特開2015-3298(P2015-3298A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-3298(P2015-3298A)
(43)【公開日】2015年1月8日
(54)【発明の名称】ソーラーパネル清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20141205BHJP
   H01L 31/042 20140101ALI20141205BHJP
   B08B 7/04 20060101ALI20141205BHJP
【FI】
   B08B1/04
   H01L31/04 R
   B08B7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-129788(P2013-129788)
(22)【出願日】2013年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】竹内 晴紀
【テーマコード(参考)】
3B116
5F151
【Fターム(参考)】
3B116AA47
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA12
3B116BA14
3B116BA35
3B116BB22
3B116BB62
5F151JA15
(57)【要約】
【課題】間隔を開けて配列された複数の受光面を、自走する1台の本体で効率よく清掃することができるソーラーパネル清掃装置を提供することである。
【解決手段】複数の受光面21a、21b間に開けられた間隔Aに、自走する本体1が乗り移り可能な移載台10を配設し、本体1が移載台10に乗り移って、間隔Aを開けた一方の受光面21aから他方の受光面21bへ移載されるようにすることにより、間隔Aが開けられた複数の受光面21a、21bを、自走する1台の本体1で効率よく清掃することができるようにした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルの受光面上に配置される本体が、前記受光面上を自走する自走手段と、前記受光面を清掃する清掃手段とを備えたソーラーパネル清掃装置において、
複数の前記受光面が間隔を開けて配列され、
前記複数の受光面間に開けられた間隔に、前記自走する本体が乗り移り可能な移載台が配設され、
前記本体が前記移載台に乗り移って、前記間隔を開けた受光面の一方から他方へ移載されることを特徴とするソーラーパネル清掃装置。
【請求項2】
前記移載台を前記受光面間の間隔が開く方向に横移動させる横移動手段を設けた請求項1に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項3】
前記移載台の高さを調整する高さ調整手段を設けた請求項1または2に記載のソーラーパネル清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルの受光面を清掃するソーラーパネル清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギを利用する発電システムの1つとして、太陽光エネルギを利用するソーラーシステムの普及が進んでいる。ソーラーシステムはソーラーパネルの受光面を太陽に向けて屋外に設置するものであり、工場、ビル、一般家屋等の屋根や屋上を有効活用して、ソーラーパネルを設置できる利点もある。ソーラーパネルは太陽の照る方向(日本では南方)へ受光面を傾斜させて設置されることが多い。
【0003】
ソーラーパネルは、光起電力効果によって太陽光を即時に電力に変換する太陽電池を組み込んだ複数のセルをパネル状に組み立てたものであり、一般的なソーラーシステムでは複数のパネルユニットを縦横に並べて接続したアレイとして用いられる。大規模なメガソーラーシステムでは、複数のアレイを互いに間隔を開けて1方向または2方向に配列したものがある。これらのアレイの受光面間の間隔は設置場所等によって異なるが、通常は1〜5m程度とされ、設置工事等の作業用スペースとして利用される。
【0004】
