【解決手段】本発明によるクロマトグラフィーカラムは、フローディストリビュータに接着されるバッキングプレートを備える少なくとも1つのアセンブリを有する。また、本発明は、このようなクロマトグラフィーカラムを形成して使用する方法にも関する。
前記バッキングプレートの前記第1の表面と前記ディストリビュータの前記第2の表面との間の接着をもたらす、アクリル系、シアノアクリレート系、または、結合膜/エポキシ系の接着剤を備える、請求項1に記載のクロマトグラフィーカラム。
前記バッキングプレートの前記第1の表面と前記フローディストリビュータの前記第2の表面との間に接着される膜を備える、請求項1または2に記載のクロマトグラフィーカラム。
プラスチックのフローディストリビュータおよび/またはプラスチックのバッキングプレートを備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクロマトグラフィーカラム。
プラスチック複合体のフローディストリビュータおよび/またはプラスチック複合体のバッキングプレートを備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクロマトグラフィーカラム。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0007]フローディストリビュータが多数のボルトを用いてバッキングプレートに締結され、そのため、ネジ開口周囲の隙間、ネジ山を介して、および/または、フローディストリビュータとバッキングプレートとの間で汚染物質流体がカラム内に入る可能性があるいくつかの従来のクロマトグラフィーカラムとは対照的に、ボルトを伴わずに、または数少ないボルトを用いてフローディストリビュータがバッキングプレートに接着される本発明によれば、カラム内への汚染物質流体の侵入を減らすことができ、または排除でき、有効である。この利点は特に望ましい。従来のカラムのオペレータは、汚染物が存在するかどうかを判断できない場合があるからである。
【0006】
[0008]他の利点では、本発明を例えばスチールバッキングプレートと共に使用できる一方で、非金属材料(例えば、以下で更に詳しく述べるプラスチック材料)も使用することができ、それにより、(1または複数の)端部アセンブリの重量を大きく軽減できる。
【0007】
[0009] 本発明の実施形態は、バッキングプレートとフローディストリビュータとを備える少なくとも1つの端部アセンブリを含む多種多様なクロマトグラフィーカラム、例えば、ベッド高さが調整できる、または固定されたカラムと共に使用するのに適する。
【0008】
[0010] 接着をもたらす市販の製品を含む、接着をもたらす様々な材料が、本発明で用いるのに適する。アクリル(例えば、2成分アクリル)系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、および、結合膜/エポキシ系接着剤などの接着剤が特に適する。適した市販の製品としては、DP-8005(3M Scotch Weld),LOCTITE 406 and LOCTITE 3038(Henkel Corporation);2050(Permabond)and adhesive film(Collano Adhesives)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
[0011]フローディストリビュータおよびバッキングプレートは、同じ、または異なる材料から形成することができる。例えば、一方を金属(例えばスチール)から作ることができ、他方をプラスチック(複合プラスチック、および/または強化プラスチックを含む)から作ることができる。あるいは、フローディストリビュータおよびバッキングプレートの両方を金属から作ることができ(例えば、両方を同じ金属または異なる金属から作る)、、またはプラスチックから作ることができる(例えば、両方を同じプラスチックもしくは異なるプラスチックから作り、または、一方を強化プラスチックから作ることができ、他方を異なる範疇のプラスチックから作ることができる)。適したフローディストリビュータおよびバッキングプレートは、当該技術分野において知られるように形成され得る。
【0010】
[0012]本発明の一実施形態は、次のクロマトグラフィーカラムを提供するものである。すなわち、このクロマトグラフィーカラムは、(a)第1の端部と第2の端部と中空の内部とを有するチューブと、(b)第1の端部アセンブリおよび第2の端部アセンブリとを備える。また、各端部アセンブリは、チューブを塞ぐとともにクロマトグラフィー媒体のための空間をチューブ内に画定するためにチューブの対応の端部に装着可能であり、少なくとも一方の端部アセンブリがフローディストリビュータとバッキングプレートとを備えている。(i)フローディストリビュータは、チューブの内部に面する第1の表面と、チューブの内部から離れる方向を向く第2の表面と、フローディストリビュータの第1および第2の表面を貫くフローディストリビュータ貫通穴と、フローディストリビュータ貫通穴と流体連通する複数の流体チャネルとを備え、(ii)バッキングプレートは第1の表面および第2の表面を備え、バッキングプレートの第1の表面がフローディストリビュータの第2の表面と対向し、バッキングプレートが該バッキングプレートの第1および第2の表面を貫くバッキングプレート貫通穴を備え、バッキングプレート貫通穴がフローディストリビュータ貫通穴と流体連通し、バッキングプレートがフローディストリビュータに接着される。
