(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-37178(P2015-37178A)
(43)【公開日】2015年2月23日
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20150127BHJP
H01G 4/232 20060101ALI20150127BHJP
H01G 4/12 20060101ALI20150127BHJP
【FI】
H01G4/30 311D
H01G4/12 352
H01G4/12 364
H01G4/30 301C
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-261346(P2013-261346)
(22)【出願日】2013年12月18日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0094837
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒュン テ
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュ リー
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ミ ジョン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF02
5E001AF03
5E001AH01
5E082AA01
5E082AB03
5E082GG10
5E082GG28
5E082KK01
5E082PP09
5E082PP10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外部電極の厚さを減少させながらもめっき液が内部に浸透する現象を防止し、信頼性を向上した積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミック本体110と、第1及び第2外部電極と、を含み、第1、第2外部電極は、セラミック本体の厚さ−長さ断面において、セラミック本体の両端面にそれぞれ形成され、第1、第2内部電極121、122の露出部分と電気的に連結された第1、第2内部頭部131a、132a及びセラミック本体の両主面に形成された第1、第2内部バンド131b、132bを含む第1、第2内部層131、132と、第1、第2内部頭部上にそれぞれ形成された第1、第2外部頭部141a、142aと、第1、第2内部バンドが形成された長さより短い第1、第2外部バンド141b、142bを含む第1、第2外部層141、142と、を含み、第1、第2外部層の粘度が第1、第2内部層の粘度より高い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層されたセラミック本体と、
前記セラミック本体内で前記誘電体層を介して前記セラミック本体の両端面を通じて交互に露出するように配置された複数の第1及び第2内部電極と、
前記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結された第1及び第2外部電極と、を含み、
前記第1及び第2外部電極は、
前記セラミック本体の厚さ−長さ断面において、
前記セラミック本体の両端面にそれぞれ形成され、前記第1及び第2内部電極の露出した部分とそれぞれ電気的に連結された第1及び第2内部頭部及び前記セラミック本体の両主面に形成された第1及び第2内部バンドを含む第1及び第2内部層と、
前記第1及び第2内部頭部上にそれぞれ形成された第1及び第2外部頭部と、前記第1及び第2内部バンド上に形成され、前記第1及び第2内部バンドが前記第1及び第2主面に形成された長さより短い第1及び第2外部バンドを含む第1及び第2外部層と、を含み、
前記第1及び第2外部層の粘度が前記第1及び第2内部層の粘度より高い積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第1及び第2内部層の粘度は5,000〜30,000cpsであることを特徴とする、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記第1及び第2外部層の粘度は7,500〜62,500cpsであることを特徴とする、請求項1または2に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記第1及び第2外部層の粘度は前記第1及び第2内部層の粘度の1.5〜2.5倍であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記セラミック本体は長さ、幅及び厚さがそれぞれ1.0mm以下、0.5mm以下及び0.2mm以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記セラミック本体は長さ及び幅がそれぞれ1.0mm以下及び0.5mm以下であり、前記セラミック本体の厚さ/幅が0.5以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1または第2内部バンドと前記第1または第2外部バンドの厚さを足した厚さをT1と規定するとき、T1は30μm以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