【課題】有機溶剤現像が可能なネガ型感光性樹脂組成物及び前記樹脂組成物を用いる、耐熱特性及び機械的特性などが維持されながらも、露光及び現像工程によりビアホールを形成することができ、金属との接着力に優れた絶縁フィルムを提供する。また、前記樹脂組成物、それを用いた印刷回路基板、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と、光酸発生剤と、アルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカと、を含む樹脂組成物、及び前記樹脂組成物からなる金属との接着力に優れた絶縁フィルム。
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の樹脂組成物。
前記光酸発生剤は、オニウム塩、潜在スルホン酸、ハロメチル−s−トリアジン、メタロセン、塩素化アセトフェノン、ベンゾインフェニルエーテル、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の樹脂組成物。
前記オニウム塩は、アリールジアゾニウム、ジアリールヨードニウム、トリアリールスルホニウム、トリアリールセレノニウム、ジアルキルフェナシルスルホニウム、トリアリールスルホキソニウム、アリールオキシジアリールスルホキソニウム、ジアルキルフェナシルスルホキソニウム塩、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項4に記載の樹脂組成物。
前記チオキサントン系化合物は、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の樹脂組成物。
前記硬化剤は、アミド系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、第3アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、パーオキシド硬化剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の樹脂組成物。
前記樹脂組成物は、10〜90重量%のエポキシ樹脂と、10〜90重量%のシリカと、前記エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の光酸発生剤と、を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一目的は、有機溶剤現像が可能なネガ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記樹脂組成物を用いて、耐熱特性及び機械的特性などが維持されながらも、露光及び現像工程によりビアホールを形成することができ、金属との接着力に優れた絶縁フィルムを提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、前記樹脂組成物を含む絶縁層を有する印刷回路基板を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、前記樹脂組成物を用いて印刷回路基板を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面によると、エポキシ樹脂と、光酸発生剤と、下記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカと、を含む樹脂組成物が提供される。
【0012】
【化1】
(式中、前記R
1は、炭素数1〜20の脂肪族または脂環族アルキル基、炭素数1〜20のアリール基またはアラルキル基、炭素数1〜20の官能基が置換されたアルキル基またはアリール基、ヘテロ原子を含むかまたは含まないアルキレンで連結された環、または高分子化合物基及びそれらの誘導体から選択され、nは、1〜6の整数である。)
【0013】
前記樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択されることができる。
【0014】
前記樹脂組成物において、前記光酸発生剤は、オニウム塩、潜在スルホン酸、ハロメチル−s−トリアジン、メタロセン、塩素化アセトフェノン、ベンゾインフェニルエーテル、及びこれらの組合せからなる群から選択されることができる。
【0015】
前記光酸発生剤は、オニウム塩であることができる。
【0016】
前記オニウム塩は、アリールジアゾニウム、ジアリールヨードニウム、トリアリールスルホニウム、トリアリールセレノニウム、ジアルキルフェナシルスルホニウム、トリアリールスルホキソニウム、アリールオキシジアリールスルホキソニウム、ジアルキルフェナシルスルホキソニウム塩、及びこれらの組合せからなる群から選択されることができる。
【0017】
前記樹脂組成物において、前記シリカの平均粒径は0.05〜5μmであることができる。
【0018】
前記樹脂組成物は、光増感剤及び硬化剤をさらに含むことができる。
【0019】
前記光増感剤は、チオキサントン系化合物であることができる。
【0020】
前記チオキサントン系化合物は、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、ジエチルチオキサントン、及びこれらの組合せからなる群から選択されることができる。
【0021】
前記硬化剤は、アミド系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、第3アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、パーオキシド硬化剤、及びこれらの組合せからなる群から選択されることができる。
