(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-28712(P2015-28712A)
(43)【公開日】2015年2月12日
(54)【発明の名称】タッチ検出装置、タッチパネルおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/044 20060101AFI20150116BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20150116BHJP
【FI】
G06F3/044 F
G06F3/041 330D
G06F3/041 380A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-157949(P2013-157949)
(22)【出願日】2013年7月30日
(71)【出願人】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣常 聡
(72)【発明者】
【氏名】山村 暁宏
【テーマコード(参考)】
5B068
5B087
【Fターム(参考)】
5B068AA22
5B068BB10
5B068BC02
5B068BD02
5B068BE06
5B087AA02
5B087BC03
5B087BC06
5B087CC02
5B087CC24
5B087CC39
(57)【要約】
【課題】ノイズの影響が低減され、より高精度なタッチペン/指判定が実行されるタッチ検出装置を提供する。
【解決手段】タッチ検出装置20は、タッチ検出面に沿って配置される複数の共振回路33と、複数の共振回路33のそれぞれに対し、共振を発生させる入力信号を入力する信号入力線31と、複数の共振回路のそれぞれから出力される複数の出力信号の周波数を検出する検波部50と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ検出面に沿って配置される複数の共振回路と、
前記複数の共振回路のそれぞれに対し、共振を発生させる入力信号を入力する信号入力部と、
前記複数の共振回路のそれぞれから出力される複数の出力信号の周波数を検出する検波部と、
を有することを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のタッチ検出装置において、
前記検波部において検出される前記複数の出力信号の周波数と、所定の閾値と、の比較を行う比較部と、
前記比較部における比較結果に基づいて、出力信号の周波数変動が検出された共振回路を特定する変動検出信号を生成する変動検出信号生成部と、
をさらに有することを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載のタッチ検出装置において、
前記比較部において、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記所定の閾値より低いと判定された場合、
ユーザのタッチペンによる操作の検出を示すタッチペン操作検出信号を生成するタッチペン操作検出信号生成部をさらに有することを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載のタッチ検出装置において、
前記比較部において、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記所定の閾値より高いと判定された場合、
ユーザの指による操作の検出を示す指操作検出信号を生成する指操作検出信号生成部をさらに有することを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載のタッチ検出装置において、
前記閾値は、前記複数の共振回路の共振周波数に基づいて定められることを特徴とする、
ことを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項6】
請求項1に記載のタッチ検出装置において、
前記検波部において検出される前記複数の出力信号の周波数と第1の閾値との比較、および前記複数の出力信号の周波数と第2の閾値との比較を行う比較部と、
前記比較部において、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記第1の閾値より低いと判定された場合又は前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記第2の閾値より高いと判定された場合、前記判定された周波数の出力信号を出力する共振回路を特定する変動検出信号を生成する変動検出信号生成部と、
をさらに有することを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項7】
請求項6に記載のタッチ検出装置において、
前記比較部において、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記第1の閾値より低いと判定された場合、ユーザのタッチペンによる操作の検出を示すタッチペン操作検出信号を生成し、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記第2の閾値より高いと判定された場合、ユーザの指による操作の検出を示す指操作検出信号を生成する操作検出信号生成部、
