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特開2015-28680医療関連データの統合情報処理システム
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  • 特開2015028680-医療関連データの統合情報処理システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-28680(P2015-28680A)
(43)【公開日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】医療関連データの統合情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20120101AFI20150116BHJP
【FI】
   G06Q50/22
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-157295(P2013-157295)
(22)【出願日】2013年7月30日
(71)【出願人】
【識別番号】502351659
【氏名又は名称】株式会社医療情報技術研究所
(72)【発明者】
【氏名】姫野 信吉
(57)【要約】      (修正有)
【課題】採用されている医療情報開示システムが異なっても、また、属しているネットワークが異なっていても、様々な病院から提供される診療データを同一ブラウザ画面上に同時表示を可能とし、同一時系列ですべての診療データを表示可能することで、一覧性を向上させ、診療の流れを見えやすくして、診療情報の見落としからの医療事故の危険性を予防するような医療関連データの統合情報処理システムを提供する。
【解決手段】各々が独立した情報開示システムを備えた医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設の開示データを統合して一元的に閲覧を可能とした統合情報処理システムであって、前記各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、その統合したデータを表示するデータ表示手段を備えている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が独立した情報開示システムを備えた医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設の開示データを統合して一元的に閲覧を可能とした統合情報処理システムであって、
前記各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、
アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、
取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、
その統合したデータを表示するデータ表示手段を備えたことを特徴とする医療関連データの統合情報処理システム。
【請求項2】
前記データ取得手段は、ディスプレイ表示されるデータから目的とするコンテンツを抽出するコンテンツ抽出手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システム。
【請求項3】
前記データ統合手段は、各システムのデータ間の連携関係を定義する書式対応テーブルを備えており、その書式対応テーブルを参照することによりデータの統合がなされることを特徴とする請求項1〜2いずれか記載の医療関連データの統合情報処理システム。
【請求項4】
前記データ表示手段は、データ統合手段によって統合したデータを一元的な形式に統合加工して表示する機能を備えていることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の医療関連データの統合情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療関連データの統合情報処理システムに関し、詳しくは、病院、福祉施設、介護施設等の複数の施設の開示データの参照を統合して行い、スムーズな医療、介護、福祉連携活動を実現するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の医療情報開示システムでは、各病院をネットワークで接続して、サーバーに集約された患者に関する情報を共有して閲覧するシステムが採用されてきた。この種の医療情報開示システムでは、例えば図1に示すように、病院A〜Cなどの電子カルテ情報を共有サーバーに蓄積しておき、病院D、クリニックE、F等からは、インターネットブラウザを用いて、この共有サーバーにアクセスし、必要な診療情報を参照することを可能とする技術が採用されてきた。
図1に示す従来例1のシステムは、患者の治療履歴等を中央の共有サーバーに集約し、ネットワークによって病院A、B、Cを接続し、それぞれの病院からの要求に応じて必要な情報を共有または閲覧するシステムである。
グループ外のクリニックDがシステムを利用する場合は、ID,パスワード等の利用権限を取得した後に、ネットワークを介して中央サーバーにログインする。
このような技術に関連する公報として特許文献1の技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−117142号公報
【0004】
