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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-3939(P2015-3939A)
(43)【公開日】2015年1月8日
(54)【発明の名称】熱可塑性複合材の成型方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/12 20060101AFI20141205BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20141205BHJP
【FI】
   C08J5/12
   B29C43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-128166(P2013-128166)
(22)【出願日】2013年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】510044132
【氏名又は名称】捷欣企業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 水木
【テーマコード(参考)】
4F071
4F204
【Fターム(参考)】
4F071AA13
4F071AA22
4F071AA35
4F071AA53
4F071AA75
4F071CA01
4F071CB06
4F071CB09
4F071CC02
4F071CD04
4F204AA29
4F204AA31
4F204AA45
4F204AA47
4F204AB12
4F204AD16
4F204AF01
4F204AG05
4F204AM28
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB11
4F204FE18
4F204FF05
4F204FF23
4F204FH06
4F204FJ09
4F204FN11
4F204FN15
(57)【要約】
【課題】従来技術における、熱可塑性フィルムと布材との結合性に劣り、熱可塑性フィルム上に形成されるパターンが明確でなく、熱可塑性複合材の構造を多様化できない問題を解決することができる熱可塑性複合材の成型方法を提供する。
【解決手段】本発明の熱可塑性複合材の成型方法は、熱可塑性フィルム10及び布材20を所定の形状に裁断するステップと、成型機の載置台30の上面に熱可塑性フィルム10を貼合層12を上にして載置し、熱可塑性フィルム10の上面に布材20を重ねて載置して熱可塑性フィルム10を被覆するステップと、加熱ユニット40により、熱可塑性フィルム10を加熱し、貼合層12を溶融状態にし、表面層11を軟化させ、これと共に、真空処理ユニット34により、複数の空気通路31中の空気を吸引し、プレス部材50を布材20の上面に圧設するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性フィルム及び布材を所定の形状に裁断するステップを含み、前記熱可塑性フィルムは、一方の側面である表面層と他方の側面である貼合層とからなり、前記表面層の融点は、前記貼合層より高く、
成型機の載置台の上面に前記熱可塑性フィルムを前記貼合層を上にして載置し、前記熱可塑性フィルムの上面に前記布材を重ねて載置して前記熱可塑性フィルムを被覆するステップを更に含み、前記載置台中は、複数の空気通路を有し、前記載置台の上面には、複数の凹凸パターン及び複数の微細孔が設けられ、前記複数の微細孔は、前記載置台の上面に均一に設けられる上、前記複数の空気通路まで貫通し、
加熱ユニットにより、前記熱可塑性フィルムを加熱し、前記貼合層を溶融状態にし、前記表面層を軟化させると共に、真空処理ユニットにより、前記複数の空気通路中の空気を吸引し、プレス部材を前記布材の上面に圧設するステップを更に含み、前記複数の微細孔により、前記熱可塑性フィルム及び前記布材が下方に吸着され、前記プレス部材により、前記布材の上面が下方に押圧されることにより、前記熱可塑性フィルムの貼合層が前記布材中に浸入して密に貼合され、前記熱可塑性フィルムの表面層に前記載置台の凹凸パターンに対応する立体パターンが明確に形成されることを特徴とする熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項2】
熱可塑性フィルム及び布材を所定の形状に裁断するステップを含み、前記熱可塑性フィルムは、一方の側面である表面層と他方の側面である貼合層とからなり、前記表面層の融点は、前記貼合層より高く、
成型機の載置台の上面に前記布材を載置し、前記布材の上面に前記熱可塑性フィルムを前記貼合層を下にして重ねて載置するステップを含み、前記載置台中は、複数の空気通路を有し、前記載置台の上面には、前記空気通路まで貫通する複数の微細孔が均一に設けられ、
加熱ユニットにより、前記熱可塑性フィルムを加熱し、前記貼合層を溶融状態にすると共に、真空処理ユニットにより、前記複数の空気通路中の空気を吸引し、プレス部材を前記熱可塑性フィルムの上面に圧設するステップを更に含み、前記複数の微細孔により、前記布材を介し、前記熱可塑性フィルムが下方に吸着され、前記プレス部材により、前記熱可塑性フィルムの上面が下方に押圧されることにより、前記熱可塑性フィルムの貼合層が前記布材中に浸入して密に貼合されることを特徴とする熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項3】
