特開2015-31130(P2015-31130A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-31130地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-31130(P2015-31130A)
(43)【公開日】2015年2月16日
(54)【発明の名称】地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/04 20060101AFI20150120BHJP
【FI】
   E03F5/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-163716(P2013-163716)
(22)【出願日】2013年8月7日
(71)【出願人】
【識別番号】313008788
【氏名又は名称】大石 征夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】大石 征夫
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA13
2D063CA03
(57)【要約】
【課題】透水性を維持するための定期的なメンテナンスを行う必要のない地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路を提供する。
【解決手段】雨水等の水Wが水路14に流れて地下浸透型水路ブロック1を通過すると、一部の水Wは開口9から礫層12を透り、溝Mの底から地下Uへと浸透していく。導水路13は開口9に向かって幅寸法が徐々に小さくなっているため、水Wは導水路13を流れるにつれて、その流れが速くなり、開口9の上を勢いよく流れる。従って、水WにヘドロやゴミGが含まれていても、ヘドロやゴミGは水Wとともに下流へ流されるため、礫層12に堆積することはない。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側壁と底壁とを有する地下浸透型水路ブロックにおいて、前記底壁に形成される開口と、前記底壁から立ち上がる立ち上がり部によって形成され前記開口へ向かって幅寸法が徐々に小さくなる導水路とを備えたことを特徴とする地下浸透型水路ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載した地下浸透型水路ブロックにおいて、導水路の底部の開口側端部を開口の上面より高い位置に備えたことを特徴とする地下浸透型水路ブロック。
【請求項3】
請求項1または2に記載した地下浸透型水路ブロックにおいて、底壁の下面には開口の縁に沿い、且つ下方へ突出する補強部が形成されていることを特徴とする地下浸透型水路ブロック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載した地下浸透型水路ブロックが、地面を掘って形成された溝に備えられて成る水路において、前記溝の底には礫が敷かれて透水性を有する礫層が形成され、前記礫層に前記地下浸透型水路ブロックが設置されていることを特徴とする水路。
【請求項5】
請求項4に記載した水路において、両側壁と底壁とから成り、透水性を有しない非透水型水路ブロックが地下浸透型水路ブロックに連結されていることを特徴とする水路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路に係り、特に水路を流れる雨水等の一部を地下に浸透させる地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年都市化が進むにつれ、道路や建物周辺の地面の舗装化が進んでいる。従って、雨水等の大半が地面から地下へ浸透することなく、側溝等の水路を通って海へ放流されてしまう。その結果、地下水の枯渇を引き起こし、地盤沈下等の原因となっている。
一方、水が地面から地下へ浸透しないと、その分水路を流れる水の量が増加する。特に昨今は異常気象による大雨が増加しているため、益々水路を流れる水の量が増加して排水される量を超えてしまい、水路から水が溢れて洪水等を引き起こす原因となっている。
そこで、従来から水路を流れる雨水等の水の一部を地下に浸透させることができる地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路が提案されている。
【0003】
このような地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路としては、例えば特許文献1に開示されているものがある。この地下浸透型水路ブロックは両側壁と底壁とによって断面U字型に形成されている。底壁は透水性を有するポーラスコンクリート製であり、水路内を流れる水の一部が底壁を透って地下へ浸透する。底壁はドロやゴミによって目詰まりを起こしてしまうので交換できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−242288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の地下浸透型水路ブロックおよび水路は、その透水性を維持するために底壁を交換する必要があり、定期的なメンテナンスを行わなければならないという問題がある。
