【解決手段】本発明は、核酸の正規化された定量化、および試料、例えば、核酸の混合物中の核酸の数量の正規化に関する。本発明は、試料中の定量化される核酸の数量を、試料中の核酸の総数量、または試料中の特定のクラスの核酸の総数量に対して正規化するための方法に関する。本発明は、試料中の核酸の正規化された定量化のためのキットであって、(a)試料中の核酸の限定された領域または特定のクラスの核酸と実質的に相補的な1種以上の第1の核酸プローブであって、1種以上のプライマー結合部位を含み、必要に応じて1つのプローブ結合部位を含む第1の核酸プローブと、(b)リガーゼと、(c)前記第1の核酸プローブの前記プローブ結合部位と実質的に相補的な第2の核酸プローブを含むキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
核酸の混合物中の特定の核酸を定量化(定量)することは、遺伝子発現解析、または核酸の混合物から特定の核酸を精製する間などの分子生物学におけるいくつもの適用において重要である。定量化方法では、試料中の特定の核酸の濃度および/または相対的もしくは絶対的な量(amount)を決定する。特に、遺伝子発現の解析に関して、例えば生物試料中のmRNAのレベルを測定するために、再現性があり、かつ相対的方法が望まれる。例えば、比較できる容積、核酸量、細胞材料などを有する生物試料を必ずしも得ることができるとは限らない。異なる試料は、例えば、異なる生物体もしくは個体からの異なる組織、または異なる化合物で処理された細胞培養試料に由来するRNAまたはDNAを含み得る。
【0003】
さらに、検出の感度および選択性ならびに生物試料中の核酸の定量化が重要である。2つ以上の異なる(生物)試料において特定の核酸の数量を良好に比較するため、または試料中の2つ以上の異なる特定の核酸の数量を良好に比較するために、投入核酸に対するまたは特定のクラスの投入核酸に対する特定の核酸の数量について正規化を実施しなければならない。特定の核酸の数量は、例えば、これらの数量を、試料の内部標準と関連づける、または全体すなわち試料中の核酸の総量と、または試料中の特定のクラスの核酸の総量と関連づけることによって正規化することができる。
【0004】
(生物)試料中の核酸の従来の定量化のために、定量的(リアルタイム)PCR(qPCR)が広く使用されている。RNA、特にmRNAについて、定量的リアルタイム逆転写PCR(RT−qPCR)がこの分野において使用される。定量的PCR法から得られるデータを正規化するための異なる手法が使用されている。それらの中に、特定のmRNAの数量の、様々な参照遺伝子、例えば、ベータアクチン、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、または28SリボソームRNAもしくは18SリボソームRNAなどのハウスキーピング遺伝子またはメンテナンス遺伝子のうち1種以上のmRNAの数量に対する正規化がある。しかし、そのような正規子遺伝子(normalizer gene)の発現レベルは、実験条件、試料の調製物および供給源(例えば、組織または細胞の型)に応じて変動することが示されており、したがってそれらは投入核酸を確実に表すわけではない。したがって、通常、調査中の試料間で変化しないものを同定するために、一連の様々なハウスキーピング遺伝子を、困難で誤りがちな手順で試験する必要がある。
【0005】
他の手法は、例えば、DNAおよび/またはRNAの総含有量または例えば、リボソームRNA(rRNA)の総含有量に対する正規化を利用する。生物細胞および生物試料中のリボソームRNAの含有量も、種々の因子に応じて変動しやすく、同様にrRNAに対する正規化はあまり好ましくない。例えば、総核酸含有量、総RNA含有量またはゲノムDNAの総含有量に対する正規化を利用する方法も、例えば、これらの含有量または核酸試料の質の変動、ならびに各試料中の核酸の量を正確に測定することの煩わしい必要性によって制限される。異質の分子または人工的な分子、例えば、試料(例えば、細胞抽出物または組織に由来する試料)に取り込まれたin vitro転写物に対する正規化も、それらが、例えば、数量および完全性に関して、細胞中の核酸(例えば、ゲノムDNA、RNA、mRNA)含有量を表さないので、全ての場合で適切な手順であるわけではない。
【0006】
さらに、正規化されたデータおよび実験手順の再現性を比較するために、適用された実験条件を完全に文書化することが必要である。これは、特に対象の核酸および正規化する核酸の数量を、別々に、または異なる方法を使用して決定する場合に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の根底にある技術的な問題は、生物試料に普遍的に適用することができる、核酸の数量を正規化するための改良された方法、特に、あまり困難ではなく誤りがちでない方法を開発し、提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、試料中または複数の試料中の(特定の)核酸(すなわち「標的核酸」)の数量を、試料(複数可)中の核酸の総数量;または試料(複数可)中の特定のクラスの核酸の総数量に対して正規化するための強力な改良された方法(複数可)を提供する。本発明は、試料中または複数の試料中の(特定の)核酸(すなわち「標的核酸」)の数量を、試料(複数可)中の核酸の総数量;または試料(複数可)中の特定のクラスの核酸の総数量に対して正規化するためのキットにも関する。
【0009】
