手段】第1および第2吸着熱交換器(101,102)は、それぞれ、第1および第2熱交換室(S11,S12)に設けられ、蒸発器と凝縮器とに切り換えられる。第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となっている場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置に設けられ、第2吸着ブロック(302)は、第2熱交換室(S12)において第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となっている場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置に設けられる。
吸着剤が担持された第1および第2吸着熱交換器(101,102)を有し、該第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し該第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1動作と、該第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって吸着剤を再生させ該第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿する第2動作とを交互に行う冷媒回路(100)と、
上記第1および第2吸着熱交換器(101,102)がそれぞれ設けられる第1および第2熱交換室(S11,S12)と、
上記第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気が流通するように、空気の流れを切り換える切換機構(200)と、
吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成され、上記第1熱交換室(S11)において上記第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となっている場合に該第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置に設けられる第1吸着ブロック(301)と、
吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成され、上記第2熱交換室(S12)において上記第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となっている場合に該第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置に設けられる第2吸着ブロック(302)とを備えている
ことを特徴とする除湿装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような除湿装置(調湿装置)では、冷媒回路の圧縮機の回転数を増加させることによって除湿能力を向上させることが考えられる。しかしながら、冷媒回路の圧縮機の回転数を増加させると、除湿装置の消費電力が増大してしまう。
【0005】
そこで、この発明は、消費電力の増大を抑制しつつ除湿能力を向上させることが可能な除湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、吸着剤が担持された第1および第2吸着熱交換器(101,102)を有し、該第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し該第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1動作と、該第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって吸着剤を再生させ該第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿する第2動作とを交互に行う冷媒回路(100)と、上記第1および第2吸着熱交換器(101,102)がそれぞれ設けられる第1および第2熱交換室(S11,S12)と、上記第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気が流通するように、空気の流れを切り換える切換機構(200)と、吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成され、上記第1熱交換室(S11)において上記第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となっている場合に該第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置に設けられる第1吸着ブロック(301)と、吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成され、上記第2熱交換室(S12)において上記第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となっている場合に該第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置に設けられる第2吸着ブロック(302)とを備えていることを特徴とする除湿装置である。
【0007】
上記第1の発明では、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)に、調湿空間(S0)に供給するための空気を流通させることにより、その空気中の水分を吸着熱交換器(101,102)および吸着ブロック(301,302)の吸着剤に吸着させてその空気を除湿することができる。また、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に、吸着剤を再生するための空気を流通させることにより、その空気中に吸着熱交換器(102,101)および吸着ブロック(302,301)の吸着剤の中の水分を放出させて吸着熱交換器(102,101)および吸着ブロック(302,301)の吸着剤を再生させることができる。このように、第1および第2熱交換室(S11,S12)に第1および第2吸着ブロック(301,302)をそれぞれ追加することにより、第1および第2熱交換室(S11,S12)における空気の除湿量を増加させることができる。
【0008】
また、上記第1の発明では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合に吸着熱交換器(101,102)の下流側となる位置に吸着ブロック(301,302)を配置することにより、吸着熱交換器(101,102)によって除湿および冷却された空気を吸着ブロック(301,302)に供給することができる。これにより、吸着ブロック(301,302)の吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記切換機構(200)が、上記第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向が、該吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合と該吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合とで逆方向となるように、空気の流れを切り換えることを特徴とする除湿装置である。
【0010】
上記第2の発明では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着ブロック(301,302)は、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)の下流側に位置し、吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)の上流側に位置する。すなわち、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、その熱交換室(S11,S12)に供給された空気は、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)を通過した後に吸着ブロック(301,302)を通過し、吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合には、吸着ブロック(301,302)を通過した後に吸着熱交換器(101,102)を通過する。
【0011】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記切換機構(200)が、上記第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向が、該吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合と該吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合とで同方向となるように、空気の流れを切り換えることを特徴とする除湿装置である。
【0012】
上記第3の発明では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着ブロック(301,302)は、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合および吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合のどちらの場合にも、吸着熱交換器(101,102)の下流側に位置する。したがって、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合に、吸着熱交換器(101,102)によって除湿および冷却された空気を吸着ブロック(301,302)に供給することができ、吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合に、吸着熱交換器(101,102)によって加熱された空気を吸着ブロック(301,302)に供給することができる。
【0013】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記第1および第2吸着ブロック(301,302)が、それぞれ、上記第1および第2吸着熱交換器(101,102)と間隔をおいて配置されていることを特徴とする除湿装置である。
【0014】
上記第4の発明では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着熱交換器(101,102)と間隔をおいて吸着ブロック(301,302)を配置することにより、吸着ブロック(301,302)における温度分布の偏りや空気偏流を抑制することができる。
【0015】
第5の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記第1および第2吸着ブロック(301,302)が、それぞれ、上記第1および第2吸着熱交換器(101,102)と接触するように配置されていることを特徴とする除湿装置である。
【0016】
上記第5の発明では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着熱交換器(101,102)と接触するように吸着ブロック(301,302)を配置することにより、吸着熱交換器(101,102)と吸着ブロック(301,302)との間における熱伝導を促進させることができる。すなわち、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)を流れる冷媒の吸熱作用によって吸着ブロック(301,302)を冷却することができ、吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)を流れる冷媒の放熱作用によって吸着ブロック(301,302)を加熱することができる。
【0017】
第6の発明は、上記第2の発明の除湿装置(10)と、吸着剤を再生するための空気を加熱する加熱器(21)とを備え、上記切換機構(200)が、上記第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に上記加熱器(21)を通過した空気が流通するように、空気の流れを切り換えることを特徴とする除湿システムである。
【0018】
上記第6の発明では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、その熱交換室(S11,S12)に供給された空気は、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)を通過した後に吸着ブロック(301,302)を通過し、吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合には、吸着ブロック(301,302)を通過した後に吸着熱交換器(101,102)を通過する。したがって、凝縮器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)に、加熱器(21)を通過した空気を流通させることにより、熱交換室(S11,S12)において凝縮器となっている吸着熱交換器(101,102)の上流側に位置している吸着ブロック(301,302)に、加熱器(21)によって加熱された空気を供給することができる。
【0019】
第7の発明は、上記第6の発明において、吸着剤が担持され、上記第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気を吸着剤と接触させて該空気を除湿する吸着部(71)と、上記加熱器(21)を通過した空気を吸着剤と接触させて吸着剤を再生させる再生部(72)とを有する吸着ロータ(70)をさらに備え、上記第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が、上記吸着ロータ(70)の吸着部(71)を通過して上記調湿空間(S0)に供給され、上記切換機構(200)が、上記第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に上記加熱器(21)と上記吸着ロータ(70)の再生部(72)とを順に通過した空気が流通するように、空気の流れを切り換えることを特徴とする除湿システムである。
【0020】
上記第7の発明では、調湿空間(S0)に供給するための空気は、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)において除湿された後に、吸着ロータ(70)の吸着部(71)においてさらに除湿される。一方、加熱器(21)によって加熱された空気は、吸着ロータ(70)の再生部(72)を通過した後に、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)を通過する。すなわち、吸着ロータ(70)の再生部(72)を通過した空気を、吸着熱交換器(102,101)および吸着ブロック(302,301)の吸着剤の再生に利用することができる。
【発明の効果】
【0021】
第1および第2の発明によれば、第1および第2熱交換室(S11,S12)における空気の除湿量を増加させることができ、さらに、吸着ブロック(301,302)の吸着剤への水分の吸着を促進させることができるので、除湿装置(10)の除湿能力を向上させることができる。また、除湿装置(10)の除湿能力を向上させるために冷媒回路(100)の圧縮機(103)の回転数を増加させなくてもよいので、除湿装置(10)の消費電力の増大を抑制することができる。
【0022】
第3の発明によれば、吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合に、吸着熱交換器(101,102)によって加熱された空気を吸着ブロック(301,302)に供給することができるので、吸着ブロック(301,302)の吸着剤の再生を促進させることができる。
【0023】
第4の発明によれば、吸着ブロック(301,302)における温度分布の偏りや空気偏流を抑制することができるので、吸着ブロック(301,302)における吸着能力および再生能力の低下を抑制することができる。
【0024】
第5の発明によれば、吸着熱交換器(101,102)と吸着ブロック(301,302)との間における熱伝導を促進させることができるので、吸着ブロック(301,302)における吸着剤への水分の吸着および吸着剤の再生を促進させることができる。
【0025】
第6の発明によれば、熱交換室(S11,S12)において凝縮器となっている吸着熱交換器(101,102)の上流側に位置している吸着ブロック(301,302)に、加熱器(21)によって加熱された空気を供給することができるので、吸着ブロック(301,302)の吸着剤の再生を促進させることができる。
【0026】
第7の発明によれば、吸着ロータ(70)を追加することにより、除湿システム(1)の除湿能力を向上させることができる。また、吸着ロータ(70)の再生部(72)を通過した空気を、吸着熱交換器(102,101)および吸着ブロック(302,301)の吸着剤の再生に利用することができるので、加熱器(21)によって加熱された空気を有効に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0029】
(実施形態1)
図1は、実施形態1による除湿システム(1)の構成例を示している。この除湿システム(1)は、空気(この例では、室外空気(OA))を除湿して調湿空間(S0)に供給するものである。この例では、調湿空間(S0)は、室内空間(S1)によって構成されている。室内空間(S1)は、露点温度が低い空気(例えば、露点温度が−30℃〜−50℃程度の空気)の供給を要求されている空間であり、例えば、リチウム電池の製造ラインに設けられるドライクリーンルームである。
【0030】