また、最近では、図2に示すように、中央のID管理サーバーにおいて、対象患者のID情報のみ管理し、診療情報自体は一切保持しない形態が普及を始めている。診療情報を提供する病院G〜Iは、ゲートウェイサーバーユニット(GSu)を介してシステムに接続し、対象患者の自院でのIDのみをID監理サーバーに登録する。患者pに関する診療情報を参照したいクリニックJは、ID管理サーバーに患者pのIDを問い合わせると、図3に示すように、診療情報の存在する病院G〜Iの各病院におけるIDであるIDGp、IDHp、IDIpと、それらへのアクセス許可権限を返す。
ネットワークの中心には患者IDを管理するID管理サーバーが設置されている。各医療施設からは、同意を承けて情報提供可能とされている患者のID情報のみが、ID管理サーバーに送信される。当該患者が複数の医療機関に受診していた場合は、各医療機関毎に異なる患者IDを、図3に示す患者ID関連テーブルで管理する。ある医療機関から、その医療機関独自の患者IDを指定してデータの要求がなされた場合には、図3の患者ID関連テーブルを用いて、その患者が受診している医療機関とその医療機関での患者IDのリストが得られる。
図3に示す患者ID管理テーブルは要求のあった患者IDと病院が管理する患者IDとの対応一覧である。
【0005】
図2において、グループ内のクリニックJが利用する場合は、ID,パスワード等の利用権限を取得した後に、ネットワークにログインし、ID管理サーバーに対して、開示の同意が得られている患者に関し、自院の患者IDを送信して開示請求を行う。すると、ID管理サーバーは、患者ID関連テーブルを用いて、その患者が受診している医療機関とその医療機関での患者IDのリストを返信し、その患者の診療データが存在する医療機関へのアクセスを許可する。クリニックJは、許可された医療機関のゲートウェイサーバーユニット(GSu)に対して、当該医療機関での当該患者の患者IDを送信して診療データの開示要求を送信する。ゲートウェイサーバーユニット(GSu)は、自院のデータベースを検索し、当該情報をクリニックHへ返信する。クリニックJでは、集まってきた複数の医療機関からの診療データを、図4に示すように一覧表示する。
図4は、特定の患者の縦軸に医療上の処置項目、横軸に日付を設定した診療情報一覧であり、アルファベットの記された欄には対応する医療機関から取得した診療情報が記録されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記図1にかかる従来例1のシステムは、データをすべて中央の共有サーバーに集約するために大規模サーバーを構築しなければならないという問題があり、そして、中央サーバーに不正に侵入された場合に、全てのデータが漏洩又は破壊されるという問題があった。
前記特開2002−117142号公報の技術は、中央の共通サーバーに開示する診療データを記録する必要があるため、巨大な記憶容量が必要となり、システムの構築、運用費用が多額に上ること、また、一旦不正アクセスされると、大量の診療情報が一気に流出する危険があることが問題となっている。
前記図2に係る従来例2のシステムの利点は従来例1に比べてサーバーが小型で済み、サーバーに侵入されてもデータの盗難、被害が少なくて済むという利点がある。しかし、図2ネットワークシステムでは以下の問題が存在する。
【0007】
(1)現在、ID-link、HumanBridgeと2製品が利用可能であるが、いずれもブラウザ表示の実装方式がまったく異るため、各々異なる製品を使っている病院から提供される診療データは、同一ブラウザ画面上に同時表示できない。このため、同一時系列ですべての診療データを表示できないため、一覧性を欠き、診療の流れが見えにくく、診療情報の見落としからの医療事故の危険性がある。
(2)同一製品を使っていたとしても、図5に示すように、地域ごとに提携ネットワークが分断されている。同一製品、同一ネットワーク内の医療機関同士の診療データであれば、同一時系列で同一画面での一覧が可能である。しかし、ネットワークが別であれば、やはり(1)と同様に、各々異なるネットワークに属している病院から提供される診療データは、同一ブラウザ画面上に同時表示できない。このため、同一時系列ですべての診療データを表示できないため、一覧性を欠き、診療の流れが見えにくく、診療情報の見落としからの医療事故の危険性があるという問題があった。
【0008】
つまり、これらの医療情報開示システムは図5に示すとおり、地域ごと、或は実装方式の異る製品毎にネットワークグループを構成していた。ネットワーク内での運用のみを想定していため、図5に示すとおり、患者がX系、Y系、Z系のネットワークを跨いで診察・治療を受けた場合に、自らが所属するネットワークに参加している病院での患者の履歴は把握することができても、ネットワークを超えた患者の履歴は把握が極めて困難になるという問題があった。
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、採用されている医療情報開示システムが異なっても、また、属しているネットワークが異なっていても、様々な病院から提供される診療データを同一ブラウザ画面上に同時表示を可能とし、同一時系列ですべての診療データを表示可能することで、一覧性を向上させ、診療の流れを見えやすくして、診療情報の見落としからの医療事故の危険性を予防するような医療関連データの統合情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための手段として本発明請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、各々が独立した情報開示システムを備えた医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設の開示データを統合して