本発明に関しては、特定のクラスの核酸は、とりわけ、RNA、DNA、cDNA(相補的DNA)、LNA(ロックド核酸)、mRNA(メッセンジャーRNA)、mtRNA(ミトコンドリアの)、rRNA(リボソームRNA)、tRNA(転移RNA)、nRNA(核RNA)、siRNA(低分子干渉RNA)、snRNA(低分子核RNA)、snoRNA(低分子核小体RNA)、scaRNA(低分子カハール体特異的RNA)、マイクロRNA、dsRNA(二本鎖RNA)、リボザイム、リボスイッチ、ウイルスRNA、dsDNA(二本鎖DNA)、ssDNA(一本鎖DNA)、プラスミドDNA、コスミドDNA、染色体DNA、ウイルスDNA、mtDNA(ミトコンドリアDNA)、nDNA(核DNA)、snDNA(低分子核DNA)など、または試料中の大量の核酸と区別可能な任意の他のクラスまたはサブクラスの核酸であってよい。
【0010】
本発明の手段および方法は、核酸プローブの使用を含む。本発明による核酸プローブは、特定の核酸配列と実質的に相補的なオリゴヌクレオチド、核酸またはその断片である。
【0011】
一般に、本発明は、試料中の定量化される核酸の数量を、(i)試料中の核酸の総数量(total quantity)、または(ii)試料中の特定のクラスの核酸の総数量に対して正規化するための方法であって、(a)定量化される核酸を含有する試料を供給するステップと、(b)1種以上の第1の核酸プローブを、前記第1の核酸プローブの少なくとも末端領域が試料中の核酸の特異的な結合部位とハイブリダイズし、それによって二本鎖核酸が作出されることを可能にする条件下で試料に加えるステップであって、第1の核酸プローブが、1種以上のプライマー結合部位を含み、必要に応じてプローブ結合部位を含むステップと、(c)ハイブリダイズした後の3’末端および5’末端が、ライゲーションが起こり得るように位置するような核酸プローブ(複数可)の任意の2つの末端領域間のライゲーションを可能にする条件下で、試料中のハイブリダイズした核酸をリガーゼと接触させるステップと、(d)2種のプライマーおよび必要に応じて前記第1の核酸プローブの限定された領域(defined region)と実質的に相補的な第2のプローブを使用して、ステップ(c)からのライゲーション産物を定量化することによって核酸の総量(total amount)または特定のクラスの核酸の総量を定量化するステップと、(e)定量化される核酸を、前記定量化される核酸の領域と実質的に相補的な第3のプローブを使用して定量化するステップと、(f)定量化される核酸の数量と、核酸の総数量または特定のクラスの核酸の総数量との比を決定することによって、定量化される核酸の数量を正規化するステップとを含む方法に関する。
【0012】
本発明は、試料中の核酸の正規化された定量化のためのキットであって、(a)試料中の核酸の限定された領域または特定のクラスの核酸と実質的に相補的な1種以上の第1の核酸プローブであって、1種以上のプライマー結合部位を含み、必要に応じて1つのプローブ結合部位を含む第1の核酸プローブと、(b)リガーゼと、(c)前記第1の核酸プローブの前記プローブ結合部位と実質的に相補的な第2の核酸プローブを含むキットにも関する。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
試料中の定量化される核酸の数量を、
(i)前記試料中の核酸の総数量、または
(ii)前記試料中の特定のクラスの核酸の総数量
に対して正規化するための方法であって、
(a)定量化される核酸を含有する試料を供給するステップと、
(b)1種以上の第1の核酸プローブを、前記第1の核酸プローブ(複数可)の少なくとも末端領域が前記試料中の核酸の特異的な結合部位とハイブリダイズし、それによって二本鎖核酸が作出されることを可能にする条件下で前記試料に加えるステップであって、前記第1の核酸プローブ(複数可)が、1種以上のプライマー結合部位を含み、必要に応じてプローブ結合部位を含むステップと、
(c)ハイブリダイズした後の3’末端および5’末端が、ライゲーションが起こり得るように位置するような核酸プローブ(複数可)の任意の2つの末端領域間のライゲーションを可能にする条件下で、前記試料中の前記ハイブリダイズした核酸をリガーゼと接触させるステップと、
(d)前記第1の核酸プローブ(複数可)の限定された領域と実質的に相補的な第2のプローブまたは挿入dsDNA特異的蛍光色素を使用してステップ(c)からのライゲーション産物を定量化することによって、核酸の総量または前記特定のクラスの核酸の総量を定量化するステップと、
(e)前記定量化される核酸の領域と実質的に相補的な第3のプローブまたは挿入dsDNA特異的蛍光色素を使用して、前記定量化される核酸を定量化するステップと、
(f)前記定量化される核酸の数量と、核酸の総数量または前記特定のクラスの核酸の総数量との比を決定することによって、前記定量化される核酸の数量を正規化するステップと
を含む方法。
(項目2)