これらのソーラーパネルは屋外に設置されるので、大気や雨水に含まれる塵埃や、鳥の糞、枯葉等の異物が受光面に付着する。このため、これらの受光面に付着した塵埃や異物によって太陽光が遮断され、発電効率が低下することが、ソーラーシステムの大きな問題となっている。この発電効率の低下を防止するためには、ソーラーパネルの受光面を適宜清掃して、付着した塵埃や異物を除去すればよいが、ソーラーパネルは屋根や屋上等の高所に設置されることが多いので、安全性等の面から人手による清掃は困難である。また、広大な受光面を有するメガソーラーシステムでは、人手による清掃は多大な手間を必要とする。
【0005】
このようなソーラーパネルの清掃の問題に対して、ソーラーパネルの受光面上に、ブラシ等の清掃手段を搭載した本体を配置し、この本体を受光面上で所定の清掃ラインに沿って移動させながら清掃手段で受光面を清掃するソーラーパネル清掃装置が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
特許文献1に記載されたソーラーパネル清掃装置では、受光面が傾斜するソーラーパネルの上端と下端で水平方向の長手方向に延びる載架レールと、受光面の傾斜方向の上下縦軸方向に延びる上下移動用レールとを設け、清掃手段を搭載した本体を上下移動用レールで傾斜方向の清掃ラインに沿って移動させながら清掃し、上下端の載架レールで傾斜方向と直交方向に次の清掃ラインの位置へ移動させて、ソーラーパネルの受光面全域を清掃するようにしている。
【0007】
特許文献2に記載されたソーラーパネル清掃装置では、清掃手段を搭載した本体に、ソーラーパネルの受光面上で自走する自走手段と、ソーラーパネルの大きさや形状を認識する認識手段と、自走手段等を駆動する電源装置とを設け、認識手段の出力に基づいて本体が受光面を所定の清掃ラインに沿って順次移動するように制御するようにしている。認識手段としては超音波センサを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−273351号公報
【特許文献2】特開2010−186819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2に記載された従来のソーラーパネル清掃装置は、清掃手段を搭載した本体を連続する1つの受光面上でしか移動させることができない。このため、複数のアレイの受光面が間隔を開けて配列されたメガソーラーシステム等では、本体を手作業で別のアレイの受光面に移載する必要があり、清掃作業の効率が著しく低下する問題がある。このような手作業による移載をなくすためには、本体をアレイ毎に配置すればよいが、複数台の本体を用意する必要があり、設備コストが高くなる。
【0010】
また、特許文献1に記載されたものは、本体の移動を案内する載架レールや上下移動用レールをアレイ毎に敷設する必要があるので、設備コストがさらに増加するとともに、屋根等に必要以上の重量が加わる問題もある。特許文献2に記載されたものは、本体が自走するので、このような設備コストの増加はない。
【0011】
そこで、本発明の課題は、間隔を開けて配列された複数の受光面を、自走する1台の本体で効率よく清掃することができるソーラーパネル清掃装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、ソーラーパネルの受光面上に配置される本体が、前記受光面上を自走する自走手段と、前記受光面を清掃する清掃手段とを備えたソーラーパネル清掃装置において、複数の前記受光面が間隔を開けて配列され、前記複数の受光面間に開けられた間隔に、前記自走する本体が乗り移り可能な移載台が配設され、前記本体が前記移載台に乗り移って、前記間隔を開けた受光面の一方から他方へ移載される構成を採用した。
【0013】
すなわち、複数の受光面が間隔を開けて配列された場合に、複数の受光面間に開けられた間隔に、自走する本体が乗り移り可能な移載台が配設され、本体が移載台に乗り移って、間隔を開けた受光面の一方から他方へ移載されるようにすることにより、間隔が開けられた複数の受光面を、自走する1台の本体で効率よく清掃することができるようにした。
【0014】
前記移載台を前記受光面間の間隔が開く方向に横移動させる横移動手段を設けることにより、受光面間の間隔が広い場合であっても、一方の受光面から本体が乗り移った移載台を横移動させて、本体を他方の受光面へ乗り移らせるようにし、移載台をコンパクトに設計することができる。
【0015】
