(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-34658(P2015-34658A)
(43)【公開日】2015年2月19日
(54)【発明の名称】焼却炉への破砕物供給装置
(51)【国際特許分類】
F23G 5/033 20060101AFI20150123BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20150123BHJP
B02C 18/18 20060101ALI20150123BHJP
B02C 18/22 20060101ALI20150123BHJP
B02C 18/24 20060101ALI20150123BHJP
F23G 5/50 20060101ALI20150123BHJP
【FI】
F23G5/033 A
B02C18/14 B
B02C18/18 B
B02C18/22
B02C18/24
F23G5/50 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-165067(P2013-165067)
(22)【出願日】2013年8月8日
(71)【出願人】
【識別番号】591282858
【氏名又は名称】株式会社ヘリオス
(74)【代理人】
【識別番号】110000073
【氏名又は名称】特許業務法人プロテック
(74)【代理人】
【識別番号】100167070
【弁理士】
【氏名又は名称】狹武 哲詩
(74)【代理人】
【識別番号】100160071
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】竹中 亮三郎
【テーマコード(参考)】
3K062
3K065
4D065
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC01
3K062BA02
3K062CA01
3K062CB03
3K062DA01
3K062DA21
3K062DB01
3K065AA24
3K065AB01
3K065AC01
3K065BA06
3K065CA02
4D065CA12
4D065CB02
4D065CC01
4D065CC08
4D065DD08
4D065DD30
4D065EB20
4D065ED06
4D065ED13
4D065EE07
4D065EE13
4D065EE15
4D065EE19
(57)【要約】
【課題】焼却の前処理として破砕設備を備えたゴミ焼却炉において、従来は受け入れ部・破砕機への定量供給部・破砕機・搬送機・焼却炉への定量供給部の5つの工程により安定的に燃焼するシステムが有していた、前処理工程が長く機器点数が多く設置のスペースが大きいなどの問題点を解決すること。
【解決手段】バケット等の投入手段から供給された焼却物を一時的に収容する投入ホッパーと、投入ホッパーの下部の開口部に相対向して配置された破砕機の破砕刃と、焼却物を破砕機に押し込むことができる押し込み装置を投入ホッパーの下部に備え、破砕機により破砕された焼却物をシュート部を介して直接焼却炉に投入できる構造とした焼却炉への破砕物供給装置とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケット等の投入手段から供給された焼却物を一時的に収容する投入ホッパーと、投入ホッパーの下部の開口部に相対向して配置された破砕機の破砕刃と、焼却物を破砕機に押し込むことができる押し込み装置を投入ホッパーの下部に備え、破砕機により破砕された焼却物をシュート部を介して直接焼却炉に投入できる構造としたことを特徴とする焼却炉への破砕物供給装置。
【請求項2】
前記破砕機は二軸破砕機であることを特徴とする請求項1に記載される焼却炉への破砕物供給装置。
【請求項3】
前記二軸破砕機に取り付けたカッターは、側面視がその外周部と左右対称の括れ部とからなる複数の刃部と該刃部間に形成される複数の刃間空隙部とより構成されたカッター刃と、円周軸部とが交互に配置されて形成され、正転・逆転の双方向で焼却物を破砕することを特徴とする請求項1又は2に記載される焼却炉への破砕物供給装置。
【請求項4】
互いに組み合わされた前記カッター同士のクリアランスは、前記カッターの外周部と前記カッターの円周軸部とのクリアランス及び前記カッター刃同士のクリアランスが、共に5〜10mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載される焼却炉への破砕物供給装置。
【請求項5】
燃焼に伴うガス濃度や炉内温度等の計測値に基づいて、破砕機の回転や押し込み装置の押し込み速度を炉供給制御システムにより制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載される焼却炉への破砕物供給装置。
【請求項6】