一元的に閲覧を可能とした統合情報処理システムであって、前記各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、その統合したデータを表示するデータ表示手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システムにおいて、前記データ取得手段は、ディスプレイ表示されるデータから目的とするコンテンツを抽出するコンテンツ抽出手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、請求項1〜2いずれか記載の医療関連データの統合情報処理システムにおいて、前記データ統合手段は、各システムのデータ間の連携関係を定義する書式対応テーブルを備えており、その書式対応テーブルを参照することによりデータの統合がなされることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、請求項1〜3いずれか記載の医療関連データの統合情報処理システムにおいて、前記データ表示手段は、データ統合手段によって統合したデータを一元的な形式に統合加工して表示する機能を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、その統合したデータをまとめて一元的に表示するデータ表示手段を備えているので、診療情報を提供する病院のブラウザ実装方式が異なっていても、また異なるネットワークグループであっても、そのデータを統合して患者情報を閲覧することができる。
【0014】
請求項2記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、ブラウザを介してディスプレイ表示されるデータから目的とするコンテンツを抽出するコンテンツ抽出手段を備えているので、診療情報を提供する病院のブラウザ実装方式が異っていても、また異なるネットワークグループに属していても、ディスプレイ表示されるソースコードからデータを取り出すことで、そのデータを統合して患者情報を一元的に時系列閲覧することができる。
【0015】
請求項3記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、データ統合手段は、各システムのデータ間の連携関係を定義する書式対応テーブルを備えており、その書式対応テーブルを参照することによりデータの統合がなされる構成としたので、各システムの開示データを構成する文書のカテゴリー名や書式が異なっていても、適切に分類されて統合される。
【0016】
請求項4記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、データ表示手段は、コンテンツ抽出加工手段によって抽出されたデータを一元的な形式に統合加工して表示する機能を備えているので、一覧としてまとまった様式で閲覧可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来例1に係る医療情報開示ネットワークシステムの説明図である。
図2】従来例2に係る医療情報開示ネットワークシステムの説明図である。
図3】患者ID対応テーブルの説明図である。
図4】患者の医療関係の履歴を示す診療情報一覧の説明図である。
図5】ネットワークグループの概念の説明図である。
図6】書式対応テーブルの説明図である。
図7】医療関連データの統合情報処理システムの概略説明図である。
図8】統合表示の詳細を表す図である。
図9】コンテンツ抽出手段によって抽出されるHTMLの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0018】
本発明の医療関連データの統合情報処理システムは、前記従来例1,2に係るシステムの問題点を解決するためになされたものであって、本発明のシステムは、医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、その統合したデータをまとめて一元的に表示するデータ表示手段を備えている。
【0019】
アクセス手段は、ネットワーク上でコンピュータ間の電子情報の通信を行うハードウェア及びソフトウェアから構成されるシステムの構成単位であり、複数の医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設の開示データへアクセスする機能を備えている。通常は公共インターネット回線と、インターネットイクスプローラーやクロム、オペラ、ファイヤーフォックスなどの汎用ブラウザを用いる。情報漏洩を予防するために、VPNと呼ばれる暗号化された専用回線やSSLと呼ばれる暗号化通信を用いることが望ましい。
このアクセス手段により、ネットワークへのログイン、開示請求の送信、診療データの受信などを行う。
【0020】
データ取得手段は、受信したデータから目的とする診療データを取得する手段である。ウェブサービスと呼ばれる手法で、XML形式でタグ付けされた診療データが送信されてきた場合は、受診データは、そのまま目的とする診療データである。しかし、ブラウザへの表示プログラムとして送信されてきた場合は、目的とする診療データは、HTMLなどの画面表示プログラムの中に埋め込まれているので、ブラウザでの画面表示はできるが、そのままでは診療データを取得しての二次加工はできない。この場合には、次に述べるコンテンツ抽出手段が必要となる。
【0021】
コンテンツ抽出手段は、ディスプレイに表示させるべくブラウザに送信されてきた表示用プログラムから目的とするコンテンツを抽出する。ネットワークから送信された情報は、ブラウザ(閲覧ソフト)への表示形式情報とコンテンツ情報からなる。ブラウザに表示させるためのソースコードを、表示形式情報とコンテンツ情報に分離すれば、ディスプレイに表示させようとしている診療データを抽出できる。
