(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-3322(P2015-3322A)
(43)【公開日】2015年1月8日
(54)【発明の名称】有機相を含む流体を処理するための膜および方法
(51)【国際特許分類】
B01D 69/02 20060101AFI20141205BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20141205BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20141205BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20141205BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20141205BHJP
C08J 7/06 20060101ALN20141205BHJP
【FI】
B01D69/02
B01D69/12
C02F1/44 D
B01D63/00
B01D71/36
C08J7/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-122597(P2014-122597)
(22)【出願日】2014年6月13日
(31)【優先権主張番号】13/923,932
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ディー. ブラントリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ エム.ディエッツ
【テーマコード(参考)】
4D006
4F006
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006JA25C
4D006MA01
4D006MA03
4D006MA06
4D006MA10
4D006MB20
4D006MC16
4D006MC18
4D006MC22
4D006MC23
4D006MC29
4D006MC30X
4D006MC39
4D006MC48
4D006MC54
4D006MC58
4D006MC61
4D006MC62
4D006MC63
4D006NA46
4D006PA01
4D006PB14
4D006PB70
4F006AA18
4F006AA38
4F006AA51
4F006AB19
4F006AB56
4F006BA10
4F006DA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】不連続有機相および連続水相を含む流体混合物から不連続有機相を分離するための被覆膜、膜を含む装置、および膜を使用する方法を提供する。
【解決手段】第1の多孔質面と第2の多孔質面と第1の多孔質面と第2の多孔質面との間の多孔質バルクとを備える多孔質膜であって、少なくとも第1の多孔質面が粒子被覆を備え、被覆中の粒子が約25ダイン/cm(約2.5×10−2N/m)以下の臨界湿潤表面張力(CWST)を有する多孔質膜を用いて、油および水を含有する混合物、または油、水および固体を含有する混合物から油を取り出す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の多孔質面と;
(b)第2の多孔質面と;
(c)前記第1の多孔質面と前記第2の多孔質面との間の多孔質バルクと
を備える多孔質膜であって、
少なくとも前記第1の多孔質面が粒子被覆を備え、前記被覆中の前記粒子が約25ダイン/cm(約2.5×10−2N/m)以下の臨界湿潤表面張力(CWST)を有する多孔質膜。
【請求項2】
前記粒子がPTFE粒子を備える、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
前記粒子が約25ダイン/cm(約2.5×10−2N/m)〜約16ダイン/cm(約1.6×10−2N/m)の範囲のCWSTを有する、請求項1または2に記載の膜。
【請求項4】
前記被覆下の前記膜が、約23ダイン/cm(約2.3×10−2N/m)〜約78ダイン/cm(約7.8×10−2N/m)の範囲のCWSTを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜。
【請求項5】
流体混合物から有機相を取り出す方法であって、不連続有機相および連続水相の混合物を含む流体を請求項1〜4のいずれか一項に記載の膜の前記第1の面に対して接線方向に進めるステップと、前記水相を前記膜の前記第1の面と平行に進めながら、前記有機相を前記膜の前記第1および第2の面に通過させるステップと、を備える方法。
【請求項6】
前記混合物が固相をさらに備え、前記方法が前記水相および前記固相を前記膜の前記第1の面と平行に進めながら、前記有機相を前記膜の前記第1および第2の面に通過させるステップを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(a)入口と、濃縮液出口を含む第1の出口と、透過液出口を含む第2の出口とを含み、前記入口と前記第1の出口との間の第1の流体流路を規定し;前記入口と前記第2の出口との間の第2の流体流路を規定する筐体と;
(b)前記第1の流体流路を横切って前記筐体内に配置されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質膜と