焼却物を前記シュート部を介して焼却炉に送るに際し、分散機、整流板又は押し込みスクリューを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載される焼却炉への破砕物供給装置。
【請求項7】
破砕物供給装置は、焼却物を投入ホッパーに投入するためのバケット、投入ホッパー、投入ホッパーの下部に設置された押し込み装置、破砕機、焼却炉に焼却物を送るシュート部とからなっており、焼却炉の燃焼状態は炉内温度・ガス濃度・その他燃焼状態の指標となるデータは検知部で計測されて、炉供給制御システムに送信され、炉供給制御システムでの演算値が、信号として破砕機制御盤に送られて押し込み装置の揺動を制御すると共に、同じく演算値がインバータに伝えられて破砕機の電動機の回転数や回転方向の制御を行うことを特徴とする焼却炉への破砕物供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却炉への破砕物供給装置に関する分野に属する。
【背景技術】
【0002】
焼却の前処理として破砕設備を備えたゴミ焼却炉において、従来は受け入れ部・破砕機への定量供給部・破砕機・搬送機・焼却炉への定量供給部の5つの工程により安定的に燃焼するシステムであったが、前処理工程が長く、機器点数が多く、設置のスペースが大きいなどの問題点があった。
【0003】
例えば特許文献1に記載される発明は、このようなシステムであって、ごみ投入ホッパーと前処理工程のある焼却炉との間には焼却物を斜め上方に搬送するための長大なコンベアが設置されていた。また、コンベアの先には定量供給装置のスクリューコンベアが用意されていた。そして、例えば特許文献2〜7により、焼却炉での焼却作業に関して、焼却物の受け入れや破砕装置や焼却炉への供給装置も知られてはいるが、いずれも焼却物の受け入れと破砕と焼却炉への供給とを密接に関連づける知見に乏しいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−286530号公報
【特許文献2】特開2005−127607号公報
【特許文献3】特開2013−44473号公報
【特許文献4】特開平8−121745号公報
【特許文献5】特開平5−23609号公報
【特許文献6】特開平8−290075号公報
【特許文献7】特開2001−259468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術のごみ供給装置は、焼却炉の前処理工程が長く、機器点数が多く、設置のスペースが大きいなどの問題点を解決しようとしても、焼却炉の安定燃焼を行うためには焼却物の定量的な供給が不可欠であり、破砕して粒度を整えた焼却物の定量供給が必要なことから、主要な装置である破砕機と定量供給機とをつなぐため、焼却物を破砕機に投入するための供給機と定量供給機に供給するための長大な搬送コンベアとが必要であった。
そこで本発明は、焼却炉の前処理工程が長い、機器点数が多い、設置のスペースが大きいなどの問題点を解決するため、破砕機に着目した。本発明は、これらの前処理工程を大幅に削減・単純化することによって、建設費・設備費・維持費を最小にし、かつ省エネルギーの実現と運転管理を容易にするものである。
そして、(ア)、破砕機に直接焼却物を投入する。(イ)、破砕機において焼却物の粒度を整えて破砕し、連続的かつ定量的な破砕と排出とを可能とする。の二点を実現することにより、破砕機は焼却炉の安定燃焼のための供給装置となり、焼却システムは最も簡潔・最短の投入→破砕定量供給→焼却炉に整理される。
そのために、破砕機のカッターの形状、二軸破砕機のカッター同士のクリアランス調整、カッターの回転速度・回転方向の制御、破砕機への焼却物の押し込み制御、シュート部における焼却物の定量供給にこれまでにない工夫を凝らす事としたのである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る焼却炉への破砕物供給装置は、バケット等の投入手段から供給された焼却物を一時的に収容する投入ホッパーと、投入ホッパーの下部の開口部に相対向して配置された破砕機の破砕刃と、焼却物を破砕機に押し込むことができる押し込み装置を投入ホッパーの下部に備え、破砕機により破砕された焼却物をシュート部を介して直接焼却炉に投入できる構造としたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る焼却炉への破砕物供給装置は、破砕機が二軸破砕機であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る焼却炉への破砕物供給装置は、前記二軸破砕機に取り付けたカッターが、側面視がその外周部と左右対称の括れ部とからなる複数の刃部と該刃部間に形成される複数の刃間空隙部とより構成されたカッター刃と、円周軸部とが交互に配置されて形成され