【解決手段】薄葉紙収納箱1であって、基材7と、撥液性ワニス層8と、撥液性ワニス層8の表面の少なくとも一部の領域に樹脂ワニス層9とを順に備え、樹脂ワニス層9は、断面視において不連続に積層されている。また、粒径50μm以上の樹脂ワニス層9は、70μm以上500μm以下の平均粒径を有する。さらに、薄葉紙収納箱1に高級感を付与する観点から、樹脂ワニス層9側の外表面からみて、5%以上50%以下の60度鏡面光沢度を有する。薄葉紙収納箱1を樹脂フィルム12で複数個まとめて包装した薄葉紙収納箱包装体11は、しっくりとした、高級感のある薄葉紙収納箱1の外観を損なうことなく、効果的に視認することができる。
前記樹脂ワニス層側の外表面からみて、L*a*b*表色系において、−50以上50以下のa*値を、及び−50以上50以下のb*値を有することを特徴とする請求項3に記載の薄葉紙収納箱。
前記樹脂ワニス層が3.0μm以上10.0μm以下のJIS B0601(1994)に規定する算術平均粗さRaを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の薄葉紙収納箱。
前記樹脂フィルム側の外表面からみて、50%以上95%以下の60度鏡面光沢度を有し、L*a*b*表色系において、15以上90以下のL*値を、−50以上50以下のa*値を、及び−50以上50以下のb*値を有することを特徴とする請求項8に記載の薄葉紙収納箱包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでの薄葉紙収納箱では、高級感、光沢感や意匠性といった美粧性を印刷加工により表現しても、顧客に対する商品イメージをアピールするには、不十分であった。また、美粧性を印刷加工により表現した薄葉紙収納箱は、その加工により耐摩耗性や耐油性に劣り、指紋等の汚れが付きやすかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、美粧性に優れるものであって、防滑性及び防汚性に優れた薄葉紙収納箱及び薄葉紙収納箱包装体を提供することにある。
【0006】
このような目的を達成するため、本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の薄葉紙収納箱は、薄葉紙収納箱であって、基材と、前記基材の表面に撥液性ワニス層と、さらに前記撥液性ワニス層の表面の少なくとも一部の領域に有する樹脂ワニス層とを備え、断面視において不連続に積層された前記樹脂ワニス層が、粒径50μm以上の前記樹脂ワニス層において、70μm以上500μm以下の平均粒径を有することを特徴とする。
【0007】
(2)本発明の薄葉紙収納箱は、(1)の構成において、前記樹脂ワニス層側の外表面からみて、5%以上50%以下の60度鏡面光沢度を有することを特徴とする。
【0008】
(3)本発明の薄葉紙収納箱は、(1)または(2)の構成において、前記樹脂ワニス層側の外表面からみて、L*a*b*表色系において、15以上80以下のL*値を有することを特徴とする。
【0009】
(4)本発明の薄葉紙収納箱は、(3)の構成において、前記樹脂ワニス層側の外表面からみて、L*a*b*表色系において、−50以上50以下のa*値を、及び−50以上50以下のb*値を有することを特徴とする。
【0010】
(5)本発明の薄葉紙収納箱は、(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記樹脂ワニス層が3.0μm以上10.0μm以下のJIS B0601(1994)に規定する算術平均粗さRaを有することを特徴とする。
【0011】
(6)本発明の薄葉紙収納箱包装体は、(1)ないし(5)のいずれかの構成において、粒径50μm以上の前記樹脂ワニス層が1個/mm
2以上40個/mm
2以下の個数を有することを特徴とする。
【0012】
(7)本発明の薄葉紙収納箱包装体は、(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記樹脂ワニス層が紫外線によって硬化されることを特徴とする。
