(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-31041(P2015-31041A)
(43)【公開日】2015年2月16日
(54)【発明の名称】パネルの保持装置
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20150120BHJP
【FI】
E04B2/74 511B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-160853(P2013-160853)
(22)【出願日】2013年8月1日
(71)【出願人】
【識別番号】593173840
【氏名又は名称】株式会社トッパン・コスモ
(71)【出願人】
【識別番号】513195259
【氏名又は名称】日本大亜株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083884
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 淳一
(72)【発明者】
【氏名】竹中 聡史
(72)【発明者】
【氏名】新名 勝之
(72)【発明者】
【氏名】末武 洋一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吊柱部材を外周面に設けられた係合部に調整材の係止部が所定角度で配列して係止するパネルの保持装置の提供。
【解決手段】吊柱金具1とその先端部にパネル等の端部の挿入口を有する調整材9とからなり、吊柱金具1は複数の吊柱部材と吊柱部材内に挿通されるスリーブとスリーブの中央に挿通される通しボルトからなり、複数の吊柱部材の外周面には1又は2以上の係合部と調整材9の基端部には係合部の係止部を設けるとともに、吊柱部材はその外周面に設けられた係合部に調整材9の係止部が所定角度で配列して係止する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊柱金具とその先端部にパネル等の端部の挿入口を有する調整材とからなり、吊柱金具は複数の吊柱部材と該吊柱部材内に挿通されるスリーブと該スリーブの中央に挿通される通しボルトからなり、上記複数の吊柱部材の外周面には1又は2以上の係合部と上記調整材の基端部には該係合部の係止部を設けるとともに、吊柱部材はその外周面に設けられた係合部に調整材の係止部が所定角度で配列して係止されるようにしたことを特徴とするパネルの保持装置。
【請求項2】
吊柱部材が四角柱部材であり、その4周面のうち1面又は複数面に係合部を設けた請求項1記載のパネルの保持装置。
【請求項3】
四角柱部材の外周面に設けられた係合部に調整材の係止部がL型に配列して係止されるようにした請求項1記載のパネルの保持装置。
【請求項4】
四角柱部材の外周面に設けられた係合部に調整材の係止部がT型に配列して係止されるようにした請求項1記載のパネルの保持装置。
【請求項5】
四角柱部材の外周面に設けられた係合部に調整材の係止部が十字型に配列して係止されるようにした請求項1記載のパネルの保持装置。
【請求項6】
吊柱部材が円柱部材であり、その外周に係合部を設けた請求項1記載のパネルの保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルをフレキシブルに、多様な角度で保持するようにした保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パネルの保持装置としては、壁面や屋根面において、フレーム材で区画された開口部に配置されるパネルの板厚が開口部毎に相違する場合1種類のガスケットと受け材の組み合わせによってパネルの板厚に対応するもの(特開2004-76419)。簡易に正確なパネル支持柱の位置出しができ、柱受け部材を設置した状態で、柱の固定位置の微調整を行うことができるパネル保持装置(特開2013-2225)等が知られている。
【0003】
また、パネル相互をL型、T型、十字型に固定するには、相互のパネル端部にL型、T型、十字型金具を宛がいビス等で固定することが行われており、
図12は従来法によるL型パネル保持方法を模式的に示すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-76419
【特許文献2】特開2013-2225
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような固定方法では、パネルと固定部材直に固定されているため、地震等の揺れ時にパネルの動きが拘束され破損を起こすことがある。
【0006】
そこで、本発明はパネルをフレキシブルに、且つ多様な角度で保持されるような保持装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は吊柱金具とその先端部にパネルの端部の挿入口を有する調整材とからなり、吊柱金具は複数の吊柱部材と該吊柱部材内に挿通されるスリーブと該スリーブの中央に挿通される通しボルトからなり、上記複数の吊柱部材の外周面には1又は2以上の係合部と上記調整材の基端部には該係合部の係止部を設けるとともに、吊柱部材はその外周面に設けられた係合部に調整材の係止部が所定角度で配列して係止されるようにしたことを特徴とするパネルの保持装置を提案するものである。