第1または第2内部頭部と前記第1または第2外部頭部の厚さを足した厚さをHTと規定するとき、HTは10μm以上であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記第1または第2外部バンドの長さをD1と規定するとき、D1は350μm以下であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記第1または第2内部バンドと前記第1または第2外部バンドの厚さを足した厚さをT1、前記第1及び第2内部バンドの厚さをT2と規定するとき、1.2≧T2/T1≧0.15の範囲を満たすことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記第1または第2外部電極のバンドの長さをD2、前記第1または第2外部バンドの長さをD1と規定するとき、0.9≧D1/D2≧0.02の範囲を満たすことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第1または第2外部電極のバンドの長さをD2、前記第1または第2内部バンド及び前記第1または第2外部バンドの間の塗布された境界面の長さをCと規定するとき、10.0≧C/D2≧0.02の範囲を満たすことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記セラミック本体の厚さをCT、前記複数の第1及び第2内部電極を含むアクティブ領域の厚さをATと規定するとき、0.9≧AT/CT≧0.28の範囲を満たすことを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記第1及び第2内部層は導電性金属の含量が79重量%以下であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
第1及び第2内部電極が形成された複数のセラミックシートを、前記セラミックシートを介して前記第1及び第2内部電極が対向配置されるように厚さ方向に積層し加圧して積層体を設ける段階と、
前記積層体を1個のキャパシタに対応する領域ごとに切断し焼成して、前記第1及び第2内部電極が両端面を通じて交互に露出するようにセラミック本体を設ける段階と、
前記セラミック本体に前記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階と、を含み、
前記第1及び第2外部電極を形成する段階は、前記セラミック本体の厚さ−長さ断面において、
第1導電性ペーストを使用し、前記セラミック本体の両端面から前記セラミック本体の両主面まで第1及び第2内部層を形成する段階と、
第2導電性ペーストを使用し、前記第1及び第2内部層上に前記第1及び第2内部層のバンドが一部露出するように第1及び第2外部層を形成する段階と、を含み、
前記第2導電性ペーストの粘度は前記第1導電性ペーストの粘度より高い積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項16】
前記第1及び第2内部層を形成する段階において、前記第1及び第2内部層は5,000〜30,000cpsの粘度を有する第1導電性ペーストを使用して形成することを特徴とする、請求項15に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項17】
前記第1及び第2外部層を形成する段階において、前記第1及び第2外部層は7,500〜62,500cpsの粘度を有する第2導電性ペーストを使用して形成することを特徴とする、請求項15または16に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項18】
前記第1及び第2外部層を形成する段階において、前記第1及び第2外部層は前記第1導電性ペーストの粘度の1.5〜2.5倍の粘度を有する第2導電性ペーストを使用して形成することを特徴とする、請求項15から17のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項19】
前記第1及び第2内部層を形成する段階において、前記第1及び第2内部層は導電性金属の含量が79重量%以下の第1導電性ペーストを使用して形成することを特徴とする、請求項15から18のいずれか1項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層チップ電子部品の1つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:multi−layered ceramic capacitor)は小型、且つ高容量が保障され、実装が容易であるという長所により、多様な電子装置に用いることができる。
【0003】
例えば、上記積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:plasma display panel)などの映像機器、コンピューター、個人携帯用端末機(PDA:personal digital assistants)及び携帯電話など様々な電子製品の印刷回路基板に装着されて、電気を充電または放電させる役割をするチップ形態のコンデンサである。
【0004】
