【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図9は、特許文献1によるジャックの斜視図であり、J字型のコンタクトをハウジングに挿入する前の状態図である。
図10は、特許文献1によるジャックの斜視図であり、中空柱形状のコンタクトをハウジングに挿入する前の状態図である。
図11は、特許文献1によるジャックの斜視図であり、中空柱形状のコンタクトをハウジングに挿入した状態図である。
図12は、特許文献1によるジャックの斜視図であり、中空柱形状のコンタクトに圧入ピンを圧入する前の状態図である。なお、本願の
図9から
図12は、特許文献1の
図1から
図4に相当している。
【0007】
図13は、特許文献1によるジャックの斜視図であり、ハウジングにカバーを係合する前の状態図である。
図14は、特許文献1によるジャックの斜視図であり、カバー側からジャックを観ている。
図15は、特許文献1によるジャックの斜視図であり、プラグの挿入側からジャックを観ている。なお、本願の
図13から
図15は、特許文献1の
図5から
図7に相当している。
【0008】
図16は、特許文献1によるジャックに備わるJ字型のコンタクトの斜視図である。
図17は、特許文献1によるジャックの縦断面図であり、
図17(A)は、中空柱形状のコンタクトに圧入ピンを圧入する前の状態図、
図17(B)は、中空柱形状のコンタクトに圧入ピンを圧入した状態図、
図17(C)は、ジャックにプラグを接続した状態図である。なお、本願の
図16は、特許文献1の
図10に相当し、本願の
図17は、特許文献1の
図16に相当している。
【0009】
図9を参照すると、特許文献1によるジャック9は、J字型のコンタクト9jをハウジング9hの背面側から組み込むことができる。コンタクト9jは、電線9wの端末を圧着している。
図10を参照すると、ジャック9は、中空柱形状のコンタクト9pをハウジング9hの背面側から組み込むことができる。コンタクト9pは、電線9wの端末を圧着している。
【0010】
図11を参照すると、コンタクト9pは、その圧着部を屈曲して、電線9wをハウジング9hの背面に沿わすことができる(
図12参照)。
図12を参照すると、コンタクト9pには、その円筒部に圧入ピン91pを背面側から圧入できる。
図13を参照すると、ハウジング9hは、その背面をカバー9cでスライド可能に覆うことができる(
図14参照)。
【0011】
図15を参照すると、ハウジング9hは、その正面に円形開口93を形成している。円形開口93には、プラグ90pを挿入できる(
図17(C)参照)。円形開口93は、第1コンタクト収容室93hに連通している(
図17(A)参照)。第1コンタクト収容室93hには、コンタクト9pの円筒部を収容している(
図17(A)参照)。
【0012】
図16を参照すると、コンタクト9jは、矩形の背面板91j、一対のガイド板92j・92j、及びベローズ状の接触片93jで構成している。背面板91jは、基端部の一部が電線9wを圧着している。一対のガイド板92j・92jは、背面板91jの両側面が略直角に折り曲げられて形成されている。接触片93jは、背面板91jの先端部からJ字状に反転している(
図17(B)参照)。
【0013】
図17(B)を参照すると、コンタクト9jは、第1コンタクト収容室93hに連通した第2コンタクト収容室94hに収容されている。接触片93jは、コンタクト9pの円筒部と所定の間隙を設けて、円筒部と対向配置している。
【0014】
図17(C)を参照して、第1コンタクト収容室93hにプラグ90pを挿入すると、プラグ90pに設けた内筒端子(図示せず)をコンタクト9pに接触でき、プラグ90pに設けた外筒端子(図示せず)を接触片93jに接触できる。これにより、ジャック9とプラグ90pを電気的に接続できる。
【0015】
しかしながら、図示したジャック9を取り付けるノート型パソコンなどは、その筐体の一層の薄型化が進行している。この薄型化に伴って、ジャックもその実装高さを低くすること、いわゆる低背化が要求されている。
図16又は
図17(B)を参照して、接触片93jの幅を狭くして、ジャックを低背化することは容易であるが、プラグ90pへの接触圧力が不足するという問題がある。
【0016】
又、
図10又は