【0006】
本発明は上記従来の問題に着目して為されたものであり、透水性を維持するための定期的なメンテナンスを行う必要のない地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、両側壁と底壁とを有する地下浸透型水路ブロックにおいて、前記底壁に形成される開口と、前記底壁から立ち上がる立ち上がり部によって形成され前記開口へ向かって幅寸法が徐々に小さくなる導水路とを備えたことを特徴とする地下浸透型水路ブロックである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した地下浸透型水路ブロックにおいて、導水路の底部の開口側端部を開口の上面より高い位置に備えたことを特徴とする地下浸透型水路ブロックである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した地下浸透型水路ブロックにおいて、底壁の下面には開口の縁に沿い、且つ下方へ突出する補強部が形成されていることを特徴とする地下浸透型水路ブロックである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載した地下浸透型水路ブロックが、地面を掘って形成された溝に備えられて成る水路において、前記溝の底には礫が敷かれて透水性を有する礫層が形成され、前記礫層に前記地下浸透型水路ブロックが設置されていることを特徴とする水路である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載した水路において、両側壁と底壁とから成り、透水性を有しない非透水型水路ブロックが地下浸透型水路ブロックに連結されていることを特徴とする水路である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の地下浸透型水路ブロックおよびそれを用いた水路によれば、雨水等を地下へ浸透させる透水性を維持するための定期的なメンテナンスを行う必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一の実施の形態に係る地下浸透型水路ブロックの一部破断斜視図である。
図2図1の地下浸透型水路ブロックの平面図である。
図3】水路をつくるため図1の地下浸透型水路ブロックを配設する溝の平面図である。
図4図3のA−A断面図である。
図5図1の地下浸透型水路ブロックを用いた水路の構成を説明するための平面図である。
図6図5のB−B断面図である。
図7図1の地下浸透型水路ブロックを用いた水路における水の流れを説明するための平面図である。
図8図7のC−C断面図である。
図9】本発明の第二の実施の形態に係る地下浸透型水路ブロックを用いた水路において、水の流れを説明するための断面図である。
図10】本発明の第三の実施の形態に係る地下浸透型水路ブロックの下面側を示す斜視図である。
図11図8のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図6によって本発明の第一の実施の形態に係る地下浸透型水路ブロック1を説明する。
符号3は水路ブロック本体を示し、この水路ブロック本体3は左右の側壁5と底壁7とを有しており、正面視略U字型に形成されている。底壁7には方形の開口9が形成されており、この開口9はやや後寄りに備えられている。
底壁7の上面には一対の立ち上がり部11が形成され、この一対の立ち上がり部11と底壁7に囲まれた領域に導水路13が形成されている。導水路13は水路ブロック本体3の前端部から開口9の縁に連なっている。一対の立ち上がり部11は平面視ハの字型を為しており、導水路13は開口9に向かって幅寸法が徐々に小さくなっている。
【0015】
地下浸透型水路ブロック1を用いた水路14の施工方法について説明する。
図3、4に示すように、地面に溝Mを掘り、溝Mの底の所定箇所を多少深く掘って、この深く掘った箇所に礫としての4号単粒度程度の砕石Sを敷いて礫層12を形成する。この礫層12を形成する箇所は後述する地下浸透型水路ブロック1の開口9が対応する部分である。次いで、溝Mの底の礫層12の部分を除いて捨てコンクリートCを打設する。この捨てコンクリートCを打設することによって溝Mの水平、傾斜を調整する。
【0016】