図9はブラウザがwebページ等の画面をディスプレイに表示させるHTMLのソースコードの一例である。このソースコードには、画面の表示形式を指定するタグで囲まれたプログラムとともに、同様にタグに囲まれたコンテンツの文字コードが配列されており、この文字コードが目的とする診療データを表している。このように、コンテンツ抽出手段は、ブラウザが受信した表示プログラムから、タグ情報を用いて、目的とする診療データのコンテンツを抽出する機能を有している。
【0022】
データ統合手段は、データ取得手段によって取得したデータを一覧表として分かりやすく統合するプログラムである。
このデータ統合手段は、各診療情報開示システムネットワークによって異なる文書のカテゴリーや書式に関して、図6に示すような、統合形式との形式対応関係を定義する書式対応テーブルを備えており、その書式対応テーブルを参照してデータを統合する機能を備えている。
図6は左欄に各診療情報開示システムネットワークの文書カテゴリーとその細分類であるフィールドが配置され、右欄にはそれに該当(対応)する統合文書の統合文書カテゴリーとその細分類が配置されている。
【0023】
図6では、あるネットワークの各カテゴリーの文書を構成する各々のフィールドが、統合形式では、どの文書カテゴリーの、どのフィールドに対応するかが明確なので、データ取得手段で得られたネットワーク毎に異なる文書カテゴリー、フィールド構成であっても、書式対応テーブルを参照することにより、容易に統合形式での文書カテゴリー、フィールド構成に編成し統合することが出来る。
ここで、統合形式は種々のネットワーク共通の形式を用いることが多いが、必要に応じて、自院の電子カルテの書式を統合形式に指定して書式対応テーブルを準備しておけば、得られた他医療機関の診療データを自院のカルテシステムに変換し、日常使い慣れた自院の電子カルテ形式で表示できる。さらに、必要があれば、得られた診療データを、自院電子カルテデータに統合記録してもよい。
【0024】
データ表示手段は、前記データ統合手段によって統合形式で再編成された診療データを、図8に示すように、文書カテゴリーごとに時系列表示する。図8では各文書はアイコン表示されており、其れをクリックすることにより、そのアイコンの内容が表示されるようになっているが、ある文書カテゴリーの内容を、全て時系列で一気に表示してもよい。また、一覧表形式でなく、自院の見慣れた表示形式を用いてもよい。
【0025】
前記アクセス手段、データ取得手段では、ユーザーID、パスワードの入力による開示ネットワークへログイン、診療データを取得したい患者の選択、取得したい文書カテゴリーの選択、表示形式の選択などを、順次手動で行う方法としているが、その都度これらの操作を繰り返すのは面倒である場合、これらの操作手順の全部ないし一部を自動化する手段を備えると、より円滑な診療データの閲覧に有用である。
【0026】
次に本発明の作用を説明する。
診療情報の開示ネットワークを実現するシステムプログラムとしては例えば、NEC社製:商品名「ID-link」、富士通株式会社製:商品名「HumanBridge」が挙げられる。
両者は、開示システムの実装が異っており、互いの互換性は無い。また、地域によってIDの管理主体が異なっており、別の地域のネットワークへのログイン、参照自体は可能であるが、診療データの時系列表示は、あくまで当該ネットワーク内の診療データに限定される。即ち、図5のX、Y、Zのグループに示すように、地域によって、採用している開示システムプログラムによって、別々の異なる閉鎖的ネットワークを構成している。
【0027】
Xネットワークグループには病院A〜病院C、Yネットワークグループには病院E〜病院G、Zネットワークグループには病院J〜病院Lが属している。
ある患者がこれらのネットワークに属する病院を跨いで受診した場合に、X系ネットワークで受診した記録としては、図7中段に示すとおり、A病院における記録、B病院における記録、C病院における記録(ここでは記録されていない)が残される。
同様に、Y系、Z系ネットワークのグループで受診した記録は、それぞれ図7中段に示すとおり、それずれの欄に病院における記録が残される。
なお、図7中段に示す個別表示は縦軸に医療上の項目、横軸に日付(時間)を設定した患者に関する医療関係の履歴を示すディスプレイ表示画面である。
それぞれのX、Y、Z系ネットワークグループから得られる文書にはA、B、C等のアルファベットで示す欄の記録がなされているが、その他の欄は空白となっている。
これは、前記図7中段に示す個別表示はネットワーク内の病院で受けた診察等の記録は残されるが、ネットワークを超えて受けて記録は残されないため、患者の一連の医療履歴を把握できないことを示している。
【0028】
そこで、本発明は、図7中段に示す個別表示から、コンテンツ抽出手段によって、ディスプレイ表示される表示プログラムから診療データを抽出する、或いはウェブサービスによって直接得られた診療データを、統合して表示するシステムを開発したのである。
従来のネットワークは独自のプログラムによって閉鎖的な運用がされているため、それぞれ図7中段の個別文書の形式で開示データを閲覧することはできても、図7下段の統合表示を作成することは不可能であった。
図8図7下段の統合表示の詳細を示すが、図7中段の3つの個別表示のアルファベットの記録が集約され、X、Y,Zの各ネットワークの情報が統合されていることを示している。
