特開2015-34987(P2015-34987A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウルトラテック インクの特許一覧

特開2015-34987気体環境中のフォトレジストをレーザ処理する方法
<>
  • 特開2015034987-気体環境中のフォトレジストをレーザ処理する方法 図000004
  • 特開2015034987-気体環境中のフォトレジストをレーザ処理する方法 図000005
  • 特開2015034987-気体環境中のフォトレジストをレーザ処理する方法 図000006
  • 特開2015034987-気体環境中のフォトレジストをレーザ処理する方法 図000007
  • 特開2015034987-気体環境中のフォトレジストをレーザ処理する方法 図000008
  • 特開2015034987-気体環境中のフォトレジストをレーザ処理する方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-34987(P2015-34987A)
(43)【公開日】2015年2月19日
(54)【発明の名称】気体環境中のフォトレジストをレーザ処理する方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20150123BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20150123BHJP
【FI】
   G03F7/40 501
   H01L21/302 105A
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-143920(P2014-143920)
(22)【出願日】2014年7月14日
(31)【優先権主張番号】13/961,655
(32)【優先日】2013年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】502400304
【氏名又は名称】ウルトラテック インク
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】ザフィロポウロ、ダブリュー、アーサー
(72)【発明者】
【氏名】ハウリーラック、エム、アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2H196
5F004
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196HA02
2H196HA40
5F004AA04
5F004FA03
5F004FA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パターン化製品ウエハにおいて、表面を有するフォトレジスト層のエッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する方法を提供する。
【解決手段】a)トリメチルアルミニウムガス、四塩化チタンガス、及びジエチル亜鉛ガスからなる群から選択される少なくとも1つの第1の処理ガスに、フォトレジスト層を曝す工程、b)フォトレジスト層及び第1の処理ガスにレーザを照射し、第1の処理ガスをフォトレジスト層に注入させる工程であって、フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる工程、c)フォトレジスト層の周辺から、残余の第1の処理ガスを除去する工程、d)フォトレジスト層を、HOを含む第2の処理ガスに曝す工程、e)フォトレジスト層及び第2の処理ガスにレーザを照射し、HOをフォトレジスト層に注入させる工程とを含む方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン化製品ウエハにおいて、表面を有するフォトレジスト層のエッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する方法であって、:
a)トリメチルアルミニウム(Al(CH)ガス、四塩化チタン(TiCl)ガス、及びジエチル亜鉛((CZn)ガスからなる群から選択される少なくとも1つの第1の処理ガスに、フォトレジスト層を曝す工程と、;
b)前記フォトレジスト層及び前記第1の処理ガスにレーザを照射し、前記第1の処理ガスを前記フォトレジスト層に注入させる工程であって、前記フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる工程と、;
c)前記フォトレジスト層の周辺から、残余の第1の処理ガスを除去する工程と、;
d)前記フォトレジスト層を、HOを含む第2の処理ガスに曝す工程と、;
e)前記フォトレジスト層及び第2の処理ガスにレーザを照射し、前記HOを前記フォトレジスト層に注入させる工程であって、前記フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記レーザを照射することは、前記フォトレジスト層の表面上でレーザ光線を走査することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記走査することは、前記レーザ光線を動かすことか、前記パターン化製品ウエハを動かすことか、又は、前記レーザ光線及び前記パターン化製品ウエハの両方を動かすことかの何れかを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザ光線は、前記フォトレジスト層の表面で線画像を形成する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記線画像は、1ms≦τ≦100msの範囲の滞留時間τを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記線画像は、0.2mm≦W≦2mmの範囲の幅W、及び、10mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有する、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記線画像は、20mm/s≦v≦5,000mm/sの範囲の走査速度vを有する、請求項4から6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザ光線は、50ワット/cm≦P≦150ワット/cmの範囲の出力密度Pを有する、請求項2から7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記パターン化製品ウエハは、処理チャンバの内部に保持される、請求項1から8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
