【課題】 切削加工において従来から問題とされてきた作業者の健康被害及び環境への悪影響を改善することを目的として、安全性が高く、環境への負荷も少ないとともに工具摩耗低減等切削性能も高くまた防錆性に富んだ油分を全く含まない水溶性切削加工液を提供することにある。
【解決手段】 濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.08%〜12.77%のリン酸を加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.08%〜12.77%のリン酸を加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.14%〜9.61%のリン酸を加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.08%〜13.46%のリン酸と全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムとを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.09%〜9.39%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸カリウムを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.17%〜13.98%のリン酸と全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムとを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.08%〜8.59%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸ナトリウムとを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.03%〜10.57%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムとを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.51%〜8.35%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムとを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.55%〜38.91%のグルコン酸を加えて、pHを9.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.32%〜8.58%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で1.44%〜6.55%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜8.5にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.31%〜7.75%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で1.37%〜7.10%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜8.5にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.17%〜19.78%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で2.39%〜19.78%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.12%〜6.30%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で1.43%〜6.30%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜8.5にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.11%〜6.31%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.45%〜6.31%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜8.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.19%〜19.49%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で2.38%〜19.49%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.02%〜8.88%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.67%〜8.88%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜8.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.02%〜8.68%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜1.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.20%〜6.74%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜8.5にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.07%〜19.54%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
濃度が3.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で2.01%〜19.54%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜8.5にしたことを特徴とする水溶性切削加工液。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の切削油剤は、鉱物油、油脂、極圧添加剤、界面活性剤、無機塩類、防錆剤、防腐剤等が含まれており、作業者の健康面への影響、作業環境の悪化、廃液処理における自然環境への負荷等が大きくなっている。廃液処理の費用も拡大している。
特に従来の切削油剤は、作業者の健康面として、皮膚障害、喉や目の痛み、発癌性物質が懸念される。また、作業環境面では、臭気、切削油剤の飛散、べと付き、発煙、錆の発生等が問題となっている。さらに、廃液処理において、水質汚染、大気汚染、土壌汚染等への影響が深刻になっている。
また、切削油剤を使用した場合、油剤の脱脂、油剤の管理、pHの調整が必要であるので、作業効率が極めて悪い。しかも、pHが10.5を超えると、切削油剤として安全性に問題がある。
【0008】
金属性難削材料であるステンレス鋼等の切削加工において、高品質、高能率、低コストを目標に、切削工具への冷却効果及び潤滑効果を目的として、工具刃先に多量の切削油剤が噴射されている。
しかし、金属性難削材料であるステンレス鋼等の切削加工において、高能率化により、切削加工条件が過酷になれば、工具刃先の欠損、チッピング(工具刃先の微小な欠損)が生じ、工具寿命が短い等、様々な問題がある。また、切削油剤の種類、濃度等によっては、工作機械の錆の発生が問題となっている。錆の発生を抑制するため、防錆剤の添加、pHを高くする必要がある(pH11.0以上)等の課題がある。
【0009】
例えばpH13.0を超える水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などの強アルカリ性の水酸化物であれば、被削材の金属表面に不動態膜を形成し錆びないが、pHを中性域から弱アルカリ域まで低くした場合には錆が発生する。
【0010】
pHが13.0を超える水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液等の強アルカリ性の物質では皮膚のタンパク質を溶かす性質があり火傷のようになる危険性があるほか眼球を傷つけ失明の危険性がある。
炭酸ナトリウム水溶液は、時間経過によって極めて少量ではあるが白い沈殿物が発生する。また加工後において被削材の金属表面に白い結晶が付着し乾燥すれば硬くなる等の課題がある。
【0011】
切削油剤の種類によっては、環境悪化の要因となる塩素系化合物等が含有されているので、環境等の問題が生じている。さらに、使用後の切削油剤における最終的な廃液処理は、重油を混入して焼却処分されるため、焼却による二酸化炭素の膨大な排出が余儀なくされているのが現状である。あるいは、窒素化合物を含有する切削油剤は、廃液を焼却処理した場合、窒素酸化物(NOx)を生成する可能性があるので、大気汚染の問題が生じる場合があると考えられる。
環境問題への関心が高まり、それに伴う産業廃棄物の削減やリサイクル化の促進が謳われているので、使用後の切削油剤の大部分が産業廃棄物として処理されることが問題となっている。
【0012】
金属性難削材料であるステンレス鋼等の切削加工において、上記の多量な切削油剤の使用は、環境問題になる可能性がある。切削油剤を使用しても、高能率化により切削加工条件が過酷になれば、切削工具の刃先における異常な摩耗、チッピング等が発生し、工具寿命が短くなる。
【0013】
また、圧縮空気によって植物油をベースにした油剤をミスト状(霧状)に噴霧して、切削加工を行う微少量潤滑切削加工法(MQL)も一部試験的に行われている。しかし、微少量潤滑切削加工法(MQL)による切削加工の予備実験の結果、過酷な切削加工条件では、油ミストが工具刃先への冷却効果がないため、工具摩耗が著しく、工具寿命が短い結果となった。
【0014】