をさらに有することを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載のタッチ検出装置において、
前記第1の閾値および前記第2の閾値は、前記複数の共振回路の共振周波数に基づいて定められることを特徴とする、
ことを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項9】
請求項2乃至8のいずれかに記載のタッチ検出装置であって、
前記複数の共振回路の位置を示す位置情報を取得する手段を更に有し、
前記変動検出信号は、前記判定された周波数の出力信号を出力する共振回路の位置を示す情報を含むことを特徴とするタッチ検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のタッチ検出装置を有する、画像表示装置。
【請求項11】
タッチ検出面に沿って設けられる複数の共振回路と、
前記複数の共振回路に対し、共振を発生させる入力信号を入力する複数の入力信号線と、
前記複数の共振回路から出力される出力信号を出力する複数の出力信号線と、
を有することを特徴とするタッチパネル。
【請求項12】
請求項11に記載のタッチパネルにおいて、
前記複数の入力信号線は、前記タッチ検出面に沿った第1の方向に形成され、
前記複数の出力信号線は、前記タッチ検出面に沿った、前記第1の方向と異なる第2の方向に形成され、
前記複数の共振回路のそれぞれは、
それぞれ前記複数の入力信号線の1つおよび前記複数の出力信号線の1つと接続される、コイルとコンデンサからなることを特徴とするタッチパネル。
【請求項13】
請求項12に記載のタッチパネルにおいて、
前記入力信号線、前記出力信号線、前記コイル、および前記コンデンサは、単一の透明電極材料層において形成されることを特徴とするタッチパネル。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかに記載のタッチパネルを有する、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ検出装置、タッチパネルおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザによるタッチ検出面に対するタッチ操作を検出するタッチ検出装置およびタッチパネルは、スマートフォンやタブレット端末等の携帯通信端末、店舗に設置されて顧客の操作に応じたサービスを提供する情報処理装置等に設けられる。
【0003】
このようなタッチ検出装置およびタッチパネルにおいて、ユーザによるタッチ操作を検出する方式として静電容量方式がある。静電容量方式とは、タッチ検出面にそって複数の電極を配置し、例えばユーザの指等の接近による電極間の静電容量の変化を検出することで、タッチ操作を検出する方式である。
【0004】
特許文献1には、静電容量方式によるタッチ検出を行う技術に関して、タッチ検出時に発生する電流の積算量が所定値に達するタイミングに基づいて、該タッチが指によるものかスタイラスペンによるものかの判別を行う情報入力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−61351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
静電容量方式においては、電流の積算量を示す信号の振幅の大小に基づいてタッチ操作の検出が行われているが、信号の振幅はノイズによって変化する。よって操作を検出する構成が例えば表示装置に設けられた場合、近くに存在する表示素子に起因する表示ノイズにより、誤検出が発生する。
【0007】
また、検出されたタッチ操作がタッチペンによるものか指によるものかの判定(タッチペン/指判定)を行う場合、例えばタッチ操作が検出された領域の広さに基づいて判定が行われるが、このような方法では指の先端部のみによる操作をタッチペンによる操作と判定する等、誤った判定がなされることがある。
【0008】
本発明は、上述の課題を鑑みてなされたものであり、ノイズの影響が低減され、より高精度なタッチペン/指判定が実行されるタッチ検出装置、タッチパネルおよび画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願発明に係るタッチ検出装置は、タッチ検出面に沿って配置される複数の共振回路と、前記複数の共振回路のそれぞれに対し、共振を発生させる入力信号を入力する信号入力部と、前記複数の共振回路のそれぞれから出力される複数の出力信号の周波数を検出する検波部と、を有する。
【0010】
本発明によれば、タッチ検出面に沿って配置される複数の共振回路からの出力信号の周波数を検出するタッチ検出装置が提供される。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記検波部において検出される前記複数の出力信号の周波数と、所定の閾値と、の比較を行う比較部と、前記比較部における比較結果に基づいて、出力信号の周波数変動が検出された共振回路を特定する変動検出信号を生成する変動検出信号生成部と、をさらに有する。