処理された前記パターン化製品ウエハをエッチングすることをさらに含む、請求項1から9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程a)から工程e)は、30秒から120秒の間のウエハ処理時間で、ウエハ全体に対して行われる、請求項1から10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
工程a)から工程e)は、1回以上繰り返され、各工程e)の後に、フォトレジスト層の周辺から前記第2の処理ガスを除去する工程を追加する、請求項1から11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記製品ウエハは、処理チャンバの内部に存在し、前記フォトレジスト層の周辺から前記第1の処理ガスを除去することは、前記処理チャンバ内部から前記第1の処理ガスを排出することと、前記処理チャンバ内部を不活性ガスでパージすることのうちの少なくとも一つを含む、請求項1から12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
処理チャンバの内部にあり、表面を有するパターン化フォトレジスト層を有する製品ウエハを処理する方法であり、エッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する方法であって、:
a)第1の分子処理ガスに、パターン化フォトレジスト層の表面を曝す工程と、;
b)前記パターン化フォトレジスト層の表面にレーザ光線を走査し、前記パターン化フォトレジスト層に第1の分子処理ガスの分子を注入させる工程であって、前記パターン化フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる工程と、;
c)前記処理チャンバの内部から、残余の第1の分子処理ガスを除去する工程と、;
d)前記パターン化フォトレジスト層を第2の分子処理ガスに曝し、該第2の分子処理ガスに対して工程b)を繰り返す工程と、;を含み、
前記第1の分子処理ガスは、トリメチルアルミニウム(Al(CH)ガス、四塩化チタン(TiCl)ガス、ジエチル亜鉛((CZn)ガスからなる群から選択される少なくとも一つであり、前記第2の分子処理ガスは、HOを含む、方法。
【請求項15】
前記レーザ光線は、パターン化フォトレジスト層の表面で線画像を形成し、該線画像は、1ms≦τ≦100msの範囲の滞留時間τを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記線画像は、0.2mm≦W≦2mmの範囲の幅W、及び、10mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記線画像は、20mm/s≦v≦5,000mm/sの範囲の走査速度vを有する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記レーザ光線は、50ワット/cm≦P≦150ワット/cmの範囲の出力密度Pを有する、請求項14から17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
処理された前記パターン化製品ウエハをエッチングすることをさらに含む、請求項14から18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
工程a)から工程d)は、30秒から120秒の間のウエハ処理時間で、ウエハ全体に対して行われる、請求項14から19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記処理チャンバの内部から前記第1の分子処理ガスを除去することは、前記処理チャンバ内部から前記第1の分子処理ガスを排出することと、前記処理チャンバ内部を不活性ガスでパージすることのうちの少なくとも一つを含む、請求項14から20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
処理チャンバの内部に存在し、表面を有するパターン化フォトレジスト層を有する製品ウエハを処理する方法であり、エッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する方法であって、:
a)第1及び第2の分子処理ガスを連続して前記処理チャンバの内部に導入し、前記第1又は第2の分子処理ガスを、他方の第1又は第2の分子処理ガスが導入される前に、前記処理チャンバの内部から除去することを含む工程と、;
b)前記第1及び第2の分子ガスそれぞれについて、前記パターン化フォトレジスト層の表面をレーザ走査し、前記パターン化フォトレジスト層に前記第1及び第2の分子ガスを連続的に注入させる工程と、;
c)工程a)及び工程b)を複数回繰り返す工程と、を含み、
前記第1の分子ガスは、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、四塩化チタン(TiCl)、及びジエチル亜鉛((CZn)からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記第2の分子ガスは、水蒸気を含む、方法。
【請求項23】
