【解決手段】本発明では、分子内に重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、光開始剤と、アルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカと、を含む樹脂組成物が開示される。
前記酸変性エポキシアクリレート樹脂は、クレゾールノボラック型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビフェニル型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビスフェノールA型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビスフェノールF型酸変性エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型酸変性エポキシアクリレート樹脂、トリフェノールメタン型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリル系酸変性エポキシアクリレート樹脂およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の樹脂組成物。
前記光開始剤は、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α‐アミノアセトフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の樹脂組成物。
前記アクリレート樹脂は、EOまたはPO変性(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、3‐メチル‐1,5‐ペンタンジオールジアクリレート、2‐ブチル‐2‐エチル‐1,3‐プロパンジオールジアクリレート、1,9‐ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、2‐ヒドロキシアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、2‐ヒドロキシブチルメタクリレート、フェニルグリシジルエステルアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールエポキシアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7または8に記載の樹脂組成物。
前記硬化剤は、アミド系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、第三級アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、過酸化物硬化剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7から9の何れか1項に記載の樹脂組成物。
前記絶縁層を形成する段階は、請求項1から12の何れか1項に記載の樹脂組成物を基板上にコーティングして行われる、請求項15から17の何れか1項に記載のプリント回路基板の製造方法。
前記絶縁層を形成する段階は、請求項1から12の何れか1項に記載の樹脂組成物を含む絶縁フィルムを基板上に積層して行われる、請求項15から18の何れか1項に記載のプリント回路基板の製造方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、アルカリ現像が可能なネガ型感光性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記樹脂組成物を用いて耐熱特性および機械的特性などを維持し、且つ、露光および現像工程によりビアホール形成が可能であり、金属との接着力に優れた絶縁フィルムを提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、前記樹脂組成物を含む絶縁層を有するプリント回路基板を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、前記樹脂組成物を用いてプリント回路基板を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの目的によると、分子内に重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、光開始剤と、下記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカと、を含む樹脂組成物が提供される。
[化1]
【0012】
ここで、前記R
1は、炭素数1〜20の脂肪族または脂環族アルキル基、炭素数1〜20のアリール基またはアラルキル基、炭素数1〜20の官能基で置換されたアルキル基またはアリール基、ヘテロ原子を含むか含まないアルキレンで連結された環、または高分子化合物基およびそれらの誘導体から選択され、nは、1〜6の整数である。
【0013】
前記樹脂組成物において、前記光重合性化合物は、酸変性エポキシアクリレート樹脂であることができる。
【0014】
前記酸変性エポキシアクリレート樹脂は、クレゾールノボラック型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビフェニル型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビスフェノールA型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビスフェノールF型酸変性エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型酸変性エポキシアクリレート樹脂、トリフェノールメタン型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリル系酸変性エポキシアクリレート樹脂およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0015】
前記樹脂組成物において、前記酸変性エポキシアクリレート樹脂は、10〜200mg KOH/gの酸価を有することができる。
【0016】
