【解決手段】缶蓋包装体10の開口端部10aは、径方向の内側へ向けて互いに異なる方向から複数回折り畳まれて閉じられており、開口端部10aは、缶蓋Wを直接的に覆う第1折り部Aと、第1折り部A上に折り畳まれ重なる第2折り部Bと、第1折り部A及び第2折り部B以外の残部からなり、第2折り部B上に折り畳まれ重なる第3折り部Cと、を備え、第3折り部Cは、内層c1、中層c2及び外層c3を有し、第3折り部Cの内層c1には、該内層c1を貫通するとともに、少なくとも中層c2及び外層c3のいずれかを第2折り部Bに向けて露出させる貫通部10bが形成され、第3折り部Cと第2折り部Bとが、少なくとも貫通部10b内を通して互いに接着されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の缶蓋包装体、缶蓋包装体の封止方法及び缶蓋包装体の封止装置では、下記の課題を有していた。
特許文献1においては、封止された缶蓋包装体の開口端部の封止力を高めることに改善の余地があった。具体的に、接着剤により接着される第3折り部の内層と、第2折り部とは、この開口端部を開いたときに互いに周方向(軸線回りに周回する方向)の近い位置に配置されており、これらを接着して封止力を十分に確保することは難しかった。
また、周方向に近い位置同士が接着されるため、折り部が、缶蓋包装体内に収容された缶蓋から離れる方向に膨らみやすく、折り部の外観が好ましくないといった問題があった。さらには、膨らみ部分に異物が混入する危険性もあった。
【0008】
特許文献2においては、封止力はある程度確保されるものの、缶蓋包装体の開口端部を折り畳む回数が多いことから、封止装置の構造が複雑になるとともに設備費用が嵩み、また処理速度(生産性)を高めることが困難であった。また、折り畳み回数が多いために缶蓋包装体の開口端部の軸線方向に沿う長さを大きく確保しなければならず、材料費用が嵩んでいた。
特許文献3においては、缶蓋包装体の開口端部の軸線方向に沿う長さを短くして材料費用を削減できるものの、缶蓋包装体内に収納した缶蓋に接着剤が付着したり臭い移りしたりするおそれがあった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、缶蓋包装体の材料費用を増大させることなく、該缶蓋包装体の内部に収納する缶蓋への接着剤の付着や臭い移りを防止でき、封止力を十分に高められる缶蓋包装体及びその封止方法、並びに前述の作用効果を確実にかつ安定的に得ることができる缶蓋包装体の封止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち本発明は、筒状をなし内部に缶蓋が複数収納される缶蓋包装体であって、当該缶蓋包装体の軸線方向に沿う開口端部は、前記軸線に直交する径方向の内側へ向けて互いに異なる方向から複数回折り畳まれて閉じられており、前記開口端部は、折り畳まれる前の状態で筒状をなす前記開口端部が最初に折り畳まれることで形成され、前記缶蓋を直接的に覆う第1折り部と、前記第1折り部上に折り畳まれ重なる第2折り部と、前記第1折り部及び前記第2折り部以外の残部からなり、前記第2折り部上に折り畳まれ重なる第3折り部と、を備え、前記第3折り部は、前記開口端部が折り畳まれ積層された内層、中層及び外層を有し、前記第3折り部の前記内層には、該内層を貫通するとともに、少なくとも前記中層及び前記外層のいずれかを前記第2折り部に向けて露出させる貫通部が形成され、前記第3折り部と前記第2折り部とが、少なくとも前記貫通部内を通して互いに接着されていることを特徴とする。
また本発明は、筒状をなし内部に缶蓋が複数収納される缶蓋包装体の、軸線方向に沿う開口端部を折り畳み封止する缶蓋包装体の封止方法であって、折り畳まれる前の状態で筒状をなす前記開口端部のうち、前記軸線回りに周回する周方向の所定部分を前記軸線に直交する径方向の内側へ向けて折り畳み、第1折り部を形成する第1の折り工程と、前記開口端部のうち前記第1折り部以外の部分を、前記径方向の内側へ向けて折り畳み前記第1折り部上に重ねることで、第2折り部を形成する第2の折り工程と、前記開口端部の前記第1折り部及び前記第2折り部以外の残部からなる第3折り部と、前記第2折り部との間に接着剤を供給する接着剤供給工程と、前記第3折り部を、前記径方向の内側へ向けて折り畳み前記第2折り部上に重ねる第3の折り工程と、を備え、前記第1の折り工程では、前記開口端部に形成された貫通部とは前記周方向の位置が異なる前記所定部分を折り畳み、前記第2の折り工程では、前記開口端部の前記貫通部を含む部分を折り畳み、かつ該貫通部を前記第3折り部に含ませることで前記第2折り部に臨ませて配置し、前記接着剤供給工程では、続く前記第3の折り工程で重なり合う前記第3折り部の前記貫通部、及び前記第2折り部の前記貫通部に対応する位置のいずれかに接着剤を供給し、前記第3の折り工程では、前記接着剤により、前記第3折り部と前記第2折り部とを少なくとも前記貫通部内を通して互いに接着することを特徴とする。