図17を参照して、中空柱形状のコンタクト9pを中実の細軸状コンタクトに変えて、ジャックを低背化することは容易であるが、プラグ90pに設けた内筒端子に細軸状コンタクトが確実に接触できないという問題がある。
【0017】
更に、従来技術によるジャック9は、プラグ90pに設けた内筒端子がプラグ90pに設けた外筒端子がコンタクト9jに接触する前に、プラグ90pに設けた内筒端子がコンタクト9pに接触するという問題がある。プラス側端子となる内筒端子が一方のコンタクトに接触するより先に、グラウンド端子となる外筒端子が他方のコンタクトに接触するジャックが求められている。
【0018】
又、ノート型パソコンなどは、その筐体の薄型化と並行して、定格電流を増加させている。この場合、AC電源用のジャックは、コンタクトの定格電流を増加させることが求められている。
【0019】
コンタクトの定格電流の増加に対応するため、ベローズ形コンタクトの板厚を厚くして、コンタクトの抵抗値を減らすことが考えられる。しかし、ベローズ形コンタクトは、その曲げ荷重が板厚の略3乗に比例するので、接点の接触圧力を増加できるが、繰り返し荷重に対して、破損に至るまでの寿命を短くするという問題がある。
【0020】
コンタクトの定格電流の増加に対応するため、コンタクトの接点に金メッキを施すことで、コンタクトの接触抵抗を減少させることが考えられるが、金メッキは高価であるという問題がある。携帯型電子機器の薄型化及びコンタクトの定格電流の増加に対応するため、小型でありコンタクトの定格電流を増加できるジャックが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0021】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、内筒端子に細軸状コンタクトが確実に接触でき、グラウンド側のコンタクトをプラス側のコンタクトより先に接触させる小型のジャックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、外筒端子の先端部をその外周の一方の側面側から押圧する第1接点と、外筒端子の基端部をその外周の他方の側面側から当接する第2接点を有するように、グラウンド側のコンタクトを構成し、プラグをプラグ収容室に挿入すると、第2接点を支点として、第1接点がプラグを押圧して、プラグを僅かに傾動させるので、グラウンド側のコンタクトを内筒端子に確実に接触できることを見出し、これに基づいて、以下のような新たなジャックを発明するに至った。
【0023】
(1) 先端面が開口された内筒端子、この内筒端子の外周を覆う絶縁筒、及び、この絶縁筒の外周を囲う外筒端子で構成したプラグと接続するジャックであって、前記プラグが挿入されるプラグ挿入口を一方の面に開口し、当該プラグを受容するプラグ収容室を内部に有する略直方体のハウジングと、前記ハウジングの内部に配置され、前記内筒端子に接続する第1コンタクトと、前記ハウジングの内部に配置され、前記外筒端子に接続する第2コンタクトと、を備え、前記第1コンタクトは、当該第1コンタクトの基端部に配置され、第1電線の端末を接続する第1タブ部と、前記プラグ収容室に収容されると共に、先端部が前記プラグ挿入口の中央部に向かって延び、前記内筒端子に挿入される細軸状の第1コンタクト部と、を有し、前記第2コンタクトは、当該第2コンタクトの基端部に配置され、第2電線の端末を接続する第2タブ部と、前記第1コンタクト部と対向配置され、前記外筒端子に接触する帯板状の弾性屈曲片を設けた第2コンタクト部と、を有し、前記弾性屈曲片は、前記外筒端子の先端部をその外周の一方の側面側から押圧する第1接点を頂上部に有し、前記第2コンタクト部は、前記プラグ挿入口の近傍に配置され、前記外筒端子の基端部をその外周の他方の側面側から当接する第2接点を有し、前記プラグを前記プラグ収容室に挿入すると、前記第2接点を支点として、前記第1接点が当該プラグを押圧して、当該プラグを僅かに傾動させるジャック。
【0024】
(1)の発明によるジャックは、内筒端子、絶縁筒、及び外筒端子で構成したプラグと接続できる。内筒端子は、その先端面を開口している。絶縁筒は、内筒端子の外周を覆っている。外筒端子は、絶縁筒の外周を囲っている。
【0025】