前記プレス部材は、プレス型であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項4】
前記加熱ユニットは、前記プレス型に設けられることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項5】
前記加熱ユニットは、前記載置台に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項6】
前記プレス部材は、気密フィルムであり、前記気密フィルムは、融点が前記表面層より高く、前記載置台の上面を被覆することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項7】
前記プレス部材は、気密フィルム及びプレス型を有し、前記気密フィルムは、融点が前記表面層より高く、前記載置台の上面を被覆し、前記プレス型は、前記気密フィルムの上面に圧設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項8】
前記熱可塑性フィルムは、熱可塑性ポリマー及び着色剤からなり、混合された後、押出機によって製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項9】
前記熱可塑性フィルムは、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+スチレンブタジエンゴム(SBR)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+熱可塑性ゴム(TPR)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+TPUホットメルト又は熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+ナイロン弾性体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材の成型方法。
【請求項10】
前記熱可塑性フィルムの色は、印刷、塗布又は挟層によって形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材の成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性複合材の製造方法に関し、特に、熱可塑性フィルムと布材との結合を密にし、熱可塑性フィルムの表面に立体パターンを明確に形成し、熱可塑性複合材の構造を多様化することができる熱可塑性複合材の成型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱可塑性複合材の成型方法として、本発明の発明者が発明した特許文献1が挙げられる。特許文献1は、ガイドローラ上に型シートが巻設される。型シートの外側は、凹凸パターンが形成されたパターン面を有する。押出機により、熱可塑性材料をガイドローラ上方の型シートのパターン面上に垂直に落とす。また、ガイドローラの一方の側部の回転ローラには、ベース布が巻設される。型シート、熱可塑性フィルム及びベース布がガイドローラと回転ローラとの接近点を通過することにより、3者が貼合され、型シートを取り除いた後、熱可塑性フィルムの表面に、凹凸パターンに対応する立体パターンが形成される。しかし、2つのローラを使用して型シートと熱可塑性フィルムとベース布とを結合して立体パターンを形成する方式の場合、結合性に劣る。また、生成される立体パターンも明確でない。この成型方法は、ベース布全体と熱可塑性フィルム全体とを完全に結合する熱可塑性複合材にのみ適用され、様々な形状のベース布上に様々な形状及び大きさの熱可塑性フィルムが結合される熱可塑性複合材を製造することができない。
【0003】
もう1つの従来の熱可塑性複合材の成型方法として、特許文献2が挙げられる。特許文献2は、上型及び下型により、布材と熱可塑性フィルムとを熱圧着するものである。この成型方法の場合、様々な形状の布材上に様々な形状及び大きさの熱可塑性フィルムが結合される熱可塑性複合材を製造することができる。しかし、単純に上型及び下型を使用して布材と熱可塑性フィルムとを熱圧着する方式の場合、結合性に劣る上、型上の凹凸パターンによって形成される立体パターンが明確でない。また、エアトラップが発生することにより、パターンの再現性に劣り、パターンが明確でない。
【0004】
即ち、従来の熱可塑性フィルムと布材とを結合して熱可塑性複合材を形成する成型方式は、熱可塑性フィルムと布材との結合性に劣り、熱可塑性フィルム上に形成されるパターンが明確でなく、熱可塑性複合材の構造を多様化できない問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】台湾特許公告第I269703号