除湿システム(1)は、除湿装置(10)と、コントローラ(20)とを備えている。また、除湿装置(10)には、給気通路(P1)と再生通路(P2)が設けられている。除湿装置(10)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)と、冷媒回路(100)と、切換機構(200)と、第1および第2吸着ブロック(301,302)とを備えている。
【0031】
〈給気通路〉
給気通路(P1)には、調湿空間(S0)に供給するための空気(この例では、室内空間(S1)に供給するための空気)が流れる。この例では、給気通路(P1)は、室外空間から室外空気(OA)を取り込んで供給空気(RA)を室内空間(S1)に供給するように構成されている。具体的には、給気通路(P1)は、流入端が室外空間に接続される第1給気通路部(P11)と、流出端が室内空間(S1)に接続される第2給気通路部(P12)とを有している。また、この例では、給気通路(P1)の第1給気通路部(P1)には冷却器(11)が設けられ、冷却器(11)の近傍にはドレンパン(12)が設けられている。
【0032】
〈再生通路〉
再生通路(P2)には、吸着剤を再生するための空気が流れる。この例では、再生通路(P2)は、室内空間(S1)から室内空気(RA)を取り込んで排出空気(EA)を室外空間に排出するように構成されている。具体的には、再生通路(P2)は、流入端が室内空間(S1)に接続される第1再生通路部(P21)と、流出端が室外空間に接続される第2再生通路部(P22)とを有している。なお、この例では、室内空間(S1)の空気の一部は、再生通路(P2)を経由せずに排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0033】
〈熱交換室〉
第1および第2熱交換室(S11,S12)は、一方の熱交換室を給気通路(P1)の一部として給気通路(P1)に組み込むとともに他方の熱交換室を再生通路(P2)の一部として再生通路(P2)に組み込むことができるように構成されている。具体的には、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々は、第1給気通路部(P11)の流出端と第2給気通路部(P12)の流入端との間に接続されることによって給気通路(P1)に組み込まれて空気(すなわち、調湿空間(S0)に供給するための空気)が流通し、第1再生通路部(P21)の流出端と第2再生通路部(P22)の流入端との間に接続されることによって再生通路(P2)に組み込まれて空気(すなわち、吸着剤を再生するための空気)が流通する。なお、以下の説明では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の総称を単に「熱交換室(S11,S12)」と表記する。
【0034】
〈冷却器,ドレンパン〉
冷却器(11)は、室外空気(OA)を冷却して除湿する。例えば、冷却器(11)は、冷媒回路(図示を省略)の蒸発器として機能する熱交換器(具体的には、フィンアンドチューブ式の熱交換器)によって構成されていてもよい。ドレンパン(12)は、冷却器(11)において凝縮された水を回収する。例えば、ドレンパン(12)は、冷却器(11)において凝縮された水を受け止めることができるように、上面が開口する容器によって構成されて冷却器(11)の下方に配置されている。この例では、冷却器(11)は、給気通路(P1)の第1給気通路部(P11)に設けられている。
【0035】
〈冷媒回路〉
冷媒回路(100)は、冷媒を循環させて冷凍サイクル動作を実行するものであり、第1および第2吸着熱交換器(101,102)と、圧縮機(103)と、膨張弁(104)と、四方切換弁(105)とを備えている。
【0036】
《吸着熱交換器》
第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々は、熱交換器(例えば、クロスフィン型のフィンアンドチューブ式の熱交換器)の表面に吸着剤を担持させることによって構成されている。また、第1および第2吸着熱交換器(101,102)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)にそれぞれ設けられている。なお、吸着剤として、ゼオライト,シリカゲル,活性炭,親水性の官能基を有する有機高分子材料を用いてもよいし、水分を吸着する機能だけではなく水分を吸収する機能も有する材料(所謂、収着剤)を用いてもよい。なお、以下の説明では、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の総称を単に「吸着熱交換器(101,102)」と表記する。
【0037】
《圧縮機》
圧縮機(103)は、冷媒を圧縮して吐出する。また、圧縮機(103)は、コントローラ(20)の制御によって回転数(運転周波数)を変更可能に構成されている。例えば、圧縮機(103)は、インバータ回路(図示を省略)により回転数を調節可能な可変容量式の圧縮機(ロータリー式,スイング式,スクロール式などの圧縮機)によって構成されている。
【0038】
《膨張弁》
膨張弁(104)は、冷媒の圧力を調整する。例えば、膨張弁(104)は、コントローラ(20)による制御に応答して開度を変更可能な電子膨張弁によって構成されている。
【0039】
《四方切換弁》
四方切換弁(105)は、第1〜第4ポートを有し、第1ポートは、圧縮機(103)の吐出側に接続され、第2ポートは、圧縮機(103)の吸入側に接続され、第3ポートは、第2吸着熱交換器(102)の端部に接続され、第4ポートは、第1吸着熱交換器(101)の端部に接続されている。四方切換弁(105)は、コントローラ(20)による制御に応答して、第1接続状態(
図1の実線で示された状態)と、第2接続状態(
図1の破線で示された状態)とに設定可能に構成されている。
【0040】
《冷媒回路による冷凍サイクル動作》
四方切換弁(105)が第1接続状態になっている場合、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって空気を加湿する(すなわち、吸着剤を再生させる)第1冷凍サイクル動作(第1動作)を実行する。一方、四方切換弁(105)が第2接続状態になっている場合、冷媒回路(100)は、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿し第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって空気を加湿する(すなわち、吸着剤を再生させる)第2冷凍サイクル動作(第2動作)を実行する。このように、冷媒回路(100)は、コントローラ(20)による制御に応答して、第1および第2冷凍サイクル動作を実行可能に構成されている。具体的には、冷媒回路(100)は、第1および第2冷凍サイクル動作を交互に行うように構成されている。
【0041】
−第1冷凍サイクル動作(第1動作)−
四方切換弁(105)が第1接続状態になると、第1ポートと第3ポートとが連通するとともに第2ポートと第4ポートとが連通する。これにより、圧縮機(103)によって圧縮された冷媒は、四方切換弁(105)を通過して第2吸着熱交換器(102)に流れ込む。第2吸着熱交換器(102)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される再生動作が行われる。第2吸着熱交換器(102)において放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(104)によって減圧された後、第1吸着熱交換器(101)に流れ込む。第1吸着熱交換器(101)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される吸着動作が行われ、その際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第1吸着熱交換器(101)において吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(103)に吸入されて圧縮される。
【0042】
−第2冷凍サイクル動作(第2動作)−
四方切換弁(105)が第2接続状態になると、第1ポートと第4ポートとが連通するとともに第2ポートと第3ポートとが連通する。これにより、圧縮機(103)によって圧縮された冷媒は、四方切換弁(105)を通過して第1吸着熱交換器(101)に流れ込む。第1吸着熱交換器(101)では、冷媒によって吸着剤が加熱され、吸着剤中の水分が空気へ放出される再生動作が行われる。第1吸着熱交換器(101)において放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(104)によって減圧された後、第2吸着熱交換器(102)に流れ込む。第2吸着熱交換器(102)では、空気中の水分が吸着剤に吸着される吸着動作が行われ、その際に生じる吸着熱が冷媒に付与される。第2吸着熱交換器(102)において吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(103)に吸入されて圧縮される。
【0043】
〈切換機構〉
切換機構(200)は、コントローラ(20)による制御に応答して、第1および第2熱交換室(S11,S12)と給気通路(P1)および再生通路(P2)との接続状態を、第1通路状態(
図1の実線で示された状態)と第2通路状態(
図1の破線で示された状態)とに設定可能に構成されている。
【0044】
《第1通路状態》
第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態になると、第1熱交換室(S11)は、第1および第2給気通路部(P11,P12)の間に接続されて給気通路(P1)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)は、第1および第2再生通路部(P21,P22)の間に接続されて再生通路(P2)に組み込まれる。
【0045】
《第2通路状態》
第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態になると、第1熱交換室(S11)は、第1および第2再生通路部(P21,P22)の間に接続されて再生通路(P2)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)は、第1および第2給気通路部(P11,P12)の間に接続されて給気通路(P1)に組み込まれる。
【0046】
《熱交換室の接続切換動作》
また、切換機構(200)は、四方切換弁(105)が第1接続状態である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第1通路状態に設定し、四方切換弁(105)が第2接続状態である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第2通路状態に設定する。このように、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器が設けられた熱交換室が給気通路(P1)の一部として組み込まれ、凝縮器となっている吸着熱交換器が設けられた熱交換室が再生通路(P2)の一部として組み込まれるように、冷媒回路(100)の冷凍サイクル動作の切り換えと連動して第1および第2熱交換室(S11,S12)と給気通路(P1)および再生通路(P2)との接続状態を切換可能に構成されている。すなわち、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気が流通するように、空気の流れを切り換える。
【0047】
《吸着熱交換器を通過する空気の流通方向》
なお、この例では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態である場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)の一部として組み込まれている場合)に第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の流通方向は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態である場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が再生通路(P2)の一部として組み込まれている場合)に第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の流通方向と同じ方向となっている(所謂、並行流となっている)。第2吸着熱交換器(102)を通過する空気の流通方向についても同様である。このように、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向は、吸着熱交換器が蒸発器から凝縮器に(または、凝縮器から蒸発器に)切り換わっても変化しない。すなわち、切換機構(200)は、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向が、その吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合とその吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合とで同方向となるように、空気の流れを切り換える。
【0048】
〈吸着ブロック〉
第1および第2吸着ブロック(301,302)の各々は、吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成されている。例えば、第1および第2吸着ブロック(301,302)の各々は、構造体(具体的には、ハニカム構造を有する構造体)の表面に吸着剤を担持させることによって構成されている。また、第1および第2吸着ブロック(301,302)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)にそれぞれ設けられる。なお、以下の説明では、第1および第2吸着ブロック(301,302)の総称を単に「吸着ブロック(301,302)」と表記する。
【0049】
第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となっている場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側(風下側)となる位置(すなわち、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)の一部として組み込まれている場合に第1吸着熱交換器(101)によって除湿された空気が通過する位置)に配置されている。換言すると、第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態(
図1の実線で示した状態)である場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置に配置されている。
【0050】
これと同様に、第2吸着ブロック(302)は、第2熱交換室(S12)において、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となっている場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側(風下側)となる位置(すなわち、第2熱交換室(S12)が給気通路(P1)の一部として組み込まれている場合に第2吸着熱交換器(102)によって除湿された空気が通過する位置)に配置されている。換言すると、第2吸着ブロック(302)は、第2熱交換室(S12)において、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態(
図1の破線で示した状態)である場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置に配置されている。
【0051】
なお、この例では、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向は、その吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合とその吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合とで同方向となっている。したがって、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態(
図1の実線で示した状態)である場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態(
図1の破線で示した状態)である場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置と同じ位置である。これと同様に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態(
図1の破線で示した状態)である場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態(
図1の実線で示した状態)である場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置と同じ位置である。すなわち、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々では、吸着ブロック(301,302)は,吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合および吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合のどちらの場合にも、吸着熱交換器(101,102)の下流側に位置する。
【0052】
〈コントローラ〉
コントローラ(20)は、各種センサ(例えば、温度センサや湿度センサなど)の検出値に基づいて、除湿装置(10)を制御する。例えば、コントローラ(20)は、CPUやメモリによって構成されている。