前記レーザ走査は、線画像を形成するレーザ光線を使用して行われ、該線画像は、1ms≦τ≦100msの範囲の滞留時間τを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記線画像は、0.2mm≦W≦2mmの範囲の幅W、及び、10mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記線画像は、20mm/s≦v≦5,000mm/sの範囲の走査速度vを有する、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記レーザ光線は、50ワット/cm≦P≦150ワット/cmの範囲の出力密度Pを有する、請求項23から25の何れか1項に方法。
【請求項27】
前記処理チャンバの内部から前記第1又は第2の分子処理ガスを除去することは、i)前記処理チャンバ内部から前記第1又は第2の分子処理ガスを排出すること、及び、ii)前記処理チャンバ内部を不活性ガスでパージすることの少なくとも一つを含む、請求項22から26の何れか1項に記載の方法。
【請求項28】
処理チャンバの内部に存在し、表面を有するパターン化フォトレジスト層を有する製品ウエハを処理する方法であり、エッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する方法であって、:
a)分子を含む第1の処理ガスに、パターン化フォトレジスト層の表面を曝す工程であって、前記第1の処理ガス分子は、トリメチルアルミニウム(Al(CH)ガス、四塩化チタン(TiCl)ガス、及びジエチル亜鉛((CZn)ガスからなる分子の群から選択される少なくとも一つである工程と、;
b)前記パターン化フォトレジスト層の表面をレーザ光線で走査し、前記前記パターン化フォトレジスト層に前記第1の処理ガスの分子を注入させる工程であって、前記パターン化フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる工程と、
を含む方法。
【請求項29】
工程b)の後に、:
c)前記処理チャンバの内部から、前記第1の処理ガスを除去する工程と、;
d)前記パターン化フォトレジスト層を、HO分子を含む第2の処理ガスに曝す工程と、;
e)前記パターン化フォトレジスト層の表面にレーザ光線を走査し、前記HO分子を前記パターン化フォトレジスト層に注入させる工程と、
をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記処理チャンバの内部から前記第1の分子処理ガスを除去することは、i)前記処理チャンバ内部から前記第1又は第2の分子処理ガスを排出すること、及び、ii)前記処理チャンバ内部を不活性ガスでパージすることの少なくとも一つを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
レーザ光線の走査は、1ms≦τ≦100msの範囲の滞留時間τを有する線画像を形成する、請求項28から30の何れか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記線画像は、0.2mm≦W≦2mmの範囲の幅W、10mm≦L≦100mmの範囲の長さL、20mm/s≦v≦5,000mm/sの範囲の走査速度v、及び、50ワット/cm≦P≦150ワット/cmの範囲の出力密度Pを有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
工程a)から工程b)は、30秒から120秒の間のウエハ処理時間で、製品ウエハ全体に対して行われる、請求項28から32の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォトレジスト処理に関し、特に、レーザ処理を使用してフォトレジストを処理するためのシステム及び方法、並びに、フォトレジスト特性を改善する気体環境に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、半導体装置の形成プロセスにおいてシリコンに微細な特徴を形成することに関連して、半導体製造に用いられる感光性材料である。フォトリソグラフィーで用いられるように、シリコンウエハは、フォトレジストで被覆され、フォトリソグラフィー機器に配置される。シリコンウエハに形成される特定のパターンは、マスク及び照射されるマスクに具現化される。マスク画像は、フォトレジストに投影され、フォトレジストは、照射波長に感受性を有する。その後、フォトレジストは現像され、これにより、フォトレジストの露光された部分は、除去され(「ポジ型」フォトレジストの場合)、フォトレジストにはマスクパターンの複写が残る。パターン化フォトレジストは、その後、エッチングされ、フォトレジストの存在下で、シリコンウエハ又は他の材料にパターンを転写する。
【0003】
理想的には、フォトレジストパターンは、本来2値であり、完全に直角の側壁を有している。さらに、理想的なフォトレジストは、マスク画像を完全に忠実に複製して、完全なエッチング障壁として機能することができる。実際には、フォトレジストの感光性は制限されており、フォトレジストは、ある程度の線境界粗さ(LER)を有し、不完全なエッチング障壁となっている。
【0004】
フォトレジストの感受性の改善、LERの減少、エッチング耐性の向上のために、努力がなされてきている。一例では、連続侵入合成(SIS)が、トリメチルアルミニウム及び水を用いて、100℃未満の温度で数分間行われ、エッチング耐性を向上させ、LERを減少させる。この処理は、Tsengらの「連続侵入合成による、改良されたポリマー型リソグラフィーレジスト」(J.Mater.Chem.,21,2011年、11722−25頁)(DOI:10.1039/c1jm12461gとしても引用される)によって、刊行物で記述されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念ながら、この処理を実施するには数分の時間を要し、これが、製造ラインにおけるウエハスループットの低下につながる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面は、パターン化製品ウエハにおいて、表面を有するフォトレジスト層のエッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する方法である。