【特許文献2】台湾特許公告第I266693号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術における、熱可塑性フィルムと布材との結合性に劣り、熱可塑性フィルム上に形成されるパターンが明確でなく、熱可塑性複合材の構造を多様化できない問題を解決することができる熱可塑性複合材の成型方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明は、熱可塑性複合材の成型方法を提供するものである。本発明の熱可塑性複合材の成型方法は、熱可塑性フィルム及び布材を所定の形状に裁断するステップを含む。熱可塑性フィルムは、表面層及び貼合層からなる。表面層の融点は、貼合層より高い。本発明の熱可塑性複合材の成型方法は、成型機の載置台の上面に熱可塑性フィルムを貼合層を上にして載置し、熱可塑性フィルムの上面に布材を重ねて載置して熱可塑性フィルムを被覆するステップを更に含む。載置台中は、複数の空気通路を有する。載置台の上面には、複数の凹凸パターン及び複数の微細孔が設けられる。複数の微細孔は、載置台の上面に均一に設けられる上、複数の空気通路まで貫通する。本発明の熱可塑性複合材の成型方法は、加熱ユニットにより、熱可塑性フィルムを加熱し、貼合層を溶融状態にし、表面層を軟化させ、これと共に、真空処理ユニットにより、複数の空気通路中の空気を吸引し、プレス部材を布材の上面に圧設するステップを更に含む。複数の微細孔により、熱可塑性フィルム及び布材が下方に吸着され、プレス部材により、布材の上面が下方に押圧されることにより、熱可塑性フィルムの貼合層が布材中に浸入して密に貼合され、熱可塑性フィルムの表面層に載置台の凹凸パターンに対応する立体パターンが明確に形成される。また、熱可塑性複合材は、様々な形状の熱可塑性フィルム及び布材から構成することができるため、成型される熱可塑性複合材の構造を多様化することができる。
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明は、熱可塑性複合材の成型方法を提供するものである。本発明の熱可塑性複合材の成型方法は、熱可塑性フィルム及び布材を所定の形状に裁断するステップを含む。熱可塑性フィルムは、表面層及び貼合層からなる。表面層の融点は、貼合層より高い。本発明の熱可塑性複合材の成型方法は、成型機の載置台の上面に布材を載置し、布材の上面に熱可塑性フィルムを貼合層を下にして重ねて載置するステップを更に含む。載置台中は、複数の空気通路を有する。載置台の上面には、空気通路まで貫通する複数の微細孔が均一に設けられる。本発明の熱可塑性複合材の成型方法は、加熱ユニットにより、熱可塑性フィルムを加熱し、貼合層を溶融状態にし、真空処理ユニットにより、複数の空気通路中の空気を吸引し、プレス部材を熱可塑性フィルムの上面に圧設するステップを更に含む。複数の微細孔により、布材及び熱可塑性フィルムが下方に吸着され、プレス部材により、熱可塑性フィルムの上面が下方に押圧されることにより、熱可塑性フィルムの貼合層が布材中に浸入して密に貼合される。また、熱可塑性複合材は、様々な形状の熱可塑性フィルム及び布材から構成することができるため、成型される熱可塑性複合材の構造を多様化することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱可塑性複合材の成型方法により、従来技術における、熱可塑性フィルムと布材との結合性に劣り、熱可塑性フィルム上に形成されるパターンが明確でなく、熱可塑性複合材の構造を多様化できない問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態による熱可塑性複合材の成型方法を示す流れ図である。
図2】本発明の第1実施形態による熱可塑性フィルムを示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による熱可塑性複合材の成型方法の熱可塑性フィルム及び布材を載置台上に設置する状態を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態による熱可塑性複合材の成型方法の加熱、真空処理及びプレスを行う状態を示す断面図である。
図5】本発明の第1実施形態による熱可塑性複合材の成型方法によって製造された完成品を示す斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態による熱可塑性複合材の成型方法を示す流れ図である。
図7】本発明の第2実施形態による熱可塑性複合材の成型方法の加熱、真空処理及びプレスを行う状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1図5を参照する。図1図5は、本発明の熱可塑性複合材の成型方法の第1実施形態を示す。本発明の第1実施形態による熱可塑性複合材の成型方法は、以下(a)〜(c)のステップを含む。
【0012】
(a)熱可塑性フィルム10及び布材20を所定の形状に裁断する。熱可塑性フィルム10は、布材20より小さい。熱可塑性フィルム10は、熱可塑性ポリマー及び着色剤からなり、混合された後、押出機によって製造される。熱可塑性フィルム10は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+スチレンブタジエンゴム(SBR)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+熱可塑性ゴム(TPR)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+TPUホットメルト又は熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)+ナイロン弾性体である。熱可塑性フィルムの色は、印刷、塗布又は挟層によって形成される。熱可塑性フィルム10の厚さは、約0.05mm〜2.5mmであり、表面層11及び貼合層12からなる(図2参照)。表面層11の融点は、貼合層12より高く、両者間の融点温度の差は、約5℃以上である。布材20は、平織布、編布、不織布、メッシュなどである。
