【解決手段】本発明の一態様によれば、特にサッカー靴向けの靴甲用の材料が提供され、この材料は、第1のホイル層と、第1のホイル層に少なくとも部分的に積層された布地補強層とを含む。布地補強層は、少なくとも3つの軸を有する第1の布地材料を含み、各軸は、布地材料内で1組の本質的に平行な糸部分の向きを定める。
前記糸部分(211、212、213;221、222、223;231、232、233)が、完全な糸(211、212、213;221、222、223;231、232、233)を本質的に含む、請求項1に記載の靴甲(310)用の材料(1、100)。
前記第1の布地材料内の前記糸(211、212、213;221、222、223;231、232、233)が、熱硬化性ポリエステル、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、ダイニーマ(Dyneema)(登録商標)、炭素、ケブラー(Kevlar)(登録商標)、アラミド、ポリアミド、ナイロン、バサルト(Basalt)、超高分子量ポリエチレン、ダクロン(Dacron)(登録商標)、テクノーラ(Techora)、トワロン(Twaron)、ナノチューブまたはグラフェンを含むポリマー、液晶ポリマー、ベクトラン(Vectran)、PNO、ザイロン(Zylon)、サラン(Ceran)、スペクトラ(Spectra)、ポリエチレンナフタレート、導電材料という材料の1つまたは複数を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の材料(1、100)。
前記第1の布地材料内の本質的に平行な糸からなる少なくとも1組の(215)の前記糸(211、212、213)が、1つまたは複数の特性に関して、前記第1の布地材料内の本質的に平行な糸からなる1つまたは複数の残りの組(225、235)の前記糸(221、222、223;231、232、233)とは異なる、請求項2〜5のいずれか一項に記載の材料(1、100)。
前記布地補強層が第1の領域および第2の領域を含み、前記第1の領域が前記第1の布地材料を含み、前記第2の領域が第2の布地材料を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の材料(1、100)。
前記第2の布地材料が、少なくとも3つの軸(210、220、230)を有する材料であり、各軸(210、220、230)が、前記第2の布地材料内で1組(215、225、235)の本質的に平行な糸部分(211、212、213;221、222、223;231、232、233)の向きを定める、請求項8に記載の材料(1、100)。
前記第1の布地材料と前記第2の布地材料が、前記布地補強層内で重複および/または噛合する別個の部分として提供される、請求項8〜11のいずれか一項に記載の材料(1、100)。
前記布地補強層(20)および/または前記第1のホイル層(10)に少なくとも部分的に積層された第2のホイル層(30)をさらに含み、前記第2のホイル層(30)が、前記布地補強層(20)のうち、前記第1のホイル層(10)とは反対側に配置される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の材料(1)。
前記第1のホイル層(10)および/または前記第2のホイル層(30)が、複数の副層(11、12、13、14;31、32、33、34)を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の材料(1、100)。
前記第1のホイル層(10)および/もしくは前記第2のホイル層(30)、ならびに/または前記第1のホイル層(10)および/もしくは第2のホイル層(30)の前記複数の副層(11、12、13、14;31、32、33、34)の1つもしくは複数が、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、エチレンプロピレンジエンモノマー、シリコーン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマ、ポリエチレン、ポリラクチド、ポリアミドという材料の1つまたは複数を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の材料(1、100)。
前記布地補強層(20)が開口(41、42)を含み、前記第1のホイル層(10)と前記第2のホイル層(20)が、前記布地補強層(20)の前記開口(41、42)を通じて互いに連結される、請求項14〜16のいずれか一項に記載の材料(1)。
前記3次元の形状が、前記第1の布地材料および/または前記第2の布地材料の前記糸(211、212、213;221、222、223;231、232、233)を少なくとも部分的に加熱することによって得られる、請求項18に記載の材料(1、100)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、これらの欠点を少なくとも部分的に克服し、改善された安定性と軽量性を組み合わせた靴甲用の材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の目的は、特にサッカー靴向けの靴甲用の材料によって実現され、この材料は、第1のホイル層と、第1のホイル層に少なくとも部分的に積層された布地補強層とを含む。布地補強層は、少なくとも3つの軸を有する第1の布地材料を含み、各軸は、布地材料内で1組の本質的に平行な糸部分の向きを定める。
【0014】
本明細書で、「本質的に平行」という用語は、製造プロセスによって引き起こされるずれおよび糸部分の自然のばらつきの範囲内で平行であることを意味するために使用される。
【0015】
好ましくは、糸部分は、完全な糸を本質的に含む。
【0016】
この文脈で、「本質的に含む」とは、材料または甲などの他の構成要素に付着され、たとえば縫い付けられ、接着され、もしくは巻き付けられ、または組み込まれる可能性のある糸の潜在的な末端部分を除いて、糸部分が完全な糸を含むことを意味する。
【0017】
布地補強層に少なくとも部分的に積層された第1のホイル層を使用することで、特に計量性を有すると同時に高い安定性および引っ張り強度を有する靴甲用の材料が提供される。ホイルは、特にこの材料を含む甲の外側に配置された場合、布地補強層を有害な影響から、たとえば汚れ、熱、水、化学物質、UV放射、または摩耗から保護することができる。他方では、ホイル層はまた、この材料を含む甲の内側に配置することもでき、したがって、たとえば、靴下が甲の内側に接することによる摩耗を低減させることができる。
【0018】
さらに、布地補強層の第1の布地材料は、第1の布地材料全体にわたって本質的に平行に通る数組の糸部分または糸の向きを定める少なくとも3つの軸を有するため、甲材料の安定性および引っ張り強度は、すべての方向で大いに均一である。通常、軸の数が大きければ大きいほど、すなわち本質的に平行に通る糸部分または糸の組の数が大きければ大きいほど、材料の安定性および引っ張り強度はより均一になり、方向に依存しなくなる。しかし、軸の数を増大させることで、材料の製造費用が増大し、場合によっては材料の重量も増大する可能性がある。したがって、軸の数の適当な選択によって、一方では均一で方向に依存しない安定性および引っ張り強度と、他方では製造費用および重量との間の折り合いを実現することができる。
【0019】
材料の特性は、以下に論じる手段および特徴による影響をさらに受ける可能性がある。しかし、すでにこの段階で、以下に論じる本発明の材料に関係するすべてのさらなる特徴は必須ではなく任意選択であり、これらの特徴は、靴甲用の材料またはそのような材料を含む甲もしくは靴の特定の所望の特性を得るために、当業者であれば適宜組み合わせることができることが明示的に示されている。そのような所望の目標を実現するために、以下に論じる特定の特徴が不要である場合、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの特徴を省略することができる。
【0020】