【0053】
〈除湿装置による除湿運転〉
次に、
図1を参照して、実施形態1の除湿装置(10)の除湿運転について説明する。この除湿装置(10)は、第1および第2除湿動作を所定の時間間隔(例えば、10分間隔)で交互に繰り返す。
【0054】
《第1除湿動作》
第1除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第1接続状態(
図1の実線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となり第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となる第1冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第1通路状態(
図1の実線で示した状態)に設定する。
【0055】
−給気通路における空気の流れ−
給気通路(P1)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))は、冷却器(11)によって冷却除湿された後に、第1熱交換室(S11)に供給される。第1熱交換室(S11)に供給された空気は、蒸発器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する。このとき、第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の中の水分が第1吸着熱交換器(101)の吸着剤に吸着する。また、その吸着の際に生じた吸着熱が第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒に吸熱される。このように、蒸発器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する空気は、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤に水分を奪われて湿度が低下するとともに、第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒の吸熱作用により冷却されて温度も低下する。次に、第1吸着熱交換器(101)によって除湿および冷却された空気は、第1吸着ブロック(301)を通過する。このとき、この空気中の水分が第1吸着ブロック(301)の吸着剤に吸着する。これにより、第1吸着熱交換器(101)によって除湿された空気は、第1吸着ブロック(301)によってさらに除湿される。第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)を通過して除湿された空気は、供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0056】
−再生通路における空気の流れ−
再生通路(P2)に取り込まれた空気(この例では、室内空気(RA))は、第2熱交換室(S12)に供給される。第2熱交換室(S12)に供給された空気は、凝縮器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する。このとき、第2吸着熱交換器(102)を通過する空気が第2吸着熱交換器(102)を流れる冷媒によって加熱される。また、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤中の水分が第2吸着熱交換器(102)を通過する空気の中に放出される。これにより、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤が再生される。このように、凝縮器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する空気は、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤から水分を付与されて湿度が上昇するとともに、第2吸着熱交換器(102)を流れる冷媒の放熱作用により加熱されて温度も上昇する。次に、第2吸着熱交換器(102)によって加湿および加熱された空気は、第2吸着ブロック(302)を通過する。このとき、第2吸着ブロック(302)の吸着剤の水分が第2吸着ブロック(302)を通過する空気に放出される。これにより、第2吸着ブロック(302)の吸着剤が再生される。第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)を通過した空気は、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0057】
《第2除湿動作》
第2除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第2接続状態(
図1の破線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となり第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となる第2冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第2通路状態(
図1の破線で示した状態)に設定する。
【0058】
−給気通路における空気の流れ−
給気通路(P1)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))は、冷却器(11)によって冷却除湿された後に、第2熱交換室(S12)に供給される。第2熱交換室(S12)に供給された空気は、蒸発器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する。このとき、蒸発器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する空気は、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤に水分を奪われて湿度が低下するとともに、第2吸着熱交換器(102)を流れる冷媒の吸熱作用により冷却されて温度も低下する。次に、第2吸着熱交換器(102)によって除湿および冷却された空気は、第2吸着ブロック(302)を通過する。このとき、この空気中の水分が第2吸着ブロック(302)の吸着剤に吸着する。これにより、第2吸着熱交換器(102)によって除湿された空気は、第2吸着ブロック(302)によってさらに除湿される。第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)を通過して除湿された空気は、供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0059】
−再生通路における空気の流れ−
再生通路(P2)に取り込まれた空気(この例では、室内空気(RA))は、第1熱交換室(S11)に供給される。第1熱交換室(S11)に供給された空気は、凝縮器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する。このとき、凝縮器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する空気は、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤から水分を付与されて湿度が上昇するとともに、第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒の放熱作用により加熱されて温度も上昇する。これにより、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤が再生される。次に、第1吸着熱交換器(101)によって加湿および加熱された空気は、第1吸着ブロック(301)を通過する。このとき、第1吸着ブロック(301)の吸着剤の水分が第1吸着ブロック(301)を通過する空気に放出される。これにより、第1吸着ブロック(301)の吸着剤が再生される。第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)を通過した空気は、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0060】
〈除湿装置の構造〉
次に、
図2を参照して、実施形態1による除湿装置(10)の構造について説明する。なお、以下の説明において用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「奥」は、除湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を示している。また、
図2において、中央図は、除湿装置(10)の平面図であり、右図は、除湿装置(10)の右側面図であり、左図は、除湿装置(10)の左側面図である。
【0061】
除湿装置(10)は、冷媒回路(100)の構成部品を収容するケーシング(41)を備えている。ケーシング(41)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成され、前面パネル(42)と背面パネル(43)と左側面パネル(44)と右側面パネル(45)とを有している。この例では、ケーシング(41)の長手方向が前後方向となっている。
【0062】
ケーシング(41)には、吸着側吸込口(51)と、再生側吸込口(52)と、給気口(53)と、排気口(54)とが形成されている。吸着側吸込口(51)は、背面パネル(43)の上側部分に設けられ、再生側吸込口(52)は、背面パネル(43)の下側部分に設けられている。給気口(53)は、右側面パネル(45)において前面パネル(42)側の端部付近に設けられ、排気口(54)は、左側面パネル(44)において前面パネル(42)側の端部付近に設けられている。
【0063】
また、ケーシング(41)の内部空間には、第1仕切板(46)と第2仕切板(47)と中央仕切板(48)とが設けられている。これらの仕切板(46,47,48)は、ケーシング(41)の底板に起立した状態で設置され、ケーシング(41)の内部空間をケーシング(41)の底板から天板に亘って区画している。第1および第2仕切板(46,47)は、前面パネル(42)および背面パネル(43)と平行な姿勢で、ケーシング(41)の前後方向に所定の間隔をおいて配置されている。第1仕切板(46)は、背面パネル(43)寄りに配置され、第2仕切板(47)は、前面パネル(42)寄りに配置されている。中央仕切板(48)の配置については、後述する。
【0064】
ケーシング(41)内において、第1仕切板(46)と背面パネル(43)の間の空間は、上下2つの空間に仕切られており、下側の空間が第1吸着側内部通路(S21)を構成し、上側の空間が第1再生側内部通路(S22)を構成している。第1吸着側内部通路(S21)は、吸着側吸込口(51)に接続されるダクト(
図1の第1給気通路部(P11)に対応)を介して室外空間と連通している。第1再生側内部通路(S22)は、再生側吸込口(52)に接続されるダクト(
図1の第1再生通路部(P21)に対応)を介して室内空間(S1)と連通している。また、第1吸着側内部通路(S21)には、吸着側フィルタ(63)が設置され、第1再生側内部通路(S22)には、再生側フィルタ(64)が設置されている。
【0065】
ケーシング(41)内において、第1仕切板(46)と第2仕切板(47)との間の空間は、中央仕切板(48)によって左右に区画されており、中央仕切板(48)の左側の空間が第1熱交換室(S11)を構成し、中央仕切板(48)の右側の空間が第2熱交換室(S12)を構成している。第1熱交換室(S11)には、第1吸着熱交換器(101)が収容され、第2熱交換室(S12)には、第2吸着熱交換器(102)が収容されている。また、第2熱交換室(S12)には、冷媒回路(100)の膨張弁(104)(図示を省略)が収容されている。
【0066】
第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々は、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成され、互いに対向する2つの主面(幅広の側面)が空気を通過させる面となっている。そして、第1吸着熱交換器(101)は、その2つの主面が第1および第2仕切板(46,47)と平行になる姿勢で、第1熱交換室(S11)内に起立した状態で設置されている。これと同様に、第2吸着熱交換器(102)は、その2つの主面が第1および第2仕切板(46,47)と平行になる姿勢で、第2熱交換室(S12)内に起立した状態で設置されている。
【0067】
第1および第2吸着ブロック(301,302)の各々は、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成され、互いに対向する2つの主面(幅広の側面)が空気を通過させる面となっている。例えば、第1および第2吸着ブロック(301,302)の各々は、その一方の主面から他方の主面まで貫通する多数の孔を有するハニカム状の構造体である。また、第1吸着ブロック(301)は、その2つの主面が第1および第2仕切板(46,47)と平行になる姿勢で、第1熱交換室(S11)内に起立した状態で設置されている。これと同様に、第2吸着ブロック(302)は、その2つの主面が第1および第2仕切板(46,47)と平行になる姿勢で、第2熱交換室(S12)内に起立した状態で設置されている。
【0068】
また、この例では、第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において第1吸着熱交換器(101)と第2仕切板(47)との間に配置され、第2吸着ブロック(302)は、第2熱交換室(S12)において第2吸着熱交換器(102)と第2仕切板(47)との間に配置されている。なお、第1吸着ブロック(301)は、前後方向において第1吸着熱交換器(101)と間隔をおいて配置され、第2吸着ブロック(302)は、前後方向において第2吸着熱交換器(102)と間隔をおいて配置されている。
【0069】
また、ケーシング(41)内において、第2仕切板(47)の前面に沿った空間は、上下に仕切られており、この上下に仕切られた空間のうち、上側の部分が第2吸着側内部通路(S23)を構成し、下側の部分が第2再生側内部通路(S24)を構成している。
【0070】
第1仕切板(46)には、第1〜第4ダンパ(D1〜D4)が設けられ、第2仕切板(47)には、第5〜第8ダンパ(D5〜D8)が設けられている。第1〜第8ダンパ(D1〜D8)の各々は、コントローラ(20)による制御に応答して開状態と閉状態とを切換可能に構成されている。これらの第1〜第8ダンパ(D1〜D8)は、切換機構(200)を構成している。
【0071】
第1ダンパ(D1)は、第1仕切板(46)の上側部分(第1再生側内部通路(S22)に面する部分)において中央仕切板(48)よりも右側に取り付けられ、第2ダンパ(D2)は、第1仕切板(46)の上側部分において中央仕切板(48)よりも左側に取り付けられる。第3ダンパ(D3)は、第1仕切板(46)の下側部分(第1吸着側内部通路(S21)に面する部分)において中央仕切板(48)よりも右側に取り付けられ、第4ダンパ(D4)は、第1仕切板(46)の下側部分において中央仕切板(48)よりも左側に取り付けられる。
【0072】
第5ダンパ(D5)は、第2仕切板(47)の上側部分(第2吸着側内部通路(S23)に面する部分)において中央仕切板(48)よりも右側に取り付けられ、第6ダンパ(D6)は、第2仕切板(47)の上側部分において中央仕切板(48)よりも左側に取り付けられる。第7ダンパ(D7)は、第2仕切板(47)の下側部分(第2再生側内部通路(S24)に面する部分)において中央仕切板(48)よりも右側に取り付けられ、第8ダンパ(D8)は、第2仕切板(47)の下側部分において中央仕切板(48)よりも左側に取り付けられる。
【0073】
ケーシング(41)内において、第2吸着側内部通路(S23)および第2再生側内部通路(S24)と前面パネル(42)との間の空間は、仕切板(49)によって左右に仕切られており、仕切板(49)の右側の空間が給気ファン室(S25)を構成し、仕切板(49)の左側の空間が排気ファン室(S26)を構成している。給気ファン室(S25)は、給気口(53)に接続されるダクト(
図1の第2給気通路部(P12)に対応)を介して室内空間(S1)と連通している。排気ファン室(S26)は、排気口(54)に接続されるダクト(
図1の第2再生通路部(P22)に対応)を介して室外空間と連通している。また、給気ファン室(S25)には、給気ファン(61)が収容され、排気ファン室(S26)には、排気ファン(62)が収容されている。給気ファン(61)は、その吹出口が給気口(53)に接続され、第2仕切板(47)側から吸い込んだ空気を給気口(53)へ吹き出す。排気ファン(62)は、その吹出口が排気口(54)に接続され、第2仕切板(47)側から吸い込んだ空気を排気口(54)へ吹き出す。例えば、給気ファン(61)および排気ファン(62)の各々は、遠心型の多翼ファン(所謂、シロッコファン)によって構成されている。また、給気ファン室(S25)には、冷媒回路(100)の圧縮機(103)および四方切換弁(105)(図示を省略)が収容されている。
【0074】
《第1除湿動作における空気の流れ》
次に、
図2を参照して、実施形態1の除湿装置(10)による第1除湿動作における空気の流れについて説明する。第1除湿動作では、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となり、第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となる。また、
図2のように、第1,第4,第6,第7ダンパ(D1,D4,D6,D7)が開状態となり、第2,第3,第5,第8ダンパ(D2,D3,D5,D8)が閉状態となる。これにより、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態(
