【実施例】
【0026】
次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。また、併せて本発明の実施例に対する比較例についても説明する。
(実施例1)
(透明フィルム基材の作製)
メタクリル系樹脂からなるペレットを十分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し、溶融押し出し機にてシート状にし、未延伸フィルムを作製した。続いて、約100℃に加熱したロールで縦方向に1.5倍に延伸し、一軸配向アクリルフィルムを得た。その後、約180℃で熱処理を施し結晶配向が完了した厚さ40μmの一軸配向アクリルフィルムを作製した。
【0027】
(ハードコートフィルムの作製)
紫外線硬化型樹脂としてウレタンアクリレート樹脂(商品名: アートレジンUN−904、根上工業(株)製、重量平均分子量:4900、1分子あたりのアクリル基数(以下、官能基数と呼ぶ。):10)と多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製、1分子あたりの官能基数が4)を配合比率が50/50となるように100重量部、光重合開始剤2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:イルガキュア907、BASF(株)製)5.0重量部、>N−CH
3タイプヒンダードアミン系光安定化剤(商品名:チヌビン292、BASF(株)製)3.2重量部を撹拌し、揮発分が50%となるようにノルマルプロパノール/トルエン/ジメチルホルムアミド(配合比50/30/20)の混合溶剤で希釈し、ハードコート層用塗料を得た。
【0028】
上記で作製した一軸配向アクリルフィルムの片面に、得られたハードコート層用塗料を、バーコータを用いて塗布し、100℃の乾燥炉で20秒間乾燥させ膜厚が4.5μmのハードコート層を形成した。これを、塗布面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用いUV照射量100mJ/cm
2にて硬化させハードコートフィルムを作製した。
【0029】
(実施例2)
ウレタンアクリレート樹脂(商品名:アートレジンUN−904、根上工業(株)製)と多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)の配合比率を75/25とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0030】
(実施例3)
ウレタンアクリレート樹脂(商品名:アートレジンUN−904、根上工業(株)製)と多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)の配合比率を25/75とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0031】
(実施例4)
温度計、攪拌装置を備えたセパラブルフラスコにポリカプロラクトン由来のポリカプロラクトントリオールとヘキサメチレンジイソシアネートからなるイソシアネート化合物、重量平均分子量:2500、分子量分布(Mw/Mn):1.36を400部充填し内温を70℃にした後、ヒドロキシエチルアクリレート100部、ジブチルスズジラウート200ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)、ハイドロキノンモノメチルエーテル800ppm(得られるウレタンアクリレートに対する添加量)を加え、重量平均分子量が4900、一分子あたりの官能基数が6の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た樹脂をウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0032】
(実施例5)
イソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレートの配合量を変更し、重量平均分子量が4900、一分子あたりの官能基数が14の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た紫外線硬化型ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0033】
(実施例6)
イソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレートの配合量を変更し、重量平均分子量が3000、一分子あたりの官能基数が6の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た紫外線硬化型ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0034】
(実施例7)
イソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレートの配合量を変更し、重量平均分子量が3000、一分子あたりの官能基数が14の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た紫外線硬化型ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0035】
(実施例8)
イソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレートの配合量を変更し、重量平均分子量が6000、一分子あたりの官能基数が6の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た紫外線硬化型ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0036】
(実施例9)
イソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレートの配合量を変更し、重量平均分子量が6000、一分子あたりの官能基数が14の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た紫外線硬化型ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0037】
(比較例1)
紫外線硬化樹脂にウレタンアクリレート樹脂(アートレジンUN−904)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0038】
(比較例2)
紫外線硬化樹脂に多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0039】
(比較例3)
ポリウレタンアクリレート樹脂にアートレジンUN−3320HS(官能基数15、重量平均分子量5000、根上工業(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0040】
(比較例4)
ポリウレタンアクリレート樹脂にアートレジンUN−952(官能基数10、重量平均分子量9000、根上工業(株)製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0041】
(比較例5)
イソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレートの配合量を変更し、重量平均分子量が3000、一分子あたりの官能基数が5の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た紫外線硬化型ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0042】
(比較例6)
イソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレートの配合量を変更し、重量平均分子量が6500、一分子あたりの官能基数が10の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た紫外線硬化型ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0043】
(比較例7)
イソシアネート化合物とヒドロキシエチルアクリレートの配合量を変更し、重量平均分子量が2500、一分子あたりの官能基数が10の紫外線硬化型ウレタンアクリレートを得た。
上記合成法により得た紫外線硬化型ウレタンアクリレートをウレタンアクリレート樹脂に用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0044】
(参考例1)
乾燥温度を90℃とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0045】
以上のとおり作製した各ハードコートフィルムについて、下記評価を行い、結果を表1に示す。
(1)密着性
碁盤目剥離試験治具を用い1mm
2のクロスカットを100個作製し、積水化学工業(株)製粘着テープNo.252を、その上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付けた後、90度方向に剥離し、ハードコート層の残存個数を4段階評価した。評価基準は下記の通りであり、◎と○を良好とした。
◎:100個、○:99〜95個、△:94〜50個、×:49〜0個
【0046】
(2)鉛筆硬度
硬度3Hの鉛筆を用い、500g荷重下でJIS K5600に示される試験法により鉛筆硬度を測定した。鉛筆を45°傾けてフィルム表面を5回数mm程度引っ掻き、傷の発生の有無を確認した。評価基準は下記の通りであり、◎と○を良好とした。
◎:傷0本、○:傷1本、×:傷2〜5本
【0047】
(3)耐擦傷性
#0000のスチールウールにより、ハードコートフィルムの表面を250g/cm
2の荷重をかけながら10回摩擦し、傷の発生の有無および傷の程度を目視により観察した。評価基準は下記の通りであり、◎と○を良好とした。
◎:傷の発生なし。○:5本以下の傷が発生する。△:傷が6〜10本発生する。×:傷が無数に発生する。
【0048】
【表1】
【0049】
上記表1の結果から、ハードコート層が1分子あたり6〜14個のアクリル基を有する重量平均分子量3000〜6000のウレタンアクリレート樹脂、および1分子あたり3個以上のアクリル基を有する多官能アクリルモノマーを含有する実施例1〜9のハードコートフィルムは、密着性、鉛筆硬度、耐擦傷性のいずれの特性も良好であることが確認できた。
【0050】
これに対し、ウレタンアクリレート樹脂のみを用いた比較例1では、ハードコート層の表面強度は良好であるものの、密着性が得られない。また、多官能アクリルモノマーのみを用いた比較例2では、密着性は良好であるものの、ハードコート層の表面強度が得られない。また、1分子あたりのアクリル基数が14よりも大きいウレタンアクリレート樹脂を用いた比較例3では、良好な密着性が得られない。また、重量平均分子量が6000よりも大きいウレタンアクリレート樹脂を用いた比較例4においても、良好な密着性が得られない。
また、1分子あたりのアクリル基数が6よりも小さいウレタンアクリレート樹脂を用いた比較例5では、ハードコート層の表面強度が得られない。また、重量平均分子量が6000よりも大きいウレタンアクリレート樹脂を用いた比較例6においては、良好な密着性が得られない。また、重量平均分子量が3000よりも小さいウレタンアクリレート樹脂を用いた比較例7においては、ハードコート層の表面強度が得られない。
また、フィルム基材上へのハードコート層塗布後の乾燥温度を100℃よりも低い温度(90℃)とした参考例1では、良好な密着性が得られない。