好ましくは、布地補強層の第1の布地材料は織物状材料である。3つ以上の軸を有する材料、特にこれらの軸がそれぞれ布地材料内の1組の本質的に平行な糸の向きを定める材料は、製織プロセスによって好都合に製造することができる。これは特に、第1の布地材料が完全に、数組の本質的に平行に通る糸を構成する糸から構成される場合に当てはまる。
【0021】
第1の布地材料は、互いに相互連結させた織物状の布地材料の複数の布地副層をさらに含むことができる。これは、たとえば、副層がそれぞれ完全な材料より小さい数の軸を含むことができ、したがってより容易に織ることができるため、製造費用を低減させることができる。次いで、これらの副層を相互連結させて、3つ以上の軸を有する仕上がった材料を形成することができる。
【0022】
好ましくは、第1の布地材料内の糸は、熱硬化性ポリエステル、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、Dyneema(登録商標)、炭素、Kevlar(登録商標)、アラミド、ポリアミド、ナイロン、Basalt、超高分子量ポリエチレン、Dacron(登録商標)、Techora、Twaron、ナノチューブまたはグラフェンを含むポリマー、液晶ポリマー、Vectran、PNO、Zylon、Ceran、Spectra、ポリエチレンナフタレート、導電材料という材料の1つまたは複数を含む。さらに、糸は、モノフィラメントとすることができ、またはそれぞれ1つもしくは複数の前述の材料を含む複数の繊維から構成することができる。
【0023】
これらの材料はそれぞれ、たとえば剛性、引っ張り強度、密度/重量などのような独自の特有の特性を有しており、したがって材料の所望の特性を実現するように本発明の材料とともに適宜使用するために、当業者であれば選択することができる。
【0024】
第1の布地材料内の本質的に平行な糸からなる少なくとも1組の糸は、1つまたは複数の特性に関して、第1の布地材料内の本質的に平行な糸からなる1つまたは複数の残りの組の糸とは異なることも考えられる。本明細書では、1つまたは複数の特性は、色、厚さ、基材の1つまたは複数とすることができる。
【0025】
これにより、たとえば、光学効果を生じさせ、または第1の布地材料および布地補強層、したがって甲材料の触覚特性に影響を与えることが可能になる。これにより、たとえば選択された方向により太い糸を使用することによって、または選択された方向により弾性の強い糸を使用することにより特定の方向に材料の可撓性をより強くすることによって、1つまたは複数の方向の材料の強度をさらに改善することがさらに可能になる。
【0026】
布地補強層はまた、第1の領域および第2の領域を含むことができ、第1の領域は第1の布地材料を含み、第2の領域は第2の布地材料を含む。第2の布地材料はまた、少なくとも3つの軸を有する材料とすることができ、各軸は、第2の布地材料内で1組の本質的に平行な糸部分の向きを定める。
【0027】
ここでも好ましくは、糸部分は、完全な糸を本質的に含む。
【0028】
第2の布地材料はまた、織物状材料とすることができる。
【0029】
第1の領域および第2の領域、または通常は多数の領域を含む布地補強層を使用し、各領域が布地材料を含むことで、異なる領域内で異なる布地材料を使用することが可能になる。したがって、これらの領域は、甲のそれぞれの領域に典型的に作用する力または他の要件に合わせて作ることができる。別法として、2つ以上の異なる領域内で同じ布地材料を使用することもできる。所望の安定性を実現するには、第2の布地材料もまた、少なくとも3つの軸を有する材料であることが好ましく、また特に好ましくは、少なくとも3つの軸を有し、各軸が第2の布地材料内で1組の本質的に平行な糸の向きを定める織物状材料であり、したがって、第2の布地材料は、第1の布地材料に関して本明細書に論じるものと同じ利点を共有する。
【0030】
この点で、本明細書に論じる第1の布地材料に関係するすべての特徴は、第2の布地材料にも同様に等しく当てはめることができることが示される。
【0031】
好ましくは、第1の布地材料内の糸は熱可塑性材料を含み、第2の布地材料内の糸は非熱可塑性材料を含む。
【0032】
熱可塑性材料の糸は、非熱可塑性材料、たとえば熱硬化性材料の糸より概して剛性が強い。したがって、熱可塑性材料を含む糸を有する第1の布地材料を含む第1の領域は主として、仕上がった甲内で、より高度な安定性が所望される足のつま先および/もしくはかかと領域ならびに/または中足領域内に配置することができ、非熱可塑性材料、たとえば熱硬化性材料を含む糸を有する第2の布地材料を含む第2の領域は主として、応力/歪力下で材料がある程度曲がりやすいことが所望される屈曲区間内、たとえば中足指節関節の内側および/または外側に配置することができる。
【0033】
さらに、第1の布地材料と第2の布地材料は、異なる織り方のパターンを含むことができる。機械特性、光学特性、触覚特性、構造特性などに織り方のパターンのさらなる影響を作用させることができ、これらの特性は、少なくともある程度、甲材料の対応する特性、たとえば甲材料の表面の平滑性に変換される。
【0034】
第1の布地材料と第2の布地材料は、一体部分として提供することもできる。これにより、補強層の全体的な安定性および引き裂き抵抗を増大させるとともに、製造費用を低減させることができる。
【0035】
第1の布地材料と第2の布地材料は、布地補強層内で重複および/または噛合する別個の部分として提供されることも考えられる。この選択肢は、たとえば、異なる布地材料を一体部分として織ることができない場合、または織機の修正のように製造費用を増大させなければできない場合に選択することができる。
【0036】
好ましくは、材料は、布地補強層および/または第1のホイル層に少なくとも部分的に積層された第2のホイル層をさらに含む。好ましくは、第2のホイル層は、布地補強層のうち、第1のホイル層とは反対側に配置される。
【0037】
第2のホイル層は、甲材料の全体的な強度をさらに増大させることができ、材料の光学特性、機械特性、触覚特性などにさらなる影響を与えることができる。特に布地補強層のうち、第1のホイル層とは反対側に配置され、したがって布地補強層が2つのホイル層間に少なくとも部分的に「挟まれる」とき、2つのホイル層は、水、汚れ、UV放射、摩耗、化学物質などのような外側からの有害な影響から布地補強層を事実上保護することができる。したがって、布地補強層、したがって甲材料、甲、および完成した靴の強度および寿命が増大する。たとえば、第1のホイル層を甲の外側に配置し、第2のホイル層を甲の内側に配置するように意図することができ、または逆も同様である。仕上がった甲の内側にホイル層を配置することで、布地補強層が足を擦ることから着用者の足を保護することもできる。
【0038】
第1のホイル層および/または第2のホイル層は、複数の副層をさらに含むことができる。複数の副層を使用することで、単に1つの第1のホイル層および/または第2のホイル層ではなく異なる副層に適した材料を選ぶことによって、甲材料の機械特性、光学特性、化学特性、触覚特性などに影響を与える可能性がさらに増大する。また、たとえば単に1つの厚いホイル層ではなく複数のより薄い副層を伴う製造プロセスでは、製造費用をより低くすることができ、またはより信頼性の高い結果を提供することができる。
【0039】
第1のホイル層および/もしくは第2のホイル層、ならびに/または第1のホイル層および/もしくは第2のホイル層のいずれかの副層は、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、エチレンプロピレンジエンモノマー、シリコーン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマ、ポリエチレン、ポリアクチド、ポリアミドという材料の1つまたは複数を含むことができる。
【0040】
これらの材料により、靴甲とともに使用するのに特に有益であることが分かった材料特性の混み合わせが提供される。たとえば、2つ以上の上記の材料の特有の比および混合に応じて、ホイル材料は、所与の甲/靴の特有の必要に合わせて調整することができる。
【0041】
