【解決手段】上端に口部を有する金属製の外部容器11と、その外部容器内に収容される金属製の内部容器12と、外部容器および内部容器からなる容器本体13の口部14を塞ぐ栓体15と、その栓体15を外部容器11に固着する環状のカバーキャップ16とからなる吐出容器10。栓体15は内部容器12の口部27と嵌合する下部筒部34と、前記カバーキャップ16の中央開口から外部に突出する上部筒部36とを備えている。
前記栓体の上部筒部に内部容器の内部と外部の連通を遮断する薄肉部を設け、上部筒部に装着されるノズルにその薄肉部を破断する破断部を設けている請求項1記載の吐出容器。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1aは本発明の吐出容器の一実施形態を示す断面図であり、
図1bはその吐出容器のノズルの平面図である。
【
図2】
図1aの吐出容器の吐出可能状態を示す断面図である。
【
図3】
図3aは
図1aの吐出容器における加圧剤の充填工程を示す断面図であり、
図3bはカバーキャップのクリンチ工程を示す断面図である。
【
図4】
図4aは本発明の吐出容器の他の実施形態を示す断面図であり、
図4bはその吐出容器の吐出状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の吐出容器のさらに他の実施形態を示す要部断面図である。
【
図6】本発明の吐出容器のさらに他の実施形態を示す要部断面図である。
【0015】
図1aに示す吐出容器10は、外部容器11およびその外部容器内に収容される金属製の内部容器12からなる容器本体13と、その容器本体の口部14を塞ぐ弾性材料からなる栓体15と、栓体を外部容器11に固着する金属製のカバーキャップ16とを備えている。栓体15の中央部には上方に突出するステム17が嵌合されている。栓体15とステム17は、傾動タイプのエアゾールバルブとして機能する。
【0016】
この実施形態では、さらにステム17の周囲に、上下移動自在にノズル20が装着されている。ノズル20は下方にあるときはステム17の上端開口の吐出孔43を塞ぎ、上に上げたときに開放するキャップとして機能する。さらに下方にあるときにステム17の傾動を阻止し、上に上げたときステム17の傾動を可能とするロック部品を兼ねている。
【0017】
外部容器11は、耐圧性を有する容器であり、
図3aに示すように、円筒状の胴部21と、その上部に設けたテーパ状の肩部22と、その上部に設けた筒状の首部23とを備えている。胴部21の下端には底板24が一体に設けられている。首部23の周囲には、カバーキャップ16の下端をクリンチするための環状の係合溝25を形成している。首部23を胴部21より細くしているのは、外部容器11と内部容器12の間に加圧剤を充填する空間を設けるためである。外部容器11の外径は、たとえば15〜35mm程度、とくに18〜30mm程度である。また、高さは20〜100mm程度、好ましくは30〜80mm程度である。
【0018】
係合溝25は断面略円弧状、三角形状ないし台形状で、係合溝25の上側の係合段部25aの内面は内部容器12の傾斜段部26を支持すると共に、栓体15の下部筒部34の下端との間で内部容器12の傾斜段部26を挟圧することができる。そのため、カバーキャップ16の下端を係合溝25にカシメ付けて塑性変形させるとき、その力を支えて栓体15および内部容器12をしっかりと保持することができる。さらにカバーキャップ16の下端の塑性変形部と栓体15の下部筒部の下部とで、外部容器11の係合段部25aと内部容器12の傾斜段部26とを密接状態で保持する。それにより外部容器と内部容器の間の隙間に加圧剤を閉じ込めることができ、栓体15が加圧剤に露出することを避けることができる。首部23の係合溝25より上の部位は、内部容器12の口部27が緩く重ねられる口部28となっており、その口部28の上端縁は、栓体15のフランジ部29が当接してシール機能を奏する。上端縁は切削加工などで平坦に形成している。
【0019】
外部容器11はアルミニウムなどの金属スラグを有底筒状にインパクト成形あるいはアルミニウムなどの金属板を有底筒状に絞り成形あるいは絞りしごき成形し、肩部22と首部23をネッキング加工し、係合溝25をロール成形などで形成したモノブロック缶などが使用される。ただし胴部21と肩部22、底板24などを別個に成形して結合したツーピース缶、スリーピース缶などを使用することもできる。係合溝25は口部28を途中から縮径し、いくらか上から拡径することによっても形成しうる。外部容器11は、金属以外に、合成樹脂、ガラスなど、他の材料を採用することもできる。
【0020】