前記樹脂組成物において、前記光開始剤は、クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、α‐アミノアセトフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0017】
前記樹脂組成物において、前記シリカの平均粒径が0.05〜5μmであることができる。
【0018】
前記樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、アクリレート樹脂と、硬化剤と、をさらに含むことができる。
【0019】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0020】
前記アクリレート樹脂は、EOまたはPO変性(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、3‐メチル‐1,5‐ペンタンジオールジアクリレート、2‐ブチル‐2‐エチル‐1,3‐プロパンジオールジアクリレート、1,9‐ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、2‐ヒドロキシアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、2‐ヒドロキシブチルメタクリレート、フェニルグリシジルエステルアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールエポキシアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0021】
前記硬化剤は、アミド系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、第三級アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、過酸化物硬化剤およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0022】
前記樹脂組成物は、10〜90重量%の光重合性化合物、0.1〜3重量%の光開始剤、および7〜87重量%のシリカを含むことができる。
【0023】
前記樹脂組成物は、1〜60重量%のエポキシ樹脂、1〜20重量%のアクリレート樹脂、および0.1〜3重量%の硬化剤を含むことができる。
【0024】
本発明の他の目的によると、前記樹脂組成物を含む絶縁フィルムが提供される。
【0025】
本発明のさらに他の目的によると、前記樹脂組成物を含む絶縁層を有するプリント回路基板が提供される。
【0026】
本発明のさらに他の目的によると、上述の樹脂組成物を基板上に積層して絶縁層を形成する段階と、露光および現像工程により前記絶縁層にビアホールを形成する段階と、を含むプリント回路基板の製造方法が提供される。
【0027】
前記製造方法において、前記現像工程は、アルカリ現像液を用いて行われることができる。
【0028】
前記製造方法において、前記ビアホールは、前記絶縁層で露光されていない部位が現像工程で除去されてなることができる。
【0029】
前記製造方法において、前記絶縁層を形成する段階は、前記樹脂組成物を基板上にコーティングして行われることができる。
【0030】
前記製造方法において、前記絶縁層を形成する段階は、前記樹脂組成物を含む絶縁フィルムを基板上に積層して行われることができる。
【0031】
前記製造方法において、前記ビアホールを形成する段階の後に、前記絶縁層にビアを含む回路層を形成する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、アルキルスルホン化したテトラゾール化合物で表面改質されたシリカを導入して、金属との接着力に優れ、アルカリ現像が可能なネガ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
【0033】
本発明に係る樹脂組成物を含む絶縁フィルムは、耐熱特性および機械的特性に優れ、露光および現像工程によりビアホール形成が可能であり、金属との接着力に優れる。
【0034】
また、本発明に係る樹脂組成物を含む絶縁層を有するプリント回路基板は、接着特性、耐熱特性および機械的特性などを維持することで優れた信頼性を有し、露光および現像工程によりビアホールを形成することができる。
【0035】
さらに、本発明に係るプリント回路基板の製造方法は、露光および現像工程によりビアホールを形成することができ、従来の技術に比べて工程が簡単で、コストダウンを図ることができる利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の目的、特定の長所および新規の特徴は添付図面に係る以下の詳細な説明および好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「一面」、「他面」、「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0038】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0039】
[樹脂組成物]
本発明に係る樹脂組成物は、分子内に重合可能なエチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物と、光開始剤と、下記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカと、を含む。
[化1]
【0040】
ここで、前記R
1は、炭素数1〜20の脂肪族または脂環族アルキル基、炭素数1〜20のアリール基またはアラルキル基、炭素数1〜20の官能基で置換されたアルキル基またはアリール基、ヘテロ原子を含むか含まないアルキレンで連結された環、または高分子化合物基およびそれらの誘導体から選択され、nは、1〜6の整数である。
【0041】
本発明で用いられる光重合性化合物は、酸変性エポキシアクリレート樹脂であることができる。
【0042】
前記酸変性エポキシアクリレート樹脂は、特に制限されるものではないが、分子内にエポキシ基が1以上含まれているものを意味するか、分子内にエポキシ基が2以上含まれているものを意味するか、分子内にエポキシ基が4以上含まれているエポキシ樹脂をアクリル酸と反応して光硬化部を導入した後、酸無水物と反応してアルカリ現像が可能になるように製造された樹脂を意味する。
【0043】
