特開2015-3695(P2015-3695A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-3695(P2015-3695A)
(43)【公開日】2015年1月8日
(54)【発明の名称】クローラクレーン
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/03 20060101AFI20141205BHJP
   B66C 23/44 20060101ALI20141205BHJP
【FI】
   B60K15/02 H
   B66C23/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-131621(P2013-131621)
(22)【出願日】2013年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】村手 徳夫
(72)【発明者】
【氏名】那須 英彰
【テーマコード(参考)】
3D038
3F205
【Fターム(参考)】
3D038CA12
3D038CB09
3D038CC12
3D038CC14
3D038CC15
3D038CD09
3F205AA07
3F205CA01
3F205JA02
3F205KA10
(57)【要約】
【課題】上部旋回体を大型化させたり、作業性に影響を与えたりしないようにして補助燃料タンクを設置したクローラクレーンを提供する。
【解決手段】クローラを備えた下部走行体12の上部に、上部旋回体15を旋回可能に設けるとともに、該上部旋回体の前面両側部に設けた一対のブーム支持ブラケット16にラチスブーム17の下端部を回動可能に軸着したクローラクレーンにおいて、前記上部旋回体の前面で、前記一対のブーム支持ブラケットの間に、補助燃料タンク支持部材19,19を設け、該補助燃料タンク支持部材で補助燃料タンク21を支持し、上部旋回体に標準で設けられている主燃料タンク18の下部と補助燃料タンクの下部とを連通管26で連通させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラを備えた下部走行体の上部に、上部旋回体を旋回可能に設けるとともに、該上部旋回体の前面に設けた左右一対のブーム支持ブラケットにラチスブームの基端部を回動可能に軸着したクローラクレーンにおいて、前記一対のブーム支持ブラケットの間の上部旋回体の前面に補助燃料タンク支持部材を設け、該補助燃料タンク支持部材で補助燃料タンクを支持し、上部旋回体に標準で設けられている主燃料タンクの下部と前記補助燃料タンクの下部とを連通管で連通させたことを特徴とするクローラクレーン。
【請求項2】
前記補助燃料タンクは、前記主燃料タンクと同じ形状の燃料タンクが用いられていることを特徴とする請求項1記載のクローラクレーン。
【請求項3】
前記補助燃料タンクの上面及び底面は、前記主燃料タンクの上面及び底面と同一高さに設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のクローラクレーン。
【請求項4】
前記補助燃料タンクは、空気抜き機能を有するキャップを着脱可能に装着した給油口を上部に備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のクローラクレーン。
【請求項5】
前記補助燃料タンクは、着脱可能な蓋材を有するタンク収容箱内に収容された状態で前記補助燃料タンク支持部材に支持されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のクローラクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラクレーンに関し、詳しくは、クローラによって走行する下部走行体の上部に、ラチスブームを備えた上部旋回体を旋回可能に設けた大型のクローラクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
走行用のクローラを備えた下部走行体の上部に、上部旋回体を旋回可能に設けた建設機械として、上部旋回体に設けられている標準の燃料タンクに加えて補助燃料タンクを設置可能とし、長時間運転に対応可能とした油圧ショベルが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−42994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の補助燃料タンクは、修理工具や給脂機器等を収納する収納ボックス内に配置するようにしていることから、収納ボックスが大型化したり、上部旋回体が大型化したりする虞がある。特に、大型のクローラクレーンでは、容量の大きな補助燃料タンクが必要になるだけでなく、運搬時の寸法規制により、上部旋回体の全高や全幅に限度があるため、上部旋回体の上部や側部に補助燃料タンクを設けることができなかった。