内部容器12は、胴部の厚さが0.1〜0.4mm程度、好ましくは0.1〜0.3mm程度の薄肉の潰れ性を備えた金属製の容器であり、有底筒状の形態を有する(
図3a参照)。内部容器12の厚さおよび形状は、加圧剤の圧力で潰れる程度としている。金属としては成形性、延性・展性に優れたアルミニウム、真鍮などが用いられ、アルミニウム、とくに99%以上の純アルミニウムが成形性の点で好ましい。内部容器12の上端近辺は胴部30より径がいくらか大きい口部27としており、胴部30と口部27の間は上に向かって拡がる前述の傾斜段部26としている。胴部30の下端には底板31を設けている。
【0021】
内部容器12は、金属のスラグ(円板状の厚板、ブランク)を後方押出しなどでインパ
クト成形したり、金属板から絞り成形または絞りしごき成形することにより形成する。内部容器12の底板31は通常は胴部30より厚くなるが、栓体を外部容器に押し付けて固定する際に上下方向に収縮変形しやすくするために、テーパ部を設けたり、円錐状や円錐台状に成形してもよい。原液が内部容器の金属を腐食させる場合は、耐食性を向上させる合成樹脂や粉体などを内部容器12の内面にコーティングする。
【0022】
内部容器12の胴部30の外径は、内部容器12を変形させなくても外部容器11に挿入できるように係合溝25の内径より小さくしている。内部容器12の口部27の外径についても、外部容器11の口部28と緩く嵌合できる程度としている。それにより、内部容器12を外部容器11に挿入したとき、胴部30や口部27、さらに傾斜段部26に皺がよらないので、シール性が高くなる。内部容器12を外部容器11に挿入することにより、容器本体13が得られる。
【0023】
図1aに示すように栓体15は容器本体13の口部14(内部容器12の口部27と外部容器の口部28)を塞ぐものであり、口部14に対応する円板部33と、その円板部33の外周近辺から下方に延びる下部筒部34と、下部筒部の上端外周より外側に延びるフランジ部29と、円板部33の中央から上方に延びる上部筒部36とからなる。
【0024】
栓体15は内部容器12や外部容器11とのシール性およびステム17とのシール性を維持し、ステム17の傾動を許すため、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネイト、ポリアセタール、ポリウレタン、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどのエラストマー、シリコーンゴム、クロロプレン,アクリロニトリルブタジエン、ブチルゴムなどの合成ゴム、およびこれらの複合体
などの弾性体によって構成している。特に、シール性に優れ、ステムを傾動させやすく、内容物に対して安定である点から、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、エラストマーを用いることが好ましい。上部筒部36の内部の円柱状の空洞36aはステム17を装着する孔であり、円板部33を貫通して下端に至っている。この実施形態ではさらに上部筒部36の外周面から円板部33の上面にかけて、上部筒部36の補強と、ノズル20との嵌合を強くするため、複数枚のリブ(凹凸条)37が設けられている。
【0025】
栓体15の下部筒部34の外周面は、加圧剤のアンダーカップ充填時に内部容器12の口部27の内周面と強く嵌合してシール性を発揮し、加圧剤の内部容器12内への侵入を防止する。栓体は弾性を有するため、加圧剤の充填圧力によりシール性が高くなる。円板部33の下面はステム17の下端に設けた基部38の外周上面と当接してシールする。上部筒部36の空洞36aの内周面は、ステム17の外周面と当接してシールする。上部筒部36の上端はステム17の係合突起39と係合してステム17を保持する。なお、ステム17には上向きに内圧が加わっているため、係合突起39は省略することができる。栓体15のフランジ部29は、カバーキャップ16を外部容器11に固着したときに、下面が外部容器の口部28上端と直接当接してシールする。なお、フランジ部29の下面にガスケットを設け、下面がガスケットを介して外部容器の口部上端と当接してシールしてもよい。
【0026】
カバーキャップ16は、内圧が加わる栓体15を抜け飛ばないように容器本体13に固着するものであり、
図2に示すように、アルミニウムや鋼などの金属製の薄板をカップ状に成形し、中央に栓体の上部筒部36が通る開口40を形成したものである。カバーキャップ16の外壁16aの下部は、前述のように加圧剤の充填後に外部容器11の係合溝25にカシメ付けられて塑性変形する(外周クリンチ)。そしてこのカシメ付けにより、栓