【0012】
本発明によれば、出力信号の周波数変動が検出された共振回路を特定する変動検出信号を生成するタッチ検出装置が提供される。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記比較部において、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記所定の閾値より低いと判定された場合、ユーザのタッチペンによる操作の検出を示すタッチペン操作検出信号を生成するタッチペン操作検出信号生成部をさらに有する。
【0014】
本発明によれば、共振回路の出力信号の周波数と所定の閾値との比較結果に基づいてタッチペンによる操作を検出するタッチ検出装置が提供される。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記比較部において、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記所定の閾値より高いと判定された場合、ユーザの指による操作の検出を示す指操作検出信号を生成する指操作検出信号生成部をさらに有する。
【0016】
本発明によれば、共振回路の出力信号の周波数と所定の閾値との比較結果に基づいて指による操作を検出するタッチ検出装置が提供される。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記閾値は、前記複数の共振回路の共振周波数に基づいて定められる。
【0018】
本発明によれば、共振回路の出力信号の周波数と、共振回路の共振周波数に基づく閾値と、の比較結果に基づいて操作を検出するタッチ検出装置が提供される。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記検波部において検出される前記複数の出力信号の周波数と第1の閾値との比較、および前記複数の出力信号の周波数と第2の閾値との比較を行う比較部と、前記比較部において、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記第1の閾値より低いと判定された場合又は前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記第2の閾値より高いと判定された場合、前記判定された周波数の出力信号を出力する共振回路を特定する変動検出信号を生成する変動検出信号生成部と、をさらに有する。
【0020】
本発明によれば、共振回路の出力信号の周波数が第1の閾値より低い場合、もしくは第2の閾値より高い場合に変動検出信号を生成するタッチ検出装置が提供される。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記比較部において、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記第1の閾値より低いと判定された場合、ユーザのタッチペンによる操作の検出を示すタッチペン操作検出信号を生成し、前記複数の出力信号の周波数の少なくとも1つが前記第2の閾値より高いと判定された場合、ユーザの指による操作の検出を示す指操作検出信号を生成する操作検出信号生成部、をさらに有する。
【0022】
本発明によれば、共振回路の出力信号の周波数が第1の閾値より低い場合、タッチペンによる操作を検出し、第2の閾値より高い場合に指による操作を検出するタッチ検出装置が提供される。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記第1の閾値および前記第2の閾値は、前記複数の共振回路の共振周波数に基づいて定められる。
【0024】
本発明によれば、共振回路の出力信号の周波数と、共振回路の共振周波数に基づく閾値と、の比較結果に基づいて操作を検出するタッチ検出装置が提供される。
【0025】
また、本発明の一態様では、前記複数の共振回路の位置を示す位置情報を取得する手段を更に有し、前記変動検出信号は、前記判定された周波数の出力信号を出力する共振回路の位置を示す情報を含む。
【0026】
本発明によれば、周波数の変動が検出された共振回路の位置を示す情報を含む変動検出信号を生成するタッチ検出装置が提供される。
【0027】
また、本発明の一態様では、前述のタッチ検出装置を、画像表示装置が有する。
【0028】
本発明によれば、タッチ検出面に沿って配置される複数の共振回路からの出力信号の周波数を検出するタッチ検出装置を有する画像表示装置が提供される。
【0029】
また、本願発明に係るタッチパネルは、タッチ検出面に沿って設けられる複数の共振回路と、前記複数の共振回路に対し、共振を発生させる入力信号を入力する複数の入力信号線と、前記複数の共振回路から出力される出力信号を出力する複数の出力信号線と、を有する。
【0030】
本発明によれば、タッチ検出面に沿って設けられる複数の共振回路を有するタッチパネルが提供される。
【0031】