【0013】
(8)本発明の薄葉紙収納箱包装体は、(1)ないし(7)のいずれかの構成の薄葉紙収納箱を樹脂フィルムで複数個まとめて包装したことを特徴とする。
【0014】
(9)本発明の薄葉紙収納箱包装体は、(8)の構成において、前記樹脂フィルム側の外表面からみて、50%以上95%以下の60度鏡面光沢度を有し、L*a*b*表色系において、15以上90以下のL*値を、−50以上50以下のa*値を、及び−50以上50以下のb*値を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の薄葉紙収納箱及び薄葉紙収納箱包装体によれば、上記の様な構成にすることにより、美粧性に優れ、滑りにくく、さらに汚れが付きにくくすることができる、という効果が生じる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0018】
(薄葉紙収納箱)
本実施形態の一例として、薄葉紙としてティシュを収納する薄葉紙収納箱について説明する。
図1(a)は、本発明に係る薄葉紙収納箱の外観を示す斜視図であり、(b)使用時の外観を示す斜視図である。
図1(a)に示すように、薄葉紙収納箱1の外観は、ティシュの取出し口2aを有する頂面部2、これに対向する底面部3、これら頂面部2と底面部3を連結する左右の側面部4、4’、5、5’により区画された箱体である。また、薄葉紙収納箱1の内部空間には、積層されたティシュ6が収納されており、取出口2aからティシュ6を外部へ取り出すことができるようになっている(
図1(b)参照。)。
図2は、本発明に係る薄葉紙収納箱の展開平面図である。
図2に示すように、この薄葉紙収納箱1は、カートンブランク1aと呼ばれる1枚の素材から、頂面部2、底面部3及び左右の側面部4、4’、5、5’の各片を折り曲げ、各片の当接部分をホットメルト接着材等により接着することにより形成されるものである。
【0019】
図3は、本発明に係る薄葉紙収納箱の一実施態様を示した断面図である。薄葉紙収納箱1は、例えば、
図3に示すように、印刷層10を設けた基材7の表面に撥液性ワニス層8、撥液性ワニス層8の表面の少なくとも一部の領域に樹脂ワニス層9が順に積層されている。ここで、樹脂ワニス層9が、断面視において不連続に積層される構成となっている。
【0020】
本実施形態において、薄葉紙収納箱1を構成する基材7としては、特に制限はなく、例えば、木材パルプ、古紙、段ボール紙、コートボール紙等の平面紙を使用することができる。なかでも、強度の観点から、コートボール紙が好ましい。
【0021】
基材7の坪量は、JIS P8124に準じて測定され、200g/m
2以上550g/m
2以下が好ましく、250g/m
2以上500g/m
2以下がより好ましく、300g/m
2以上500g/m
2以下が最も好ましい。坪量が、200g/m
2未満であると、撥液性ワニス層8及び樹脂ワニス層9を塗工する際に、強度が不十分となり、一方、550g/m
2を超えると、カートンブランク1aを折り曲げ、立体形状にして薄葉紙収納箱1へと形成する際に、加工性が低下する。
【0022】
本実施形態において、薄葉紙収納箱1に美粧性を施す観点から、基材7の表面に印刷層10を設けることが好ましい。印刷層10は、基材7に彩色を施すためや、文字や絵柄、図形といった要素を表現するために形成している。印刷層10は、基材7に直接印刷することや、印刷したフィルムを基材7の表面に接着することにより形成できる。印刷層10に用いるインキは、その表面に撥液性ワニス層8及び樹脂ワニス層9の形成が可能となる程度の密着性を有していれば、染料インキ、顔料インキを問わず、薄葉紙収納箱1の基材7の印刷に用いられている既知のインキが利用できる。また、印刷層10の印刷方法は特に限定されず、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷方式を取ることができる。フィルムの材料、印刷方法及び接着方法に関しても、公知の構成及び方法の中から適宜選択することができる。
