【解決手段】本発明によれば、誘電体層を含み、対向する第1、第2の主面、対向する第1、第2の側面、及び対向する第1、第2の端面を有するセラミック本体と、上記セラミック本体の内部に形成され、上記セラミック本体の第1及び第2の側面に露出する第1及び第2の引出部を有する第1の内部電極、及び上記セラミック本体の第1及び第2の側面に露出し且つ上記第1及び第2の引出部からそれぞれ一定距離離隔した第3及び第4の引出部を有する第2の内部電極と、上記セラミック本体の両側面から上記第1及び第2の主面に伸びて形成され、上記第1の内部電極の第1、第2の引出部と連結された第1の極性の外部電極、及び上記第2の内部電極の第3、第4の引出部と連結された第2の極性の外部電極と、を含む。
誘電体層を含み、第1の方向において対向する第1、第2の主面、前記第1の方向とは異なる第2の方向において対向する第1、第2の側面、並びに前記第1の方向及び前記第2の方向とは異なる第3の方向において対向する第1、第2の端面を有するセラミック本体と、
前記セラミック本体の内部に形成され、前記セラミック本体の前記第1及び第2の側面に露出する第1及び第2の引出部を有する第1の内部電極、及び前記セラミック本体の前記第1及び第2の側面に露出し且つ前記第1及び第2の引出部からそれぞれ一定距離離隔した第3及び第4の引出部を有する第2の内部電極と、
前記セラミック本体の両側面から前記第1及び第2の主面に伸びて形成され、前記第1の内部電極の前記第1、第2の引出部と連結された第1の極性の外部電極、及び前記第2の内部電極の前記第3、第4の引出部と連結された第2の極性の外部電極と、
を含み、
前記第1及び第2の極性の外部電極は、それぞれ二つ以上であり、第1及び第2の極性のベース電極、及び前記第1及び第2の極性のベース電極上に形成された第1及び第2の極性の端子電極を含み、前記セラミック本体の前記第3の方向の長さをL、前記第2の方向の長さをWとしたときにW/L≧0.6を満たし、前記第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極の前記第2方向の長さをBWとしたときに150μm≦BW≦350μmを満たす、基板内蔵用積層セラミック電子部品。
前記第1の内部電極は、前記第1の引出部を有する第1の領域と、前記第1の領域から前記セラミック本体の前記第3の方向に一定距離離隔して形成され、前記第2の引出部を有する第2の領域と、を含む、請求項1に記載の基板内蔵用積層セラミック電子部品。
前記第2の内部電極は、前記第3の引出部を有する第3の領域と、前記第3の領域から前記セラミック本体の前記第3の方向に一定距離離隔して形成され、前記第4の引出部を有する第4の領域と、を含む、請求項1または2に記載の基板内蔵用積層セラミック電子部品。
前記第1及び第2の極性の端子電極の表面粗度をRa、前記第1及び第2の極性の端子電極の厚さtpとしたとき、200nm≦Ra≦tpを満たす、請求項1から5の何れか1項に記載の基板内蔵用積層セラミック電子部品。
【背景技術】
【0002】
電子回路の高密度化及び高集積化に伴い、印刷回路基板に実装される受動素子の実装空間が足りなくなり、これを解決するために、基板内に内蔵される部品、即ち、埋め込み型素子(embedded device)を具現しようとする研究が行われている。特に、容量性部品として用いられる積層セラミック電子部品を基板の内部に内蔵する多様な方案が提示されている。
【0003】
基板内に積層セラミック電子部品を内蔵する方法としては、基板材料自体を積層セラミック電子部品用誘電体材料として用い、銅配線等を積層セラミック電子部品用電極として用いる方法がある。また、基板内蔵用積層セラミック電子部品を具現するための他の方法として、高誘電率の高分子シートや薄膜の誘電体を基板の内部に形成して基板内蔵用積層セラミック電子部品を形成する方法、及び積層セラミック電子部品を基板内に内蔵する方法等がある。
【0004】
通常、積層セラミック電子部品は、セラミック材質からなる複数の誘電体層と、この複数の誘電体層の間に挿入された内部電極と、を備える。このような積層セラミック電子部品を基板の内部に配置させることにより、高い静電容量を有する基板内蔵用積層セラミック電子部品を具現することができる。
【0005】
基板内蔵用積層セラミック電子部品を備える印刷回路基板を製造するためには、積層セラミック電子部品をコア基板の内部に挿入した後、基板の配線と積層セラミック電子部品の外部電極を連結するためにレーザーを用いて上部積層板及び下部積層板にビアホール(via hole)を開けなければならない。しかしながら、上記レーザー加工は、印刷回路基板の製造費用を大幅に増加させる要因となる。
【0006】
一方、基板内蔵用積層セラミック電子部品は、基板内のコア部分に内蔵されなければならないため、基板の表面に実装される一般の積層セラミック電子部品とは異なり、外部電極上にニッケル/スズ(Ni/Sn)メッキ層を設ける必要がない。
【0007】
即ち、基板内蔵用積層セラミック電子部品の外部電極は銅(Cu)材質のビア(via)を介して基板内の回路と電気的に連結されるため、ニッケル/スズ(Ni/Sn)層の代わりに銅(Cu)層を上記外部電極上に設ける必要がある。
【0008】
通常の外部電極の場合、銅(Cu)を主成分としているが、ガラス(glass)も含まれているため、基板内のビア(via)の形成に用いられるレーザー加工の際に上記ガラスに含まれている成分が上記レーザーを吸収することによりビアの加工深さを調節することができなくなるという問題がある。