前記酸変性エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビフェニル型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビスフェノールA型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ビスフェノールF型酸変性エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型酸変性エポキシアクリレート樹脂、トリフェノールメタン型酸変性エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリル系酸変性エポキシアクリレート樹脂およびこれらの組み合わせなどが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0044】
また、前記酸変性エポキシアクリレート樹脂の酸価は10〜200mg KOH/g、または50〜150mg KOH/gの範囲で用いられることができる。酸価が10未満の場合には、アルカリ現像性能が低下することがあり、酸価が200を超える場合には、現像速度の制御が困難となり、残膜率が低下することがある。
【0045】
前記光重合性化合物の含有量は、前記樹脂組成物中に10〜90重量%、または20〜80重量%であることができる。前記含有量が10重量%未満の場合には、アルカリ現像性能が低下することがあり、90重量%を超える場合には、物理的、機械的、化学的物性低下を誘発することがある。
【0046】
前記光開始剤として、クロロアセトフェノン(Chloroacetophenone)、ジエトキシアセトフェノン(Diethoxy acetophenone)、ヒドロキシアセトフェノン(hydroxy acetophenone)、α‐アミノアセトフェノン(α‐Amino Acetophenone)、ベンゾインエーテル(Benzoin ether)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl dimethyl ketal)、ベンゾフェノン(Benzo phenone)、チオキサントン(Thioxantone)、アントラキノン(Anthraquinone)およびこれらの組み合わせなどが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0047】
前記光開始剤は、例示された化合物のうち365nmまたは405nmの領域で吸収が可能な光開始剤から選択される一つ以上であることができるが、これに特に限定されるものではない。
【0048】
前記光開始剤の含有量は、前記樹脂組成物中に0.1〜3重量%であることができる。前記含有量が0.1重量%未満の場合には、光反応性が低下して残膜率が減少し、現像によるビアホールの形成が困難となることがあり、3重量%を超える場合には、露光部、非露光部の現像性能差が減少してビアホールの形成が困難となることがある。
【0049】
前記表面改質されたシリカは、感光性樹脂の熱膨張係数(CTE)を下げ、金属との接着力を改善する機能を果たす。前記シリカの含有量は、樹脂組成物の用途などを考慮して要求される特性に応じて特別に限定する必要がないが、前記樹脂組成物中に7〜87重量%の範囲で用いられることができる。前記含有量が7重量%未満の場合には、誘電正接が低く、熱膨張率が高くなることがあり、87重量%を超える場合には、接着強度が低下し、フィルム形成が困難となる傾向を示すことがある。
【0050】
本発明において、絶縁樹脂のCTEを下げるためにシリカの含量を高める場合、本発明に係る表面改質シリカは、絶縁樹脂の低粗度(Ra<0.3μm)特性を具現したときに、より効果的であることができる。
【0051】
一方、前記化学式1で表されるアルキルスルホン化されたテトラゾール化合物は、下記化学式2で表されるテトラゾールを下記化学式3で表されるアルキルスルホンでアルキルスルホン化して、好適な大きさのアルキル基を導入することで、‐S‐基が接着力に必要なだけの電子を供与(donation)できる構造に設計されることができる。
[化2]
[化3]
【0052】
ここで、R
1およびnは、上述の通りである。
【0053】
一実施例によると、前記化学式1で表されるアルキルスルホン化されたテトラゾール化合物は、下記反応式1に示す方法によって製造されることができ、前記製造方法は、通常、溶媒存在下で行われる。前記化学式2で表されるテトラゾールと前記化学式3で表されるアルキルスルホンとの反応モル比は、化学量論的に1:0.5〜1.5であることができる。
[反応式1]
【0054】
ここで、R
1およびnは、上述の通りである。
【0055】
前記アルキルスルホン化テトラゾール化合物として、最終樹脂の接着力の面を考慮して、3‐(1‐メチル‐1H‐テトラゾール‐5‐イルチオ)プロパン‐1‐スルホン酸または3‐(1‐メチル‐1H‐テトラゾール‐5‐イルチオ)ブタン‐1‐スルホン酸などを用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0056】
一方、前記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカは、一例として、下記反応式2により製造されることができる。
【0057】
具体的に、シリカとナトリウムエトキシドを反応させた後、前記反応物と前記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物とを反応させる。
[反応式2]
【0058】
前記シリカの平均粒径は特に限定されるものではないが、近年、プリント回路基板のような電子製品の小型化の傾向により、0.05〜5μmであることができる。
【0059】
前記シリカとナトリウムエトキシドとの反応は、特に限定されるものではないが、反応効率と経済性を考慮して、前記シリカとナトリウムエトキシドとの混合比を1〜10:1の重量比で混合して20〜60℃の温度で行われることができる。前記反応物とアルキルスルホン化テトラゾール化合物との反応もまた特に限定されるものではないが、反応効率と経済性を考慮して、1〜10:1の重量比で混合して20〜40℃の温度で行われることができる。すなわち、前記アルキルスルホン化テトラゾール化合物の添加量が少ない場合には、シリカの表面改質が十分に行われないことがあり、添加量が多い場合には、精製時間が長くなることがある。