前記定量化される核酸がRNAであり、前記特定のクラスの核酸がRNAである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記定量化されるRNAが、mRNA、rRNA、tRNA、nRNA、siRNA、snRNA、snoRNA、scaRNA、マイクロRNA、dsRNA、リボザイム、リボスイッチおよびウイルスRNAからなる群から選択されるRNAであり、RNAの総数量が、RNAの総数量、mRNAの総数量、rRNAの総数量、tRNAの総数量、nRNAの総数量、siRNAの総数量、snRNAの総数量、snoRNAの総数量、scaRNAの総数量、マイクロRNAの総数量、dsRNAの総数量、リボザイムの総数量、リボスイッチの総数量、ウイルスRNAの総数量からなる群から選択される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記定量化されるRNAがmRNAであり、前記特定のクラスの核酸がmRNAである、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記特異的な結合部位がmRNAに対して特異的である、ホモポリマーの配列である、またはポリA配列もしくはポリA尾部である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記定量化される核酸がDNAであり、前記特定のクラスの核酸がDNAである、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記定量化されるDNAが、cDNA、dsDNA、ssDNA、プラスミドDNA、コスミドDNA、染色体DNA、ウイルスDNAおよびmtDNAからなる群から選択されるDNAであり、DNAの総数量が、DNAの総数量、cDNAの総数量、dsDNAの総数量、ssDNAの総数量、プラスミドDNAの総数量、コスミドDNAの総数量、染色体DNAの総数量、ウイルスDNAの総数量およびmtDNAの総数量からなる群から選択される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記定量化されるDNAがcDNAであり、前記特定のクラスの核酸がcDNAである、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記特異的な結合部位がポリT配列またはポリT尾部である、項目8に記載の方法。
(項目10)
定量化が、定量的リアルタイムPCRまたは定量的リアルタイム等温増幅を含む、項目1から9までのいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記ライゲーションステップの後に、前記試料中のRNAおよび/または前記特定のクラスのRNAの逆転写を可能にする条件下で、前記試料中のRNAを逆転写酵素と接触させるステップをさらに含む、項目2から5までのいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記ライゲーションされる2つの末端領域が、別々の核酸プローブの一部である、または同じ核酸プローブ上にある、項目1から11までのいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記第2の核酸プローブおよび第3の核酸プローブが、1種以上の蛍光色素で標識され、前記定量化ステップが、前記試料中の蛍光シグナルを検出することを含む、項目1から12までのいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
項目1から13までのいずれか一項に記載の方法を実施するためのキットであって、(a)前記試料中の核酸の限定された領域または特定のクラスの核酸と実質的に相補的な1種以上の第1の核酸プローブであって、1種以上のプライマー結合部位を含み、必要に応じて1つのプローブ結合部位を含む第1の核酸プローブと、
(b)リガーゼと、
(c)前記第1の核酸プローブの前記プローブ結合部位と実質的に相補的な第2の核酸プローブまたはdsDNA特異的蛍光色素と
を含むキット。
(項目15)
特異的な核酸の数量を参照核酸の数量に対して正規化するための、または遺伝子発現解析のための、項目1から13までのいずれか一項に記載の方法または項目14に記載のキットの使用。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、試料中の定量化される核酸の数量を、(i)試料中の核酸の総数量、または(ii)試料中の特定のクラスの核酸の総数量に対して正規化するための方法であって、(a)定量化される核酸を含有する試料を供給するステップと、(b)1種以上の第1の核酸プローブを、第1の核酸プローブの少なくとも末端領域が試料中の核酸の特異的な結合部位とハイブリダイズし、それによって二本鎖核酸が作出されることを可能にする条件下で試料に加えるステップであって、第1の核酸プローブが、1種以上のプライマー結合部位を含み、必要に応じてプローブ結合部位を含むステップと、(c)ハイブリダイズした後の3’末端および5’末端が、ライゲーションが起こり得るように位置するような核酸プローブ(複数可)の任意の2つの末端領域間のライゲーションを可能にする条件下で、試料中のハイブリダイズした核酸をリガーゼと接触させるステップと、(d)プライマーおよび必要に応じて前記第1の核酸プローブの限定された領域と実質的に相補的な第2のプローブを使用して、ステップ(c)からのライゲーション産物を定量化することによって核酸の総量または特定のクラスの核酸の総量を定量化するステップと、前記定量化される核酸の領域と実質的に相補的な第3のプローブを使用して、定量化される核酸を定量化するステップと、(f)定量化される核酸の数量と、核酸の総数量または特定のクラスの核酸の総数量との比を決定することによって、定量化される核酸の数量を正規化するステップとを含む方法を提供する。
【0015】
第1の核酸プローブのプライマー結合部位および/またはプローブ結合部位は、プライマーおよび必要に応じて第2の核酸プローブを使用した第1の核酸プローブの増幅および/または検出または定量化が、ステップ(c)においてライゲーションに成功した後のみに起こり得るように配置される。
【0016】
