(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-3414(P2015-3414A)
(43)【公開日】2015年1月8日
(54)【発明の名称】空調用ダクト
(51)【国際特許分類】
B29C 49/04 20060101AFI20141205BHJP
B29C 65/06 20060101ALI20141205BHJP
B29K 105/04 20060101ALN20141205BHJP
【FI】
B29C49/04
B29C65/06
B29K105:04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-128828(P2013-128828)
(22)【出願日】2013年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】谷 奈央人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 廣人
(72)【発明者】
【氏名】水野 雅規
(72)【発明者】
【氏名】田辺 麻衣
【テーマコード(参考)】
4F208
4F211
【Fターム(参考)】
4F208AB02
4F208AG08
4F208AG20
4F208AG28
4F208AH25
4F208AH26
4F208AR12
4F208LA01
4F208LB01
4F208LW01
4F208LW02
4F208LW26
4F208LW43
4F211AD17
4F211AD24
4F211AG07
4F211AH26
4F211TA01
4F211TC08
4F211TD01
4F211TH17
4F211TN20
(57)【要約】
【課題】 幅の狭い溶着リブをブロー成形時に確実に成形することができると共に、隣り合う2つの溶着リブの間隔をより狭く設定でき、車両用内装部品の意匠性を高めることができる空調用ダクトを提供する。
【解決手段】 空調用ダクト10は、パリソンを膨らますことで成形されるダクト本体部と、パリソンを部分的に潰すことで成形される圧縮成形部30と、を有する。圧縮成形部30は、インストルメントパネル22の裏面22aに対向する基部31と、基部31の裏面31a側から表面31b側に凹み且つ振動方向に延びる凹部33と、1つの凹部33に対して基部31の表面31b側に複数設けられ、インストルメントパネル22の裏面22a側に突出すると共に振動方向に延びてインストルメントパネル22の裏面22aに振動溶着される溶着リブ37とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形によって成形され、車両用内装部品の裏面に振動溶着される樹脂製の空調用ダクトであって、
パリソンを膨らますことで成形されるダクト本体部と、
前記パリソンを部分的に潰すことで成形される圧縮成形部と、
を有し、
前記圧縮成形部は、
前記車両用内装部品の裏面に対向する基部と、
前記基部の裏面側から表面側に凹み、且つ、前記空調用ダクトの振動方向に延びる凹部と、
前記凹部に対して前記基部の表面側に複数設けられ、前記車両用内装部品の裏面側に突出すると共に前記振動方向に延びて前記車両用内装部品の裏面に振動溶着される溶着リブと、
を有する、ことを特徴とする空調用ダクト。
【請求項2】
前記溶着リブの幅は、2mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調用ダクト。
【請求項3】
隣り合う2つの前記溶着リブの間隔は、5mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の空調用ダクト。
【請求項4】
前記ダクト本体部および前記圧縮成形部は、
発泡剤によって樹脂を発泡させて成形した発泡成形体である、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空調用ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用ダクトに関し、車両用内装部品の裏面に振動溶着される樹脂製の空調用ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調用ダクトに溶着リブを設け、この溶着リブを車両用内装部品の裏面に振動溶着する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載される空調用ダクトは、振動溶着時の振動方向に延びる複数の溶着リブを有する。複数の溶着リブは、インストルメントパネルの背面に対面しており、振動溶着時に溶融する溶融予定部と、振動溶着時に残存してインストルメントパネルの背面に接合する接合予定部と、を有する。この空調用ダクトでは、接合予定部の先端部の幅を3mm以下と非常に小さくすることで、溶着リブとインストルメントパネルとの接合面積(溶着面積)を小さくする。これにより、インストルメントパネルの表面に凹凸が形成されることを抑制し、インストルメントパネルの意匠性向上を図っている。
【0004】