【0060】
前記樹脂組成物はまた、エポキシ樹脂と、アクリレート樹脂と、硬化剤と、をさらに含むことができる。
【0061】
前記エポキシ樹脂は、乾燥した後の樹脂組成物の接着フィルムとしての取扱性を高めるために添加されることができる。
【0062】
前記エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、リン系エポキシ樹脂およびこれらの組み合わせなどが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0063】
前記エポキシ樹脂の含有量は、前記樹脂組成物中に1〜60重量%、または10〜50重量%であることができる。前記含有量が1重量%未満の場合には、物理的、機械的、化学的物性低下を誘発することがあり、60重量%を超える場合には、アルカリ現像性能が低下してビアホール形成が困難となることがある。
【0064】
前記アクリレート樹脂として、EOまたはPO変性(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、3‐メチル‐1,5‐ペンタンジオールジアクリレート、2‐ブチル‐2‐エチル‐1,3‐プロパンジオールジアクリレート、1,9‐ノナンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2‐ヒドロキシプロピルメタクリレート、2‐ヒドロキシアクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート、2‐ヒドロキシブチルメタクリレート、フェニルグリシジルエステルアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールエポキシアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびこれらの組み合わせなどが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0065】
前記アクリレート樹脂の含有量は、前記樹脂組成物中に1〜20重量%、または1〜10重量%であることができる。前記含有量が1重量%未満の場合には、物理的、機械的、物性低下を誘発することがあり、20重量%を超える場合には、アルカリ現像性能が低下することがある。
【0066】
本発明に係る樹脂組成物は、工程効率のために選択的に硬化剤を含むことができる。
【0067】
前記硬化剤として、アミド系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノールノボラック型硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、第三級アミン硬化剤またはイミダゾール硬化剤、過酸化物硬化剤およびこれらの組み合わせなどが用いられることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0068】
前記硬化剤の含有量は、前記樹脂組成物中に0.1〜3重量%であることができる。前記含有量が0.1重量%未満の場合には、高温硬化がうまく行われなかったり硬化速度が下がることがあり、3重量%を超える場合には、硬化速度が速すぎて工程適用が困難となったり保存安定性が低下し、反応後に未反応硬化剤が存在するようになり、絶縁フィルムまたはプリプレグの吸湿率が高くなって電気的特性が低下することがある。
【0069】
本発明によると、上述した表面処理されたシリカのような無機充填剤以外に、他の無機充填剤をさらに含むことができ、前記無機充填剤の具体例としては、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレイ、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムなどを単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。特に、低い誘電正接を有するシリカが好ましい。
【0070】
なお、無機充填剤は、平均粒径が5μmを超える場合には、導体層に回路パターンを形成する際に微細パターンを安定的に形成することが困難であるため、平均粒径は5μm以下であることができる。また、無機充填剤は、耐湿性を向上させるため、シランカップリング剤などの表面処理制で表面処理されることができる。また、0.05〜2μmの直径を有するシリカが用いられることができる。
【0071】
本発明の樹脂組成物は、また硬化促進剤を選択的に含有させることで、効率よく硬化させることができる。本発明で用いられる硬化促進剤は、金属系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤などが挙げられ、これらを1種または2種以上組み合わせて当業界で用いられる通常の量で添加して用いることができる。
【0072】
前記金属系硬化促進剤としては、特に制限されるものではないが、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズなどの金属の有機金属錯体または有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトネート、コバルト(III)アセチルアセトネートなどの有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトネートなどの有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトネートなどの有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトネートなどの有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトネートなどの有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトネートなどの有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。金属系硬化促進剤としては、硬化性、溶剤溶解性の観点で、コバルト(II)アセチルアセトネート、コバルト(III)アセチルアセトネート、亜鉛(II)アセチルアセトネート、ナフテン酸亜鉛、鉄(III)アセチルアセトネートを用いることができ、特に、コバルト(II)アセチルアセトネート、ナフテン酸亜鉛を用いることができる。金属系硬化促進剤を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0073】