を含む、クロスフローフィルタモジュール。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[0001]油および水を含有する混合物から、または油、水および固体を含有する混合物から油を取り出すことができる。例えば、代替燃料市場では、三相分離装置を使用して水相および固相から油相を分離する企業もある。他の分離法には、例えば、1つまたは複数の遠心分離機を使用することが含まれる。
【0002】
[0002]しかしながら、従来の分離法は非効率的および/または高価である。
【0003】
[0003]本発明は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを改善する。本発明のこれらのおよび他の利点は、以下に示す説明から明らかになるだろう。
【0004】
[発明の概要]
[0004]本発明の実施形態によると、第1の多孔質面と;第2の多孔質面と;第1の多孔質面と第2の多孔質面との間の多孔質バルクとを備える、有機相を含む流体を処理するための多孔質膜であって、少なくとも第1の多孔質面は粒子被覆をさらに備え、被覆中の粒子は約25ダイン/cm(約2.5×10
−2N/m)以下の臨界湿潤表面張力(Critical Wetting Surface Tension)(CWST)、典型的には約22ダイン/cm〜約16ダイン/cm(約2.2×10
−2N/m〜約1.6×10
−2N/m)の範囲のCWSTを有する多孔質膜が提供される。好ましくは、被覆中の粒子はPTFE粒子を備える。
【0005】
[0005]典型的には、被覆下の多孔質膜は、約23ダイン/cm〜約78ダイン/cm(約2.3×10
−2N/m〜約7.8×10
−2N/m)の範囲のCWSTを有する。
【0006】
[0006]流体混合物から有機相を取り出す方法であって、被覆膜の実施形態を不連続有機相および連続水相の混合物を備える流体と接触させるステップと、有機相を膜に通過させるステップと、を備える方法が本発明の別の実施形態により提供される。好ましくは、本方法は、水相が膜の第1の面と平行に進み、有機相が膜の第1および第2の面を通過するように、混合物を膜の第1の面(第1の面は粒子被覆を備える)に対して接線方向に進めるステップを含む。
【0007】
[0007]本方法のいくつかの実施形態では、混合物は固相も備え、本方法は、水相および固相が膜の第1の面と平行に進み、有機相が膜の第1および第2の面を通過するように、混合物を膜の第1の面に対して接線方向に進めるステップを含む。
【0008】
[0008]本方法の実施形態によると、水相が枯渇した(および混合物が固相を含む場合には固相が枯渇した)膜を通過した有機相は、好ましくはさらなる処理、再利用または処分に適した条件下で回収される。
【0009】
[0009]膜を含むフィルタ装置およびフィルタモジュールも本発明の実施形態により提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】2つの商業的に入手可能な膜と比べた本発明の実施形態による膜のスループットを示すグラフである。
【
図2】商業的に入手可能な膜と比べた本発明の2つの実施形態による膜のスループットを示すグラフである。
【0011】
[発明の詳細な説明]
[0012]好適には、本発明による膜を、高表面エネルギー連続液相(好ましくは水などの水相)から低表面エネルギー不連続液相、好ましくは有機相(より好ましくは油)を分離する、例えば、油と水の混合物から油を分離する、または油と水および固相の混合物から油を分離するのに使用することができる。
【0012】
[0013]本発明の実施形態によると、第1の多孔質面と;第2の多孔質面と;第1の多孔質面と第2の多孔質面との間の多孔質バルクとを備える、有機相を含む流体を処理するための多孔質膜であって、少なくとも第1の多孔質面は粒子被覆をさらに備え、被覆中の粒子は約25ダイン/cm(約2.5×10
−2N/m)以下、好ましくは約22ダイン/cm〜約16ダイン/cm(約2.2×10
−2N/m〜約1.6×10
−2N/m)の範囲のCWSTを有する多孔質膜が提供される。より好ましい実施形態では、粒子はPTFE粒子を備える。
【0013】
[0014]流体混合物から有機相を取り出す方法であって、被覆膜の実施形態を不連続有機相および連続水相の混合物を備える流体と接触させるステップと、有機相を膜に通過させるステップと、を備える方法が本発明の別の実施形態により提供される。好ましくは、本方法は、水相が膜の第1の面と平行に進み、有機相が膜の第1および第2の面を通過するように、混合物を膜の第1の面に対して接線方向に進めるステップを含む。
【0014】
[0015]本方法のいくつかの実施形態では、混合物は固相も備え、本方法は、水相および固相が膜の第1の面と平行に進み、有機相が膜の第1および第2の面を通過するように、混合物を膜の第1の面に対して接線方向に進めるステップを含む。
【0015】
[0016]本方法の実施形態によると、水相が枯渇した(および混合物が固相を含む場合には固相が枯渇した)膜を通過した有機相は、好ましくは回収および再利用される。
【0016】
[0017]有機相は、例えば、混合物の総体積の約5%〜約15%の範囲にあってよいが、混合物の5%未満または混合物の15%超であってもよい。典型的には、固相は、直径が約10ミクロン程度またはそれ以下の小粒子を含む。固相は、例えば、混合物の総体積の約10%〜約20%の範囲にあってよいが、混合物の10%未満または混合物の20%超であってもよい。
