(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-31049(P2015-31049A)
(43)【公開日】2015年2月16日
(54)【発明の名称】セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法
(51)【国際特許分類】
E02B 15/00 20060101AFI20150120BHJP
【FI】
E02B15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-161130(P2013-161130)
(22)【出願日】2013年8月2日
(71)【出願人】
【識別番号】593066634
【氏名又は名称】海和テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】小坂 康之
【テーマコード(参考)】
2D025
【Fターム(参考)】
2D025AA03
(57)【要約】
【課題】浚渫作業などの作業終了後、セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を分割して次の作業区域に移動させる一方、固定型汚濁防止装置を残すことで、汚濁粒子の拡散を防止しつつ効率よく浚渫作業などの作業を行える。
【解決手段】浚渫作業を行なう作業水域を囲むように、内側に枠状のフロート部22とその全周に吊設される汚濁防止膜23とを備える固定型汚濁防止装置21を、外側にセパレートタイプの汚濁拡散防止装置1をそれぞれ設置する工程と、固定型汚濁防止装置21を汚濁拡散防止装置1で囲んだ状態で、浚渫作業を行う工程と、浚渫作業の終了後、固定型汚濁防止装置21を残し、汚濁拡散防止装置1を分割して移動させる工程とを有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浚渫作業などの作業を行なう作業水域を囲むように水面に浮かべて設置される枠状のフロート部とその全周に吊設される汚濁防止膜とを備え、前記フロート部が周方向において複数のフロート単体に分割可能で、前記フロート単体ごとに前記汚濁防止膜が分割されるセパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法であって、
前記作業水域を囲むように、枠状のフロート部とその全周に吊設される汚濁防止膜とを備える固定型汚濁防止装置を内側に、前記セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を外側にそれぞれ設置する工程と、
前記固定型汚濁防止装置を前記汚濁拡散防止装置で囲んだ状態で、前記浚渫作業などの作業を行う工程と、
前記作業終了後、前記固定型汚濁防止装置を残し、前記汚濁拡散防止装置を分割して移動させる工程とを有する、セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法。
【請求項2】
前記固定型汚濁防止装置のフロート部は、矩形枠状で、
前記汚濁拡散防止装置は、前記フロート部が、2つの、コの字状のフロート単体を分離可能に組み合わせて矩形枠状となるものであり、前記2つのフロート単体を分離可能に接続した状態で、前記固定枠状汚濁防止装置を囲むように設置される、請求項1記載のセパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法。
【請求項3】
前記各コの字状のフロート単体は、タグボートまたは前記作業船にて移動させる、請求項2記載のセパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法。
【請求項4】
前記固定型汚濁防止装置のフロート部は、矩形枠状で、
前記汚濁拡散防止装置は、前記フロート部が、コの字状のフロート単体と直線状のフロート単体とを分離可能に組み合わせて矩形枠状となるものであり、前記コの字状のフロート単体と前記直線状のフロート単体とを分離可能に接続した状態で、前記固定型汚濁防止装置を囲むように設置される、請求項1記載のセパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法。