前記イミダゾール系硬化促進剤としては、特に制限されるものではないが、2‐メチルイミダゾール、2‐ウンデシルイミダゾール、2‐ヘプタデシルイミダゾール、1,2‐ジメチルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、1,2‐ジメチルイミダゾール、2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、2‐フェニルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチルイミダゾール、1‐ベンジル‐2‐メチルイミダゾール、1‐ベンジル‐2‐フェニルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐メチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐ウンデシルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐フェニルイミダゾール、1‐シアノエチル‐2‐ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1‐シアノエチル‐2‐フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4‐ジアミノ‐6‐[2'‐メチルイミダゾリル‐(1')]‐エチル‐s‐トリアジン、2,4‐ジアミノ‐6‐[2'‐ウンデシルイミダゾリル‐(1')]‐エチル‐s‐トリアジン、2,4‐ジアミノ‐6‐[2'‐エチル‐4'‐メチルイミダゾリル‐(1')]‐エチル‐s‐トリアジン、2,4‐ジアミノ‐6‐[2'‐メチルイミダゾリル‐(1')]‐エチル‐s‐トリアジンイソシアヌル酸付加物、2‐フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2‐フェニル‐4,5‐ジヒドロキシメチルイミダゾール、2‐フェニル‐4‐メチル‐5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3‐ジヒドロキシ‐1H‐ピロロ[1,2‐a]ベンゾイミダゾール、1‐ドデシル‐2‐メチル‐3‐ベンジルイミダゾリウムクロリド、2‐メチルイミダゾリン、2‐フェニルイミダゾリンなどのイミダゾール化合物およびイミダゾール化合物とエポキシ樹脂の付加物が挙げられる。イミダゾール硬化促進剤を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0074】
前記アミン系硬化促進剤としては、特に制限されるものではないが、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4‐ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6‐トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8‐ジアザビシクロ(5,4,0)‐ウンデセン(以下、DBUとする)などのアミン化合物などが挙げられる。アミン系硬化促進剤を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0075】
本発明に係る樹脂組成物は、有機溶媒の存在下で混合することができる。有機溶媒としては、本発明に用いられる樹脂およびその他の添加剤の溶解性および混和性を考慮して、2‐メトキシエタノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアセテート、ブチルアセテート、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、セロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール、キシレン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドが用いられることができるが、これに特に限定されるものではない。
上述の本発明の樹脂組成物は、アルカリ現像型ネガ型感光性樹脂組成物であって、前記化学式1で表されるアルキルスルホン化テトラゾール化合物で表面改質されたシリカを含むことで、以降、絶縁フィルムまたは基板の絶縁層として適用する際に耐熱特性および機械的特性を向上させ、金属との接着力を強固にする利点がある。
【0076】
[絶縁フィルム]
本発明に係る絶縁フィルムは、上述の樹脂組成物を含む。
【0077】
前記絶縁フィルムは、50ppm/℃以下の低い熱膨張係数(CTE)を有することができ、多層プリント回路基板の製造の際に絶縁層として用いられることができる。
【0078】
前記絶縁フィルムは、例えば、次のような方法で製造されることができるが、当業界に公知のものであれば特にこれに限定されるものではない。
一実施例によると、上述の樹脂組成物をロールコーター(Roll Coater)またはカーテンコーター(Curtain Coater)などを用いてフィルム状に作製してから乾燥させて用いることができる。また、溶媒キャスティング法などによって基材上に上述の樹脂組成物の溶液層を形成し、前記溶液層から溶媒を除去することで基材上にフィルムを製造することができる。前記基材としては、銅箔、アルミ箔、金箔、銀箔などの金属箔や、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどが挙げられる。
【0079】
他の実施例によると、上述の樹脂組成物を補強材に塗布または含浸した後、これを硬化してから乾燥して溶媒を除去することでプリプレグに作製して用いることができる。
【0080】
含浸方法の例としては、ディップコーティング法、ロールコーティング法などが挙げられる。
【0081】