好ましくは、布地補強層は開口を含み、第1のホイル層と第2のホイル層は、布地補強層の開口を通じて互いに連結される。これは、第1のホイル層および第2のホイル層、したがって甲の積層体全体、すなわち第1のホイル層および第2のホイル層を含む甲材料と、少なくとも部分的に積層された形の布地補強層との間で、特に耐久性のある結合をもたらすことができる。2つのホイルの連結はまた、甲材料内で布地補強層を非常に効果的に固定する。これは、たとえば追加の接着性物質なしで、たとえば熱および/または圧力の影響下で、2つのホイル層を互いに結合することができる同じ材料クラスの材料を含む場合にさらに当てはまる。他方では、適宜接着剤または熱接着剤のような接着性物質を使用する結合も考えられる。
【0042】
靴甲用の本発明の材料はまた、3次元の形状を有することができる。3次元の形状は、第1の布地材料および/または第2の布地材料の糸を少なくとも部分的に加熱することによって得ることができる。
【0043】
したがって、たとえば、甲のうち、特に強い力を受ける領域または着用者の足の特に負傷しやすい部分内に配置される領域のために、「硬化させた」事前に成形された布地補強層を提供することが可能である。具体的には、たとえばサッカー靴向けのつま先および/もしくは甲区域内の事前に成形された「足キャップ」、またはこのようにして形成された「かかとキャップ」が考えられる。また、中足領域内に安定化要素を設けることが考えられる。3次元の形状を実現するために、たとえば、それぞれの布地材料の糸を少なくとも部分的に加熱し、次いで靴型などの周りに形成することができる。次いで、これらの糸を再び冷却して、永続的な3次元の形状を実現することもできる。
【0044】
本発明のさらなる態様は、本明細書に論じる靴甲用の本発明の材料を含む靴向けの甲、およびそのような甲を含む靴、特にサッカー靴によって提供される。
【0045】
この場合も、本発明の材料の一実施形態を含む甲、またはそのような甲を有する靴を提供する際に、本明細書に論じる本発明の材料に関係する異なる特徴は必須ではなく任意選択であり、これらの特徴は、特定の所望の結果を得るために、当業者であれば適宜組み合わせることができることがここで示されている。そのような所望の結果を実現するために、本明細書に論じる特定の特徴が不要である場合、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの特徴を省略することもできる。
【0046】
さらに、以下の点について、ここで明示的に述べるものとする。第1に、以下では主にサッカー靴について記載および説明するが、本発明の材料の実施形態はまた、ランニング靴、バスケットボール靴、ウォーキング靴、外出用の靴などのような他のタイプの靴に使用することができることが明らかである。第2に、本発明の材料の実施形態はまた、甲の一部分に使用することができる。たとえば、材料の実施形態をかかとおよび中足区域内で使用し、従来の網状の甲材料を前足区域内で使用することもできる。これは、たとえば、靴の通気性を提供することができる。第3に、本発明の材料の実施形態はまた、安定化などのために、靴の要素、たとえば中足区域内のかご状要素のみに使用することができる。第4に、いくつかの材料層は、たとえばつま先およびかかと区域内で安定性を追加するために、特定の区域内で互いの上に積層することができる。第5に、第1のホイル層および/または第2のホイル層は、区間内のみで塗布することができ、したがってたとえば通気または軽量化のため、特定の区域内では布地補強層を「なくす」ことができる。
【0047】
以下、本発明の態様について、添付の図に関してより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明の実施形態および修正形態の例について、靴甲用の材料に関して説明する。この材料は、好ましくは、スポーツ靴、特にサッカー靴に使用される。しかし、この材料はまた、以下に記載するように、軽量性と良好な機械特性の両方を必要とする他の靴、たとえばバスケットボール靴に使用することもできる。
【0050】
図1は、材料100の一実施形態の一例を示す。
図1は、そのような材料100の概略横断面図を示す。この図は、比率を表すものではなく、それについては以下でより詳細に論じる。材料100は、第1のホイル層10と、第1のホイル層10に少なくとも部分的に積層された布地補強層20とを含む。
【0051】
布地補強層20は、少なくとも3つの軸を有する第1の布地材料を含み、各軸は、第1の布地材料内で1組の本質的に平行な糸部分の向きを定める。
【0052】
好ましくは、糸部分は本質的に、たとえば織物状材料(たとえば、
図3に関連して以下で論じる実施形態20参照)の完全な糸を含む。しかし、糸部分は、編物状材料の縫い目の部分などを含むことも可能である。
【0053】
前述のように、布地補強層20の第1の布地材料は、たとえば織物状材料とすることができる。製織プロセスは、3つ以上の軸を有する第1の布地材料、特に本質的に平行な糸部分が本質的に完全な糸を含む織物状材料を作製するのに特によく適している。
【0054】
しかし、第1の布地材料はまた、編物状材料、たとえば横編み/縦編み、スペーサニット、エンジニアードニット、サークルニット、および/もしくはフラットニットを含むことができ、またはこれらの編物状材料からなることができる。編物状の布地材料は、裂け目のような構造をさらに含むことができ、かつ/または異なる編物状の副層を含むことができる。第1の布地材料はまた、フェルトまたはフリースのような編組材料または非織物状材料を含むことができる。それにもかかわらず、これらの場合、たとえば織物状材料の場合と同様に、本質的に平行な完全な糸ではなく、本質的に平行な糸部分が存在することで、少なくともたとえば5mmまたは1cmより大きい規模で考えた場合、そのような織物状材料と変わらない外観をもたらすことができる。本質的に、その結果得られるそのような材料、たとえば編物状の多軸材料の構造は、編物状材料の大部分がそれに沿って配置されるような複数の優勢な軸を有しており、数組の本質的に平行な完全な糸を有する織物状材料と類似の外観および類似の特性をもたらす。
【0055】
上記ですでに説明したように、第1の布地材料は3つ以上の軸を有し、各軸は、第1の布地材料全体にわたって本質的に平行に通る数組の糸部分または糸の向きを定めるため、甲材料100の安定性および引っ張り強度は、すべての方向で大いに均一である。通常、軸の数が大きければ大きいほど、すなわち本質的に平行に通る糸部分または糸の組の数が大きければ大きいほど、第1の布地材料、したがって甲材料100の安定性および引っ張り強度はより均一になり、方向に依存しなくなる。他方では、軸の数を増大させることで、第1の布地材料の製造費用が増大し、場合によっては第1の布地材料、したがって甲材料100の重量も増大する可能性がある。したがって、軸の数の適当な選択によって、一方では均一で方向に依存しない安定性および引っ張り強度と、他方では製造費用および重量との間の折り合いを実現することができる。
【0056】
現在好ましい軸の数は3であり、すなわち現在は3軸材料が好ましい。これにより、一方では均一で方向に依存しない安定性および引っ張り強度と、他方では製造費用および重量との間の良好な折り合いが実現される。
【0057】
第1の布地材料は、数組の本質的に平行な糸部分または糸を含む糸のみからなることができる。別法として、第1の布地材料は、追加の構成要素および/または材料を含むことができる。さらに、これらの糸は、モノフィラメントとすることができ、または複数の繊維から構成することができる。第1の布地材料内で両方のタイプの糸を組み合わせることも可能である。第1の布地材料内の糸は、熱硬化性ポリエステル、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、Dyneema(登録商標)、炭素、Kevlar(登録商標)、アラミド、ポリアミド、ナイロン、Basalt、超高分子量ポリエチレン、Dacron(登録商標)、Techora、Twaron、ナノチューブもしくはグラフェンを含むポリマー、液晶ポリマー、Vectran、PNO、Zylon、Ceran、Spectra、ポリエチレンナフタレート、および/または導電材料という材料の1つまたは複数を含むことができる。
【0058】