、正転・逆転の双方向で焼却物を破砕することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る焼却炉への破砕物供給装置は、互いに組み合わされたカッター同士のクリアランスが、カッターの外周部とカッターの円周軸部とのクリアランス及びカッター刃同士のクリアランスが、共に5〜10mmであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る焼却炉への破砕物供給装置は、燃焼に伴うガス濃度や炉内温度等の計測値に基づいて、破砕機の回転や押し込み装置の押し込み速度を炉供給制御システムにより制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る焼却炉への破砕物供給装置は、焼却物をシュート部を介して焼却炉に送るに際し、分散機、整流板又は押し込みスクリューを用いることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る焼却炉への破砕物供給方法は、破砕物供給装置が、焼却物を投入ホッパーに投入するためのバケット、投入ホッパー、投入ホッパーの下部に設置された押し込み装置、破砕機、焼却炉に焼却物を送るシュート部とからなっており、焼却炉の燃焼状態は炉内温度・ガス濃度・その他燃焼状態の指標となるデータは検知部で計測されて、炉供給制御システムに送信され、炉供給制御システムでの演算値が、信号として破砕機制御盤に送られて押し込み装置の揺動を制御すると共に、同じく演算値がインバータに伝えられて破砕機の電動機の回転数や回転方向の制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
従来、受け入れ部・破砕機への定量供給部・破砕機・搬送機・焼却炉への定量供給部の5つの工程により安定的に燃焼するシステムであった。しかし、前処理工程が長く、機器点数が多く、設置のスペースが大きいなどの問題点に鑑みて、本願発明は簡素な構成とすることにより、建設費・設備費・維持費を大幅に低減し、かつ省エネルギーの実現と運転管理の容易化を達成することができる。
また、二軸破砕機を採用することにより、コンベアを廃止して投入ホッパーにバケットクレーン等で焼却物を一括投入して積み上げた状態から破砕することにより、破砕効率を向上させた。
また、二軸破砕機のカッターの形状構造を改良することにより、積み重ねた焼却物を過負荷を生ずることなく連続的、且つ定量的に粒度を整えて破砕すると共に、破砕機に万が一過負荷が発生しても、カッターを逆転させることにより正転と同様のごみ供給ができて、焼却炉に対する供給の連続性を確保することを可能とした。
また、ガス濃度等の計測値に応答して破砕機の破砕切り出し速度や押し込み装置の押し込み速度、押し込み角度を炉供給制御システムにより制御しているので、焼却物の円滑な焼却が担保されている。
また、破砕機から焼却炉に至るシュート部に分散機、整流板又は押し込みスクリュー等を設けて制御すれば、焼却炉内でのCO濃度の急激な上昇(暴れ)や焼却物のドカ落ち(過剰供給)を最少に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は先行技術における焼却炉への破砕物供給装置の一例を表す概念図である。
【
図2】
図2は本発明における焼却炉への破砕物供給装置を表す概念図である。
【
図3】
図3は
図2に示す本発明の破砕物供給装置の供給部分を示す外観図である。
【
図4】
図4は本発明の破砕供給装置の主要部を示す概念図であり、カッターの上面図が併記されている。
【
図5】
図5は破砕機に焼却物を供給した状態図である。
【
図6】
図6は破砕機に供給した焼却物を押し込み装置で強制的に押し込む状態図である。
【
図7】
図7において、(a)は従来技術のカッターの外形図、(b)は本発明のカッターの外形図である。
【
図8】
図8は、本発明の破砕物供給装置の制御の説明図である。
【
図9】
図9は、破砕装置の下流部に分散機を設けた例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すものは、従来技術であって、例えば特許文献1(特開2009−286530号公報)に開示されている焼却炉への破砕物供給装置である。この装置によれば、ごみピット1に貯溜された焼却物11はバケット2により投入ホッパー3に投入された後破砕機投入コンベア4により順次破砕機5に送られて破砕される。破砕された焼却物11は搬送コンベア6によりスクリューコンベア等からなる定量供給装置7に搬送される。定量供給装置7は、破砕された焼却物11を焼却炉9に定量供給して焼却作業が行われる。このように従来は、焼却炉9の前処理工程が、投入ホッパー3、破砕機投入コンベア4、破砕機5、搬送コンベア6、焼却炉9への定量供給装置7と都合5つの工程を踏んで焼却物11の安定供給を図るシステムであった為、前処理工程が長く、機器点数が多く、設置のスペースを広く取らざるを得ないという問題を抱えていた。