最近では、電子製品が小型化するにつれ、このような電子製品に用いられる積層セラミックキャパシタにも超小型化及び超高容量化が要求されている。
【0005】
よって、製品の超小型化のために誘電体層及び内部電極の厚さを薄くし、超高容量化のために多数の誘電体層を積層した積層セラミックキャパシタが製造されている。
【0006】
特に、長さ及び幅のサイズに比べて厚さが相対的に薄い、いわゆる、ロープロファイル(low profile)または埋め込み(embedded)製品の場合、高容量化のために外部電極バンドの厚さの薄層化が求められる。
【0007】
しかし、高容量化のために外部電極バンドの厚さを過度に減少させると、めっき過程でめっき液がチップの内部に浸透して内部電極と接触する現象が発生し、製品の信頼性が低下する恐れがある。
【0008】
下記特許文献1及び2は、2重層構造の外部電極を有する積層セラミックキャパシタについて開示しているが、外部電極の内部層の端部が外部に露出した構造及び外部電極の外部層が内部層より高粘度のペーストを使用して形成されたことは開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第2011−0133431号公報
【特許文献2】特開平9−205005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
当技術分野では、積層セラミックキャパシタにおいて、外部電極バンドの厚さを薄くしながらも、めっき過程でめっき液がチップの内部に浸透して内部電極と接触する現象を防止し、製品の信頼性を向上させることができる新しい方案が要求されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面は、複数の誘電体層が積層されたセラミック本体と、上記セラミック本体内で上記誘電体層を介して上記セラミック本体の両端面を通じて交互に露出するように配置された複数の第1及び第2内部電極と、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結された第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1及び第2外部電極は、上記セラミック本体の厚さ−長さ断面において、上記セラミック本体の両端面にそれぞれ形成され、上記第1及び第2内部電極の露出した部分とそれぞれ電気的に連結された第1及び第2内部頭部及び上記セラミック本体の両主面に形成された第1及び第2内部バンドを含む第1及び第2内部層と、上記第1第2内部頭部上にそれぞれ形成された第1及び第2外部頭部と、上記第1及び第2内部バンド上に形成され、上記第1及び第2内部バンドが上記第1及び第2主面に形成された長さより短い第1及び第2外部バンドを含む第1及び第2外部層と、を含み、上記第1及び第2外部層の粘度が上記第1及び第2内部層の粘度より高い積層セラミックキャパシタを提供する。
【0012】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2内部層の粘度は5,000〜30,000cpsであってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部層の粘度は7,500〜62,500cpsであってもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部層の粘度は上記第1及び第2内部層の粘度の1.5〜2.5倍であってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、上記セラミック本体は長さ、幅及び厚さがそれぞれ1.0mm、0.5mm及び0.2mm以下であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、上記セラミック本体は長さ及び幅がそれぞれ1.0mm及び0.5mm以下であり、上記セラミック本体の厚さ/幅が0.5以下であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、上記第1または第2内部バンドと上記第1または第2外部バンドの厚さを足した厚さをT1と規定するとき、T1は30μm以下であってもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、上記第1または第2内部頭部と上記第1または第2外部頭部の厚さを足した厚さをHTと規定するとき、HTは10μm以上であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、上記第1または第2外部バンドの長さをD1と規定するとき、D1は350μm以下であってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態において、上記第1または第2内部バンドと上記第1または第2外部バンドの厚さを足した厚さをT1、上記第1及び第2内部バンドの厚さをT2と規定するとき、1.2≧T2/T1≧0.15の範囲を満たすことができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、上記第1または第2外部電極のバンドの長さをD2、上記第1または第2外部バンドの長さをD1と規定するとき、0.9≧D1/D2≧0.02の範囲を満たすことができる。
【0022】