さらに、本質的に平行な糸からなる少なくとも1組の糸は、1つまたは複数の特性に関して、本質的に平行な糸からなる1つまたは複数の残りの組の糸とは異なる可能性がある。そのような特性は、たとえば、それぞれの組の糸の色、厚さ、および/または基材とすることができる。
【0059】
原則的に、本質的に平行な糸部分が本質的に完全な糸を含まない第1の布地材料内でも、これらの種類に関して異なる糸を使用することももちろん可能である。
【0060】
モノフィラメントではない第1の布地材料内の糸の場合、糸自体の一部が、たとえば色、厚さ、および/または基材に関して異なる複数の異なる繊維を含むこともさらに考えられる。
【0061】
このようにして、第1の布地材料および布地補強層20の光学および/または触覚特性に影響を与えることができる。さらに、所望される場合、特に糸部分が本質的に完全な糸を含む場合、それぞれの糸の適当な選択によって、特定の選択された方向に、第1の布地材料および布地補強層20の引っ張り強度/可撓性に影響を与えて調整することができる。
【0062】
さらに、第1の布地材料が、3つ以上の軸を有する第1の布地材料を少なくとも部分的に形成するように互いに相互連結させた織物状の布地材料の複数の副層を含むことも可能である。
【0063】
たとえば、これらの副層は、異なる材料および/または異なる糸からなることができ、異なる厚さを有することができ、または他の特性に関して異なることができる。1つの可能性は、これらの副層を織り合わせて、その結果得られる織物状材料が、異なる材料および/または糸を含むことである。相互連結は、たとえば、単一の材料からなる織物状材料のものと単に同じにすることができる。しかし、副層の糸と糸の間の接触点における相互作用はまた、その結果得られる多軸の布地材料に樹脂または結合剤を塗布することによってさらに強くすることができ、それによって、その結果得られる材料の位置合わせがより良好に固定されるはずである。
【0064】
1つの特有の例では、布地副層はそれぞれ、上記で定義した意味において、同じ数の軸を有する同じ織物状の布地材料を含むことができる。本明細書では、副層はそれぞれ、3つ未満の軸を有する布地材料を含むことができ、相互連結させた異なる副層を含む第1の布地材料は、3つ以上の軸を有する。このようにして、第1の布地材料の製造を容易にすることができる。別法として、布地副層の1つまたは複数はまた、すでに3つ以上の軸を有する布地材料を含むことができる。
【0065】
第1の布地材料に関係して本明細書に記載した考察はまた、個々の副層にも当てはまることができる。
【0066】
布地補強層20は、第1の布地材料のみから構成することができ、または追加の構成要素および/もしくは材料を含むことができる。
【0067】
布地補強層20は、たとえば、複数の領域を含むことができ、1つの領域は、3つ以上の軸を有する第1の布地材料を含み、1つまたは複数の残りの領域には、第1の布地材料がない。別法として、1つまたは複数の残りの領域はまた、第1の布地材料および1つまたは複数の追加の材料を含むことができる。布地補強層20は、たとえば、第1の領域および第2の領域を含むことができ、第1の領域は第1の布地材料を含み、第2の領域は第2の布地材料を含む。第2の布地材料はまた、少なくとも3つの軸を有する材料とすることができ、各軸は、第2の布地材料内で1組の本質的に平行な糸部分、好ましくは糸の向きを定める。第2の布地材料はまた、織物状材料とすることができる。第2の布地材料は、第1の布地材料内の糸とは異なる糸を含むことができる。または、第2の布地材料は、第1の布地材料内にも存在する糸を少なくとも部分的に含むことができる。これにより、甲のそれぞれの領域における要件および所望の特性に一致するように、個々の領域において布地補強層20の材料特性を選択的に調整することが可能になる。
【0068】
本出願で使用する領域という用語は、布地補強層20の任意の部分または区域を指す。したがって、領域は、布地補強層20の副層として形成することができる。領域はまた、布地補強層20のうち、布地補強層20の厚さ全体にわたって、すなわち第1のホイル層10に面する側から反対側まで延びる1つまたは複数の境界によって結合された連結部分とすることができる。領域は、互いに連結されていないいくつかの個々の部分および/または層をさらに含むことができる。前述の可能性の組合せも考えられる。
【0069】
一実施形態では、第1の布地材料内の糸は熱可塑性材料を含み、第2の布地材料内の糸は非熱可塑性材料、たとえば熱硬化性材料を含む。熱可塑性材料を含む糸は、非熱可塑性材料を含む糸より概して剛性が強い。したがって、第1の布地材料を有する第1の領域は、甲内で安定性を増大させる必要がある位置、たとえば甲/つま先領域、かかと領域、および/または中足領域内に配置することができ、第2の布地材料を有する第2の領域は、ある程度の可撓性が所望される位置、たとえば中足指節関節近傍で内側/外側に配置することができる。
【0070】
さらに、第1の布地材料と第2の布地材料は、異なる織り方のパターン、編み方のパターンなどを含むことができる。このようにして、異なる領域内の光学、触覚、および弾性特性に、さらに影響を与えて調整することができる。特にサッカー靴の場合、それぞれの領域内でボールに接触することに関して、異なる摩擦面特性を有するいくつかの別個の領域を有する甲を提供することが所望される可能性がある。言い換えれば、いくつかの領域では、可能な限り平滑な表面構造を有する甲を提供することが所望される可能性があり、他の領域では、接触中に甲とボールとの間でより大きい摩擦を提供する「より粗い」表面構造を有することが有益となる可能性がある。これは、たとえば、第1の種類の領域内で平坦な織り方のパターンを選ぶことによって実現することができ、第2の種類の領域内では、波状の織り方のパターンなどを選択することができる。表面構造には、それぞれの領域内で使用される糸の適当な選択によってさらに影響を与えることができる。
【0071】
第1の布地材料と第2の布地材料は、一体部分として提供することができる。これにより、布地補強層の全体的な安定性が改善され、処理しなければならない個々の部分がより少なくなるため、製造を容易にすることができる。
【0072】
別法として、第1の布地材料と第2の布地材料は、分離された部分として提供することができる。次いで、第1の布地材料と第2の布地材料は、たとえば、布地補強層20内で噛合および/または重複することができる。たとえば、布地補強層20の複数の領域を、互いに噛合するパズルのように配置することができる。そのような実施形態は、たとえば、製造に使用される織機が、高い製造努力がなければ、一体形成された第1の布地材料および第2の布地材料を提供することができない場合に好ましい可能性がある。布地補強層20内で個々の布地材料を重複または噛合させることによって、それでもなお、必要とされる安定性を提供することができる。
【0073】
上記の考察はまた、3つ以上の領域および/または布地材料を含む布地補強層20にも適用することができることが、当業者には明らかである。
【0074】
上記ですでに述べたように、布地補強層20は、第1のホイル層10に少なくとも部分的に積層される。好ましくは、第1のホイル層と布地補強層20は完全に積層される。少なくとも部分的な積層はまた、甲材料100の全体的な強度、安定性、および耐久性を増大させる働きをする。第1のホイル層10は、具体的には、汚れ、水、化学物質、摩耗、UV放射などのような外部の影響から布地補強層20を保護することができる。この目的で、第1のホイル層10は、靴甲の外側に配置することができる。しかし、第1のホイル層10はまた、たとえば布地補強層20が足を擦るのを避けるために、靴甲の内側に配置することもできる。
【0075】
積層は、第1のホイル層10および布地補強層20を熱および/または圧力プロセスにかけることによって実現することができる。第1のホイル層10は、たとえば、少なくとも部分的に溶解することができ、そこで、少なくとも部分的に溶解した第1のホイル層10内へ、布地補強層20を押し付ける。冷却後、積層が得られる。別法または追加として、第1のホイル層10と布地補強層20との間に接着剤または熱接着剤を配置して、積層を行い、または積層をさらに強くすることもできる。
【0076】
