特開2015-34354(P2015-34354A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-34354芯鞘構造複合紡績糸及びこれを用いた織編物並びにそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-34354(P2015-34354A)
(43)【公開日】2015年2月19日
(54)【発明の名称】芯鞘構造複合紡績糸及びこれを用いた織編物並びにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   D02G 3/36 20060101AFI20150123BHJP
   D02G 3/32 20060101ALI20150123BHJP
   D03D 15/08 20060101ALI20150123BHJP
   D03D 15/00 20060101ALI20150123BHJP
【FI】
   D02G3/36
   D02G3/32
   D03D15/08
   D03D15/00 D
   D03D15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-164373(P2013-164373)
(22)【出願日】2013年8月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山内 一平
(72)【発明者】
【氏名】山形 啓祐
【テーマコード(参考)】
4L036
4L048
【Fターム(参考)】
4L036MA04
4L036MA33
4L036MA35
4L036MA39
4L036MA40
4L036PA31
4L036RA24
4L036UA25
4L048AA26
4L048AA51
4L048AB07
4L048AB18
4L048AC12
4L048AC19
4L048BA02
4L048CA04
4L048CA13
4L048DA02
(57)【要約】
【課題】ストレッチ性(伸縮性)の高い芯鞘構造複合紡績糸及びこれを用いた織編物並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の芯鞘構造複合紡績糸(1)は、芯成分が弾性繊維(3)もしくは弾性繊維を含むフィラメント糸であり、鞘成分が短繊維(2)を含み、弾性繊維(3)の周辺には空隙部分(5)が存在する。リング精紡により芯鞘構造複合紡績糸(1)を製造する際には芯成分及び/又は鞘成分に溶解性繊維(4)を入れておき、紡績糸形成後又は織編物形成後、溶解性繊維を溶解除去することにより、弾性繊維の周辺に空隙部分(5)を形成する。これにより、弾性繊維は鞘成分の短繊維により拘束されておらず自由度を保つため、ストレッチ性を高く維持でき、弾性繊維の使用量を減らすこともできる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯成分が弾性繊維もしくは弾性繊維を含むフィラメント糸であり、鞘成分が短繊維を含む芯鞘構造複合紡績糸であって、
前記弾性繊維の周辺には空隙部分が存在することを特徴とする芯鞘構造複合紡績糸。
【請求項2】
前記空隙部分は、溶解性繊維を溶解除去して形成されている請求項1に記載の芯鞘構造複合紡績糸。
【請求項3】
前記芯成分はポリウレタンフィラメント糸もしくはポリウレタンフィラメント糸とポリエステル系コンジュゲートフィラメント糸の併用である請求項1又は2に記載の芯鞘構造複合紡績糸。
【請求項4】
前記芯鞘構造複合紡績糸はストレッチ性を有する請求項1〜3のいずれかに記載の芯鞘構造複合紡績糸。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の芯鞘構造複合紡績糸を含む織編物。
【請求項6】
前記織編物はストレッチ生地である請求項5に記載の織編物。
【請求項7】
芯成分が弾性繊維もしくは弾性繊維を含むフィラメント糸であり、鞘成分が短繊維を含む芯鞘構造複合紡績糸の製造方法であって、
リング精紡により芯鞘構造複合紡績糸を製造する際に、芯成分及び/又は鞘成分に溶解性繊維を入れておき、芯鞘構造複合紡績糸とした後、前記溶解性繊維を溶解除去することを特徴とする芯鞘構造複合紡績糸の製造方法。
【請求項8】
芯成分が弾性繊維もしくは弾性繊維を含むフィラメント糸であり、鞘成分が短繊維を含む芯鞘構造複合紡績糸を少なくとも用いた織編物の製造方法であって、