また本発明は、筒状をなし内部に缶蓋が複数収納される缶蓋包装体の、軸線方向に沿う開口端部を折り畳み封止する缶蓋包装体の封止装置であって、折り畳まれる前の状態で筒状をなす前記開口端部のうち、前記軸線回りに周回する周方向の所定部分を前記軸線に直交する径方向の内側へ向けて折り畳み、前記缶蓋を直接的に覆う第1折り部を形成する第1の折り機構と、前記開口端部のうち前記第1折り部以外の部分を、前記径方向の内側へ向けて折り畳み前記第1折り部上に重ねることで、第2折り部を形成する第2の折り機構と、前記開口端部の前記第1折り部及び前記第2折り部以外の残部からなる第3折り部と、前記第2折り部との間に接着剤を供給する接着剤供給機構と、前記第3折り部を、前記径方向の内側へ向けて折り畳み前記第2折り部上に重ねる第3の折り機構と、を備える折り畳み封止ユニットと、前記折り畳み封止ユニットよりも前工程として当該封止装置に設けられ、前記開口端部に形成された貫通部を、前記第1の折り機構とは前記軸線を挟んだ反対側の位置に配置する位置合わせユニットと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る缶蓋包装体及びその封止方法によれば、缶蓋包装体の開口端部が、径方向の内側へ向けて互いに異なる方向から複数回折り畳まれて閉じられており、具体的には第1折り部が缶蓋を直接的に覆い、第1折り部上に第2折り部が折り畳まれ、さらに第2折り部上に第3折り部が折り畳まれていて、例えば折り畳み回数を3回に抑えることができる。またこれにより、第2、第3折り部が直接的に缶蓋を覆うことが抑制されているとともに、これら第2、第3折り部同士を接着する接着剤が、缶蓋に付着したり臭い移りしたりすることが防止される。
【0012】
そして、第3折り部を構成する内層、中層及び外層のうち、第2折り部に重ね合わされる内層には、少なくとも中層及び外層のいずれかをこの第2折り部に露出させる貫通部が形成されており、該貫通部内を通して第2、第3折り部同士が接着されているので、閉じられた開口端部の封止力を十分に高めることが可能である。
詳しくは、貫通部内を通して接着される第3折り部の中層及び/又は外層と、第2折り部とは、この開口端部を開いた状態(初期状態)では互いに周方向の遠い位置に配置(例えば径方向に軸線を挟むように配置)されており、従ってこれらが接着されることにより開口端部の封止力が十分に高められることになる。
さらに、貫通部内を通して周方向の位置が遠い第2、第3折り部同士が接着されているので、第1、第2、第3折り部が、缶蓋包装体内に収容された缶蓋から離れる方向に膨らみにくく、これら第1、第2、第3折り部の外観を良好に保つことができ、さらに、第1、第2、第3折り部に異物が混入することを防止できる。
尚、貫通部の端面(内周)を介して、直接メルト(接着剤)を付着させていない内層と中層の間、中層と外層の間にもメルトが浸透し、これらが接着されることで、封止力をさらに高めることも可能である。
【0013】
また本発明に係る缶蓋包装体の封止装置によれば、位置合わせユニットによって開口端部の貫通部の位置合わせがなされ、これにより該位置合わせユニットよりも後工程の折り畳み封止ユニットにおいて、貫通部が第1折り部を形成する第1の折り機構とは軸線を挟んだ反対側の位置に配置される。その後、第1、第2の折り機構によって第1、第2折り部を形成したときに、第3折り部の内層に位置する貫通部が確実に、かつ安定して第2折り部に臨んで配置されることになる。従って、接着剤供給機構から供給された接着剤が、第3の折り機構により第3折り部が折り畳まれたときに、貫通部内を通して第2、第3折り部同士を確実に接着する。
【0014】
以上より、本発明の缶蓋包装体及びその封止方法によれば、缶蓋包装体の開口端部の折り畳み回数を必要以上に増やすことなく工数や設備費用を抑えつつ処理速度(生産性)を高めることができ、かつ材料費用を増大させることはなく、また缶蓋包装体の内部に収納する缶蓋への接着剤の付着や臭い移りを防止することができ、閉じられた開口端部の封止力を十分に高めることが可能である。
また本発明の缶蓋包装体の封止装置によれば、前述した缶蓋包装体及びその封止方法による作用効果を確実にかつ安定的に得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る缶蓋包装体において、前記貫通部は、前記開口端部の開口縁が切り欠かれた切り欠き形状をなしていることとしてもよい。
【0016】
この場合、缶蓋包装体の開口端部に貫通部を形成することが容易であるとともに、貫通部の開口面積を大きく確保しやすくなり、上述した作用効果がより確実に奏功されることになる。また、切り欠き形状とされた貫通部を用いて、缶蓋投入前の缶蓋包装体の開口端部を広く開口させることが容易であり、スムーズに缶蓋を投入して生産性を高めることができる。
【0017】
また、本発明に係る缶蓋包装体において、前記貫通部の内周は、曲線状をなしていることとしてもよい。
【0018】
この場合、缶蓋包装体の開口端部に貫通部を形成して前述した作用効果が得られつつも、該貫通部の内周を起点として缶蓋包装体が破れるようなことが抑制される。
【0019】
また、本発明に係る缶蓋包装体において、前記第3折り部と前記第2折り部とが、前記貫通部の外部でも互いに接着されていることとしてもよい。
【0020】
この場合、閉じられた開口端部における貫通部の外部でも第2、第3折り部同士が接着されるので、より格別顕著に封止力を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の缶蓋包装体及びその封止方法によれば、缶蓋包装体の材料費用を増大させることなく、該缶蓋包装体の内部に収納する缶蓋への接着剤の付着や臭い移りを防止でき、封止力を十分に高められる。
また本発明の缶蓋包装体の封止装置によれば、前述した缶蓋包装体及びその封止方法による作用効果を確実にかつ安定的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係る缶蓋包装体10、缶蓋包装体10の封止方法、及び缶蓋包装体の封止装置50について、図面を参照して説明する。
【0024】
まず、本実施形態の缶蓋包装体10について説明する。