第1のホイル層10は、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、エチレンプロピレンジエンモノマー、シリコーン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマ、ポリエチレン、ポリアクチド、および/またはポリアミドという材料の1つまたは複数を含むことができる。これらの材料は、靴甲用の材料100とともに使用するのに特に有益であることが分かった材料特性を有する。現在好ましい材料を含めて、第1のホイル層10の現在好ましい実施形態について、以下でより詳細に論じる。
【0077】
材料100はまた、3次元の形状を有することができる。そのような3次元の形状は、たとえば、第1の布地材料および/または第2の布地材料の糸を少なくとも部分的に加熱することによって得ることができる。この場合も、本明細書に論じる態様は、布地補強層20が、第1の布地材料および第2の布地材料をそれぞれ含む第1の領域および第2の領域より多くを含む場合にも適用することができることがここで示されている。永続的な3次元の形状を有する甲材料100を提供することによって、たとえば靴甲の保護機能をさらに強化することができる。
【0078】
図2は、
図1に関連して論じた靴甲用の材料100の実施形態の修正形態を示す。したがって、
図1に示す材料100に関する上記のすべての考察は、ここで論じる実施形態にも当てはまる。
図2に示す実施形態では、甲材料100の第1のホイル層は、複数の副層を含む。
図2に示す実施形態は、4つの副層11、12、13、および14を含む。しかし、異なる数の副層も可能であることが、当業者には明らかである。副層11、12、13、および14はまた、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、エチレンプロピレンジエンモノマー、シリコーン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマ、ポリエチレン、ポリアクチド、および/またはポリアミドという材料の1つまたは複数を含むことができる。
【0079】
複数の副層、たとえば副層11、12、13、および14を含む第1のホイル層10を提供することによって、所望の材料特性を満たすように、第1のホイル層10の特性にさらに影響を与えて調整することができる。さらに、第1のホイル層10の積層設計は、たとえば
図10を参照しながら以下で論じるように、第1のホイル層の製造を容易にすることができる。
【0080】
図3は、靴甲用の材料、たとえば本明細書に論じる材料100および1(以下参照)とともに使用することができる布地補強層20の現在好ましい実施形態を示す。
【0081】
補強層20は、3つの軸210、220、および230を有する織物状の第1の布地材料から構成される。以下、3つの軸を有する材料を3軸材料とも呼ぶ。軸210、220、および230はそれぞれ、第1の布地材料20内で1組の本質的に平行な糸の向きを定める。
【0082】
軸210は、第1の組215の本質的に平行な糸の向きを定める。これらの糸の3つの代表211、212、および213を示す。しかし、組215は、
図3で明示的に参照する糸211、212、および213だけでなく、第1の布地材料内で糸211、212、および213、ならびに軸210に対して本質的に平行に通るさらなる糸も含むことが、当業者には明らかである。同じことが、組225および235にも当てはまる。
【0083】
本明細書で、「本質的に平行」という用語は、製造プロセスによって引き起こされるずれおよび糸または糸部分の自然のばらつきの範囲内で平行であることを意味するために使用される。さらに、曲げられ、延ばされ、または概して力を受けたとき、所与の組の糸または糸部分間の平行性が失われることがあることが理解されよう。したがって、数組の平行な糸または糸部分に関して述べるときはいつでも、力が作用していない状態の布地材料に関する。
【0084】
軸220は、第1の布地材料内で第2の組225の本質的に平行な糸の向きを定める。これらの糸の3つの代表221、222、および223を示す。
【0085】
軸230は、第1の布地材料内で第3の組235の本質的に平行な糸の向きを定める。これらの糸の3つの代表231、232、および233を示す。
【0086】
図3に示す布地補強層20を含む第1の布地材料内の糸は、熱可塑性ポリエステルを含む繊維から構成される。しかし、上記で論じたように、モノフィラメントおよび他の基材も考えられる。さらに、第1の布地材料は、好ましくは、第1の布地材料内の個々の糸と糸の間に開口42が作られるようなパターンで織られている。したがって、この場合、布地補強層20は開口42を含む。
【0087】
好ましくは、3つの軸210、220、および230、ならびに所与の1組の本質的に平行な糸のうちの2つの隣接する糸と糸の間の距離、たとえば糸211と糸212との間の距離、糸221と糸222との間の距離、および糸231と糸232との間の距離は、開口42が本質的に六角形の形状を有するように選択される。「本質的に六角形」という用語は、製造プロセスによって引き起こされるずれおよび糸の自然のばらつきの範囲内で六角形であると理解されたい。好ましくは、開口の直径は、2.5mmより小さい。開口の直径は、たとえば1.5〜2.5mmの範囲内とすることができる。直径は、たとえば、複数の測定値を得てこれらの測定値の平均値を得ることによって判定することができる。各測定で、所与の開口42の対向する縁部上の2つの点と点の間の距離が測定される。これらの点は、それぞれの開口42の中心点を通る線によって定められる。
【0088】
しかし、他の実施形態(図示せず)では、2つの隣接する糸と糸の間の距離は、数組の本質的に平行な糸のいくつかまたはすべての間で異なることもできる。2つの隣接する糸と糸の間の距離は、所与の1組の本質的に平行な糸の中で変化する可能性もある。さらに、
図3に示すものとは異なる軸の向きを選択することができ、その結果、異なる形状の開口42を得ることができる。これにより、所望される場合、布地材料およびその方向性の引っ張り強度、可撓性などを個々に調整することが可能になる。
【0089】
図4は、第1のホイル層10と、第1のホイル層10に少なくとも部分的に積層された布地補強層20とを含む靴甲用の材料1の一実施形態を示す。布地補強層10は、少なくとも3つの軸を有する第1の布地材料を含み、各軸は、第1の布地材料内で1組の本質的に平行な糸部分または糸の向きを定める。上記の第1のホイル層10および布地補強層20に関係するすべての考察、特に材料100に関するすべての考察は、以下で論じる実施形態、特に材料1にも同様に等しく当てはめることができる。
【0090】
上記で論じた特徴に加えて、
図4に示す材料1は、第2のホイル層30を含む。好ましくは、第2のホイル層30は、布地補強層20のうち、第1のホイル層10とは反対側に配置される。好ましくは、第2のホイル層30は、第1のホイル層10および/または布地補強層20に少なくとも部分的に積層される。第2のホイル層30は、第1のホイル層10に関連して上記ですでに論じた同じ特徴および特性、たとえば同じ材料を含むことができる。具体的には、第2のホイル層30はまた、複数の副層、たとえば
図5に示す4つの副層31、32、33、および34を含むことができる。2つのホイル層の1つのみ、たとえば第1のホイル層10または第2のホイル層30のいずれかが複数の副層を含み、他方のホイル層は複数の副層を含まないことも可能である。
【0091】
布地補強層20の両側に配置された2つのホイル層10および30を含む
図4および
図5に示す材料1の実施形態に関連して、布地補強層20が
図3に示す布地補強層20の実施形態の開口42のような開口を含む場合、布地補強層20の開口を通じて第1のホイル層10と第2のホイル層30を互いに連結させることができるため、特に有益である。これにより、第1のホイル層10と第2のホイル層30の特に耐久性のある結合をもたらすことができ、また一種の「サンドイッチ構造」で布地補強層20を定位置に固定するのに役立つこともできる。
【0092】
これに関して、特に耐久性のある結合を実現するには、第1のホイル層10と第2のホイル層30が同じ材料クラスの材料を含む場合、特に有益である。