【0009】
このような理由で、基板内蔵用積層セラミック電子部品の外部電極上に銅(Cu)メッキ層を別途に形成している。
【0010】
一方、基板内蔵用積層セラミック電子部品は、メモリーカード、PCメインボード及び各種のRFモジュールに用いられる印刷回路基板に内蔵されるため、実装型積層セラミック電子部品と比べて製品のサイズを画期的に減少させることができる。
【0011】
また、MPU等の能動素子の入力端子に非常に近接した距離に配置されることができるため、導線の長さによる相互接続インダクタンス(interconnect inductance)を低減させることができる。
【0012】
この基板内蔵用積層セラミック電子部品におけるインダクタンス低減効果は、内蔵方式という固有の配置関係から得られる相互接続インダクタンス低減効果に過ぎず、基板内蔵用積層セラミック電子部品自体のESL特性の改善効果は未だに達成していない。
【0013】
通常、基板内蔵用積層セラミック電子部品においてESLを低くするためには、積層セラミック電子部品の内部の電流経路を短くする必要がある。
【0014】
しかしながら、基板内蔵用積層セラミック電子部品の外部電極上に銅(Cu)メッキ層を別途に形成することにより外部電極の内部にメッキ液が浸透する問題が生じるため、内部の電流経路を短縮するのが容易ではない。
【0015】
また、AP(Application Processor)の高速化に伴い、基板内蔵用積層セラミック電子部品の使用が拡大し、パッケージに埋め込まれる基板内蔵用積層セラミック電子部品の数も増加して占有面積が増加するという問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0039】
[基板内蔵用積層セラミック電子部品]
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0040】
図1は本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品を示す斜視図であり、
図2は
図1のX‐X'線に沿う断面図であり、
図3は本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の第1及び第2の内部電極を示す平面図である。
【0041】
図1〜
図3を参照すると、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品は、誘電体層11を含み、対向する第1、第2の主面、対向する第1、第2の側面、及び対向する第1、第2の端面を有するセラミック本体10と、上記セラミック本体10の内部に形成され、上記セラミック本体10の第1及び第2の側面に露出する第1及び第2の引出部21a、21bを有する第1の内部電極21、及び上記セラミック本体10の第1及び第2の側面に露出し且つ上記第1及び第2の引出部21a、21bからそれぞれ一定距離離隔した第3及び第4の引出部22a、22bを有する第2の内部電極22と、上記セラミック本体10の両側面から上記第1及び第2の主面に伸びて形成され、上記第1の内部電極21の第1、第2の引出部21a、21bと連結された第1の極性の外部電極31、32、及び上記第2の内部電極22の第3、第4の引出部22a、22bと連結された第2の極性の外部電極33、34と、を含み、上記第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34は、それぞれ二つ以上であり、第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34a、及び上記第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34a上に形成された第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bを含み、上記セラミック本体10の長さをL、幅をWとしたときにW/L≧0.6を満たし、上記第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34の幅をBWとしたときに150μm≦BW≦350μmを満たすことができる。
【0042】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を説明するにあたり、特に、積層セラミックキャパシタを例に挙げて説明するが、これに制限されるものではない。
【0043】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタにおいて、「長さ方向」は
図1の「L方向」、「幅方向」は「W方向」、「厚さ方向」は「T方向」と定義する。ここで、「厚さ方向」は、誘電体層を積み上げる方向、即ち、「積層方向」と同じ概念で用いられる。
【0044】
本発明の一実施形態において、セラミック本体10は、形状に特別な制限はないが、図示のように六面体形であれば良い。
【0045】
本発明の一実施形態において、セラミック本体10は、対向する第1、第2の主面、対向する第1、第2の側面、及び対向する第1、第2の端面を有し、上記第1及び第2の主面は、上記セラミック本体10の上面及び下面とも表現される。
【0046】
