【解決手段】粉塵所構造100は、フレーム101,102と、フレーム101とフレーム102との間に配置された、正に帯電可能な複数の長手部材110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122と、負に帯電可能な複数の長手部材130,131,132,133,134,135,136,137,138,139,140,141とを備える。正に帯電可能な長手部材と負に帯電可能な長手部材とは、交互に配置されている。粉塵除去構造100をパルプ材(たとえば、ティッシュペーパー)その他の拭き取り素材で摩擦すると、アクリル素材はプラスに帯電し、スチレン素材はマイナスに帯電する。
前記疎水性の拭き取り素材は、パルプ、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタン、羊毛、シルクまたは豚毛のいずれかを含む、請求項5に記載の粉塵除去セット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
花粉除去紙の通気性の確保のためには、花粉が付着した花粉除去紙の表面を拭う必要がある。しかしながら、特許文献1に開示された技術によると、表面を拭うことにより花粉その他の粒子がむしろ表面に形成されている窪みあるいは開口部にはまり込んでしまい、通気性が低下する恐れもある。
【0005】
また、水洗いという方法も考えられるが、花粉除去紙の繊維質の乱れにより、花粉の除去能力の低下あるいは花粉除去紙自体の劣化の恐れもある。
【0006】
したがって、通気性の低下が抑制される技術が必要とされている。また、花粉その他の粉塵の除去能力の低下あるいは耐久性の低下が防止される技術が必要とされている。
【0007】
本開示は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、ある局面における目的は、通気性の低下が抑制される粉塵除去構造を提供することである。他の局面における目的は、耐久性あるいは粉塵の除去能力の低下が抑制される粉塵除去構造を提供することである。
【0008】
他の局面における目的は、通気性の低下が抑制される粉塵除去セットを提供することである。他の局面における目的は、耐久性あるいは粉塵の除去能力の低下が抑制される粉塵除去構造を提供することである。
【0009】
さらに他の局面における目的は、通気性の低下を抑制しつつ粉塵を除去するための方法を提供することである。他の局面における目的は、耐久性あるいは粉塵の除去能力の低下を抑制しつつ粉塵を除去する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施の形態に従う粉塵除去構造は、正に帯電する複数の第1長手部材と、負に帯電する複数の第2長手部材とを備える。各第1長手部材と各第2長手部材とは、平行に、交互に配置されている。
【0011】
他の実施の形態に従う粉塵除去構造は、正に帯電する複数の第1長手部材と、負に帯電する複数の第2長手部材とを備える。複数の第1長手部材と複数の第2長手部材とは、網目状に交差している。
【0012】
好ましくは、第1長手部材は、ナイロン、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ウール、変性ポリエチレンテレフタラートのいずれかを含む。第2長手部材は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ウレタンのいずれかを含む。
【0013】
他の実施の形態に従うと、粉塵除去セットが提供される。この粉塵除去セットは、上記のいずれかに記載の粉塵除去構造と、当該粉塵除去構造をふき取るための疎水性の拭き取り素材とを備える。
【0014】
好ましくは、疎水性の拭き取り素材は、パルプ、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ウレタン、羊毛、シルクまたは豚毛のいずれかを含む。
【0015】
好ましくは、粉塵除去セットは、疎水性の拭き取り素材が表面に設けられた二つのロール部材をさらに備える。粉塵除去構造は、ロール状に券回可能であり、かつ、二つのロール部材のそれぞれの回転によって引き出され、または、巻き戻されるように構成されている。
【0016】
他の実施の形態に従うと、粉塵を除去するための方法が提供される。この方法は、正に帯電する複数の第1長手部材の各々と、負に帯電する複数の第2長手部材の各々とを平行に、交互に配置するステップと、各第1長手部材を正に帯電させるステップと、各第2長手部材を負に帯電させるステップとを含む。
【0017】
他の実施の形態に従うと、粉塵を除去するための方法が提供される。この方法は、正に帯電する複数の第1長手部材の各々と、負に帯電する複数の第2長手部材の各々とを、網目状に交互に配置するステップと、各第1長手部材を正に帯電させるステップと、各第2長手部材を負に帯電させるステップとを含む。
