特開2015-393(P2015-393A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ 濱中 健一の特許一覧

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  • 特開2015000393-汚泥脱水設備 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-393(P2015-393A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】汚泥脱水設備
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/12 20060101AFI20141202BHJP
   B01D 29/62 20060101ALI20141202BHJP
   B01D 36/02 20060101ALI20141202BHJP
   B01D 36/04 20060101ALI20141202BHJP
   B01D 29/39 20060101ALI20141202BHJP
【FI】
   C02F11/12 DZAB
   B01D29/38 570C
   B01D36/02
   B01D36/04
   B01D29/34 510Z
   B01D29/34 520B
   B01D29/34 530A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-127560(P2013-127560)
(22)【出願日】2013年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】513153813
【氏名又は名称】濱中 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100089222
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 康伸
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100175400
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 伸
(72)【発明者】
【氏名】濱中 健一
【テーマコード(参考)】
4D059
4D066
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059AA09
4D059BE05
4D059BE14
4D059BE16
4D059BE46
4D059BE51
4D059CB01
4D066AA06
4D066AB06
4D066BA03
4D066BA05
4D066BB14
4D066BB21
4D066BB30
4D066FA05
(57)【要約】
【課題】短時間で効率良く脱水処理できる汚泥脱水設備を提供する。
【解決手段】沈殿槽1とフィルタープレス2との間に濃縮槽3が介在されており、濃縮槽3は、沈殿槽1から供給された薄濁水を清水と濁水に分離し、濁水をフィルタープレス2に供給する分離装置5を備えている。分離装置5は、濃縮槽3の槽内に設置されたフィルター6と、フィルター6を通過した清水を吸引して排出する吸引部とからなり、フィルター6は、基板64と網材65と濾布66をその順で固定する押え枠とからなる。分離装置5は、機枠から複数個のフィルター6を吊り下げて構成されており、機枠には振動発生器54を取付けている。分離装置5によって薄濁水から清水を取り出し残った濃度の濃い濁水のみをフィルタープレス2で脱水するので、原水に凝集剤を添加していなくても効率よく脱水処理でき短時間で作業することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
沈殿槽とフィルタープレスとの間に濃縮槽が介在されており、
前記濃縮槽は、前記沈殿槽から供給された薄濁水を清水と濁水に分離し、濁水を前記フィルタープレスに供給する分離装置を備えている
ことを特徴とする汚泥脱水設備。
【請求項2】
前記分離装置は、前記濃縮槽の槽内に設置されたフィルターと、該フィルターを通過した清水を吸引して排出する吸引部とからなり、
前記フィルターは、基板と網材と濾布をその順で固定する押え枠とからなる
ことを特徴とする請求項1記載の汚泥脱水設備。
【請求項3】
前記分離装置は、機枠から複数個の前記フィルターを吊り下げて構成されており、前記機枠には振動発生器を取付けている
ことを特徴とする請求項2記載の汚泥脱水設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥脱水設備に関する。さらに詳しくは、土木工事等の現場で生じる泥を含んだ排水を脱水処理したり、川の水を浄化処理する際に泥分を脱水ケーキにして運搬廃棄しやすくするための汚泥脱水設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より汚泥の脱水処理には、原水に凝集剤を添加してフロックを生成することにより清水と泥分をできるだけ分離した状態にして行っている(特許文献1〜3)。