上記セラミック本体10の厚さtsは250μm以下であれば良い。
【0047】
上記のようにセラミック本体10の厚さtsを250μm以下とすることにより、基板内蔵用に適した積層セラミックキャパシタを製作することができる。
【0048】
また、上記セラミック本体10の厚さtsは、上記第1の主面と第2の主面との距離であれば良い。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、上記積層セラミックキャパシタは、4端子キャパシタであれば良いが、これに制限されるものではない。
【0050】
この場合、上記第1の側面には第1の極性の第1の外部電極と第2の極性の第3の外部電極が配置され、上記第2の側面には第2の極性の第4の外部電極と第1の極性の第2の外部電極が上記第1及び第3の外部電極とそれぞれ対向して配置されることができる。
【0051】
上記第1の極性は、(+)極性又は(−)極性であれば良い。この場合、第2の極性は、上記第1の極性とは反対の極性を有する。
【0052】
上記のように反対の極性が左右に配置され且つ対向して配置されることにより、後述するように電流経路(Current Path)を短縮して等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、上記誘電体層11を形成する原料は、十分な静電容量が得られるものであれば特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)粉末であれば良い。
【0054】
上記誘電体層11を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO
3)等のパウダーに、本発明の目的に応じて多様なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤等が添加されたものであれば良い。
【0055】
上記誘電体層11の形成に用いられるセラミック粉末の平均粒径は、特に制限されず、本発明の目的達成のために多様に調節されることができるが、例えば、400nm以下であれば良い。
【0056】
上記のようなセラミック本体10は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としての活性層と、上下マージン部であって活性層の上下部にそれぞれ形成された上部及び下部カバー層と、で構成されることができる。
【0057】
上記活性層は、誘電体層11を介して複数の第1及び第2の内部電極21、22を繰り返し積層して形成されることができる。
【0058】
上記上部及び下部カバー層は、内部電極を含まない以外は誘電体層11と同じ材質及び構成を有することができる。
【0059】
上記上部及び下部カバー層は、単一の誘電体層又は二つ以上の誘電体層を活性層の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成され、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を行うことができる。
【0060】
特に、基板内蔵用積層セラミック電子部品の場合には、外部電極上に銅(Cu)メッキ層を別途に形成するため、メッキ液の浸透による内部電極の損傷が発生する可能性がある。
【0061】
よって、一般の基板内蔵用積層セラミック電子部品の場合、上部及び下部カバー層の厚さを厚くすることにより上記メッキ液の浸透による内部電極の損傷を防止している。
【0062】
しかしながら、上記のように上部及び下部カバー層の厚さを厚くする場合には、基板内蔵用積層セラミック電子部品の内部の電流経路が長くなるため、等価直列インダクタンス(ESL)を低減するのが容易ではないという問題があった。
【0063】
これに対し、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記セラミック本体10の内部に形成され、上記セラミック本体10の第1及び第2の側面に露出する第1及び第2の引出部21a、21bを有する第1の内部電極21と、上記セラミック本体10の第1及び第2の側面に露出し且つ上記第1及び第2の引出部21a、21bからそれぞれ一定距離離隔した第3及び第4の引出部22a、22bを有する第2の内部電極22と、を含むことができる。
【0064】
これにより、電流経路(Current Path)を短縮して等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0065】
なお、電流経路(Current Path)を短縮して等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる理由については、以下で詳細に説明する。
【0066】
上記第1及び第2の内部電極21、22は、相違した極性を有する一対の電極であり、誘電体層11上に所定の厚さで導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して形成されることができる。
【0067】
また、上記第1の内部電極21と第2の内部電極22は、誘電体層11の積層方向に沿って形成され、中間に配置された誘電体層11によって電気的に絶縁されることができる。
【0068】
図3を参照すると、上記第1の内部電極21は、上記セラミック本体10の第1の側面に露出する第1の引出部21aと、第2の側面に露出する第2の引出部21bと、を有することができる。