(1)の発明によるジャックは、略直方体のハウジング、第1コンタクト、及び第2コンタクトを備えている。ハウジングは、プラグが挿入されるプラグ挿入口を一方の面に開口している。又、ハウジングは、プラグを受容するプラグ収容室を内部に有している。第1コンタクトは、ハウジングの内部に配置され、内筒端子に接続できる。第2コンタクトは、ハウジングの内部に配置され、外筒端子に接続できる。
【0026】
第1コンタクトは、第1タブ部と細軸状の第1コンタクト部を有している。第1タブ部は、第1コンタクトの基端部に配置され、第1電線の端末を接続できる。第1コンタクト部は、プラグ収容室に収容されると共に、先端部がプラグ挿入口の中央部に向かって延びている。そして、第1コンタクト部は、内筒端子に挿入される。
【0027】
第2コンタクトは、第2タブ部と第2コンタクト部を有している。第2タブ部は、第2コンタクトの基端部に配置され、第2電線の端末を接続できる。第2コンタクト部は、帯板状の弾性屈曲片を設けている。弾性屈曲片は、第1コンタクト部と対向配置されている。又、弾性屈曲片は、外筒端子に接触できる。
【0028】
弾性屈曲片は、第1接点を頂上部に有している。第1接点は、外筒端子の先端部をその外周の一方の側面側から押圧できる。第2コンタクト部は、第2接点を有している。第2接点は、プラグ挿入口の近傍に配置されている。又、第2接点は、外筒端子の基端部をその外周の他方の側面側から当接できる。そして、プラグをプラグ収容室に挿入すると、第2接点を支点として、第1接点がプラグを押圧して、プラグを僅かに傾動できる。
【0029】
(1)の発明によるジャックに接続するプラグは、内筒端子を電位の高い正極とすることが好ましく、外筒端子を電位の低い負極とすることが好ましい。そして、内筒端子をプラス側端子とすることができ、内筒端子をグラウンド端子とすることができる。これにより、第1コンタクトをプラス側端子とすることができ、第2コンタクトをグラウンド端子とすることができる。又、第1電線を信号線とすることができ、第2電線をグラウンド線とすることができる。
【0030】
プラグは、内筒端子と外筒端子が同心円状に配置される二重管構造であってよく、プラグの基端側は、絶縁性の合成樹脂で被覆されてよく、ケーブルが延出される。このプラグの基端側を把持して、ジャックに挿抜できる。ここで、プラグは、内筒端子及び外筒端子の軸方向と平行にケーブルが延出する、いわゆるストレートタイプであってもよく、内筒端子及び外筒端子の軸方向と直角にケーブルが延出する、いわゆるL形タイプであってもよい。
【0031】
ハウジングは、絶縁性を有してよく、非導電性の材料からなっている。非導電性の合成樹脂を成形して、所望の形状のハウジングを得ることができる。ハウジングは、略直方体の形状であるが、パネルに取り付けるために、ハウジングの両側面から、二重の鍔片を相反する向きに突出することを排除しない。
【0032】
例えば、ハウジングは、プラグ挿入口が開口した一方の面が矩形に形成されてよく、プラグ挿入口に対向するハウジングの他方の面は、矩形に形成されている。ハウジングの他方の面には、第1コンタクトの基端部が一方の面から挿入される第1開口を開口でき、第2コンタクトを他方の面から挿入する第2開口を開口できる。
【0033】
プラグ挿入口は、ハウジングの外部からプラグが挿入される開口であってよく、ハウジングの一方の面は、プラグが挿入されるための面積、又は外形を有している。例えば、プラグ挿入口は、プラグが挿入されるときにのみ開く開口であってもよく、ヒンジで結合された扉で開口が密閉され、プラグが挿入されると連動して、前記扉が開く機構を備えた開口を含むことができる。
【0034】
プラグ挿入口は、プラグの外側端子に適合する形状が好ましく、例えば、円形であってもよく、正四角形を含む矩形であってもよい。プラグ挿入口が円形の場合は、プラグ収容室は略円柱形状の空間となってよく、プラグ挿入口が矩形の場合は、プラグ収容室は略直方体状の空間となってもよい。プラグ挿入口が円形であって、プラグ収容室は略直方体状の空間となってもよい。
【0035】
ハウジングの一方の面とは、プラグが挿入される側の面であって、例えば、この一方の面がパネルから露出してもよく、プラグ挿入口以外の一方の面が、このパネルで遮蔽されてもよい。一方の面は、平面であってもよく、凹凸が形成される場合も一方の面に含まれる。例えば、円形のプラグ挿入口を内円とする筒体が一方の面から突出形成される場合も、一方の面に含まれる。一方の面は表面(オモテ面)と呼称される場合もある。又、プラグ挿入口と対向する他方の面は裏面(ウラ面)と呼称される場合もある。