試料は、少なくとも定量化される核酸を含む核酸分子を含有する。核酸は、細胞または生物体に埋め込むことができるが、無細胞系の中に存在してもよい。試料は、流体、溶解物、固体マトリックスまたは核酸分子を含む他の任意の試料であってよい。
【0017】
本発明に関しては、核酸は、デオキシリボ核酸(desoxyribo nucleic acid)(DNA)、リボ核酸(RNA)またはペプチド核酸(PNA)に関する。DNAおよびRNAは、生物体において天然に存在するが、DNAおよびRNAは生きている生物体の外側に存在してもよい、または生物体に追加されてもよい。核酸は、任意の起源、例えば、ウイルス起源、細菌起源、古細菌起源、真菌起源、リボソーム起源、真核生物起源または原核生物起源のものであってよい。これは、任意の生物学的試料および任意の生物体、組織、細胞または細胞下区画に由来する核酸であってよい。これは、例えば、植物、真菌、動物からの核酸、特にヒトの核酸であってよい。核酸は、定量化する前に、例えば、単離、精製または改変によって前処理することができる。人工的な核酸も定量化することができる。核酸の長さは変動してよい。核酸は、改変されてよく、例えば、1つ以上の改変された核酸塩基または改変された糖部分(例えば、メトキシ基を含む)を含んでよい。核酸の骨格は、ペプチド核酸(PNA)にあるような1つ以上のペプチド結合を含んでよい。核酸は、非プリン類似体または非ピリミジン類似体またはヌクレオチド類似体などの塩基類似体を含んでよい。核酸は、タンパク質、ペプチドおよび/またはアミノ酸などの追加的な付着物も含んでよい。
本発明の特定の実施形態では、定量化される核酸はRNAであり、特定のクラスの核酸はRNAである。
【0018】
さらに特定すると、定量化されるRNAは、mRNA、rRNA、tRNA、nRNA、siRNA、snRNA、snoRNA、scaRNA、マイクロRNA、dsRNA、リボザイム、リボスイッチおよびウイルスRNAからなる群から選択されるRNAであり、RNAの総数量は、RNAの総数量、mRNAの総数量、rRNAの総数量、tRNAの総数量、nRNAの総数量、siRNAの総数量、snRNAの総数量、snoRNAの総数量、scaRNAの総数量、マイクロRNAの総数量、dsRNAの総数量、リボザイムの総数量、リボスイッチの総数量、ウイルスRNAの総数量からなる群から選択される。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、定量化されるRNAはmRNAであり、特定のクラスの核酸はmRNAである。
【0020】
特異的な結合部位は、mRNAに対して特異的である、またはホモポリマーの核酸配列、例えば、ポリA配列もしくはポリA尾部であることが好ましい。ポリA尾部は、試料RNA中に天然に存在するままであってよい。ポリA尾部を有さないRNAの場合は、適切なホモポリマーの尾部をRNAの3’末端に付加するための実験手順を利用することができる。そのような尾部は、A塩基、C塩基、G塩基、もしくはU塩基または適切な塩基類似体で構成されてよい。そのような尾部の付加は、化学的にまたは酵素的に実施することができる。酵素は、ポリAポリメラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、リガーゼ、または核酸の3’末端へのヌクレオチドの付加または連結を触媒する他の適切な酵素のクラスから選択することができる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、定量化される核酸はDNAであり、特定のクラスの核酸はDNAである。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、定量化されるDNAは、cDNA、dsDNA、ssDNA、プラスミドDNA、コスミドDNA、染色体DNA、ウイルスDNAおよびmtDNAからなる群から選択されるDNAであり、DNAの総数量は、DNAの総数量、cDNAの総数量、dsDNAの総数量、ssDNAの総数量、プラスミドDNAの総数量、コスミドDNAの総数量、染色体DNAの総数量、ウイルスDNAの総数量およびmtDNAの総数量からなる群から選択される。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、定量化されるDNAはcDNAであり、特定のクラスの核酸はcDNAである。特異的な結合部位はホモポリマーの配列、例えば、ポリT配列またはポリT尾部であることが好ましい。
【0024】
本発明の一部の実施形態では、第1の核酸プローブはDNAまたはRNAまたは人工的な核酸または改変された核酸、例えば、ペプチド核酸(PNA)またはロックド核酸(LNA)である。第1の核酸プローブはDNAまたはRNAであることが好ましく、DNAであることが最も好ましい。
【0025】
第2の核酸プローブは、DNAまたはRNAまたは人工的な核酸または改変された核酸、例えば、ペプチド核酸(PNA)またはロックド核酸(LNA)であってよい。第2の核酸プローブは、前記第1の核酸プローブのプローブ結合部位の配列と実質的に相補的な配列を有する。したがって、第2の核酸プローブは、当業者に公知のある特定の条件(温度、塩濃度)下で、第1の核酸プローブとハイブリダイズすることができる。第2の核酸プローブが第1の核酸プローブとハイブリダイズすることは、第1の核酸プローブが首尾よくライゲーションされたことを表し得る。
【0026】