このように凝集剤を使用すると汚泥分が集まった状態で原水中に存在するので、清水の排出が効率よく行われる。
【0003】
しかるに、凝集剤の使用は、環境衛生を害することがあるので、現在は使用を止める傾向にある。
ところが、凝集剤を使わない場合は、清水と泥分が混在したままであり、濁水の処理に長時間かかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−323506号公報
【特許文献2】特開2010−264368号公報
【特許文献3】特開2012−115770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、短時間で効率良く脱水処理できる汚泥脱水設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の汚泥脱水設備は、沈殿槽とフィルタープレスとの間に濃縮槽が介在されており、前記濃縮槽は、前記沈殿槽から供給された薄濁水を清水と濁水に分離し、濁水を前記フィルタープレスに供給する分離装置を備えていることを特徴とする。
第2発明の汚泥脱水設備は、第1発明において、前記分離装置は、前記濃縮槽の槽内に設置されたフィルターと、該フィルターを通過した清水を吸引して排出する吸引部とからなり、前記フィルターは、基板と網材と濾布をその順で固定する押え枠とからなることを特徴とする。
第3発明の汚泥脱水設備は、第2発明において、前記分離装置は、機枠から複数個の前記フィルターを吊り下げて構成されており、前記機枠には振動発生器を取付けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、分離装置によって薄濁水から清水を取り出し残った濃度の濃い濁水のみをフィルタープレスで脱水するので、原水に凝集剤を添加していなくても効率よく脱水処理でき短時間で作業することができる。
第2発明によれば、フィルターは基板と押え枠からなる平板状部材を用いるので容易に大面積のものにでき、濾過面積を広くとれるので清水と濁水の分離効率が高くなる。
第3発明によれば、振動発生器により機枠を振動させると、吊り下げられているフィルターも大きく振動する。するとフィルターの表面に付着している泥分が振り落とされるので、目詰まりが解消され、長時間にわたって効率のよい運転ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る汚泥脱水設備における分離装置の側面図である。
図2図1の分離装置の正面図である。
図3】(A)はフィルターの正面図、(B)はフィルターの分解側面図である。
図4図3におけるIV-IV線拡大断面図である。
図5】本発明の汚泥脱水設備の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図5に示すように、本実施形態の汚泥脱水設備は沈殿槽1とフィルタープレス2との間に濃縮槽3を備えたものである。本発明の特徴は、濃縮槽3を介在させた点にある。
【0010】
沈殿槽1は、汚泥を含んだ原水を注水パイプで導入し、槽内底部に泥分を沈殿させている。本明細書でいう原水は凝集剤を添加してないものであり、原水中の泥分がフロック状にはなっていない。
沈殿槽1は槽内に汚泥引抜きポンプ11を備えており、泥分の多い薄濁水は汚泥引抜ポンプ11で吸い上げられ、汚泥パイプ12によって濃縮槽3に供給される。
【0011】
フィルタープレス2は、直列に開閉自在に並べた複数枚の濾板を有し、各濾板の間に2枚ずつの濾布を挟んだ公知のものである。濾板群の一端の受入れ口21に汚泥給送パイプ22を接続し、汚泥を圧送すると、泥は2枚の濾布によってこされ、水分は濾布からにじみ出て図示しない濾液槽に集められ、脱水されて残った泥は濾布の間に溜められた状態になる。ここで、複数枚の濾板同士の間を開くと、泥が固まった状態で濾布から離れて落下する。この固まった泥が脱水ケーキと云われるものである。
【0012】
濃縮槽3は、できるだけ濃度の濃い濁水の状態にして前記フィルタープレス2に供給するための設備である。この濃縮槽3は、タンク4と分離装置5を備えている。タンク4には沈殿槽1内の薄濁水が汚泥引抜きポンプ11から供給されて貯えられる。また、タンク4内には濁水を吸引してフィルタープレス2に圧送する濁水圧送ポンプ23が備えられている。
【0013】
分離装置5は、タンク4内の薄濁水を清水と濁水に分離し、清水を外部に排水する装置である。13は清水を沈殿槽1に返送する供給パイプである。
【0014】
つぎに、分離装置5の詳細を説明する。
図1および図2に示すように、分離装置5は、タンク4の上面に設置した基礎枠51を有し、この基礎枠51の上面に取付枠52が防振ゴム53を介して設置されている。この取付枠52は平面視で四角形の枠材である。