【発明の効果】
【0008】
即ち、本発明では吊柱金具の外周面に形成された係合部は調整材の基端部に形成された係止部に緩く結合されているため、パネル相互はフレキシブルに保持され、地震等の揺れ時にパネルの動きが拘束され破損を起こすことがない。
【0009】
また、本発明では調整材を使用することにより調整スペースが確保されるため、パネルがフレキシブルに保持することができ、しかもパネルを取り付ける際の調整を容易にできる。
【0010】
更に、本発明の吊柱金具は、その1面又は複数面に係合部を形成した吊柱部材を係合部の角度を違えてスリーブに取り付けることにより、L型、T型、十字型等の配列のパネル保持装置が容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】本発明のL型パネル保持装置の組み立て状態の一例を示す斜視図
【
図4】本発明の一例を示すL型パネル保持装置の断面図
【
図6】本発明の他の一例を示すT型パネル保持装置の断面図
【
図8】本発明の更に他の一例を示す十字型パネル保持装置の断面図
【
図10】円柱の吊柱金具を使用した本発明パネル保持装置の組み立て状態の一例を示す図
【
図12】従来法によるL型パネル保持方法を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
吊柱金具とその先端部にパネルの端部の挿入口を有する調整材とからなり、吊柱金具は複数の吊柱部材と該吊柱部材内に挿通されるスリーブと該スリーブの中央に挿通される通しボルトからなり、上記複数の吊柱部材の外周面には1又は2以上の係合部と上記調整材の基端部には該係合部の係止部を設けるとともに、吊柱部材はその外周面に設けられた係合部に調整材の係止部が所定角度で配列して係止されるようにしたパネルの保持装置。
【実施例1】
【0013】
1は四角柱の吊柱金具、2は内部に突起3,・・・を有する複数の四角柱部材、4は四角柱部材2内に挿通されるスリーブ、5は通しボルトである。
【0014】
スリーブ4は突起3,・・・に支持されて複数の四角柱部材3の中心に挿通され、通しボルト5はスリーブ4の中央に設けられた穴6より挿通されて吊柱金具1が構成される。なお、この実施例では四角柱部材2の内部に突起3,・・・を設けたが、スリーブ4の変更対応により突起3,・・・を設ける必要がない場合もある。
【0015】
通しボルト5の上端部には上レールに固定される取付金具7が設けられ、下端部には四角柱部材
2の底部を塞ぐ小口カバー8が設けられる。
【0016】
9は板状の調整材で、その先端部にはパネル10の端部挿入口11が上下方向に形成され、また調整材9の底部は小口カバー8で塞がれ、12は小口カバー8を取り付けるビスホール、13はビスである。
【0017】
パネル10は挿入口11より調整材9内に挿入されるが、調整材9を使用することにより調整スペースが確保され、パネル11を取り付ける際の調整を容易にできる。なお、14はパネル10の吊り棒である。
【0018】
一方、四角柱部材2,・・・の1面には係合突起15が設けられ、調整材9の基端部には係合突起15の係止溝16が上下方向に形成されている。
【0019】
四角柱の吊柱金具1と調整材9を組み合わせてL型のパネル10の保持装置を構成するに際して、下段より上段に四角柱部材2,・・・を係合突起15,・・・が互いに90度の角度違いで配置されるように吊柱金具1を構成すれば、係合突起15に係止される調整材9の間にはL型断面のパネルの保持装置が提供できる(
図4、
図5)。
【0020】
更に、
図6、
図7のように、四角柱部材2,・・・の係合突起15,・・・がT型配列になるように角度違いで配置して吊柱金具1を構成すれば、係合突起15に係止される調整材9の間にはT型断面のパネルの保持装置が提供できる。
【0021】
また、
図8、
図9のように、四角柱部材2,・・・の係合突起15,・・・が十字型配列になるように角度違いで配置して吊柱金具1を構成すれば、係合突起15に係止される調整材9の間には十字型断面のパネルの保持装置が提供できる。
【0022】
もちろん、各面に係合突起15がそれぞれL型、T型、十字型に四角柱部材2を使用しても、係合突起15に係止される調整材9の間にL型、T型、十字型断面のパネル保持装置が提供できる。
【実施例2】
【0023】
この実施例では吊柱部材で円柱を構成した例を示す。円柱部材17,・・・の外周には係合突起15,・・・が設けられており、円柱部材17の外周に設けられた互いに任意の角度で配列されるように円柱部材17,・・・をスリーブ4に取り付ける。これにより調整材9を任意の角度で固定できるので、自由なデザインに対応ができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上要するに、本発明はパネルをフレキシブルに保持でき、しかもパネル相互の角度調整に容易に対応できるため、特に防煙垂壁パネル用として好適なパネル保持装置を提供できる。
【符号の説明】
【0025】
1は吊柱金具
2は四角柱部材
3は突起
4はスリーブ
5は通しボルト
6は穴
7は取付金具
8は小口カバー
9は調整材
10はパネル
11はパネルの端部挿入口
12はビスホール
13はビス
14はパネルの吊り棒
15は係合突起
16は係止溝
17は円柱部材