【請求項5】
前記コの字状のフロート単体と前記直線状のフロート単体とは、タグボートまたは前記作業船にて移動させる、請求項4記載のセパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋土木工事などで発生した汚濁水による水質汚染の拡大を防止する、セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法であって、主として浚渫作業で用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、港湾・湖・河川などで行なわれる工事で、例えば、ヘドロの浚渫工事や水底の基礎工事(基礎石の投入など)、鋼管杭やコンクリート杭などの打込み工事などの、比較的作業水域の狭い工事において、発生した汚濁水による水質汚染の拡大を防止するため、枠状のフロート部(グラフ枠)を備え作業水域を囲むように設置される汚濁拡散防止装を用いることがある。そのフロート部の全周には汚濁防止膜が吊設されていて、そのような汚濁拡散防止装置は、そのフロート部で作業水域を囲むように設置されるのである。
【0003】
このような汚濁拡散防止装置のフロート部は、数本の鋼管を連結して枠状にしたもので、鋼管内の気密性を保つことで浮力を持たせている。そして、汚濁防止膜は、フロート部の下部に全周にわたって設けられており、その下端部にチェーンなどの錘が取付けられ、水流などを受けても流されにくくなっている。このようなフロート部と汚濁防止膜とによって、発生した汚濁水が、汚濁拡散防止装置の内側に滞留するようにし、水質の汚染拡大をくい止めているのである。なお、汚濁拡散防止装置は、漂流しないようにタグボートやクレーン船などの作業船に係留されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、このような汚濁拡散防止装置を、前述したような作業(工事)で用いる場合には、通常、このような汚濁拡散防止装置のフロート部は、両端にフランジ部を有する鋼管を、ボルトで連結し一体にしたもので、鋼管の各連結部にパッキンなどを取付けて鋼管内の気密性を保ち浮力を持たせている。したがって、フロート部は、水面に浮かべた状態では容易に分割することができないので、別の作業水域に移動したりする場合には、汚濁拡散防止装置を、クレーン船などを用いて一旦吊り上げなければならない。このため、汚濁拡散防止装置のような重量物を、風や波の影響を受けやすいクレーン船で吊り上げるので、揺れや落下などによる事故発生のおそれがある。特に、悪天候下での作業は、より一層そのような事故が生じやすくなる。
【0005】
そこで、このような問題点を解決するために、分割が可能であるセパレートタイプとすることで、取り扱いが容易であるとともに、作業の安全性向上とコストダウンとを図ることができる汚濁拡散防止装置を先に提案している(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−229162号公報
【特許文献2】特開2005−68930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の技術では、作業水域を囲んで設置している汚濁拡散防止装置を、汚濁拡散防止装置(汚濁拡散防止膜)内の濁りが沈降してSS濃度が低下するまで、作業水域を囲むように設置しておかなければならない。つまり、SS濃度が一定濃度以下になるまで、次の作業水域に移動させることができず、作業効率が低かった。
【0007】
そこで、発明者は、前記セパレートタイプ(分割可能タイプ)の汚濁拡散防止装置内に固定型汚濁防止装置を設ければ、外周にある汚濁拡散防止装置を分割して、次の作業領域へ移動させても、汚濁粒子が周囲に拡散することなく沈降するまで、内側にある固定型汚濁防止装置を作業領域の周囲を囲むようにそのまま残しておけることに着想し、本発明をなしたものである。
【0008】