【0016】
本願発明は、前処理工程の短縮化を図ることに主眼を置いてシステム自体の簡素化を達成するものである。と同時に、焼却作業の確実性の担保のために、焼却物の破砕粒度を整えると共に、焼却炉への定量供給を具現化することを前提としてこの発明に至った。その際着目したのが破砕機である。破砕機に求められることは2つあって、1つは破砕機に焼却物を直接投入できることであり、もう1つは破砕機において連続的に粒度を整えて且つ定量的に破砕と排出とができることである。
そのために、破砕機のカッターの形状、二軸破砕機のカッター同士のクリアランス調整、カッターの回転速度の制御、破砕機への焼却物の押し込み制御、シュート部における焼却物の定量供給にこれまでにない工夫を凝らす事としたのである。
【0017】
図2は本発明の一実施例である。ごみピット1に貯溜された焼却物11をバケット2により連続的に投入ホッパー3に投入する。投入ホッパー3に積み上げられ圧密したごみによって炉内との空気遮断を行う個所として破砕機5上部にエアシール部13を設けている。また焼却物11は投入ホッパー3の下部の開口部に配置された破砕機5の破砕刃により順次破砕される。その際必要に応じて押し込み装置8が揺動して、焼却物11を破砕機5に押し込むことができるように構成されている。破砕機で破砕された焼却物11は、整流板10や押し込みスクリュー12により、整流されたり押し込まれたりしながら、シュート部14を経て直接焼却炉9に定量的に供給される。また、図中15は、焼却炉の立ち上げ・立ち下げ時にのみ回動させてシュート部14を閉じて焼却炉への焼却物の落下の防止と、炉の輻射熱を遮断するシールダンパーであり、焼却炉が稼動する通常時は開放した状態としている。
【0018】
図3は本発明の主要構成の一実施例を示している。投入ホッパー3の下部には押し込み装置8が相対向して左右対称に適当数設けられており、エアシール部13に出入り自在に揺動する断面がほぼ四分円の部分円柱体から構成され、これらが交互に、または同時に揺動し、破砕機5に対してごみを圧縮し定量的に送り込むように構成されている。投入ホッパー3の下部の開口部に相対向して破砕機5の破砕刃が設けられている。破砕機5の排出部に続いてシュート部14が設けられており、焼却炉9に焼却物を定量供給する。シュート部14には整流板10と押し込みスクリュー12が取り付けられている。整流板10は揺動し、押し込みスクリュー12は回動してシュート部14における焼却物の流動を制御する。
【0019】
図4は本発明の破砕機5を示す一実施例である。投入ホッパー3下部に設けられた押し込み装置8とその下方に設置された破砕機5を示すと共に、破砕機5に用いられているカッター20の上面図を示している。カッター20の上面図はカッター20がカッター刃21と円周軸部26とが交互に配置されてなることを示している。そして、カッター20同士が組み合わされて破砕機5を構成すると共に、カッター20の外周部22とカッター20の円周軸部26とのクリアランスC及びカッター刃21同士のクリアランスCが、共に5〜10mmであることをも示している。このように通常の破砕機のカッターのクリアランスが0.5〜1mmであるのに比較してカッター20同士のクリアランスCを大きくとることにより、破砕機5の回転馬力を低減させることを可能とすると共に、焼却物11を大量に一括投入しても過負荷が発生しないように配慮してある。
【0020】
図5の一実施例のものは、破砕機5に送られる焼却物11が、積み上げられた焼却物11の自重により破砕機5のカッターに加圧された状態となることを示している。そして、その加圧面をカッターが回転しながら掻き取るように破砕するので、クリアランスが大きいにも拘わらず、破砕粒度が整えられることを表している。
【0021】
図6の一実施例において、投入ホッパー3下部に設けられた押し込み装置8が交互に或いは断続的に揺動することによって、焼却物11を破砕機5のカッターに積極的に押し込むことを示している。加圧力が不足する場合や積極的に加圧力や排出量をコントロールしたい時に採用することができる。そして、押し込み装置8は投入ホッパー3の閉塞つまりを防止・解除する機能を有している。また、破砕機の送り容量(処理量)は、カッターの刃間空隙部(後述)の部分の空間に破砕物が入り、相手のカッターで切断されてカッターの回転力で排出されることより、カッターの刃間空隙部の空間容積と回転数の積で時間当たりの送り容積(処理量)が決定される。これはポンプなどの能力計算と同じであり破砕機は基本的に定量性のある装置であるが、カッターの刃間空隙部への充填率を上げることにより格段に送り量が安定をして定量性が上がる。また、通常の破砕機5の回転(20〜40回転/分)よりも大幅に回転数を下げ(1〜10回転/分)、カッター部でのスリップロスをなくし、カッターの空間への焼却物の充填効率を高めることができる。また、回転数を低下させることにより、小さい動力で大きなトルクを得ることができるので、性能の確保と省エネルギーとを同時に満たすことができる。トルクについては、カッター長1m当たり70000Nmという圧倒的なトルクと、カッター間の広いクリアランスで通常運転下では過負荷の発生もない。