【0011】
[0013]クロマトグラフィーカラムの典型的な実施形態において、各端部アセンブリは、フローディストリビュータの第1の表面に取り付けられるベッド支持体を更に備え、この場合、ベッド支持体が流体フロー開口を含み、また、フローディストリビュータの複数の流体チャネルは、フローディストリビュータ貫通穴およびベッド支持体の流体フロー開口と流体連通する。
【0012】
[0014]次に、以下、本発明の構成要素のそれぞれについて更に詳しく説明し、その場合、同様の構成要素が同様の参照数字を有する。
【0013】
[0015]
図1は、本発明の一実施形態に係る例示的なクロマトグラフィーカラムを示し、また、
図2および
図3は、例示的なバッキングプレートおよび例示的なフローディストリビュータを示す。
【0014】
[0016]
図1において、図示のクロマトグラフィーカラム100は円筒状のカラムチューブ1(一般に、ステンレス鋼またはアクリルなどの強度の不活性材料から作られる)を備え、このカラムチューブ1は、クロマトグラフィー媒体を受けるためのキャビティを画定するとともに、一端の底端部アセンブリ(第1の端部アセンブリ)5を他端の上端部アセンブリ(第2の端部アセンブリ)6から分離する。また、図示のカラムは、フランジ200,201も有し、また、一組の脚51によって地面上で支持される。望ましい場合には、脚が車輪を更に含むことができ、および/または、脚がカラムの調整可能な高さおよび/またはレベルをもたらすことができる。図示の実施形態では、上端部アセンブリが調整可能であり、また、底端部アセンブリが固定されるが、本発明はそのように限定されない。これに代えて、またはこれに加えて、カラムチューブは、例えば米国特許第7,604,747号明細書に開示されるように、端部アセンブリのいずれか一方または両方に対して移動することができる。
【0015】
[0017]図示の底端部アセンブリ5は、フローディストリビュータ500(
図3のFIG.3A’およびFIG.3B’に更に詳しく示される)と、ベッド支持体515(後述するようにフローディストリビュータの第1の表面上にあり、
図1に示される)と、バッキングプレート520(
図2のFIG.2A’およびFIG.2B’に更に詳しく示される)とを備え、フローディストリビュータ500はチューブの内部に面する第1の表面501を備え、第1の表面は複数の流体チャネル505も備え、また、フローディストリビュータ500は、チューブの内部から離れる方向を向く第2の表面502と、フローディストリビュータの第1および第2の表面を貫くフローディストリビュータ貫通穴503とを備える(一般的には、貫通穴は中心に配置される)。フローディストリビュータの第1の表面501に取り付けられるベッド支持体515(適した支持体は、市販されており、当該技術分野において知られている)は、複数の流体フロー開口を含み、また、フローディストリビュータの複数の流体チャネル505は、フローディストリビュータ貫通穴503とベッド支持体515の流体フロー開口とに流体連通する。図示のバッキングプレート520は、第1の表面521および第2の表面522を備え、バッキングプレートの第1の表面はフローディストリビュータの第2の表面と対向し、また、バッキングプレート520は、バッキングプレートの第1および第2の表面を貫くバッキングプレート貫通穴523を備え(一般的には、貫通穴は中心に配置される)、この場合、バッキングプレート貫通穴523はフローディストリビュータ貫通穴503と流体連通し、また、バッキングプレートはフローディストリビュータに接着される。
【0016】
[0018]処理中においてクロマトグラフィー媒体の充填または取り出し、および溶離液の除去または収集を可能にするために、マルチポートアクセス弁55が下端アセンブリ5の貫通穴503,523を通じてチューブの内部と連通する。図示の実施形態において、アクセス弁55は、移動相ポート510と、スラリー入口ポート511と、スラリー廃棄ポート512とを備える。
【0017】
[0019]同様に、図示の上端部アセンブリ6は、フローディストリビュータ600(
図3のFIG.3A”およびFIG.3B”に更に詳しく示される)と、ベッド支持体615(後述するようにフローディストリビュータの第1の表面上にあり、
図1に示される)と、バッキングプレート620(