【0022】
前記樹脂組成物は、10〜90重量%のエポキシ樹脂と、10〜90重量%のシリカと、前記エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の光酸発生剤と、を含むことができる。
【0023】
前記光増感剤の含量は、光酸発生剤100重量部に対して200重量部以下であることができる。
【0024】
本発明の他の側面によると、前記樹脂組成物を含む絶縁フィルムが提供される。
【0025】
本発明のさらに他の側面によると、前記樹脂組成物を含む絶縁層を有する印刷回路基板が提供される。
【0026】
本発明のさらに他の側面によると、前記樹脂組成物を基板上に積層して絶縁層を形成する段階と、露光及び現像工程により前記絶縁層にビアホールを形成する段階と、を含む印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0027】
前記製造方法において、前記現像工程は、有機溶剤現像液を用いて行われることができる。
【0028】
前記製造方法において、前記ビアホールは、前記絶縁層において露光されていない部位が現像工程により除去されることで形成されることができる。
【0029】
前記製造方法において、前記絶縁層を形成する段階は、前記樹脂組成物を基板上にコーティングすることで行われることができる。
【0030】
前記製造方法において、前記絶縁層を形成する段階は、前記樹脂組成物を含む絶縁フィルムを基板上に積層することで行われることができる。
【0031】
前記製造方法において、前記ビアホールを形成する段階の後に、前記絶縁層にビアを含む回路層を形成する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、アルキルスルホン化されたテトラゾール化合物で表面改質されたシリカを導入することで、金属との接着力に優れ、有機溶剤現像が可能なネガ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0033】
本発明による樹脂組成物を含む絶縁フィルムは、耐熱特性及び機械的特性に優れ、露光及び現像工程によりビアホールを形成することができるだけでなく、金属との接着力に優れる。
【0034】
また、本発明による樹脂組成物を含む絶縁層を有する印刷回路基板は、接着特性、耐熱特性及び機械的特性などが維持されて、優れた信頼性を有するだけでなく、露光及び現像工程によりビアホールを形成することができる。
【0035】
さらに、本発明による印刷回路基板の製造方法は、露光及び現像工程によりビアホールを形成することができるため、従来の技術に比べ、工程が簡単で且つコストが低減される長所がある。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「一面」、「他面」、「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0038】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0039】
樹脂組成物
本発明による樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、光酸発生剤と、下記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカと、を含む。
【0040】
【化2】
(式中、前記R
1は、炭素数1〜20の脂肪族または脂環族アルキル基、炭素数1〜20のアリール基またはアラルキル基、炭素数1〜20の官能基が置換されたアルキル基またはアリール基、ヘテロ原子を含むかまたは含まないアルキレンで連結された環、または高分子化合物基及びそれらの誘導体から選択され、nは、1〜6の整数である。)
【0041】
本発明において用いられるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂、及びこれらの組合せから選択されることができる。
【0042】
前記樹脂組成物中の前記エポキシ樹脂の含有量は10〜90重量%であることができる。前記含有量が10重量%未満であると、物理的、機械的、化学的物性の低下をもたらす恐れがあり、90重量%を超過すると、現像性能が弱化してビアホールを形成することが困難となる恐れがある。
【0043】
前記光酸発生剤は、光によって酸を生成することができる化合物であって、通常、オニウム塩、潜在スルホン酸、ハロメチル−s−トリアジン、メタロセン、塩素化アセトフェノン、ベンゾインフェニルエーテル、及びこれらの組合せなどから選択されることができる。
【0044】
また、前記光酸発生剤はオニウム塩であることができる。
【0045】
前記オニウム塩は、アリールジアゾニウム、ジアリールヨードニウム、トリアリールスルホニウム、トリアリールセレノニウム、ジアルキルフェナシルスルホニウム、トリアリールスルホキソニウム、アリールオキシジアリールスルホキソニウム、またはジアルキルフェナシルスルホキソニウム塩などから選択されることができる。
【0046】
前記光酸発生剤の使用量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部であることができる。前記使用量が0.1重量部未満であると、光反応性が低下して残膜率が減少するため、現像によりビアホールを形成できなくなる恐れがあり、10重量部を超過すると、露光部と非露光部の現像性能差が減少してビアホールを形成することが困難となる恐れがある。
【0047】