本発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、切削加工において従来から問題とされてきた作業者の健康被害及び環境への悪影響を改善することを目的として、安全性が高く、環境への負荷も少ないとともに、工具摩耗低減等切削性能も高く、また防錆性に富んだ油分を全く含まない水溶性切削加工液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以上の課題を達成するために、請求項1の発明は、濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.08%〜12.77%のリン酸を加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項1の好ましい態様として、請求項2の発明では、濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.14%〜9.61%のリン酸を加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項3の発明は、濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.08%〜13.46%のリン酸と全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムとを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項3の好ましい態様として、請求項4の発明では、濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.09%〜9.39%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸カリウムを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5の発明は、濃度が3.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.17%〜13.98%のリン酸と全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムとを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項5の好ましい態様として、請求項6の発明では、濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.08%〜8.59%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸ナトリウムとを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項7の発明は、濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.03%〜10.57%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムとを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項7の好ましい態様として、請求項8の発明では、濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.51%〜8.35%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムとを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項9の発明は、濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.55%〜38.91%のグルコン酸を加えて、pHを9.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10の発明は、濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.32%〜8.58%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項10の好ましい態様として、請求項11の発明では、濃度が3.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で1.44%〜6.55%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜8.5にしたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項12の発明は、濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.31%〜7.75%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項12の好ましい態様として、請求項13の発明では、濃度が3.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で1.37%〜7.10%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜8.5にしたことを特徴とする。
【0022】
また、請求項14の発明は、濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.17%〜19.78%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項14の好ましい態様として、請求項15の発明では、濃度が3.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で2.39%〜19.78%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0023】
また、請求項16の発明は、濃度が1.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.12%〜6.30%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項16の好ましい態様として、請求項17の発明では、濃度が3.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で1.43%〜6.30%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜8.5にしたことを特徴とする。
【0024】
また、請求項18の発明は、濃度が1.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.11%〜6.31%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項18の好ましい態様として、請求項19の発明では、濃度が1.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.45%〜6.31%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜8.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0025】
また、請求項20の発明は、濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.19%〜19.49%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項20の好ましい態様として、請求項21の発明では、濃度が3.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で2.38%〜19.49%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜8.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0026】
また、請求項22の発明は、濃度が1.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.02%〜8.88%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項22の好ましい態様として、請求項23の発明では、濃度が3.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.67%〜8.88%の酒石酸とを加えて、pHを8.0〜8.5の範囲にしたことを特徴とする。
【0027】
また、請求項24の発明は、濃度が1.00%〜15.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.02%〜8.68%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項24の好ましい態様として、請求項25の発明では、濃度が1.00%〜10.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜1.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.20%〜6.74%のリンゴ酸とを加えて、pHを8.0〜8.5にしたことを特徴とする。
【0028】
また、請求項26の発明は、濃度が1.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.07%〜19.54%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜10.5の範囲にしたことを特徴とする。
この請求項26の好ましい態様として、請求項27の発明では、濃度が3.00%〜20.00%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で2.01%〜19.54%の乳酸とを加えて、pHを7.5〜8.5にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
以上の記載より明らかなように、請求項1〜請求項27の発明によれば、炭酸カリウム水溶液を含む水溶性切削加工液を使用することによって、従来の切削油剤に代わる、作業者の健康面への影響が少なく、作業環境の悪化を抑え、廃液処理における自然環境への負荷等を低減することができる。
特に、本発明の水溶性切削加工液の構成物質は環境及び健康面に関する法令において全て規制対象外の非該当物質であり、炭酸カリウムは植物の灰の中に10%程度含まれており、水による抽出液は灰汁(あく)とよばれ、古くは洗剤に使用されていたものである。麺の製造においても鹹水(かんすい)として利用される。また、リン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸などは食品の酸味料や調味料として用いられているものである。
しかも、pHを低くした場合には錆の抑制に防錆剤を加えるのが従来技術であったが、本発明はpHが7.5〜10.5の中性域から弱アルカリ域でありながら、健康面及び環境面に影響を及ぼす防錆剤を含有せずとも錆びない。