補強材の例としては、ガラス繊維織物(glass cloth)、アルミナガラス繊維織物、ガラス繊維不織布、セルロース不織布、炭素繊維織物、高分子織物などが挙げられる。また、ガラス繊維、シリカガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、石綿、岩綿、鉱物綿、石膏ホイスカー、これらの織布または不織布、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、液晶ポリエステル、ポリエステル繊維、フッ素繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維、ポリアミド繊維を有するガラス繊維、炭素繊維を有するガラス繊維、ポリイミド繊維を有するガラス繊維、芳香族ポリエステルを有するガラス繊維、ガラスペーパー、マイカペーパー、アルミナペーパー、クラフトペーパー、コットンペーパー、ペーパー‐ガラス結合されたペーパーなどが挙げられる。これらは、一つ以上が混合して用いられることができる。
【0082】
この際、前記ガラス繊維の場合、5〜200μmの厚さを有することができる。
【0083】
また、前記樹脂組成物は、前記補強材1重量部に対して約0.4〜約3重量部で含浸されることができる。前記範囲内に含浸される場合、2個以上のプリプレグを使用する際にプリプレグ間の密着性に優れ、プリプレグの機械的強度および寸法安定性に優れるという利点がある。
【0084】
前記硬化は、約150〜約350℃の温度で行われることができ、前記のように低温でも熱処理が可能であり、プリント回路基板への適用が可能である。
前記プリプレグは、銅と結合されることができる。すなわち、本発明の樹脂組成物を前記補強剤に含浸した後、半硬化状態の熱処理工程を行って製造されたプリプレグを銅箔上に位置させた後、熱処理を行う方法によって製造されることができる。溶媒を除去して熱処理を行う際に、銅とプリプレグが結合した部材(member)が製造される。溶媒を蒸発させるために減圧下で加熱するか、換気などの方法を用いることができる。塗布方法の例としては、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、スリットコーティング法、スクリーンプリンティング法などが挙げられる。
【0085】
前記のように上述の樹脂組成物を含む絶縁フィルムは、耐熱特性および機械的特性に優れ、露光および現像工程によりビアホール形成が可能であり、また金属との接着力に優れる。
【0086】
[プリント回路基板]
本発明に係るプリント回路基板は、上述した樹脂組成物を含む絶縁層を有する。
【0087】
一実施例によると、前記絶縁層として上述した絶縁フィルム自体がプリント回路基板の製造の際に基板上に適用されることができる。
【0088】
他の実施例によると、基板上に上述の樹脂組成物を直接コーティングして絶縁層を形成することができる。前記コーティング方法としては、当業界に公知のものであれば特に限定されない。
【0089】
前記基板は、通常、一つ以上の回路層を備えたプリント回路基板であることができる。
【0090】
本発明に係る樹脂組成物を含む絶縁層を有するプリント回路基板は、接着特性、耐熱特性および機械的特性などを維持することで優れた信頼性を有し、露光および現像工程によりビアホールを形成することができるという利点がある。
【0091】
[プリント回路基板の製造方法]
図1から
図4は本発明の一実施例によるプリント回路基板の製造方法を説明するために概略的に示す断面図である。
【0092】
以下、
図1から
図4を参照して本発明の一実施によるプリント回路基板の製造方法について説明する。
【0093】
まず、
図1を参照すると、基板100を準備する。
【0094】
前記基板100は、誘電体層に1層以上の回路が形成された回路基板であって、プリント回路基板であることができる。本図面では、説明の便宜上、具体的な内層回路構成は省略して示しているが、当業者であれば、前記基板100として誘電体層に1層以上の回路が形成された通常の回路基板が適用されることができることを十分に認識することができるであろう。
【0095】
前記誘電体層としては樹脂絶縁層が用いられることができる。前記樹脂絶縁層としては、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーのような補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグが用いられることができ、また、熱硬化性樹脂および/または光硬化性樹脂などが用いられることができる。また、前記誘電体層としては、上述した絶縁フィルムが適用されることができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0096】
前記回路は、回路基板分野において回路用伝導性金属として用いられるものであれば、制限されずに適用することができ、プリント回路基板では銅を用いることが一般的である。
【0097】
次に、
図2を参照すると、上述の樹脂組成物を基板100上に積層して絶縁層200を形成する。
【0098】
一実施例によると、前記絶縁層200は、上述の樹脂組成物を基板上に直接コーティングして形成されることができる。
【0099】
他の実施例によると、前記絶縁層200は、前記樹脂組成物を含む絶縁フィルムを基板上に積層して形成されることができる。
【0100】
具体的に、前記絶縁フィルムは、上述したように、上述の樹脂組成物をロールコーターまたはカーテンコーターなどを用いてフィルム状に作製した後、乾燥させて用いるか、または溶媒キャスティング法などによって基材上に上述の樹脂組成物の溶液層を形成し、前記溶液層から溶媒を除去することで基材上にフィルムを製造して用いるか、または、上述の樹脂組成物を補強材に塗布または含浸した後、これを硬化してから乾燥して溶媒を除去することでプリプレグで製造して用いることができる。含浸方法の例としては、ディップコーティング法、ロールコーティング法などが挙げられる。プリプレグに関する詳細な内容は、前記絶縁フィルムについて詳述した通りである。
【0101】
次に、
図3を参照すると、マスク300を用いた露光工程により前記絶縁層200の所定の領域を露光する。
【0102】
この際、本発明の一実施例によると、前記露光工程のUV波長は特に制限されるものではないが、350〜450nmであることができる。
【0103】
次に、
図4を参照すると、現像工程により前記絶縁層200をパターニングして、パターニングした絶縁層210とビアホール400を形成する。
【0104】
前記現像工程は、アルカリ現像液を用いて行われることができる。
【0105】