リング精紡により芯鞘構造複合紡績糸を製造する際に、芯成分及び/又は鞘成分に溶解性繊維を入れておき、織編物形成後、前記溶解性繊維を溶解除去することを特徴とする織編物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する芯鞘構造複合紡績糸及びこれを用いた織編物並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芯鞘構造複合紡績糸は、コアスパン糸ともいわれ、デニム用生地、スポーツ衣料用生地、女性のインナーウェア用生地などの伸縮性生地に使用されている。従来技術として、芯成分がポリウレタン弾性糸、鞘成分がコットンであるコアスパン糸が特許文献1に提案されている。特許文献2には、芯成分がトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも2成分のコンジュゲート繊維(複合紡糸繊維)、鞘成分がコットンであるコアスパン糸が提案されている。特許文献3には、芯成分がポリウレタン弾性糸とトリメチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレートからなるコンジュゲート繊維(複合紡糸繊維)、鞘成分がコットンであるコアスパン糸が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−155442号公報
【特許文献2】特表2008−531859号公報
【特許文献3】特開2008−297646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の芯鞘構造複合紡績糸を用いた織編物は、ストレッチ性が低いという問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、ストレッチ性の高い芯鞘構造複合紡績糸及びこれを用いた織編物並びにそれらの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の芯鞘構造複合紡績糸は、芯成分が弾性繊維もしくは弾性繊維を含むフィラメント糸であり、鞘成分が短繊維である芯鞘構造複合紡績糸であって、前記弾性繊維の周辺には空隙部分が存在することを特徴とする。
【0007】
本発明の織編物は、前記の芯鞘構造複合紡績糸を含む織編物である。
【0008】
本発明の芯鞘構造複合紡績糸の製造方法は、芯成分が弾性繊維もしくは弾性繊維を含むフィラメント糸であり、鞘成分が短繊維を含む芯鞘構造複合紡績糸の製造方法であって、リング精紡により芯鞘構造複合紡績糸を製造する際に、芯成分及び/又は鞘成分に溶解性繊維を入れておき、芯鞘構造複合紡績糸とした後、前記溶解性繊維を溶解除去することを特徴とする。
【0009】
本発明の織編物の製造方法は、芯成分が弾性繊維もしくは弾性繊維を含むフィラメント糸であり、鞘成分が短繊維を含む芯鞘構造複合紡績糸を少なくとも用いた織編物の製造方法であって、リング精紡により芯鞘構造複合紡績糸を製造する際に、芯成分及び/又は鞘成分に溶解性繊維を入れておき、織編物形成後、前記溶解性繊維を溶解除去することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、芯鞘構造複合紡績糸の芯部の弾性繊維の周辺に空隙部分が存在することにより、弾性繊維は鞘成分の短繊維により拘束されておらず、自由度を保つため、ストレッチ性を高く維持できる。加えて、弾性繊維の使用量を減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは本発明の一実施形態の溶解前の芯鞘構造複合紡績糸の模式的断面図、図1Bは同、溶解後の芯鞘構造複合紡績糸の模式的断面図である。
図2図2Aは本発明の別の実施形態の溶解前の芯鞘構造複合紡績糸の模式的断面図、図2Bは同、溶解後の芯鞘構造複合紡績糸の模式的断面図である。
図3図3は本発明の一実施形態の芯鞘構造複合紡績糸の製造装置を示す模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは従来のストレッチ生地はなぜストレッチ性が低いのかを検討した。その結果、従来の芯鞘構造複合紡績糸(コアスパン糸)はリング精紡工程により糸にする際に、鞘成分の短繊維が芯成分の弾性繊維に巻きつき、弾性繊維を外側から拘束してしまうのではないかと考えた。弾性繊維の外側を短繊維で拘束すると、弾性繊維は自由な動きができず、ストレッチ性に制約を与えることになる。これを改良するためには、弾性繊維の周辺に空隙部分を作ればよいとの着想を得た。本発明はこのような着想から検討して完成したものである。
【0013】
本発明の芯鞘構造複合紡績糸(コアスパン糸)は、芯成分が弾性繊維もしくは弾性繊維を含むフィラメント糸であり、鞘成分が短繊維を含む。このコアスパン糸の芯成分の弾性繊維の周辺には空隙部分が存在する。このコアスパン糸は例えば織物の場合、経糸及び緯糸の全部であっても良いし、経糸又は緯糸の一方に使用してもよい。あるいは部分的にストレッチ性が必要な部分のみに適用することもできる。編み物についても全体に使用しても良いし、ストレッチ性が必要な部分ないしは糸に適用できる。特に好ましくは、織物の緯糸として用いる場合である。