図1(a)〜(e)に示される缶蓋包装体10は本実施形態の一例であり、
図2(a)〜(e)に示される缶蓋包装体10は本実施形態の他の例であり、いずれも同一形状とされた缶蓋包装体10の開口端部10aを複数回(本実施形態では3回)折り畳んで封止するものであって、本発明に含まれる。缶蓋包装体10は、例えば紙等により形成されている。
【0025】
図1(a)及び
図2(a)において、缶蓋包装体10は筒状をなしており、その内部には円板状の缶蓋Wが該缶蓋包装体10の軸線O方向に同軸となるように積層状態とされて、複数収納される。具体的に缶蓋包装体10は、その軸線O方向に沿う一方側の端部が開口され、他方側の端部が閉塞された有底円筒状をなしており、内部に複数の缶蓋Wが収納された状態で、
図1(b)〜(e)及び
図2(b)〜(e)に示されるように、缶蓋包装体10の軸線O方向に沿う前記一方側の端部(開口端部10a)が、径方向の内側へ向けて互いに異なる方向から複数回(本実施形態では3回)折り畳まれて閉じられている。
ここで、本明細書においては、缶蓋包装体10の軸線O方向に沿う開口端部10a側を口部側といい、軸線O方向に沿う開口端部10aとは反対側を底部側という。また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0026】
缶蓋包装体10の開口端部10aは、第1折り部A、第2折り部B、及び第3折り部Cを備えている。
図1(a)、(b)及び
図2(a)、(b)において、第1折り部Aは、折り畳まれる前の状態で筒状をなす開口端部10aが最初に折り畳まれることで形成され、缶蓋Wを直接的に覆っている。尚、直接的に覆われる前記缶蓋Wとは、缶蓋包装体10の内部に積層状態とされて収納された複数の缶蓋Wのうち、軸線O方向に沿う口部側の端部に位置する缶蓋Wを指しており、この缶蓋W表面のほぼ全域が第1折り部Aにより覆われている。具体的には、缶蓋W上に折り畳まれ重なる第1折り部Aが、該缶蓋Wの表面全体の75%以上を覆っていることが好ましく、90%以上を覆っていることがより望ましい。また、第1折り部Aは、単層(1枚)で形成されている。
【0027】
図1(d)及び
図2(d)において、第2折り部Bは、第1折り部A上に折り畳まれ重なっている。第2折り部Bは、開口端部10aが折り畳まれ積層された内層及び外層を有する2層(2枚重ね)構造となっている。
図1(d)及び
図2(d)に示されるように、第1折り部A上に第2折り部Bが折り畳まれ重なった状態で、第2折り部Bの外層は軸線O方向の口部側を向いて第3折り部Cに臨まされ、内層は第1折り部Aに口部側から当接している。
【0028】
また第3折り部Cは、開口端部10aのうち第1折り部A及び第2折り部B以外の残部からなり、
図1(e)及び
図2(e)において、第3折り部Cは第2折り部B上に折り畳まれ重なっている。
図1(c)〜(e)及び
図2(c)〜(e)において、第3折り部Cは、開口端部10aが折り畳まれ積層された内層c1、中層c2及び外層c3を有する3層(3枚重ね)構造となっている。
図1(e)及び
図2(e)に示されるように、第2折り部B上に第3折り部Cが折り畳まれ重なった状態で、第3折り部Cの外層c3は軸線O方向の口部側を向いて外部に露出され、内層c1は第2折り部Bの外層に口部側から当接し、中層c2はこれら外層c3と内層c1の間に配置されている。尚、第3折り部Cが折り畳まれたときに、該第3折り部Cは第2折り部B上のみならず、第1折り部A上にも重なっていてよい。
【0029】
そして、第3折り部Cの内層c1には、該内層c1を厚さ方向(径方向)に貫通するとともに、少なくとも中層c2及び外層c3のいずれかを第2折り部Bに向けて露出させる貫通部10bが形成されている。第3折り部Cと第2折り部Bとは、少なくとも貫通部10b内を通して互いに接着されている。
【0030】
具体的に、缶蓋包装体10の開口端部10aは、第2折り部Bの外層と、折り畳まれて該第2折り部Bに対向配置される第3折り部Cの中層c2及び/又は外層c3と、が接着剤11により互いに接着されることで、封止されている。
図1(d)に示される一例では、貫通部10b内を通して、第3折り部Cの中層c2が第2折り部Bに臨むように露出されており、第3折り部C上に塗布された接着剤11によって、少なくとも第3折り部Cの中層c2と、第2折り部Bの口部側を向く外層とが接着されている。
図2(d)に示される他の例では、貫通部10b内を通して、第3折り部Cの中層c2及び外層c3が第2折り部Bに臨むように露出されており、第2折り部B上に塗布された接着剤11によって、少なくとも第2折り部Bの口部側を向く外層と、第3折り部Cの中層c2及び外層c3とが接着されている。
【0031】
また本実施形態では、第3折り部Cと第2折り部Bとが、さらに貫通部10bの外部でも互いに接着されている。具体的には、前述した貫通部10b内を通した接着箇所以外に、第3折り部Cの内層c1と、第2折り部Bの外層とが接着剤11によって接着されている。
【0032】
本実施形態において例示される貫通部10bは、開口端部10aの開口縁が切り欠かれた切り欠き形状をなしている。具体的に、この貫通部10bは、開口端部10aの開口縁を打ち抜き加工する等により半円形状に切り欠いて形成されており、第3折り部Cを折り畳んだ際において、貫通部10bは軸線O上(又はその近傍)に配置可能である。また貫通部10bの内周は、曲線状をなしており、本実施形態では凹円弧状(凹曲線状)をなしている。
【0033】
次に、本実施形態の缶蓋包装体の封止装置50について説明する。
図3〜
図9に示される缶蓋包装体の封止装置50は本実施形態の一例であり、