前記アルカリ現像液としては、ナトリウムヒドロキシド、カリウムヒドロキシド、ナトリウムカーボネート、ナトリウムシリケート、ナトリウムメタシリケートなどの無機アルカリ性水溶液類、エチルアミン、n‐プロピルアミンなどの第1級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどの第2級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第3級アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなど第4級アンモニウム塩、ピロールおよびピペリジンなど環状アミン類などが用いられることができる。
【0106】
一方、前記現像工程は、現像液を基板にスプレー噴射する方法、現像液に基板を浸漬した後、振とう(shaking)する方法、または現像液に基板を浸漬して超音波処理する方法で行われることができるが、当業界に公知のものであれば特にこれに限定されない。
【0107】
前記ビアホール400は、前記絶縁層200でマスク300によってマスキング(masking)されて露光されていない部位が現像工程で除去されてなることができる。
【0108】
さらに、前記現像した基板を乾燥し、熱処理して、後硬化する段階を含むことができる。乾燥により現像した基板に残留された溶媒を除去し、高温で後硬化させて絶縁層の硬化密度を高めることができる。
【0109】
一方、図示されていないが、当業界に公知の通常の回路層の形成方法によって前記ビアホールを形成した後、前記パターニングされた絶縁層にビアを含む回路層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0110】
上述した本発明に係るプリント回路基板の製造方法は、露光および現像工程によりビアホールを形成することができ、従来の技術に比べて工程が簡単で、コストダウンを図ることができる利点がある。
【0111】
以下、実施例により本発明についてより具体的に説明するが、下記例に本発明の範疇が限定されるものではない。
【0112】
製造例1
[3‐(1‐メチル‐1H‐テトラゾール‐5‐イルチオ)プロパン‐1‐スルホン酸の合成]
【0113】
反応溶媒としてアセトニトリル90g、5‐メルカプト‐1‐メチルテトラゾール20g(0.172mol)と1,3‐プロパンスルトン21g(0.172mol)をそれぞれ秤量して還流コンデンサ(reflux condenser)が設けられた250mlの一口フラスコに入れて、窒素雰囲気下で約80℃で還流させる。TLC(展開溶媒クロロホルム:メタノール=10:1)分析で反応終了時点を決定して反応を終了させた後、セライト(Celite)545を用いて反応物をろ過し、ろ液を減圧濃縮してシリカカラムクロマトグラフィー法で3‐(1‐メチル‐1H‐テトラゾール‐5‐イルチオ)プロパン‐1‐スルホン酸を取得した。合成収率は68%であり、融点(DSC)は98℃であった。
【0114】
1H‐NMR(CDCl3,δ) 3.63(s,3H,tetrazole‐CH
3), 3.40(t,2H,‐S‐CH
2CH
2CH
2‐SO
3‐)2.95(t,2H,‐S‐CH
2CH
2CH
3‐SO
3‐), 2.20(m,2H,‐S‐CH
2CH
2CH
3‐SO
3‐)
【0115】
製造例2
[表面処理されたシリカの製造]
UFP30(Denka社製)溶融(fused)シリカを120℃の乾燥器(dry oven)で3時間以上乾燥した後、デジケーター内で常温まで冷却させてシリカに吸着された水分を除去する。水分が除去されたシリカ50gとジクロロメタン500gを1リットルのフラスコに入れて超音波振動を用いてシリカを均一に分散させる。これにナトリウムエトキシド(sodium ethoxide)10gを投入した後、40℃の温度で2時間攪拌した後、フィルターペーパーを用いてシリカ粉末をろ過する。ろ過したシリカ粉末にジクロロメタン200g、製造例1で得た3‐(1‐メチル‐1H‐テトラゾール‐5‐イルチオ)プロパン‐1‐スルホン酸10gを投入した後、5時間常温で攪拌してから分別漏斗を移して、蒸留水200gを投入して反応生成物である水酸化ナトリウムを抽出する。さらに、抽出を2回行った後、遠心分離機を用いて3000rpmで10分間遠心分離してシリカとジクロロメタンを分離した後、80℃の乾燥器で乾燥して35gの表面処理されたシリカを得た。このように得られたシリカを分光分析した結果、下記のようにスルホン基の存在を確認した。
【0116】
IR (KBr) (ν, cm
−1); 1350, 1170 (Si‐SO
3−‐R), 715 (R‐S‐R), 1480, 1350, 1300, 1050 (tetrazole ring)
【0117】
実施例1
クレゾールノボラック型の酸変性エポキシアクリレート樹脂「CCR‐1171H」(Nippon Kayaku社製)92gとDisper BYK‐110(BYK社製)4.5gを115gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解した後、製造例2で製造された表面改質されたシリカ81.6gを投入した後、ホモミキサー(homo‐mixer)を用いて2000rpmで30分間事前分酸した後、ビズミルを用いて1時間分散した。前記分散組成物にビスフェノールA型のエポキシ樹脂「YD‐011」(国都化学社製)26g、硬化剤として2‐エチル‐4‐メチルイミダゾール0.2g、アクリル樹脂「Kayarad DPHA」(Nippon Kayaku社製)7.6g、光開始剤「Irgacure819」(BASF社製)1.8g、光開始剤「Irgacure184D」(BASF社製)1gを溶解させて樹脂ワニスを製造した後、樹脂ワニスを、バーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂厚さが約30μmになるように約10分間乾燥して絶縁フィルムを得た。
【0118】
実施例2
前記実施例1におけるクレゾールノボラック型の酸変性エポキシアクリレート樹脂の代りに、ビフェニル型酸変性エポキシアクリレート樹脂である「ZCR‐1642H」(Nippon Kayaku社製)を用いて実施例1と同様にして樹脂ワニスを製造した後、バーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂厚さが約30μmになるように約10分間乾燥して絶縁フィルムを得た。
【0119】