本発明の一実施形態において、上記第1または第2外部電極のバンドの長さをD2、上記第1または第2内部バンド及び上記第1または第2外部バンドの間の塗布された境界面の長さをCと規定するとき、10.0≧C/D2≧0.02の範囲を満たすことができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、上記セラミック本体の厚さをCT、上記複数の第1及び第2内部電極を含むアクティブ領域の厚さをATと規定するとき、0.9≧AT/CT≧0.28の範囲を満たすことができる。
【0024】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2内部層は導電性金属の含量が79重量%以下であってもよい。
【0025】
本発明の他の側面は、第1及び第2内部電極が形成された複数のセラミックシートを、上記セラミックシートを介して上記第1及び第2内部電極が対向配置されるように厚さ方向に積層し加圧して積層体を設ける段階と、上記積層体を1個のキャパシタに対応する領域ごとに切断し焼成して、上記第1及び第2内部電極が両端面を通じて交互に露出するようにセラミック本体を設ける段階と、上記セラミック本体に上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階と、を含み、上記第1及び第2外部電極を形成する段階は、上記セラミック本体の厚さ−長さ断面において、第1導電性ペーストを使用し、上記セラミック本体の両端面から上記セラミック本体の両主面まで第1及び第2内部層を形成する段階と、第2導電性ペーストを使用し、上記第1及び第2内部層上に上記第1及び第2内部層のバンドが一部露出するように第1及び第2外部層を形成する段階と、を含み、上記第2導電性ペーストの粘度は上記第1導電性ペーストの粘度より高い積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態によると、外部電極の内部層は、外部層を形成する導電性ペーストより低粘度の導電性ペーストで形成してバンドの全体厚さを薄くし、外部層は、内部層を形成する導電性ペーストより高粘度の導電性ペーストを使用して頭部の全体厚さを均一にすることで、外部電極の厚さは減少させながらもめっき過程でめっき液がチップの内部に浸透して内部電極と接触する現象を防止し、製品の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0029】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを概略的に示した斜視図であり、
図2は
図1の正面図であり、
図3及び
図4は
図1のA−A'線の断面図である。
【0030】
図1〜
図4を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、複数の誘電体層111が厚さ方向に積層されたセラミック本体110と、複数の第1及び第2内部電極121、122と、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ電気的に連結された第1及び第2外部電極と、を含む。
【0031】
セラミック本体110は複数の誘電体層111を積層した後焼成したものであって、隣接する誘電体層111同士は境界を確認することができない程度に一体化されていてもよい。
【0032】
また、セラミック本体110は六面体であってもよい。本実施形態では、セラミック本体110の誘電体層111の積層方向に対向する厚さ方向の端面を第1及び第2主面、上記第1及び第2主面を連結して対向する長さ方向の端面を第3及び第4端面、対向する幅方向の端面を第5及び第6側面と定義する。
【0033】
このとき、セラミック本体110は長さ、幅及び厚さがそれぞれ1.0mm以下、0.5mm以下及び0.2m以下であるか、長さ及び幅がそれぞれ1.0mm以下及び0.5mm以下で、セラミック本体110の厚さ/幅が0.5以下である、いわゆる、ロープロファイル(low profile)または埋め込み(embedded)形態であってもよい。
【0034】
一方、セラミック本体110は、内部電極を含むアクティブ領域の上下面にそれぞれ内部電極を持たない少なくとも一つ以上の誘電体層が積層されてなる上部及び下部カバー層112、113を有してもよい。
【0035】
誘電体層111は高い誘電率のセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)系セラミック粉末などを含んでもよく、十分な静電容量が得られるものであればよい。
【0036】
また、誘電体層111には、上記セラミック粉末と共に、必要に応じて、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などのような多様な種類のセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに添加されてもよい。
【0037】
第1及び第2内部電極121、122は異なる極性を有する電極であって、誘電体層111を形成するセラミックシート上の少なくとも一面に形成されて積層され、セラミック本体100内でそれぞれの誘電体層111を介して上記第3及び第4端面を通じて交互に露出するように配置されてもよい。
【0038】
このとき、第1及び第2内部電極121、122は中間に配置された誘電体層111により互いに電気的に絶縁され、積層セラミックキャパシタ100の静電容量は誘電体層111の積層方向に沿って重畳する第1及び第2内部電極121、122の面積に比例する。