【0018】
好ましくは、当該方法は、疎水性の拭き取り素材が表面に設けられた二つのロール部材を配置するステップをさらに備える。各第1長手部材を正に帯電させるステップは、各第1長手部材を二つのロール部材の間に送るステップを含む。各第2長手部材を負に帯電させるステップは、各第2長手部材を二つのロール部材の間に送るステップを含む。
【0019】
好ましくは、当該方法は、各第1長手部材を正に帯電させるために送る方向とは逆の方向に各第1長手部材を送ることにより、各第1長手部材を除電するステップと、各第2長手部材を負に帯電させるために送る方向とは逆の方向に各第2長手部材を送ることにより、各第2長手部材を除電するステップとをさらに含む。
【0020】
好ましくは、複数の第1長手部材および複数の第2長手部材は、線状部材、棒状部材または板状部材を含む。
【0021】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
[概要]
図1を参照して、第1の実施の形態に係る粉塵除去構造100について説明する。
図1は、粉塵除去構造100の概略を表す図である。ある局面において、粉塵除去構造100は、マスク、簾、シェイド(巻き上げ式カーテン)その他のフィルタとして実現される。
【0025】
正面方向(A)から明らかなように、粉塵除去構造100は、フレーム101,102と、フレーム101とフレーム102との間に配置された、正に帯電可能な複数の長手部材110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122と、負に帯電可能な複数の長手部材130,131,132,133,134,135,136,137,138,139,140,141とを備える。正に帯電可能な長手部材と負に帯電可能な長手部材とは、交互に配置されている。
【0026】
なお、本開示における長手部材とは、たとえば、線状部材、棒状部材または板状部材等を含む。板状部材とは、気流の進行方向が面状に構成されている部材ともいえる。
【0027】
横方向(B)から明らかなように、ある局面において、フレーム101には複数の空孔が形成されている。各長手部材は、空孔にそれぞれ挿入されている。フレーム102でも同様に構成されている。
【0028】
正に帯電可能な複数の長手部材110,111,112,113,114,115,116,117,118,119,120,121,122は、たとえば、アクリル素材である。負に帯電可能な複数の長手部材130,131,132,133,134,135,136,137,138,139,140,141は、たとえば、スチレン素材である。粉塵除去構造100をパルプ材(たとえば、ティッシュペーパー)その他の拭き取り素材で摩擦すると、アクリル素材はプラスに帯電し、スチレン素材はマイナスに帯電する。
【0029】
(微粒子の捕捉)
正負の電荷を誘電体(正または負に帯電可能な複数の長手部材)に高チャージさせるため、隙間を通過する帯電粒子はその帯電状態に係わらず必ず引き寄せられ、帯電している長手部材に付着する。このとき、各長手部材の間隔が大きく、かつ、空気の流れが速いと、帯電粒子は帯電している長手部材に引き寄せられるが、帯電粒子の軌道が変わる程度で大きな間隙をすり抜ける可能性がある。そこで、長手部材の間隔は、数ミリ以内が望ましい。
【0030】
また、帯電している長手部材の近くに他の導体がある場合、正に帯電した長手部材と負に帯電した長手部材との距離が近いと電気力線は導体に逃げずに、長手部材間における正負の強い電界は保たれる。すなわち、粉塵除去構造100を人体のような導体の近くで使用することを想定すると、粉塵除去構造100を有するマスクを顔面から数ミリ離すだけで、粉塵の吸着効果は達成される。たとえば、粉塵除去構造100のフレーム101,102を樹脂製のフレームとすることにより、顔面から長手部材が離れるような構成とすればよい。
【0031】
正に帯電可能な長手部材は、上記のものに限られず、たとえば、ナイロン、アクリル、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ウール、変性ポリエチレンテレフタラートのいずれかであってもよい。
【0032】
負に帯電可能な長手部材は、上記のものに限られず、たとえば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、ウレタンのいずれかであってもよい。
【0033】
なお、素材は同じでもアクリルのように板状の材料とアクリル繊維では仕事関数の違いから電荷の移動が必ず生じる。両者を摩擦や接触させると、いずれも帯電する。同一素材であっても添加材の違いや形状に違いがある場合には、各素材は、摩擦や接触すると帯電する。
【0034】