【0069】
また、上記第2の内部電極22は、上記セラミック本体10の第1の側面に露出する第3の引出部22aと、第2の側面に露出する第4の引出部22bと、を有することができる。
【0070】
即ち、第1及び第2の内部電極21、22は、セラミック本体10の第1及び第2の側面に露出する部分を介して第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0071】
したがって、第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34に電圧を印加すると、対向する第1及び第2の内部電極21、22の間に電荷が蓄積され、この際、積層セラミックキャパシタの静電容量は第1及び第2の内部電極21、22の重なる領域の面積に比例する。
【0072】
なお、
図3には第1及び第2の内部電極のパターンが示されているが、これは一例に過ぎず、特別な制限なく多様な形態のパターンを形成することもできる。
【0073】
また、上記第1及び第2の内部電極21、22を形成する導電性ペーストに含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)又はこれらの合金であれば良いが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
また、上記導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法等を用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、上記セラミック本体10の両側面から上記第1及び第2の主面に伸びて形成され、上記第1の内部電極21の第1、第2の引出部21a、21bと連結された第1の極性の外部電極31、32、及び上記第2の内部電極22の第3、第4の引出部22a、22bと連結された第2の極性の外部電極33、34が形成されることができる。
【0076】
上記第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34は、それぞれ二つ以上であり、第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34aと、上記第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34a上に形成された第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bと、を含むことができる。
【0077】
以下では、上記第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34の構造についてより詳細に説明する。
【0078】
上記第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34aは、第1の導電性金属及びガラスを含むことができる。
【0079】
静電容量の形成のために、上記第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34が上記セラミック本体10の第1及び第2の側面に形成され、上記第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34に含まれる上記第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34aが上記第1及び第2の内部電極21、22と電気的に連結されることができる。
【0080】
上記第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34aは、上記第1及び第2の内部電極21、22と同じ材質の導電性物質で形成されることができるが、これに制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上の第1の導電性金属で形成されることができる。
【0081】
上記第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34aは、上記第1の導電性金属粉末にガラスフリットを添加して製造された導電性ペーストを塗布した後に焼成することにより形成されることができる。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、上記第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34は、上記第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34a上に形成される第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bを含むことができる。
【0083】
上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bは、第2の導電性金属からなることができる。
【0084】
上記第2の導電性金属は、特に制限されず、例えば、銅(Cu)であれば良い。
【0085】
通常の積層セラミックキャパシタは、印刷回路基板上に実装されるため、外部電極上にニッケル/スズメッキ層を形成することが一般的であった。