また、油分を全く含まない水をベースとした水溶液であるため比熱が大きい事から、切削加工での冷却性に極めて優れている。
そして、圧縮空気噴射との組合せによる微少量潤滑切削加工法(MQL)において、従来から弱点であった冷却効果が低いとした問題を解決できる。さらに、圧縮空気噴射との組合せによる微少量潤滑切削加工法(MQL)においては、ミスト状(霧状)にする事から作業者が吸引する可能性が高いため、吸い込んでも安全である事が求められるが、本発明による切削加工液は安全であるため当該加工法においても適している。
このように構成された水溶性切削加工液を使用することによって、安全性が高く、工具寿命が長く、良好な切削加工面が得られ、防錆効果を得ることができる。
【0030】
また、請求項2、請求項4、請求項6、請求項8、請求項11、請求項13、請求項15、請求項17、請求項19、請求項21、請求項23、請求項25及び請求項27の発明によれば、上記の効果に加えて、pHが8.5以下であるので、現在の水質汚濁防止法において河川への排水が可能であることから、中和処理せずとも廃棄する事が出来るため、作業効率及び費用の削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の水溶性切削加工液の切削性能を調べるために使用した切削加工装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図3】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸カリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図4】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸カリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図5】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸カリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図6】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸カリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図7】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸カリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図8】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸カリウム7.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図9】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸ナトリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図10】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸ナトリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図11】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸ナトリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図12】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸ナトリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図13】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸ナトリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図14】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+グルコン酸ナトリウム7.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図15】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+クエン酸二ナトリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図16】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+クエン酸二ナトリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図17】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+クエン酸二ナトリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図18】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+クエン酸二ナトリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図19】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リン酸+クエン酸二ナトリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図20】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+グルコン酸)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図21】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸カリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図22】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸カリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図23】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸カリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図24】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸カリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図25】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸カリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図26】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸カリウム7.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図27】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸カリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図28】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸カリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図29】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸カリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図30】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸カリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図31】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸カリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図32】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸カリウム7.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図33】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸カリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図34】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸カリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図35】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸カリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図36】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸カリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図37】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸カリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図38】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸カリウム7.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図39】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸ナトリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図40】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸ナトリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図41】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸ナトリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図42】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸ナトリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図43】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸ナトリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図44】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+グルコン酸ナトリウム7.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図45】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸ナトリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図46】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸ナトリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図47】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸ナトリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図48】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸ナトリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図49】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸ナトリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図50】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+グルコン酸ナトリウム7.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図51】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸ナトリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図52】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸ナトリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図53】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸ナトリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図54】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸ナトリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図55】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸ナトリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図56】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+グルコン酸ナトリウム7.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図57】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+クエン酸二ナトリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図58】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+クエン酸二ナトリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図59】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+クエン酸二ナトリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図60】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+クエン酸二ナトリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図61】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+酒石酸+クエン酸二ナトリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図62】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+クエン酸二ナトリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図63】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+クエン酸二ナトリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図64】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+クエン酸二ナトリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図65】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+クエン酸二ナトリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図66】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+リンゴ酸+クエン酸二ナトリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図67】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+クエン酸二ナトリウム0.20%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図68】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+クエン酸二ナトリウム0.50%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図69】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+クエン酸二ナトリウム1.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図70】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+クエン酸二ナトリウム3.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図71】本発明の水溶性切削加工液(炭酸カリウム+乳酸+クエン酸二ナトリウム5.00%)を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、切削加工試験、耐食試験、総合評価の結果の一覧を示したものである。
【
図72】本発明の水溶性切削加工液の試料として使用した炭酸カリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸の各種試料詳細の一覧を示したものである。
【
図73】炭酸カリウム単体の水溶液を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、安全性、耐食試験の結果の一覧を示したものである。
【
図74】リン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウムの各単体の水溶液を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具によるpH値、耐食試験の結果の一覧を示したものである。
【
図75】市販のエマルション系水溶性切削油剤、植物油を使用したTiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具による工具摩耗、加工面粗さの試験の結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明をより具体的に説明する。
炭酸カリウムは、植物の灰の中に10%程度含まれており、水による抽出液は灰汁(あく)とよばれ、古くは洗剤に使用されていたものである。麺の製造においても鹹水(かんすい)として利用される。毒性については何ら問題はない。
【0033】
しかし、炭酸カリウム単体の水溶液が作業上安全で、しかも現在の水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされるpH7.5〜8.5にすると、炭酸カリウム単体の水溶液の濃度は0.02%〜0.09%となり、
図73から明らかなように、加工する金属表面には錆が発生し、また、光沢等が失われて、切削加工液として使用価値はない。
【0034】