【0093】
上記ですでに述べたように、第1のホイル層10および/もしくは第2のホイル層30、ならびに/または第1のホイル層10および/もしくは第2のホイル層30の1つもしくは複数の副層のいずれかは、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル、ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、エチレンプロピレンジエンモノマー、シリコーン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマ、ポリエチレン、ポリアクチド、および/またはポリアミドという材料の1つまたは複数を含むことができる。
【0094】
好ましい実施形態では、材料1は、内側ポリウレタン層10(すなわち、第1のホイル層10)と、布地補強層20、たとえば
図3に関連して論じた布地補強層20と、外側ポリウレタン層30(すなわち、第2のホイル層30)とを含む。布地補強層20は、内側ポリウレタン層10と外側ポリウレタン層30との間に配置される。ポリウレタン層10、30は、ポリウレタン膜10、30とすることができる。しかし、ポリウレタン層10、30を鋳造することもできる。以下、ポリウレタン膜10、30について論じ、これらの膜を単にPUR膜10、30と呼ぶ。
【0095】
内側PUR膜10という用語は、この膜が、材料1が使用される靴甲の内側に配置されることを指す。外側PUR膜30という名称は、この膜が、材料1が使用される靴甲の外側に配置されることを指す。別法として、材料1が使用される靴甲の外側にPUR膜10を配置し、靴甲の内側にPUR膜30を配置することもできる。
【0096】
内側PUR膜10、布地補強層20、および外側PUR膜30は、熱および圧力下で、グラウトで固めることができる。好ましい実施形態では、布地補強層20は、開口、たとえば
図3に示す開口42を含み、したがって内側PUR膜10と外側PUR膜30は、布地補強層20内の開口を通じて溶け合うことができ、その結果、信頼性が高い連結が得られる。同時に、内側PUR膜10および外側PUR膜30は、布地補強層20の糸を密閉し、したがって布地補強層20とPUR膜10、30との間に連結を生じさせることができる。これについて、以下で論じる。
【0097】
内側PUR膜10および外側PUR膜30はまた、ポリエステルとポリエーテルの混合物を含むことができる。これに関して、ポリエステルの比率をより高くする結果、たとえば引っ張り強度の増大または硬度の増大など、より良好な機械特性が得られる。ポリエーテルの比率をより高くする結果、ポリエーテル中の脂肪族化合物のため、UV安定性および耐加水分解性など、より良好な化学特性が得られる。
【0098】
好ましくは、高いコスト効率と十分な品質、特にUV安定性および耐加水分解性とを同時に確保するために、65%〜35%のポリエステルとポリエーテルの混合比が使用される。
【0099】
ポリエーテルおよびポリエステルとは別に、PUR膜は、ポリイソシアネートを含むことができる。これに関して、好ましくは脂肪族ポリイソシアネートが使用される。これには、PUR膜が黄ばまず(UV安定性)、加水分解に耐えるという利点がある。
【0100】
一実施形態では、材料1は、内側PUR膜10、布地補強層20、および外側PUR膜30からなる。
【0101】
布地補強層20の両側でPUR膜を使用することには、たとえば熱および圧力下で材料を加圧する間、2つの膜10、30の特定の良好な結合を実現することができるという利点がある。原則的には、2つのPUR膜を使用することが有利である。なぜなら、PUR膜は同じ融点および同じ材料特性を有するため、PUR膜と他の材料との間よりPUR膜10、30間で良好な結合が実現されるからである。
【0102】
好ましくは、PUR膜10、30に使用されるポリウレタンは、製造中の加熱によってPUR膜に構造上の性能を提供する追加の硬化剤を含む熱硬化性ポリウレタンである。
【0103】
布地補強層20は、開口を含むことができ、それによって、内側PUR膜10と外側PUR膜30が開口を通じて溶け合うことが可能になる。すなわち、開口は、布地補強層20の厚さ全体に及ぶ。
【0104】
布地補強層20の材料は、上記ですでに論じたように、非熱可塑性材料とすることができ、したがって内側PUR膜10と外側PUR膜30のみが溶け合う。別法として、布地補強層20の材料は、熱可塑性材料(たとえば、ポリアミド/ナイロン)からなることもでき、したがってこの材料も、PUR膜に溶け込む。PUR膜10、30は、印刷することもできる。
【0105】
布地補強層20の構造は、たとえば織り方のパターンまたは使用される糸によって決定することができる布地補強層20の厚さに応じて、PUR膜を通じて触ることができ、透明のPUR膜が使用される場合は見ることもできる。このようにして、上記ですでに論じたように、異なる特性、たとえば摩擦係数を有する異なる表面構造を製造することができ、特にたとえば、異なる織り方のパターンおよび/または異なる糸などを有する布地材料を含む布地補強層20の異なる領域を製造することができる。さらに、布地補強層20に異なる材料を使用し、PUR膜10、30に異なる色を使用することによって、視覚的効果を実現することもできる。
【0106】
靴甲用の材料1のさらに好ましい実施形態では、内側PUR膜10は4つの膜層または副層11〜14を含み、外側PUR膜30は4つの膜層31〜34を含む。たとえば、これらの層はそれぞれ、約0.02mmの厚さを有することができ、したがって内側PUR膜10および外側PUR膜30はそれぞれ、約0.08mmの厚さを有する。好ましくは、これらの層はそれぞれ、約0.04mmの厚さを有し、したがって内側PUR膜10および外側PUR膜30はそれぞれ、合計で約0.16mmの厚さを有する。他の実施形態では、これらの寸法を変更することができる。具体的には、個々の膜層11〜14および31〜34は、異なる厚さを有することができる。
【0107】
膜層、すなわち副層の使用は、とりわけ、膜の厚さを一定にするのに有利である。したがって、それぞれ0.2mmの厚さを有する4つの膜層を使用する結果、0.8mmの一定の層の厚さが得られる。
【0108】
さらなる実施形態では、膜層は、0.10〜0.16mmの厚さを有する。
【0109】
どちらも布地補強層20に面している内側PUR膜10の膜層14および外側PUR膜30の膜層31は、外側の層11、12、13、および32、33、34より低い融点を有することができる。したがって、材料1の加圧中、内側PUR膜10と外側PUR膜30は高温下で溶け合うことができ、そのために別個の結合層を必要とすることはなく、外側PUR膜層が溶解して表面の外観が変わることもない。内側の膜層はより急速に溶解し、したがって外側の膜層を変化させることなく溶解することを容易にする。膜層14および31は、たとえば、100〜150℃、好ましくは約130℃の融点を有することができる。外側の膜層11、12、13、および32、33、34は、150〜200℃、好ましくは約160℃の融点を有することができる。
【0110】
さらなる実施形態では、前述の膜層14および31にそれぞれ隣接しているさらなる膜層13および32はまた、他の膜層11、12、および33、34より低い融点を有する。
【0111】
さらなる実施形態では、副層の数および厚さを変更することができる。具体的には、内側PUR膜10と外側PUR膜30は、異なる数の副層および異なる特性を有することもできる。したがって、内側PUR膜10および外側PUR膜30は、それぞれ靴甲の内側表面および外側表面としての機能に合わせて調整することができる。たとえば、外側PUR膜30(または最も外側の膜層のみ)は、強い摩耗向けに設計することができ、これはサッカー靴にとって重要となることがある。
【0112】
好ましい実施形態では、内側PUR膜10および外側PUR膜30はそれぞれ、2つの副層のみを含み、一方の高密度層は布地補強層20に結合され、もう一方の被覆層は外側に位置し、耐摩耗特性を保持する。
【0113】