第3の核酸プローブは、DNAまたはRNAまたは人工的な核酸または改変された核酸、例えば、ペプチド核酸(PNA)またはロックド核酸(LNA)であってよい。第3の核酸プローブは、定量化される核酸の配列と実質的に相補的な配列を有する。したがって、第3の核酸プローブは、当業者に公知のある特定の条件(温度、塩濃度)下で、定量化される核酸とハイブリダイズすることができる。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、定量化するステップは、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、その後に検出測定を伴う標識化反応、および定量的リアルタイムPCRまたは等温性の標的増幅からなる群から選択される方法を含む。定量化ステップは、定量的リアルタイムPCRまたは定量的リアルタイム等温増幅を含むことが好ましい。定量化は、定量的リアルタイムPCRを含むことがより好ましい。
【0028】
核酸を定量化するために使用する、PCRに基づく方法以外の増幅方法としては、これらに限定されないが、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写に基づく増幅系(TAS)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ローリングサークル増幅(RCA)、転写媒介性増幅(TMA)、自続配列複製(3SR)、Qβ増幅および(熱安定性の)ヘリカーゼ依存性増幅((t)HDA)が挙げられる。NASBA、TAS、RCA、TMA、3SR、(t)HDAおよびQβ増幅は、等温増幅方法である。
【0029】
本発明の一部の実施形態では、方法は、ライゲーションステップの後に、試料中のRNAおよび/または特定のクラスのRNAを逆転写することを可能にする条件下で、試料中のRNAを逆転写酵素と接触させるステップをさらに含む。
【0030】
定量化ステップは、定量的リアルタイム逆転写PCRまたは定量的リアルタイム逆等温増幅を含むことが好ましい。
【0031】
定量化ステップが、定量的リアルタイム逆転写PCRを含むことが最も好ましい。本発明の好ましい実施形態では、定量化ステップ(複数可)は、(i)RNA依存性DNAポリメラーゼ(すなわち逆転写酵素)を使用して、RNA(例えば、mRNA)をDNA(例えば、cDNA)に逆転写すること、(ii)逆転写によって作製されたDNAを、PCRを使用して増幅すること、および(iii)増幅産物をリアルタイムで検出し、定量化することを含む。
【0032】
特定の実施形態では、逆転写するステップと定量化するステップを同じ反応容器内で実施する。
【0033】
一部の実施形態では、逆転写酵素は、定量化ステップの間に増幅のためにも使用されるポリメラーゼである。
【0034】
本発明の実施形態に関して、選択的プライマーまたはランダムプライマーを、定量的リアルタイムPCRまたは等温増幅において使用することができる。
【0035】
「プライマー」は、本明細書では、転写される核酸(「鋳型」)と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドを指す。複製の間、ポリメラーゼによって、ヌクレオチドが、鋳型のそれぞれのヌクレオチドと相補的なプライマーの3’末端に付着する。
【0036】
本発明による一部の方法では、ライゲーションされる2つの末端領域は、別々の核酸プローブの一部である。他の実施形態では、ライゲーションされる2つの末端領域は、同じ核酸プローブ上にある。
【0037】
一部の実施形態では、第1の核酸プローブはDNAであり、リガーゼは、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼおよびE.coliリガーゼからなる群から選択されるDNAリガーゼである。好ましいリガーゼは、T4 DNAリガーゼである。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、第1の核酸プローブはRNAであり、リガーゼはT4
RNAリガーゼである。
【0039】
定量化される核酸の数量および核酸の総数量または特定のクラスの核酸の総数量を同時に決定することが好ましい。
【0040】
本発明の特定の実施形態では、定量的リアルタイムPCRに使用するポリメラーゼは、好熱性の生物体由来のポリメラーゼである、または耐熱性ポリメラーゼである、または、Thermus thermophilus(Tth)DNAポリメラーゼ、Thermus acquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、Thermotoga maritima(Tma)DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis(Tli)DNAポリメラーゼ、Pyrococcus furiosus(Pfu)DNAポリメラーゼ、Pyrococcus woesei(Pwo)DNAポリメラーゼ、Pyrococcus kodakaraensis KOD DNAポリメラーゼ、Thermus filiformis(Tfi)DNAポリメラーゼ、Sulfolobus solfataricus Dpo4 DNAポリメラーゼ、Thermus pacificus(Tpac)DNAポリメラーゼ、Thermus eggertssonii(Teg)DNAポリメラーゼ、Thermus brockianus(Tbr)およびThermus flavus(Tfl)DNAポリメラーゼからなる群から選択される。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、第2の核酸プローブおよび第3の核酸プローブを1種以上の蛍光色素および/またはクエンチャーで標識し、定量化するステップが、試料中の蛍光シグナルを検出することを含む。
【0042】