そこで、請求項1の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のリン酸を加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項2の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このリン酸は、食品の酸味料として用いられているものであり、毒性には問題ないことが知られている。その一方で、リン酸は酸性であり、リン酸の単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、リン酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに安全性に問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。
【0035】
また、請求項3の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のリン酸とグルコン酸カリウムとを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項4の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このリン酸は食品の酸味料として用いられ、グルコン酸カリウムは食品の調味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、リン酸は酸性、グルコン酸カリウムは中性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、リン酸、グルコン酸カリウムのそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに安全性に問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、グルコン酸カリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0036】
また、請求項5の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のリン酸とグルコン酸ナトリウムとを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項6の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このリン酸は食品の酸味料として用いられ、グルコン酸ナトリウムは食品の調味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、リン酸は酸性、グルコン酸ナトリウムは中性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、リン酸、グルコン酸ナトリウムのそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに安全性に問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、グルコン酸ナトリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0037】
また、請求項7の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のリン酸とクエン酸二ナトリウムとを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項8の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このリン酸及びクエン酸二ナトリウムは、食品の酸味料として用いられているものであり、毒性には問題ないことが知られている。その一方で、リン酸及びクエン酸二ナトリウムは酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、リン酸、クエン酸二ナトリウムのそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、クエン酸二ナトリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0038】
また、請求項9の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のグルコン酸を加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にしたのである。このグルコン酸は、食品の酸味料として用いられているものであり、毒性には問題ないことが知られている。その一方で、グルコン酸は酸性であり、その単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、グルコン酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。
【0039】
また、請求項10の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のグルコン酸カリウムと酒石酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項11の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このグルコン酸カリウムは食品の調味料として用いられ、酒石酸は食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、グルコン酸カリウムは中性、酒石酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、グルコン酸カリウム、酒石酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、グルコン酸カリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0040】
また、請求項12の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のグルコン酸カリウムとリンゴ酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項13の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このグルコン酸カリウムは食品の調味料として用いられ、リンゴ酸は食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、グルコン酸カリウムは中性、リンゴ酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、グルコン酸カリウム、リンゴ酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、グルコン酸カリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0041】
また、請求項14の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のグルコン酸カリウムと乳酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項15の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このグルコン酸カリウムは食品の調味料として用いられ、乳酸は食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、グルコン酸カリウムは中性、乳酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、グルコン酸カリウム、乳酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、グルコン酸カリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0042】
また、請求項16の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のグルコン酸ナトリウムと酒石酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項17の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このグルコン酸ナトリウムは食品の調味料として用いられ、酒石酸は食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、グルコン酸ナトリウムは中性、酒石酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、酒石酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、グルコン酸ナトリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0043】
また、請求項18の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のグルコン酸ナトリウムとリンゴ酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項19の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このグルコン酸ナトリウムは食品の調味料として用いられ、リンゴ酸は食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、グルコン酸ナトリウムは中性、リンゴ酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、リンゴ酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、グルコン酸ナトリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0044】
また、請求項20の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のグルコン酸ナトリウムと乳酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項21の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このグルコン酸ナトリウムは食品の調味料として用いられ、乳酸は食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、グルコン酸ナトリウムは中性、乳酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、グルコン酸ナトリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0045】