溝Mの捨てコンクリートC上には地下浸透型水路ブロック1と、非透水型水路ブロック15を設置する。非透水型水路ブロック15は底壁8と側壁10とから成り正面視U字型で開口9と立ち上がり部11を有しておらず、透水性を有していないものである。地下浸透型水路ブロック1の間には2つの非透水型水路ブロック15を配設する。地下浸透型水路ブロック1と非透水型水路ブロック15、非透水型水路ブロック15どうしをそれぞれ互いに連結して水路14を形成する。地下浸透型水路ブロック1は開口9が礫層12に対応するように備える。従って、開口9からは礫層12が露出している。
礫層12の砕石Sの間には隙間が形成されているため、礫層12は透水性を有している。従って、地下浸透型水路ブロック1の内面は開口9と礫層12を介して溝Mの底に連通している。
【0017】
地下浸透型水路ブロック1の水路14に水Wが流れる様子について説明する。
図7図8において矢印に示すように、雨水等の水Wが水路14に流れて地下浸透型水路ブロック1を通過すると、一部の水Wは開口9から礫層12を透り、溝Mの底から地下Uへと浸透していく。
図7の矢印に示すように、導水路13は開口9に向かって幅寸法が徐々に小さくなっているため、水Wは導水路13を流れるにつれて、その流れが速くなり、開口9の上を勢いよく流れる。従って、水WにヘドロやゴミGが含まれていても、ヘドロやゴミGは水Wとともに下流へ流されるため、礫層12に堆積することはない。
【0018】
また、水路14を流れる水Wが少ないときなどにおいて、礫層12にヘドロやゴミGが堆積してしまったとしても、水路14を流れる水Wが多くなれば、導水路13によって流れが速くなった水Wによって堆積したヘドロやゴミGが下流へ押し流される。従って、礫層12に堆積したヘドロやゴミGを取り除くことができ、礫層12が目詰まりするのを防止することができる。
このように、地下浸透型水路ブロック1を用いた水路14によれば、雨水等を地下へ浸透させる透水性を維持するための、定期的なメンテナンスを行なう必要がなくなる。
【0019】
図9によって本発明の第二の実施の形態に係る地下浸透型水路ブロック17を説明する。
地下浸透型水路ブロック17は第一の実施の形態に係る地下浸透型水路ブロック1と同様の構成部分を有するので、同様の構成部分については地下浸透型水路ブロック1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
符号19は導水路13の底部を示し、この底部19は開口9の上面より高い位置に備えられている。底部19の前端部20は導水路13の前端部から上り勾配となっている。底部19の開口側端部21は開口9の上面より高い位置に備えられ、開口9との間に段差23が形成されている。
【0020】
地下浸透型水路ブロック17を用いた水路24に水Wが流れる様子について説明する。
水Wが導水路13を流れると、その流れが速くなり、開口9の上を勢いよく流れる。底部19の開口側端部21は開口9の上面より高い位置に備えられているため、水Wは開口9より高い位置で勢いよく流れることになる。従って、水WにヘドロやゴミGが含まれていても、礫層12に堆積することはない。
【0021】
図10、11によって本発明の第三の実施の形態に係る地下浸透型水路ブロック25を説明する。
地下浸透型水路ブロック25は第一の実施の形態に係る地下浸透型水路ブロック1と同様の構成部分を有するので、同様の構成部分については地下浸透型水路ブロック1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
底壁7の下面に、開口9の縁に沿って下方へ突出する凸状部から成る補強部27が形成されている。従って、開口9の縁に亀裂が入るのを防止することができ、更に底壁7全体の強度が大きくなる。
【0022】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、底壁に形成された開口は方形に限らず、例えば円形にしてもよい。
また、礫層は砕石に限らず、コンクリート片、粒状のセラミック等で構成してもよい。
第一の実施の形態では、地下浸透型水路ブロック1と非透水型水路ブロック15を配設する割合を1:2としたが、本発明はこれに限定されず、水路14を流れる水の量、地下へ浸透させる水の量などを勘案して、適宜変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
地下浸透型水路ブロックの製造業や、地下浸透型水路ブロックを用いた水路の施工業等に利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0024】
1…地下浸透型水路ブロック 3…水路ブロック本体
5…側壁 7…底壁
8…底壁 10…側壁
9…開口 11…立ち上がり部
12…礫層 13…導水路
14、24…水路 15…非透水型水路ブロック
17…地下浸透型水路ブロック 19…底部
20…前端部 21…開口側端部
23…段差 25…地下浸透型水路ブロック
27…補強部
M…溝 S…砕石 C…捨てコンクリート
W…水 G…ヘドロやゴミ U…地下
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11