第2の核酸プローブおよび第3の核酸プローブは、ハイブリダイゼーションプローブ、加水分解プローブおよびヘアピンプローブからなる群から選択される蛍光標識されたプローブであることがより好ましい。
【0043】
特に、蛍光標識されたプローブは、FAM、VIC、NED、フルオレセイン、FITC、IRD−700/800、CY3、CY5、CY3.5、CY5.5、HEX、TET、TAMRA、JOE、ROX、BODIPY TMR、Oregon Green、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Texas Red、Yakima Yellow、Alexa FluorおよびPETまたは同様の励起特性および放出特性を有する類似の色素からなる群から選択される色素で標識する。
【0044】
特に、ハイブリダイゼーションプローブは、LightCyclerプローブ(Roche)である、または加水分解プローブはTaqManプローブ(Roche)である。他の実施形態では、ヘアピンプローブは、分子ビーコン、Scorpionプライマー、Sunriseプライマー、LUXプライマーおよびAmplifluorプライマーからなる群から選択される。
【0045】
一部の実施形態では、本発明による手段および方法は、遺伝子発現レベルを正規化するために使用される。
【0046】
本発明の一部の実施形態では、さらに、予め定量化された核酸を試料に加え、定量化するステップにおいて前記予め定量化された核酸の数量を決定する。予め定量化された核酸は、例えばDNA、cDNA、ssDNA、RNA、in vitroで転写されたRNA、mRNAまたは合成RNAであってよい。予め定量化された核酸は合成RNAであることが好ましい。
【0047】
定量化される2つ以上の核酸の数量は、同時に、すなわち一度に正規化することが好ましい。
【0048】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、試料中の定量化されるmRNAの数量を、試料中のmRNAの総数量に対して正規化するための方法であって、(a)定量化されるmRNAを含有する試料を供給するステップと、(b)1種以上の第1の核酸プローブを、前記第1の核酸プローブの少なくとも末端領域が試料中のmRNAのポリA配列とハイブリダイズし、それによって二本鎖核酸が作出されることを可能にする条件下で試料に加えるステップであって、第1の核酸プローブが、1種以上のプライマー結合部位および必要に応じて1つのプローブ結合部位を含むステップと、(c)ハイブリダイズした後の3’末端および5’末端が、ライゲーションが起こり得るように位置するような核酸プローブ(複数可)の任意の2つの末端領域間のライゲーションを可能にする条件下で、試料中のハイブリダイズした核酸をリガーゼと接触させるステップと、(d)試料中のmRNAを逆転写することを可能にする条件下で、試料中のmRNAを逆転写酵素と接触させるステップと、(e)プライマーおよび必要に応じて前記第1の核酸プローブの限定された領域と実質的に相補的な第2のプローブを使用して、ステップ(c)からのライゲーション産物を定量化することによって総量を定量化するステップと、(f)前記定量化されるmRNAの領域と実質的に相補的な第3のプローブを使用して、定量化されるmRNAを定量化するステップと、(g)定量化されるmRNAの数量と、mRNAの総数量との比を決定することによって、定量化されるmRNAの数量を正規化するステップとを含む方法に関する。
【0049】
本発明は、上記の方法のいずれかを実施するためのキットにも関し、キットは、(a)試料中の核酸の限定された領域または特定のクラスの核酸と実質的に相補的な1種以上の第1の核酸プローブであって、1種以上のプライマー結合部位を含み、必要に応じて1つのプローブ結合部位を含む第1の核酸プローブと、(b)リガーゼと、(c)前記第1の核酸プローブの前記プローブ結合部位と実質的に相補的な第2の核酸プローブとを含む。
【0050】
したがって、本発明は、試料中の核酸の正規化された定量化のためのキットに関し、キットは、(a)試料中の核酸の限定された領域または特定のクラスの核酸と実質的に相補的な1種以上の第1の核酸プローブであって、1種以上のプライマー結合部位および必要に応じて1つのプローブ結合部位を含む第1の核酸プローブと、(b)リガーゼと、(c)前記第1の核酸プローブの前記プローブ結合部位と実質的に相補的な第2の核酸プローブとを含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、キットは、ポリメラーゼをさらに含む。キットは、ヌクレオチド混合物および反応バッファー(複数可)および/またはプライマーセット、および必要に応じて、ライゲーション産物を増幅し、検出するための第2のプローブもさらに含んでよい。一部の実施形態では、キットは、逆転写酵素をさらに含む。
【0052】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、試料中の定量化されるmRNAの数量を試料中のmRNAの総数量に対して正規化するためのキットに関し、キットは、試料中のmRNAのポリA配列と実質的に相補的な1種以上の第1の核酸プローブであって、1種以上のプライマー結合部位および必要に応じて1つのプローブ結合部位を含む第1の核酸プローブを含む。
【0053】
特定の実施形態では、キットは、1種以上の予め定量化された較正用核酸、前記較正用核酸を増幅するためのプライマーセットおよび前記予め定量化された核酸の配列と実質的に相補的な第1の核酸プローブをさらに含む。
【0054】