【0023】
本実施形態において、撥液性ワニス層8は、基材7の表面に撥液性ワニスを塗工し、乾燥硬化させて形成するものである。撥液性ワニスは、樹脂ワニス層9を形成する樹脂ワニスへの非相溶性及び撥液性を有していれば特に限定されず、例えば、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂及びウレタン樹脂にワックス等のスリキズ防止剤やシリコーン系撥液剤を添加したものをあげることができる。
【0024】
撥液性ワニスの塗工方法としては、特に限定されず、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷方式をあげることができる。高精細な印刷に適することから、オフセット印刷方式もしくはグラビア印刷方式が好ましい。また、撥液性ニスの乾燥方法としては、特に限定されず、例えば、加熱乾燥をあげることができる。
【0025】
本実施形態において、樹脂ワニス層9は、撥液性ニスに含有するシリコーン系撥液剤が撥液性ワニス層8の表面に滲み出して表面張力の低いニス皮膜を形成し、これが表面張力の高い樹脂ワニスを弾くことで、断面視において不連続な層を形成するものである。この不連続な層を形成する樹脂ワニス層9により、薄葉紙収納箱1を手に取った際に、滑りにくく持ち運びやすくなる。
【0026】
樹脂ワニスは加熱、冷却あるいは紫外線(UV)により硬化するものであれば特に限定されない。耐摩耗性及び耐薬品性の観点から、UV硬化性を有する樹脂ワニスの使用が好ましい。UV硬化性ワニスとしては、アクリル系ポリマー、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレート等のUV硬化性モノマー、重合性オリゴマー、光重合開始剤及びその他添加剤を成分として含有するものを用いることができる。
【0027】
樹脂ワニスの塗工方法としては、特に限定されず、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、ロールコート印刷、輪転グラビア印刷をあげることができる。また、撥液性ニスと樹脂ワニスの塗工を一工程で行えるよう、フレキソコーターユニットを組込んだオフセット印刷機を使用することができる。そして、樹脂ワニスの硬化方法としては、特に限定されず、使用する樹脂ワニスの性質に応じた公知の方法を用いることができる。
【0028】
図4は、本発明に係る薄葉紙収納箱の外表面平面図である。薄葉紙収納箱1の外表面を真上から見た場合、樹脂ワニス層9は、撥液性ワニス層8の表面に形成され、略真円、略楕円、角丸長方形等の形状をとっている。樹脂ワニス層9の平均粒径は、粒径(短径)50μm以上の樹脂ワニス層9を測定対象としており、例えば、
図4に示す短径W
1〜W
7を粒径として算出した値である。そして、樹脂ワニス層9の平均粒径は、70μm以上500μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以上200μmである。平均粒径が70μm未満の場合、樹脂ワニス層9のきめが細か過ぎるため、高級感のある触感が得られなくなる。また、500μmを超えると、平均粒径のばらつきが大きくなる傾向があり、均一感が失われたり、耐油性の効果が減少し、指紋が付きやすくなったりする。なお、粒径が50μm未満の粒子は、目に見えないくらい小さいことから、高級感のある外観や、高級感のある触感に影響しにくい。
【0029】
樹脂ワニス層9の個数は、粒径(短径)50μm以上の樹脂ワニス層9を測定対象とし、1mm
2当たりの個数を算出したものである。そして、樹脂ワニス層9の個数は、1個/mm
2以上40個/mm
2以下が好ましく、より好ましくは1個/mm
2以上30個/mm
2以下、さらに好ましくは3個/mm
2以上20個/mm
2以下の個数を有する。個数を上記範囲に有することにより、高級感のある触感及び指紋の付きにくさを得ることができる。また、粒径(短径)1000μm以上の樹脂ワニス層9の個数は、1mm