本発明は、固定型汚濁防止装置とセパレートタイプの汚濁拡散防止装置とを併用することで、浚渫作業などの作業終了後、内側にある固定型汚濁防止装置を残し、セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を分割して次の作業区域に移動させるようにすることで、汚濁粒子の拡散を防止しつつ、浚渫作業などの作業を効率よく行える、セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、浚渫作業などの作業を行なう作業水域を囲むように水面に浮かべて設置される枠状のフロート部とその全周に吊設される汚濁防止膜とを備え、前記フロート部が周方向において複数のフロート単体に分割可能で、前記フロート単体ごとに前記汚濁防止膜が分割されるセパレートタイプの汚濁拡散防止装置を用いる工法であって、前記作業水域を囲むように、枠状のフロート部とその全周に吊設される汚濁防止膜とを備える固定型汚濁防止装置を内側に、前記セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を外側にそれぞれ設置する工程と、前記固定型汚濁防止装置を前記汚濁拡散防止装置で囲んだ状態で、前記浚渫作業などの作業を行う工程と、前記作業終了後、前記固定型汚濁防止装置を残し、前記汚濁拡散防止装置を分割して移動させる工程とを有する、ことを特徴とする。ここで、固定型汚濁防止装置を設置した後にその外側にセパレートタイプの汚濁拡散防止装置を設置してもよいし、セパレートタイプの汚濁拡散防止装置を設置した後その内側に固定型汚濁防止装置を設置するようにしてもよい。
【0010】
このようにすれば、汚濁拡散防止装置内に固定型汚濁防止装置を設置して浚渫作業などの作業を行い、その作業終了後に、汚濁拡散防止装置を複数個に分割して次の作業領域に移動させても、SS濃度が低減するまで固定型汚濁防止装置を残しておけるので、汚濁粒子の拡散防止を確保して作業効率を高めることができる。また、SS濃度が高くなる作業中は、汚濁拡散防止装置の汚濁防止膜と固定型汚濁防止装置の汚濁拡散防止膜との二重カーテン構造となっているので、汚濁粒子の拡散防止に対し有利である。そして、汚濁拡散防止装置を複数個に分割して次の作業領域に移動させるので、取扱いも容易である。
【0011】
請求項2に記載のように、前記固定型汚濁防止装置のフロート部は、矩形枠状で、前記汚濁拡散防止装置は、前記フロート部が、2つの、コの字状のフロート単体を分離可能に組み合わせて矩形枠状となるものであり、前記2つのフロート単体を分離可能に接続した状態で、前記固定枠状汚濁防止装置を囲むように設置される、ようにすることができる。
【0012】
この場合、請求項3に記載のように、前記各コの字状のフロート単体は、タグボートまたは前記作業船にて移動させる、ようにすればよい。
【0013】
また、請求項4に記載のように、前記固定型汚濁防止装置のフロート部は、矩形枠状で、前記汚濁拡散防止装置は、前記フロート部が、コの字状のフロート単体と直線状のフロート単体とを分離可能に組み合わせて矩形枠状となるものであり、前記コの字状のフロート単体と前記直線状のフロート単体とを分離可能に接続した状態で、前記固定型汚濁防止装置を囲むように設置される、ようにすることもできる。
【0014】
この場合も、請求項5に記載のように、前記コの字状のフロート単体と前記直線状のフロート単体とは、タグボートまたは前記作業船にて移動させる、ようにすればよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、汚濁拡散防止装置内に固定型汚濁防止装置を配設して浚渫作業などの作業を行うようにしているので、その作業終了後に、汚濁拡散防止装置を分割して次の作業領域に移動させても、SS濃度が低減するまで固定型汚濁防止装置を残すことで、汚濁粒子の拡散防止を確保して作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るセパレートタイプの汚濁拡散防止装置の側面図である。
【
図2】前記汚濁拡散防止装置の分割状態を示す平面図である。
【
図3】前記汚濁拡散防止装置の汚濁防止膜の説明図である。
【
図10】(a)(b)はそれぞれ別の工法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明において用いるセパレートタイプの汚濁拡散防止装置については、基本的な構造は特開2005−68930号公報に記載のものと同一であるので、必要な部分のみ説明し、その細部についての説明は省略する。