また、請求項22の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のクエン酸二ナトリウムと酒石酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項23の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このクエン酸二ナトリウム及び酒石酸は、食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、クエン酸二ナトリウム及び酒石酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、クエン酸二ナトリウム、酒石酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、クエン酸二ナトリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0046】
また、請求項24の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のクエン酸二ナトリウムとリンゴ酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項25の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このクエン酸二ナトリウム及びリンゴ酸は、食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、クエン酸二ナトリウム及びリンゴ酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、クエン酸二ナトリウム、リンゴ酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、クエン酸二ナトリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【0047】
また、請求項26の発明では、炭酸カリウム水溶液に全体重量比で所定量のクエン酸二ナトリウムと乳酸とを加えることによって、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることはなく、しかも、炭酸カリウム水溶液のpHを作業上安全な10.5以下にし、さらに、請求項27の発明では、pHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下にしたのである。このクエン酸二ナトリウム及び乳酸は、食品の酸味料として用いられているものであり、それぞれ毒性には問題ないことが知られている。その一方で、クエン酸二ナトリウム及び乳酸は酸性であり、それらの単体では、
図74に示すように、加工する金属表面に錆を生じさせ、また、光沢等を失わせる。
このように、本発明では、炭酸カリウム、クエン酸二ナトリウム、乳酸のそれぞれの単体では、加工する金属表面に錆を生じさせ、また光沢等を失わせ、さらに一部pHに問題があり、切削加工液として使用価値がないもの同士を利用して、切削加工液として有用なものを造りだしている。この場合、クエン酸二ナトリウムを加えると、切削性能の改善が見られた。ただ、濃度が高くなると、被削材の光沢が失われ、工作機械の防錆効果が低下する。
【実施例1】
【0048】
切削性能は、金属性難削材料であるステンレス鋼(SUS304)を用いて評価した。ステンレス鋼の試験片のサイズは、長さ100mm、高さ60mm、幅60mm。切削性能は試験片の側面切削で行った。また、切削加工試験は、
図1に図示する構成の切削加工装置を使用して行った。図中の符号は、1は被削材(ステンレス鋼(SUS304))、2はエンドミル切削工具、3はフライス盤の工具ホルダ、4はフライス盤のテーブル、5はミスト用ノズル、6はミスト装置、7は本発明の水溶性切削加工液の生成装置である。
【0049】
ステンレス鋼の切削工具は、TiAlNコーテッド超硬エンドミル切削工具(外径8mm、3枚刃)を使用した。切削工具については、ステンレス鋼に最適な切削工具を選択し、切削加工条件は、過酷な切削加工条件で実験を行い、工具刃先の工具摩耗(逃げ面摩耗幅)、加工面粗さ(表面粗さ(Rz))について比較検討を行った。
【0050】
ステンレス鋼の切削加工条件は、切削速度100m/min、送り速度358mm/min、半径方向の切り込み量0.5mm、軸方向の切り込み量10mm、工具突き出し長27mmで行った。
図75の水溶性切削油剤は、市販のエマルション系水溶性切削油剤を使用し、濃度は20%の結果である。図中の市販のエマルション系水溶性切削油剤はミスト状でなく、噴射量50cc/sで工具刃先に噴射し、切削加工実験を行った。植物油は、ミスト状で切削加工実験を行い、噴射量50cc/hの結果である。図中、工具摩耗の評価として、×印は、工具刃先の工具摩耗(逃げ面摩耗幅)が、20μm以上の場合である。加工面粗さ(表面粗さ(Rz))の評価として、×印は、加工面粗さ(表面粗さ(Rz))が、5μm以上の場合である。
【0051】
ステンレス鋼の予備実験の結果、市販のエマルション系水溶性切削油剤の噴射量が5cc/s〜100cc/sの範囲では、同水溶性切削油剤による工具刃先の工具摩耗(逃げ面摩耗幅)は同程度であり、同水溶性切削油剤の噴射量が工具摩耗に与える影響はなかった。市販のエマルション系水溶性切削油剤の噴射量が5cc/sより小さい場合、工具摩耗(逃げ面摩耗幅)が著しく大きくなり、工具摩耗が大きい結果となった。市販のエマルション系水溶性切削油剤の噴射量が100cc/sより大きくすることは、装置上、困難であった。
【0052】
市販のエマルション系水溶性切削油剤を使用し、5%〜30%の濃度範囲で実験を行った。予備実験の結果、上記の5%〜30%の濃度範囲において、工具刃先の工具摩耗(逃げ面摩耗幅)は同程度であり、同水溶性切削油剤の濃度が工具摩耗に与える影響はなかった。市販のエマルション系水溶性切削油剤の濃度が5%より小さい場合、工具摩耗(逃げ面摩耗幅)が著しく大きくなり、工具摩耗が大きい結果となった。市販のエマルション系水溶性切削油剤の濃度が30%より大きい場合、工具摩耗(逃げ面摩耗幅)が著しく大きくなり、工具摩耗が大きい結果となった。
【0053】
植物油のミストの噴射量1cc/h〜100cc/hの範囲では、工具摩耗(逃げ面摩耗幅)は同程度であり、上記の噴射量が工具摩耗に与える影響はなかった。上記の噴射量は、1cc/h〜100cc/hの範囲で実験を行った。
上記の噴射量1cc/hより少ない場合、工具摩耗(逃げ面摩耗幅)において、良好な結果が得られなかった。また、上記の噴射量100cc/hより多くすることは、装置上、困難であった。
本発明の水溶性切削加工液のミストの噴射量1cc/h〜100cc/hの範囲では、工具摩耗(逃げ面摩耗幅)は同程度であり、上記の噴射量が工具摩耗に与える影響はなかった。上記の噴射量は、1cc/h〜100cc/hの範囲で実験を行った。本発明の水溶性切削加工液は、ミスト状で切削加工実験を行い、
図2〜
図71の表は噴射量50cc/hの結果である。
【0054】
所定量(切削距離2m)の切削加工が終了すれば、切削工具の刃先における工具摩耗(逃げ面摩耗幅)を測定した。さらに、
図2〜
図71において、安全性の評価として、○印は、pHが8.5超〜10.5の場合であり、◎印は、pHが7.5〜8.5の場合である。
同様に
図2〜
図71において、切削加工試験による評価としては、工具摩耗と加工面粗さについて行った。工具摩耗の評価として、×印は、工具刃先の工具摩耗(逃げ面摩耗幅)が、20μm以上の場合である。○印は、工具刃先の工具摩耗(逃げ面摩耗幅)が、20μmより小さい場合である。◎印は、工具刃先の工具摩耗(逃げ面摩耗幅)が、10μmより小さい場合である。加工面粗さ(表面粗さ(Rz))の評価として、×印は、加工面粗さ(表面粗さ(Rz))が、5μm以上の場合である。○印は、加工面粗さ(表面粗さ(Rz))が、5μmより小さい場合である。◎印は、加工面粗さ(表面粗さ(Rz))が、4μmより小さい場合である。
【0055】
また、
図2〜
図71において、耐食試験による評価としては、被削材と工作機械(テーブル)について行った。被削材については、ステンレス鋼は錆難い鋼であるため、実施例として、防錆性を評価するため、工作機械のフライス盤のテーブルと同様に錆びやすい炭素鋼(S45C)の円形板(φ65mm、厚み3mm)を用いて、後述の実施例2で得られた各水溶性切削加工液5ccを滴下して、自然乾燥(48時間経過)で、目視で検査を行った。この炭素鋼の防錆評価として、×印は錆が発生した場合、◎印は錆が発生しなかった場合である。また、炭素鋼の光沢等評価として、×印は光沢がない場合、○印は光沢がある場合、◎印は光沢が優れている場合である。
同様に、
図2〜
図71において、工作機械については、主に鋳鉄の材質からなるフライス盤のテーブルについて行い、後述の実施例2で得られた各水溶性切削加工液5ccを滴下して、自然乾燥(48時間経過)で、目視で検査を行った。この防錆評価として、×印は錆が発生した場合、◎印は錆が発生しなかった場合である。
【0056】
図2〜
図71において、総合評価については、×印は安全性、工具摩耗、加工面粗さ、被削材の防錆効果、被削材の光沢等、工作機械の防錆効果の6項目の中で一つでも×印がある場合、○印は安全性、工具摩耗、加工面粗さ、被削材の防錆効果、被削材の光沢等、工作機械の防錆効果の6項目の中で×印が全くなくしかも少なくとも一つでも○印がある場合、◎印は安全性、工具摩耗、加工面粗さ、被削材の防錆効果、被削材の光沢等、工作機械の防錆効果の6項目の全てにおいて◎印のみの場合である。
なお、
図2〜
図71の表内において、「−」印は該当するpHの値にならず、実験が成立しない場合である。例えば、
図19の表内において、濃度が0.50%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で5.00%のクエン酸二ナトリウムを加えたとき、pH7.5〜10.5の範囲で、いずれも「−」印になっているが、これはpHが7.5〜10.5に達せず、実験が成立しなかったためである。
【実施例2】
【0057】
請求項1の実施例における水溶性切削加工液は、
図2から明らかなように、濃度が1.00%〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.08%〜12.77%のリン酸を適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とリン酸の混合液のpHを作業上安全とされる7.5〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項1の好ましい態様としての請求項2の実施例における水溶性切削加工液は、