2当たりの個数を10回測定した合計((個/mm
2)×10)で、0個以上4個以下が好ましく、より好ましくは0個以上1個以下、さらに好ましくは0個以下である。粒径(短径)1000μm以上の樹脂ワニス層9の個数を上記範囲に有することにより、樹脂ワニス層9に均一感(ムラの無さ)を得ることができる。
【0030】
樹脂ワニス層9の高さは、15μm以上150μm以下が好ましく、より好ましくは15μm以上70μm、さらに好ましくは25μm以上70μmである。粒子の高さが15μm未満の場合、樹脂ワニス層9のきめが細か過ぎるため、高級感のある触感が得られなくなる。また、粒子の高さが150μm以上の場合、樹脂ワニス層9のきめが粗すぎるため、やはり高級感のある触感が得られなくなる。
【0031】
なお、平均粒径の値を満たす樹脂ワニス層9が撥液性ワニス層8の表面の少なくとも一部にあれば、本願発明の効果を得ることができる。つまり、薄葉紙収納箱1の外表面の一部にでも本発明の平均粒径の値を満たす樹脂ワニス層9があれば、本発明の薄葉紙収納箱1に該当する。同様に、撥液性ワニス層8の表面の少なくとも一部に個数及び高さの値を満たす樹脂ワニス層9があれば、本願発明の効果を得ることができる。
【0032】
樹脂ワニス層9のJIS B0601(1994)に規定する算術平均粗さRaは、3.0μm以上10.0μm以下が好ましく、より好ましくは3.5μm以上8.5μm以下である。算術平均粗さRaが3.0μm未満の場合、樹脂ワニス層9のきめが細か過ぎるため、高級感のある触感が得られない。また、10.0μmを超えた場合は、樹脂ワニス層9はざらざらとした手触りとなり、やはり高級感のある触感が得られなくなる。
【0033】
樹脂ワニス層9のJIS B0601(2001)に規定する触針式算術平均粗さRaは、3.0μm以上10.0μm以下が好ましく、より好ましくは4.0μm以上8.5μm以下である。触針式算術平均粗さRaを上記範囲に有することにより、高級感のある触感を得ることができる。
【0034】
樹脂ワニス層9側の外表面からみて、薄葉紙収納箱1の60度鏡面光沢度は、5%以上50%以下が好ましく、より好ましくは5%以上30%以下、さらに好ましくは8%以上30%以下である。ここで、60度鏡面光沢度は、JIS Z 8741に準じて測定した値である。60度鏡面光沢度を上記範囲に有することにより、薄葉紙収納箱1は、しっくりとした、高級感のある外観を得ることとなる。
【0035】
さらに、樹脂ワニス層9側の外表面からみて、薄葉紙収納箱1は、L*a*b*表色系において、L*値は、15以上80以下が好ましく、より好ましくは15以上60以下、さらに好ましくは15以上50以下である。また、a*値が−50以上50以下及びb*値が−50以上50以下であることが好ましい。ここで、L*a*b*表色系におけるL*値、a*値、b*値は、JIS Z 8729に準じて求めた値である。
【0036】
本実施形態において、撥液性ワニス層8及び樹脂ワニス層9を有する薄葉紙収納箱1の区画は特に限定されないが、美粧性を消費者にアピールする観点から、底面部3以外の区画、すなわち、頂面部2及び左右の側面部4、4’、5、5’に備えることが好ましい。一方、薄葉紙収納箱1を積層した薄葉紙収納箱包装体11においては、防滑性の観点から、底面部3に対しても撥液性ワニス層8及び樹脂ワニス層9を備えてもよい。さらに、薄葉紙収納箱1に対する強度向上の観点から、撥液性ワニス層8及び樹脂ワニス層9を有する範囲は、薄葉紙収納箱1の外表面面積の10%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上、最も好ましくは70%以上である。
【0037】
本実施形態において、薄葉紙収納箱1に収納する薄葉紙としてティシュ6を例示したが、他の薄葉紙であってもよく、例えば、トイレットペーパー、ペーパータオル、キッチンタオル、ワイパーをあげることができる。
【0038】