原則的には、内側PUR膜10および外側PUR膜30のポリウレタン副層は、それぞれ異なる特性を有することができる。これらの副層は、たとえば厚さ(上記のとおり)、材料特性(融点など)、または色に関して異なることができる。2つ、いくつか、またはすべての副層が、特性に関して異なることができる。
【0114】
上記のように、異なる糸および/または織り方のパターンを有する異なる布地材料を含む布地補強層20の異なる領域を使用することによって、外側PUR膜30の表面が下に配置された布地補強層20の表面に適合され、したがってテキスチャ付きの表面をもたらすため、異なる表面構造を生成することができる。したがって、異なる機能を満足させる異なる表面テキスチャを有する区間を靴甲内に設けることが可能である。たとえば、サッカー靴は、ボールに接触したときに異なる摩擦または粘着力を有する区間を含むことができる。したがって、たとえば、サッカー靴のうち、ドリブルに使用されることが多い区間には、対応する表面構造を選択することによって表面上に大きい摩擦を提供することができ、そのようにしてボールの良好な制御を確保することができる。
【0115】
一実施形態では、3D構造が実現されないため、平坦な布地補強層20が使用される。すなわち、表面は可能な限り平滑にするべきであり、膜は、布地補強層内に溶解するものではない。原則的に、平滑な表面と構造化された表面の両方が可能である。
【0116】
その結果得られる靴甲用の材料1は、非常に軽量であるが、他方では、この材料は、耐摩耗性、可撓性、層間剥離、UV安定性、耐加水分解性、機械安定性(引っ張り強度、引き裂き強度、縫い目抵抗など)、および他の基準に対する品質試験に合格する。
【0117】
図6は、製造前後の材料の概略横断面図を示すことによって、開口41、たとえば
図3に示す布地補強層20の開口42を含む布地補強層20を含む材料1に関して上記で説明した製造プロセスを示す。製造前の材料を、
図6の甲区域内に示し、製造後の材料を、下部区域内に示す。布地補強層20を円で示す。これらの円は、たとえば、布地補強層20の糸の横断面を表すことができる。これらは、たとえば、
図3に示す布地補強層20の糸231、232、および233(または他の2組の本質的に平行な糸のうちの1組からの糸)を含むことができる。さらに、糸と糸の間に配置された開口41、たとえば
図3に示す開口42を示す。熱および圧力をかけることで(
図6の中心に矢印で示す)、液体の材料が開口41を充填することによって、第1のホイル層10、たとえば内側PUR膜10と、第2のホイル層30、たとえば外側PUR膜30は溶け合うことができる。
図6の対応する図は、純粋に概略的な図であり、比率を表すものではない。
【0118】
図2および
図5に示すように、いくつかの副層を有するホイル層10、30、具体的にはPUR膜10、30を、基板上に製造することができる。次に、これらの副層は、液体の状態で基板上に塗布される。次いで、すべての副層を炉内で硬化させ、たとえば上記のPUR膜が得られる。
【0119】
一実施形態では、膜層、すなわち副層はまた、布地補強層20に直接取り付けることができる。
【0120】
図7a〜bは、靴甲用の材料1の現在好ましい実施形態を示す。
図7a〜bに示す実施形態は、第1のホイル層10、布地補強層20、および第2のホイル層30を含む。
【0121】
布地補強層20は、上記で
図3に関連して論じた布地補強層20である。
【0122】
第1のホイル層10は、熱硬化性ポリウレタンを含み、この場合、材料1が使用される靴甲の外側に配置するためのものである。好ましくは、第1のホイル層10は透明の材料を含み、したがって布地補強層20は、外側から見ることができる。第1のホイル層の厚さは、好ましくは0.15〜0.25mm、特に好ましくは0.18〜0.2mmの範囲内である。
【0123】
第2のホイル層30もまた、熱硬化性ポリウレタンを含み、この場合、材料1が使用される靴甲の内側に配置するためのものである。好ましくは、第2のホイル層30は、少なくとも部分的に不透明の材料、好ましくは白色の材料を含む。第2のホイル層の厚さもまた、好ましくは0.15〜0.25mm、特に好ましくは0.18〜0.2mmの範囲内である。
【0124】
図7a〜bに示す材料1の実施形態は、好ましくは32〜37g(A4形式)、特に好ましくは34〜35g(A4形式)の範囲内の重量を有する。
【0125】
図7a〜bに示す材料は、たとえば、本明細書に記載する製造方法の1つまたは複数を使用して製造することができる。
【0126】
本発明のさらなる態様は、本発明の材料1および/または100の一実施形態を含む特にサッカー靴向けの靴甲、ならびにそのような甲を含む靴によって提供される。
【0127】
図8は、上記の材料1および/または100が使用されているサッカー靴2を示す。横方向の動きを安定化させるためにアラミド糸(たとえば、Kevlar(登録商標))で補強された区域(リボン)50を、サッカー靴の外側の中足区域内に配置することができる。区域50は、具体的には、足を内方へ曲げる運動中に足を支持する。たとえば、区域50は、脚が足の内側の方へ傾斜している場合に足が地面に着いたときに足を支持する。これによって、足首を「ねじる」危険を防止する。
【0128】
図9a〜bは、サッカー靴300の別の実施形態を示す。靴300は、靴甲310および本底320を含む。
【0129】
本底320は、好ましくは、着用者の足を負傷から保護するために、具体的には走ったり歩いたりするなどのときに鋭いまたは尖った物体から保護するために、耐久性のあるプラスチック材料から作られる。他方では、本底320はそれでもなお、着用者の動きを過度に妨害しないように十分な可撓性を有していなければならない。
【0130】
本底320は、
図9a〜bに示すように、走っている間または他の運動中の牽引力を改善するために、滑り止めをさらに含むことができる。好ましくは、これらの滑り止めは、同じく
図9a〜bに示すように、本底320の残り部分と一体に提供される。
【0131】
他方では、甲310は、本発明の材料1の一実施形態を含む。より正確には、
図9a〜bに示すサッカー靴300の好ましい実施形態は、
図7a〜bを参照しながら説明した本発明の材料1の実施形態を含む。しかし、原則的に、材料1の他の実施形態も可能である。また、本発明の材料1の一実施形態ではなく、本発明の材料100の一実施形態が甲310とともに使用されることもさらに考えられる。甲は、たとえば甲が着用者の足に擦れるのを防止するために、インレー315をさらに含むことができる。インレー315は、たとえば、フリース材料、フェルト材料、革などを含むことができる。インレーは、
図9a〜bで認識できるように、甲310のかかと領域内にのみ配置することができ、または甲310の前足領域の方へ延びることもできる。さらに、靴300はまた、たとえば上記で
図8に示す実施形態2を参照しながら論じた補強区域のようなさらなる要素を含むこともできる。
【0132】
上記の材料1および100は薄く、これは、スポーツ靴の軽量性を考慮すると望ましい。しかし、その材料1および100には制振がほとんどないため、特定の要件のために材料1および100の制振を増大させることが望ましい可能性がある。したがって、材料1もしくは100の内側またはホイル層10、30間に制振層(図示せず)を導入することが考えられる。制振層は、PU発泡体とすることができ、PU発泡体は、たとえば、層と層の間で広範囲にわたってまたは特定の位置にのみ噴霧される。これを可能にするために、ホイル層10、30は、特定の位置にのみ積層することができる。次いで、連結されていない空胴を、圧縮空気、PU発泡体、または他の制振材料で充填することができる。
【0133】
布地補強層20はまた、上記ですでに示したように、異なる厚さを有する領域を含むことができる。制振が望ましく、たとえばホイル層10、30が互いに連結されない第1の布地材料を含む第1の領域内では、布地補強層20は、たとえばより大きい太さまたは特定の織り方のパターンの糸を使用することによって、それに対応して厚さがより大きくなるように設計することができる。制振が望まれておらず、ホイル層10、30が互いに連結されるべき第2の布地材料を含む第2の領域内では、布地補強層は、上記のように、それに対応して薄く設計することができる。
【0134】