【0029】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例ではブラウザを介してディスプレイ表示されるソースコードから抽出する構成としたが、ブラウザという汎用のプログラムを使用しない場合であっても、ディスプレイ表示される画面データからコンテンツを抽出する構成であれば本発明に含まれる。また、HTMLだけでなく、Actionscriptなどのほかの表示記述言語であってもよい。
また、ウェブサービス等の形式でブラウザ表示を介さず直接データのみを送受信する構成としても良い。
また、実装形式が同一で地域ネットワークが異なるのみの場合は、書式は同一であるので、書式対応テーブルは必ずしも必要ではない。
そして、前記実施例ではHTMLのソースコードについて説明したが、例えば、フラッシュを使用したネットワークシステムや、他のプログラムに基づくネットワークシステムであっても、ディスプレイ表示データのソースコードを抽出する構成であれば本発明に含まれる。
さらに、本発明の統合情報処理システムにおいては、操作端末上にリクエスト選択メニューを設定し、そのメニューを選択実行することにより自動的にネットワーク上の各コンピュータの開示システムに対して一括ログインする構成とすることも可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2014年3月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が独立した情報開示システムを備えた医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設の開示データを統合して一元的に閲覧を可能とした統合情報処理システムであって、
前記各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、
アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、
取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、
その統合したデータを表示するデータ表示手段を備え、
前記データ取得手段は、ディスプレイ表示される画面データから目的とするコンテンツを抽出するコンテンツ抽出手段を備えていることを特徴とする医療関連データの統合情報処理システム。
【請求項2】
前記データ統合手段は、各システムのデータ間の連携関係を定義する書式対応テーブルを備えており、その書式対応テーブルを参照することによりデータの統合がなされることを特徴とする請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システム。
【請求項3】
前記データ表示手段は、データ統合手段によって統合したデータを一元的な形式に統合加工して表示する機能を備えていることを特徴とする請求項1〜2いずれか記載の医療関連データの統合情報処理システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療関連データの統合情報処理システムに関し、詳しくは、病院、福祉施設、介護施設等の複数の施設の開示データの参照を統合して行い、スムーズな医療、介護、福祉連携活動を実現するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の医療情報開示システムでは、各病院をネットワークで接続して、サーバーに集約された患者に関する情報を共有して閲覧するシステムが採用されてきた。この種の医療情報開示システムでは、例えば図1に示すように、病院A〜Cなどの電子カルテ情報を共有サーバーに蓄積しておき、病院D、クリニックE、F等からは、インターネットブラウザを用いて、この共有サーバーにアクセスし、必要な診療情報を参照することを可能とする技術が採用されてきた。
図1に示す従来例1のシステムは、患者の治療履歴等を中央の共有サーバーに集約し、ネットワークによって病院A、B、Cを接続し、それぞれの病院からの要求に応じて必要な情報を共有または閲覧するシステムである。
グループ外のクリニックDがシステムを利用する場合は、ID,パスワード等の利用権限を取得した後に、ネットワークを介して中央サーバーにログインする。
このような技術に関連する公報として特許文献1の技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−117142号公報
【0004】
また、最近では、図2に示すように、中央のID管理サーバーにおいて、対象患者のID情報のみ管理し、診療情報自体は一切保持しない形態が普及を始めている。診療情報を提供する病院G〜Iは、ゲートウェイサーバーユニット(GSu)を介してシステムに接続し、対象患者の自院でのIDのみをID監理サーバーに登録する。患者pに関する診療情報を参照したいクリニックJは、ID管理サーバーに患者pのIDを問い合わせると、図3に示すように、診療情報の存在する病院G〜Iの各病院におけるIDであるIDGp、IDHp、IDIpと、それらへのアクセス許可権限を返す。
ネットワークの中心には患者IDを管理するID管理サーバーが設置されている。各医療施設からは、同意を承けて情報提供可能とされている患者のID情報のみが、ID管理サーバーに送信される。当該患者が複数の医療機関に受診していた場合は、各医療機関毎に異なる患者IDを、図3に示す患者ID関連テーブルで管理する。ある医療機関から、その医療機関独自の患者IDを指定してデータの要求がなされた場合には、図3の患者ID関連テーブルを用いて、その患者が受診している医療機関とその医療機関での患者IDのリストが得られる。