(薄葉紙収納箱包装体)
本実施形態において、
図4に示すように、薄葉紙収納箱1を樹脂フィルム12により複数個まとめて包装する薄葉紙収納箱包装体10の構成をとる。包装する薄葉紙収納箱1の個数は特に限定されないが、3〜5個程度とするのが好ましい。薄葉紙収納箱包装体11薄葉紙収納箱1を高さ方向に積層し、樹脂フィルム12により包装してなり、持ち手13等を備えている。
【0039】
本実施形態において、樹脂フィルム12の種類は特に限定されず、例えばポリエチレン等のプラスチックフィルムを用いることができ、薄葉紙収納箱1の圧着性の観点から、シュリンクフィルムを好適に用いることができる。また、基紙に樹脂層をコーティングやラミネートし、シール可能としたものを用いることもできる。
【0040】
樹脂フィルム12側の外表面からみて、薄葉紙収納箱包装体11の60度鏡面光沢度は、50%以上95%以下が好ましく、より好ましくは55%以上85%以下である。また、L*a*b*表色系において、15以上90以下が好ましく、より好ましくは15以上70以下、さらに好ましくは15以上60以下であるL*値、−50以上50以下のa*値及び−50以上50以下のb*値を有する。60度鏡面光沢度及びL*a*b*表色系の各値を上記範囲に有することにより、薄葉紙収納箱包装体11は、しっくりとした高級感のある薄葉紙収納箱1の外観を損なうことなく、効果的に視認することができる。なお、薄葉紙収納箱包装体11における60度鏡面光沢度及びL*a*b*表色系の各値は、薄葉紙収納箱1の外表面に樹脂フィルム12の皺が無く密着している位置で測定したものである。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例及び比較例をあげて本発明を更に具体的に説明する。
【0042】
[実施例1]
坪量450g/m
2のコートボール紙を基材として、この表面に撥液性ワニスをオフセット印刷で塗工し、乾燥させて、撥液性ワニス層を形成した。この撥液性ワニス層の表面に、UV硬化性の樹脂ワニスをフレキソ印刷で塗布し、撥液性ワニス層から樹脂ワニス成分を弾かせて、
図3に示したような不連続に積層した。次に、紫外線を照射して樹脂ワニスを架橋・硬化させて樹脂ワニス層を形成し、比較試験用の薄葉紙収納箱を作成した。また、
図4に示すように、比較試験用の薄葉紙収納箱を樹脂フィルム(飯田工業薬品株式会社製、材質:高密度ポリエチレン、厚み:21μm)により3個まとめてシュリンク包装し、薄葉紙収納箱包装体を作製した。
【0043】
[実施例2]〜[実施例7]、[比較例1]〜[比較例6]
実施例2〜7及び比較例1〜3においては、表1及び表2の組成で、上記の製造方法に従い、比較試験用の薄葉紙収納箱を作成した。また、比較例4〜6は薄葉紙収納箱の市販品を使用した。実施例1〜7及び比較例1〜6について、各種物性の測定・算出ならびに官能評価を行い、その結果を表1及び表2に示した。なお、平均粒径及び個数の測定については、50μm以上の粒径(短径)を有する樹脂ワニス層を測定対象とした。
【0044】
(平均粒径及び個数の測定)
樹脂ワニス層の粒径は、レーザー顕微鏡(超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9510、KEYENCE社製)を使用して測定した。観察・測定ソフトウェアとしては、製品名「VK Viewer」(KEYENCE社製)を使用した。また、測定条件は、倍率200倍(標準対物レンズは倍率10倍を使用)、測定モードはカラー超深度とし、Autoセットによりゲインをオートで調整し、測定ピッチ0.5μm、ディスタンス(Z軸方向の範囲 μm)をサンプルの紙厚以上に設定し、測定した(対物レンズは、適宜変更して測定しても良い。)。粒径は、画像解析ソフトウェア(VK Analyzer)を用い、画像解析粒子の短径となるよう、2点を指定することで測定した。この粒径が50μm以上の樹脂ワニス層について、目視で個数を測定した。対物レンズが10倍の場合、横1.350mm×高さ1.012mm=1.37mm