【0039】
また、第1及び第2内部電極121、122は導電性金属で形成され、例えば、銀(Ag)、鉛(Pb)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち一つまたはこれらの合金などからなるものを用いてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0040】
上記第1及び第2外部電極は、相対的に低粘度の第1及び第2内部層131、132と、第1及び第2内部層131、132より相対的に高粘度の第1及び第2外部層141、142と、を含む。
【0041】
このとき、第1及び第2外部層141、142の粘度は、第1及び第2内部層131、132の粘度の1.5〜2.5倍であることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0042】
本実施形態において、第1及び第2内部層131、132は、セラミック本体110の厚さ−長さ断面において、上記第3及び第4端面を通じて交互に露出した複数の第1及び第2内部電極121、122を覆って電気的に連結されるようにセラミック本体110の上記第3及び第4端面にそれぞれ形成された第1及び第2内部頭部131a、132aと、第1及び第2内部頭部131a、132aの上下端部から延長されてセラミック本体110の上記第1及び第2主面に形成された第1及び第2内部バンド131b、132bと、を含む。
【0043】
このとき、第1及び第2内部層131、132は、良好な電気的特性を有し、且つ優れた耐ヒートサイクル性及び耐湿性などの高信頼性のために、例えば、銅ガラス(Cu−Glass)ペーストを使用して形成されてもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0044】
また、第1及び第2内部層131、132は、導電性金属の含量が全体含量の79重量%以下であってもよい。下記表1を参照すると、第1及び第2内部層131、132は、導電性金属の含量に応じて緻密度と厚さが変化し、導電性金属の含量が全体含量の80重量%を超えると、破れる不良が生じることが分かる。しかし、導電性金属の含量が全体含量の80重量%の場合は、緻密度が良好で、破れる不良は生じないが、厚さが基準値の105%となり、厚さに対する不良が生じることが分かる。
【0046】
このとき、第1及び第2内部層131、132の導電性金属を除いた成分は、バインダー及びソルベントなどである。
【0047】
また、第1及び第2内部層131、132の粘度は5,000〜25,000cpsであってもよく、本発明はこれに限定されない。
【0048】
下記表2を参照すると、第1及び第2内部層131、132は粘度に応じて緻密度と厚さが変化し、粘度が5,000cps未満では、破れる不良が生じ、粘度が30,000cpsを超えると、例えば、40,000cpsの場合、厚さが120%と厚すぎて、サイズ要件を満たさないことが分かる。
【0050】
第1及び第2外部層141、142は第1及び第2内部層131、132上に形成され、後述する第1及び第2めっき層を形成する際、めっき液が内部電極に浸透することを抑制する役割をすることができる。
【0051】
第1及び第2外部層141、142は、第1及び第2内部頭部131a、132a上にそれぞれ形成された第1及び第2外部頭部141a、142aと、第1及び第2内部バンド131b、132b上に形成され、第1及び第2内部バンド131b、132bが上記第1及び第2主面に形成された長さより短く、第1及び第2内部バンド131b、132bの一部が外部に露出するように形成された第1及び第2外部バンド141b、142bと、を含む。
【0052】
また、第1及び第2外部層141、142の粘度は、第1及び第2内部層131、132の粘度の1.5〜2.5倍であってもよい。
【0053】
下記表3を参照すると、第1及び第2外部層141、142の粘度が第1及び第2内部層131、132の粘度の1.5倍未満では、緻密度が十分でないため、信頼性不良が発生することがあり、第1及び第2外部層141、142の粘度が第1及び第2内部層131、132の粘度の2.5倍を超えると、第1及び第2外部層141、142の厚さが過度に厚くなるという問題点があることが分かる。
【0055】
本実施形態では、第1及び第2外部層141、142の粘度は7,500〜62,500cpsであってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0056】
一方、上記第1及び第2外部電極は、その外表面に第1及び第2めっき層(不図示)がさらに形成されてもよい。
【0057】
また、上記第1及び第2めっき層は、上記第1及び第2外部電極の表面に形成されたニッケル(Ni)めっき層と、上記ニッケルめっき層上に形成されたすず(Sn)めっき層と、を含んでもよい。
【0058】
このような第1及び第2めっき層は、積層セラミックキャパシタ100を印刷回路基板などに半田付けにより実装する時、相互の接着強度を上げるためのもので、めっき処理は公知の方法により行ってもよく、環境を考慮して鉛フリーめっきを施すことが好ましいが、本発明はこれに限定されない。
【0059】
以下では、
図3及び
図4を参照し、本実施形態に含まれる構成要素の寸法関係を具体的に説明する。