【0015】
また、取付枠52には適宜の取付け台(図示省略)を介して振動モータ54が取付けられている。振動モータ54は重心が偏心した円盤を回転させて振動を発生する公知のものを、とくに制限なく使用できる。
【0016】
取付枠52からはフィルター6が複数個吊り下げられている。図では12個のフィルター6が2列計24個用いられているが、その使用個数は任意である。
フィルター6は、タンク4内の薄濁水から清水を抜きとるものである。このフィルター6を介して清水を吸引し外部に排出するための排出ポンプ7が基礎枠51上に設置されている。8はフィルター6と排出ポンプ7とをつなぐホースやパイプである。
【0017】
図3に示すように、フィルター6は吊下げ部とフィルター部とからなる。
吊下げ部は水平に延びる掛け渡し材61と、これに連結され、かつ垂直に延びる2本の吊下げ材62とからなる。掛け渡し材61は図2に示すように取付枠52に引っ掛けられる。フィルター部は2本の吊下げ材62の下部に固定されている。
フィルター6は、基板64と網材65と濾布66と、これらをその順で固定する押え枠67とからなる。
図示の例では、1枚の基板64の両側にそれぞれ1枚の網材65を取付け、さらにその上に濾布66を配置している。そして、これらを2枚の押え枠67,67で挟み、ボルト・ナット等で固定している。
【0018】
フィルター6の基板64は四角形であり、厚板の金属板である。厚板を用いたのは後述する連通孔72を穿孔するためであり、この観点からは10〜15mm位の厚さを有することが好ましい。
網材65は基板64と同じか少し小さいサイズのもので、合成樹脂製の細紐を編んだものか、1枚物のシートに多孔加工を施したものが代表的に用いられる。この網材65を用いる目的は基板64と濾布66との間に隙間を作り被処理水を通せるようにすることにある。網材65の基板64に対する取付けは、基板64の適所に孔をあけ紐を通してくくりつける等の任意の手段をとればよい。
【0019】
濾布66は基板64と同じサイズの四角形に仕上げられた公知の濾過材である。
押え枠67は、四辺を細幅の金属帯で製作された枠体であり、所々にボルト挿通用の孔が穿孔されている。
この押え枠67を2枚用いると、基板64の両側に2枚の網材65と2枚の濾布66を置いて、それらの両側から押え枠67で挟んでボルト等で固定することで広面積のフィルター6を構成することができる。
とくに本発明では、基板64も網材65も濾布66も四角形であるので、広い面積確保が可能であり、濁水分離効率の向上に効果が高いという利点を奏する。
【0020】
図3に示すようにフィルター6の一側部には清水の取出口70が形成されている。この取出口70の詳細を図4に基づき説明する。
基板64における四辺には厚肉の縁材64eが取付けられている。この縁材64eの1カ所には横孔71が形成されている。また、基板64の横孔71に連通する位置で連通孔72が形成されている。また、横孔71の先にはソケット73が取付けられ、ホース8が連結できるようになっている。
前記押え枠67,67は縁材64eの上から濾布66を挟み付けて固定している。また、2枚の押え枠67,67はボルト68とナット69で閉じ合わされている。
【0021】
つぎに、本発明における脱水処理方法を図1および図5に基づき説明する。
前記取出口70から排出ポンプ7で吸引すると、タンク4内の薄濁水が吸込まれようとするが、濾布66で濾過された清水のみが連通孔72と横孔71を通ってパイプ8へ向けて吸い出される。一方、泥分は濾布66の外側に残ることになる。
このため、タンク4内の薄濁水は清水と濁水に分離され、分離された濁水はタンク4内の底の方に貯えられる。
このようにして濃度が濃くなった濁水を濁水圧送ポンプ23でフィルタープレス2に供給すると、フィルタープレス2で脱水処理が行われる。この場合、濃度が濃いので、脱水ケーキを作るための処理時間は短くなる。
【0022】
タンク4内の被処理水が少なくなり、フィルター6が露出すると、振動モータ54を起動するとフィルター6が振動して、濾布66に付着している泥分がはらい落とすとよい。
なお、フィルター6が水没している状態で振動させても、ある程度の泥分は濾布66から分離させることができる。
このようにして濾布66の目詰まりを防止し、かつタンク4内の濁水濃度を高めるようにすると、濁水分離が能率よく行われる。
【0023】
以上のように本発明によれば、分離装置5によって薄濁水から清水を取り出し残った濃度の濃い濁水のみをフィルタープレス2で脱水するので、原水に凝集剤を添加していなくても効率よく脱水処理でき短時間で作業することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 沈殿槽
2 フィルタープレス
3 濃縮槽
4 タンク
5 分離装置
6 フィルター
7 排出ポンプ
64 基板
65 網材
66 濾布
67 押え枠
70 取出口
図1
図2
図3
図4
図5