2の画像が得られるので、1mm
2当たりの樹脂ワニス層の個数(個/mm
2)に換算した。樹脂ワニス層の個数は、測定を10回行い(10枚の画像を採取し)、平均化した。なお、粒径1000μm以上の樹脂ワニス層の個数については、同様の手法にて測定し、1mm
2当たりの樹脂ワニス層の個数(個/mm
2)10枚の画像の合計((個/mm
2)×10)を求めた。
【0045】
(高さの測定)
樹脂ワニス層の高さは、平均粒径の測定と同様に、レーザー顕微鏡を用いて測定した。画像解析ソフトウェア(VK Analyzer)を使用し、得られた画像からワニス粒子を横切る線分を引き、高さプロファイルを取得した。この高さプロファイルから、樹脂ワニス層の高さを測定した。
【0046】
(非接触式算術平均粗さRaの測定)
非接触式算術平均粗さRaは、JIS B0601(1994)に記載された方法に準拠し、画像解析ソフトウェア(VK Analyzer)を使用した。得られた画像から、表面粗さ(計測解析メニューを使用して、全領域を指定した)を求めた。
【0047】
(触針式算術平均粗さRaの測定)
触針式算術平均粗さRaは、JIS B0601(2001)に記載された方法に準拠し、触針式表面粗さ測定機(SURFCOM 130A、株式会社東京精密製)を用いて、粗さ曲線を求め算出した。測定条件は、評価長さ30mm、測定速度0.6mm/s、カットオフ値8.0mmとした。
【0048】
(60度鏡面光沢度の測定)
60度鏡面光沢度は、JIS Z8741に記載された方法に準拠し、光沢度測定器(Gloss Meter VG7000、日本電色工業株式会社製)を用いて、下記測定条件および解析条件に基づいて測定した。測定条件は、測定方法:反射、測定角度:入射角度60度及び受光角度60度とした。また、薄葉紙収納箱包装体における60度鏡面光沢度は、薄葉紙収納箱の外表面に樹脂フィルムが皺が無く密着している位置で測定した。
【0049】
(色の測定)
L*a*b*表色系における色の測定は、ISO2470に記載された方法に準拠し、分光測色計(CMS−35SPX、株式会社村上色彩技術研究所)を用いて、下記測定条件および解析条件に基づいて行った。測定条件は、光源:C光源、視野角:2度、UV−INとし、専用白色板使用条件下とした。また、薄葉紙収納箱包装体におけるL*a*b*表色系の各値は、薄葉紙収納箱の外表面に、樹脂フィルムの皺が無く密着している位置で測定した。
【0050】
(官能評価)
実施例1〜7及び比較例1〜6の薄葉紙収納箱について、高級感のある外観(粒径50μm以上の樹脂ワニス層の個数、60度鏡面光沢度、L*値)、指紋のつきにくさ(平均粒径、粒径50μm以上の樹脂ワニス層の個数)、高級感のある触感(表面粗さ、触針粗さ、高さ)、均一感(ムラの無さ)(粒径1000μm以上の樹脂ワニス層の個数)について、上記尺度に基づき、専門家による総合的な官能評価を次の5段階で行った。
5:大変優れている、4:優れている、3:普通、2:劣る、1:顕著に劣る
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1及び表2に示す結果から明らかなとおり、本発明の実施例1〜7は、比較例1の衛生薄葉紙に比べて、高級感のある外観、高級感のある触感、指紋のつきにくさ及び均一感において良好であった。特に、実施例7は、全ての官能評価に対して、大変優れていた。
【0054】
これに対し、樹脂ワニス層を形成していない比較例1ならびに市販品の比較例4及び比較例5は、高級感が得られず、指紋もつきやすかった。同様に、樹脂ワニス層を形成していない市販品の比較例6は、高級感のある外観及び高級感のある触感に対して低い評価となった。平均粒径が500μmを超えている比較例2は、指紋がつきやすく、また、1000μm以上の粒子の個数も多く、均一感に欠けていた。平均粒径が70μm未満の比較例3は、高級感が得られなかった。
【0055】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。