本方法は、:a)トリメチルアルミニウム(Al(CH)ガス、四塩化チタン(TiCl)ガス、及びジエチル亜鉛((CZn)ガスからなる群から選択される少なくとも1つの第1の処理ガスに、フォトレジスト層を曝す工程と、;b)前記フォトレジスト層及び前記第1の処理ガスにレーザを照射し、前記第1の処理ガスを前記フォトレジスト層に注入させる工程であって、前記フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる工程と、;c)前記フォトレジスト層の周辺から、残余の第1の処理ガスを除去する工程と、;d)前記フォトレジスト層を、HOを含む第2の処理ガスに曝す工程と、;e)前記フォトレジスト層及び第2の処理ガスにレーザを照射し、前記HOを前記フォトレジスト層に注入させる工程であって、前記フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる工程と、を含む。
【0007】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記レーザを照射することが、前記フォトレジスト層の表面上でレーザ光線を走査することを含む。
【0008】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記走査することは、前記レーザ光線を動かすことか、前記パターン化製品ウエハを動かすことか、前記レーザ光線及び前記パターン化製品ウエハの両方を動かすことかの何れかを含む。
【0009】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記レーザ光線は、前記フォトレジスト層の表面で線画像を形成する。
【0010】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、1ms≦τ≦100msの範囲の滞留時間τを有する。
【0011】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、0.2mm≦W≦2mmの範囲の幅W、及び、10mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有する。
【0012】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、20mm/s≦v≦5,000mm/sの範囲の走査速度vを有する。
【0013】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記レーザ光線は、50ワット/cm≦P≦150ワット/cmの範囲の出力密度Pを有する。
【0014】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記パターン化製品ウエハは、処理チャンバの内部に保持される。
【0015】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、処理された前記パターン化製品ウエハをエッチングすることをさらに含む。
【0016】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、工程a)から工程e)は、30秒から120秒の間のウエハ処理時間で、ウエハ全体に対して行われる。
【0017】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、工程a)から工程e)は、1回以上繰り返され、各工程e)の後に、フォトレジスト層の周辺から前記第2の処理ガスを除去する工程が追加される。
【0018】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記製品ウエハは、処理チャンバの内部に存在し、前記フォトレジスト層の周辺から前記第1の処理ガスを除去することは、前記処理チャンバ内部から前記第1の処理ガスを排出することと、前記処理チャンバ内部を不活性ガスでパージすることのうちの少なくとも一つを含む。
【0019】
本開示の別の局面は、処理チャンバの内部にあり、表面を有するパターン化フォトレジスト層を有する製品ウエハを処理する方法であって、エッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する。本方法は、a)第1の分子処理ガスに、パターン化フォトレジスト層の表面を曝す工程と、;b)前記パターン化フォトレジスト層の表面にレーザ光線を走査し、前記パターン化フォトレジスト層に第1の分子処理ガスの分子を注入させる工程であって、前記パターン化フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる、工程と、;c)前記処理チャンバの内部から、残余の第1の分子処理ガスを除去する工程と、;d)前記パターン化フォトレジスト層を、第2の分子処理ガスに曝し、該第2の分子処理ガスに対して工程b)を繰り返す工程と、を含み、前記第1の分子処理ガスは、トリメチルアルミニウム(Al(CH)ガス、四塩化チタン(TiCl)ガス、ジエチル亜鉛((CZn)ガスからなる群から選択される少なくとも一つであり、前記第2の分子処理ガスは、HOを含む。
【0020】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記レーザ光線は、パターン化フォトレジスト層の表面で線画像を形成し、該線画像は、1ms≦τ≦100msの範囲の滞留時間τを有する。
【0021】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、0.2mm≦W≦2mmの範囲の幅W、及び、10mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有する。