ところで、車両には、車両用内装部品の意匠性向上と共に、空調用ダクトの軽量化も求められている。空調用ダクトの軽量化には、軽くて丈夫な中空成形体で空調用ダクトを構成することが有効であり、中空成形体の製造には、生産性の高いブロー成形を用いることが好適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−149789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、空調用ダクトをブロー成形で製造する場合、特許文献1に記載されるような幅の狭い溶着リブを確実に成形することは容易ではない。
【0007】
すなわち、
図9に示すように、ブロー成形に用いる成形金型100において、溶着リブ101を成形するには、凹状の成形面102に沿ってパリソン103を膨らます必要がある。溶着リブ101の幅が狭い場合、凹状の成形面102の幅も必然的に狭くなるため、凹状の成形面102にパリソン103が入り込みにくくなる。その結果、溶着リブ101を成形面102通りに成形することができない場合がある。したがって、幅の狭い溶着リブをブロー成形時に確実に成形できる技術が求められている。
【0008】
また、隣り合う2つの溶着リブの間隔をより狭く設定し、より多くの溶着リブを空調用ダクトに設定して、空調用ダクトから車両用内装部品の裏面に加わる押し付け力を分散させたいとの要望もある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、幅の狭い溶着リブをブロー成形時に確実に成形することができると共に、隣り合う2つの溶着リブの間隔をより狭く設定でき、車両用内装部品の意匠性を高めることができる空調用ダクトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するため、本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明は、ブロー成形によって成形され、車両用内装部品の裏面に振動溶着される樹脂製の空調用ダクトであって、パリソンを膨らますことで成形されるダクト本体部と、前記パリソンを部分的に潰すことで成形される圧縮成形部と、を有し、前記圧縮成形部は、前記車両用内装部品の裏面に対向する基部と、前記基部の裏面側から表面側に凹み、且つ、前記空調用ダクトの振動方向に延びる凹部と、前記凹部に対して前記基部の表面側に複数設けられ、前記車両用内装部品の裏面側に突出すると共に前記振動方向に延びて前記車両用内装部品の裏面に振動溶着される溶着リブと、を有する、ことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、成形金型において、溶着リブを成形する凹状の成形面に対し、凹部を成形する凸状の成形面でパリソンの一部を押し込むようにして、複数の溶着リブを圧縮成形することができる。このため、隣り合う2つの溶着リブの間隔が狭く、且つ、幅の狭い複数の溶着リブをブロー成形時に確実に成形することができる。その結果、車両用内装部品の裏面に複数の溶着リブを押し付けて振動溶着したとき、車両用内装部品の裏面に対する押し付け力が分散し易くなる。したがって、車両用内装部品の表面に凹凸が形成されることを効果的に防ぐことができ、車両用内装部品の意匠性を高めることができる。
【0012】
(2)本発明では、(1)の構成において、前記溶着リブの幅は、2mm以下であることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、溶着リブの幅を2mm以下に設定することで、車両用内装部品の表面に凹凸が形成されることを、より良好に防止することができる。
【0014】
(3)本発明では、(1)または(2)の構成において、隣り合う2つの前記溶着リブの間隔は、5mm以下であることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、隣り合う2つの溶着リブの間隔を5mm以下にすることで、車両用内装部品の裏面に複数の溶着リブを押し付けて振動溶着したとき、車両用内装部品の裏面に対する押し付け力が、より分散し易くなる。
【0016】
(4)本発明では、(1)〜(3)のいずれかの構成において、前記ダクト本体部および前記圧縮成形部は、発泡剤によって樹脂を発泡させて成形した発泡成形体である、ことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、気泡を含んだ樹脂の柔軟な弾力性を溶着リブに付与することができる。これにより、車両用内装部品の裏面に対して溶着リブが柔軟に接触するため、車両用内装部品の表面に凹凸が形成されることを、より良好に防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、幅の狭い溶着リブをブロー成形時に確実に成形することができると共に、隣り合う2つの溶着リブの間隔をより狭く設定でき、車両用内装部品の意匠性を高めることができる空調用ダクトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図6】空調用ダクトの製造方法における型締め工程を説明する図である。
【
図7】空調用ダクトの製造方法における成形工程を説明する図である。
【
図8】空調用ダクトの製造方法における型開き工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態)
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。また、図面は、符号の向きに見るものとする。
【0021】
(空調用ダクト10の全体構成)