図3に示す患者ID管理テーブルは要求のあった患者IDと病院が管理する患者IDとの対応一覧である。
【0005】
図2において、グループ内のクリニックJが利用する場合は、ID,パスワード等の利用権限を取得した後に、ネットワークにログインし、ID管理サーバーに対して、開示の同意が得られている患者に関し、自院の患者IDを送信して開示請求を行う。すると、ID管理サーバーは、患者ID関連テーブルを用いて、その患者が受診している医療機関とその医療機関での患者IDのリストを返信し、その患者の診療データが存在する医療機関へのアクセスを許可する。クリニックJは、許可された医療機関のゲートウェイサーバーユニット(GSu)に対して、当該医療機関での当該患者の患者IDを送信して診療データの開示要求を送信する。ゲートウェイサーバーユニット(GSu)は、自院のデータベースを検索し、当該情報をクリニックHへ返信する。クリニックJでは、集まってきた複数の医療機関からの診療データを、図4に示すように一覧表示する。
図4は、特定の患者の縦軸に医療上の処置項目、横軸に日付を設定した診療情報一覧であり、アルファベットの記された欄には対応する医療機関から取得した診療情報が記録されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記図1にかかる従来例1のシステムは、データをすべて中央の共有サーバーに集約するために大規模サーバーを構築しなければならないという問題があり、そして、中央サーバーに不正に侵入された場合に、全てのデータが漏洩又は破壊されるという問題があった。
前記特開2002−117142号公報の技術は、中央の共通サーバーに開示する診療データを記録する必要があるため、巨大な記憶容量が必要となり、システムの構築、運用費用が多額に上ること、また、一旦不正アクセスされると、大量の診療情報が一気に流出する危険があることが問題となっている。
前記図2に係る従来例2のシステムの利点は従来例1に比べてサーバーが小型で済み、サーバーに侵入されてもデータの盗難、被害が少なくて済むという利点がある。しかし、図2ネットワークシステムでは以下の問題が存在する。
【0007】
(1)現在、ID-link、HumanBridgeと2製品が利用可能であるが、いずれもブラウザ表示の実装方式がまったく異るため、各々異なる製品を使っている病院から提供される診療データは、同一ブラウザ画面上に同時表示できない。このため、同一時系列ですべての診療データを表示できないため、一覧性を欠き、診療の流れが見えにくく、診療情報の見落としからの医療事故の危険性がある。
(2)同一製品を使っていたとしても、図5に示すように、地域ごとに提携ネットワークが分断されている。同一製品、同一ネットワーク内の医療機関同士の診療データであれば、同一時系列で同一画面での一覧が可能である。しかし、ネットワークが別であれば、やはり(1)と同様に、各々異なるネットワークに属している病院から提供される診療データは、同一ブラウザ画面上に同時表示できない。このため、同一時系列ですべての診療データを表示できないため、一覧性を欠き、診療の流れが見えにくく、診療情報の見落としからの医療事故の危険性があるという問題があった。
【0008】
つまり、これらの医療情報開示システムは図5に示すとおり、地域ごと、或は実装方式の異る製品毎にネットワークグループを構成していた。ネットワーク内での運用のみを想定していため、図5に示すとおり、患者がX系、Y系、Z系のネットワークを跨いで診察・治療を受けた場合に、自らが所属するネットワークに参加している病院での患者の履歴は把握することができても、ネットワークを超えた患者の履歴は把握が極めて困難になるという問題があった。
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、採用されている医療情報開示システムが異なっても、また、属しているネットワークが異なっていても、様々な病院から提供される診療データを同一ブラウザ画面上に同時表示を可能とし、同一時系列ですべての診療データを表示可能することで、一覧性を向上させ、診療の流れを見えやすくして、診療情報の見落としからの医療事故の危険性を予防するような医療関連データの統合情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための手段として本発明請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、各々が独立した情報開示システムを備えた医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設の開示データを統合して一元的に閲覧を可能とした統合情報処理システムであって、前記各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、その統合したデータを表示するデータ表示手段を備え、前記データ取得手段は、ディスプレイ表示される画面データから目的とするコンテンツを抽出するコンテンツ抽出手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システムにおいて、前記データ統合手段は、各システムのデータ間の連携関係を定義する書式対応テーブルを備えており、その書式対応テーブルを参照することによりデータの統合がなされることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、請求項1〜2いずれか記載の医療関連データの統合情報処理システムにおいて、前記データ表示手段は、データ統合手段によって統合したデータを一元的な形式に統合加工して表示する機能を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、その統合したデータをまとめて一元的に表示するデータ表示手段を備えているので、診療情報を提供する病院のブラウザ実装方式が異なっていても、また異なるネットワークグループであっても、そのデータを統合して患者情報を閲覧することができる。