図10、
図11に示される缶蓋包装体の封止装置50は本実施形態の他の例であり、いずれも前述した缶蓋包装体10の開口端部10aを複数回(本実施形態では3回)折り畳んで封止する装置であって、本発明に含まれる。
尚、
図3〜
図9に示される缶蓋包装体の封止装置50では、缶蓋包装体10を、その軸線O方向が略水平方向となるように配置し、接着剤11を第3折り部C上に塗布する構成とされている(つまり
図1(a)〜(e)に示される手順で開口端部10aを封止)。また
図10に示される缶蓋包装体の封止装置50では、缶蓋包装体10を、その軸線O方向が略鉛直方向となるように配置し、接着剤11を第2折り部B上に塗布する構成とされている(つまり
図2(a)〜(e)に示される手順で開口端部10aを封止)。
【0034】
缶蓋包装体の封止装置50は、筒状をなし内部に缶蓋Wが複数収納される缶蓋包装体10の、軸線O方向に沿う開口端部10aを折り畳み封止する装置であって、開口端部10aに上述の第1〜第3折り部A〜Cを形成する第1〜第3の折り機構3、6、8、及び接着剤供給機構7を備える折り畳み封止ユニット51と、折り畳み封止ユニット51よりも前工程として当該封止装置50に設けられ、開口端部10aに形成された貫通部10bを、第1の折り機構3とは軸線Oを挟んだ反対側の位置に配置する位置合わせユニット52と、を有している。尚、
図3〜
図9に一例として示される缶蓋包装体の封止装置50では、位置合わせユニット52の図示を省略している。
【0035】
折り畳み封止ユニット51は、折り畳まれる前の状態で筒状をなす開口端部10aのうち、周方向の所定部分(具体的には、貫通部10bとは軸線Oを挟んで反対側に位置する部分)を径方向の内側へ向けて折り畳み、缶蓋Wを直接的に覆う第1折り部Aを形成する第1の折り機構3と、開口端部10aのうち第1折り部A以外の部分を、径方向の内側へ向けて折り畳み第1折り部A上に重ねることで、第2折り部Bを形成する第2の折り機構6と、開口端部10aの第1折り部A及び第2折り部B以外の残部からなる第3折り部Cと、第2折り部Bとの間に接着剤11を供給する接着剤供給機構7と、第3折り部Cを、径方向の内側へ向けて折り畳み第2折り部B上に重ねる第3の折り機構8と、を備えている。
【0036】
図3〜
図9に示される一例の折り畳み封止ユニット51において、図中の符号1は支持機構、2は折目規制機構、3は第1の折り機構、4は折目付与ガイド、5は押圧機構、6は第2の折り機構、7は接着剤供給機構、8は第3の折り機構である。
【0037】
支持機構1は、前工程の位置合わせユニット52から位置合わせ状態とされつつ折り畳み封止ユニット51に向けて搬送機構(図示略)により送り込まれた有底円筒状の缶蓋包装体10(
図4参照)を支持する支持台1aと、缶蓋包装体10の側部を把持する把持部1b、1bと、これら把持部1b、1bを前後移動させるためのシリンダ機構1c、1cとを備えており、
図4の白抜矢印で示すように、これらシリンダ機構1c、1cの前進移動により、前記支持台1aに送り込まれた缶蓋包装体10の側部を両側から把持して固定する構成とされている。
【0038】
折目規制機構2は、L字状に曲げられた一対の棒状部材2a、2aと、これら棒状部材2a、2aを共働させて前後移動させるシリンダ機構2b、2bとを備えており、これらシリンダ機構2b、2bは、
図4の黒矢印で示すように、前記棒状部材2a、2aの前進移動時にその先端同士が相互離間するように配設されている。
棒状部材2a、2a前進時の先端同士の離間距離は、缶蓋包装体10の袋口(開口端部10a)の直径より若干大径とされ、これら棒状部材2a、2aは、袋口10aの略直径方向両端部にそれぞれ挿入されるように構成されている。
【0039】
第1の折り機構3は、
図5に示すように、先端が三角形状に形成されたプレート本体3aと、このプレート本体3aを前後移動させるためのロッドレスシリンダ機構(図示略)とを備えている。
このロッドレスシリンダ機構の前後移動方向は、同図の白抜矢印で示すように、前記支持機構1に固定した缶蓋包装体10の長さ方向(軸線O方向)と直交する方向(径方向)に対して図示手前側に若干傾いている。具体的に、ロッドレスシリンダ機構が前進移動する向き(白抜矢印で示される向き)は、径方向の内側へ向かうに従い軸線O方向に沿う底部側へ向けて延びており、ロッドレスシリンダ機構が後退移動する向きはこれとは反対側へ向かう向きとされていて、つまりロッドレスシリンダ機構の前後移動方向は、径方向に対して傾斜する向きとなっている。
【0040】
プレート本体3aの先端部(プレート先端部3b)は、その前進移動終了時に缶蓋包装体10の長さ方向に直交する向きとなるように曲げられており、袋口10aの片側半円筒部を缶蓋包装体10に収納した缶蓋(図示略)側に折り畳む際に、プレート先端部3bを前記径方向に対して傾斜する向きから徐々に押し当てる構成になっている。
これにより、プレート先端部3bを例えば単純に径方向内側へ向けて袋口10aに押し当てる場合に生じ得る、缶蓋包装体10が側方から突き破られてしまうといった破損をなくすことができる。
【0041】
折目付与ガイド4は、先端が半円筒状(半円柱状)に形成されたガイド本体4aと、このガイド本体4aを前後移動させるためのシリンダ機構4bとから構成されている。このシリンダ機構4bの前後移動方向は、
図6の黒矢印で示すように、前記ロッドレスシリンダ機構の移動方向と平行とされている。
ガイド本体4aは、その半円筒部の軸心が缶蓋包装体10の長さ方向と平行になるようにシリンダ機構4bに固定され、前進移動時には、前記第1の折り機構3の作動によって半円筒状に残された袋口10a(