【0060】
本実施形態では、第1または第2内部バンド131b、132bと第1または第2外部バンド141b、142bの厚さを足した厚さをT1、第1及び第2内部バンド131b、132bの厚さをT2、第1または第2内部頭部131a、132aと第1または第2外部頭部141a、142aの厚さを足した厚さをHT、上記第1または第2外部電極のバンドの長さをD2、第1または第2外部バンド141b、142bの長さをD1、第1または第2内部バンド131b、132b及び第1または第2外部バンド141b、142bの間の塗布された境界面の間の長さをC、セラミック本体110の厚さをCT、複数の第1及び第2内部電極121、122を含む部分であるアクティブ領域の厚さをATと規定する。
【0061】
例えば、長さと幅が10×5mmである小型サイズの製品において、積層セラミックキャパシタの厚さが0.2mm以下または積層セラミックキャパシタの厚さ/幅が0.5以下である、いわゆる、ロープロファイル(low profile)または埋め込み(embedded)製品の場合、高容量化のためには上記第1及び第2外部電極の全体バンドの厚さを最小に設定し、めっき液浸透による信頼性低下を防止するために第1及び第2内部電極121、122と接触する上記第1及び第2外部電極の全体頭部の厚さ、即ち、第1または第2内部頭部131a、132aと第1または第2外部頭部141a、142aの厚さを足した厚さHTは少なくとも10μm以上になるようにし、その厚さが全般的に均一でなければならない。
【0062】
本実施形態では、粘度の異なる2重積層構造、特に、第1及び第2外部層141、142の粘度が内側に形成された第1及び第2内部層131、132より高い2重積層構造に上記第1及び第2外部電極を形成することで、セラミック本体110の長さ、幅及び厚さがそれぞれ1.0mm、0.5mm及び0.2mm以下であるか、またはセラミック本体100の長さ及び幅がそれぞれ1.0mm及び0.5mm以下であり、セラミック本体100の厚さ/幅が0.5以下である、いわゆる、ロープロファイル(low profile)または埋め込み(embedded)製品を製作しても、上記第1及び第2外部電極の厚さを全般的に均一にしながら、めっき液浸透による信頼性低下を防止する効果が期待できる。
【0063】
即ち、低粘度の第1及び第2内部層131、132により薄層化が可能で、第1及び第2内部層131、132より相対的に高い粘度を有する第1及び第2外部層141、142により第1及び第2外部電極の頭部の厚さが均一になることができる。
【0064】
特に、セラミック本体110の厚さに対するアクティブ領域の厚さの比が0.28以上の製品は、外部電極の頭部の厚さを均一に保持することがさらに困難である。
【0065】
本実施形態において、セラミック本体110の厚さをCT、複数の第1及び第2内部電極121、122を含むアクティブ領域の厚さをATと規定するとき、0.9≧AT/CT≧0.28の範囲を満たすことができる。
【0066】
特に、本実施形態によると、セラミック本体110の厚さに対するアクティブ領域の厚さの比が0.28以上でも、第1及び第2外部電極の全体頭部の厚さを均一に保持することができる。
【0067】
一方、本実施形態において、一定水準の容量を満たし、且つめっき液の浸透を防止して信頼性を保持するために、第1または第2内部バンド131b、132bと第1または第2外部バンド141b、142bの厚さを足した厚さをT1と規定するとき、T1は30μm以下であってもよい。
【0068】
若し、上記T1が30μm未満になると、めっき液が内部に浸透して信頼性に問題が発生する恐れがある。
【0069】
また、第1または第2外部バンド141b、142bの長さをD1と規定するとき、D1は350μm以下であってもよい。
【0070】
また、第1または第2内部バンド131b、132bと第1または第2外部バンド141b、142bの厚さを足した厚さをT1、第1または第2内部バンド131b、132bの厚さをT2と規定するとき、1.2≧T2/T1≧0.15の範囲を満たすことができる。
【0071】
このとき、T2/T1が1.2を超えると、信頼性は満たすことができるが、厚すぎて基準サイズの要件を満たすことができず、T2/T1が0.15未満では、信頼性不良が発生する恐れがある。
【0072】
また、上記第1または第2外部電極のバンドの長さをD2、第1または第2外部バンド141b、142bの長さをD1と規定するとき、0.9≧D1/D2≧0.02の範囲を満たすことができる。
【0073】
下記表4を参照すると、D1/D2が0.02未満では、信頼性不良が発生する恐れがあり、D1/D2が0.9を超えると、基準サイズの要件を満たすことができないという問題があることが分かる。
【0075】
上記T2/T1及びD1/D2は、第1または第2内部層131、132と第1または第2外部層141、142間の段差の比率を示すもので、上記T2/T1及びD1/D2が上記範囲から外れると、本実施形態の積層セラミックキャパシタを埋め込み型に適用する場合、信頼性の確保が困難であるとともに、基板にレーザービア加工をするとき、レーザー乱反射によるビア不良が発生して基板不良率が増加する恐れがある。
【0076】
また、上記第1または第2外部電極のバンドの長さをD2、第1または第2内部バンド131b、132b及び第1または第2外部バンド141b、142bの間の塗布された境界面の長さをCと規定するとき、10.0≧C/D2≧0.02の範囲を満たすことができる。