【0017】
[0018]いかなる特定の機構にも限定されないが、クロスフロー濾過用途で使用する(特に固体粒子が油滴よりも大きい)場合、固体が持ち上げられ、油滴が連続層に一体化し、膜まで引きずられ、透過の改善をもたらすと考えられる。
【0018】
[0019]液体およびスプレー状の商業的に入手可能な粒子を含む、例えば、粒子流体およびスプレー流体に典型的には担体流体を備える種々の粒子(好ましくは、PTFE粒子)が本発明に使用するのに適している。粒子被覆は、当技術分野で公知の種々の技術、例えば、スプレー塗装(粒子がエアロゾルとして膜上に噴霧される液滴中に懸濁している)、および浸漬塗装(粒子が、膜が浸漬される液体中に懸濁している)により膜に堆積させることができる。好ましくは、粒子は、膜の表面に塗布するための揮発性担体液体中に懸濁している。適した揮発性担体液体には、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタンおよびメタノールが含まれる。PTFE粒子を含む例示的な適したスプレー、剥離剤および潤滑剤は、例えば、Miller−Stephenson Chemical Company,Inc.、SPRAYON(Cleveland、OH)およびChem−Trend L.P.(Howell、MI)から入手可能である。
【0019】
[0020]粒子は、任意の適した平均直径を有することができ、任意の適した濃度で膜の表面に塗布することができる。典型的には、粒子は、約1ミクロン〜約6ミクロンの範囲の平均直径(いくつかの実施形態では、約3ミクロン〜約6ミクロンの範囲の平均直径)を有するが、より大きいまたはより小さい平均直径を有する粒子も本発明の実施形態により使用するのに適することができる。典型的には、スプレーガンで塗布する場合、粒子は、少なくとも約0.2gm/プレートの速度で塗布され、より典型的には少なくとも0.8gm/プレートの速度で塗布される。
【0020】
[0021]粒子は、約25ダイン/cm(約2.5×10
−2N/m)以下、好ましくは約22ダイン/cm〜約16ダイン/cm(約2.2×10
−2N/m〜約1.6×10
−2N/m)の範囲の臨界湿潤表面張力(CWST、例えば、米国特許第4,925,572号明細書に定義される)を有する。
【0021】
[0022]被覆される膜は、任意の所望のCWSTを有することができる。典型的には、膜は、約23ダイン/cm(約2.3×10
−2N/m)〜約78ダイン/cm(約7.8×10
−2N/m)の範囲のCWSTを有するが、CWSTはこれらの値より小さくても大きくてもよい。CWSTは、当技術分野で知られているように、例えば、米国特許第5,152,905号明細書、第5,443,743号明細書、第5,472,621号明細書および第6,074,869号明細書にさらに開示されているように選択することができる。
【0022】
[0023]商業的に入手可能な膜を含む種々の膜、好ましくは、高分子膜が本発明に使用するのに適している。適したポリマーには、それだけに限らないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの全フッ素置換ポリオレフィン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンおよびポリメチルペンテン)、ポリエステル、ポリアミド(例えば、任意のナイロン、例えば、ナイロン6、11、46、66および610)、ポリイミド、スルホン(例えば、ポリエーテルスルホン、ビスフェノールAポリスルホン、ポリアリールスルホンおよびポリフェニルスルホンなどの芳香族ポリスルホンを含むポリスルホン)、ハロゲン化ポリビニリデン(フッ化ポリビニリデン(PVDF)を含む)、アクリル、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリアリーレンオキシドおよびスルフィド、ならびにハロゲン化オレフィンおよび不飽和ニトリルから製造したポリマーおよびコポリマーが含まれる。
【0023】
[0024]他の適した材料には、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸−プロピオン酸セルロース、酢酸−酪酸セルロースおよび酪酸セルロースなどのセルロース系誘導体が含まれる。
【0024】
[0025]適した商業的に入手可能な膜には、それだけに限らないが、Pall Corporationから商標SUPOR(登録商標)、VERSAPOR(登録商標)およびPOSIDYNE(登録商標)、ULTIPOR N
66(登録商標)、ULTIPOR(登録商標)、FLUORODYNE(登録商標)、LOPRODYNE(登録商標)、CARBOXYDYNE(登録商標)、IMMUNODYNE(登録商標)、BIODYNE A(登録商標)、BIODYNE B(登録商標)、BIODYNE C(登録商標)およびMUSTANG(登録商標)で入手可能なものが含まれる。
【0025】
[0026]膜の孔構造は、例えば、処理される流体の組成および/または有機相液滴のサイズに依存する。膜は、任意の適した孔構造、例えば、孔サイズ(例えば、米国特許第4,340,479号明細書に記載されているように起泡点もしくはK