前記表面改質されたシリカは、感光性樹脂の熱膨張係数(CTE)を低め、金属との接着力を改善する機能をする。前記シリカの含有量は、樹脂組成物の用途などを考慮して要求される特性に応じて決定され、特に限定されるものではないが、前記樹脂組成物中、10〜90重量%の範囲で用いられることができる。前記含有量が10重量%未満であると、誘電正接が低く、熱膨張率が高くなる恐れがあり、90重量%を超過すると、接着強度が低下して、フィルムの形成が困難となる傾向を示す。
【0048】
本発明において、絶縁樹脂のCTEを低めるためにシリカの含量を高める場合、本発明による表面改質シリカは、低粗度(Ra<0.3μm)の絶縁樹脂を具現する場合より効果的である。
【0049】
一方、前記化学式1で表されるアルキルスルホン化されたテトラゾール化合物は、下記化学式2で表されるテトラゾールを、下記化学式3で表されるアルキルスルホンでアルキルスルホン化させて適当なサイズのアルキル基を導入することにより、−S−基が接着力に必要な分だけの電子をドネーションすることができる構造に設計されることができる。
【0051】
【化4】
式中、R
1及びnは、上述のとおりである。
【0052】
一実施例によると、前記化学式1で表されるアルキルスルホン化されたテトラゾール化合物は、下記反応式1に示した方法により製造されることができ、前記製造方法は、通常、溶媒の存在下で行われる。前記化学式2で表されるテトラゾールと、前記化学式3で表されるアルキルスルホンとの反応モル比は、化学量論的に1:0.5〜1.5である。
【0053】
[反応式1]
【化5】
式中、R
1及びnは、上述のとおりである。
【0054】
前記アルキルスルホン化テトラゾール化合物としては、最終樹脂の接着力を考慮して、3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イルチオ)プロパン−1−スルホン酸または3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イルチオ)ブタン−1−スルホン酸などを用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0055】
一方、前記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカは、一例として、下記反応式2により製造されることができる。
【0056】
具体的に、シリカとナトリウムエトキシドとを反応させた後、前記反応物と前記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物とを反応させる。
【0058】
前記シリカの平均粒径は、特に限定されるものではないが、最近の印刷回路基板などの電子製品における小型化の傾向に応じて、0.05〜5μmであることができる。
【0059】
前記シリカとナトリウムエトキシドとの反応は、特に限定されるものではないが、反応効率及び経済性を考慮して、前記シリカとナトリウムエトキシドとを1〜10:1の重量比で混合して20〜60℃の温度で行われることができる。前記反応物とアルキルスルホン化テトラゾール化合物との反応も、特に限定されるものではないが、反応効率及び経済性を考慮して、1〜10:1の重量比で混合して20〜40℃の温度で行われることができる。即ち、前記アルキルスルホン化テトラゾール化合物の添加量が少ない場合には、シリカの表面改質が十分になされない恐れがあり、添加量が多い場合には、精製時間が長くなる恐れがある。
【0060】
前記樹脂組成物は、光増感剤及び硬化剤をさらに含むことができる。
【0061】
前記光増感剤としては、チオキサントン(Thioxanthone)系化合物が用いられることができる。前記チオキサントン系化合物は、イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、及びジエチルチオキサントンからなる群から選択される一つ以上であることができる。前記光増感剤の使用量は、光酸発生剤100重量部に対して200重量部以下であることができる。前記使用量が200重量部を超過すると、感度向上の効果が微小である。
【0062】
本発明による樹脂組成物は、工程効率のために、硬化剤を選択的に含むことができる。
【0063】
前記硬化剤としては、アミド系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、第3アミン硬化剤またはイミダゾール硬化剤、パーオキシド硬化剤、及びこれらの組合せなどが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0064】
前記樹脂組成物中の前記硬化剤の含有量は0.1〜3重量%であることができる。前記含有量が0.1重量%未満であると、高温硬化が困難となったり硬化速度が低下する恐れがあり、3重量%を超過すると、硬化速度が速すぎるため、工程に適用することが困難となったり、保存安定性が低下し、反応後に未反応硬化剤が存在するため、絶縁フィルムまたはプリプレグの吸湿率が高くなって電気的特性が低下する恐れがある。
【0065】
本発明によると、上述の表面処理されたシリカのような無機充填剤以外の他の無機充填剤をさらに含むことができる。前記無機充填剤の具体的な例としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。特に、低い誘電正接を有するシリカが好ましい。
【0066】