また、補助燃料タンクの設置場所によっては、作業時の視界の妨げになったり、ラジエータの通風性に影響を与えたりするなどの問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上部旋回体を大型化させたり、作業性に影響を与えたりしないようにした補助燃料タンクを設置したクローラクレーン、特に、下部走行体と上部旋回体とに分解して運搬するような大型のクローラクレーンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のクローラクレーンは、クローラを備えた下部走行体の上部に、上部旋回体を旋回可能に設けるとともに、該上部旋回体の前面に設けた左右一対のブーム支持ブラケットにラチスブームの基端部を回動可能に軸着したクローラクレーンにおいて、前記一対のブーム支持ブラケットの間の上部旋回体の前面に補助燃料タンク支持部材を設け、該補助燃料タンク支持部材で補助燃料タンクを支持し、上部旋回体に標準で設けられている主燃料タンクの下部と前記補助燃料タンクの下部とを連通管で連通させたことを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明のクローラクレーンは、前記補助燃料タンクが前記主燃料タンクと同じ形状の燃料タンクを用いていること、前記補助燃料タンクの上面及び底面が前記主燃料タンクの上面及び底面と同一高さに設定されていること、前記補助燃料タンクが空気抜き機能を有するキャップを着脱可能に装着した給油口を上部に備えていること、前記補助燃料タンクが着脱可能な蓋材を有するタンク収容箱内に収容された状態で前記補助燃料タンク支持部材に支持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のクローラクレーンによれば、上部旋回体の前面に設けられている左右一対のブーム支持ブラケットの間に補助燃料タンクを追加するようにしたので、上部旋回体を大型化させたり、作業性に影響を与えたりすることはない。特に、下部走行体から上部旋回体を分離して運搬するような大型のクローラクレーンで、容量の大きな補助燃料タンクを追加する場合も、運搬に影響を与えたり、作業時の視界の妨げになったりすることがない。
【0009】
さらに、主燃料タンクと補助燃料タンクとを同じ形状の燃料タンクとすることにより、燃料タンクの共通化を図ることでき、補助燃料タンクを追加する際のコストアップを抑えることができる。また、主燃料タンク及び補助燃料タンクの上面及び底面を同一高さにすることにより、上部の連通管を省略でき、さらに、空気抜き機能を有するキャップを着脱可能に装着した給油口を補助燃料タンクの上部に設けることにより、給油性の向上や給油時間の短縮を図ることができる。さらに、タンク収容箱内に補助燃料タンクを収容することにより、補助燃料タンクを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態例を示すクローラクレーンの要部平面図である。
図2】同じくクローラクレーンの要部正面図である。
図3】同じくクローラクレーンの要部側面図である。
図4図1のIV−IV断面図である。
図5】本発明の一形態例を示すクローラクレーンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図5は、本発明のクローラクレーンの一形態例を示すもので、このクローラクレーン11は、走行用のクローラ12aを備えた下部走行体12の上部に、運転室13やエンジン室14などを備えた上部旋回体15を旋回可能に設けるとともに、上部旋回体15の運転室13とエンジン室14との間に位置する車体中央部前面の両側に、左右一対のブーム支持ブラケット16,16を介してラチスブーム17を起伏可能に設けている。また、上部旋回体15の車体左側に位置するエンジン室14の前方位置には、昇降用ステップ15aが設けられ、該昇降用ステップ15aの下部に、エンジン用燃料を貯留する標準装備の主燃料タンク18やラジエータ(図示せず)が収容されている。さらに、上部旋回体15の前面で、前記左右のブーム支持ブラケット16,16の間には、一対の補助燃料タンク支持部材19,19が設けられ、該補助燃料タンク支持部材19,19に、タンク収容ボックス20に収容された状態の補助燃料タンク21が支持されている。
【0012】
前記ラチスブーム17は、前記ブーム支持ブラケット16,16を介して上部旋回体15に連結されるロアブーム17aと、該ロアブーム17aの先端に連結されるミドルブーム17bと、該ミドルブーム17bの先端に連結されるアッパーブーム17cとで構成された周知のラチスブームであって、図示しない起伏ウインチから巻き出される起伏ロープ22と、アッパーブーム17cの先端に連結されたペンダントロープ23とによって起伏自在に支持されている。
【0013】
ロアブーム17aの基端部には、左右に二股状に分かれた左右一対の連結基部24,24が形成されており、各連結器部24,24の基端には、前記ブーム支持ブラケット16,16にそれぞれ回動可能に連結される連結部材25,25が設けられている。すなわち、ロアブーム17aの基端部の形状は、幅方向寸法は変化させずに、上下方向寸法が連結部材25,25に向かって次第に収束する形状に形成され、左右の連結基部24,24と、ブーム下端に位置する横フレーム24a及び左右一対の斜めフレーム24b,24bとの間には、前記タンク収容ボックス20より大きな空間が存在している。