Lにより証明される、または毛管凝縮フローポロメトリー(capillary condensation flow porometry)により証明される)、平均流量孔(MFP)径(例えば、ポロメータ、例えば、Porvair Porometer(Porvair plc、Norfolk、UK)もしくは商標POROLUX(Porometer.com;ベルギー)で入手可能なポロメータを使用して特徴づけられる場合)、孔レーティング(pore rating)、孔径(例えば、米国特許第4,925,572号明細書に記載されている修正OSU F2試験を使用して特徴づけられる場合)または流体が多孔質膜を通過する際に対象となる1種または複数の材料の通過を減少させるまたは可能にする除去レーティング(removal rating)を有することができる。典型的には、膜は、約0.1〜約0.8ミクロンの範囲の平均孔サイズを有するが、平均孔サイズがこの範囲のサイズより大きくても小さくてもよい。
【0026】
[0027]本発明の実施形態によると、膜は、平面、プリーツおよび/または中空円筒を含む種々の構成を有することができる。
【0027】
[0028]1つまたは複数の膜が、典型的には少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備え、入口と出口との間の少なくとも1つの流体流路を規定する筐体内に配置され、膜は流体流路を横切ってフィルタ装置またはフィルタモジュールを提供する。ある実施形態では、入口および第1の出口を備え、入口と第1の出口との間の第1の流体流路を規定する筐体と、第1の流体流路を横切って筐体内に配置されている膜とを備えるフィルタ装置が提供される。
【0028】
[0029]好ましくは、クロスフロー用途のために、膜は、少なくとも1つの入口および少なくとも2つの出口を備え、入口と第1の出口との間の少なくとも第1の流体流路および入口と第2の出口との間の第2の流体流路を規定する筐体内に配置され、膜は第1の流体流路を横切ってフィルタ装置またはフィルタモジュールを提供する。例示的実施形態では、フィルタ装置はクロスフローフィルタモジュールを備え、筐体は入口と、濃縮液出口を含む第1の出口と、透過液出口を含む第2の出口とを備え、入口と第1の出口との間の第1の流体流路および入口と第2の出口との間の第2の流体流路を規定し、膜は第1の流体流路を横切って配置されている。
【0029】
[0030]フィルタ装置またはフィルタモジュールは滅菌可能であってもよい。適した形状で、入口および1つまたは複数の出口を提供する任意の筐体を使用してよい。
【0030】
[0031]筐体は、処理される流体と適合性である任意の不浸透性熱可塑性材料を含む任意の適した硬質不浸透性材料から製作することができる。例えば、筐体は、ステンレス鋼などの金属またはポリマー、例えば、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレンまたはポリカーボネート樹脂などの透明または半透明ポリマーから製作することができる。
【0031】
[0032]以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、当然のことながら、本発明の範囲を何ら限定するものとして解釈すべきではない。
【0032】
[実施例1]
[0033]この実施例は、本発明の実施形態による膜の調製を説明する。
【0033】
[0034]75〜78ダイン/cmのCWSTを有する0.45ミクロン(μm)ULTIPORナイロン6,6膜(Pall Corporation、Port Washington、NY)に、溶媒中に懸濁したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子(CWST約18〜20ダイン/cm)を噴霧して(Miller−StephensonスプレーMS−122V;平均粒径6μm、1〜20μmの範囲)粒子被覆を得て、膜の被覆上流面(流体が接触する最初の面)を得る。
【0034】
[実施例2]
[0035]この実施例は、本発明の実施形態による膜と商業的に入手可能な膜を比較するものであり、商業的に入手可能な膜と比べて本発明の実施形態による膜の効率が高いことを示している。
【0035】
[0036]商業的に入手可能なPTFE(0.45μm;CWST25ダイン/cm;EMFLON、Pall Corporation、East Hills、NY)およびポリエチレン(0.4μm;CWST35ダイン/cm;SOLUPOR;Lydall Inc.、Manchester、CT)膜を得て、実施例1の通り製造した膜のように筐体内に配置し、ここでは実施例1の通り製造した膜の被覆面が筐体内の膜の上流面となる。
【0036】
[0037]試験流体は90%の水(連続水相を表す)および10%のヘキサデカン(分散した有機相を表す)とする。膜は、クロスフローステンレス鋼筐体内のステンレス鋼支持体と溶剤結合した平板とする。筐体内の有効膜面積は0.0128M
2である。試験流体の初期供給中のヘキサデカンの量に基づいて、これらの実験中に到達され得る最大スループットは253L/M
2である。
【0037】
[0038]ヘキサデカンのみが膜を通過する。
【0038】
[0039]
図1に示すように、ヘキサデカンスループット(L/M
2)(X軸)およびヘキサデカン流束(リットル/平方メートル/時間)(LMH;lm
−2h
−1)(Y軸)のグラフは、本発明の実施形態による膜については、ほとんど250L/M
2の合計スループットで流束が225LMHに達する一方で、商業的に入手可能なPTFE膜は、225L/M
2の合計スループットで約175LMHに達する流束を示し、商業的に入手可能なポリエチレン膜は、175L/M