【0013】
(b)成型機の載置台30の上面に熱可塑性フィルム10を貼合層12を上にして載置し、熱可塑性フィルム10の上面に布材20を重ねて載置して熱可塑性フィルム10を被覆する(図3参照)。載置台30中は、複数の空気通路31を有し、載置台30の上面には、複数の凹凸パターン32及び複数の微細孔33が設けられる。複数の凹凸パターン32は、同一のパターン又は数種の異なるパターンである。複数の微細孔33は、孔径が約0.001mmであり、載置台30の上面に均一に設けられる上、複数の空気通路31まで貫通する。
【0014】
(c)加熱ユニット40により、熱可塑性フィルム10を加熱し、貼合層12を溶融状態にし、表面層11を若干軟化させる。これと共に、真空処理ユニット34により、複数の空気通路31中の空気を吸引し、プレス部材50を布材20の上面に圧設する。プレス部材50は、気密フィルム51及びプレス型52を含む。気密フィルム51の融点は、表面層11より高い。気密フィルム51の材質は、ゴム、シリコンなどである。気密フィルム51は、載置台30及び布材20の上面を被覆する。プレス型52は、気密フィルム51の上面に圧設される。
【0015】
真空処理ユニット34が真空処理を行うとき、載置台30の上面と気密フィルム51との間に、大気圧より低い負圧状態が形成されるため、気密フィルム51が下方に吸着され、布材20の上面に下方に圧力が加わる。これと共に、プレス型52が気密フィルム51の上面から下方に重力を加える。これにより、熱可塑性フィルム10の貼合層12が布材20中に浸入し、密に貼合される。ここで、複数の微細孔33により、熱可塑性フィルム10及び布材20が下方に吸着されるため、熱可塑性フィルム10の表面層11に形成される載置台30の凹凸パターン32に対応する立体パターンが更に明確に形成される。また、本実施形態の成型方法によって製造される熱可塑性複合材は、様々な形状の熱可塑性フィルム10及び布材20から構成することができるため、構造を多様化することができる。また、本実施形態の成型方法によって製造される熱可塑性複合材を応用して靴、鞄、帽子などを製造することができる。
【0016】
本発明の第1実施形態中、プレス部材50は、気密フィルム51及びプレス型52を含む態様でも、気密フィルム51又はプレス型52を含む態様でもよい。例えば、布材20の繊維間の隙間が大きい場合、気密フィルム51のみを用いればよい。加熱ユニット40は、載置台30中又はプレス型52中に設けられる。
【0017】
(第2実施形態)
図6及び図7を参照する。図6及び図7は、本発明の熱可塑性複合材の成型方法の第2実施形態を示す。本発明の第2実施形態による熱可塑性複合材の成型方法は、以下(a)〜(c)のステップを含む。
【0018】
(a)熱可塑性フィルム10及び布材20を所定の形状に裁断する。熱可塑性フィルム10及び布材20の構造は、第1実施形態と同一である。
【0019】
(b)成型機の載置台30の上面に布材20を載置し、布材20の上面に熱可塑性フィルム10を貼合層12を下にして重ねて載置する。載置台30中は、複数の空気通路31を有し、載置台30の上面には、空気通路31まで貫通する複数の微細孔33が均一に設けられる。
【0020】
(c)加熱ユニット40により、熱可塑性フィルム10を加熱し、貼合層12を溶融状態にする。これと共に、真空処理ユニット34により、複数の空気通路31中の空気を吸引し、プレス部材50を熱可塑性フィルム10の上面に圧設する。
【0021】
真空処理ユニット34が真空処理を行うとき、載置台30の上面と気密フィルム51との間に、大気圧より低い負圧状態が形成されるため、気密フィルム51が下方に吸着され、熱可塑性フィルム10の上面に下方に圧力が加わる。これと共に、プレス型52が気密フィルム51の上面から下方に重力を加える。また、複数の微細孔33により、布材20を介し、熱可塑性フィルム10が下方に吸着されるため、熱可塑性フィルム10の貼合層12が布材20中に浸入し、密に貼合される。また、本実施形態の成型方法によって製造される熱可塑性複合材は、様々な形状の熱可塑性フィルム10及び布材20から構成することができるため、構造を多様化することができる。また、本実施形態の成型方法によって製造される熱可塑性複合材を応用して靴、鞄、帽子などを製造することができる。
【0022】
本発明の第2実施形態中、プレス部材50は、気密フィルム51及びプレス型52を含む態様でも、気密フィルム51又はプレス型52を含む態様でもよい。例えば、布材20の繊維間の隙間が大きい場合、気密フィルム51のみを用いればよい。加熱ユニット40は、載置台30中又はプレス型52中に設けられる。
【0023】
以上の説明は、本発明の一実施例を示したものであり、本発明の実施範囲を限定するものではない。即ち、本発明の特許請求の範囲に記載の内容と同等効果である変更または修飾は、全て本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
10 熱可塑性フィルム
11 表面層
12 貼合層
20 布材
30 載置台
31 空気通路
32 凹凸パターン
33 微細孔
34 真空処理ユニット
40 加熱ユニット
50 プレス部材
51 気密フィルム
52 プレス型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7