体15の下部筒部34と、下部筒部の上端外周から外側に延びるフランジ部29を環状に上下に挟圧し、栓体15およびステム17を容器本体13に固着することができる。このとき、外部容器11と内部容器12を栓体15の下部筒部34の下部に強く押さえ付けると共に、外部容器11の口部28の上端を栓体15のフランジ29の下面に強く当接させてシールする。したがってカバーキャップ16は、塑性変形が可能で、しかも強度・剛性が高いものが好ましい。
【0027】
図2に示すように、ステム17は、栓体15の上部筒部の空洞36aに密に嵌合される筒部41と、上部筒部の下端を閉じる前述の円板状の基部38とからなる。そして筒部41の側面で基部38のすぐ上には、ステム17の内部空間と外部とを半径方向に連通するステム孔42が形成されている。また、ステム17の筒部41の長手方向における中間の外周には前述の係合突起39が形成されている。ステム孔42は栓体15の上部筒部36の内面と当接し、常時はシールされると共に、ステム17が傾動操作されたときは開放されて内外を連通する。ステム17は、ポリアセタール、ナイロンなど合成樹脂などで製造しうる。
【0028】
図1a、
図2の吐出容器10ではノズル20が設けられており、ノズル20は吐出口43を除いて上端が閉じられた筒状の部材である。ただしノズル20は必ずしも設ける必要はなく、省略できる。この実施形態ではノズル20はステム17に対して上下に移動可能としている。ノズル20の上端の内面には、ステム17の上端開口を閉じる略半球状の閉鎖突起44が設けられている。吐出口43は閉鎖突起44を避けて扇状に形成している(
図1b参照)。
【0029】
ノズル20の下部内周には、栓体15の上部筒部36およびリブ37と嵌合する凹凸形状にしている。それによりノズル20は回転せず、上下に移動させても吐出口43の位置が変らない。ノズル20の上下方向の中間部の内面には、ステム17の筒部外周と摺接するリップ45が突設されている。リップ45は、ノズル20内に原液が吐出されたとき、栓体15の側に流れないように、そして吐出口43からのみ吐出するようにするものである。さらにステム17の上端外周に環状の係止突起46が形成され、ノズル20の内周面にその係止突起46と係合してノズル20の抜けを防止する係合突起47が形成されている。なお、ノズル20の下端には、カバーキャップ16と当接してシール作用をもたらすゴムないし軟質樹脂からなるシールリング48が埋め込まれている。
【0030】
つぎに
図3a、
図3bを参照して、上記の吐出容器10に内容物(原液と加圧剤)を充填する方法を説明する。この吐出容器10では内部容器12に原液Gを充填し、内部容器12と外部容器11の間に加圧剤Pを充填する。原液としては、外傷や皮膚疾患などに用いる医薬品、染毛剤、スキンケアなどのクリーム、ゲルなどがあげられる。加圧剤としては、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気などの圧縮ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスが用いられる。
【0031】
図3aに示すように、始めに内部容器12を外部容器11に収容しておく。このとき、内部容器の底部31は外部容器の底板24に設置した状態で、内部容器の口部27が外部容器の口部28より上方に突出している。また、ステム17およびカバーキャップ16はあらかじめ栓体15に装着しておく。先ず、内部容器12に原液Gを充填し、内部容器の口部27を栓体15で塞ぐ。このとき、内部容器12の口部27の内周面は栓体15の下部筒部34の外周面に密に嵌合しており、密封状態になっている。この状態で、カバーキャップ16の下端と外部容器11の上端の間に隙間が確保されている。なお、内部容器12を吊り下げた状態で保持してもよい。
【0032】
ついでアンダーカップ充填の常法により、外部容器11の上部外周とカバーキャップ1
6の下端との隙間から加圧剤Pを充填する。すなわち外部容器11の外周と気密に嵌合する充填装置のシール材と、カバーキャップ16の周囲と気密に嵌合するシール材の間に加圧剤を導入し、外部容器11の係合溝25の内面と内部容器12の胴部の外周面の隙間を通して外部容器11と内部容器12の間の空間Sに加圧剤を充填する。そのとき、内部容器12の口部27の内周面と栓体15の下部筒部34の外周面とが密に嵌合しているので、加圧剤が内部容器12に入ることが防止される。それにより薄い金属製の内部容器12が裂けたりしない。
【0033】
加圧剤を充填した後は、