【0018】
図1に示すように、汚濁拡散防止装置1は、主に水面に浮かべて設置される平面視矩形枠状のフロート部2と、このフロート部2の全周において吊設されている汚濁防止膜3とから構成されている。
【0019】
フロート部2は、
図2に示すように、平面視コの字枠状の2つのフロート単体2aを、それらの両端部どうしを突き合わせるようにして連結させたもので、分割可能である。各フロート単体2aは、鋼鉄製の直管と曲管とを用いて組み立てられており、直管と曲管との各端部に設けられているフランジ部どうしを、パッキン挟み込んだ状態で、ボルト締結することにより一体としたものである。なお、これらのフロート単体2aは、直管の端部開口部をそれぞれ、円板状の蓋4で塞ぐことにより管内の気密性を保ち浮力を持たせている。
【0020】
そして、一方のフロート単体2aには、蓋に係合凸部2cが設けられている一方、他方のフロート単体2aの蓋には、係合凸部2cが係脱可能である係合凹部が設けられている。
【0021】
なお、本実施の形態ではフロート単体2aは、複数の鋼管を連結して構成したものであるが、FRP(繊維強化プラスチック)などのプラスチック材料で形成した筒状体を繋げて構成してもよい。この場合にはフロート単体の軽量化を図ることができる。
【0022】
汚濁防止膜3は、透水性を有するポリエステル製のキャンバスを用いて形成されており、フロート単体2aごとに分割されている。汚濁防止膜3は、
図3に示すように、上端部が、フロート単体2aの汚濁防止膜用レール5に、シャックル6を介して連結されることで、吊り下げられている。この汚濁防止膜用レール5は鋼鉄製の丸棒を、フロート単体2aの長手方向に沿って設置し、フロート単体2aから突設させたステーで支持させたものである。また、各汚濁防止膜3には、上下方向に延びる複数の補強ベルト7が一定間隔で設けられ、下端部には重り10が設けられている。
【0023】
また、各フロート単体2aの上部には、全長にわたって作業用の手摺付の通路枠8が取付けられており、4台のウインチ9が所定の間隔で設置されている。各ウインチ9から鉛直方向に送り出されたワイヤー(図示せず)を、ウインチ9を駆動して巻き上げれば、汚濁防止膜3を上昇させることができる。
【0024】
また、本発明に係る工法には、汚濁拡散防止装置1に加えて、汚濁拡散防止装置1内には設置される固定型汚濁防止装置21が用いられる。この固定型汚濁防止装置21は、分割可能ではない点、一回り小さい点を除き、汚濁拡散防止装置1と同様な構造で、主に水面に浮かべて設置される平面視略四角形の枠状のフロート部22(フロート単体22a)と、このフロート部22の全周において吊設されている汚濁防止膜23とから構成されている。
【0025】
次に、セパレートタイプの汚濁拡散防止装置1と、固定型汚濁防止装置21とを用いる、本発明に係る工法を、グラブバケット31で水底に堆積した土砂を掘削するグラブ浚渫工法による浚渫作業を行う場合について説明する。
(工程1)
まず、浚渫作業を行う作業水域Aを囲むように水面に浮かべて設置される枠状のフロート部22とその全周に吊設される汚濁防止膜23とを備える固定型汚濁防止装置21を設置する。
(工程2)
固定型汚濁防止装置21の周囲を囲むように汚濁拡散防止装置1を設置する。
【0026】
具体的には,
図5に示すように、係合凹部のある一方のフロート単体2aを、係合凹部(図示せず)を前方に向けた状態で、作業水域に停泊させている作業船Sの船首にロープなどで係留する。また、係合凸部2cのあるフロート単体2aをタクボートTBで曳航し、その係合凸部2cが、作業船Sに係留されているフロート単体2aの前記係合凹部に対向するようにして設置する。この状態で、固定型汚濁防止装置21は、2つのフロート単体2aによって挟まれた位置関係となっている。このとき、フロート単体2aに設置されているウインチ9のワイヤーを巻揚げ、汚濁防止膜3の下端部を水底から離しておくと、汚濁防止膜3が水底の障害物などに引掛ったりすることなくスムーズに曳航することができる。
【0027】
それから、