【0022】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、20mm/s≦v≦5,000mm/sの範囲の走査速度vを有する。
【0023】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記レーザ光線は、50ワット/cm≦P≦150ワット/cmの範囲の出力密度Pを有する。
【0024】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、処理された前記パターン化製品ウエハをエッチングすることをさらに含む。
【0025】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、工程a)から工程d)は、30秒から120秒の間のウエハ処理時間で、ウエハ全体に対して行われる。
【0026】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記処理チャンバの内部から前記第1の分子処理ガスを除去することは、前記処理チャンバ内部から前記第1の分子処理ガスを排出することと、前記処理チャンバ内部を不活性ガスでパージすることのうちの少なくとも一つを含む。
【0027】
本開示の別の局面は、処理チャンバの内部に存在し、表面を有するパターン化フォトレジスト層を有する製品ウエハを処理する方法であって、エッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する。本方法は、:a)第1及び第2の分子処理ガスを連続して前記処理チャンバの内部に導入し、前記第1又は第2の分子処理ガスを、他方の第1又は第2の分子処理ガスが導入される前に、前記処理チャンバの内部から除去することを含む工程と、;b)前記第1及び第2の分子ガスそれぞれについて、前記パターン化フォトレジスト層の表面をレーザ走査し、前記パターン化フォトレジスト層に前記第1及び第2の分子ガスを連続的に注入させる工程と、;c)工程a)及び工程b)を複数回繰り返す工程と、を含み、前記第1の分子ガスは、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、四塩化チタン(TiCl)、及びジエチル亜鉛((CZn)からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記第2の分子ガスは、水蒸気を含む。
【0028】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記レーザ走査は、線画像を形成するレーザ光線を使用して行われ、該線画像は、1ms≦τ≦100msの範囲の滞留時間τを有する。
【0029】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、0.2mm≦W≦2mmの範囲の幅W、及び、10mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有する。
【0030】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、20mm/s≦v≦5,000mm/sの範囲の走査速度vを有する。
【0031】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記レーザ光線は、50ワット/cm≦P≦150ワット/cmの範囲の出力密度Pを有する。
【0032】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記処理チャンバの内部から前記第1又は第2の分子処理ガスを除去することは、i)前記処理チャンバ内部から前記第1又は第2の分子処理ガスを排出すること、及び、ii)前記処理チャンバ内部を不活性ガスでパージすることの少なくとも一つを含む。
【0033】
本開示の別の局面は、処理チャンバの内部に存在し、表面を有するパターン化フォトレジスト層を有する製品ウエハを処理する方法であって、エッチング耐性及び線境界粗さのうちの少なくとも一つを改善する。本方法は、:a)分子を含む第1の処理ガスに、パターン化フォトレジスト層の表面を曝す工程であって、前記第1の処理ガス分子は、トリメチルアルミニウム(Al(CH)ガス、四塩化チタン(TiCl)ガス、及びジエチル亜鉛((CZn)ガスからなる分子の群から選択される少なくとも一つである工程と、;b)前記パターン化フォトレジスト層の表面をレーザ光線で走査し、前記前記パターン化フォトレジスト層に前記第1の処理ガスの分子を注入させる工程であって、前記パターン化フォトレジスト層の表面は、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させられる工程とを含む。
【0034】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、工程b)の後に、:c)前記処理チャンバの内部から、前記第1の処理ガスを除去する工程と、;d)前記パターン化フォトレジスト層を、HO分子を含む第2の処理ガスに曝す工程と、;e)前記パターン化フォトレジスト層の表面にレーザ光線を走査し、前記HO分子を前記パターン化フォトレジスト層に注入させる工程とをさらに含む。
【0035】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記処理チャンバの内部から前記第1の分子処理ガスを除去することは、i)前記処理チャンバ内部から前記第1又は第2の分子処理ガスを排出すること、及び、ii)前記処理チャンバ内部を不活性ガスでパージすることの少なくとも一つを含む。
【0036】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、レーザ光線の走査は、1ms≦τ≦100msの範囲の滞留時間τを有する線画像を形成する。
【0037】
本開示の別の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、0.2mm≦W≦2mmの範囲の幅W、10mm≦L≦100mmの範囲の長さL、20mm/s≦v≦5,000mm/sの範囲の走査速度v、及び、50ワット/cm≦P≦150ワット/cmの範囲の出力密度Pを有する。