前記移載台の高さを調整する高さ調整手段を設けることにより、受光面間に高さの段差がある場合であっても、一方の受光面から本体が乗り移った移載台の高さを他方の受光面の高さに合せるように調整して、本体を他方の受光面へ乗り移らせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るソーラーパネル清掃装置は、複数の受光面が互いに間隔を開けて配列された場合に、複数の受光面間に開けられた間隔に、自走する本体が乗り移り可能な移載台が配設され、本体が移載台に乗り移って、間隔を開けた受光面の一方から他方へ移載されるようにしたので、間隔が開けられた複数の受光面を、自走する1台の本体で効率よく清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は本発明に係るソーラーパネル清掃装置の本体を示す外観斜視図、(b)は(a)の側面図
図2図1の本体が清掃する1つのアレイの受光面の例を示す平面図
図3図2のアレイを複数配列したメガソーラーシステムの例を示す鳥瞰図
図4】本発明に係るソーラーパネル清掃装置の移載台を示す外観斜視図
図5】(a)、(b)は、図3の間隔Aの場所で同じ高さの受光面間で本体を移載する手順を説明する側面図
図6】(a)、(b)は、図3の間隔Aの場所で異なる高さの受光面間で本体を移載する手順を説明する側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1(a)、(b)は、本発明に係るソーラーパネル清掃装置の本体1を示す。この本体1は、後述するソーラーパネルのアレイ20の受光面21を自走する自走手段として左右一対のクローラ2を備え、清掃手段として、洗浄液タンク3aの洗浄液を受光面21に噴射する洗浄液ノズル3b、洗浄液が噴射された受光面21をブラッシングする回転ブラシ4、およびブラッシングされた受光面21をワイピングするワイパ5を備え、これらの自走手段と清掃手段を駆動するバッテリ6を搭載している。
【0019】
図2は、前記本体1が清掃する1つのアレイ20の受光面21の例を示す。このアレイ20は多数のパネルユニット22を縦横に並べて配列したものであり、受光面21は一方向に傾斜している。この例では、受光面21での本体1のスタート地点は傾斜上端側の左端とされ、本体1が自走しながら清掃する複数の清掃ライン23が受光面21の傾斜方向と直交方向に設定されている。本体1はスタート地点から右方へ最初の清掃ライン23を自走した後、受光面21の右側の境界の直前で傾斜方向を下る方向へ直角に向きを変え、下側の次の清掃ライン23の位置まで移動し、さらに左方向へ直角に向きを変えて、次の清掃ライン23を左方へ自走する。本体1の向きを変える際には、左右のクローラ2を逆駆動または片側駆動させる。このような本体1の方向転換を受光面21の左右両側の境界で行い、順次下側の清掃ライン23を自走して、受光面21の全域を清掃する。なお、清掃ライン23の経路はこの例に限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0020】
図3は、複数のアレイ20をXY方向の2方向に配列したメガソーラーシステムの例を示す。各アレイ20の受光面21は同一角度でY方向に傾斜している。隣接する各アレイ20の受光面21間には、傾斜方向と直交方向のX方向で間隔Aが開けられ、傾斜方向のY方向で間隔Bが開けられており、これらの間隔A、Bは1〜5m程度とされている。これらの間隔A、Bの適宜の場所には、後述する移載台10が配設され、本体1がX方向またはY方向で隣接するアレイ20の受光面21に移載される。
【0021】
図4は、前記本体1を隣接するアレイ20の受光面21に移載する移載台10を示す。この移載台10は、間隔A、Bが延びる長手方向と、間隔A、Bが開く横方向とに移動可能な台車部11と、本体1が乗り移る台部12と、台部12を昇降させる高さ調整手段としての昇降部13とからなる。台部12は受光面21の傾斜角度に合せて一方向に傾斜しており、傾斜方向と直交方向にスライド可能とされている。移載台10は、間隔Aまたは間隔Bで本体1が移載される適宜の場所に移動させて用いられる。
【0022】
前記移載台10には、図示は省略するが、台車部11、台部12および昇降部13を駆動するバッテリが搭載されている。台車部11には公知の自走台車を用いることもでき、移載台10はプログラムに従って所定の決められたコースを移動するようにしてもよいし、外部コントローラからの指令を受信して適宜の場所に移動するようにしてもよい。また、台部12と昇降部13は、同様にプログラムまたは外部コントローラからの指令によって駆動してもよいし、受光面21の位置を検出するセンサの出力に基づいて駆動するようにしてもよい。