また、本発明の一態様では、前記複数の入力信号線は、前記タッチ検出面に沿った第1の方向に形成され、前記複数の出力信号線は、前記タッチ検出面に沿った、前記第1の方向と異なる第2の方向に形成され、前記複数の共振回路のそれぞれは、それぞれ前記複数の入力信号線の1つおよび前記複数の出力信号線の1つと接続される、コイルとコンデンサからなる。
【0032】
本発明によれば、第1の方向に形成される入力信号線、第2の方向に形成される出力信号線、および入力信号線と出力信号線に接続されるコイルとコンデンサからなる共振回路を有するタッチパネルが提供される。
【0033】
また、本発明の一態様では、前記入力信号線、前記出力信号線、前記コイル、および前記コンデンサは、単一の透明電極材料層において形成される。
【0034】
本発明によれば、単一の透明電極材料層において形成される共振回路を有するタッチパネルが提供される。
【0035】
また、本発明の一態様では、前述のタッチパネルを、画像表示装置が有する。
【0036】
本発明によれば、タッチ検出面に沿って設けられる複数の共振回路を有するタッチパネルを有する画像表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るタッチ検出装置およびタッチパネルを有する、情報処理装置を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る表示部の構成を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るタッチ検出装置の構成を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るタッチ検出装置に設けられる共振回路の構成を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るタッチ検出装置の操作に使用されるタッチペンを示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る検波部の構成の例を示す図である。
【
図7】比較部において行われる比較処理の内容を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る共振回路の構成を示す図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係る共振回路の構成を示す図である。
【
図10】本発明の第4の実施形態に係る共振回路の構成を示す図である。
【
図11】本発明の第5の実施形態に係る共振回路の構成を示す図である。
【
図12】本発明におけるITO層の形成位置に関する、他の実施形態を示す図である。
【
図13】本発明におけるITO層の形成位置に関する、他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタッチ検出装置20およびタッチパネル30を有する、情報処理装置100を示す図である。情報処理装置100は表示部(画像表示装置)10を有し、表示部10の表示面にタッチパネル30が設けられる。ここでタッチパネル30のタッチ検出面は、表示部10の表示面に沿って設けられる。また、情報処理装置100は、タッチパネル30を含む、タッチ検出装置20(図示しない)を有する。
【0039】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る表示部10の構成を示す図である。表示部10は、前面ガラス11、偏光板12、ITO(Indium Tin Oxide、透明電極材料)層13、カラーフィルタガラス14、カラーフィルタ15、液晶層16、TFT基板17、偏光板18、およびバックライト19を有し、タッチパネル30は、ITO層13に形成される。表示部10は、ITO層13を除いて、既存の液晶ディスプレイと同様の構成を有する。
【0040】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るタッチ検出装置20の構成を示す図である。タッチ検出装置20は、タッチパネル30、入力信号生成部40、検波部50、A/D変換部60、比較部70、変動検出信号生成部75、位置情報取得部80、および操作信号生成部85を有する。タッチパネル30は、タッチパネル30のタッチ検出面に沿った第1の方向に形成される複数の入力信号線31と、タッチ検出面に沿った、第1の方向と異なる第2の方向に形成される複数の出力信号線32と、タッチパネル30のタッチ検出面に沿って形成される複数の共振回路33と、を有する。複数の入力信号線31、複数の出力信号線32、および複数の共振回路33は、単一のITO層13において形成される。操作信号生成部85から出力される操作信号は、情報処理装置100の操作信号処理部90に出力される。
【0041】
図4は、本発明の第1の実施形態に係るタッチ検出装置20に設けられる共振回路33の構成を示す図である。共振回路33は、それぞれITO層13において形成される、第1電極34および第2電極35からなるコンデンサ36と、コイル37と、からなる。ここで、第2電極35は、入力信号線31の一部からなる。また、配線同士が重複する、図面内でハッチングにより示される領域は、互いに絶縁されて重畳されるブリッジ構成により形成される。