図1の実線で示した状態)に設定され、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)が再生通路(P2)に組み込まれる。
【0075】
−給気通路における空気の流れ−
吸着側吸込口(51)を経由して第1吸着側内部通路(S21)に供給された空気(この例では、室外空気(OA))は、吸着側フィルタ(63)を通過した後に、第4ダンパ(D4)を通過して第1熱交換室(S11)に供給される。
【0076】
第1熱交換室(S11)に供給された空気は、第1吸着熱交換器(101)と第1吸着ブロック(301)とを順に通過する際に、第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)の吸着剤に水分を奪われて除湿される。
【0077】
第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)を通過して除湿された空気は、第6ダンパ(D6)を通過して第2吸着側内部通路(S23)に流れ込み、給気ファン室(S25)および給気口(53)を通過して供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0078】
−再生通路における空気の流れ−
再生側吸込口(52)を経由して第1再生側内部通路(S22)に供給された空気(この例では、室内空気(RA))は、再生側フィルタ(64)を通過した後に、第1ダンパ(D1)を通過して第2熱交換室(S12)に供給される。
【0079】
第2熱交換室(S12)に供給された空気は、第2吸着熱交換器(102)と第2吸着ブロック(302)とを順に通過する際に、第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)の吸着剤から水分を付与される。これにより、第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)の吸着剤が再生される。
【0080】
第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)を通過した空気は、第7ダンパ(D7)を通過して第2再生側内部通路(S24)に流れ込み、排気ファン室(S26)および排気口(54)を通過して室外空間に排出される。
【0081】
《第2除湿動作における空気の流れ》
次に、
図3を参照して、実施形態1の除湿装置(10)による第2除湿動作における空気の流れについて説明する。第2除湿動作では、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となる。また、
図3のように、第2,第3,第5,第8ダンパ(D2,D3,D5,D8)が開状態となり、第1,第4,第6,第7ダンパ(D1,D4,D6,D7)が閉状態となる。これにより、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態(
図1の破線で示した状態)に設定され、第1熱交換室(S11)が再生通路(P2)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)が給気通路(P1)に組み込まれる。
【0082】
−給気通路における空気の流れ−
吸着側吸込口(51)を経由して第1吸着側内部通路(S21)に供給された空気(この例では、室外空気(OA))は、吸着側フィルタ(63)を通過した後に、第3ダンパ(D3)を通過して第2熱交換室(S12)に供給される。
【0083】
第2熱交換室(S12)に供給された空気は、第2吸着熱交換器(102)と第2吸着ブロック(302)とを順に通過する際に、第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)の吸着剤に水分を奪われて除湿される。
【0084】
第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)を通過して除湿された空気は、第5ダンパ(D5)を通過して第2吸着側内部通路(S23)に流れ込み、給気ファン室(S25)および給気口(53)を通過して供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0085】
−再生通路における空気の流れ−
再生側吸込口(52)を経由して第1再生側内部通路(S22)に供給された空気(この例では、室内空気(RA))は、再生側フィルタ(64)を通過した後に、第2ダンパ(D2)を通過して第1熱交換室(S11)に供給される。
【0086】
第1熱交換室(S11)に供給された空気は、第1吸着熱交換器(101)と第1吸着ブロック(301)とを順に通過する際に、第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)の吸着剤から水分を付与される。これにより、第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)の吸着剤が再生される。
【0087】
第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)を通過した空気は、第8ダンパ(D8)を通過して第2再生側内部通路(S24)に流れ込み、排気ファン室(S26)および排気口(54)を通過して室外空間に排出される。
【0088】
〈実施形態1による効果〉
実施形態1の除湿装置(10)では、第1および第2熱交換室(S11,S12)に第1および第2吸着ブロック(301,302)を追加することにより、第1および第2熱交換室(S11,S12)における空気の除湿量を増加させることができる。
【0089】
また、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)に組み込まれている場合に第1吸着熱交換器(101)によって除湿された空気が通過する位置に第1吸着ブロック(301)を配置することにより、第1吸着熱交換器(101)によって除湿および冷却された空気を、第1吸着ブロック(301)に供給することができる。これにより、第1吸着ブロック(301)において吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。これと同様に、第2熱交換室(S12)が給気通路(P1)に組み込まれている場合に、第2吸着熱交換器(102)によって除湿および冷却された空気を、第2吸着ブロック(302)に供給することができるので、第2吸着ブロック(302)において吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。すなわち、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合に吸着熱交換器(101,102)の下流側となる位置に吸着ブロック(301,302)を配置することにより、吸着熱交換器(101,102)によって除湿および冷却された空気を吸着ブロック(301,302)に供給することができるので、吸着ブロック(301,302)の吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。
【0090】
以上のように、第1および第2熱交換室(S11,S12)における空気の除湿量を増加させることができ、さらに、吸着ブロック(301,302)の吸着剤への水分の吸着を促進させることができるので、除湿装置(10)の除湿能力を向上させることができる。
【0091】
また、除湿装置(10)の除湿能力を向上させるために冷媒回路(100)の圧縮機(103)の回転数を増加させなくてもよいので、除湿装置(10)の消費電力の増大を抑制することができる。
【0092】
また、実施形態1では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着ブロック(301,302)は、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合および吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合のどちらの場合にも、吸着熱交換器(101,102)の下流側に位置している。したがって、第1熱交換室(S11)では、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となっている場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が再生通路(P2)に組み込まれている場合)に、第1吸着熱交換器(101)によって加熱された空気を第1吸着ブロック(301)に供給することができる。これにより、第1吸着ブロック(301)の吸着剤の再生を促進させることができる。これと同様に、第2熱交換室(S12)では、第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となっている場合(すなわち、第2熱交換室(S12)が再生通路(P2)に組み込まれている場合)に、第2吸着熱交換器(102)によって加熱された空気を第2吸着ブロック(302)に供給することができる。これにより、第2吸着ブロック(302)の吸着剤の再生を促進させることができる。このように、吸着ブロック(301,302)の吸着剤の再生を促進させることができるので、除湿装置(10)の除湿能力をさらに向上させることができる。
【0093】
また、第1吸着熱交換器(101)と間隔をおいて第1吸着ブロック(301)を配置することにより、第1吸着ブロック(301)における温度分布の偏りや空気偏流を抑制することができる。第2吸着ブロック(302)についても同様である。このように、第1および第2吸着ブロック(301,302)において温度分布の偏りや空気偏流を抑制することができるので、第1および第2吸着ブロック(301,302)における吸着能力および再生能力の低下を抑制することができる。
【0094】
(実施形態1の変形例1)
なお、
図4のように、再生通路(P2)は、室外空気(OA)を取り込んで排出空気(EA)を室外空間に排出するように構成されていてもよい。この例では、第1再生通路部(P21)の流入端は、第1給気通路部(P11)の中間部(具体的には、冷却器(11)の下流側)に接続されている。その他の構成は、
図1に示した構成と同様である。
【0095】
図4に示した除湿システム(1)では、室内空間(S1)から除湿装置(10)へ向けて室内空気(RA)が戻らないようになっている。そのため、室内空間(S1)が化学物質などによって汚染された場合であっても、室内空気(RA)よりも清浄な室外空気(OA)を除湿装置(10)によって除湿して室内空間(S1)に供給することができるので、室内空間(S1)の清浄度を維持することができる。
【0096】
(実施形態1の変形例2)
また、
図5のように、給気通路(P1)は、室内空気(RA)を取り込んで供給空気(SA)を室内空間(S1)に供給するように構成されていてもよい。また、再生通路(P2)は、室外空気(OA)を取り込んで排出空気(EA)を室外空間に排出するように構成されていてもよい。この例では、第1給気通路部(P11)の流入端は、室内空間(S1)に接続され、第1再生通路部(P21)の流入端は、室外空間に接続されている。また、冷却器(11)は、第1再生通路部(P21)に設けられている。その他の構成は、
図1に示した構成と同様である。
【0097】
図5に示した除湿システム(1)では、低露点の室内空気(RA)を除湿装置(10)によってさらに除湿して室内空間(S1)に供給するようになっているので、室内空間(S1)をより低露点にすることができる。
【0098】
(実施形態1の変形例3)
また、
図6のように、除湿システム(1)は、
図1に示した除湿装置(10)およびコントローラ(20)に加えて、前処理用除湿装置(30)を備えていてもよい。この例では、調湿空間(S0)は、室内空間(S1)と、室内空間(S1)に設けられたチャンバ(S2)とによって構成されている。室内空間(S1)は、露点温度が低い空気(例えば、露点温度が−30℃程度の空気)の供給が要求されている空間であり、チャンバ(S2)は、室内空間(S1)よりも露点温度が低い空気(例えば、露点温度が−50℃程度の空気)の供給が要求されている空間である。また、この例では、除湿システム(1)には、前処理通路(P3)および後処理通路(P4)が設けられている。そして、この除湿システム(1)では、前処理用除湿装置(30)によって除湿された空気(この例では、室外空気(OA))が供給空気(SA0)として室内空間(S1)に供給され、除湿装置(10)によって除湿された空気(この例では、室内空気(RA))が供給空気(SA)としてチャンバ(S2)に供給される。コントローラ(20)は、各種センサの検出値に基づいて、除湿装置(10)および前処理用除湿装置(30)を制御する。
【0099】
〈前処理通路〉
前処理通路(P3)には、調湿空間(S0)に供給するための空気(この例では、室内空間(S1)に供給するための空気)が流れる。この例では、前処理通路(P3)は、室外空間から室外空気(OA)を取り込んで供給空気(SA0)を室内空間(S1)に供給するように構成されている。具体的には、前処理通路(P3)は、流入端が室外空間に接続される第1前処理通路部(P31)と、流出端が室内空間(S1)に接続される第2前処理通路部(P32)とを有している。また、この例では、冷却器(11)は、第1前処理通路部(P31)に設けられている。
【0100】
〈後処理通路〉
後処理通路(P4)には、吸着剤を再生するための空気(この例では、再生通路(P2)から供給される空気)が流れる。この例では、後処理通路(P4)は、再生通路(P2)の流出端から空気を取り込んで排出空気(EA)を室外空間に排出するように構成されている。具体的には、後処理通路(P4)は、流入端が再生通路(P2)の流出端に接続される第1後処理通路部(P41)と、流出端が室外空間に接続される第2後処理通路部(P42)とを有している。なお、この例では、チャンバ(S2)内の空気の一部は、室内空間(S1)を経由せずに排出空気(EA)として室外空間に排出され、室内空間(S1)内の空気の一部は、再生通路(P2)および後処理通路(P4)を経由せずに排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0101】
〈給気通路,再生通路〉
この例では、給気通路(P1)は、室内空間(S1)から室内空気(RA)を取り込んで供給空気(SA)をチャンバ(S2)に供給するように構成されている。具体的には、第1給気通路部(P11)の流入端は、室内空間(S1)に接続され、第2給気通路部(P12)の流出端は、チャンバ(S2)に接続されている。また、再生通路(P2)は、室内空間(S1)から室内空気(RA)を取り込んで再生空気(吸着剤を再生するための空気)を後処理通路(P4)に排出するように構成されている。具体的には、第1再生通路部(P21)の流入端は、第1給気通路部(P11)の中間部に接続され、第2再生通路部(P22)の流出端は、第1後処理通路部(P41)の流入端に接続されている。
【0102】
〈前処理用除湿装置〉
前処理用除湿装置(30)は、除湿装置(10)と同様の構成を有している。なお、前処理用除湿装置(30)の構造は、
図2に示した除湿装置(10)の構造と同様である。
【0103】
〈前処理用除湿装置の冷媒回路〉
前処理用除湿装置(30)の冷媒回路(100)は、除湿装置(10)の冷媒回路(100)と同様に、コントローラ(20)による制御に応答して、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1冷凍サイクル動作と、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿し第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第2冷凍サイクル動作とを交互に行うように構成されている。
【0104】
〈前処理用除湿装置の切換機構〉
前処理用除湿装置(30)の切換機構(200)は、コントローラ(20)による制御に応答して、前処理用除湿装置(30)の第1および第2熱交換室(S11,S12)と前処理通路(P3)および後処理通路(P4)との接続状態を、第3通路状態(
図6の実線で示された状態)と第4通路状態(
図6の破線で示された状態)とに設定可能に構成されている。
【0105】
《第3通路状態》
前処理用除湿装置(30)の第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第3通路状態になると、第1熱交換室(S11)は、第1および第2前処理通路部(P31,P32)の間に接続されて前処理通路(P3)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)は、第1および第2後処理通路部(P41,P42)の間に接続されて後処理通路(P4)に組み込まれる。
【0106】
《第4通路状態》
前処理用除湿装置(30)の第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第4通路状態になると、第1熱交換室(S11)は、第1および第2後処理通路部(P41,P42)の間に接続されて後処理通路(P4)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)は、第1および第2前処理通路部(P31,P32)の間に接続されて前処理通路(P3)に組み込まれる。
【0107】
《熱交換室の接続切換動作》
また、前処理用除湿装置(30)の切換機構(200)は、四方切換弁(105)が第1接続状態である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第3通路状態に設定し、四方切換弁(105)が第2接続状態である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第3通路状態に設定する。すなわち、前処理用除湿装置(30)の切換機構(200)は、除湿装置(10)の切換機構(200)と同様に、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)(この例では、室内空間(S1))に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気(この例では、除湿装置(10)の第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち凝縮器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気)が流通するように、空気の流れを切り換える。