【0023】
図5(a)、(b)は、前記間隔Aの場所で、X方向で隣接するアレイ20の同じ高さの受光面21a、21b間で本体1を移載する手順を示す。図5(a)、(b)は、手順を分かりやすくするために、受光面21a、21bと平行な方向からの側面図としている。まず、図5(a)に示すように、移載台10を本体1の受け渡し側の受光面21a側に寄せて、台部12を受光面21aに突き合わせるようにスライドさせ、自走する本体1を受光面21aから台部12に乗り移らせる。つぎに、図5(b)に示すように、本体1を台部12に載せた移載台10を受光面21b側へ横移動させるとともに、台部12をスライドさせて、同じ高さの受け取り側の受光面21bに突き合わせ、こののち、自走する本体1を受光面21bに乗り移らせる。
【0024】
図6(a)、(b)は、前記間隔Aの場所で、X方向で隣接するアレイ20の異なる高さの受光面21a、21b間で本体1を移載する手順を示す。図6(a)、(b)も、受光面21a、21bと平行な方向からの側面図としている。この手順は、図6(a)で、受け渡し側の受光面21cから本体1を台部12に乗り移らせる点は同じであり、図6(b)で、台部12を受け取り側の受光面21bに突き合わせるときに、昇降部13を昇降させて、本体1を載せた台部12の高さを受光面21bの高さに調整する点のみが、図5(a)、(b)に示したものと異なる。
【0025】
なお、前記台部12を各受光面21a、21bに突き合わせる際には、台部12をスライドすることなく、台車部11の横移動のみで突き合わせることもできる。また、間隔Aが狭い場合は、台車部11を横移動させることなく、台部12のスライドのみで突き合わせてもよい。
【0026】
図示は省略するが、前記間隔Bの場所での本体1の移載も移載台10を用いて行うことができる。この場合は、本体1を受光面21の傾斜方向に移載することになるので、台車部11を台部12の傾斜方向へ横移動するか、台部12を傾斜方向にスライドさせて、台部12を受け渡し側と受け取り側の受光面21に突き合せるとよい。また、傾斜方向に隣接する受光面21同士が同一平面内に存在しない場合は、昇降部13で台部12の高さを調整するとよい。
【0027】
前記移載台10は、本体1のバッテリ6を充電する充電装置や、洗浄液タンク3aの洗浄液の補給装置等を設けて、本体1の充電やメンテナンスを行うステーションとして利用することもできる。この場合は、本体1や移載台10の絶対位置を検出するGPS(Global Positioning System)等を設けることにより、充電やメンテナンスの必要となった本体1を効率よくステーションとなる移載台10の位置へ移動させることができる。移載台10を本体1のいる位置の近くに移動させることもできる。
【0028】
上述した実施形態では、2方向に配列された各アレイの受光面が一方向に傾斜したものとしたが、受光面は傾斜のないものであってもよい。この場合は、移載台の台部に傾斜を設ける必要はない。台部の傾斜角を調整可能としてもよい。なお、アレイは1方向のみに配列されたものであってもよい。
【0029】
上述した実施形態では、移載台が受光面間の間隔の開く方向へ横移動するとともに、台部が横方向にスライドするものとしたが、受光面間の間隔が比較的狭い場合は、台部の寸法を間隔の寸法に合わせて、横移動機能や台部のスライド機能を省略することもできる。
【0030】
上述した実施形態では、本体の自走手段をクローラ走行のものとし、1回の走行で受光面の一部の幅を清掃するものとしたが、本体の自走手段はクローラ走行のものに限定されることはなく、タイヤ走行やロボット歩行等のものとすることもできる。また、本体は1回の走行で受光面の全幅を清掃する大幅寸法のものとすることもできる。この場合は、移載台の台部の幅寸法もこれに合わせて大きくするとよい。
【符号の説明】
【0031】
1 本体
2 クローラ
3a 洗浄液タンク
3b 洗浄液ノズル
4 回転ブラシ
5 ワイパ
6 バッテリ
10 移載台
11 台車部
12 台部
13 昇降部
20 アレイ
21、21a、21b 受光面
22 パネルユニット
23 清掃ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6