図2から明らかなように、濃度が3.00〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.14%〜9.61%のリン酸を加えて、炭酸カリウム水溶液とリン酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項1、請求項2の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、濃度75.0%の液体のリン酸を全体重量比で所定量加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、及び液体のリン酸の合計重量である。
【0058】
請求項3の実施例における水溶性切削加工液は、
図3〜
図8から明らかなように、濃度が1.00%〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.08%〜13.46%のリン酸と全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムとを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とリン酸及びグルコン酸カリウムの混合液のpHを作業上安全とされる7.5〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項3の好ましい態様としての請求項4の実施例における水溶性切削加工液は、
図3〜
図8から明らかなように、濃度が3.00〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.09%〜9.39%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸カリウムとを加えて、炭酸カリウム水溶液とリン酸及びグルコン酸カリウムの混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項3、請求項4の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、濃度75.0%の液体のリン酸と純度97.0%の粉末のグルコン酸カリウムとをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、液体のリン酸、及び粉末のグルコン酸カリウムの合計重量である。
【0059】
請求項5の実施例における水溶性切削加工液は、
図9〜
図14から明らかなように、濃度が3.00%〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.17%〜13.98%のリン酸と全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムとを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とリン酸及びグルコン酸ナトリウムの混合液のpHを作業上安全とされる7.5〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項5の好ましい態様としての請求項6の実施例における水溶性切削加工液は、
図9〜
図14から明らかなように、濃度が3.00〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.08%〜8.59%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸ナトリウムとを加えて、炭酸カリウム水溶液とリン酸及びグルコン酸ナトリウムの混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項5、請求項6の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、濃度75.0%の液体のリン酸と純度99〜102%の粉末のグルコン酸ナトリウムとをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、液体のリン酸、及び粉末のグルコン酸ナトリウムの合計重量である。
【0060】
請求項7の実施例における水溶性切削加工液は、
図15〜
図19から明らかなように、濃度が1.00%〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.03%〜10.57%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムとを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とリン酸及びクエン酸二ナトリウムの混合液のpHを作業上安全とされる7.5〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項7の好ましい態様としての請求項8の実施例における水溶性切削加工液は、
図15〜
図19から明らかなように、濃度が3.00〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.51%〜8.35%のリン酸と全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムとを加えて、炭酸カリウム水溶液とリン酸及びクエン酸二ナトリウムの混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項7、請求項8の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、濃度75.0%の液体のリン酸と純度97〜103%の粉末のクエン酸二ナトリウムとをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、液体のリン酸、及び粉末のクエン酸二ナトリウムの合計重量である。
【0061】
請求項9の実施例における水溶性切削加工液は、
図20から明らかなように、濃度が3.00%〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で1.55%〜38.91%のグルコン酸を適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸の混合液のpHを作業上安全とされる9.0〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
なお、請求項9の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、濃度50.0%の液体のグルコン酸を全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、液体のグルコン酸の合計重量である。
【0062】
請求項10の実施例における水溶性切削加工液は、
図21〜
図26から明らかなように、濃度が3.00%〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.32%〜8.58%の酒石酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸カリウム及び酒石酸の混合液のpHを作業上安全とされる8.0〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項10の好ましい態様としての請求項11の実施例における水溶性切削加工液は、
図21〜
図26から明らかなように、濃度が3.00〜10.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で1.44%〜6.55%の酒石酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸カリウム及び酒石酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項10、請求項11の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度97.0%の粉末のグルコン酸カリウムと純度99.5%の粉末の酒石酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のグルコン酸カリウム、及び粉末の酒石酸の合計重量である。
【0063】
請求項12の実施例における水溶性切削加工液は、
図27〜
図32から明らかなように、濃度が3.00%〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.31%〜7.75%のリンゴ酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸カリウム及びリンゴ酸の混合液のpHを作業上安全とされる8.0〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項12の好ましい態様としての請求項13の実施例における水溶性切削加工液は、
図27〜
図32から明らかなように、濃度が3.00〜10.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で1.37%〜7.10%のリンゴ酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸カリウム及びリンゴ酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項12、請求項13の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度97.0%の粉末のグルコン酸カリウムと純度99.0%の粉末のリンゴ酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のグルコン酸カリウム、及び粉末のリンゴ酸の合計重量である。
【0064】
請求項14の実施例における水溶性切削加工液は、
図33〜
図38から明らかなように、濃度が1.00%〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で0.17%〜19.78%の乳酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸カリウム及び乳酸の混合液のpHを作業上安全とされる7.5〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項14の好ましい態様としての請求項15の実施例における水溶性切削加工液は、