【0086】
しかしながら、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、印刷回路基板内蔵用であるため基板上に実装されず、当該積層セラミックキャパシタの上記第1の極性の外部電極31、32及び第2の極性の外部電極33、34が銅(Cu)材質のビア(via)を介して基板の回路と電気的に連結される。
【0087】
したがって、本発明の一実施形態によれば、上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bは、上記基板内のビアの材質である銅(Cu)と電気的連結性の良い銅(Cu)からなるのが良い。
【0088】
一方、上記第1及び第2の極性のベース電極31a、32a、33a、34aの場合にも、銅(Cu)を主成分としているが、ガラス(glass)が含まれているため、基板内のビア(via)の形成に用いられるレーザー加工の際に上記ガラスに含まれている成分が上記レーザーを吸収することによりビアの加工深さを調節することができなくなるという問題がある。
【0089】
このような理由で、基板内蔵用積層セラミック電子部品の上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bは銅(Cu)からなるのが良い。
【0090】
上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bは、その形成方法に特別な制限はなく、例えば、メッキによって形成されることができる。
【0091】
したがって、本発明の一実施形態によれば、焼成後の上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bは銅(Cu)のみからなり、ガラスフリットを含まないため、基板内のビア(via)の形成に用いられるレーザー加工の際に上記ガラスに含まれている成分が上記レーザーを吸収することによりビアの加工深さを調節することができなくなるという問題が発生しない。
【0092】
上記のように、セラミック本体10の第1の側面には、第1の極性の第1の外部電極31と、上記第1の外部電極から離隔した第2の極性の第3の外部電極33が配置され、上記第2の側面には、第2の極性の第4の外部電極34と、上記第4の外部電極34から離隔した第1の極性の第2の外部電極32が配置されることができる。
【0093】
また、上記第4の外部電極と第2の外部電極は、上記第1及び第3の外部電極とそれぞれ対向して配置されることができる。
【0094】
上記のように反対の極性が左右に配置され且つ対向して配置されることにより、反対の極性がセラミック本体の側面に隣接して配置されるため、電流経路(Current Path)を短縮することができる。
【0095】
これにより、等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0096】
また、基板内蔵用積層セラミック電子部品の個数を減少させて積層セラミック電子部品の占有面積を減少させることができる。
【0097】
即ち、4端子以上の積層セラミックキャパシタを具現することにより、二つ以上の積層セラミックキャパシタを一つのチップにすることができるため、積層セラミック電子部品の占有面積を減少させることができる。
【0098】
また、上述したように4端子以上の積層セラミックキャパシタを具現し且つ反対の極性の外部電極がセラミック本体の側面に隣接して形成されるため、電流経路(Current Path)を短縮して等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0099】
図4は、本発明の他の実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の第1及び第2の内部電極を示す平面図である。
【0100】
図4を参照すると、本発明の他の実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の第1の内部電極21'は、第1の引出部21'aを有する第1の領域と、上記第1の領域から上記セラミック本体10の長さ方向に一定距離離隔して形成され、第2の引出部21'bを有する第2の領域と、を含むことができる。
【0101】
また、第2の内部電極22'は、第3の引出部22'aを有する第3の領域と、上記第3の領域から上記セラミック本体の長さ方向に一定距離離隔して形成され、第4の引出部22'bを有する第4の領域と、を含むことができる。
【0102】
図5は、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の平面図である。
【0103】
図5を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記セラミック本体10の長さをL、幅をWとしたときにW/L≧0.6を満たし、上記第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34の幅をBWとしたときに150μm≦BW≦350μmを満たすことができる。
【0104】
上記のように、W/L≧0.6を満たすように上記セラミック本体の長さ及び幅を調節することにより、積層セラミックキャパシタのインダクタンスを減少させることができる。