実施例3
前記実施例1におけるクレゾールノボラック型の酸変性エポキシアクリレート樹脂の代りに、ビスフェノールA型酸変性エポキシアクリレート樹脂である「ZAR‐1494H」(Nippon Kayaku社製)を用いて実施例1と同様にして樹脂ワニスを製造した後、バーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂厚さが約30μmになるように約10分間乾燥して絶縁フィルムを得た。
【0120】
実施例4
前記実施例1におけるクレゾールノボラック型の酸変性エポキシアクリレート樹脂の代りに、ビスフェノールF型酸変性エポキシアクリレート樹脂である「ZFR‐1491H」(Nippon Kayaku社製)を用いて実施例1と同様にして樹脂ワニスを製造した後、バーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂厚さが約30μmになるように約10分間乾燥して絶縁フィルムを得た。
【0121】
実施例5
前記実施例1におけるクレゾールノボラック型の酸変性エポキシアクリレート樹脂の代りに、フェノールノボラック型酸変性エポキシアクリレート樹脂である「PCR‐1222H」(Nippon Kayaku社製)を用いて実施例1と同様にして樹脂ワニスを製造した後、バーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂厚さが約30μmになるように約10分間乾燥して絶縁フィルムを得た。
【0122】
実施例6
前記実施例1におけるクレゾールノボラック型の酸変性エポキシアクリレート樹脂の代りに、トリフェノールメタン型酸変性エポキシアクリレート樹脂である「TCR‐1348H」(Nippon Kayaku社製)を用いて実施例1と同様にして樹脂ワニスを製造した後、バーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂厚さが約30μmになるように約10分間乾燥して絶縁フィルムを得た。
【0123】
実施例7
前記実施例1におけるクレゾールノボラック型の酸変性エポキシアクリレート樹脂の代りに、ウレタンアクリル系酸変性エポキシアクリレート樹脂である「UXE‐3002」(Nippon Kayaku社製)を用いて実施例1と同様にして樹脂ワニスを製造した後、バーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂厚さが約30μmになるように約10分間乾燥して絶縁フィルムを得た。
【0124】
比較例1
前記実施例1における表面改質されたシリカの代りに、球状シリカスラリー(平均粒径:0.3μm、65%、溶媒MEK)を用いて実施例1と同様にして樹脂ワニスを製造した後、バーコータを用いて厚さ約38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、乾燥後の樹脂厚さが約30μmになるように約10分間乾燥して絶縁フィルムを得た。
【0125】
実施例8
[絶縁フィルムのラミネート]
前記実施例および比較例1で得られた絶縁フィルムを、表面粗さ処理された内層回路基板(導体厚さ18μm、0.8mmの厚さ)の端面にMEIKI Co.,Ltd.社製の真空加圧式ラミネートを用いて約80℃で20秒間真空吸込した後、約80℃、圧力約7.5kg/cm
2の条件下で、約20秒間プレスすることでラミネートした。
【0126】
実施例9
[ビアホールの形成]
前記実施例8でラミネートした絶縁フィルムを、Midas社製のMask Aligner「MDA12000」露光装置を用いて最適露光量でビアホールパターンを露光し、25℃、2.38%のTMAH水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件下で20秒間現像してビアホールパターンを得た後、UVコンベアで積算露光量1500mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、180℃で60分間硬化してビアホールが加工されたプリント回路基板を得た。
【0127】
特に、実施例1で得られた絶縁フィルムから得られたプリント回路基板のビアホールパターン形状のSEM写真を
図5および
図6に示す。
【0128】
実験例1
[絶縁フィルムの接着強度評価]
前記実施例8でラミネートされた絶縁フィルムからPET保護フィルムを剥離し、UVコンベアで積算露光量1500mJ/cm
2の条件で紫外線照射した後、180℃で60分間硬化して内層回路基板断面に絶縁層が形成された積層板を得た。得られた積層板を過マンガン酸液で粗化処理して表面粗さを形成した。粗化処理条件は、膨潤処理液(Atotech Japan(株)社製、スウェリング・ディップ・セキュリガンスP(Swelling Dip Securiganth P)に約60℃で約10分間浸漬し、次に、酸化処理液(Atotech Japan(株)社製、コンセントレート・コンパクトCPとドージングソリューション・セキュリガンスPの混合液)に約80℃で約20分間浸漬した。その後、還元処理液(Atotech Japan(株)社製、リダクション・ソリューション・セキュリガンスP500(Reduction solution Securiganth P500)に約40℃で約5分浸漬した。粗化処理された積層板の絶縁層表面にパラジウム触媒を付与した後、酒石酸塩含有のAtotech Japan(株)社製、プリントガントMSK‐DKを用いて無電解めっきを行った後、硫酸銅を用いて銅厚さが約20μmになるように電解めっきを行った。電解めっきが完了した試片は約170℃で約50分間最終硬化した。
【0129】
電解めっきで形成された導体層を幅10mm、長さ100mmになるようにカットした後、Zwick社製のZ050UTM(Universal testing machine)を用いて50.8mm/minの速度で30mm長さの接着強度を評価した。その結果を下記表1に記載した。
【表1】
【0130】
前記表1から分かるように、本発明に係る絶縁フィルム(実施例1‐7)が通常の絶縁フィルム(比較例1)より著しく優れた接着強度を示す効果がある。
【0131】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0132】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。