上記の帯電可能な長手部材のような素材と、拭き取り素材とを組み合わせた場合には、正負の帯電はほぼ得られるが、必ずしも同じ方向(正側,負側)に帯電するとは限らないため帯電状態を確認することが好ましい。一般的に市販されている素材を用いて疎水性の拭き取り素材で確認した結果、上記の正の帯電と負の帯電は、問題なく得られる。
【0035】
拭き取り素材は、疎水性のものが好ましい。拭き取り素材は、上述のパルプ材に限られず、たとえば、綿布、ポリエステル布、ナイロン布、アクリル布、ウレタン、羊毛、シルクまたは豚毛等であってもよい。
【0036】
より具体的には、拭き取り素材は、少し厚めの布で起毛タイプが好ましい。たとえば、起毛した布の厚さが1mm〜5mm程度であることが好ましい。
【0037】
また、帯電可能な素材の面に対して拭き取り素材を出来るだけ多く摩擦させることが望ましい。たとえば、拭き取り素材と帯電可能な素材とが軽く擦れるだけでは、摩擦の有効面積が少なく摩擦圧が小さくなるため、帯電可能な素材は、高帯電しない可能性がある。起毛した素材は厚手の柔らかい素材は、帯電可能な素材からなる粉塵除去構造の形状になじみやすいため、摩擦の有効面積が大きくなり、また、摩擦圧を高くすることができる。そこで、上述のような拭き取り素材が望ましい。
【0038】
また、拭き取り素材としては、粉塵除去構造の形状や素材の凸凹になじみやすい厚手の布又はブラシがより好ましい。材質に応じて異なるが、拭き取り素材は、帯電に必要な摩擦圧が粉塵除去構造に伝わる程度の厚みを有すればよい。
【0039】
[技術思想]
図2および
図3を参照して、本実施の形態に係る技術思想について説明する。
図2は、粉塵除去構造100における電気力線のシミュレーションを表す図である。
【0040】
図2(A)に示されるように、プラスとマイナスの電荷が近距離で交互にあると、電気力線は、外部にあまり影響を与えず、近距離にある逆帯電素材(正に帯電している長手部材と負に帯電している長手部材)との間に強い電界を生じる。その間を通過しようとする帯電粒子は、強い電界により引き寄せられ、さらに、帯電素材間の幅が狭いため、その間をすり抜けにくくなる。そして、粉塵除去構造100から離れた場所にマイナスに帯電した電荷があったとしても、粉塵除去構造100は、その電荷を引き寄せにくい。したがって、本実施の形態に係る粉塵除去構造100は、各長手部材の間を通過しようとする粒子捕捉能力が高い構造といえる。
【0041】
なお、
図2(B)に示されるように、一種類の電荷が存在している場合(たとえば、プラスの極性の場合)、電気力線は、電荷の周辺まで伸びやすくなる。そのため、電気力線は、離れた場所に存在している負の帯電粒子にも影響を及ぼし、不要なもの(長手部材間を通過するはずのないもの、除去する必要がないもの)を引き寄せることになる。
【0042】
図3は、帯電させた誘電体の電界に別の電荷が近付いた場合を表す図である。
図3(A)を参照して、ある局面において、長手部材は正に帯電している。このとき、仮想位置300における電気力線の数は15である。
【0043】
図3(B)を参照して、正に帯電している長手部材に対して、他の電荷(たとえば、人体のようなグランド、または金属体)が近付くと、電気力線の数が少なくなり(たとえば、15から8)、電気力線の間隔が広がり、電界強度も落ちる。
【0044】
これに対して、
図3(C)を参照して、正に帯電した長手部材と負に帯電した長手部材とが交互に配置されている場合には、他の電荷が近付くと、
図3(D)に示されるように、電気力線の本数は減少するが、電気力線の間隔は大きく変わらないため、電界強度は維持される。
【0045】
[マスク400]
図4およびを参照して、粉塵除去構造100の一例について説明する。
図4は、粉塵除去機能を備えるマスク400の外観を表す図である。
図5は、マスク400がユーザに装着された状態を表す図である。
【0046】
図4に示されるように、マスク400は、フレーム101,102と、正に帯電可能な複数の長手部材410,411・・・と、負に帯電可能な複数の長手部材430,431・・・とを備える。正に帯電可能な長手部材と負に帯電可能な長手部材とは、交互に配置されている。
【0047】
図1に示される粉塵除去構造100と同様に、正に帯電可能な複数の長手部材は、たとえば、アクリル素材である。負に帯電可能な複数の長手部材は、たとえば、スチレン素材である。ユーザが、マスク400の表面をパルプ材(たとえば、ティッシュペーパー)で摩擦すると、アクリル素材はプラスに帯電し、スチレン素材はマイナスに帯電する。
【0048】
したがって、
図5に示されるように、ユーザが、帯電したマスク400を装着すると、粉塵がマスク400の表面に引き寄せられるため、口への侵入が抑制される。
【0049】
[粒子吸着]
ここで、
図6を参照して、本実施の形態に係る粉塵除去構造による粒子の吸着について説明する。
図6は、粒子の吸着を検証する装置600の構成を表す図である。
【0050】