【0108】
《吸着熱交換器を通過する空気の流通方向》
なお、この例では、前処理用除湿装置(30)において、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第3通路状態である場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が前処理通路(P3)の一部として組み込まれている場合)に第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の流通方向は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第4通路状態である場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が後処理通路(P4)の一部として組み込まれている場合)に第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の流通方向と同じ方向となっている。第2吸着熱交換器(102)を通過する空気の流通方向についても同様である。すなわち、前処理用除湿装置(30)の切換機構(200)は、除湿装置(10)の切換機構(200)と同様に、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向が、その吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合とその吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合とで同方向となるように、空気の流れを切り換える。
【0109】
〈前処理用除湿装置による除湿運転〉
次に、
図6を参照して、前処理用除湿装置(30)による除湿運転について説明する。この前処理用除湿装置(30)は、第3および第4除湿動作を所定の時間間隔(例えば、10分間隔)で交互に繰り返す。
【0110】
《第3除湿動作》
第3除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第1接続状態(
図6の実線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となり第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となる第1冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第3通路状態(
図6の実線で示した状態)に設定する。
【0111】
前処理通路(P3)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))は、冷却器(11)によって冷却除湿された後に、第1熱交換室(S11)に供給される。第1熱交換室(S11)に供給された空気は、第1吸着熱交換器(101)と第1吸着ブロック(301)とを順に通過する際に、第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)の吸着剤に水分を奪われて除湿される。第1熱交換室(S11)において除湿された空気は、供給空気(SA0)として室内空間(S1)に供給される。
【0112】
後処理通路(P4)に取り込まれた空気(この例では、再生通路(P2)から供給された空気)は、第2熱交換室(S12)に供給される。第2熱交換室(S12)に供給された空気は、第2吸着熱交換器(102)と第2吸着ブロック(302)とを順に通過する際に、第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)の吸着剤から水分を付与される。これにより、第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)の吸着剤が再生される。第2熱交換室(S12)を通過した空気は、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0113】
《第4除湿動作》
第4除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第2接続状態(
図6の破線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となり第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となる第2冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第4通路状態(
図6の破線で示した状態)に設定する。
【0114】
前処理通路(P3)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))は、冷却器(11)によって冷却除湿された後に、第2熱交換室(S12)に供給される。第2熱交換室(S12)に供給された空気は、第2吸着熱交換器(102)と第2吸着ブロック(302)とを順に通過する際に、第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)の吸着剤に水分を奪われて除湿される。第2熱交換室(S12)において除湿された空気は、供給空気(SA0)として室内空間(S1)に供給される。
【0115】
後処理通路(P4)に取り込まれた空気(この例では、再生通路(P2)から供給された空気)は、第1熱交換室(S11)に供給される。第1熱交換室(S11)に供給された空気は、第1吸着熱交換器(101)と第1吸着ブロック(301)とを順に通過する際に、第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)の吸着剤から水分を付与される。これにより、第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)の吸着剤が再生される。第1熱交換室(S11)を通過した空気は、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0116】
〈実施形態1の変形例3による効果〉
以上のように、室内空間(S1)に供給するための空気(この例では、室外空気(OA))を前処理用除湿装置(30)によって除湿して供給空気(SA0)として室内空間(S1)に供給し、室内空間(S1)から供給された室内空気(RA)を除湿装置(10)によって除湿して供給空気(SA)としてチャンバ(S2)に供給することにより、チャンバ(S2)内の空気の露点温度を室内空間(S1)内の空気の露点温度よりも低くすることができる。このように、チャンバ(S2)に低露点の供給空気(SA)を集中的に供給することにより、室内空間(S1)全体を低露点にする場合よりも、除湿システム(1)の運転動作に要する消費電力を低減することができる。
【0117】
(実施形態2)
図7は、実施形態2による除湿システム(1)の構成例を示している。この除湿システム(1)は、除湿装置(10)とコントローラ(20)と加熱器(21)とを備えている。なお、実施形態2の除湿装置(10)の構造は、実施形態1の除湿装置(10)の構造(
図2)と異なっている。具体的には、第1および第2吸着熱交換器(101,102)を通過する空気の流通方向と、第1および第2吸着ブロック(301,302)の配置が、実施形態1と異なっている。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0118】
〈加熱器〉
加熱器(21)は、再生通路(P2)に設けられ、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち凝縮器となっている吸着熱交換器が設けられた熱交換室の上流側(風上側)に配置されている。すなわち、加熱器(21)は、吸着剤を再生するための空気を加熱するように構成されている。この例では、加熱器(21)は、第1再生通路部(P21)に配置されている。例えば、加熱器(21)は、第1再生通路部(P21)を流れる空気と第2再生通路部(P22)を流れる空気との間で熱交換を行う顕熱熱交換器によって構成されていてもよいし、冷媒回路(図示を省略)の凝縮器として機能する熱交換器(具体的には、フィンアンドチューブ式の熱交換器)などによって構成されていてもよい。
【0119】
〈冷媒回路〉
冷媒回路(100)は、実施形態1と同様に、コントローラ(20)による制御に応答して、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1冷凍サイクル動作と、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿し第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第2冷凍サイクル動作とを交互に行うように構成されている。
【0120】
〈切換機構〉
切換機構(200)は、コントローラ(20)による制御に応答して、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を、第1通路状態(
図7の実線で示した状態)と第2通路状態(
図7の破線で示した状態)とに設定可能に構成されている。また、切換機構(200)は、四方切換弁(105)が第1接続状態(
図7の実線で示した状態)である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第1通路状態に設定し、四方切換弁(105)が第2接続状態である場合(
図7の破線で示した状態)に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第2通路状態に設定する。すなわち、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気(この例では、加熱器(21)を通過した空気)が流通するように、空気の流れを切り換える。
【0121】
なお、この例では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態である場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)の一部として組み込まれている場合)に第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の流通方向は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態である場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が再生通路(P2)の一部として組み込まれている場合)に第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の流通方向の逆方向となっている(所謂、対向流となっている)。第2吸着熱交換器(102)を通過する空気の流通方向についても同様である。このように、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向は、吸着熱交換器が蒸発器から凝縮器に(または、凝縮器から蒸発器に)切り換わると反転する。すなわち、切換機構(200)は、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向が、その吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合とその吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合とで逆方向となるように、空気の流れを切り換える。
【0122】
〈吸着ブロック〉
第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となっている場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側(風下側)となる位置(すなわち、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)の一部として組み込まれている場合に第1吸着熱交換器(101)によって除湿された空気が通過する位置)に配置されている。
【0123】
第2吸着ブロック(302)は、第2熱交換室(S12)において、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となっている場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側(風下側)となる位置(すなわち、第2熱交換室(S12)が給気通路(P1)の一部として組み込まれている場合に第2吸着熱交換器(102)によって除湿された空気が通過する位置)に配置されている。
【0124】
なお、この例では、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向は、その吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合とその吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合とで逆方向となっている。したがって、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態(
図7の実線で示した状態)である場合に第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態(
図7の破線で示した状態)である場合に第1吸着熱交換器(101)の上流側となる位置(この例では、加熱器(21)と第1吸着熱交換器(101)との間となる位置)と同じ位置である。これと同様に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態(
図7の破線で示した状態)である場合に第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態(
図1の実線で示した状態)である場合に第2吸着熱交換器(102)の上流側となる位置(この例では、加熱器(21)と第2吸着熱交換器(102)との間となる位置)と同じ位置である。すなわち、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々では、吸着ブロック(301,302)は、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)の下流側に位置し、吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)の上流側に位置する。
【0125】
〈除湿装置による除湿運転〉
次に、
図7を参照して、実施形態2の除湿装置(10)の除湿運転について説明する。実施形態1の除湿装置(10)と同様に、実施形態2の除湿装置(10)は、第1および第2除湿動作を所定の時間間隔(例えば、10分間隔)で交互に繰り返す。
【0126】
《第1除湿動作》
第1除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第1接続状態(
図7の実線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となり第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となる第1冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第1通路状態(
図7の実線で示した状態)に設定する。
【0127】
−給気通路における空気の流れ−
給気通路(P1)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))は、冷却器(11)によって冷却除湿された後に、第1熱交換室(S11)に供給される。第1熱交換室(S11)に供給された空気は、蒸発器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する。このとき、蒸発器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する空気は、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤に水分を奪われて湿度が低下するとともに、第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒の吸熱作用により冷却されて温度も低下する。次に、第1吸着熱交換器(101)によって除湿および冷却された空気は、第1吸着ブロック(301)を通過する。このとき、この空気中の水分が第1吸着ブロック(301)の吸着剤に吸着する。これにより、第1吸着熱交換器(101)によって除湿された空気は、第1吸着ブロック(301)によってさらに除湿される。第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)を通過して除湿された空気は、供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0128】
−再生通路における空気の流れ−