【0014】
前記空隙部分は、溶解性繊維を溶解除去して形成することが好ましい。溶解性繊維としては例えば水溶性ポリビニルアルコール繊維がある。溶解性繊維はフィラメント糸でもよいし、短繊維でもよい。溶解性繊維を溶解除去する工程は、紡績糸の段階でもよいし、編織物の段階でもよい。溶解除去は加熱水に浸漬することでできる。晒工程、染色工程(糸染め、反物染め)等の工程と兼ねても良い。この溶解性繊維を溶解除去することにより、鞘部分の短繊維が芯部分の弾性繊維を拘束する力を弱めるため、織編物のストレッチ性が向上する。
【0015】
芯成分はポリウレタンフィラメント糸(弾性繊維)もしくはポリウレタンフィラメント糸とポリエステル系コンジュゲートフィラメント糸の併用であっても良い。ポリウレタン弾性糸はスパンデックスとも言われ、ストレッチ糸としてよく知られている。ポリウレタンフィラメント糸とポリエステル系コンジュゲートフィラメント糸の併用は、例えば前記特許文献3で提案されているが、ストレッチ回復率が高い性質を有する。
【0016】
鞘成分の短繊維はコットン、麻、羊毛などの天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテートなどの化学繊維、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル系等の合成繊維のいずれか又はこれらの組み合わせであっても良い。このうち好ましいのはコットンもしくはコットンと合成繊維の混紡である。コットンは吸水性、吸湿性も高く、肌にも良いからである。
【0017】
本発明のコアスパン糸を用いた織編物等のストレッチ生地について、好ましいストレッチ性は、JISL1096(2010) 8.16.1 B法で規定される伸長率が30%以上(元の長さの1.3倍)以上である。
【0018】
本発明方法においては、芯鞘構造複合紡績糸(コアスパン糸)をリング精紡工程で糸にする際に、芯成分及び/又は鞘成分に溶解性繊維を入れておき、紡績糸形成後又は織編物形成後、溶解性繊維を溶解除去することにより、弾性繊維の周辺に空隙部分を形成する。鞘成分に溶解性繊維を入れるのが好ましく、特に鞘成分を更に芯鞘状とし、芯成分を溶解性繊維、鞘成分を短繊維とするのが好ましい。弾性繊維の重量割合は、0.5〜5重量%程度であり、溶解性繊維の重量割合は、0.5〜3重量%程度である。また、芯成分(A)と鞘成分(B)の重量割合は、A:B=0.5〜20:80〜99.5が好ましい。
【0019】
本発明の芯鞘構造複合紡績糸(コアスパン糸)の繊度は、英式番手で3〜150番が好ましい。単糸で使用することもできるし、双糸以上の複数本で使用することもできる。
【0020】
本発明に適用できる織物としては、平織、斜文織(綾織)、朱子織、変化平織、変化斜文織、変化朱子織、変わり織、紋織、片重ね織、二重組織、多重組織、経パイル織、緯パイル織、絡み織等がある。とくにデニム生地としては斜文織(綾織)が好ましく、2/1,3/1,2/2,1/2,1/3,ヘリボン,山形斜文などの組織が挙げられる。編み物としては、丸編、緯編、経編、パイル編等を含み、平編、天竺編、リブ編、スムース編(両面編)、ゴム編、パール編、デンビー組織、コード組織、アトラス組織、鎖編組織、挿入組織などがある。
【0021】
以下図面を用いて説明する。以下の図面において同一符号は同一物を示す。図1Aは本発明の一実施例の溶解前の芯鞘構造複合紡績糸の模式的断面図、図1Bは同、溶解後の芯鞘構造複合紡績糸の模式的断面図である。まず図1Aに示すように、芯鞘構造複合紡績糸1をリング精紡工程で糸にする際に、芯成分に溶解性繊維4(1本)を入れておき、織編物形成後、芯成分の周辺に存在する溶解性繊維4を溶解除去することにより、図1Bに示すように弾性繊維3の周辺に空隙部分5を形成する。これにより、弾性繊維3は鞘成分の短繊維2により拘束されておらず自由度を保つため、ストレッチ性を高く維持でき、弾性繊維の使用量を減らすこともできる。なお、溶解除去前の溶解性繊維4は弾性繊維3と接触している必要は無く、ストレッチ性が維持できる範囲であれば、溶解性繊維と弾性繊維との間に短繊維が存在していても問題ない。また、図は模式図であり、空隙部分は模式図のように明確に見えるとは限らないが、溶解性繊維を溶解除去することにより、鞘部分の短繊維が芯部分の弾性繊維を拘束する力を弱めるため、織編物のストレッチ性が向上する。
【0022】
図2Aは本発明の別の実施例の溶解前の芯鞘構造複合紡績糸の模式的断面図、図2Bは同、溶解後の芯鞘構造複合紡績糸の模式的断面図である。図1と異なるのは溶解性繊維9を2本使用している部分である。溶解性繊維9を溶解させているので短繊維7との間に空隙部分10を形成できる。
【0023】