図6(A)に示されるように、装置600は、筺体としてのアクリルカバー610と、カバー扉620とを備える。筺体の内部には、粉塵計630が配置されている。粉塵計630は、採気口640を含む。採気口640には、実験用のすだれ650が配置される。すだれ650は、
図1に示されるような粉塵除去構造を有する。すなわち、正に帯電可能な長手部材と、負に帯電可能な長手部材とが交互に配置されている。
【0051】
粉塵計630の出力は、データロガー660に入力される。データロガー660の出力は、周知の構成を有するパーソナルコンピュータ670に入力される。
【0052】
図6(B)に示されるように、装置600の正面の下部に設けられた開口部に、煙草680が挿入される。煙草680の煙は、簾650を介して採気口640に到達する。粉塵計630は、採気口640から侵入する粒子の量を検出する。なお、下部から煙草680を挿入するのは、カバー扉620の開閉を避けるためである。カバー扉620が開閉されないと、装置600の内部の気流が乱れにくくなるため、検出の誤差が小さくなる。
【0053】
たとえば、ある局面において、粉塵計630の出力電圧値が1.0Vを下回った時点から、パーソナルコンピュータ670は、出力電圧値の監視を10分間程度行なう。採気口640の前に帯電した簾650がない状態と、帯電した簾650が採気口640の前にある状態とで、計測を行ない、粉塵計630の出力の相違を確認する。
【0054】
[実験結果]
図7〜
図11を参照して、装置600を用いた実験結果について説明する。
図7は、粉塵計630の採気口640の前に実験用の簾650を置いた場合に得られたデータを表す図である。
【0055】
図7(A)に示されるように、1回目の測定結果は、グラフ710として示される。
図7(B)に示されるように、2回目の測定結果は、グラフ720として示される。
図7(C)に示されるように、3回目の測定結果は、グラフ730として示される。
図7(D)に示されるように、4回目測定結果は、グラフ740として示される。
【0056】
図8は、粉塵計630の採気口640の前に実験用の簾650を置かない場合に得られたデータを表す図である。
【0057】
図8(A)に示されるように、1回目の測定結果は、グラフ810として示される。
図8(B)に示されるように、2回目の測定結果は、グラフ820として示される。
図8(C)に示されるように、3回目の測定結果は、グラフ830として示される。
図8(D)に示されるように、4回目測定結果は、グラフ840として示される。
【0058】
図9は、簾650を採気口640の前に置いた場合に得られた結果(
図7)の平均値を表す図である。
図10は、簾650を採気口640の前に置かない場合に得られた結果(
図8)の平均値を表す図である。
図11は、
図9および
図10に示されるグラフを重ねた図である。
【0059】
図9を参照して、平均値を示すグラフ900に示されるように、時間1Tに至るまでに、電圧値が0.9V程度から0.4V程度まで低下している。一方、
図10を参照して、平均値を示すグラフ1000に示されるように、電圧値は、時刻2Tまでは増減を繰り返しながら減少し、その後逓減している。したがって、
図11を参照して、グラフ900とグラフ1000との対比からも明らかなように、簾650による粒子の吸着の効果が認められる。
【0060】
<第2の実施の形態>
図12を参照して、第2の実施の形態に係る粉塵除去構造1200について説明する。
図12は、粉塵除去構造1200の概観を表す図である。粉塵除去構造1200は、たとえば、カーテンまたは簾として実現される。
【0061】
粉塵除去構造1200は、フレーム101,102を備える。フレーム101とフレーム102との間には、正に帯電可能な長手部材1210,1211,1212,1213,1214,1215と、負に帯電可能な長手部材1220,1221,1222,1223,1224とが、交互に配置されている。
【0062】
正に帯電可能な長手部材1210,1211,1212,1213,1214,1215は、たとえば、ナイロン素材、あるいは、アクリル素材で構成される。負に帯電可能な長手部材1220,1221,1222,1223,1224は、塩化ビニール素材、またはポリプロピレン素材で構成される。
【0063】
<第3の実施の形態>
図13を参照して、第3の実施の形態に係る粉塵除去構造1300について説明する。
図13は、格子状に構成された粉塵除去構造1300を表す図である。
【0064】
ある局面において、粉塵除去構造1300は、正に帯電可能な複数の長手部材1310と、負に帯電可能な複数の長手部材1320とを備える。正に帯電可能な複数の長手部材1310は、たとえば、ナイロン素材またはアクリル素材によって実現される。負に帯電可能な複数の長手部材1320は、たとえば、塩化ビニール素材またはポリプロピレンによって実現される。