再生通路(P2)に取り込まれた空気(この例では、室内空気(RA))は、加熱器(21)によって加熱された後に、第2熱交換室(S12)に供給される。第2熱交換室(S12)に供給された空気は、第2吸着ブロック(302)を通過する。このとき、第2吸着ブロック(302)の吸着剤の水分が第2吸着ブロック(302)を通過する空気に放出される。これにより、第2吸着ブロック(302)の吸着剤が再生される。次に、第2吸着ブロック(302)によって加湿された空気は、凝縮器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する。凝縮器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する空気は、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤から水分を付与されて湿度が上昇するとともに、第2吸着熱交換器(102)を流れる冷媒の放熱作用により加熱されて温度も上昇する。これにより、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤が再生される。第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)を通過した空気は、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0129】
《第2除湿動作》
第2除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第2接続状態(
図7の破線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となり第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となる第2冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第2通路状態(
図7の破線で示した状態)に設定する。
【0130】
−給気通路における空気の流れ−
給気通路(P1)に取り込まれた空気(この例では、室外空気(OA))は、冷却器(11)によって冷却除湿された後に、第2熱交換室(S12)に供給される。第2熱交換室(S12)に供給された空気は、蒸発器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する。このとき、蒸発器として機能している第2吸着熱交換器(102)を通過する空気は、第2吸着熱交換器(102)の吸着剤に水分を奪われて湿度が低下するとともに、第2吸着熱交換器(102)を流れる冷媒の吸熱作用により冷却されて温度も低下する。次に、第2吸着熱交換器(102)によって除湿および冷却された空気は、第2吸着ブロック(302)を通過する。このとき、この空気中の水分が第2吸着ブロック(302)の吸着剤に吸着する。これにより、第2吸着熱交換器(102)によって除湿された空気は、第2吸着ブロック(302)によってさらに除湿される。第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)を通過して除湿された空気は、供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0131】
−再生通路における空気の流れ−
再生通路(P2)に取り込まれた空気(この例では、室内空気(RA))は、加熱器(21)によって加熱された後に、第1熱交換室(S11)に供給される。第1熱交換室(S11)に供給された空気は、第1吸着ブロック(301)を通過する。このとき、第1吸着ブロック(301)の吸着剤の水分が第1吸着ブロック(301)を通過する空気に放出される。これにより、第1吸着ブロック(301)の吸着剤が再生される。次に、第1吸着ブロック(301)によって加湿された空気は、凝縮器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する。このとき、凝縮器として機能している第1吸着熱交換器(101)を通過する空気は、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤から水分を付与されて湿度が上昇するとともに、第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒の放熱作用により加熱されて温度も上昇する。これにより、第1吸着熱交換器(101)の吸着剤が再生される。第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)を通過した空気は、排出空気(EA)として室外空間に排出される。
【0132】
〈除湿装置の構造〉
次に、
図8を参照して、実施形態2による除湿装置(10)の構造について説明する。なお、以下の説明において用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「奥」は、除湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を示している。また、
図8において、中央図は、除湿装置(10)の平面図であり、上図は、除湿装置(10)の背面図であり、下図は、除湿装置(10)の正面図である。
【0133】
除湿装置(10)は、冷媒回路(100)の構成部品を収容するケーシング(41)を備えている。ケーシング(41)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成され、前面パネル(42)と背面パネル(43)と左側面パネル(44)と右側面パネル(45)とを有している。この例では、ケーシング(41)の長手方向が左右方向となっている。
【0134】
ケーシング(41)には、吸着側吸込口(51)と、再生側吸込口(52)と、給気口(53)と、排気口(54)とが形成されている。吸着側吸込口(51)は、背面パネル(43)の右寄りの位置に設けられ、再生側吸込口(52)は、背面パネル(43)の左寄りの位置に設けられる。給気口(53)は、前面パネル(42)の左寄りの位置に設けられ、排気口(54)は、前面パネル(42)の右寄りの位置に設けられる。
【0135】
また、ケーシング(41)の内部空間は、第1仕切板(46)と第2仕切板(47)と中央仕切板(48)とが設けられている。これらの仕切板(46,47,48)は、ケーシング(41)の底板に起立した状態で設置され、ケーシング(41)の内部空間をケーシング(41)の底板から天板に亘って区画している。第1および第2仕切板(46,47)は、左側面パネル(44)および右側面パネル(45)と平行な姿勢で、ケーシング(41)の左右方向に所定の間隔をおいて配置されている。第1仕切板(46)は、左側面パネル(44)寄りに配置され、第2仕切板(47)は、右側面パネル(45)寄りに配置されている。そして、第1仕切板(46)の左側の空間が左側空間(S31)となり、第1仕切板(46)と第2仕切板(47)の間の空間が中央空間(S32)となり、第2仕切板(47)の右側の空間が右側空間(S33)となっている。なお、中央仕切板(48)の配置については、後述する。
【0136】
左側空間(S31)は、左側面パネル(44)側の部分と第1仕切板(46)側の部分とに区画されている。左側空間(S31)内におけるケーシング(41)の左面側の空間は、前後2つの空間に仕切られており、前側の空間が給気ファン室(S25)を構成し、奥側の空間が再生側吸込室(S28)を構成している。左側空間(S31)内における第1仕切板(46)側の空間は、上下2つの空間に仕切られており、上側の空間が第2吸着側内部通路(S23)を構成し、下側の空間が第1再生側内部通路(S22)をそれぞれ構成している。
【0137】
給気ファン室(S25)は、給気口(53)に接続されるダクト(
図7の第2給気通路部(P12)に対応)を介して室内空間(S1)と連通している。また、給気ファン室(S25)には、給気ファン(61)が収容されている。給気ファン(61)の吹出口は、給気口(53)に接続されている。また、給気ファン室(S25)には、冷媒回路(100)の圧縮機(103)および四方切換弁(105)(図示を省略)が収容されている。一方、再生側吸込室(S28)は、再生側吸込口(52)に接続されるダクト(
図7の第1再生通路部(P21)に対応)を介して室内空間(S1)と連通している。
【0138】
第2吸着側内部通路(S23)は、再生側吸込室(S28)とは前後に延びる仕切板で仕切られる一方、給気ファン室(S25)と連通している。第1再生側内部通路(S22)は、再生側吸込室(S28)と連通している。
【0139】
右側空間(S33)は、ケーシング(41)の右面側の部分と第2仕切板(47)側の部分とに区画されている。右側空間(S33)内におけるケーシング(41)の右面側の空間は、前側の空間が排気ファン室(S26)を構成している。一方、奥側の空間は、上下に仕切られており、下側の空間が排気ファン室(S26)から仕切られた吸着側吸込室(S27)を構成し、上側の空間が排気ファン室(S26)と連通している。右側空間(S33)内における第2仕切板(47)側の空間は、上下2つの空間に仕切られており、上側の空間が第2再生側内部通路(S24)を構成し、下側の空間が第1吸着側内部通路(S21)を構成している。
【0140】
排気ファン室(S26)は、排気口(54)に接続されるダクト(
図7の第2再生通路部(P22)に対応)を介して室外空間と連通している。また、排気ファン室(S26)には、排気ファン(62)が収容されている。排気ファン(62)の吹出口は、排気口(54)に接続されている。吸着側吸込室(S27)は、吸着側吸込口(51)に接続されるダクト(
図7の第1給気通路部(P11)に対応)を介して室外空間と連通している。
【0141】
第2再生側内部通路(S24)は、排気ファン室(S26)と連通している。第1吸着側内部通路(S21)は、吸着側吸込室(S27)と連通している。
【0142】
中央空間(S32)は、中央仕切板(48)によって前後に区画されており、中央仕切板(48)の後側の空間が第1熱交換室(S11)を構成し、中央仕切板(48)の前側の空間が第2熱交換室(S12)を構成している。第1熱交換室(S11)には、第1吸着熱交換器(101)が収容され、第2熱交換室(S12)には、第2吸着熱交換器(102)が収容されている。また、第2熱交換室(S12)には、冷媒回路(100)の膨張弁(104)(図示を省略)が収容されている。
【0143】
第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々は、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成され、互いに対向する2つの主面(幅広の側面)が空気を通過させる面となっている。そして、第1吸着熱交換器(101)は、その2つの主面が第1および第2仕切板(46,47)と平行になる姿勢で、第1熱交換室(S11)内に起立した状態で設置されている。これと同様に、第2吸着熱交換器(102)は、その2つの主面が第1および第2仕切板(46,47)と平行になる姿勢で、第2熱交換室(S12)内に起立した状態で設置されている。
【0144】
第1および第2吸着ブロック(301,302)の各々は、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成され、互いに対向する2つの主面(幅広の側面)が空気を通過させる面となっている。例えば、第1および第2吸着ブロック(301,302)の各々は、その一方の主面から他方の主面まで貫通する多数の孔を有するハニカム状の構造体である。また、第1吸着ブロック(301)は、その2つの主面が第1および第2仕切板(46,47)と平行になる姿勢で、第1熱交換室(S11)内に起立した状態で設置されている。これと同様に、第2吸着ブロック(302)は、その2つの主面が第1および第2仕切板(46,47)と平行になる姿勢で、第2熱交換室(S12)内に起立した状態で設置されている。また、この例では、第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において第1吸着熱交換器(101)と第1仕切板(46)との間に配置され、第2吸着ブロック(302)は、第2熱交換室(S12)において第2吸着熱交換器(102)と第1仕切板(46)との間に配置されている。なお、第1吸着ブロック(301)は、左右方向において第1吸着熱交換器(101)と間隔をおいて配置され、第2吸着ブロック(302)は、左右方向において第2吸着熱交換器(102)と間隔をおいて配置されている。
【0145】
第1仕切板(46)には、第1〜第4ダンパ(D1〜D4)が設けられ、第2仕切板(47)には、第5〜第8ダンパ(D5〜D8)が設けられている。第1〜第8ダンパ(D1〜D8)の各々は、コントローラ(20)による制御に応答して開状態と閉状態とを切換可能に構成されている。これらの第1〜第8ダンパ(D1〜D8)は、切換機構(200)を構成している。
【0146】
第1ダンパ(D1)は、第1仕切板(46)の上側部分(第2吸着側内部通路(S23)に面する部分)において中央仕切板(48)よりも正面側に取り付けられ、第2ダンパ(D2)は、第1仕切板(46)の上側部分において中央仕切板(48)よりも背面側に取り付けられる。第3ダンパ(D3)は、第1仕切板(46)の下側部分(第1再生側内部通路(S22)に面する部分)において中央仕切板(48)よりも正面側に取り付けられ、第4ダンパ(D4)は、第1仕切板(46)の下側部分において中央仕切板(48)よりも背面側に取り付けられる。
【0147】
第1ダンパ(D1)を開くと、第2吸着側内部通路(S23)と第2熱交換室(S12)が連通する。第2ダンパ(D2)を開くと、第2吸着側内部通路(S23)と第1熱交換室(S11)が連通する。第3ダンパ(D3)を開くと、第1再生側内部通路(S22)と第2熱交換室(S12)が連通する。第4ダンパ(D4)を開くと、第1再生側内部通路(S22)と第1熱交換室(S11)が連通する。
【0148】
第5ダンパ(D5)は、第2仕切板(47)の上側部分(第2再生側内部通路(S24)に面する部分)において中央仕切板(48)よりも正面側に取り付けられ、第6ダンパ(D6)は、第2仕切板(47)の上側部分において中央仕切板(48)よりも背面側に取り付けられる。第7ダンパ(D7)は、第2仕切板(47)の下側部分(第1吸着側内部通路(S21)に面する部分)において中央仕切板(48)よりも正面側に取り付けられ、第8ダンパ(D8)は、第2仕切板(47)の下側部分において中央仕切板(48)よりも背面側に取り付けられる。
【0149】
第5ダンパ(D5)を開くと、第2再生側内部通路(S24)と第2熱交換室(S12)が連通する。第6ダンパ(D6)を開くと、第2再生側内部通路(S24)と第1熱交換室(S11)が連通する。第7ダンパ(D7)を開くと、第1吸着側内部通路(S21)と第2熱交換室(S12)が連通する。第8ダンパ(D8)を開くと、第1吸着側内部通路(S21)と第1熱交換室(S11)が連通する。
【0150】
《第1除湿動作における空気の流れ》
次に、
図8を参照して、実施形態2の除湿装置(10)による第1除湿動作における空気の流れについて説明する。第1除湿動作では、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となり、第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となる。また、
図8のように、第2,第3,第5,第8ダンパ(D2,D3,D5,D8)が開状態となり、第1,第4,第6,第7ダンパ(D1,D4,D6,D7)が閉状態となる。これにより、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第1通路状態(
図7の実線で示した状態)に設定され、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)が再生通路(P2)に組み込まれる。
【0151】
−給気通路における空気の流れ−
吸着側吸込口(51)および吸着側吸込室(S27)を経由して第1吸着側内部通路(S21)に供給された空気(この例では、室外空気(OA))は、第8ダンパ(D8)を通過して第1熱交換室(S11)に供給される。
【0152】
第1熱交換室(S11)に供給された空気は、第1吸着熱交換器(101)と第1吸着ブロック(301)とを順に通過する際に、第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)の吸着剤に水分を奪われて除湿される。
【0153】
第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)を通過して除湿された空気は、第2ダンパ(D2)を通過して第2吸着側内部通路(S23)に流れ込み、給気ファン室(S25)および給気口(53)を通過して供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0154】
−再生通路における空気の流れ−
再生側吸込口(52)および再生側吸込室(S28)を経由して第1再生側内部通路(S22)に供給された空気(この例では、室内空気(RA))は、第3ダンパ(D3)を通過して第2熱交換室(S12)に供給される。
【0155】
第2熱交換室(S12)に供給された空気は、第2吸着ブロック(302)と第2吸着熱交換器(102)とを順に通過する際に、第2吸着ブロック(302)および第2吸着熱交換器(102)の吸着剤から水分を付与される。これにより、第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)の吸着剤が再生される。
【0156】
第2吸着ブロック(302)および第2吸着熱交換器(102)を通過した空気は、第5ダンパ(D5)を通過して第2再生側内部通路(S24)に流れ込み、排気ファン室(S26)および排気口(54)を通過して室外空間に排出される。
【0157】
《第2除湿動作における空気の流れ》
次に、
図9を参照して、実施形態2の除湿装置(10)による第2除湿動作における空気の流れについて説明する。第2除湿動作では、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となる。また、