図5参照)に内接する構成とされている。
【0042】
押圧機構5は、
図6に示すように、前記折目付与ガイド4のガイド本体4aの円筒面に沿って上下方向に相互離間自在に支持される一対の開閉アーム5a、5aと、これら開閉アーム5a、5aの先端に回転自在に固定される押圧ローラ5b、5bと、前記開閉アーム5a、5aを前後移動させるためのシリンダ機構5cとを備え、前記折目付与ガイド4とともに折目付与機構を構成している。
【0043】
これら押圧ローラ5b、5bの軸心は、前記ガイド本体4aの半円筒部の軸心と平行とされており、初期位置における両押圧ローラ5b、5bの外周面同士の相互間隔は、前記半円筒部の直径より若干小さくなるように構成されている。
シリンダ機構5cは、その前後移動方向が前記支持機構1に固定した缶蓋包装体10の長さ方向に対して直交しており(つまり径方向に沿っており)、その前進移動時には、
図6の白抜矢印で示すように、押圧ローラ5b、5bが前記ガイド本体4a先端の半円筒部に当接し、これら押圧ローラ5b、5bが回転しつつ開閉アーム5a、5aが上下に相互離間され、回転する押圧ローラ5b、5bが前記半円筒部の外周面をなぞるように押圧状態に外接して、前記半円筒部に内接状態にある半円筒状の袋口10aに折目10cを付与するとともに、横断面視で円弧状をなす樋状の袋口10aに整形する構成とされている(
図1(c)及び
図2(c)を参照)。
【0044】
第2の折り機構6は、
図7に示すように、先端部付近に折り板6aと押え板6bとが設けられたプレート本体6cと、このプレート本体6cを前後移動させるためのロッドレスシリンダ機構(図示略)とを備えている。折り板6aは、プレート本体6cの先端部に配置されて該先端部に立設され、また押え板6bは、プレート本体6c先端角部に立設されている。
【0045】
プレート本体6cを駆動するロッドレスシリンダ機構は、缶蓋包装体10を口部側から正面視して、前記押圧機構5の前後移動方向に対して缶蓋包装体10の軸線Oを中心に反時計回りに所定角度離間した軸線上を前後移動し、その前進移動時には、前記折り板6aが、
図1(c)に示す袋口10aの上側略半分(
図2(c)に示す袋口10aでは左側略半分)を折り畳むとともに、これにより残される三角形状の第3折り部Cを、押え板6bと、後述する第3の折り機構8の先端に形成される支持板8aとの間に挟持して、前記第3折り部Cに折目を付ける構成とされている。
【0046】
接着剤供給機構7は、
図8に示すように、溶融した接着剤11を空気圧により投射するホットメルトガン7aと、このホットメルトガン7aを支持するとともにシリンダ機構(図示略)の作動により接着剤発射口が第3折り部C(
図1(d)を参照)又は第2折り部B(
図2(d)を参照)に向くように移動させられるガンサポート7bとを備えている。
ホットメルトガン7aは、
図8の黒矢印で示すように、第2折りを終えてプレート本体6cが後退移動によって初期位置に復帰した後、ガンサポート7bが同図の白抜矢印で示すように移動して接着剤11を投射する。
【0047】
第3の折り機構8は、
図9に示すように、先端に支持板8aが形成されたプレート本体8bと、このプレート本体8bを回転駆動させるシリンダ機構(図示略)とを備えている。
支持板8aは、第2の折り機構6のシリンダ機構の作動によって前進移動したプレート本体6c先端の押え板6bと面接触する構成とされているので(
図7参照)、前述したように、第2折りによって残された第3折り部Cを挟持して折目を付けることができるようになっている。
【0048】
第3の折り機構8は、
図9の白抜実線矢印で示すように、前記シリンダ機構の作動によりさらに回転移動させられ、支持板8aによって第3折り部Cを折り曲げながら、この第3折り部Cをプレート本体8bと第1の折り機構3のプレート先端部3bとによって挟持し、この状態のまま塗布した接着剤11が十分に接着力を発揮するまで保持する構成とされている。
【0049】
ここで、
図10、
図11に示される他の例の缶蓋包装体の封止装置50を用いて、位置合わせユニット52について説明する。尚、この他の例の缶蓋包装体の封止装置50における折り畳み封止ユニット51の基本構成は、前述した
図3〜
図9に示される一例の缶蓋包装体の封止装置50の基本構成と比べて、缶蓋包装体10の軸線O方向の配置や接着剤11の塗布位置以外についてはほぼ同様であることから、その説明を省略する。
【0050】
位置合わせユニット52は、缶蓋Wが所定数収納された缶蓋包装体10を軸線O方向及び周方向に移動させることで後工程の折り畳み封止ユニット51に対して位置合わせし、この缶蓋包装体10は位置合わせされた後、又は位置合わせされつつ、前記搬送装置によって折り畳み封止ユニット51に搬送される。
【0051】
具体的に位置合わせユニット52は、缶蓋包装体10を軸線O方向に移動させることで折り畳み封止ユニット51に対する該缶蓋包装体10の開口端部10aの軸線O方向に沿う位置を調整可能な軸線方向位置調整機構22と、缶蓋包装体10を周方向に回転させることで該缶蓋包装体10が折り畳み封止ユニット51に搬送されたときに(具体的には支持機構1に配置されたときに)貫通部10bを第1の折り機構3とは軸線Oを挟んだ反対側に配置可能な周方向位置調整機構23と、を備えている。
【0052】
図11に示される例では、位置合わせユニット52は、缶蓋包装体10の底部を支持可能な受け台21と、受け台21を支持するとともに軸線O回りに回転させる例えばモータ等を備えた周方向位置調整機構23と、受け台21に連結される軸体に例えばギヤ等を介して噛合され、軸線O方向に沿う位置を調整可能な軸線方向位置調整機構22と、を備えている。またこれら調整機構22、23には、駆動部がそれぞれ含まれる。