【0022】
図7の(a)は従来の破砕機のカッター部を示し、(b)は本発明のカッター部を示している。従来のカッター20は刃の形状から双方向の回転には対応できないが、本発明のカッター20は、その外周部22に連なり左右対称(軸対称)の括れ部23を有しており、刃部25と刃部25の間には刃間空隙部24を設けているので、矢印で示すように、双方向の回転が許容されている。これは万が一過負荷によって破砕機が停止した場合に逆転させることができ、それも過負荷を解消するための一時的なものではなく逆転の際にも供給を止めることなく正転と同等の供給量を保ちつつ連続して破砕排出が可能であることを意味している。刃部25の形状は略台形であり、刃間空隙部24の形状も刃部25間に嵌り合う略台形状である。
【0023】
図8は本発明の破砕物供給装置の制御の説明図である。焼却物を焼却炉に定量供給する場合に求められるものは、「連続性」、「切り出し精度」と「切り出しの変動幅のピークが抑えられていること」である。連続性に関しては、既述の如く破砕機5のトルクの強化とカッター20の大きなクリアランスの設定により解決している。そして万が一過負荷が発生しても逆転運転を行うことで対応がなされている。また、高精度の焼却が求められたり、焼却炉の容量が小さいことに起因して供給変動に敏感な焼却炉の場合は、シュート部に整流板や押し込みスクリューを設置することで、連続性に関する安定性を確保している。
図8に記載される破砕物供給装置は、焼却物を投入ホッパー3に投入するためのバケット2、投入ホッパー3、投入ホッパー3の下部に設置された押し込み装置8、破砕機5、焼却炉9に焼却物を送るシュート部14とからなっている。そして、焼却炉9の燃焼状態は炉内温度・ガス濃度・その他燃焼状態の指標となるデータを検知する炉内温度・ガス濃度等検知部31で計測されて、炉供給制御システム32に送信される。炉供給制御システム32での演算値が、信号として破砕機制御盤33に送られて押し込み装置8の揺動を制御すると共に、同じく演算値がインバータ34に伝えられて破砕機5の電動機35の回転数や回転方向の制御を行う。ガス濃度等検知の典型は、一酸化炭素濃度の検知であるが、二酸化炭素濃度や水蒸気濃度等の併用を排除するものではない。
このような制御を行うことにより、切り出し精度に関しても、押し込み速度の速度コントロールにより焼却炉の要求量に追随させる機能を備えている。また、破砕機5の回転をインバータ等の変速機能で速度コントロールして対応している。切り出しの最大変動幅のピークの抑えと共に、破砕でバラバラになった状態で直接炉へ供給する本方式は、長い搬送工程の中で、ばらばらだった焼却物が固まったり、炉への定量供給装置(スクリュー)出口で圧密して定量性を著しく低下させ大量供給してしまう惧れを排除しているので、一酸化炭素濃度暴れの抑制や炉の温度制御に有効である。
【0024】
さらに供給精度が求められる場合は、
図9に示すような分散機16を破砕機5の下方に設置して、破砕物をさらにバラ状態に導く荷ばらしを行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
このように、本発明の破砕物供給装置は、破砕機と破砕物供給装置とが一つのまとまりを構成して完結している。一般的にごみの粉砕によって焼却物の粒度を整えることは、燃焼に対して燃焼速度を均一化させ安定した燃焼に寄与することになることから、焼却炉と破砕機を直結させた本発明は、種々の形式や容量の焼却炉に適切に対応した破砕物供給装置を製作して組み合わせることができるので、新規に焼却設備を設置する場合のみならず、既存の焼却炉を用いて設備の改善を行う場合でも、柔軟に対応することができるものである。その意味で、現代社会が抱えるゴミ処理問題に柔軟に対応できる本発明が果たす可能性には、計り知れないものが内在している。
【符号の説明】
【0026】
1 ごみピット
2 バケット
3 投入ホッパー
4 破砕機投入コンベア
5 破砕機
6 搬送コンベア
7 定量供給装置(スクリューコンベア)
8 押し込み装置
9 焼却炉
10 整流板
11 焼却物
12 押し込みスクリュー
13 エアシール部
14 シュート部
15 シールダンパー
16 分散機(荷ばらし装置)
20 カッター
21 カッター刃
22 カッターの外周部
23 括れ部
24 刃間空隙部
25 刃部
26 円周軸部
31 炉内温度・ガス濃度等検知部
32 炉供給制御システム
33 破砕機制御盤
34 インバータ
35 電動機
C クリアランス