尚、無機充填剤の平均粒径が5μmを超過する場合、導体層に回路パターンを形成する際に微細パターンを安定して形成することが困難であるため、無機充填剤の平均粒径は5μm以下であることができる。また、無機充填剤は、耐湿性の向上のために、シランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されることができる。また、0.05〜2μmの直径を有するシリカが用いられることができる。
【0067】
本発明の樹脂組成物は、効率的な硬化のために、硬化促進剤を選択的に含有することができる。本発明で用いられる硬化促進剤としては、金属系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤などが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて、当業界で用いられる通常の量で添加して用いることができる。
【0068】
前記金属系硬化促進剤としては、特に制限されないが、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズなどの金属の有機金属錯体または有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体的な例としては、コバルト(II)アセチルアセトネート、コバルト(III)アセチルアセトネートなどの有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトネートなどの有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトネートなどの有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトネートなどの有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトネートなどの有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトネートなどの有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。金属系硬化促進剤としては、硬化性及び溶剤溶解性の点で、コバルト(II)アセチルアセトネート、コバルト(III)アセチルアセトネート、亜鉛(II)アセチルアセトネート、ナフテン酸亜鉛、鉄(III)アセチルアセトネートを用いることができ、特に、コバルト(II)アセチルアセトネート、ナフテン酸亜鉛を用いることが好ましい。金属系硬化促進剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
前記イミダゾール系硬化促進剤としては、特に制限されないが、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2´−メチルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2´−ウンデシルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2´−エチル−4´−メチルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2´−メチルイミダゾリル−(1´)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロキシ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリンなどのイミダゾール化合物、及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール硬化促進剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
前記アミン系硬化促進剤としては、特に制限されないが、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン(以下、DBU)などのアミン化合物などが挙げられる。アミン系硬化促進剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
本発明による樹脂組成物は、有機溶媒の存在下で混合することができる。有機溶媒としては、本発明に用いられる樹脂及び他の添加剤の溶解性及び混和性を考慮して、2−メトキシエタノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアセテート、ブチルアセテート、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール、キシレン、ジメチルホルムアミド、及びジメチルアセトアミドが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0072】
上記の本発明の樹脂組成物は、有機溶剤現像が可能なネガ型感光性樹脂組成物であって、前記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカを含むことにより、絶縁フィルムまたは基板の絶縁層に適用する場合、耐熱特性及び機械的特性を向上させ、金属との接着力を強固にする長所がある。
【0073】
絶縁フィルム
本発明による絶縁フィルムは、上記の樹脂組成物を含む。
【0074】
前記絶縁フィルムは、50ppm/℃以下の低い熱膨張係数(CTE)を有し、多層印刷基板を製造する際に絶縁層として用いられることができる。
【0075】
前記絶縁フィルムは、例えば、以下の方法により製造されることができるが、当業界に公知された方法であれば特に限定されない。
【0076】