【0065】
<第4の実施の形態>
図14を参照して、第4の実施の形態に係る粉塵除去構造について説明する。
図14は、第4の実施の形態に係る粉塵除去構造を有する粉塵除去セットの概要を表す図である。第4の実施の形態に従うと、粉塵除去構造と、当該粉塵除去構造をふき取るための疎水性の拭き取り素材とを備える粉塵除去セットが提供される。
【0066】
より具体的には、粉塵除去セットは、粉塵除去構造を有する巻き取り式カーテン1410と、ローラ1420,1430とを備える。ローラ1420,1430は、粉塵除去構造をふき取るための疎水性の拭き取り素材からなる。ローラ1420,1430は、それぞれの回転によって、巻き取り式カーテン1410を降ろし、あるいは、引き上げる。疎水性の拭き取り素材は、たとえば、パルプ、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリルのいずれかで実現される。
【0067】
図14(A)に示されるように、巻き取り式カーテン1410は、正に帯電可能な長手部材1411a,1411b,1411c・・・(以下、長手部材1411と総称する。)と、負に帯電可能な長手部材1412a,1412b,1412c・・・(以下、長手部材1412と総称する。)とを備える。第1の実施の形態の場合と同様に、正に帯電可能な長手部材と、負に帯電可能な長手部材とが交互に配置される。巻き取り式カーテン1410は、帯電または除電のためのローラ1420,1430の間を通るように配置される。ローラ1420,1430は、その表面の一部が、パルプ材(たとえば、ティッシュペーパー)のような素材で構成されている。
【0068】
図14(B)に示されるように、ある局面において、巻き取り式カーテン1410がローラ1420,1430の間を通過すると、ローラ1420,1430による摩擦によって、長手部材1411は正に帯電し、長手部材1412は負に帯電する。このとき、ローラ1420,1430の表面も帯電する。その結果、巻き取り式カーテン1410が降りている間は、長手部材1411,1412によって粒子が吸着され易くなるので、窓が開いていた場合であっても、粉塵その他の粒子が室内に侵入することが防止される。
【0069】
その後、
図14(C)に示されるように、巻き取り式カーテン1410が巻き上げられると、ローラ1420,1430が逆回転する。このとき、正に帯電している長手部材1411は負に帯電しているローラ1420,1430の一部と接触し、除電される。同様に、負に帯電している長手部材1412は正に帯電しているローラ1420,1430の一部と接触し、除電される。
【0070】
[変形例]
他の局面において、粉塵除去構造を用いて粉塵を除去するための方法が提供され得る。この方法は、正に帯電する複数の第1長手部材の各々と、負に帯電する複数の第2長手部材の各々とを平行に、交互に配置するステップと、各第1長手部材を正に帯電させるステップと、各第2長手部材を負に帯電させるステップとを含む。
【0071】
他の実施の形態に従う、粉塵を除去するための方法は、正に帯電可能な複数の第1長手部材の各々と、負に帯電可能な複数の第2長手部材の各々とを、網目状に交互に配置するステップと、各第1長手部材を正に帯電させるステップと、各第2長手部材を負に帯電させるステップとを含む。
【0072】
他の局面において、当該方法は、疎水性の拭き取り素材が表面に設けられた二つのロール部材を配置するステップをさらに備える。各第1長手部材を正に帯電させるステップは、各第1長手部材を二つのロール部材の間に送るステップを含む。各第2長手部材を負に帯電させるステップは、各第2長手部材を二つのロール部材の間に送るステップを含む。
【0073】
他の局面において、当該方法は、各第1長手部材を正に帯電させるために送る方向とは逆の方向に各第1長手部材を送ることにより、各第1長手部材を除電するステップと、各第2長手部材を負に帯電させるために送る方向とは逆の方向に各第2長手部材を送ることにより、各第2長手部材を除電するステップとをさらに含む。
【0074】
上記の各ステップは、たとえば、粉塵除去構造の一例である巻き取り式カーテン1410を設置するデパートその他の商業施設、医療機関、工場の使用者または粉塵除去構造の設置者またはメンテナンス業者によって行なわれる。
【0075】
<まとめ>
本実施の形態に係る粉塵除去構造によると、繊維質の部材が粉塵除去構造に用いられないため、通気性の低下を抑制しつつ粉塵を除去することができる。また、耐久性あるいは粉塵の除去能力の低下を抑制しつつ粉塵を除去することができる。
【0076】
本実施の形態に係る粉塵除去構造は、たとえば、マスク、カーテン、ブラインド、ベビーカーのフード、アウトドア用ネット、クリーンルームの入り口等に適用可能である。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。