図3は本発明の一実施例の芯鞘構造複合紡績糸の製造方法を示す模式的説明図である。この製造方法は、リング紡績機11を用いて精紡する。リング紡績機11のバックローラ12から短繊維の粗糸15を供給し、ドラフトゾーン13においてドラフトして、粗糸を細くし、フロントローラ14に導く。短繊維の粗糸15は外層がコットン繊維で内層に溶解性繊維を配置したものである。一方、弾性繊維フィラメント糸は芯成分フィラメント糸16としてフロントローラ14の上流側から供給する。芯成分フィラメント糸(弾性繊維フィラメント糸)16はドラフトされた粗糸と合体させてスピンドル17を回転させながらリング18を通過させて撚り掛けされ、芯鞘構造複合紡績糸(コアスパン糸)19となる。芯成分フィラメント糸16(弾性繊維フィラメント糸)は1.5〜5.0%伸長した状態でリング精紡機に供給するのが好ましい。
【実施例】
【0024】
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0025】
<測定方法>
織物のストレッチ性は下記の方法で測定する。
(1)伸長率:JISL1096(2010) 8.16.1 B法
(2)伸長回復率30S:JISL1096(2010) 8.16.2 B−1法
(3)伸長回復率1H:JISL1096(2010) 8.16.2 B−1法
なお、洗い試験は、JISL1096(2010) 8−39 F−2法を用い、タンブル乾燥を80℃で30分間とした。
【0026】
(実施例1)
弾性繊維として東レ・オペロンテック社製、商品名“ライクラ”(ポリウレタン繊維)、繊度:70デニール(約78deci tex)のフィラメント糸を使用した。溶解性繊維としてクラレ社製、水溶性ポリビニルアルコール糸のスパン糸、繊度:1.7deci tex、繊維長38mmを使用した。この溶解性繊維は、あらかじめコットン粗糸の内層に配置しておいた。すなわち、コットン繊維を鞘、溶解性繊維を芯に配置した粗糸とした。この粗糸を図3に示すリング紡績機11のバックローラ12から供給し、ポリウレタンフィラメント糸はフロントローラ14の上流側から供給した。そして、フロントローラ14を出た時点で両者を合体し、Z方向の撚り(撚り係数K=4.5)を掛け、英式番手20番の芯鞘構造複合紡績糸(コアスパン糸)を得た。このコアスパン糸を熱水90℃、20分間浸漬処理したところ、水溶性ポリビニルアルコールスパン糸が溶解除去した。
【0027】
実施例1のコアスパン糸を緯糸とし、綿紡績糸(20番手)を経糸として使用し、表1に示すデニム用生地織物を得た。その後、熱水90℃、20分間の浸漬処理をすることにより、水溶性ポリビニルアルコールスパン糸を溶解除去した。条件と結果は後にまとめて示す。
【0028】
(実施例2)
弾性繊維として東レ・オペロンテック社製、商品名“ライクラ”を使用する代わりに、旭化成せんい社製、商品名“ロイカ”(ポリウレタン繊維)繊度:70デニール(約78deci tex)を使用した以外は実施例1と同様に実施した。条件と結果は後にまとめて示す。
【0029】
(比較例1)
溶解性繊維を使用せず、弾性繊維として東レ・オペロンテック社製、商品名“ライクラ”(ポリウレタン繊維)、70デニール(約78deci tex)のフィラメント糸を2本使用した以外は実施例1と同様に実施した。条件と結果は後にまとめて示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1から、実施例1〜2品は比較例1品に比べてポリウレタン繊維の比率が半分であるにもかかわらず、伸長率及び1時間後の伸長回復率が高いことが確認できた。すなわち、実施例1〜2品はストレッチ性を高く維持でき、弾性繊維の使用量も減らすことができた。この理由は、芯鞘構造複合紡績糸の芯部の弾性繊維の周辺に空隙部分が存在することにより、弾性繊維は鞘成分の短繊維により拘束されておらず、自由度を保つためであると推測される。
【0032】
実施例1〜2品の生地を使用してデニムズボンを縫製して着用試験したところ、従来品以上に伸びがあり着用感も着心地も良かった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の織編物はデニム用生地以外にも、スポーツ衣料用生地、インナーウェア用生地、レオタード用生地、コスチューム用生地、ホームウエア用生地などの伸縮性生地に適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1,6,19 芯鞘構造複合紡績糸(コアスパン糸)
2,7 短繊維
3,8 弾性繊維
4,9 溶解性繊維
5,10 空隙部分
11 リング紡績機
12 バックローラ
13 ドラフトゾーン
14 フロントローラ
15 粗糸
16 芯成分フィラメント糸(弾性繊維フィラメント糸)
17 スピンドル
18 リング
図1
図2
図3