【0105】
上記W/Lの値が0.6未満の場合は、インダクタンス値の低減効果が不十分である。
【0106】
また、上記のように第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34の幅BWが150μm≦BW≦350μmを満たすようにすることにより、インダクタンスを減らすと共に、積層セラミックキャパシタを基板に内蔵するときの回路及びビアとの接触不良問題を解決することができる。
【0107】
上記第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34の幅BWが150μm未満の場合は、積層セラミックキャパシタを基板に内蔵するときに回路及びビアとの接触不良問題が発生する可能性がある。
【0108】
これに対し、上記第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極31、32、33、34の幅BWが350μmを超える場合は、外部電極間の距離が近いため、絶縁抵抗が低下する等、信頼性に問題が生じる可能性がある。
【0109】
即ち、一般の積層セラミックキャパシタの場合は、上記セラミック本体の長さに対する幅の比と第1及び第2の極性の外部電極の幅が上記数値を満たさないため、インダクタンス低減及びビアとの接触不良問題を解決することができない。
【0110】
一方、上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの厚さをtpとしたとき、tp≧5μmを満たすことができる。
【0111】
上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの厚さtpは、tp≧5μmを満たし且つ15μm以下であれば良い。
【0112】
上記のように第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの厚さtpがtp≧5μmを満たし且つ15μm以下となるように調節することにより、基板内のビア加工に優れ、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを具現することができる。
【0113】
上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの厚さtpが5μm未満の場合は、後述するように積層セラミック電子部品を印刷回路基板に内蔵する上で導電性ビアホールの加工時にセラミック本体10まで導電性ビアホールが連結される不良が発生するという問題がある。
【0114】
これに対し、上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの厚さtpが15μmを超える場合は、第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの応力によってセラミック本体10にクラックが発生する可能性がある。
【0115】
一方、
図2を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの表面粗度をRa、上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの厚さをtpとしたとき、200nm≦Ra≦tpを満たすことができる。
【0116】
上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの表面粗度(Ra)が200nm≦Ra≦tpを満たすように調節することにより、積層セラミック電子部品と基板との剥離現象を改善し、クラックを防止することができる。
【0117】
表面粗度とは、金属表面を加工するときに表面に生じる微細な凹凸の程度をいい、表面粗さともいう。
【0118】
表面粗度は、加工に用いられる工具、加工法の適否、表面に生じたひっかき傷、錆等によって生じる。粗さの程度を示すにあたり、表面を直角に切断したときの断面に示される曲線の最低点から最高点までの距離を中心線平均粗さとし、Raで表す。
【0119】
本発明では、上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの中心線平均粗さをRaとする。
【0120】
より具体的には、上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの中心線平均粗さ(Ra)を算出する方法では、まず、上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの一表面に形成されている粗度に対して仮想の中心線をひく。
【0121】
次に、上記粗度の仮想の中心線を基準にそれぞれの距離(例えば、r
1、r
2、r
3…r
13)を測定した後、下記式で各距離の平均値を求めて算出された値から第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの中心線平均粗さ(Ra)を算出する。
【0123】
上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの中心線平均粗さ(Ra)を200nm≦Ra≦tpの範囲に調節することにより、耐電圧特性に優れ、積層セラミック電子部品と基板との接着力が向上し、信頼性に優れた積層セラミック電子部品を具現することができる。