一部の実施形態では、1種以上の構成成分を、同じ反応容器内で予備混合する。
【0055】
本明細書で上に示したように、遺伝子発現の解析に関して、試料中のmRNAの定量化は、定量的リアルタイム逆転写PCR(RT−qPCR)を使用して実施することができる。RT−qPCR法では、3つのステップ:(i)RNA依存性DNAポリメラーゼ(すなわち逆転写酵素)を使用して、mRNAをcDNAに逆転写するステップ、(ii)PCRを使用してcDNAを増幅するステップ、および(iii)増幅産物をリアルタイムで検出し、定量化するステップの組み合わせを使用する。逆転写およびPCRに基づく増幅のために、dNTP(「ヌクレオチド混合物」)が反応バッファー中に存在することが必要である。本発明によるヌクレオチド混合物は、PCRにおいて使用するために適したdNTPの混合物、すなわち、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP/dUTPの混合物である。本発明の特定の実施形態に関して、これらのdNTPの相対的な量は、鋳型核酸の特定のヌクレオチド含有量に応じて適合させることができる。RT−qPCRのステップは、一段階のプロセス、または二段階のプロセスのいずれかで実施することができる。第1の場合では、逆転写およびPCRに基づく増幅は、同じ反応容器内で、例えば、Thermus thermophilus(Tth)ポリメラーゼのような内因性逆転写機能性を有するDNAポリメラーゼを利用することによって、または逆転写酵素および耐熱性DNAポリメラーゼの混合物を使用することによって実施する。二段階の設定では、RNAを逆転写するステップとDNAを増幅するステップを、別々に、例えば、異なる反応容器内で実施する。本発明による方法のステップは、例えば、マグネシウムイオンなどの塩を含む適切な反応バッファー中で行うことができる。すでに述べた通り、異なるステップは、同じバッファーおよび反応容器中で行ってよい、または、同じバッファーおよび反応容器中で行わなくてよい。RT−qPCRと対照的に、qPCRでは、逆転写は実施されず、したがって、これはRNAではなくDNAについての定量化方法である。
【0056】
RT−qPCRにおける(m)RNAの逆転写ならびにqPCRおよびRT−qPCRにおける(c)DNAの増幅には、オリゴヌクレオチド(「プライマー」)によってプライミングことが必要である。RT−qPCRを用いてmRNAを定量化する場合では、mRNAに特異的なオリゴヌクレオチド、例えば、mRNAのポリA尾部にハイブリダイズするオリゴ−dTプライマーを使用することができる。しかし、長さが異なるランダムプライマーも利用することができる。
【0057】
さらに別の実施形態では、等温性のリアルタイム増幅反応を実施することができる。遺伝子発現の解析に関して、PCRの代わりに、例えば、ヘリカーゼ依存性増幅を利用する定量的リアルタイム逆転写等温増幅を使用して、試料中のmRNAの定量化を実施することができる。そのような方法は、以下のステップを用いる:(i)RNA依存性DNAポリメラーゼ(すなわち逆転写酵素)を使用してmRNAをcDNAに逆転写するステップ、(ii)等温増幅によってcDNAを増幅するステップ、および(iii)増幅産物をリアルタイムで検出し、定量化するステップ。逆転写および等温性に基づいた増幅のために、dNTP(「ヌクレオチド混合物」)が反応バッファー中に存在することが必要である。本発明によるヌクレオチド混合物は、PCRにおいて使用するために適したdNTPの混合物、すなわち、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP/dUTPの混合物である。本発明の特定の実施形態に関して、これらのdNTPの相対的な量は、鋳型核酸の特定のヌクレオチド含有量に応じて適合させることができる。RT−等温増幅のステップは、一段階のプロセス、または二段階のプロセスのいずれかで実施することができる。第1の場合では、逆転写および等温増幅は、同じ反応容器内で、例えば、鎖を分離するためのヘリカーゼ、内因性逆転写機能性を有するDNAポリメラーゼを利用することによって、または、逆転写酵素とDNAポリメラーゼの混合物を使用することによって実施する。二段階の設定では、RNAを逆転写するステップおよびDNAを増幅するステップを、別々に、例えば、異なる反応容器内で実施する。本発明による方法のステップは、例えば、マグネシウムイオンなどの塩を含み、ATPまたはdATPまたは一本鎖結合性タンパク質などの追加的な補因子を含有してよい適切な反応バッファー中で行うことができる。すでに述べた通り、異なるステップは、同じバッファーおよび反応容器中で行ってよい、または、同じバッファーおよび反応容器中で行わなくてよい。
【0058】
さらに、等温増幅プロトコールまたは標準の定量的リアルタイムPCRプロトコールおよびキットを、本発明による手段および方法のために適合させるまたは修正することができる。
【0059】