【0038】
本開示の別の方法は、上述の方法であって、工程a)から工程b)は、30秒から120秒の間のウエハ処理時間で、製品ウエハ全体に対して行われる。
【0039】
さらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明に明記されるであろう。また、それらの一部は詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面に記載された実施形態を実施することによって認識される。上記の要約及び下記の詳細な説明に関する記載は、単なる例示であって、特許請求の範囲に記載されている本発明の本質及び特徴を理解するための概略または枠組みを提供するものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
添付図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部を構成すると共に本明細書の一部に組み込まれる。図面は、1または複数の実施形態を示しており、詳細な説明と共に種々の実施形態の原理や動作を説明する役割を担う。このように、本開示は、添付図面と共に以下に示す詳細な説明からより完全に理解されることになるであろう。
図1図1は、フォトレジスト層で被覆されるシリコン基板を含む製品ウエハの一例を示す断面図である。
図2図2は、図1に示す製品ウエハの上面図であり、製品ウエハがどのように照射野および各照射野でのパターンを含むかを示している。
図3図3は、エッチング耐性及びLERのうちの少なくとも一つを改善するためのパターン化製品ウエハの処理方法を実施するために用いられるレーザ処理システムの一例を示す模式図である。
図4図4は、フォトレジスト層の表面において、幅W及び長さLを有する線画像を形成するレーザ光線の一例を示す立面図である。
図5図5は、処理工程の一つの間にレーザ走査を受けるパターン化製品ウエハのフォトレジスト層の平面図である。
図6図6は、図3に類似した図であって、マイクロチャンバの形態での処理チャンバの代替の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔詳細な説明〕
以降、本開示の様々な実施形態、および、添付の図面に示される複数の例について詳述する。可能な限り、同一または類似の部分の図では、同一または類似の参照番号および参照符号が用いられる。図面には決まった縮尺がなく、当業者であれば、図面は本発明の主要な部分を説明するために簡略化されていることに気づくであろう。
【0042】
下記の特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明に組み込まれると共にその一部を構成する。
【0043】
本明細書で言及されるいずれの刊行物または特許文献の全開示は、参照により組み込まれる。
【0044】
いくつかの図面において、参考のためにいくつかの座標が描かれているが、これは特定の方向および配置方向を限定するものではない。
【0045】
図1は、一例の製品ウエハ10の断面図であり、図2は、一例の製品ウエハ10の上面図である。製品ウエハ10は、上面22を有するシリコン基板20を備える。基板20の上面22は、上面32及び厚さTHを有するフォトレジスト30の層で被覆されている。図2を参照すると、製品ウエハ10は、照射野(領域)40の配列を含む。照射野40は、領域ごとの、あるいは、多数の領域基準での、フォトレジスト30のフォトリソグラフィー露光によって形成される。一例では、照射野40は、後に得られる集積回路(IC)チップ44(第1の挿入図)の境界を規定する小区域を含む。集積回路チップ44は、製品ウエハ10の製造が完了したときに形成される。図示される製品ウエハ10は、IC製造処理中の半導体ウエハを表している。
【0046】
フォトレジスト30は、各領域40において、フォトリソグラフィー画像システム又は当該産業においてしばしば称される「装置」を使用して、フォトレジスト30の層に画像化された、フォトリソグラフィーレチクル上のパターン特徴の像を記録する。一例のフォトリソグラフィー装置は、米国特許第6,879,383号明細書に例示的に記載されている。以上のようにして、製品ウエハ10は、全ての領域40が形成されたときに「露光された(曝された)」と言われる。
【0047】
露光された製品ウエハ10は、その後、未露光のフォトレジスト30(「ポジ型」フォトレジストの場合)を除去する現像処理を受ける。その結果、各領域40は、図1の第2の挿入図に示されるように、同一の3次元フォトレジストパターン50を有するようになる。処理のこの段階で、製品ウエハ10は、「パターン化製品ウエハ」と呼ばれる。
【0048】
通常の次の工程では、パターン化製品ウエハ10は、エッチング処理を受け、フォトレジストパターン50がその下層のシリコン基板20までエッチングされる。これにより、エッチング停止構造として機能するフォトレジストパターン50が完成する。
【0049】
上述したように、フォトレジスト30は、線境界粗さ(LER)及びエッチング耐性に関して、特に性能限界を有している。
【0050】
図3は、パターン化製品ウエハ10を処理するための一例のレーザ処理システム100の模式的な断面図である。当該処理は、パターン化製品ウエハ10を処理しない場合と比較して、LER及びエッチング耐性のうちの少なくとも何れかに関して、フォトレジスト30の性能を改善する。
【0051】
レーザ処理ステム100は、処理チャンバ110を備える。処理チャンバ110は、パターン化製品ウエハ10に適合するような大きさの内部112を有する。処理チャンバ110は、頂壁114を有する。頂壁114は、以下で説明するように、窓部116を備える。窓部116は、処理波長λを含む任意の波長範囲Δλを透過する。一例では、窓部116は、溶融石英で作られている。レーザ処理システム100は、周囲環境104内に置かれる。処理チャンバ110は、以下で説明するように、フォトレジスト30を処理するための処理チャンバ110の内部112において、制御された環境を提供するように構成されている。