図33〜
図38から明らかなように、濃度が3.00〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸カリウムと全体重量比で2.39%〜19.78%の乳酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸カリウム及び乳酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項14、請求項15の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度97.0%の粉末のグルコン酸カリウムと濃度90.0%の液体の乳酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のグルコン酸カリウム、及び液体の乳酸の合計重量である。
【0065】
請求項16の実施例における水溶性切削加工液は、
図39〜
図44から明らかなように、濃度が1.00%〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.12%〜6.30%の酒石酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸ナトリウム及び酒石酸の混合液のpHを作業上安全とされる8.0〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項16の好ましい態様としての請求項17の実施例における水溶性切削加工液は、
図39〜
図44から明らかなように、濃度が3.00〜10.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で1.43%〜6.30%の酒石酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸ナトリウム及び酒石酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項16、請求項17の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度99〜102%の粉末のグルコン酸ナトリウムと純度99.5%の粉末の酒石酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のグルコン酸ナトリウム、及び粉末の酒石酸の合計重量である。
【0066】
請求項18の実施例における水溶性切削加工液は、
図45〜
図50から明らかなように、濃度が1.00%〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.11%〜6.31%のリンゴ酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸ナトリウム及びリンゴ酸の混合液のpHを作業上安全とされる8.0〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項18の好ましい態様としての請求項19の実施例における水溶性切削加工液は、
図45〜
図50から明らかなように、濃度が1.00〜10.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.45%〜6.31%のリンゴ酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸ナトリウム及びリンゴ酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項18、請求項19の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度99〜102%の粉末のグルコン酸ナトリウムと純度99.0%の粉末のリンゴ酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のグルコン酸ナトリウム、及び粉末のリンゴ酸の合計重量である。
【0067】
請求項20の実施例における水溶性切削加工液は、
図51〜
図56から明らかなように、濃度が1.00%〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で0.19%〜19.49%の乳酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸ナトリウム及び乳酸の混合液のpHを作業上安全とされる7.5〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項20の好ましい態様としての請求項21の実施例における水溶性切削加工液は、
図51〜
図56から明らかなように、濃度が3.00〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のグルコン酸ナトリウムと全体重量比で2.38%〜19.49%の乳酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とグルコン酸ナトリウム及び乳酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項20、請求項21の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度99〜102%の粉末のグルコン酸ナトリウムと濃度90.0%の液体の乳酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のグルコン酸ナトリウム、及び液体の乳酸の合計重量である。
【0068】
請求項22の実施例における水溶性切削加工液は、
図57〜
図61から明らかなように、濃度が1.00%〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.02%〜8.88%の酒石酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とクエン酸二ナトリウム及び酒石酸の混合液のpHを作業上安全とされる8.0〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項22の好ましい態様としての請求項23の実施例における水溶性切削加工液は、
図57〜
図61から明らかなように、濃度が3.00〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.67%〜8.88%の酒石酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とクエン酸二ナトリウム及び酒石酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項22、請求項23の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度97〜103%の粉末のクエン酸二ナトリウムと純度99.5%の粉末の酒石酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のクエン酸二ナトリウム、及び粉末の酒石酸の合計重量である。
【0069】
請求項24の実施例における水溶性切削加工液は、
図62〜
図66から明らかなように、濃度が1.00%〜15.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.02%〜8.68%のリンゴ酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とクエン酸二ナトリウム及びリンゴ酸の混合液のpHを作業上安全とされる8.0〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項24の好ましい態様としての請求項25の実施例における水溶性切削加工液は、
図62〜
図66から明らかなように、濃度が1.00〜10.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜1.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.20%〜6.74%のリンゴ酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とクエン酸二ナトリウム及びリンゴ酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項24、請求項25の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度97〜103%の粉末のクエン酸二ナトリウムと純度99.0%の粉末のリンゴ酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のクエン酸二ナトリウム、及び粉末のリンゴ酸の合計重量である。
【0070】
請求項26の実施例における水溶性切削加工液は、
図67〜
図71から明らかなように、濃度が1.00%〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜5.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で0.07%〜19.54%の乳酸とを適量を加えて、炭酸カリウム水溶液とクエン酸二ナトリウム及び乳酸の混合液のpHを作業上安全とされる7.5〜10.5の範囲に下げた場合、pHのみを下げて、加工する金属表面に錆が発生せず、また、光沢等が失われることがないことが判明した。さらに、加工する金属の切削加工試験でも、工具摩耗、加工面粗さにおいては優れた結果が得られた。
また、請求項26の好ましい態様としての請求項27の実施例における水溶性切削加工液は、
図67〜
図71から明らかなように、濃度が3.00〜20.0%の炭酸カリウム水溶液に、全体重量比で0.20%〜3.00%のクエン酸二ナトリウムと全体重量比で2.01%〜19.54%の乳酸とを加えて、炭酸カリウム水溶液とクエン酸二ナトリウム及び乳酸の混合液のpHを作業上安全で、しかもpHを水質汚濁防止法において河川への排水が可能であるとされる8.5以下になるようにした。
なお、請求項26、請求項27の実施例における水溶性切削加工液は、
図72の表に示す試料を使用し、純度99.5%の粉末の炭酸カリウムを水1Lに対して所定量溶解して得られた炭酸カリウム水溶液に、純度97〜103%の粉末のクエン酸二ナトリウムと濃度90.0%の液体の乳酸とをそれぞれ全体重量比で所定量を加えて得られたものである。全体重量は加えられた、水、粉末の炭酸カリウム、粉末のクエン酸二ナトリウム、及び液体の乳酸の合計重量である。