【0042】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るタッチ検出装置20の操作に使用されるタッチペン200を示す図である。タッチペン200は、その先端に強磁性体であるフェライトからなる接触部201を有する。
【0043】
タッチ検出装置20の動作について、以下に説明する。タッチ検出装置20の入力信号生成部40は、複数の共振回路33のそれぞれについて、共振を発生させるパルス信号等の入力信号を生成し、複数の入力信号線31を介して、複数の共振回路33に入力する。
【0044】
共振回路33は、入力信号生成部40から入力信号線31を介して入力される入力信号により共振動作を行い、出力信号を、出力信号線32を介して検波部50に出力する。ここで出力信号の周波数は、共振回路33に対する、タッチペン200の接近により低下し、指の接近により上昇する。詳細については後述する。
【0045】
検波部50は、複数の出力信号線32を介して複数の共振回路33から入力される複数の出力信号のそれぞれについて検波処理を実行して周波数を検出する。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る検波部50の構成の例を示す図である。第1の構成の例である検波部50−1は、パルスカウント方式による検波処理を行うもので、周波数ダウンコンバータ51,バンドパスフィルタ52,ゼロクロスディテクタ53,ワンショットマルチバイブレータ54,およびローパスフィルタ55からなる。第2の構成の例である検波部50−2は、PLL方式による検波処理を行うもので、位相比較器56,ローパスフィルタ57,およびVCO(Voltage Controlled Oscillator)58からなる。検波部50は、検波結果を示すアナログ信号をA/D変換部60に出力し、A/D変換部60は、検波結果をアナログ/デジタル変換して比較部70に出力する。
【0046】
比較部70は、A/D変換部60においてデジタル変換された、検波部50において検出された複数の出力信号の周波数のそれぞれについて、所定の閾値と比較し、比較結果(所定の閾値より大きい/小さい)を示す比較結果情報を変動検出信号生成部75に出力する。
【0047】
変動検出信号生成部75は、比較部70から入力される比較結果情報に基づき、出力信号の周波数が変動した共振回路33を特定する情報および変動の内容を示す情報を含む変動検出信号を生成して操作信号生成部85に出力する。変動検出信号の生成に先立って、位置情報取得部80は、例えばメモリー等の記憶部(図示しない)から共振回路33のそれぞれの位置を示す位置情報を取得する。変動検出信号生成部75は、周波数が変動した共振回路33について、その位置情報を位置情報取得部80から取得し、変動検出信号における共振回路33を特定する情報として、出力信号の周波数が変動した共振回路33の位置を示す情報を操作信号生成部85に出力する。
【0048】
操作信号生成部85は、変動検出信号生成部75から入力される変動検出信号に基づいて、タッチペン200によるタッチ操作が検出された位置を示すタッチペン操作信号又は指による操作が検出された位置を示す指操作信号を生成して、操作信号処理部90に出力する。
【0049】
操作信号処理部90は、タッチペン操作信号又は指操作信号に基づいて、操作に応じた処理を実行する。操作信号処理部90は、タッチペン操作信号に基づく処理を行うタッチペン操作信号処理部91および指操作信号に基づく処理を行う指操作信号処理部92を有する。
【0050】
以下に、タッチ検出装置20におけるタッチ検出動作について詳細に説明する。まず、タッチ操作がなされない状態におけるタッチ検出装置20の動作について説明する。
【0051】
指またはタッチペン200が接近していない状態において、タッチ検出装置20の共振回路33は、共振動作を行う。共振回路33のコイルのインダクタンスをL(H)、コンデンサの容量をC(F)とした場合、共振回路33の共振周波数fは、以下の式(1)で表される。
【0053】
指またはタッチペン200が接近していない場合、共振回路33は式(1)にL,Cを代入して算出される共振周波数(以下、f
0とする)を有する出力信号を出力し、検波部50は、出力信号の周波数として周波数f
0を検出する。
【0054】
比較部70は、検波部50から出力される周波数と、所定の閾値と、を比較する。
図7は、比較部70において行われる比較処理の内容を示す図である。比較部70は、検波部50において検出される周波数と、第1の閾値θ
1および第2の閾値θ
2と、を比較する。ここで第1の閾値θ
1および第2の閾値θ
2は、比較の対象としている出力信号を出力する共振回路33について予め算出される共振周波数f
0に基づいて決定された値であり、予め設定されている。例えば第1の閾値θ
1は、共振周波数f
0の90%に相当する値であり、第2の閾値θ
2は共振周波数f
0の110%に相当する値である。
【0055】
比較部70は、共振回路33の出力信号の周波数(比較対象である周波数)が第1の閾値θ
1以下であると判定された場合、もしくは該周波数が第2の閾値θ