【0052】
パターン化製品ウエハ10は、ウエハ台130によって処理チャンバ110の内部112に支持されている。一例では、ウエハ台130は、x、y、及びz方向に可動であり、必要に応じて、x、y、及びz軸に対して回転することもできる。ウエハ台130は、ウエハ台駆動部134に操作可能に接続されている。
【0053】
また、レーザ処理システム100は、少なくとも1つの処理ガス源150A及び150Bを備えている。少なくとも1つの処理ガス源150A及び150Bは、処理チャンバ110の内部112に流体接続されている、少なくとも1つの処理ガス源150A及び150Bを備えている。処理ガス源150A及び150Bは、少なくとも1つの処理ガス152A及び152Bを放出する。一例では、少なくとも1つの処理ガス152A及び152Bは、分子ガスである。図3の例示的なレーザ処理システム100では、例示のために、第1及び第2の処理ガス152A及び152Bを放出する第1及び第2の処理ガス源150A及び150Bが示されている。一例では、第1の処理ガス152Aは、トリメチルアルミニウム(Al(CH)、四塩化チタン(TiCl)、及びジエチル亜鉛((CZn)からなる群から選択される少なくとも一つの分子ガスである。また、例示的な実施形態において、第2の処理ガス152Bは、水蒸気、すなわち、HOガスを含む。一例では、水蒸気は、空気、あるいは、純粋な水蒸気ではない他のガスで構成することもできる。
【0054】
レーザ処理システム100は、真空システム160を備える。真空システム160は、処理チャンバ110の内部112に流体接続されている。真空システム160は、以下で説明するように、パターン化製品ウエハ10の処理中の任意の時間に、処理チャンバ110の内部112からあらゆるガスを除去するために用いられる。
【0055】
レーザ処理システム100は、不活性ガス源170も備えている。不活性ガス源170は、処理チャンバ100の内部112に流体接続され、第1の処理ガス152A又は第2の処理ガス152Bのパージを行うために不活性ガス172を供給することができる。一例では、不活性ガス172は、窒素である。不活性ガスは、処理ガス152A又は152Bをフォトレジスト30の層の周辺から除去し、処理ガス152A又は152Bがフォトレジスト30の層と反応できないようにするのに役立つ。
【0056】
レーザ処理システム100は、レーザシステム180も備えている。レーザシステム180は、処理波長λを有するレーザ光線182を生成する。一例では、レーザ光線182は、矢印ARで図示されるように、走査可能である。レーザ処理システム100は、ビーム処理光学(図示せず)も備えており、該ビーム処理光学は、ビーム走査素子及び部品(例えば、走査ミラー)を備えていてもよい。
【0057】
図4は、以下で説明するように、レーザ光線182がフォトレジスト30の層の上面32と交差するときに、レーザ光線182によって形成される線画像182Lの一例の立面図である。線画像182Lは、幅W及び長さLを有している。線画像182Lの幅W及び長さLは、フォトレジスト30の層の上面32の法線Nに対して測定された照射光の入射角度αに依存する。
【0058】
一例では、レーザシステム180は、表1にまとめられた以下のパラメータを有するレーザ光線182を生成する。
【表1】
【0059】
表1では、滞留時間τは、フォトレジスト30の層の上面32上のある点に線画像182Lが存在する時間の長さである。走査速度vは、線画像182Lがフォトレジスト30の層の上面32を移動する際の速度である。図5は、フォトレジスト30の層の上面32を線画像182Lがどのように移動するかを示す、パターン化製品ウエハ10の上面図である。フォトレジスト30の層の上面32に対する線画像182Lの動きは、(走査する)レーザ光線182を動かすことによって、ウエハ台130を動かすことによって、あるいは、これらの動きを組み合わせることによって、達成することができる。一例では、レーザ光線182の走査は、前後に動かす方法、例えば、犂耕体方式、又は、ラスター走査方式で行われる。
【0060】
レーザ処理システム100は、制御部200も備えている。制御部200は、処理ガス源150A及び150Bのうちの少なくとも一つ、ウエハ台駆動部134、真空システム160、不活性ガス源170、及び、レーザシステム180に、操作可能に接続され、パターン化製品ウエハ10を処理する際に、レーザ処理システム100の全体的な操作を制御する。一例では、制御部200は、パーソナルコンピュータ又はワークステーションなどのコンピュータであるか、このようなコンピュータを含んでいる。制御部200は、多数の市販のあらゆるマイクロプロセッサ、そのマイクロプロセッサをハードディスクドライブなどの記憶装置に接続する適切なバスアーキテクチャ、及び、適切な入出力装置(例えば、キーボード及びディスプレイそれぞれ)を備えていることが好ましい。制御部200は、コンピュータ読取り可能な媒体(例えば、メモリ、プロセッサ、あるいは、その両方)において具現化された指令(ソフトウエア)を介してプログラム化され得る。コンピュータ読取り可能な媒体は、パターン化製品ウエハ10の処理を行うために、制御部200に、レーザ処理システム100の種々の機能を実施させる。
【0061】
パターン化製品ウエハ10を処理するためのレーザ処理システム100の操作において、第1の工程では、真空システム160は、処理チャンバ110の内部112における周囲ガスを除去するように操作され、処理を開始するための初期条件を成立させる。ここで、例えば、処理チャンバ110の内部112は、100ppm(部/ミリオン)未満の酸素を含んでいる。一旦初期条件が確立されると、その後、第2の工程において、第1の処理ガス152Aは処理チャンバ110の内部112に導入される。そこで、第1の処理ガス152Aは、フォトレジスト30の層の上面32と適合する。
【0062】