一実施例によると、上記の樹脂組成物をロールコータ(Roll Coater)またはカーテンコータ(Curtain Coater)などを用いてフィルムの形態に製作した後、乾燥して用いることができる。また、溶媒キャスト法などにより上記の樹脂組成物の溶液層を基材上に形成した後、前記溶液層から溶媒を除去することにより、基材上にフィルムを製造することができる。前記基材としては、銅箔、アルミニウム箔、金箔、銀箔などの金属箔や、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどが挙げられる。
【0077】
他の実施例によると、上記の樹脂組成物を補強材に塗布または含浸させ、これを硬化した後、乾燥して溶媒を除去することによりプリプレグに製作して用いることができる。
【0078】
含浸方法の例としては、ディップコーティング法、ロールコーティング法などがある。
【0079】
補強材の例としては、ガラス繊維(glass cloth)織物、アルミナガラス繊維織物、ガラス繊維不織布、セルロース不織布、炭素繊維織物、高分子織物などがある。また、ガラス繊維、シリカガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、石綿、岩綿、鉱滓綿、石膏ウィスカー、これらの織布又は不織布、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、液体結晶ポリエステル、ポリエステル繊維、フッ素繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリアミド繊維を有するガラス繊維、炭素繊維を有するガラス繊維、ポリイミド繊維を有するガラス繊維、芳香族ポリエステルを有するガラス繊維、ガラスペーパー、マイカペーパー、アルミナペーパー、クラフトペーパー、コットンペーパー、ペーパーとガラスとの組み合わせなどがある。これらは、一つ以上を混合して用いることができる。
【0080】
この際、前記ガラス繊維は、5〜200μmの厚さを有することができる。
【0081】
また、前記樹脂組成物は、前記補強材1重量部に対して約0.4〜3重量部で含浸されることができる。前記範囲内で含浸される場合、2個以上のプリプレグを使用する際に、プリプレグ間の密着性、プリプレグの機械的強度及び寸法安定性に優れる長所がある。
【0082】
前記硬化は約150〜350℃の温度で行われ、上記のように低温でも熱処理が可能であるため、印刷回路基板に適用されることができる。
【0083】
前記プリプレグは銅と結合されることができる。即ち、本発明の樹脂組成物を前記補強材に含浸させた後、半硬化状態の熱処理工程を行って製造されたプリプレグを銅箔上に位置させ、熱処理を行う方法により製造されることができる。溶媒を除去し熱処理を行う際に、銅とプリプレグとが結合した部材(member)が製造される。溶媒を蒸発させるために、減圧下で加熱したり、換気などの方法を用いることができる。塗布方法の例としては、ロールコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、スリットコーティング法、スクリーン印刷法などがある。
【0084】
上述のように、本発明の樹脂組成物を含む絶縁フィルムは、耐熱特性及び機械的特性に優れ、露光及び現像工程によりビアホールを形成することができるだけでなく、金属との接着力に優れる。
【0085】
印刷回路基板
本発明による印刷回路基板は、上記の樹脂組成物を含む絶縁層を有する。
【0086】
一実施例によると、印刷回路基板を製造する際に、上述の絶縁フィルム自体が絶縁層として基板上に適用されることができる。
【0087】
他の実施例によると、基板上に上記の樹脂組成物を直接コーティングして絶縁層を形成することができる。前記コーティング方法は、当業界に公知された方法であれば特に限定されない。
【0088】
前記基板は、通常、一つ以上の回路層が備えられた印刷回路基板であることができる。
【0089】
本発明による樹脂組成物を含む絶縁層を有する印刷回路基板は、接着特性、耐熱特性及び機械的特性などが維持されて、優れた信頼性を有し、露光及び現像工程によりビアホールを形成することができる利点がある。
【0090】
印刷回路基板の製造方法
図1から
図4は、本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法を説明するために概略的に示した断面図である。
【0091】
以下、
図1から
図4を参照して、本発明の一実施例による印刷回路基板の製造方法を説明する。
【0092】
先ず、
図1を参照すると、基板100を準備する。
【0093】
前記基板100は、誘電体層に1層以上の回路が形成されている回路基板であって、印刷回路基板であることができる。本図面では、説明の便宜のために具体的な内層回路の構成を省略して図示したが、当業者であれば、前記基板100として、誘電体層に1層以上の回路が形成されている通常の回路基板が適用されえることを十分に認識できるであろう。
【0094】
前記誘電体層として樹脂絶縁層が用いられることができる。前記樹脂絶縁層としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグが用いられることができ、また熱硬化性樹脂及び/または光硬化性樹脂などが用いられることができる。また、前記誘電体層として上述の絶縁フィルムが適用されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0095】
前記回路は、回路基板分野において回路用伝導性金属として用いられるものであれば制限されずに適用可能であり、印刷回路基板には銅を用いることが一般的である。