図6に示すように、作業者が小型艇(図示せず)などに乗って、作業船Sのデッキの左舷側と右舷側とに設置されているウインチS1のワイヤーS2をそれぞれ前方に向かって引き出し、係留されているフロート単体2aにあるビット2qに引っ掛けた後、他方のフロート単体2aのビット2qにそれぞれ巻き付け固定する。その際、各ワイヤーS1は、他方のフロート単体2aにある反対側のビット2qに固定するので、ワイヤーS1はクロスした状態となる。このように、2本のワイヤーS2をクロスさせた状態にしておけば、ワイヤーS2を巻き取って他方のフロート単体2aを引き寄せる際、そのフロート単体2aを横方向へ移動させやすくなり、左右の位置合わせが簡単に行える。
【0028】
そして、
図7に示すように、ウインチS1を駆動してワイヤーS2を巻き取り、他方のフロート単体2aを、横方向の位置合わせをしつつ徐々に引き寄せ、その係合凸部2cを、係留されているフロート単体2aの係合凹部に結合する。その状態で、両フロート単体2aのビット2qどうしを、ロープなどの連結索で繋ぐことにより、フロート単体2aどうしを連結する。この作業が終了すれば、各ワイヤーS2をビット2qから外しウインチS1に巻き戻すとともに、各フロート単体2aにあるウインチ9を駆動して、汚濁防止膜3の下端部を水底まで下げる。このとき、ダイバーを潜らせて、各汚濁防止膜3どうしを接続し、汚濁粒子が拡散しないようにする。
【0029】
このようにして、固定型汚濁防止装置および汚濁拡散防止装置1を、作業水域に設置した後、
図8に示すように、仮設汚濁装置21を前記汚濁拡散防止装置1で囲んだ状態で、作業船Sで浚渫作業を行なう。作業中に発生した汚濁水は、固定型汚濁防止装置21のフロート部22や水底Bまで設けられている汚濁防止膜23によって、固定型汚濁防止装置21の内側に留められ、装置外側へ広く拡散しないようになっている。このとき、固定型汚濁防止装置21だけでなく、汚濁拡散防止装置1との二重防止構造となっており、汚濁水が二重に塞がれ、外側へ漏れにくくなっている。
(工程3)
浚渫作業の終了後、固定型汚濁防止装置21を残し、グラブバケット31を作業クレーン32にて吊り上げて汚濁拡散防止装置1を2つに分割して移動させる。
【0030】
そして、分割した汚濁拡散防止装置1を順番にタグボートTBで曳航し、
図9に示すように、別の地点の作業水域へ移動させるのである。このように、汚濁拡散防止装置1を2つに分割して移動させることができるので、簡単に移動することができる。このとき、作業船Sに係留されるフロート単体2aは、タグボートTBではなく作業船Sにて曳航することも可能である。
【0031】
汚濁拡散防止装置1を次の作業領域に移動させても、SS濃度が低減するまで固定型汚濁防止装置21を残しておけるので、汚濁粒子の拡散防止を確保して作業効率を高めることができる。
【0032】
前述したように、作業水域を形成するフロート部2を、2つの、コの字枠状のフロート単体2aを組み合わせて構成するほか、
図10に示すように、汚濁拡散防止装置1Aのフロート部2Aは、コの字状のフロート単体2Aaと直線状のフロート単体2Abとを組み合わせて矩形枠状となるものとすることも可能である。この場合、直線状のフロート単体2Abが作業船Sの船首にロープなどで係留し、コの字状のフロート単体2AaをタグボートTBにて曳航して、前述した場合と同様にして、作業船Sに係留される直線状のフロート単体2Abに分離可能に接続した状態で、所定の作業水域において、内部に固定型汚濁防止装置21を囲むように、矩形枠状の汚濁拡散防止装置1Aが設置されることになる。3Aa,3Abはそれぞれ汚濁防止膜である。
【0033】
また、固定型汚濁防止装置21を先に設置する必要はなく、先にセパレートタイプの汚濁拡散防止装置1を設置した後、固定型汚濁防止装置21を設置するようにしてもよい。
【0034】
さらに、本発明は、浚渫作業に限らず、汚濁水が発生する作業であれば、水底の基礎工事(基礎石の投入など)、鋼管杭やコンクリート杭などの打込み作業などの他の作業の場合も、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
S 作業船
TB タグボート
1,1A 汚濁拡散防止装置
2,2A フロート部
2a,2Aa,2Ab フロート単体
2b 係合凸部
2c 係合凹部
3,3Aa,3Ab汚濁防止膜
3c 骨部材
4 連結索
21 固定型汚濁防止装置
22 フロート部
23 汚濁防止膜