【0036】
プラグ収容室は、プラグを受容する空間であってよく、第1及び第2コンタクトを保持又は収納する空間であってよく、ハウジング内に形成される。第1及び第2コンタクト部は、プラグ収容室に挿入、保持、収納などにより配置されてよく、プラグをプラグ収容室に挿入することにより、第1及び第2コンタクトが接続される。
【0037】
第1コンタクトは、導電性を有し、例えば、金属棒が切削加工されたスクリューマシン・コンタクトであってよく、細軸状の第1コンタクト部を得ることができる。第1コンタクトは、その基端部にアングル状のタブ部材の一片がカシメ付けられる第1タブ部を設けることができ、タブ部材の他片に第1電線の端末をハンダ接合することで、第1コンタクトと第1電線を電気的に接続できる。第1コンタクトは、銅合金などの導電性や機械加工性に優れた材料が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
【0038】
第2コンタクトは、導電性を有し、帯状に展開された導電性の金属薄板が折り曲げ成形されて、ベローズ形の弾性屈曲片を設けた所望の形状の第2コンタクトを得ることができる。第2コンタクトは、その基端部に第2電線の端末がハンダ接合される第2タブ部を設けること好ましく、第2コンタクトと第2電線を電気的に接続できる。第2コンタクトは、弾性屈曲片が所要のばね特性が得られるような形状に曲げて作られる。第2コンタクトは、銅合金などの導電性や展伸性に優れた材料が好ましく用いられるが、銅合金に限定されない。
【0039】
第1電線及び第2電線は、芯線が絶縁体で被覆された被覆電線であってよく、被覆電線は、単線であってもよく、ペア線であってもよい。芯線は、単線であってもよく、撚り線であってもよい。第1電線及び第2電線は、その端末の被覆が剥離されて、第1タブ部及び第2タブ部に芯線をそれぞれハンダ接合できる。
【0040】
(1)の発明によるジャックは、プラグをプラグ収容室に挿入すると、第2接点を支点として、第1接点がプラグを押圧して、プラグを僅かに傾動させるので、第1コンタクト部を内筒端子に確実に接触できる。
【0041】
(2) 前記第2接点に対して、前記第1コンタクト部の先端縁を前記プラグ収容室の奥側に位置させ、前記プラグを前記プラグ収容室に挿入すると、前記第1コンタクト部と前記内筒端子との接触より先に、前記第2接点と前記外筒端子とが接触する(1)記載のジャック。
【0042】
(2)の発明によるジャックは、第2接点に対して、第1コンタクト部の先端縁をプラグ収容室の奥側に位置させており、プラス側端子となる第1コンタクト部と内筒端子との接触より先に、グラウンド端子となる第2接点と外筒端子とが接触するので、第1コンタクト部と内筒端子との短絡を防止できる。これにより、電子機器の内部の電気回路を保護できる。
【0043】
(3) 前記第2コンタクト部は、前記ハウジングの内壁の広い面に沿って配置され、前記弾性屈曲片の固定端部に連続して伝熱可能な放熱部を有する(1)又は(2)記載ジャック。
【0044】
(3)の発明によるジャックは、第2コンタクトが外筒端子に接触する弾性屈曲片の固定端部に連続した放熱部を有している。(3)の発明によるジャックは、第2コンタクトに流れる増加した電流に伴う発熱を放熱部に熱伝導することで第2コンタクトを冷却し、これにより、小型であり、コンタクトの定格電流を増加できる。
【0045】
(4) 前記第2コンタクト部は、前記弾性屈曲片の内部に配置され、当該弾性屈曲片の自由端部のばね特性を支援する帯状の屈曲したアシスト板ばねを更に備える(1)から(3)のいずれかに記載のジャック。
【0046】
(4)の発明によるジャックは、導電率に優れている金属板を弾性屈曲片に適用することが好ましく、弾性屈曲片を弾性変形の限度までその板厚を薄くすることが好ましい。一方、アシスト板ばねは、導電率には優れていないが、繰り返し荷重に対して、破損に至るまでの寿命が長い材料を用いることが好ましく、このアシスト板ばねを弾性屈曲片の内部に弾性屈曲片に沿って配置することで、弾性屈曲片の自由端部の繰り返し荷重に対するばね特性を支援できる。(4)の発明によるジャックは、小型化してもコンタクトの寿命を短くすることなく、コンタクトの定格電流を増加できる。