図8のように、第1,第4,第6,第7ダンパ(D1,D4,D6,D7)が開状態となり、第2,第3,第5,第8ダンパ(D2,D3,D5,D8)が閉状態となる。これにより、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第2通路状態(
図7の破線で示した状態)に設定され、第1熱交換室(S11)が再生通路(P2)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)が給気通路(P1)に組み込まれる。
【0158】
−給気通路における空気の流れ−
吸着側吸込口(51)および吸着側吸込室(S27)を経由して第1吸着側内部通路(S21)に供給された空気(この例では、室外空気(OA))は、第7ダンパ(D7)を通過して第2熱交換室(S12)に供給される。
【0159】
第2熱交換室(S12)に供給された空気は、第2吸着熱交換器(102)と第2吸着ブロック(302)とを順に通過する際に、第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)の吸着剤に水分を奪われて除湿される。
【0160】
第2吸着熱交換器(102)および第2吸着ブロック(302)を通過して除湿された空気は、第1ダンパ(D1)を通過して第2吸着側内部通路(S23)に流れ込み、給気ファン室(S25)および給気口(53)を通過して供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0161】
−再生通路における空気の流れ−
再生側吸込口(52)および再生側吸込室(S28)を経由して第1再生側内部通路(S22)に供給された空気(この例では、室内空気(RA))は、第4ダンパ(D4)を通過して第1熱交換室(S11)に供給される。
【0162】
第1熱交換室(S11)に供給された空気は、第1吸着ブロック(301)と第1吸着熱交換器(101)とを順に通過する際に、第1吸着ブロック(301)および第1吸着熱交換器(101)の吸着剤から水分を付与される。これにより、第1吸着熱交換器(101)および第1吸着ブロック(301)の吸着剤が再生される。
【0163】
第1吸着ブロック(301)および第1吸着熱交換器(101)を通過した空気は、第6ダンパ(D6)を通過して第2再生側内部通路(S24)に流れ込み、排気ファン室(S26)および排気口(54)を通過して室外空間に排出される。
【0164】
〈実施形態2による効果〉
実施形態2の除湿装置(10)では、第1および第2熱交換室(S11,S12)に第1および第2吸着ブロック(301,302)を追加することにより、第1および第2熱交換室(S11,S12)における空気の除湿量を増加させることができる。
【0165】
また、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)に組み込まれている場合に第1吸着熱交換器(101)によって除湿された空気が通過する位置に第1吸着ブロック(301)を配置することにより、第1吸着熱交換器(101)によって除湿および冷却された空気を、第1吸着ブロック(301)に供給することができる。これにより、第1吸着ブロック(301)において吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。これと同様に、第2熱交換室(S12)が給気通路(P1)に組み込まれている場合に、第2吸着熱交換器(102)によって除湿および冷却された空気を、第2吸着ブロック(302)に供給することができるので、第2吸着ブロック(302)において吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。すなわち、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合に吸着熱交換器(101,102)の下流側となる位置に吸着ブロック(301,302)を配置することにより、吸着熱交換器(101,102)によって除湿および冷却された空気を吸着ブロック(301,302)に供給することができるので、吸着ブロック(301,302)の吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。
【0166】
以上のように、第1および第2熱交換室(S11,S12)における空気の除湿量を増加させることができ、さらに、吸着ブロック(301,302)において吸着剤への水分の吸着を促進させることができるので、除湿装置(10)の除湿能力を向上させることができる。
【0167】
また、除湿装置(10)の除湿能力を向上させるために冷媒回路(100)の圧縮機(103)の回転数を増加させなくてもよいので、除湿装置(10)の消費電力の増大を抑制することができる。
【0168】
また、実施形態2では、第1および第2熱交換室(S11,S12)の各々において、吸着ブロック(301,302)は、吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)の下流側に位置し、吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合には、吸着熱交換器(101,102)の上流側に位置する。したがって、第1および第2熱交換室(S1,S12)のうち凝縮器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)に、加熱器(21)を通過した空気を流通させることにより、その熱交換室(S11,S12)において吸着熱交換器(101,102)の上流側に位置している吸着ブロック(301,302)に、加熱器(21)によって加熱された空気を供給することができる。これにより、吸着ブロック(301,302)の吸着剤の再生を促進させることができる。
【0169】
なお、実施形態1では、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となっている場合、第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において第1吸着熱交換器(101)の下流側に位置しているので、第1吸着熱交換器(101)を通過した空気が第1吸着ブロック(301)に供給される。この場合、第1吸着熱交換器(101)を通過して第1吸着ブロック(301)に供給される空気は、第1吸着熱交換器(101)によって加熱されるだけでなく加湿もされることになる。第2吸着ブロック(302)についても同様である。
【0170】
一方、実施形態2では、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となっている場合、第1吸着ブロック(301)は、第1熱交換室(S11)において第1吸着熱交換器(101)の上流側に位置し、加熱器(21)によって加熱された空気が第1吸着ブロック(301)に供給される。この場合、加熱器(21)を通過して第1吸着ブロック(301)に供給される空気は、加熱器(21)によって加熱されるが加湿はされない。したがって、実施形態1よりも、第1吸着ブロック(301)の吸着剤の再生を促進させることができ、第1吸着ブロック(301)における吸着能力をより向上することができる。第2吸着ブロック(302)についても同様である。
【0171】
また、第1吸着熱交換器(101)と間隔をおいて第1吸着ブロック(301)を配置することにより、第1吸着ブロック(301)における温度分布の偏りや空気偏流を抑制することができる。第2吸着ブロック(302)についても同様である。このように、第1および第2吸着ブロック(301,302)において温度分布の偏りや空気偏流を抑制することができるので、第1および第2吸着ブロック(301,302)における吸着能力および再生能力の低下を抑制することができる。
【0172】
(実施形態2の変形例)
なお、
図10のように、除湿システム(1)は、
図7に示した除湿装置(10)とコントローラ(20)と加熱器(21)に加えて、前処理用除湿装置(30)を備えていてもよい。この例では、調湿空間(S0)は、室内空間(S1)と、室内空間(S1)に設けられたチャンバ(S2)とによって構成されている。また、除湿システム(1)には、前処理通路(P3)および後処理通路(P4)が設けられている。そして、この除湿システム(1)では、前処理用除湿装置(30)によって除湿された空気(この例では、室外空気(OA))が供給空気(SA0)として室内空間(S1)に供給され、除湿装置(10)によって除湿された空気(この例では、室内空気(RA))が供給空気(SA)としてチャンバ(S2)に供給される。コントローラ(20)は、各種センサの検出値に基づいて、除湿装置(10)および前処理用除湿装置(30)を制御する。
【0173】
〈前処理通路,後処理通路〉
前処理通路(P3)は、室外空間から室外空気(OA)を取り込んで供給空気(SA0)を室内空間(S1)に供給するように構成されている。後処理通路(P4)は、再生通路(P2)の流出端から空気を取り込んで排出空気(EA)を室外空間に排出するように構成されている。
【0174】
〈給気通路,再生通路〉
この例では、給気通路(P1)は、室内空間(S1)から室内空気(RA)を取り込んで供給空気(SA)をチャンバ(S2)に供給するように構成されている。具体的には、第1給気通路部(P11)の流入端は、室内空間(S1)に接続され、第2給気通路部(P12)の流出端は、チャンバ(S2)に接続されている。また、再生通路(P2)は、室内空間(S1)から室内空気(RA)を取り込んで処理済みの空気を後処理通路(P4)に排出するように構成されている。具体的には、第1再生通路部(P21)の流入端は、第1給気通路部(P11)の中間部に接続され、第2再生通路部(P22)の流出端は、第1後処理通路部(P41)の流入端に接続されている。
【0175】
〈前処理用除湿装置〉
前処理用除湿装置(30)は、除湿装置(10)と同様の構成を有している。なお、前処理用除湿装置(30)の構造は、
図8に示した除湿装置(10)の構造と同様である。
【0176】
〈前処理用除湿装置の冷媒回路〉
前処理用除湿装置(30)の冷媒回路(100)は、除湿装置(10)の冷媒回路(100)と同様に、コントローラ(20)による制御に応答して、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1冷凍サイクル動作と、第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿し第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第2冷凍サイクル動作とを交互に行うように構成されている。
【0177】
〈前処理用除湿装置の切換機構〉
前処理用除湿装置(30)の切換機構(200)は、コントローラ(20)による制御に応答して、前処理用除湿装置(30)の第1および第2熱交換室(S11,S12)と前処理通路(P3)および後処理通路(P4)との接続状態を、第3通路状態(
図10の実線で示された状態)と第4通路状態(
図10の破線で示された状態)とに設定可能に構成されている。
【0178】
《第3通路状態》
前処理用除湿装置(30)の第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第3通路状態になると、第1熱交換室(S11)は、第1および第2前処理通路部(P31,P32)の間に接続されて前処理通路(P3)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)は、第1および第2後処理通路部(P41,P42)の間に接続されて後処理通路(P4)に組み込まれる。
【0179】
《第4通路状態》
前処理用除湿装置(30)の第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第4通路状態になると、第1熱交換室(S11)は、第1および第2後処理通路部(P41,P42)の間に接続されて後処理通路(P4)に組み込まれ、第2熱交換室(S12)は、第1および第2前処理通路部(P31,P32)の間に接続されて前処理通路(P3)に組み込まれる。
【0180】
《熱交換室の接続切換動作》
また、前処理用除湿装置(30)の切換機構(200)は、四方切換弁(105)が第1接続状態である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第3通路状態に設定し、四方切換弁(105)が第2接続状態である場合に、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第3通路状態に設定する。すなわち、前処理用除湿装置(30)の切換機構(200)は、除湿装置(10)の切換機構(200)と同様に、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気(この例では、除湿装置(10)の第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち凝縮器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気)が流通するように、空気の流れを切り換える。
【0181】
《吸着熱交換器を通過する空気の流通方向》
なお、この例では、前処理用除湿装置(30)において、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第3通路状態である場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が前処理通路(P3)の一部として組み込まれている場合)に第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の流通方向は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態が第4通路状態である場合(すなわち、第1熱交換室(S11)が後処理通路(P4)の一部として組み込まれている場合)に第1吸着熱交換器(101)を通過する空気の流通方向の逆の方向となっている。第2吸着熱交換器(102)を通過する空気の流通方向についても同様である。すなわち、前処理用除湿装置(30)の切換機構(200)は、除湿装置(10)の切換機構(200)と同様に、第1および第2吸着熱交換器(101,102)の各々を通過する空気の流通方向が、その吸着熱交換器(101,102)が蒸発器となっている場合とその吸着熱交換器(101,102)が凝縮器となっている場合とで逆方向となるように、空気の流れを切り換える。
【0182】
〈前処理用除湿装置による除湿運転〉
次に、
図10を参照して、前処理用除湿装置(30)による除湿運転について説明する。実施形態1の変形例3の前処理用除湿装置(30)と同様に、実施形態2の変形例の前処理用除湿装置(30)は、第3および第4除湿動作を所定の時間間隔(例えば、10分間隔)で交互に繰り返す。
【0183】
《第3除湿動作》
第3除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第1接続状態(
図10の実線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となり第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となる第1冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第3通路状態(
図10の実線で示した状態)に設定する。
【0184】
《第4除湿動作》
第4除湿動作では、圧縮機(103)が駆動され、膨張弁(104)の開度が調節され、四方切換弁(105)が第2接続状態(
図10の破線で示した状態)となる。これにより、冷媒回路(100)は、第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となり第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となる第2冷凍サイクル動作を行う。また、切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)の接続状態を第4通路状態(
図10の破線で示した状態)に設定する。
【0185】
〈実施形態2の変形例による効果〉
以上のように、室内空間(S1)に供給するための空気(この例では、室外空気(OA))を前処理用除湿装置(30)によって除湿して供給空気(SA0)として室内空間(S1)に供給し、室内空間(S1)から供給された室内空気(RA)を除湿装置(10)によって除湿して供給空気(SA)としてチャンバ(S2)に供給することにより、チャンバ(S2)内の空気の露点温度を室内空間(S1)内の空気の露点温度よりも低くすることができる。このように、チャンバ(S2)に低露点の供給空気(SA)を集中的に供給することにより、室内空間(S1)全体を低露点にする場合よりも、除湿システム(1)の運転動作に要する消費電力を低減することができる。
【0186】
(実施形態3)
図11は、実施形態3による除湿システム(1)の構成例を示している。この除湿システム(1)は、
図6に示した前処理用除湿装置(30)に代えて、
図10に示した前処理用除湿装置(30)を備えている。その他の構成は、
図6と同様である。このように構成した場合も、実施形態1の変形例3(
図6)および実施形態2の変形例(
図10)と同様の効果を得ることができる。
【0187】
(実施形態4)
図12は、実施形態4による除湿システム(1)の構成例を示している。この除湿システム(1)は、
図1に示した除湿装置(10)およびコントローラ(20)に加えて、加熱器(21)と吸着ロータ(70)と補助冷却器(80)とを備えている。また、この除湿システム(1)には、ロータ給気通路(P71)と、ロータ再生通路(P72)と、パージ通路(P73)と、冷却空気通路(P80)とが設けられている。
【0188】
〈ロータ給気通路〉