図3bに示すように、カバーキャップ16を外部容器11の口部に押し被せながら内部容器を上下に圧縮させ、栓体15を外部容器11に押し付けた状態でカバーキャップ16の下端を内側にクリンチすることにより、下部筒部34の下端外周の角と外部容器11の係合溝25の内面の上側の係合段部25aとで内部容器12の傾斜段部26を挟圧する。それにより栓体15の下部筒部34の下端外周の角に沿った環状の領域で、内部容器12と栓体15の間をシールし、外部容器11と内部容器12の間をシールする。また、外部容器11の上端は栓体15のフランジ部29に強く当接し、この部位でもシール作用が奏される。そして内部容器12の口部と栓体15の下部筒部34との嵌合により、シール作用が奏されている。したがって外部容器11と内部容器12の間の空間Sから加圧剤Pが洩れない。
【0034】
なお、カバーキャップのクリンチは、栓体15を下方に押し付けた状態で、カバーキャップ16の外壁の下部を外部容器11の係合溝25に沿うように曲げ、塑性変形させて固着する(外周クリンチ)。クリンチをした後は、栓体15を下方に押し付ける力を解放しても、カバーキャップ16により加圧作用が維持される。
【0035】
このようにして製造した吐出製品は、外部容器11と栓体15の間、内部容器12と栓体の間、さらに栓体15とステム17の間がそれぞれシールされているので、外部容器11と内部容器12の間の空間Sに充填された加圧剤Pは外部に漏れることがない。さらに内部容器12が金属製であるので、加圧剤Pが内部容器12の壁を浸透して内部容器12内に入り、さらに栓体15を浸透して外部に漏出することがない。加圧剤Pは内部容器12を通して圧力を伝えるだけである。なお、内部容器12が合成樹脂製の場合、原液の残量が多い場合は、内部容器の壁を浸透した加圧剤は原液に阻まれるので、加圧剤が栓体を浸透することが少ないが、原液の残量が少なくなると浸透抑制効果が低下する問題がある。しかし金属製の内部容器と外部容器で加圧剤を閉じ込める
図1aの吐出容器10では、原液の残量に関わらず栓体への浸透を防止する効果が高い。
【0036】
つぎに
図1a、
図2を参照して上記のごとく構成される吐出製品の使用方法を説明する。この吐出容器10では、
図1aのようにノズル20を下方に移動させているときは、ステム孔42が栓体15によって塞がれている。そのため内部容器12に内圧が加わっていても、原液Gは吐出されない。また、ノズル20の下部の内面が栓体15の上部筒部36の外周と嵌合ないし係合してステム17の傾動を拘束している。そのため、誤ってステム17を傾動させることがない。
【0037】
使用者が意図して吐出する場合は、
図2のように、まずノズル20を引き上げる。それによりノズル20の下部20a内面と栓体15の上部筒部36との嵌合ないし係合が解除され、ステム17の傾動操作が可能になる。この状態でノズル20とステム17を傾ける。そうするとステム孔42が開放され、圧力を受けている内部容器12内の原液がステム17内を通ってノズル20内に吐出され、さらに吐出口43から外部に吐出される。傾動を止めると栓体15の弾力性で元の状態に戻り、ステム孔42が栓体15によって塞がれ、原液の吐出が停止する。ついでノズル20を下方に移動させると、前述のようにステム17の傾動操作が拘束される。このとき、ノズル20の上端内面の閉鎖突起44がステム
17の上端開口を閉じているので、ステム17の内部に異物が混入することを防止できる。
【0038】
図4a、
図4bに示す吐出容器50では、栓体15に内部の空洞36aを塞ぐ薄肉部51が設けられている。この実施形態では空洞36aの下端に薄肉部51を設けている。そして流通時点では、ステム17は栓体15の空洞36aに挿入せず、容器本体とは別個に準備しておく。ステム17の下端には、薄肉部51を破断するための破断部52を設けている。破断部52は、
図4bに示すように、ステム17の下端を斜めに形成し、エッジをつけるなどにより設けることができる。破断後は内圧がステム17に加わるため、ステム17が抜けないように押しつけるための押えフランジ53を設けるのが好ましい。
【0039】
この吐出容器50では押えフランジ53は、ステム17の上下方向の中間部に設けられる円板状の押し部54と、その押し部の周囲から下方に延びる外壁55とから構成している。外壁55はカバーキャップ16の外周と嵌合する内面形状を有する。それにより、ステム17を安定して栓体15内に保持することができる。そして未使用状態では栓体15の内部空洞が薄肉部51で密閉しているので、
図1aの吐出容器10に比べて内部容器12の原液の漏出が一層少ない。そのため安定して保管することができる。他の構成および作用効果、とくに加圧剤の密封作用については、
図1aの吐出容器10と実質的に同一である。
図4a、
図4bの栓体15においても、