【0124】
上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの表面粗度が200nm未満の場合は、積層セラミック電子部品と基板との剥離現象問題が生じる可能性がある。
【0125】
これに対し、上記第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの表面粗度が第1及び第2の極性の端子電極31b、32b、33b、34bの厚さtpを超える場合は、クラックが発生する可能性がある。
【0126】
以下では、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法について説明するが、これに制限されるものではない。
【0127】
本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法は下記の通りである。まず、チタン酸バリウム(BaTiO
3)等のパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布し乾燥して複数のセラミックグリーンシートを製造し、これにより、誘電体層を形成することができる。
【0128】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状にして製作されることができる。
【0129】
次に、粒子の平均サイズが0.1〜0.2μmのニッケル粉末を40〜50重量部含む内部電極用導電性ペーストを製造することができる。
【0130】
次に、上記グリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成した後、200〜300層積層してセラミック本体10を製作することができる。
【0131】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタにおいて、上記第1及び第2の内部電極21、22は、上記セラミック本体10の両側面に露出するように形成されることができる。
【0132】
次に、上記セラミック本体10の側面に第1の導電性金属及びガラスを含む第1及び第2の極性のベース電極を形成することができる。
【0133】
上記第1の導電性金属は、特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上であれば良い。
【0134】
上記ガラスは、特に制限されず、一般の積層セラミックキャパシタの外部電極の製作に用いられるガラスと同じ組成の物質であれば良い。
【0135】
上記第1及び第2の極性のベース電極は、上記セラミック本体の側面に形成されることにより、上記第1及び第2の内部電極とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0136】
次に、上記第1及び第2の極性のベース電極上に第2の導電性金属からなるメッキ層を形成することができる。
【0137】
上記第2の導電性金属は、特に制限されず、例えば、銅(Cu)であれば良い。
【0138】
上記メッキ層は、第1及び第2の極性の端子電極で形成されることができる。
【0139】
その他、上述した本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の特徴と同じものに関する説明は省略する。
【0140】
以下では、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0141】
実施例1
本発明の実施形態により基板内蔵用積層セラミック電子部品の第1及び第2の極性の外部電極の幅BWによるビア加工不良率及び絶縁抵抗(IR)低下の有無を調べた。
【0142】
また、第1及び第2の極性の外部電極の幅BWによるビア加工不良率及び絶縁抵抗(IR)低下の有無、第1及び第2の極性の端子電極の厚さによるビア加工不良発生の有無、及び第1及び第2の極性の端子電極の表面粗度による接着面剥離発生頻度を確認するために、携帯電話のマザーボード用チップ部品の通常の条件である85℃、相対湿度85%に積層セラミック電子部品の内蔵された基板を30分間放置した後、それぞれの実験を行った。
【0143】
下記表1は、第1及び第2の極性の外部電極の幅BWによるビア加工不良率及び絶縁抵抗(IR)低下の有無を示したものである。
【0144】
【表1】
×:不良率50%以上
△:不良率10%〜50%
○:不良率0.01%〜10%
◎:不良率0.01%未満
【0145】
上記表1を参照すると、第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極の幅BWが150μm未満の場合は、積層セラミックキャパシタを基板に内蔵するときに回路及びビアとの接触不良問題が発生することが分かる。
【0146】
また、上記第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極の幅BWが350μmを超える場合は、外部電極間の距離が近いため、絶縁抵抗が低下することが分かる。
【0147】
これに対し、上記第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極の幅BWが150μm≦BW≦350μmを満たす場合は、積層セラミックキャパシタを基板に内蔵するときに回路及びビアとの接触不良問題が発生しないことが分かる。