空調用ダクト10の全体構成を
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態の空調用ダクト10は、ブロー成形によって成形され、インストルメントパネル(以下、「インパネ」と称する)22の裏面22aに振動溶着される樹脂製のダクトである。空調用ダクト10は、基体であるダクト本体部20と、このダクト本体部20の任意の位置(例えば、周縁部21など)に一体成形される複数の圧縮成形部30とを有する。なお、インパネ22は、本発明にいう「車両用内装部品」の一例であり、本発明にいう「車両用内装部品」には、インパネ22の他、車室を内装する各種の内装部品が含まれる。
【0022】
空調用ダクト10の成形材料には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を含む各種の樹脂を用いることができる。また、空調用ダクト10は、発泡剤によって樹脂を発泡させて成形した発泡成形体であることが好ましい。発泡剤には、物理発泡剤、化学発泡剤およびその混合物を用いることができる。
【0023】
(ダクト本体部20の構成)
ダクト本体部20は、空調用ダクト10のうち中空成形される部分であり、車両幅方向に長い平面形状を呈すると共に複数(この例では、4つ)の筒状のダクト部23を有する。複数のダクト部23は、それぞれ、上流側の端部が導入口(図示省略)に連通する。この導入口は、車両用空調装置(図示省略)に接続される。また、ダクト部23の下流側の端部の開口部25は、車室に空気を吹き出す吹き出し口、または、他のダクトに連なる接続口として利用される。
【0024】
(圧縮成形部30の構成)
次に、圧縮成形部30を
図2〜
図4に基づいて説明する。
図2に示すように、圧縮成形部30は、空調用ダクト10のうち圧縮成形される部分であり、インパネ22の裏面22aに対向する基部31と、基部31の表面31bからインパネ22側に突出する複数の突起部32と、を有する。各突起部32は、基部31の裏面31a側から表面31b側に凹む凹部33(
図4参照)によって形成されるものである。なお、凹部33の構成については、後述する。
【0025】
(突起部32の構成)
複数の突起部32は、矢印αで示される、振動溶着時の空調用ダクト10の振動方向(以下、「振動方向α」と称する)に沿って直線状に延びる。各突起部32は、基部31の表面31bから立ち上がる一対の側壁35と、一対の側壁35の上端部同士を連結し且つインパネ22の裏面22aに対向する対向壁36と、インパネ22の裏面22a側に突出すると共に振動方向αに延びてインパネ22の裏面22aに振動溶着される複数の溶着リブ37とを有する。
【0026】
図3に示すように、複数の突起部32は、振動方向αに断続的に直列させてもよいし、振動方向αに直交する方向に並列させてもよい。また、圧縮成形部30における突起部32および溶着リブ37のそれぞれの個数、突起部32および溶着リブ37のそれぞれの長さは、求められる仕様に応じて任意に設定可能である。
【0027】
(凹部33の構成)
図4に示すように、凹部33は、基部31の裏面31a側から表面31b側に凹み、且つ、振動方向α(
図3参照)に沿って溝状に延びる。圧縮成形部30では、この凹部33の形成によって、インパネ22の裏面22a側に上記突起部32を突出させる。このため、凹部33の天井壁は、突起部32の対向壁36に相当し、凹部33の側壁は、突起部32の側壁35に相当する。
【0028】
(溶着リブ37の構成)
溶着リブ37は、丸みを有する形状に形成され、対向壁36の幅方向の両端部それぞれに設けられる。すなわち、この例では、1つの凹部33に対して2つの溶着リブ37が設定される。
【0029】
また、インパネ22の表面22bに凹凸が形成されることを、より良好に防止するには、溶着リブ37の幅Wを2mm以下、より好適には、約1mmに設定することが望ましい。ここで、「溶着リブ37の幅W」は、溶着リブ37の高さ方向(突出方向)の略中央位置における幅である。
【0030】
また、インパネ22の裏面22aに複数の溶着リブ37を押し付けて振動溶着したとき、インパネ22の裏面22aに対する押し付け力を、より分散し易くするには、隣り合う2つの溶着リブ37の間隔Pを5mm以下、より好適には、約3.5mmに設定することが望ましい。
【0031】
さらに、溶着リブ37をより確実に成形するには、2つの溶着リブ37に挟まれる対向壁36の厚みT1を基部31の厚みT2よりも小さく設定することが望ましい。例えば、対向壁36の厚みT1を1.05mmとし、基部31の厚みT2を2.2mmに設定するなど、対向壁36の厚みT1を基部31の厚みT2の半分程度に設定することが望ましい。
【0032】
なお、基部31の表面31b側に設けられる溶着リブ37の個数は、1つの凹部33に対して複数であれば、任意である。例えば、
図5に示すように、対向壁36の幅方向に沿って、3つ以上の溶着リブ37を対向壁36に設けてもよい。
【0033】
図2に戻る。
図2に示すように、溶着リブ37は、振動方向αと平行に且つ直線状に延びる。また、隣り合う2つの溶着リブ37の両端部の対向部分42は、開放している。このように溶着リブ37を構成することによって、振動方向αに対して直交する方向または斜め方向に交差する部分が無くなる。これにより、空調用ダクト10の振動を妨げる部分を空調用ダクト10から無くすことができるため、空調用ダクト10の振動溶着をより円滑に行うことができる。