【0014】
主燃料タンク18及び補助燃料タンク21は、上部一側に、空気抜き機能を有するキャップ18a,21aが装着される給油口18b,21bをそれぞれ備えた周知の直方体状のタンクであって、主燃料タンク18とエンジンとは、供給側及び戻り側の一対の燃料パイプ(図示せず)で接続されている。補助燃料タンク21は、燃料パイプを接続していない点を除いて主燃料タンク18と同じ形状及び構造のものであって、主燃料タンク18の下部と補助燃料タンク21の下部とは、連通管26にて接続されている。
【0015】
主燃料タンク18及び補助燃料タンク21に用いるタンクの容量は、一般的に、クローラクレーン11の朝から夕方までの稼働時間に見合う燃料消費量に設定されており、主燃料タンク18のみで一般的な稼働時間に対応できるように設定されている。したがって、同一の補助燃料タンク21を追加することにより、一般的な稼働時間の2倍以上の無給油運転が可能となる。
【0016】
補助燃料タンク21を支持する補助燃料タンク支持部材19は、上部旋回体15の前面に沿って溶接などの固着手段で固着される鉛直方向の取付板部19aと、該取付板部19aの下端から前方に向かって水平方向に突出した支持板部19bとを有するL字状の部材で形成されている。支持板部19bの上には、補助燃料タンク21を収容可能な大きさを有する前記タンク収容ボックス20が取り付けられており、補助燃料タンク21は、底面及び上面が主燃料タンク18の底面及び上面と同じ高さになるようにしてタンク収容ボックス20内に収容された状態で、補助燃料タンク支持部材19を介して上部旋回体15に装着される。また、タンク収容ボックス20の上部開口は、開閉可能な蓋材20aで覆われる。
【0017】
このように、ラチスブーム17を備えたクローラクレーン11において、ロアブーム17aの基端部に存在する空間を利用して上部旋回体15の前面に補助燃料タンク21を取り付けることにより、上部旋回体15の上部に補助燃料タンクを設けた場合に比べて、作業時の視界を妨げたり、ラジエータの通風性に影響を与えたりすることなく、特に、大型のクローラクレーンの場合でも、補助燃料タンク21の追加で上部旋回体15の全高が大きくならないので、上部旋回体15の運搬も通常通り行うことができる。
【0018】
また、主燃料タンク18と補助燃料タンク21とに同じ形状のタンクを使用することにより、燃料タンクの共通化を図ることができる。さらに、補助燃料タンク21の追加は、上部旋回体15の前面に補助燃料タンク支持部材19を固着し、タンク収容ボックス20に収容した補助燃料タンク21を補助燃料タンク支持部材19にて支持するとともに、両タンクの下部を連通管26で接続するだけで行うことができるので、上部旋回体15に大きな改造を加える必要もなく、標準構成のクローラクレーンに補助燃料タンク21を容易に追加することができ、補助燃料タンク21を追加する際のコストアップを最小限に抑えることができ、標準構成のクローラクレーンと同じ作業性を維持しながら長時間の連続運転が可能となる。
【0019】
さらに、主燃料タンク18及び補助燃料タンク21の上面同士、底面同士が同じ高さになるように両燃料タンク18,21を配置し、両燃料タンク18,21の下部を連通管26で接続するとともに、給油口18b,21bに空気抜き機能を有するキャップ18a,21aをそれぞれ装着することにより、主燃料タンク18及び補助燃料タンク21への給油を、給油口18b,21bのいずれか一方からでも、両方の給油口18b,21bから同時にでも任意に行うことができ、給油設備に合わせて対応することができ、給油時間の短縮を図ることもできる。また、タンク収容ボックス20に補助燃料タンク21を収容することにより、補助燃料タンク21を保護することができる。
【0020】
なお、前記形態例では、補助燃料タンクを主燃料タンクと同じものを使用した例を挙げて説明したが、ロアブームの連結基部に存在する空間の大きさに応じて適宜な大きさの燃料タンクを補助燃料タンクとして使用することも可能であり、底面の高さが異なっていても差し支えない。また、タンクの上部も連通管で接続することができる。さらに、補助燃料タンクの支持構造は、補助燃料タンクの形状や重量に応じて適宜最適な構造を採用することができる。
【符号の説明】
【0021】
11…クローラクレーン、12…下部走行体、12a…クローラ、13…運転室、14…エンジン室、15…上部旋回体、15a…昇降用ステップ、16…ブーム支持ブラケット、17…ラチスブーム、17a…ロアブーム、17b…ミドルブーム、17c…アッパーブーム、18…主燃料タンク、18a…キャップ、18b…給油口、19…補助燃料タンク支持部材、19a…取付板部、19b…支持板部、20…タンク収容ボックス、20a…蓋材、21…補助燃料タンク、21a…キャップ、21b…給油口、22…起伏ロープ、23…ペンダントロープ、24…連結基部、24a…横フレーム、24b…斜めフレーム、25…連結部材、26…連通管
図1
図2
図3
図4
図5