図2のFIG.2A”およびFIG.2B”に更に詳しく示される)とを備え、フローディストリビュータ600は、チューブの内部に面する第1の表面601を備え、第1の表面は複数の流体チャネル605も備え、また、フローディストリビュータ600は、チューブの内部から離れる方向を向く第2の表面602と、フローディストリビュータの第1および第2の表面を貫くフローディストリビュータ貫通穴603とを備える(一般的には、貫通穴は中心に配置される)。フローディストリビュータの第1の表面601に取り付けられるベッド支持体615(適した支持体は、市販されており、当該技術分野において知られている)は、複数の流体フロー開口を含み、また、フローディストリビュータの複数の流体チャネル605は、フローディストリビュータ貫通穴603とベッド支持体615の流体フロー開口とに流体連通する。図示のバッキングプレート620は、第1の表面621および第2の表面622を備え、バッキングプレートの第1の表面はフローディストリビュータの第2の表面と対向し、また、バッキングプレート620は、バッキングプレートの第1および第2の表面を貫くバッキングプレート貫通穴623を備え(一般的には、貫通穴は中心に配置される)、この場合、バッキングプレート貫通穴623は、フローディストリビュータ貫通穴603と流体連通し、また、バッキングプレートは、フローディストリビュータに接着される。
【0018】
[0020]処理においてクロマトグラフィー媒体の充填または取り出し、および溶離液の除去または収集を可能にするために、マルチポートアクセス弁66が、上端アセンブリ6の貫通穴603,623を通じてチューブの内部と連通する。図示の実施形態において、アクセス弁66は、移動相ポート610と、スラリー入口ポート611と、スラリー廃棄ポート612とを備える。
【0019】
[0021]図示の実施形態によれば、上端部アセンブリ6は、例えば、カラム内の対象の材料のクロマトグラフィー分離を行うために使用されるクロマトグラフィー媒体(図示せず)のベッドを押し固める、または圧縮するために、チューブのキャビティ内を動作モードで移動できる。
【0020】
[0022]本発明によれば、クロマトグラフィー分離は、下降流または上昇流を使用して行うことができる。例えば、上昇流中には、アクセス弁55を介して、分離されるべき材料を含む液体を導入することができ、また、この液体は、アクセス弁66を介してカラムの上端で収集されるように媒体層を通り抜けて上方へ流れる。下降流中には、アクセス弁66を介して、分離されるべき材料を含む液体を導入することができ、また、この液体は、アクセス弁55を介してカラムの下端で収集されるように媒体層を通り抜けて下方へ流れる。
【0021】
[0023]図示の実施形態において、一方の端部アセンブリは、別個の締結具を伴うことなくフローディストリビュータがバッキングプレートに接着されることを示し、また、他方の端部アセンブリは、フローディストリビュータがバッキングプレートに接着されるとともに、いくつかの締結具が存在することを示し、したがって、フローディストリビュータとバッキングプレートとを互いに結合するために、フローディストリビュータおよび/またはバッキングプレートの開口を通り抜ける締結具が存在せず、またはそのような締結具の数が減少される。そのため、市販のカラムとは対照的に、ネジ開口周囲の隙間、ネジ山を介して、および/または、フローディストリビュータとバッキングプレートとの間で汚染物質流体がカラム内に入る機会が殆どない。
【実施例】
【0022】
[0024]以下の実施例は、本発明を更に例示するが、無論、本発明の範囲を多少なりとも限定すると解釈されるべきでない。
【0023】
[実施例1]
[0025]この例は、本発明の一実施形態に係るフローディストリビュータに対するバッキングプレートの接着を明らかにする。また、この例は、ステンレス鋼バッキングプレートの代わりに複合体強化プラスチックバッキングプレートを使用してカラムを形成でき、それにより、重量を軽減して形成できるカラムがもたらされることも示す。
【0024】
[0026]商標RESOLUTE(ニューヨーク州のポートワシントンにあるPall社)を伴う市販のクロマトグラフィーカラムが入手され、また、ステンレス鋼のフランジおよびバッキングプレートが繊維強化プラスチック構成材料と置き換えられる(
図1を使用して参照すると、繊維強化構成要素は、200,201(フランジ)、および520,620(バッキングプレート)に対応する)。ベッド支持体は、市販のPOREMETスチールプレート型メッシュである(スイスのG.BOPP,and Co.,AG,Zurich)。
【0025】
[0027]2つのポリプロピレンフローディストリビュータプレート(500,600)および2つの繊維強化プラスチック(ガラス強化プラスチックとしても知られる)バッキングプレートが入手される。
【0026】
[0028]接着膜が入手される(スイスのCollano Adhesive AG)。この膜は、ポリプロピレンディストリビュータプレートの第2の表面(502,602)上に配置され、膜が加熱されて、加熱された膜に圧力が加えられる。
【0027】
[0029]硬化剤と混合されるエポキシ樹脂が膜の自由表面(ディストリビュータプレートに結合されない膜の表面)に塗布される。繊維強化プラスチックバッキングプレートが樹脂上に配置されて、樹脂を硬化させることができる。
【0028】
[0030]それぞれのバッキングプレートに対してフローディストリビュータプレートを結合した後、クロマトグラフィーカラムが再び組み付けられて圧力試験リングに接続される。クロマトグラフィーカラムは、水を使用する静水圧試験に晒される。カラム内圧が最大許容圧力(MAP)4.2バールまで徐々に上昇される。内圧は、6.0バールのカラム試験圧に達するまで再び上昇される。圧力は、容器内に閉じ込められて、60分の期間にわたって監視される。内圧は、圧力トランスデューサに記録されるとともに、印刷されて試験報告に添付されるとともにサインされるトレースに記録される。試験は、欧州圧力機器指令下の公認機関(PED 97/23/EC)により証明される。