【0053】
さらに位置合わせユニット52には、軸線方向位置調整機構22により移動された缶蓋包装体10の開口端部10aの、軸線O方向の位置を検知可能な軸線方向位置検知機構と、周方向位置調整機構23により回転された缶蓋包装体10の貫通部10bの、周方向の位置を検知可能な周方向位置検知機構と、が設けられていてもよい。
【0054】
次に、本実施形態の缶蓋包装体10の封止方法について説明する。
この缶蓋包装体10の封止方法は、筒状をなし内部に缶蓋Wが複数収納される缶蓋包装体10の、軸線O方向に沿う開口端部10aを折り畳み封止する方法であって、折り畳まれる前の状態で筒状をなす開口端部10aのうち、周方向の所定部分(具体的には、貫通部10bとは軸線Oを挟んで反対側に位置する部分)を径方向の内側へ向けて折り畳み、第1折り部Aを形成する第1の折り工程と、開口端部10aのうち第1折り部A以外の部分を、径方向の内側へ向けて折り畳み第1折り部A上に重ねることで、第2折り部Bを形成する第2の折り工程と、開口端部10aの第1折り部A及び第2折り部B以外の残部からなる第3折り部Cと、第2折り部Bとの間に接着剤11を供給する接着剤供給工程と、第3折り部Cを、径方向の内側へ向けて折り畳み第2折り部B上に重ねる第3の折り工程と、を備えている。
【0055】
ここで、
図1〜
図9を参照して、缶蓋包装体10の封止方法についてより詳細に説明する。
まず、折り畳み封止ユニット51の前工程において位置合わせユニット52により位置合わせ(位置決め)状態とされて支持機構1に搬送されてきた缶蓋包装体10が、
図4に示すように、支持機構1の作動(白抜矢印)によって固定される。
【0056】
次いで、折目規制機構2に設けられた棒状部材2a、2aが、袋口(開口端部10a)の略直径方向両端部にそれぞれ挿入され(黒矢印)、
図5の白抜矢印で示すように、プレート本体3aが缶蓋包装体10の長さ方向と交差する方向から前進移動してきて、該プレート本体3aにおける一方の側面(底部側を向く面)で袋口10aの一部(前記所定部分)を折り畳むことで、第1の折り工程が行われる(
図1(a)、(b)及び
図2(a)、(b)参照)。
そして第1の折り工程では、開口端部10aに形成された貫通部10bとは周方向の位置が異なる前記所定部分を折り畳むこととした。
【0057】
さらに詳しく説明すれば、プレート本体3aは、プレート先端部3bで袋口10aの一部を押し込みながら径方向内側へ凹ませていくとともに、一方の側面で袋口10aを缶蓋W側に倒すように前進移動して折り畳む。このとき、棒状部材2a、2aが挿入された部分では袋口10aが拘束されて変形が規制されているので、常に一定の折り畳み形状となるように第1折りを行い第1折り部Aを形成することができる。
第1折りが終了すると、プレート本体3aはその状態のまま保持されて、棒状部材2a、2aは、
図5の黒矢印で示すように、後退移動して初期位置に復帰する。
【0058】
次に、
図6に示すように、プレート本体3aの他方の側面(口部側を向く面)に対向して並設された折目付与ガイド4が、
図6の黒矢印で示すように前進移動してきて、第1の折り機構3の作動により半円筒状に残された袋口10a(
図1(b)及び
図2(b)参照)に内接する。
この状態で、折目付与ガイド4に対向して配設される押圧機構5に設けられた押圧ローラ5b、5bが、白抜矢印で示すように折目付与ガイド4に相対接近するように前進移動してきて、前記半円筒状の袋口10aに押圧状態に外接する。
【0059】
このとき、半円筒状の袋口10aは、内接している折目付与ガイド4と、外接している押圧ローラ5b、5bとによって挟持され、
図1(c)及び
図2(c)の小矢印で示すように押圧力を受けるので、袋口10aに堅固な折目10cが付与され、横断面が円弧状の袋口10aに整形される。そして、折目付与ガイド4及び押圧ローラ5b、5bは、
図7の黒矢印で示すように、後退移動して初期位置に復帰する。
【0060】
次に、プレート本体6cが、
図7の白抜矢印で示すように、前記袋口10aに向けて前進移動してきて該袋口10aの一部を折り畳むことで、第2の折り工程が行われる(
図1(d)及び
図2(d)参照)。
そして第2の折り工程では、開口端部10aの第1折り部A以外の貫通部10bを含む部分を折り畳み、かつ該貫通部10bを第3折り部Cに含ませることで第2折り部Bに臨ませて配置する。
このとき、同時に支持板8aも袋口10aに対して接近してきて、プレート本体6cの前進移動により残された第3折り部Cを挟持して、第3折り部Cに堅固な折目を付与する。
【0061】
この後、
図8に示すように、支持板8aはその状態のまま保持され、プレート本体6cは、黒矢印で示すように初期位置に復帰する。
次いで、第3折り部Cの内面側部分(内層c1)又は第2折り部Bの外面側部分(外層)に、ホットメルトガン7aによって接着剤11が塗布されることで、接着剤供給工程が行われる(
図1(d)及び
図2(d)参照)。
接着剤供給工程では、続く第3の折り工程で重なり合う第3折り部Cの貫通部10b、及び第2折り部Bの貫通部10bに対応する位置のいずれかに接着剤11を供給する。
【0062】
次いで、
図9の白抜実線矢印で示すように、支持板8aが、さらに回転移動させられて、プレート本体8bの一方の側面(底部側を向く面)によって第3折り部Cを折り畳むことで、第3の折り工程が行われる(
図1(e)及び
図2(e)参照)。