【0148】
下記表2は、第1及び第2の極性の端子電極の厚さによるビア加工不良発生の有無を示したものである。
【0149】
【表2】
×:不良率50%以上
△:不良率10%〜50%
○:不良率0.01%〜10%
◎:不良率0.01%未満
【0150】
上記表2を参照すると、上記第1及び第2の極性の端子電極の厚さが5μm以上の場合は、基板内のビア加工に優れ、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを具現することができることが分かる。
【0151】
これに対し、上記第1及び第2の極性の端子電極の厚さが5μm未満の場合は、基板内のビア加工時に不良が発生する可能性があることが分かる。
【0152】
下記表3は、第1及び第2の極性の端子電極の表面粗度による接着面剥離発生頻度を示したものである。
【0153】
【表3】
×:不良率50%以上
△:不良率10%〜50%
○:不良率0.01%〜10%
◎:不良率0.01%未満
【0154】
上記表3を参照すると、上記第1及び第2の極性の端子電極の表面粗度が200nm以上の場合は、接着面剥離発生頻度が少ないため、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを具現することができることが分かる。
【0155】
これに対し、上記第1及び第2の極性の端子電極の表面粗度が200nm未満の場合は、接着面剥離発生頻度が増加するため、信頼性に問題があることが分かる。
【0156】
[積層セラミック電子部品内蔵型印刷回路基板]
図6は、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【0157】
図6を参照すると、本発明の他の実施形態による積層セラミック電子部品内蔵型印刷回路基板100は、絶縁基板110と;上記絶縁基板110内に内蔵された誘電体層を含み、対向する第1、第2の主面、対向する第1、第2の側面、及び対向する第1、第2の端面を有するセラミック本体と、上記セラミック本体の内部に形成され、上記セラミック本体の第1及び第2の側面に露出する第1及び第2の引出部を有する第1の内部電極、及び上記セラミック本体の第1及び第2の側面に露出し且つ上記第1及び第2の引出部からそれぞれ一定距離離隔した第3及び第4の引出部を有する第2の内部電極と、上記セラミック本体の両側面から上記第1及び第2の主面に伸びて形成され、上記第1の内部電極の第1、第2の引出部と連結された第1の極性の外部電極、及び上記第2の内部電極の第3、第4の引出部と連結された第2の極性の外部電極と、を含み、上記第1及び第2の極性の外部電極は、それぞれ二つ以上であり、第1及び第2の極性のベース電極、及び上記第1及び第2の極性のベース電極上に形成された第1及び第2の極性の端子電極を含み、上記セラミック本体の長さをL、幅をWとしたときにW/L≧0.6を満たし、上記第1及び第2の主面に形成された第1及び第2の極性の外部電極の幅をBWとしたときに150μm≦BW≦350μmを満たす基板内蔵用積層セラミック電子部品と;を含むことができる。
【0158】
上記絶縁基板110は、絶縁層120が含まれた構造からなり、必要に応じて、
図6に示されているように多様な形態の層間回路を構成する導電性パターン130及び導電性ビアホール140を含むことができる。上記絶縁基板110は、内部に積層セラミック電子部品を含む印刷回路基板100でもある。
【0159】
上記積層セラミック電子部品は、印刷回路基板100に挿入された後、印刷回路基板100の熱処理等のような後工程進行中の様々な過酷環境を同様に経験する。
【0160】
特に、熱処理工程中の印刷回路基板100の収縮及び膨張は、印刷回路基板100の内部に挿入された積層セラミック電子部品に直接伝達され、積層セラミック電子部品と印刷回路基板100との接着面にストレスを加える。
【0161】
積層セラミック電子部品と印刷回路基板100との接着面に加えられたストレスが接着強度より高い場合は、接着面が剥がれる剥離不良が発生する。
【0162】
積層セラミック電子部品と印刷回路基板100との接着強度は積層セラミック電子部品と印刷回路基板100との電気化学的結合力と接着面の有効表面積に比例し、積層セラミック電子部品と印刷回路基板100との接着面の有効表面積を向上させるために積層セラミック電子部品の表面粗度を制御することにより積層セラミック電子部品と印刷回路基板100との剥離現象を改善することができる。
【0163】
また、印刷回路基板100に内蔵される基板内蔵用積層セラミック電子部品の表面粗度による印刷回路基板100との接着面剥離発生頻度が確認できる。
【0164】
また、上記基板内蔵用積層セラミック電子部品は、4端子以上であり、極性を交互に配置し、長さに対する幅の比(W/L)がW/L≧0.6を満たすように調節することにより、内部の電流経路(Current Path)を短縮して等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0165】
その他の特徴は上述した本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の特徴と同じであるため、ここではその説明を省略する。
【0166】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。