2以上であると判定された場合、判定結果を示す信号を操作信号生成部85に出力する。例えば、比較部70と、変動検出信号生成部75と、は共振回路33の数と同数の、それぞれが1つの共振回路33と対応する複数の信号線74で接続され、いずれかの共振回路33から出力された信号の周波数が第1の閾値θ
1以下であった場合には該共振回路33に対応する信号線74を介して所定の波形のパルス(以下、第1パルス)を出力し、該周波数が第2の閾値θ
2以上であった場合には、前述の所定の波形とは異なる波形のパルス(以下、第2パルス)を同じ信号線74を介して出力する。
【0056】
指またはタッチペン200が接近していない場合、上述のとおり出力信号の周波数は共振周波数f
0であり、該周波数は第1の閾値θ
1より大きく、かつ第2の周波数θ
2より小さいため(
図7の信号71)、比較部70は第1パルスおよび第2パルスのいずれも出力しない。従って、変動検出信号生成部75は変動検出信号を生成せず、操作信号生成部85は指操作信号およびタッチペン操作信号のいずれも生成しない。
【0057】
次に、タッチペン200による操作が行われた場合について説明する。タッチペン200による操作が行われた場合、共振回路33のコイル37において、タッチペン200の接触部201の接近による電磁誘導が発生し、インダクタンスLが大きくなる。その結果、式(1)より、検波部50で検出される周波数は、f
0よりも低くなる。
【0058】
比較対象である周波数が第1の閾値θ
1より低くなった場合(
図7の信号72)、比較部70は該周波数が検出された共振回路33に対応する信号線74において第1パルスを出力する。
【0059】
変動検出信号生成部75は、比較部70からの入力に基づいて、変動の内容(周波数が第1の閾値θ
1より低くなった旨)、および変動が検出された共振回路33の位置を示す情報を含む変動検出信号を生成して、操作信号生成部85に出力する。
【0060】
そして操作信号生成部85は、変動検出信号生成部75からの入力に基づいて、タッチペン200による操作がなされた旨および検出された位置を示すタッチペン操作信号を生成し、操作信号処理部90に出力する。
【0061】
次に、指による操作が行われた場合について説明する。指による操作が行われた場合、共振回路33のコンデンサ36における電界の一部が指に吸収され、その結果、コンデンサ36の容量Cが小さくなる。その結果、式(1)より、検波部50で検出される周波数は、f
0よりも高くなる。
【0062】
比較対象である周波数が第2の閾値θ
2より高くなった場合(
図7の信号73)、比較部70は該周波数が検出された共振回路33に対応する信号線74において第2パルスを出力する。
【0063】
変動検出信号生成部75は、比較部70からの入力に基づいて、変動の内容(周波数が第2の閾値θ
2より低くなった旨)、および変動が検出された共振回路33の位置を示す情報を含む変動検出信号を生成して、操作信号生成部85に出力する。
【0064】
そして操作信号生成部85は、変動検出信号生成部75からの入力に基づいて、指による操作がなされた旨および検出された位置を示す指操作信号を生成し、操作信号処理部90に出力する。
【0065】
以上の構成により、共振回路33から出力される周波数に基づいてタッチ操作の検出およびタッチペン/指判定が行われるタッチ検出装置20およびタッチパネル30が提供される。
【0066】
この構成によれば、タッチ操作が、共振回路33から出力される出力信号の周波数に基づいて検出される。周波数はノイズによる変動が少ないため、本構成によれば、信号の振幅に基づいてタッチ操作の検出を行っていた従来の構成に比べ、ノイズに起因する誤検出の発生が低減される。
【0067】
また、この構成によれば、タッチペン/指判定が周波数の変動方向(増/減)に基づいて行われるため、タッチペン/指判定をタッチ操作が検出された領域の面積に基づいて行っていた従来の構成に比べ、より高精度なタッチペン/指判定が実行される。
【0068】
さらに、この構成によれば、タッチ操作に用いられるタッチペン200は強磁性体からなる接触部201を有していればタッチ操作が可能であり、タッチ操作のための電源や信号を生成する構成等を設ける必要がなく、安価かつ軽量なタッチペン200が実現される。
【0069】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、共振回路33の構成を除いて、第1の実施形態と同一である。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る共振回路33の構成を示す図である。本実施形態においては、共振回路33は、コイル37と、該コイル37の中心部に形成される第1電極34および第2電極35からなるコンデンサ36と、から構成されている。また、第1の実施形態と同様、配線同士が重複する、図面内でハッチングにより示される領域は、互いに絶縁されて重畳されるブリッジ構成により形成される。