そして第3の折り工程では、前記接着剤11により、第3折り部Cと第2折り部Bとを少なくとも貫通部10b内を通して互いに接着することとした。
【0063】
このとき、第3折り部C及び第2折り部Bは、プレート本体8bの前記一方の側面と、前進移動した状態のまま保持されている第1の折り機構3のプレート先端部3bとによって挟持されており、これらプレート本体8bとプレート先端部3bとは、接着剤11の接着力を十分に発揮させるため、その状態のまま所定時間保持される。
【0064】
次いで、プレート先端部3b及びプレート本体8bと、前記支持機構1とが、
図9の白抜2点鎖線矢印で示すように、後退移動して初期位置に復帰し、袋口10aの閉塞作業(封止)が終了する。
【0065】
以上説明した本実施形態に係る缶蓋包装体10及びその封止方法によれば、缶蓋包装体10の開口端部10aが、径方向の内側へ向けて互いに異なる方向から複数回(本実施形態では3回)折り畳まれて閉じられており、具体的には第1折り部Aが缶蓋Wを直接的に覆い、第1折り部A上に第2折り部Bが折り畳まれ、さらに第2折り部B上に第3折り部Cが折り畳まれていて、折り畳み回数を例えば本実施形態で説明した3回に抑えることができる。またこれにより、第2、第3折り部B、Cが直接的に缶蓋Wを覆うことが抑制されているとともに、これら第2、第3折り部B、C同士を接着する接着剤11が、缶蓋Wに付着したり臭い移りしたりすることが防止される。
【0066】
具体的に、第1折り部Aは単層とされ、第2折り部Bは2層構造とされてこれらが重ね合わされており、第2折り部Bの外層から第1折り部Aまでが3層(3枚重ね)構造となっている。すなわち、第2、第3折り部B、C同士の間に供給される接着剤11から複数の缶蓋Wのうち口部側端部に位置する缶蓋Wまでの間で、開口端部10aが3層構造とされているので、上述した効果が安定して格別顕著に奏功される。
【0067】
そして、第3折り部Cを構成する内層c1、中層c2及び外層c3のうち、第2折り部Bに重ね合わされる内層c1には、少なくとも中層c2及び外層c3のいずれかをこの第2折り部Bに露出させる貫通部10bが形成されており、該貫通部10b内を通して第2、第3折り部B、C同士が接着されているので、閉じられた開口端部10aの封止力を十分に高めることが可能である。
詳しくは、貫通部10b内を通して接着される第3折り部Cの中層c2及び/又は外層c3と、第2折り部Bとは、この開口端部10aを開いた状態(初期状態)では互いに周方向の遠い位置に配置(例えば径方向に軸線Oを挟むように配置)されており、従ってこれらが接着されることにより開口端部10aの封止力が十分に高められることになる。
さらに、貫通部10b内を通して周方向の位置が遠い第2、第3折り部B、C同士が接着されているので、第1、第2、第3折り部A、B、Cが、缶蓋包装体10内に収容された缶蓋Wから離れる方向に膨らみにくく、これら第1、第2、第3折り部A、B、Cの外観を良好に保つことができ、さらに、第1、第2、第3折り部A、B、Cに異物が混入することを防止できる。
尚、貫通部10bの端面(内周)を介して、直接メルト(接着剤)を付着させていない内層c1と中層c2の間、中層c2と外層c3の間にもメルトが浸透し、これらが接着されることで、封止力をさらに高めることも可能である。
【0068】
また本実施形態に係る缶蓋包装体の封止装置50によれば、位置合わせユニット52によって開口端部10aの貫通部10bの位置合わせがなされ、これにより該位置合わせユニット52よりも後工程の折り畳み封止ユニット51において、貫通部10bが第1折り部Aを形成する第1の折り機構3とは軸線Oを挟んだ反対側の位置に配置される。その後、第1、第2の折り機構3、6によって第1、第2折り部A、Bを形成したときに、第3折り部Cの内層c1に位置する貫通部10bが確実に、かつ安定して第2折り部Bに臨んで配置されることになる。従って、接着剤供給機構7から供給された接着剤11が、第3の折り機構8により第3折り部Cが折り畳まれたときに、貫通部10b内を通して第2、第3折り部B、C同士を確実に接着する。
【0069】
以上より、本実施形態の缶蓋包装体10及びその封止方法によれば、缶蓋包装体10の開口端部10aの折り畳み回数を必要以上に増やすことなく工数や設備費用を抑えつつ処理速度(生産性)を高めることができ、かつ材料費用を増大させることはなく、また缶蓋包装体10の内部に収納する缶蓋Wへの接着剤11の付着や臭い移りを防止することができ、閉じられた開口端部10aの封止力を十分に高めることが可能である。
また本実施形態の缶蓋包装体の封止装置50によれば、前述した缶蓋包装体10及びその封止方法による作用効果を確実にかつ安定的に得ることができる。
【0070】
また本実施形態に係る缶蓋包装体10は、貫通部10bが、開口端部10aの開口縁を切り欠いて形成されている(開口縁が切り欠かれた切り欠き形状をなしている)ので、下記の効果を奏功する。
すなわち、缶蓋包装体10の開口端部10aに貫通部10bを形成することが容易であるとともに、貫通部10bの開口面積を大きく確保しやすくなり、上述した作用効果がより確実に奏功されることになる。また、切り欠き形状とされた貫通部10bを用いて、缶蓋W投入前の缶蓋包装体10の開口端部10aを広く開口させることが容易であり、スムーズに缶蓋Wを投入して生産性を高めることができる。
【0071】
また、貫通部10bの内周が曲線状をなしているので、缶蓋包装体10の開口端部10aにこの貫通部10bを形成して前述した作用効果が得られつつも、該貫通部10bの内周を起点として缶蓋包装体10が破れるようなことが抑制される。
【0072】