上記の通り、リアルタイムPCR(本明細書では定量的PCRまたは定量的リアルタイムPCR(qPCR)とも称される)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、核酸を同時に増幅し定量化するための方法である。定量的リアルタイム逆転写PCR(RT−qPCR)は、RNAをDNAに、例えば、mRNAをcDNAに逆転写することをさらに含む定量的リアルタイムPCR法である。qPCRおよびRT−qPCR法では、増幅された核酸は、それが蓄積するにつれて定量化される。一般には、二本鎖DNA(dsDNA)にインターカレートする蛍光色素、例えば、臭化エチジウムもしくはSYBR(登録商法)Green I、または相補的な核酸とハイブリダイズしたときに(例えば、DNAの蓄積)蛍光を発する改変された核酸プローブ(「レポータープローブ」)を、qPCRに基づく方法における定量化のために使用する。特に、蛍光発生プライマー、ハイブリダイゼーションプローブ(例えば、LightCyclerプローブ(Roche))、加水分解プローブ(例えば、TaqManプローブ(Roche))、または分子ビーコン、Scorpionプライマー(DxS)、Sunriseプライマー(Oncor)、LUXプライマー(Invitrogen)、Amplifluorプライマー(Intergen)などのヘアピンプローブなどを、レポータープローブとして使用することができる。本発明に従って、蛍光発生プライマーまたはプローブは、例えば蛍光色素が付着、例えば、共有結合的に付着したプライマーまたはプローブであってよい。そのような蛍光色素は、例えば、FAM(5−カルボキシフルオレセインまたは6−カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、FITC、IRD−700/800、CY3、CY5、CY3.5、CY5.5、HEX、TET、TAMRA、JOE、ROX、BODIPY TMR、Oregon Green、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Texas Red、Yakima Yellow、Alexa Fluor、PET Biosearch Blue(商標)、Marina Blue(登録商標)、Bothell Blue(登録商標)、CAL Fluor(登録商標)Gold、CAL Fluor(登録商標)Red 610、Quasar(商標)670、LightCycler Red640(登録商標)、Quasar(商標)705、LightCycler Red705(登録商標)などであってよい。特定のレポータープローブは、蛍光クエンチャーをさらに含んでよい。
【0060】
本発明は、特定の核酸の数量を、参照核酸の数量に対して正規化するための、本発明の方法または本発明のキットの使用にも関する。
【0061】
さらに、本発明は、遺伝子発現解析のための、本発明の方法または本発明のキットの使用にも関する。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
mRNA上でのオリゴヌクレオチドプローブの環状化
試料中に含有されるメッセンジャーRNAの最初の量に正比例する増幅標的を生成するために、
図1に示されているとおりの、
図4に示されている配列を有するプローブ分子を供給する。
【0063】
オリゴヌクレオチドの5’末端および3’末端におけるポリ(T)配列がmRNAのポリ(A)部分とハイブリダイズする。これらの配列が、mRNA標的鋳型とヘッドトゥテール配置でハイブリダイズしている場合、リガーゼによって末端をつなぎ合わせ、この環状化されたDNAに特異的なプライマーを用いて増幅することができる、共有結合によって閉じた一本鎖の標的核酸を創製することができる。
【0064】
mRNA標的上でのプローブの環状化は、以下の実験条件に従って行った:80ng、40ngまたは20ngのいずれかの白血球RNAを、それぞれT4リガーゼ1μl、T4リガーゼライゲーションバッファー4μl、水6μlと混合し、最終的な反応容積20μl中、室温で60分間インキュベートした。標的RNAを含まない陰性対照を含めた。各反応物は、0.1μMまたは0.01μMのいずれかの、
図4に示されているオリゴヌクレオチドも含有した。
【0065】
(実施例2)
試料のmRNA含有量を示す環状化された標的オリゴヌクレオチドの増幅
環状化された標的オリゴヌクレオチドの増幅を、実施例1に記載のライゲーション反応物を用いて行った。ライゲーション反応物を、1:10または1:100のいずれかに希釈し、これらの希釈物2μlを、最終的な容積20μl中、2×QuantiFast SYBR Green PCR Kit Master Mix(QIAGEN)、および濃度1μMのプライマーを含有する増幅反応に供した。プライマー配列は以下の通りであった:プライマー1:5’−tggaggtccattaaagccaagtt−3’およびプライマー2:5’−tggtgccatgtaaggatgaatgt−3’。95℃で5分間のホットスタートポリメラーゼ再活性化ステップの後、サイクルのプロトコールは、95℃で10秒間および60℃で30秒間の40サイクルからなった。シグナルを、ABI PRISM 7500 Sequence Detection Instrumentにおいて、dsDNAに特異的な結合色素であるSYBR Green Iを使用した、反応物のリアルタイムモニタリングを用いて検出した。あるいは、
図1の青色の配列と相補的な配列特異的な蛍光標識プローブも、検出のために使用することができる。表1に示されているデータにより、元のRNA投入量に比例する閾値サイクル数(Ct)値(2倍の鋳型の希釈物により、およそ1Ctのシフトが生じる)が明白に示され、これは、メッセンジャーRNA分子のポリ(A)部分とハイブリダイズしている一本鎖オリゴヌクレオチドの環状化および検出を利用して、試料中に含有されるmRNAの量を検出することができ、したがって、全体の遺伝子発現レベルを試料の総mRNA含有量に対して正規化するためのツールとして利用することができることを実証している。標的RNAが存在しないもの(NTC)では、シグナルは検出されない。全ての増幅反応を3回実施し、平均Ct値を算出した。
【0066】
(表1:異なるRNA濃度に対する実験的なCt値)
【0067】
【表1】