【0013】
請求項1記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、ブラウザを介してディスプレイ表示されるデータから目的とするコンテンツを抽出するコンテンツ抽出手段を備えているので、診療情報を提供する病院のブラウザ実装方式が異っていても、また異なるネットワークグループに属していても、ディスプレイ表示されるソースコードからデータを取り出すことで、そのデータを統合して患者情報を一元的に時系列閲覧することができる。
【0014】
請求項2記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、データ統合手段は、各システムのデータ間の連携関係を定義する書式対応テーブルを備えており、その書式対応テーブルを参照することによりデータの統合がなされる構成としたので、各システムの開示データを構成する文書のカテゴリー名や書式が異なっていても、適切に分類されて統合される。
【0015】
請求項3記載の医療関連データの統合情報処理システムでは、データ表示手段は、コンテンツ抽出加工手段によって抽出されたデータを一元的な形式に統合加工して表示する機能を備えているので、一覧としてまとまった様式で閲覧可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来例1に係る医療情報開示ネットワークシステムの説明図である。
図2】従来例2に係る医療情報開示ネットワークシステムの説明図である。
図3】患者ID対応テーブルの説明図である。
図4】患者の医療関係の履歴を示す診療情報一覧の説明図である。
図5】ネットワークグループの概念の説明図である。
図6】書式対応テーブルの説明図である。
図7】医療関連データの統合情報処理システムの概略説明図である。
図8】統合表示の詳細を表す図である。
図9】コンテンツ抽出手段によって抽出されるHTMLの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
本発明の医療関連データの統合情報処理システムは、前記従来例1,2に係るシステムの問題点を解決するためになされたものであって、本発明のシステムは、医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設へアクセス可能とされたアクセス手段と、アクセス先のシステムから目的とする開示データを取得するデータ取得手段と、取得した各医療関連施設の開示データを統合するデータ統合手段と、その統合したデータをまとめて一元的に表示するデータ表示手段を備えている。
【0018】
アクセス手段は、ネットワーク上でコンピュータ間の電子情報の通信を行うハードウェア及びソフトウェアから構成されるシステムの構成単位であり、複数の医療施設、福祉施設、介護施設等の各医療関連施設の開示データへアクセスする機能を備えている。通常は公共インターネット回線と、インターネットイクスプローラーやクロム、オペラ、ファイヤーフォックスなどの汎用ブラウザを用いる。情報漏洩を予防するために、VPNと呼ばれる暗号化された専用回線やSSLと呼ばれる暗号化通信を用いることが望ましい。
このアクセス手段により、ネットワークへのログイン、開示請求の送信、診療データの受信などを行う。
【0019】
データ取得手段は、受信したデータから目的とする診療データを取得する手段である。ウェブサービスと呼ばれる手法で、XML形式でタグ付けされた診療データが送信されてきた場合は、受診データは、そのまま目的とする診療データである。しかし、ブラウザへの表示プログラムとして送信されてきた場合は、目的とする診療データは、HTMLなどの画面表示プログラムの中に埋め込まれているので、ブラウザでの画面表示はできるが、そのままでは診療データを取得しての二次加工はできない。この場合には、次に述べるコンテンツ抽出手段が必要となる。
【0020】
コンテンツ抽出手段は、ディスプレイに表示させるべくブラウザに送信されてきた表示用プログラムから目的とするコンテンツを抽出する。ネットワークから送信された情報は、ブラウザ(閲覧ソフト)への表示形式情報とコンテンツ情報からなる。ブラウザに表示させるためのソースコードを、表示形式情報とコンテンツ情報に分離すれば、ディスプレイに表示させようとしている診療データを抽出できる。
図9はブラウザがwebページ等の画面をディスプレイに表示させるHTMLのソースコードの一例である。このソースコードには、画面の表示形式を指定するタグで囲まれたプログラムとともに、同様にタグに囲まれたコンテンツの文字コードが配列されており、この文字コードが目的とする診療データを表している。このように、コンテンツ抽出手段は、ブラウザが受信した表示プログラムから、タグ情報を用いて、目的とする診療データのコンテンツを抽出する機能を有している。
【0021】
データ統合手段は、データ取得手段によって取得したデータを一覧表として分かりやすく統合するプログラムである。
このデータ統合手段は、各診療情報開示システムネットワークによって異なる文書のカテゴリーや書式に関して、図6に示すような、統合形式との形式対応関係を定義する書式対応テーブルを備えており、その書式対応テーブルを参照してデータを統合する機能を備えている。