【0096】
次に、
図2を参照すると、上記の樹脂組成物を基板100上に積層して絶縁層200を形成する。
【0097】
一実施例によると、前記絶縁層200は、上記の樹脂組成物を基板上に直接コーティングすることで形成されることができる。
【0098】
他の実施例によると、前記絶縁層200は、前記樹脂組成物を含む絶縁フィルムを基板上に積層することで形成されることができる。
【0099】
具体的に、前記絶縁フィルムは、上述したように、上記の樹脂組成物をロールコータまたはカーテンコータなどを用いてフィルムの形態に製作した後、乾燥して用いるか、または、溶媒キャスト法などにより上記の樹脂組成物の溶液層を基材上に形成した後、前記溶液層から溶媒を除去することで基材上にフィルムを製造して用いるか、または、上記の樹脂組成物を補強材に塗布または含浸させ、これを硬化した後、乾燥して溶媒を除去することによりプリプレグに製造して用いることができる。含浸方法の例としては、ディップコーティング法、ロールコーティング法などがある。プリプレグについての詳細な説明は、前記絶縁フィルムについての説明で上述したとおりである。
【0100】
次に、
図3を参照すると、マスク300を用いた露光工程により、前記絶縁層200のうち所定領域を露光する。
【0101】
この際、本発明の一実施例によると、前記露光工程のUV波長は、特に制限されないが、350〜450nmであることができる。
【0102】
次に、
図4を参照すると、現像工程により前記絶縁層200をパターニングすることで、パターニングされた絶縁層210及びビアホール400を形成する。
【0103】
前記現像工程は、メチルエチルケトンなどの通常の有機溶媒現像液を単独でまたは混合有機溶媒、または水を混合した有機溶媒を用いて行われることができる。
【0104】
一方、前記現像工程は、現像液を基板にスプレー噴射する方法、現像液に基板を浸漬して振る方法、または現像液に基板を浸漬させて超音波処理する方法により行われることができるが、当業界に公知された方法であれば特に限定されない。
【0105】
前記ビアホール400は、前記絶縁層200において、マスク300によりマスキングされて露光されていない部位が現像工程により除去されることで形成されることができる。
【0106】
さらに、前記現像された基板を乾燥し、熱処理して後硬化する段階を含むことができる。乾燥により、現像された基板に残留されている溶媒を除去し、高温で後硬化することにより、絶縁層の硬化密度を高めることができる。
【0107】
一方、図示していないが、当業界に公知された通常の回路層の形成方法に従って、前記ビアホールを形成した後、前記パターニングされた絶縁層にビアを含む回路層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0108】
上述の本発明による印刷回路基板の製造方法は、露光及び現像工程によりビアホールを形成することができるため、従来の技術に比べ、工程が簡単で且つコストが低減される長所がある。
【実施例】
【0109】
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、下記の例に本発明の範疇が限定されるものではない。
【0110】
製造例1
3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イルチオ)プロパン−1−スルホン酸の合成
反応溶媒としてアセトニトリル90g、5−メルカプト−1−メチルテトラゾール20g(0.172mol)と1,3−プロパンスルトン21g(0.172mol)をそれぞれ秤量して、還流コンデンサ(reflux condenser)付き250mlの1口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で約80℃で還流させる。TLC(展開溶媒クロロホルム:メタノール=10:1)分析で反応終了時点を決定して反応を終了させた後、セライト(Celite)545を用いて反応物を濾過し、濾液を減圧濃縮して、シリカカラムクロマトグラフィー法により3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イルチオ)プロパン−1−スルホン酸を得た。合成収率は68%であり、融点(DSC)は98℃であった。
【0111】
1H−NMR(CDCl3,δ)3.63(s,3H,tetrazole−CH
3),3.40(t,2H,−S−CH
2CH
2CH
2−SO
3−)2.95(t,2H,−S−CH
2CH
2CH
3−SO
3−),2.20(m,2H,−S−CH
2CH
2CH
3−SO
3−)
【0112】
製造例2
表面処理されたシリカの製造
UFP30(電気化学工業株式会社製)溶融(fused)シリカを120℃の乾燥オーブン(dry oven)で3時間以上乾燥した後、デシケータ内で常温まで冷却させ、シリカに吸着されている水分を除去する。水分が除去されたシリカ50g及びジクロロメタン500gを1Lのフラスコに入れて、超音波振動を用いてシリカをよく分散させる。これに、ナトリウムエトキシド10gを投入し、40℃の温度で2時間撹拌した後、濾過紙を用いてシリカ粉末を濾過する。濾過されたシリカ粉末に、ジクロロメタン200g、製造例1で得られた3−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イルチオ)プロパン−1−スルホン酸10gを投入して常温で5時間撹拌した後、これを分別漏斗に入れ、蒸溜水200gを投入して、反応生成物である水酸化ナトリウムを抽出する。さらに2回抽出した後、遠心分離機を用いて3000rpmで10分間遠心分離してシリカとジクロロメタンを分離し、次いで80℃の乾燥オーブンで乾燥することで、表面処理されたシリカ35gを得た。このように得られたシリカを分光分析した結果、下記のようにスルホン基の存在を確認した。