【0077】
下記表5を参照すると、C/D2が10を超えると、工程収率が低下し、信頼性不良が発生する恐れがあり、C/D2が0.02未満では、基準サイズの要件を満たすことができなくなるという問題があることが分かる。
【0079】
以下、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。
【0080】
まず、複数のセラミックシートを用意する。
【0081】
上記セラミックシートはセラミック本体110の誘電体層111を形成するためのもので、セラミック粉末、ポリマー及び溶剤などを混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレードなどの工法によりキャリアフィルム上に塗布及び乾燥して数μm厚さのシート(sheet)状に製作する。
【0082】
次に、上記それぞれのセラミックシートの少なくとも一面に導電性ペーストを所定の厚さに印刷して第1及び第2内部電極121、122を形成する。
【0083】
このとき、第1及び第2内部電極121、122はセラミックシートの長さ方向の両端面を通じてそれぞれ露出するように形成する。
【0084】
また、上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0085】
次に、第1及び第2内部電極121、122が形成された複数のセラミックシートを上記セラミックシートを介して第1及び第2内部電極121、122が対向配置されるように厚さ方向に積層し加圧して積層体を用意する。
【0086】
次に、上記積層体を1個のキャパシタに対応する領域ごとに切断してチップ化し、高温で焼成して、対向する厚さ方向の第1及び第2主面、第1及び第2内部電極121、122が交互に露出した長さ方向の第3及び第4端面、及び幅方向の第5及び第6側面を有するセラミック本体110を用意する。
【0087】
次に、セラミック本体110の端面に、第1及び第2内部電極121、122の露出した部分と電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する。
【0088】
以下、上記第1及び第2外部電極を形成する方法について具体的に説明する。
【0089】
まず、低粘度の第1導電性ペーストを使用し、セラミック本体110の上記第3及び第4端面を通じて露出した複数の第1及び第2内部電極121、122のそれぞれが全て覆われるようにセラミック本体110の上記第3及び第4端面から上記第1及び第2主面まで延長されるように第1及び第2内部層131、132を形成する。
【0090】
上記第1導電性ペーストはディッピングまたは多様な印刷方法を用いて塗布してもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0091】
また、上記第1導電性ペーストは5,000〜25,000cpsの粘度を有することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0092】
また、上記第1導電性ペーストは全体含量に対し、導電性金属の含量が79重量以下であることができる。
【0093】
また、塗布過程後に熱処理工程を施し、塗布された第1導電性ペーストが固まるようにする。
【0094】
次に、上記第1導電性ペーストより高粘度の第2導電性ペーストを使用して第1及び第2外部層141、142を形成する。このとき、第1及び第2内部層131、132上に上記第3及び第4端面から上記第1及び第2主面まで形成するが、第1及び第2内部層131、132の第1及び第2内部バンド131b、132bのうち一部が露出するように第1及び第2内部バンド131b、132bが上記第1及び第2主面に形成された長さより短い長さを有するように形成する。
【0095】
上記第2導電性ペーストはディッピングまたは多様な印刷方法を用いて塗布してもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0096】
また、上記第2導電性ペーストは上記第1導電性ペーストの粘度の1.5〜2.5倍の粘度を有することができ、本実施形態では7,500〜62,500cpsの粘度を有することができるが、本発明はこれに限定されない。
【0097】
また、塗布過程後に熱処理工程を施し、塗布された第2導電性ペーストが固まるようにする。
【0098】
また、必要に応じて、第1及び第2外部層141、142を形成する段階後に、上記第1及び第2外部電極の表面を電気めっきなどの方法によりめっき処理し、第1及び第2めっき層(不図示)を形成してもよい。
【0099】
上記めっきに用いられる物質としては、ニッケルまたはすず、ニッケルすず合金などを使用してもよく、本発明はこれに限定されない。
【0100】
また、必要に応じて、上記第1及び第2めっき層はニッケルめっき層とすずめっき層を上記第1及び第2外部電極の表面に順に積層して構成することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0102】
100 積層セラミックキャパシタ
110 セラミック本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2内部層
141、142 第1及び第2外部層