図6は左欄に各診療情報開示システムネットワークの文書カテゴリーとその細分類であるフィールドが配置され、右欄にはそれに該当(対応)する統合文書の統合文書カテゴリーとその細分類が配置されている。
【0022】
図6では、あるネットワークの各カテゴリーの文書を構成する各々のフィールドが、統合形式では、どの文書カテゴリーの、どのフィールドに対応するかが明確なので、データ取得手段で得られたネットワーク毎に異なる文書カテゴリー、フィールド構成であっても、書式対応テーブルを参照することにより、容易に統合形式での文書カテゴリー、フィールド構成に編成し統合することが出来る。
ここで、統合形式は種々のネットワーク共通の形式を用いることが多いが、必要に応じて、自院の電子カルテの書式を統合形式に指定して書式対応テーブルを準備しておけば、得られた他医療機関の診療データを自院のカルテシステムに変換し、日常使い慣れた自院の電子カルテ形式で表示できる。さらに、必要があれば、得られた診療データを、自院電子カルテデータに統合記録してもよい。
【0023】
データ表示手段は、前記データ統合手段によって統合形式で再編成された診療データを、図8に示すように、文書カテゴリーごとに時系列表示する。図8では各文書はアイコン表示されており、其れをクリックすることにより、そのアイコンの内容が表示されるようになっているが、ある文書カテゴリーの内容を、全て時系列で一気に表示してもよい。また、一覧表形式でなく、自院の見慣れた表示形式を用いてもよい。
【0024】
前記アクセス手段、データ取得手段では、ユーザーID、パスワードの入力による開示ネットワークへログイン、診療データを取得したい患者の選択、取得したい文書カテゴリーの選択、表示形式の選択などを、順次手動で行う方法としているが、その都度これらの操作を繰り返すのは面倒である場合、これらの操作手順の全部ないし一部を自動化する手段を備えると、より円滑な診療データの閲覧に有用である。
【0025】
次に本発明の作用を説明する。
診療情報の開示ネットワークを実現するシステムプログラムとしては例えば、NEC社製:商品名「ID-link」、富士通株式会社製:商品名「HumanBridge」が挙げられる。
両者は、開示システムの実装が異っており、互いの互換性は無い。また、地域によってIDの管理主体が異なっており、別の地域のネットワークへのログイン、参照自体は可能であるが、診療データの時系列表示は、あくまで当該ネットワーク内の診療データに限定される。即ち、図5のX、Y、Zのグループに示すように、地域によって、採用している開示システムプログラムによって、別々の異なる閉鎖的ネットワークを構成している。
【0026】
Xネットワークグループには病院A〜病院C、Yネットワークグループには病院E〜病院G、Zネットワークグループには病院J〜病院Lが属している。
ある患者がこれらのネットワークに属する病院を跨いで受診した場合に、X系ネットワークで受診した記録としては、図7中段に示すとおり、A病院における記録、B病院における記録、C病院における記録(ここでは記録されていない)が残される。
同様に、Y系、Z系ネットワークのグループで受診した記録は、それぞれ図7中段に示すとおり、それずれの欄に病院における記録が残される。
なお、図7中段に示す個別表示は縦軸に医療上の項目、横軸に日付(時間)を設定した患者に関する医療関係の履歴を示すディスプレイ表示画面である。
それぞれのX、Y、Z系ネットワークグループから得られる文書にはA、B、C等のアルファベットで示す欄の記録がなされているが、その他の欄は空白となっている。
これは、前記図7中段に示す個別表示はネットワーク内の病院で受けた診察等の記録は残されるが、ネットワークを超えて受けて記録は残されないため、患者の一連の医療履歴を把握できないことを示している。
【0027】
そこで、本発明は、図7中段に示す個別表示から、コンテンツ抽出手段によって、ディスプレイ表示される表示プログラムから診療データを抽出する、或いはウェブサービスによって直接得られた診療データを、統合して表示するシステムを開発したのである。
従来のネットワークは独自のプログラムによって閉鎖的な運用がされているため、それぞれ図7中段の個別文書の形式で開示データを閲覧することはできても、図7下段の統合表示を作成することは不可能であった。
図8図7下段の統合表示の詳細を示すが、図7中段の3つの個別表示のアルファベットの記録が集約され、X、Y,Zの各ネットワークの情報が統合されていることを示している。
【0028】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例ではブラウザを介してディスプレイ表示されるソースコードから抽出する構成としたが、ブラウザという汎用のプログラムを使用しない場合であっても、ディスプレイ表示される画面データからコンテンツを抽出する構成であれば本発明に含まれる。また、HTMLだけでなく、Actionscriptなどのほかの表示記述言語であってもよい。
また、ウェブサービス等の形式でブラウザ表示を介さず直接データのみを送受信する構成としても良い。
また、実装形式が同一で地域ネットワークが異なるのみの場合は、書式は同一であるので、書式対応テーブルは必ずしも必要ではない。
そして、前記実施例ではHTMLのソースコードについて説明したが、例えば、フラッシュを使用したネットワークシステムや、他のプログラムに基づくネットワークシステムであっても、ディスプレイ表示データのソースコードを抽出する構成であれば本発明に含まれる。
さらに、本発明の統合情報処理システムにおいては、操作端末上にリクエスト選択メニューを設定し、そのメニューを選択実行することにより自動的にネットワーク上の各コンピュータの開示システムに対して一括ログインする構成とすることも可能である。