また本実施形態では、封止され閉じられた開口端部10aにおける貫通部10bの外部でも第2、第3折り部B、C同士が接着されているので、より格別顕著に封止力を高めることができる。
【0073】
また、前述した缶蓋包装体10の封止方法及び缶蓋包装体の封止装置50では、第1折りが行われる際、折目規制機構2に設けた棒状部材2a、2aが挿入された袋口10a部分において該袋口10aの変形が拘束されているので、常に一定の折り畳み形状となるように第1折りを行うことができ、袋口10aの閉塞を確実かつ強固なものにすることができる。
【0074】
また、缶蓋Wの小径化に伴って缶蓋包装体10自身の構造的な強度が増加し、第1折りの際に缶蓋包装体10と缶蓋Wの外周面との接触部に作用する荷重が大きくなって収納した缶蓋Wが軸心ずれするように回転しようとした場合にも、缶蓋Wを棒状部材2a、2aによって押さえることができるので、例えば袋口10a内において口部側端部に位置する缶蓋Wが該袋口10aから外部に飛び出るといったことをなくすことができる。
【0075】
また、第1折りが行われた後、折目付与ガイド4と押圧ローラ5bとが半円筒状に残された袋口10aを径方向の両側から挟むように相対接近して袋口10aの周方向の両縁部は押圧力を受けるので、該両縁部に堅固な折目10cが付与されるとともに横断面視円弧状の袋口10aに安定的に整形されて、第2折りの際の折り畳み形状も一定にすることができる。
【0076】
また、第2折りが行われる際、第3の折り機構8が、第2の折り機構6の前進移動に伴って相対接近して、該第2の折り機構6との間に三角形状に残された第3折り部Cを挟持する構成とされているので、該第3折り部Cにも堅固な折目を付与することができ、第3折りにより袋口10aを閉塞した後に折目が戻り、この袋口10aが開いてしまうといったことをなくすことができる。
【0077】
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0078】
例えば、前述の実施形態では、貫通部10bは、開口端部10aの開口縁が切り欠かれた切り欠き形状をなしているとしたが、これに限定されるものではなく、切り欠き形状以外の円孔、多角形孔、楕円孔等の孔、メッシュ、スリット等であってもよい。
また、貫通部10bは、前述した半円形状以外の例えば多角形状等の切り欠き形状とされていてもよい。
【0079】
また、貫通部10bの内周が曲線状をなしており、前述の実施形態では凹円弧状(凹曲線状)をなしているとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、貫通部10bの内周は、例えば凸曲線及び凹曲線を有する凹凸形状とされていたり、或いは曲線状以外の、複数の直線の組合せ等によって形成されていてもよい。
【0080】
また、第3折り部Cと第2折り部Bとが、貫通部10bの外部でも互いに接着されていることとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、第3折り部Cと第2折り部Bとは、貫通部10b内のみにおいて互いに接着されていてもよい。
【0081】
また、缶蓋包装体の封止装置50の位置合わせユニット52として、軸線方向位置調整機構22が設けられているとしたが、該軸線方向位置調整機構22は、位置合わせユニット52とは別とされて、缶蓋包装体の封止装置50に設けられていてもよい。
【0082】
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及び尚書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0084】
[封止力確認試験]
本発明の実施例として、開口端部10aに貫通部10bが形成された、前述の実施形態で説明した缶蓋包装体10を用意した。そして、この缶蓋包装体10の内部に缶蓋Wを積層状態として複数収納し、缶蓋包装体の封止装置50によって、第3折り部Cと第2折り部Bとを、少なくとも貫通部10b内を通して互いに接着して、開口端部10aを封止した。
【0085】
このように封止した缶蓋包装体10の、閉じられた開口端部10aとは反対側の底部を切断して開け、内部の缶蓋Wを取り出したものを、封止力確認試験用として予め用意した突上げ装置にセットし、折り畳まれ封止された開口端部10aを包装体内部から口部側へ向けて突上げ、この開口端部10aが破れるなどして開口されるまでに要した荷重を、測定器により測定した。尚、缶蓋包装体の封止装置50としては3つの装置(1〜3号機)を用い、各装置にてサンプルを各10ヶずつ作成して、封止力確認試験を行った。結果を表1に示す。
【0086】
一方、従来の比較例として、開口端部10aに貫通部10bが形成されてはいるものの、第3折り部Cと第2折り部Bとが、貫通部10bの外部においてのみ互いに接着されて、開口端部10aが封止された缶蓋包装体を用意した。具体的にこの比較例では、貫通部10bが第1折り部Aに配置されている。
比較例においても、上記実施例と同様に封止力確認試験を行った。結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
[評価]
封止力確認試験の結果、本発明の実施例においては、比較例に比べて、開口端部10aの封止力が十分に高められることがわかった。尚、本発明の実施例では13kgf程度の大きな荷重が作用しても、いずれも開口端部10aが開口されることはなく、開口端部10aが開口する以前に該開口端部10a以外の包装体周壁部分などが破れて、試験が終了する結果となった。一方、比較例では、4kgf程度の小さな荷重で開口端部10aが開口した。