続いて、第3の工程では、レーザ光線182は、パターン化製品ウエハ10上を走査(例えば、ラスター走査)される。すなわち、線画像182Lは、フォトレジスト30の層の上面32上を走査する。一例では、このレーザ走査の操作は、フォトレジスト30の層の温度を、+/−5℃の温度均一性を有する300℃から500℃の間の温度に上昇させる。これにより、第1の処理ガス152Aの分子がフォトレジスト30の層に注入する。表1で説明された例示的なパラメータでは、パターン化処理ウエハ10全体を走査するのに、約30秒から約120秒かかる。本明細書では、この時間を「ウエハ処理時間」と呼ぶ。
【0063】
本方法及び処理のこの部分は、原子層蒸着(ALD)法と同様であり、これにより、材料の層は表面に堆積され、その後、反応して、下層の体積の一部だけでなく、表面に影響を与える。本発明の場合、トリメチルアルミニウムの注入が、フォトレジスト30のエッチング耐性を改善することが示されている。しかし、上述したように、注入を行うための従来技術の処理は、低温でゆっくりと実施される。本願では、フォトレジスト30の体積への注入は、ほんのミリ秒の間に行われる。
【0064】
本発明では、レーザ光線線画像182Lの滞留時間τを短くすることによって、フォトレジスト30が流動することを防ぎ、これによりフォトレジストパターン50を維持することに着目すべきである。そのため、レーザ光線182は、フォトレジスト30の表面温度を上昇させ、フォトレジスト30の層の上面32上あるいはフォトレジスト30のバルク(体積)中に、ALD型材料を選択的に堆積させるように機能する。
【0065】
レーザ光線線画像182Lがフォトレジスト30の層の上面32を走査すると(図5参照)、その後第4の工程において、フォトレジスト30の層の周辺に残っている第1の処理ガス152Aは除去される。これは、真空システム160を用いて処理チャンバ100の内部112を排気することによって達成される。その代わりに、あるいは、この真空排気と組み合わせて、第4の工程は、不活性ガス源170を活性化させること、及び、不活性ガス172で処理チャンバ110の内部を洗い流すことを含めてもよい。
【0066】
その後、(使用される第1の処理ガス152Aの種類によって、選択的となり得る)第5の工程において、第2の処理ガス152Bが、処理チャンバ110の内部に導入される。上述したように、一例では、第2の処理ガス152Bは、分子ガスであり、水蒸気(HO)を含む。
【0067】
次に、第6の工程において、レーザ光線線画像182Lは、フォトレジスト30の層の上面32上を走査し、フォトレジスト30の層へHO分子を注入させる。第7の工程では、第2の処理ガス152Bが、上述した方法の一つにおいて、処理チャンバ110の内部112から除去される。
【0068】
第2から第7の工程は、LER及びエッチング耐性の一方又は両方において、所望とする程度の改善を得るために必要とされる回数と同じ程度に多数回繰り返される。
【0069】
例示的な実施形態では、以下の第1及び第2の処理ガス152A及び152Bを使用することができる。:1)アルミニウム又はサファイア、Alを注入するためのトリメチルアルミニウム及び水蒸気;2)Ti又はTiOを注入するための四塩化チタン及び水蒸気;及び3)亜鉛又はZnOを注入するためのジエチル亜鉛及び水蒸気。
【0070】
水蒸気の形態での第2の処理ガス152Bは、金属酸化物を生成するために用いられる。一例では、トリメチルアルミニウム、四塩化チタン、又は、ジエチル亜鉛のフォトレジスト30への注入は、第2の処理ガス152Bを導入することなく行われ、エッチング障壁を形成する。
【0071】
図6は、図3に類似した図であり、レーザ処理システム100の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、処理チャンバ110は、名称が「マイクロチャンバ」である米国特許第5,997,963号、名称が「ガスカーテンを有する可動式マイクロチャンバ」である米国特許出願番号第13/690,132号などに開示されているようなマイクロチャンバの形態である。ウエハ台130は、チャック132を支持しており、続いて、チャック132はパターン化製品ウエハ10を支持していることが示されている。プラテン136は、可動式のウエハ台130を移動可能に支持している。頂壁114は、レーザ光線182を通過させるような寸法を有する窓116を備えている。一例では、レーザ光線182は、法線入射以外の角度でフォトレジスト30に入射する。
【0072】
一例では、周辺環境104中の周囲ガス(酸素など)が処理チャンバ110の内部112に入ることを防ぐために、エアカーテン220が用いられている。それ以外の方法では、処理チャンバ110は、周囲環境から密閉されてはいない。マイクロチャンバの処理チャンバ110では、内部112に存在する元のガスは、特定の処理ガス(すなわち、第1処理ガス152A又は第2の処理ガス152B)で内部112をあふれさせることによって排出される。一例では、不活性ガス源170からの不活性ガス112は、元のガス(例えば、空気)を排出させるため、あるいは、処理工程間の処理ガス152A又は152Bを流し出すために使用される。
【0073】
パターン化製品ウエハ10が、上述した処理の一つを用いて処理されると、このような未処理のパターン化製品ウエハと比較して、エッチング耐性又はLERの少なくとも一方を改善する。この時点で、処理されたパターン化製品ウエハ10は、半導体装置を形成するための方法にしたがって、標準的な半導体製造のエッチング処理を受けることができる。
【0074】
当業者には明白であるが、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の精神又は範囲を逸脱することなく、ここに記述される本開示の好ましい実施形態に対して様々な修正を加えることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等範囲内において行われる本開示の修正および変更を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】
1.Abstract
2.Representative Drawing
Fig.3
Fig.1
Fig.2
Fig.3
Fig.4
Fig.5
Fig.6