図1aと同様なリブ37を設けてもよい。このようなリブ37を設けると、ステム17を傾けたとき、上部筒部36が追従しにくいため、ステムのわずかな傾動で吐出できる。
【0040】
この吐出容器50の製造方法は、
図1aの吐出容器10とほぼ同様である。とくに外部容器11と内部容器12の間に加圧剤を充填する方法は、
図3a、
図3bに示すアンダーカップ充填の方法をそのまま採用することができる。ただし一旦薄肉部51を破断すると、再び閉じることができないため、使い切りタイプの吐出容器となる。その場合、容量2〜15ml程度の小型タイプとするのが好ましい。
【0041】
図5に示す吐出容器56は、
図4a、
図4bの吐出容器50と同様に、流通・保管の時点では栓体15の空洞36aを薄肉部51で密封し、使用時にステム17の下端の破断部52で開封するものである。ただしステム17の下部外周に、空洞36aへの挿入を許し、戻りを防ぐカエリ突起57を設けている。さらに空洞36aの内面で塞がれるステム孔42を形成している。したがってステム17を栓体15の空洞36aに嵌入したとき、カエリ突起57が栓体15の下面に係合して内圧に耐え、抜け飛ばない。
【0042】
この吐出容器56では、
図1aの吐出容器10と同様に、常時はステム孔42が空洞36aの内面で閉じられ、ステム17を傾けると内部容器12とステム17内とがステム孔42によって連通し、原液を吐出することができる。したがって
図4a、
図4bの使い切りタイプの吐出容器50とは異なり、何度も吐出させることができる。なお、ステム17の下部にカエリ突起57を設けるのに代えて、ステム17に
図4bの外壁55を設け、外壁55の下端にカエリ突起ないしネジを設けてカバーキャップ16に係合して保持させてもよい。
【0043】
図1a、
図1bの吐出容器10では、栓体15はゴム、合成樹脂(とくに軟質樹脂)、エラストマーなど、金属や合成樹脂製の他の部品と密接してシール作用を奏する弾性材料ないし軟質材料から一部品として形成している。しかし
図6の吐出容器60のように、栓体15を、下部筒部34、下部フランジ部29aおよび下部円板部33aからなる弾性を有する下部栓体61と、上部筒部36、上部フランジ部29bおよび上部円板部33bからなる硬質の上部栓体62との2部品から構成してもよい。
【0044】
上部栓体62と下部栓体61は、カバーキャップ16をクリンチするときに固定できるが、あらかじめ接着や溶着などにより一体化することもできる。その場合は組み立て前の取り扱いが容易である。また、ステム17の係合突起39をステムの基部側に設け、上部筒部36内に内側突起63を設けて係合突起39と係合させるようにしてもよい。その場合、上部栓体62の上部筒部36の可撓性が低くても、ステム17を傾動させやすい。また、ステム17の基部38のすぐ上に環状溝64を形成し、下部円板部33aの内周と嵌合させると、操作しないときのステム17と下部栓体61とのシール性が高い。さらにステム孔42の外側端は、ステムの基部38の上面に開口させ、下部栓体61の下部円板部33aの下面でシールしている。この場合、容器本体14とのシール性に優れ、またステム17の基部38とのシール性に優れると共に、ステム17を傾けたときの連通がしやすい。
【0045】
図1a、
図1bの吐出容器10では、内部容器12として、継ぎ目のない有底筒状の金属容器を採用しているが、薄肉円筒の底部を平坦に潰して接合した、押し出しチューブ状の内部容器を採用することもできる。また、金属シートを丸めて左右の端縁を接合し、さらに底部を閉じて内部容器を構成することもできる。また、合成樹脂層と金属シートとを重ねたガス透過性が低いシートから同様に内部容器を形成しうる。
【0046】
図1aの吐出容器10では、ステム17を傾動させて開閉操作するが、ステム17の上下動で開閉操作するものであってもよい。また、ノズル20は軸方向に移動して吐出可能状態と不可能状態を切り替えるようにしているが、自軸回りの回動で切り替えるようにすることもできる。たとえば栓体15の上部筒部の外周面を180度の範囲で突出させ、ノズル20の下部の内面についても、180度の範囲で内向きに突出させ、両者を回動自在に連結する。そうすると突出させた部位同士が対向する回動位置ではステム17を傾動できず、対向させない回動位置ではステムを傾動可能とすることができる。さらにノズル20を栓体15の上部筒36の周囲にネジ止めするようにしてもよい。
【0047】
このような回動操作タイプのノズルを採用するときは、ステムの上端に切り欠きを形成し、あるいは側壁の上端近辺に窓を形成し、ノズルの対応する部位にも窓を形成することにより、ステムの傾動回動可能な位置では窓同士を連通させ、それ以外では窓同士を連通させないようにするのが好ましい。