2の合計スループットで約25LMHに達する流束を示すことを示している。グラフはまた、各膜について、おそらくはヘキサデカン(油)が膜を通過するにつれて供給中のヘキサデカン(油)濃度が低下するために、流束が減少することを示している。
【0039】
[実施例3]
[0040]この実施例は、本発明の2つの実施形態による膜と商業的に入手可能な膜を比較するものであり、商業的に入手可能な膜と比べて本発明の実施形態による膜の効率が高いことを示している。
【0040】
[0041] 商業的に入手可能なPTFE(0.45μm;CWST25ダイン/cm;EMFLON、Pall Corporation、East Hills、NY)膜を得る。
【0041】
[0042]1つの商業的に入手可能なPTFE膜、ならびに0.45μmULTIPORナイロン6,6膜(Pall Corporation、Port Washington、NY)に、溶媒中に懸濁したPTFE粒子を噴霧する(Miller−StephensonスプレーMS−122XD;平均粒径3.7μm、1〜15μmの範囲)。これらの粒子被覆膜を商業的に入手可能なPTFE膜と比較する。
【0042】
[0043]膜を筐体内に配置し、実施例2と同じ試験流体および条件を使用して試験し、結果を実施例2に記載するようにグラフ化する。
【0043】
[0044]ヘキサデカンのみが膜を通過する。
【0044】
[0045]
図2に示すように、ヘキサデカンスループット(L/M
2)(X軸)およびヘキサデカン流束(LMH)(Y軸)のグラフは、本発明の実施形態による膜については、約225L/M
2の合計スループットで流束が約800〜約1000LMHに達する一方で、商業的に入手可能なPTFE膜は、220L/M
2の合計スループットで約200LMHに達する流束を示すことを示している。グラフはまた、各膜について、ヘキサデカン(油)が膜を通過するにつれて供給中のヘキサデカン(油)濃度が低下するので流束が減少することを示している。
【0045】
[0046]本明細書で引用する刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、これにより、あたかも各参考文献が個別的かつ具体的に参照により組み込まれることが示されており、本明細書にその全体が示されているのと同程度に参照により組み込まれる。
【0046】
[0047]本発明を説明する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)での「a」および「an」および「the」および「少なくとも1つ」という用語ならびに類似の指示対象の使用は、本明細書に特に指示しない限りまたは文脈上明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を網羅すると解釈すべきである。1つまたは複数の物品の列挙が続く「少なくとも1つ」という用語(例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書に特に指示しない限りまたは文脈上明確に否定されない限り、列挙される物品から選択される1つの物品(AもしくはB)または列挙される物品の2つ以上の任意の組み合わせ(AおよびB)を意味すると解釈すべきである。「備える」、「有する」、「含む」および「含有する」という用語は、特に言及しない限り、開放型(open−ended)用語(すなわち、「それだけに限らないが、含む」を意味する)として解釈すべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に特に指示しない限り、その範囲に入る各別個の値に個別的に言及する速記法として働くことを意図しているにすぎず、各別個の値はあたかも個別的に本明細書に列挙されているように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載する全ての方法は、本明細書に特に指示しない限りまたは文脈上明確に否定されない限り、任意の適した順序で行うことができる。本明細書で提供する任意のおよび全ての例、または代表的言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をより良く明らかにすることを意図しているにすぎず、特に主張しない限り、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に必須であるものとして任意の請求されていない要素を示すものと解釈すべきでない。
【0047】
[0048]本発明を実施するための本発明者らが知っている最良の方法を含む、本発明の好ましい実施形態を本明細書に記載する。これらの好ましい実施形態の変形は、前記説明を読めば当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者が適切な方法でこのような変形を使用すると予測し、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されているものと別の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法で許される、本明細書に添付されている特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての修正および同等物を含む。さらに、全ての可能な変形の上記要素の任意の組み合わせが、本明細書に特に指示しない限りまたは文脈上明確に否定されない限り、本発明に包含される。
【外国語明細書】