図10は、前述の靴甲用の材料1および/または100内で使用することができる4つのポリウレタン副層を有するポリウレタン層を製造する方法を示す。撹拌した調合物を溶解させて、容器内へ解放する。容器は、絶えず動くデバイスによって、常に混合することができる。調合物は、指定の厚さの小さい間隙を可能にすることによって、容器の底部から均一に分散させることを可能にすることができる。連続して動くリリースペーパーが下を動いて、混合物をリリースペーパー上へ引きずり込む。リリースペーパーは、設計または機能に特定の所望のパターンおよび深さでエンボス加工することができる。こうして塗布される第1の層の厚さはまた、一方の側から他方の側へ走査するレーザデバイスまたは他の厚さ測定センサを使用して監視することができ、それによって、厚さが一貫して均一に塗布されることを確実にすることができる。たとえば、この第1の層は、0.02mmの厚さを有することができる。
【0135】
これに続いて、リリースペーパーは、指定の量の乾燥および蒸発が生じるまで、加熱された炉を通って一定の速度で動くことができる。
【0136】
次いで、このプロセスを繰り返して、第1の層の上に軟質PU層である第2の層を塗布することができる。この層は、たとえば0.02mmの厚さを有することができる。
【0137】
第2の層には、たとえば0.07mmの厚さを有する第3の層を塗布することができる。この第3のPUの塗布には、第2の異なる調合物を含むことができる。PU層を塗布する前述のプロセスを、第3の層でも繰り返すことができる。第3の層は、より厚い層とすることができ、これらの層に必要とされる精度に応じて設定される。したがって、この層は、炉内でより長い時間を必要とすることがあり、かつ/またはより高い温度を使用しなければならない。層が変化する際、必要とされる特徴に応じて、軟質PU層と硬質PU層の両方に色または調合の変化を加えることもできる。
【0138】
最後の塗布では、第4の層を塗布することができ、第4の層の機能は主に、PU層と布地補強層との結合、また場合によってはPU層と反対側のPU層との結合を助けることである。
【0139】
PU層およびリリースペーパーは、様々なローラの組合せを通って動くことによって、密に保つことができる。最後の炉の段階に続いて、非常に薄く軽量の非織物状材料シートをPU表面の上に配置して保護してから、保管のために巻き上げることができる。
【0140】
最後の巻き上げたPU膜は、保管デバイスへ移動させることができ、保管デバイス内で、硬化および安定するように、たとえば24時間放置された後、靴の作製に使用する準備が整う。
【0141】
次いで、本発明によれば、上記のように作製されたポリウレタン層を使用して、以下のように、靴甲用の材料を作製することができる。ポリウレタン膜または層および開口を有する布地補強層が打ち抜き加工される。布地補強層は、第1のポリウレタン層と第2のポリウレタン層との間に配置される。材料は、シリコンパッド上に組み立てて、ヒートプレスで加圧することができる。材料は、向きを変えて約90°回転させることができる。したがって、その向きが以前は「風景」であった場合、次には「肖像」になり、逆も同様である。次いでこの材料を、2度目に高温加圧することができる。前述のプロセスによって、布地補強層の開口を通って両方のポリウレタン層が溶け合う。第1のポリウレタン層は、たとえばこの説明で述べた内側ポリウレタン層10とすることができ、第2のポリウレタン層は、この説明で述べた外側ポリウレタン層30とすることができる。この状況を逆にすることもできる。
【0142】
加圧中、機械温度は、プレスの両側で約140°とすることができる。アセンブリは、約30秒間加圧することができる。この圧力は、約100kg/cm
2とすることができる。
【0143】
図11は、液体のPUに基づいて本発明による材料を作製する代替の方法を示す。
【0144】
ステップ81〜84では、炉の時間が可変であることを除いて、
図10に関して上記で説明したものと同じ作製技法を使用する。炉の時間は、布地補強層を塗布する前に層が完全に乾燥しないことを確実にするように変更される。したがって、液体のポリウレタンが、リリースペーパー上へ直接注がれる。液体のポリウレタンは、4つの副層内に塗布される。これらの副層のうち第1の副層および第2の副層は、約0.0175mmの厚さを有することができ、第3の副層および第4の副層は、約0.075mmの厚さを有することができる。
【0145】
このプロセスでは、ステップ84とステップ85との間には、(たとえば、
図3に関連して説明されるような)布地補強層が、半乾燥のPU層の上に直接含まれる。また、この段階では、軽く加圧するステップを含むこともできる。布地補強層は、好ましくは、この説明で述べた開口を有する。
【0146】
次いで、ステップ85〜88で、層間の炉による類似の加熱方法を使用して、副層が逆の順序で塗布される。この段階で、材料はほぼ完全に乾燥している。しかし、これらの副層は、布地補強層付近の両側では、それでもなお半液体状であることがあり、したがって、高温加圧がなくても、布地補強層の開口を通って結合することができる。ステップ89などの高温加圧は、結合をさらに強化することができる。
【0147】
ステップ89で、高圧の最後のホットローラにより、層と層および層と布地補強層の完全な結合を確実にする。内側の副層は、布地補強層内の開口を通じて溶け合う。この段階で、リリースペーパーが除去された場合はローラによって両側から、またはリリースペーパーによって片側から、エンボス加工を加えることができる。ここで分子結合が生じる可能性があるため、下塗り(副)層とも呼ばれる内側の(副)層の除去または置換が生じる可能性がある。
【0148】
最初は
図10に関連して上記で論じた実施形態に従う作製方法の第3の実施形態も可能である。しかし、第4の副層の塗布に続いて、炉内の硬化前に、布地補強層が、まだ湿っている第4の副層の上に塗布される。次いで、この材料は炉を通過し、第4の層を硬化させて、PUと布地補強層との間の結合を実現する。次いで、この材料をホットまたはコールドローラによって加圧して、結合を強化することができる。次いで、この材料は、上記と同様に、保管のために巻き上げることができる。第2の作製ラインでは、次いでこの材料は、リリースペーパーの代わりに導入されるはずであり、4つの副層は、逆の順序で布地補強層に塗布されるはずである。このプロセスの終わりに、ホットまたはコールドローラプロセスを加えて、PUと布地補強層との間の結合を改善することができる。
【0149】
追加または別法として、ホイル層および布地補強層はまた、オートクレーブプロセスで結合することができる。
【0150】
上記の3つの方法は、靴に必要とされる特徴および使用に応じて、(副)層の調合、色の組合せ、および厚さを変更する可能性を含み、これには、炉の時間または温度のわずかな変化が必要とされる。副層の数もまた、同じ作製技法を使用して変化させることができる。たとえば、単一の副層、2つの副層、3つの副層、またはさらには5つ以上の副層を使用することができる。これに沿って、布地補強層を変更することが可能である。
【0151】
第1の編組布地材料(図示せず)を含む布地補強層を有する靴甲とともに使用するための本発明の材料を製造する方法に対するさらなる実施形態は、1つまたは複数のポリウレタン層を加熱可能な型に塗布するステップを含む。2つ以上の(副)層が塗布される場合、型を一時的に加熱することができ、個々の副層を放置して少なくとも部分的に凝固させてから、次の副層を塗布することができる。したがって、すべての(副)層が塗布され、場合によっては少なくとも部分的に凝固させた後、次のステップで、加熱可能な型に塗布された最も外側の(副)層の周りに、布地補強層の第1の布地材料が編み込まれる。
【0152】
加熱可能な型に事前に塗布された最も外側の(副)層の周りに布地補強層の第1の布地材料を編み込んだ後、最初に塗布されたPU層/副層に関連して上記で説明した方法で、さらなる1つのポリウレタン層または複数のポリウレタン副層を、布地補強層の上に塗布することができる。その後、さらなる方法ステップで型を加熱して、靴甲用の材料のすべての成分を溶融させることができる。織物状の第1の布地材料を含む布地補強材料の使用と比較すると、編組を使用することで、コストおよび労力を節約することができる。