【0113】
IR(KBr)(ν,cm
−1);1350,1170(Si−SO
3−−R),715(R−S−R),1480,1350,1300,1050(tetrazole ring)
【0114】
実施例1
ビスフェノールA型エポキシ樹脂YD017(Kukdo Chemical co.,Ltd製)100g及びDisper BYK−110(BYK社製)4.5gを、115gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解した後、製造例2で製造された表面改質されたシリカ81.6gを投入し、ホモミキサー(homo−mixer)を用いて2000rpmで30分間予分散し、次いでビーズミルを用いて1時間分散した。前記分散組成物に、多官能性エポキシ樹脂EPPN−502H(日本化薬株式会社製)30g、エポキシ硬化剤としてDicyanex 1400F(Air Products社製)4.2g、硬化剤として2E4Mz(四国化成工業株式会社製)1.1g、光酸発生剤としてSP−201(SMC社製)8g、光増感剤としてDarocur ITX(BASF社製)0.19gを溶解させて樹脂ワニスを製造した後、この樹脂ワニスをバーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂の厚さが約30μmとなるように約10分間乾燥することで、絶縁フィルムを得た。
【0115】
比較例1
前記実施例1において、表面改質されたシリカの代りに球形シリカスラリー(平均粒子サイズ:0.3μm、65%、溶媒MEK)を用いたことを除き、実施例1と同様の方法で樹脂ワニスを製造した後、これをバーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂の厚さが約30μmとなるように約10分間乾燥することで、絶縁フィルムを得た。
【0116】
実施例2
絶縁フィルムのラミネート
前記実施例及び比較例1で得られた絶縁フィルムを、表面粗さ処理された内層回路基板(導体厚さ18μm、厚さ0.8mm)の断面に真空加圧ラミネータ(名機製作所製)を用いて約70℃で20秒間真空吸引させた後、約70℃、圧力約7.5kg/cm
2の条件で、約20秒間加圧することでラミネートした。
【0117】
実施例3
ビアホールの形成
前記実施例2でラミネートされた絶縁フィルムを、Mask Aligner「MDA12000」露光装置(Midas社製)を用いて最適露光量でビアホールパターンを露光し、100℃で100秒間熱処理してPEB(post exposure bake)した後、25℃メチルエチルケトンをスプレー圧0.2MPaの条件で20秒間現像してビアホールパターンを得た後、UVコンベア炉にて積算露光量1500mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、180℃で60分間硬化させることで、ビアホールが加工された印刷回路基板を得た。
【0118】
このように得られた印刷回路基板のビアホールパターン形状の写真を
図5に示した。
【0119】
実験例1
絶縁フィルムの接着強度の評価
前記実施例2でラミネートされた絶縁フィルムからPET保護フィルムを取り外し、UVコンベア炉にて積算露光量1500mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、熱風循環炉にて、約180℃で約60分間硬化することで、内層回路基板の断面に絶縁層が形成された積層板を得た。得られた積層板を過マンガン酸液で粗化処理して表面粗さを形成した。粗化処理条件は、膨潤処理溶液(アトテックジャパン社製のスウェリングディップセキュリガントP(Swelling Dip Securiganth P))に約60℃で約10分間浸漬し、次いで、酸化処理溶液(アトテックジャパン社製のコンセンテレート・コンパクトCPとドージングソリューション・セキュリガントPの混合液)に約80℃で約20分間浸漬した。その後、還元処理溶液(アトテックジャパン社製のリダクション・ソリューション・セキュリガントP500(Reduction Solution Securiganth P500))に約40℃で約5分浸漬した。粗化処理された積層板の絶縁層の表面に、パラジウム触媒を与えた後、酒石酸塩含有のプリントガントMSK−DK(アトテックジャパン社製)を用いて無電解めっきを行い、次いで、硫酸銅を用いて銅厚さが約20μmとなるように電解めっきを行った。電解めっき済みの試片は、約170℃で約50分間最終硬化した。
【0120】
電解めっきにより形成された導体層を、幅10mm、長さ100mmとなるように切った後、Z050 UTM(Universal testing machine)(Zwick社製)を用いて、50.8mm/minの速度で、長さ30mmの接着強度を評価した。その結果を下記表1に示す。
【0121】
【表1】
【0122】
前記表1から分かるように、本発明による絶縁フィルム(実施例1)は、通常の絶縁フィルム(比較例1)に比べ著しく優れた接着強度を示す効果がある。
【0123】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0124】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。