ロータ給気通路(P71)には、調湿空間(S0)に供給するための空気(この例では、室内空間(S1)に供給するための空気)が流れる。この例では、ロータ給気通路(P71)は、給気通路(P1)の流出端から空気を取り込んで供給空気(SA)を室内空間(S1)に供給するよう構成されている。具体的には、ロータ給気通路(P71)は、その流入端が給気通路(P1)の流出端に接続され、その流出端が室内空間(S1)に接続されている。
【0189】
〈ロータ再生通路〉
ロータ再生通路(P72)には、吸着剤を再生するための空気(この例では、パージ通路(P73)から供給された空気)が流れる。この例では、ロータ再生通路(P72)は、パージ通路(P73)の流出端から空気を取り込んで再生空気(吸着剤を再生するための空気)を再生通路(P2)に供給するように構成されている。具体的には、ロータ再生通路(P72)は、その流入端がパージ通路(P73)の流出端に接続され、その流出端が再生通路(P2)の流入端に接続されている。
【0190】
〈パージ通路〉
パージ通路(P72)には、ロータ再生通路(P72)に供給するための空気(この例では、給気通路(P1)から供給された空気)が流れる。この例では、パージ通路(P73)は、給気通路(P1)の流出端から空気を取り込んで再生空気をロータ再生通路(P72)に供給するように構成されている。具体的には、パージ通路(P73)は、その流入端が給気通路(P1)の流出端に接続され、その流出端がロータ再生通路(P72)の流入端に接続されている。
【0191】
〈冷却空気通路〉
冷却空気通路(P80)には、冷却および除湿された空気が流れる。この例では、冷却空気通路(P80)は、室内空間(S1)から室内空気(RA)を取り込んでその空気を給気通路(P1)の中間部(詳しくは、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が通過する部分)に供給するように構成されている。具体的には、冷却空気通路(P80)は、その流入端が室内空間(S1)に接続され、その流出端が給気通路(P1)の中途部に接続されている。
【0192】
〈加熱器〉
加熱器(21)は、ロータ再生通路(P72)に設けられ、吸着剤を再生するための空気(この例では、パージ通路(P73)からロータ再生通路(P72)に供給された空気)を加熱するように構成されている。なお、加熱器(21)における加熱温度は、吸着熱交換器(101,102)の凝縮温度の上限値よりも低い温度(例えば、60℃)に設定されている。
【0193】
〈吸着ロータ〉
吸着ロータ(70)は、円板状の多孔性の基材の表面に吸着剤を担持させることによって構成され、ロータ給気通路(P71)とロータ再生通路(P72)とパージ通路(P73)とに跨って配置されている。そして、吸着ロータ(70)は、駆動機構(図示省略)によって駆動されて、ロータ給気通路(P71)とロータ再生通路(P72)とパージ通路(P73)の間の軸心を中心として回転するように構成されている。具体的には、吸着ロータ(70)は、ロータ給気通路(P71)に配置される吸着部(71)と、ロータ再生通路(P72)に配置される再生部(72)と、パージ通路(P73)に配置されるパージ部(73)とを有している。そして、吸着ロータ(70)に担持された吸着剤は、吸着ロータ(70)の回転に伴って吸着部(71)と再生部(72)とパージ部(73)とを順に移動する。すなわち、吸着ロータ(70)は、吸着部(71)に位置する部分が再生部(72)へ移動し、再生部(72)に位置する部分がパージ部(73)へ移動し、パージ部(73)に位置する部分が吸着部(71)へ移動するように回転する。
【0194】
《吸着部》
吸着部(71)は、ロータ給気通路(P71)を流れる空気(この例では、除湿装置(10)の第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設け得られた熱交換室(S11,S12)を通過した空気に冷却空気通路(P80)を通過した空気を混合した空気)を吸着剤と接触させてその空気を除湿するための部分である。吸着部(71)を通過して除湿された空気は、供給空気(SA)として室内空間(S1)に供給される。
【0195】
《再生部》
再生部(72)は、ロータ再生通路(P72)において加熱器(21)の下流側となる位置に配置され、ロータ再生通路(P72)を流れる空気(この例では、加熱器(21)を通過した空気)と吸着剤と接触させて吸着剤を再生するための部分である。再生部(72)を通過した空気は、再生通路(P2)に供給される。
【0196】
《パージ部》
パージ部(73)は、再生部(72)の排熱(具体的には、再生部(72)において吸着剤の再生に利用されなかった排熱)を利用して再生部(72)に供給される空気を予熱するための部分である。詳しく説明すると、パージ部(73)では、パージ通路(P73)を流れる空気が吸着剤と接触して除湿される。また、再生部(72)に位置する部分(すなわち、加熱器(21)を通過した空気によって加熱される部分)は、吸着ロータ(70)の回転に伴ってパージ部(73)へ移動する。したがって、パージ通路(P73)を流れる空気は、パージ部(73)から熱(すなわち、再生部(72)の排熱)を付与され予熱される。また、パージ部(73)に位置する部分は、パージ通路(P73)を通過する空気に熱を付与して冷却された後に、吸着ロータ(70)の回転に伴って吸着部(71)へ移動する。
【0197】
〈補助冷却器〉
補助冷却器(80)は、冷却空気通路(P80)に設けられ、冷却空気通路(P80)を流れる空気(この例では、室内空気(RA))を冷却する。例えば、補助冷却器(80)は、冷媒回路(図示を省略)の蒸発器として機能する熱交換器(具体的には、フィンアンドチューブ式の熱交換器)によって構成されていてもよい。冷却空気通路(P80)において冷却された空気は、給気通路(P1)を流れる空気(この例では、除湿装置(10)の第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気)と合流する。
【0198】
〈除湿装置〉
この例では、給気通路(P1)を通過した空気は、ロータ給気通路(P71)を通過して室内空間(S1)に供給される。すなわち、除湿装置(10)の第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気は、吸着ロータ(70)の吸着部(71)を通過して室内空間(S1)に供給される。
【0199】
また、この例では、ロータ再生通路(P72)を通過した空気は、再生通路(P2)を通過して室外空間に排出される。すなわち、除湿装置(10)の切換機構(200)は、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に、加熱器(21)と吸着ロータ(70)の再生部(72)とを順に通過した空気が流通するように、空気の流れを切り換える。
【0200】
〈実施形態4による効果〉
以上のように、調湿空間(S0)に供給するための空気(この例では、室内空間(S1)に供給するための空気)は、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)において除湿された後に、吸着ロータ(70)の吸着部(71)においてさらに除湿される。このように、吸着ロータ(70)を追加することにより、除湿システム(1)の除湿能力を向上させることができる。
【0201】
また、加熱器(21)によって加熱された空気は、吸着ロータ(70)の再生部(72)を通過した後に、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)を通過する。すなわち、吸着ロータ(70)の再生部(72)を通過した空気を、吸着熱交換器(102,101)および吸着ブロック(302,301)の吸着剤の再生に利用することができる。これにより、加熱器(21)によって加熱された空気を有効に利用することができる。
【0202】
また、冷却空気通路(P80)を流れる空気を給気通路(P1)の中途部に供給することにより、冷却空気通路(P80)において冷却された空気を用いて、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気の温度を低下させることができる。すなわち、吸着ブロック(101,102)に残った再生時の余熱や吸着ブロック(101,102)における吸着熱によって温度上昇した空気の温度を低下させることができる。
【0203】
また、給気通路(P1)から供給された空気の一部がパージ通路(P73)とロータ再生通路(P72)と再生通路(P2)とを順に通過するので、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気(すなわち、除湿装置(10)において除湿された空気)の一部を、吸着ロータ(70)の吸着剤および凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)の吸着剤の再生に利用することができる。これにより、吸着剤の再生を促進させることができる。
【0204】
(その他の実施形態)
以上の説明において、第1吸着ブロック(301)が第1吸着熱交換器(101)と間隔をおいて配置され第2吸着ブロック(302)が第2吸着熱交換器(102)と間隔をおいて配置されている場合を例に挙げて説明したが、第1吸着ブロック(301)は、第1吸着熱交換器(101)と接触するように配置されてもよく、第2吸着ブロック(302)は、第2吸着熱交換器(102)と接触するように配置されてもよい。このように構成することにより、第1吸着熱交換器(101)と第1吸着ブロック(301)との間における熱伝導を促進させることができるとともに第2吸着熱交換器(102)と第2吸着ブロック(302)との間における熱伝導を促進させることができる。例えば、第1熱交換室(S11)が給気通路(P1)に組み込まれている場合には、第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒の吸熱作用によって第1吸着ブロック(301)を冷却することができ、第1熱交換室(S11)が再生通路(P2)に組み込まれている場合には、第1吸着熱交換器(101)を流れる冷媒の放熱作用によって第1吸着ブロック(301)を加熱することができる。これにより、第1および第2吸着ブロック(301,302)において吸着剤への水分の吸着および吸着剤の再生を促進させることができる。
【0205】
また、複数の除湿装置(10)を互いに並列に接続することによって1つの除湿ユニットを構成してもよい。例えば、
図2(または、
図7)に示した除湿装置(10)を上下に複数段積み重ねて各除湿装置(10)の開口(具体的には、吸着側吸込口(51),再生側吸込口(52),給気口(53),排気口(54))を種別毎に共通に接続することによって1つの除湿ユニットを構成してもよい。
【0206】
なお、除湿装置(10)に第1および第2吸着ブロック(301,302)を追加せずに、第1および第2吸着熱交換器(101,102)のサイズを大きくすることによって除湿装置(10)の除湿能力を向上させることが考えられる。すなわち、吸着熱交換器のサイズを大きくすることにより、蒸発器として機能している吸着熱交換器において冷媒の吸熱作用を高くすることができる。これにより、吸着熱交換器内の空気の温度を低下させることができるとともに、吸着剤の吸着熱による空気の温度上昇を抑制することができる。また、吸着熱交換器内において空気の温度が低くなるほど、空気の飽和水蒸気量が低くなって空気中の水分が吸着剤に吸着しやすくなる傾向にある。このように、冷媒の吸熱作用により、空気中から吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。
【0207】
ところで、蒸発器として機能している吸着熱交換器の内部では、上流側から下流側へ向かうに連れて、空気の温度と空気中の水分量が少なくなっていく。すなわち、吸着熱交換器の内部では、上流側において除湿および冷却された空気が下流側に供給されることになる。そのため、吸着熱交換器内の下流側では、冷媒の吸熱作用によって空気の温度が低下して空気の飽和水蒸気量が低下したとしても、空気中の水分量が少なくなっているので、空気中から吸着剤への水分の吸着を促進させにくい。また、空気中の水分量が少なくなるほど、吸着剤における吸着熱の発生量が少なくなる。そのため、吸着熱交換器の下流側では、冷媒の吸熱作用によって吸着剤が過剰に冷却されることになる。
【0208】
以上のように、吸着熱交換器のサイズを大きくしたとしても、吸着熱交換器内の上流側から下流側へ向かうに連れて、冷媒の吸熱作用による効果(吸着剤への水分の吸着を促進させる効果,吸着熱を取り除く効果)が薄れていくので、除湿装置(10)の除湿能力を効果的に向上させることが困難である。
【0209】
また、空気中から吸着剤への水分の吸着を促進させる手段として、空気と吸着剤との接触面積を大きくすることが考えられる。すなわち、空気と吸着剤との接触面積が大きくなるほど、空気中の水分が吸着剤に吸着しやすくなる。特に、空気中の水分量が少なくなっている場合、冷媒の吸熱作用によって空気の温度を低下させる場合よりも、空気と吸着剤との接触面積を大きくする場合のほうが、空気中から吸着剤への水分の吸着を促進させることができる。また、吸着ブロックには冷媒配管などの部品を設けなくてもよいので、構造上、吸着ブロックは、吸着熱交換器よりも表面積(空気との接触面積)を大きくしやすい。したがって、蒸発器として機能している吸着熱交換器の下流側となる位置(吸着熱交換器によって除湿および冷却された空気が通過する位置)に吸着ブロックを配置することにより、吸着熱交換器の下流側において空気と吸着剤との接触面積を大きくすることができるので、吸着熱交換器のサイズを大きくする場合よりも、除湿装置(10)の除湿能力を効果的に向上させることができる。
【0210】
なお、一般的に、吸着剤の再生動作(吸着剤から空気中への水分の放出)は、吸着剤の吸着動作(空気中から吸着剤への水分の吸着)よりも、反応速度が速くなっている。したがって、第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過する空気の風量は、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)を通過する空気の風量よりも多くなっていてもよいし、同等となっていてもよい。
【0211】
また、実施形態2(
図7)および実施形態2の変形例(
図10)では、再生通路(P2)に加熱器(21)が設けられている場合を例に挙げたが、除湿システム(1)は、加熱器(21)を備えていなくてもよい。例えば、再生通路(P2)に供給される空気(すなわち、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に供給される空気)の温度が、給気通路(P1)に供給される空気(すなわち、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)に供給される空気)の温度よりも高く、これらの空気の温度差が所定の温度差(具体的には、吸着剤を再生させることができる温度差)よりも大きくなっている場合、加熱器(21)を省略してもよい。
【0212】
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、この発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
吸着剤が担持された第1および第2吸着熱交換器(101,102)を有し、該第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し該第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1動作と、該第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって吸着剤を再生させ該第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿する第2動作とを交互に行う冷媒回路(100)と、
上記第1および第2吸着熱交換器(101,102)がそれぞれ設けられる第1および第2熱交換室(S11,S12)と、
上記第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気が流通するように、空気の流れを切り換える切換機構(200)と、
吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成され、上記第1熱交換室(S11)に設けられ、上記第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となっている場合に該第1吸着熱交換器(101)の下流側となる位置に配置される第1吸着ブロック(301)と、
吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成され、上記第2熱交換室(S12)に設けられ、上記第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となっている場合に該第2吸着熱交換器(102)の下流側となる位置に配置される第2吸着ブロック(302)とを備えている
ことを特徴とする除湿装置。
第1の発明は、吸着剤が担持された第1および第2吸着熱交換器(101,102)を有し、該第1吸着熱交換器(101)が蒸発器となって空気を除湿し該第2吸着熱交換器(102)が凝縮器となって吸着剤を再生させる第1動作と、該第1吸着熱交換器(101)が凝縮器となって吸着剤を再生させ該第2吸着熱交換器(102)が蒸発器となって空気を除湿する第2動作とを交互に行う冷媒回路(100)と、上記第1および第2吸着熱交換器(101,102)がそれぞれ設けられる第1および第2熱交換室(S11,S12)と、上記第1および第2熱交換室(S11,S12)のうち、蒸発器となっている吸着熱交換器(101,102)が設けられた熱交換室(S11,S12)を通過した空気が調湿空間(S0)に供給され、凝縮器となっている吸着熱交換器(102,101)が設けられた熱交換室(S12,S11)に吸着剤を再生するための空気が流通するように、空気の流れを切り換える切換機構(200)と、吸着剤が担持されて空気を吸着剤と接触させるように構成され、上記第1熱交換室(S11)に