【0034】
(空調用ダクト10の製造例)
次に、空調用ダクト10の製造方法の一例を
図6〜
図8に基づいて説明する。
図6に示すように、空調用ダクト10の製造方法は、ブロー成形用の成形金型50を用いてブロー成形を行うものであり、型締め工程、成形工程、型開き工程を含む。
【0035】
なお、以下の説明では、主に、空調用ダクト10の圧縮成形部30を圧縮成形する方法について説明する。空調用ダクト10のダクト本体部20(
図1参照)を中空成形する方法については、周知のブロー成形技術であるため、具体的な説明を省略する。
【0036】
(成形金型50の構成)
成形金型50は、互いに合わさる第1の金型51および第2の金型61を備える。
【0037】
第1の金型51は、空調用ダクト10(
図1参照)の表面側を成形する第1の成形面52を有する。第1の成形面52は、基部31の表面31b(
図4参照)側を成形する基部成形面53と、この基部成形面53から凹む複数(ここでは、2つ)の凹状成形面55とを有する。各凹状成形面55は、突起部32(
図4参照)を成形する突起部成形面56と、この突起部成形面56からさらに凹む複数(ここでは、2つ)のリブ成形面57とを有する。リブ成形面57は、溶着リブ37(
図4参照)を成形する部分である。また、複数のリブ成形面57の間には、対向壁36(
図4参照)の表面側を成形する対向壁成形面58が設けられる。
【0038】
一方、第2の金型61は、空調用ダクト10(
図1参照)の裏面側を成形する第2の成形面62を有する。第2の成形面62は、基部31の裏面31a(
図4参照)側を成形する基部成形面63と、この基部成形面63から第1の金型51に向けて突出する複数(ここでは、2つ)の凸状成形面65とを有する。各凸状成形面65は、凹部33(
図4参照)を成形する部分である。
【0039】
(型締め工程)
型締め工程では、押し出し装置(図示省略)から押し出された溶融状態の筒状のパリソン66を第1の金型51と第2の金型61の間に垂下させた後、第1の金型51と第2の金型61を接近させて、第1の金型51と第2の金型61でパリソン66を挟む(矢印(1))。
【0040】
(成形工程)
成形工程では、パリソン66内に加圧エアを吹き込み、パリソン66を膨らませてダクト本体部20(
図1参照)を中空成形すると共に、
図7に示すように、第1の成形面52および第2の成形面62により、パリソン66を部分的に潰して圧縮成形を行う。
【0041】
すなわち、基部成形面53,63でパリソン66を挟み、且つ、凹状成形面55と凸状成形面65でパリソン66を挟むことでパリソン66の周壁の半部67同士を重ねる(矢印(2))。これにより、突起部32、凹部33および対向壁36からなる圧縮成形部30が成形される。これと同時に、凸状成形面65によってリブ成形面57に樹脂がしっかりと押し込まれる(矢印(3))。その結果、溶着リブ37が確実に成形される。
【0042】
また、対向壁36の厚みT1(
図4参照)に応じて設定される凹状成形面55と凸状成形面65の隙間C1を、基部31の厚みT2(
図4参照)に応じて設定される基部成形面53,63の隙間C2よりも狭く設定することにより、隙間C1において樹脂がより強く潰されるため、対向壁36側から2つのリブ成形面57側に樹脂が良好に流動する(矢印(4))。この隙間C1の作用により、溶着リブ37は、リブ成形面57通りに成形される。
【0043】
(型開き工程)
図8に示すように、型開き工程では、第1の金型51と第2の金型61を離間させ(矢印(5))、第1の金型51と第2の金型61の間から、空調用ダクト10の成形体を取り出す。空調用ダクト10の成形体では、パリソン66を部分的に潰すことで成形された圧縮成形部30と、パリソン66を膨らますことで成形されたダクト本体部20(
図1参照)とが一体成形されている。
【0044】
(空調用ダクト10の作用・効果)
以上、説明した実施形態の作用・効果について述べる。
本実施形態によれば、リブ成形面57に対して、パリソン66の一部を凸状成形面65で押し込むようにして、複数の溶着リブ37を圧縮成形することができる。このため、隣り合う2つの溶着リブ37の間隔Pが狭く、且つ、幅Wの狭い複数の溶着リブ37をブロー成形時に確実に成形することができる。その結果、インパネ22の裏面22aに複数の溶着リブ37を押し付けて振動溶着したとき、インパネ22の裏面22aに対する押し付け力が分散し易くなる。したがって、インパネ22の表面22bに凹凸が形成されることを効果的に防ぐことができ、インパネ22の意匠性を高めることができる。
【0045】
また、空調用ダクト10を発泡成形体で構成することで、気泡を含んだ樹脂の柔軟な弾力性を溶着リブ37に付与することができる。これにより、インパネ22の裏面22aに対して溶着リブ37が柔軟に接触するため、インパネ22の表面22bに凹凸が形成されることを、より良好に防止することができる。
【0046】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0047】
10 空調用ダクト
20 ダクト本体部
22 インストルメントパネル(車両用内装部品)
22a 裏面
30 圧縮成形部
31 基部
31a 基部の裏面
31b 基部の表面
33 凹部
37 溶着リブ
66 パリソン
α 振動方向
W 溶着リブの幅
P 溶着リブの間隔