【0070】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、共振回路33の構成を除いて、第1および第2の実施形態と同一である。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る共振回路33の構成を示す図である。本実施形態においては、共振回路33は、コイル37と、入力信号線31と出力信号線32との重複部分からなるコンデンサ36と、から構成されている。また、第1および第2の実施形態と同様、配線同士が重複する、図面内でハッチングにより示される領域は、互いに絶縁されて重畳されるブリッジ構成により形成される。
【0071】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態においてはITO層13が、2つの層(上層、下層)からなる。本実施形態は、このITO層13の構造および共振回路33の構成を除いて、第1〜第3の実施形態と同一である。
【0072】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る共振回路33の構成を示す図である。本実施形態において、ITO層13は、それぞれが
図10に示す構成を有する下層の上に上層が形成された構造を有する。本実施形態において、共振回路33は、ITO層13の上層に形成されるコイル37と、ITO層13の下層に形成される第1電極34とITO層13の上層に形成される入力信号線31の第1電極34との重複部分(破線で示す)からなるコンデンサ36と、から構成される。コイル37は、互いに電気的に接続されるコンタクト38および39を介して、ITO層13の下層の出力信号線32と接続される。
【0073】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態においては第4の実施形態同様、ITO層13が、2つの層(上層、下層)からなる。本実施形態は、このITO層13の構造および共振回路33の構成を除いて、第1〜第3の実施形態と同一であり、共振回路33の構成を除いて第4の実施形態と同一である。
【0074】
図11は、本発明の第5の実施形態に係る共振回路33の構成を示す図である。本実施形態において、ITO層13は、それぞれが
図11に示す構成を有する下層の上に上層が形成された構成を有する。本実施形態において共振回路33は、ITO層13の上層に形成されるコイル37と、ITO層13の上層に形成される入力信号線31および下層に形成される出力信号線32の互いに重複する部分(破線で示す)からなるコンデンサ36と、から構成される。コイル37は、互いに電気的に接続されるコンタクト38および39を介して、ITO層13の下層の出力信号線32と接続される。
【0075】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、上述した各実施形態において共振回路33を形成するITO層13の他層との位置関係についても、本発明は
図2に示されるようにITO層13が偏光板12とカラーフィルタガラス14との間に形成される構成に限定されない。
図12および
図13は、本発明におけるITO層13の形成位置に関する、他の実施形態を示す図である。すなわちITO層13は、
図12に示すようにカラーフィルタガラス14とカラーフィルタ15の間に形成されてもよく、また
図13に示すようにカラーフィルタ15と液晶層16の間に形成されてもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、
図4,8,9,10,11に示す構成を有する共振回路33を複数有するタッチ検出装置20およびタッチパネル30が示されたが、本発明はこれに限定されず、共振回路33の出力信号の周波数の上昇に基づいて指の接近を検出する構成、周波数の下降に基づいて強磁性体(タッチペン200)の接近を検出する他の構成を採ってもよく、指およびタッチペン200の少なくとも1つの接近の検出が求められる他の用途に対しても適用可能である。
【0077】
以上、本発明について実施形態を用いて説明がなされたが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において変更がなされたさまざまな構成を含むことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0078】
10 表示部、11 前面ガラス、12 偏光板、13 ITO層、14 カラーフィルタガラス、15 カラーフィルタ、16 液晶層、17 TFT基板、18 偏光板、19 バックライト、20 タッチ検出装置、30 タッチパネル、31 入力信号線、32 出力信号線、33 共振回路、34 第1電極、35 第2電極、36 コンデンサ、37 コイル、38,39 コンタクト、40 入力信号生成部、50,50−1,50−2 検波部、51 周波数ダウンコンバータ、52 バンドパスフィルタ、53 ゼロクロスディテクタ、54 ワンショットマルチバイブレータ、55 ローパスフィルタ、56 位相比較器、57 ローパスフィルタ、58 VCO、60 A/D変換部、70 比較部、71,72,73 信号、74 信号線、75 変動検出信号生成部、80 位置情報取得部、85 操作信号生成部、90 操作信号処理部、91 タッチペン操作信号処理部、92 指操作信号処理部、100 情報処理装置、200 タッチペン、201 接触部。