【0029】
[実施例2]
[0031]この実施例は、様々な接着剤を使用して2つのポリプロピレン基板材料(ディストリビュータプレートおよびフローディストリビュータに相当する)を接着する結果を明らかにする。それぞれの接着剤ごとに、10個のサンプルが試験されて、引張試験強度が決定される。接着剤は、各接着剤のための製造業者のガイドラインにしたがって塗布されて硬化される。試験は、周囲室温および一般的な大気湿度で、較正試験機器(Lloyds EX 50K, ロードセル50KN、および、デジタルバーニア)を使用して、BS EN 2243−1にしたがって行われる。剪断強度がMPaの単位で測定され、最大負荷がkNの単位で測定され、また、不具合の態様(剪断(結合の分離)または被接着体引張破壊(材料よりも大きな結合強度))が記録される。試験速度は10mm/分である。
【0030】
[0032]以下の接着剤、すなわち、DP-8005(3M Scotch Weld;2成分),LOCTITE 3038,およびLOCTITE 406(LOCTITE 770プライマーを伴う)(Henkel Corporation;3038=2成分;406=1成分+プライマー);2050(Permabond;1成分+POPプライマー)およびPP/PPA膜(Collano Adhesives;膜+2成分エポキシ接着剤)が使用される。
【0031】
[0033]結果は以下の通りである。
【表1】
【0032】
[0034]本明細書中で挙げられる公報、特許出願、および、特許を含む全ての文献は、あたかもそれぞれの文献が参照により組み入れられるべく個別に且つ具体的に示されてその全体が本明細書中に記載されたかのように同じ程度まで参照することにより本願に組み入れられる。
【0033】
[0035]本発明を説明する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)における用語「1つ(a)」および「1つ(an)」および「その(the)」および「少なくとも1つ」および同様の言及の使用は、本明細書中で別段に示唆されなければ、または文脈により明らかに矛盾しなければ、単数形および複数形の両方を包含するように解釈されるべきである。1つ以上の項目のリストがその後に続く用語「少なくとも1つ」の使用(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)は、本明細書中で別段に示唆されなければ、または文脈により明らかに矛盾しなければ、挙げられた項目から選択される1つの項目(AもしくはB)または挙げられた項目のうちの1つ以上の任意の組み合わせ(AおよびB)を意味するように解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」、および、「包含する」は、別段に言及されなければ、非限定的な用語(すなわち、「を含むがそれに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中で別段に示唆されなければ、単に、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を個別に示す略記法として役立つべく意図されるにすぎず、また、それぞれの別個の値は、あたかもそれが本明細書中で個々に挙げられたかのように、本明細書に組み入れられる。本明細書中に説明される全ての方法は、本明細書中で別段に示唆されなければ、または文脈により明らかに矛盾しなければ、任意の適した順序で行うことができる。本明細書中で与えられる任意の全ての例または例示的な言語(例えば「など」)の使用は、単に、本発明をより良く浮き彫りにするように意図されるにすぎず、特許請求の範囲に別段に記載されなければ、本発明の範囲に限定をもたらさない。明細書中の言語は、特許請求の範囲に記載されない任意の要素を本発明の実施に不可欠であるとして示すように解釈されるべきでない。
【0034】
[0036]本明細書中では、本発明の好ましい実施形態が、本発明を実施するための発明者等に知られる最良の形態を含めて、説明される。これらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むと、当業者に明らかとなり得る。発明者等は、当業者が必要に応じてそのような変形を使用することを予期し、また、発明者等は、本明細書中に具体的に記載される以外の方法で本発明が実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用できる法律により許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての変更および等価物を含む。また、前述した要素のその全ての想定し得る変形における任意の組み合わせは、本明細書中で別段に示唆されなければ、または文脈により明らかに矛盾しなければ、本発明によって包含される。