(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-40736(P2015-40736A)
(43)【公開日】2015年3月2日
(54)【発明の名称】変位測定装置
(51)【国際特許分類】
G01H 1/00 20060101AFI20150203BHJP
【FI】
G01H1/00 Z
G01H1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-171111(P2013-171111)
(22)【出願日】2013年8月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】和氣 知貴
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 充
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA05
2G064AB02
2G064AB23
2G064AC11
2G064BA02
(57)【要約】
【課題】低コストでかつ簡便に2物体間の相対変位の最大値を測定する。
【解決手段】互いに相対的に移動する第1及び第2部材2、3と、第1及び第2部材の間に介在する長尺状の第3部材4とを備え、第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、第3部材の第1及び第2部材間の長さが伸長し、第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は両部材2、3が互いに近接する方向に移動した際に、第3部材は伸長した状態を維持し、さらに、第3部材の伸長した長さを測定する測定手段7aを備える変位測定装置1。測定手段は、第2部材に固定され、第4部材の初期位置に関連づけられた零点を有し、支持部材6から離間する方向に値が増加する目盛り7aとすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対的に移動する第1及び第2部材と、
該第1及び第2部材の間に介在する長尺状の第3部材とを備え、
前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記第3部材の前記第1及び第2部材間の長さが伸長し、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記第3部材は前記伸長した状態を維持し、
さらに、前記第3部材の伸長した長さを測定する測定手段を備えることを特徴とする変位測定装置。
【請求項2】
前記第1及び第2部材は相対向するように配置され、
前記第3部材は、一端が前記第1部材の前記第2部材との対向面に固定され、
該変位測定装置にさらに、前記第2部材の前記第1部材との対向面に固定され、前記第3部材の一端と他端の間の一部を支持する支持部材を設け、
前記第3部材の他端は、前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記第1部材に追従しながら前記第2部材と相対的に移動し、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記第2部材に対して静止するか、静止した状態を維持し、
前記第3部材の伸長長さは、前記第1部材に固定された一端と前記支持部材との間で測定されることを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項3】
前記第3部材は紐状に形成され、
該変位測定装置にさらに、前記第3部材の他端に連結され、前記第2部材の前記第1部材との対向面に摩擦力によって保持される第4部材を設け、
前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記第4部材が前記第1部材に追従して移動すると共に、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記第4部材は前記第2部材に対して静止するか、静止した状態を維持し、
前記測定手段は、前記第4部材の移動距離を、前記第3部材の伸長長さとして測定することを特徴とする請求項2に記載の変位測定装置。
【請求項4】
前記測定手段は、前記第4部材に固定され、該第4部材の初期位置に関連づけられた零点を有し、前記支持部材から離間する方向に値が増加する目盛りであることを特徴とする請求項3に記載の変位測定装置。
【請求項5】
前記第1及び第2部材は相対向するように配置され、
前記第3部材は、一端が前記第1部材の前記第2部材との対向面に固定され、
該変位測定装置にさらに、前記第2部材の前記第1部材との対向面に固定され、前記第3部材の他端を含む部分を支持する支持部材を設け、
前記第3部材の他端は、前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記第1部材に追従して移動し、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記支持部材に対して静止するか、静止した状態を維持し、
前記第3部材の伸長長さは、前記第1部材に固定された一端と前記支持部材との間で測定されることを特徴とする請求項1に記載の変位測定装置。
【請求項6】
前記第3部材は紐状に形成され、
前記支持部材は、前記第3部材の他端を含む部分を巻回するリールであって、
前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記リールが回転して前記第3部材の他端が前記第1部材に追従して移動し、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記リール及び前記第3部材の他端は、前記支持部材に対して静止するか、静止した状態を維持し、
前記測定手段は、前記第3部材の他端の移動距離を前記伸長長さとして測定することを特徴とする請求項5に記載の変位測定装置。
【請求項7】
前記測定手段は、前記第3部材に設けられ、該第3部材の初期位置に関連づけられた零点を有し、該第3部材の前記一端から離間する方向に値が増加する目盛りであることを特徴とする請求項6に記載の変位測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位測定装置に関し、特に、2つの物体間に取り付けられ、該2物体間の相対変位の最大値を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上部構造物と下部構造物との間に取り付けられる免震装置において、免震装置に設けられる積層ゴム体が経験した上部及び下部構造物間の相対変位の最大値を目視によって確認することは困難である。また、この相対変位による積層ゴム体の損傷の有無も外見から判断することは困難である。
【0003】
そこで、特許文献1には、上部構造物と下部構造物とを繋ぐ接続線を有し、上部及び下部構造物間の相対変位が限界値を超えた場合に接続線が破断するようにした支承用損傷判定装置が記載されている。また、特許文献2には、積層ゴム体の側部にゴム片を有し、上部及び下部構造物間の相対変位が限界値を超えた場合にゴム片が破断するようにした支承用損傷判定装置が記載されている。
【0004】
また、3次元空間のXYZ成分を測定するセンサーを備えた地震計や、けがき針式の変位記録計等を用いて上部構造物と下部構造物との相対変位の最大値を測定することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−7797号公報
【特許文献2】特開2011−106624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献に記載の技術では、接続線やゴム片が破断することで、上部及び下部構造物間の相対変位が所定値を超えたことを検知することができるものの、正確に両物体間の相対変位の最大値を測定することは困難であった。また、一度接続線等が破断してしまうと交換する必要がある。
【0007】
一方、地震計や、変位記録計等は、構造が複雑で高価であると共に、定期的なメンテナンスが必要であり、慎重に取り扱う必要がある。
【0008】
そこで、本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、低コストでかつ簡便に2物体間の相対変位の最大値を測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、変位測定装置であって、互いに相対的に移動する第1及び第2部材と、該第1及び第2部材の間に介在する長尺状の第3部材とを備え、前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記第3部材の前記第1及び第2部材間の長さが伸長し、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記第3部材は前記伸長した状態を維持し、さらに、前記第3部材の伸長した長さを測定する測定手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際にのみ第3部材が伸長し、測定手段によって第3部材の伸長長さを測定することで、第1部材と第2部材との相対変位の最大値を低コストでかつ簡便に得ることができる。また、第3部材は破断しないため、交換する必要もない。
【0011】
上記変位測定装置において、前記第1及び第2部材は相対向するように配置され、前記第3部材は、一端が前記第1部材の前記第2部材との対向面に固定され、該変位測定装置にさらに、前記第2部材の前記第1部材との対向面に固定され、前記第3部材の一端と他端の間の一部を支持する支持部材を設け、前記第3部材の他端は、前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記第1部材に追従しながら前記第2部材と相対的に移動し、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記第2部材に対して静止するか、静止した状態を維持し、前記第3部材の伸長長さは、前記第1部材に固定された一端と前記支持部材との間で測定されるように構成することができる。
【0012】
上記変位測定装置において、前記第3部材を紐状に形成し、該変位測定装置にさらに、前記第3部材の他端に連結され、前記第2部材の前記第1部材との対向面に摩擦力によって保持される第4部材を設け、前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記第4部材が前記第1部材に追従して移動すると共に、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記第4部材は前記第2部材に対して静止するか、静止した状態を維持し、前記測定手段は、前記第4部材の移動距離を、前記第3部材の伸長長さとして測定することができる。
【0013】
上記変位測定装置において、前記測定手段は、前記第4部材に固定され、該第4部材の初期位置に関連づけられた零点を有し、前記支持部材から離間する方向に値が増加する目盛りとすることができる。これにより、目視により容易に第3部材の伸長長さ、すなわち第1部材と第2部材との相対変位の最大値を測定することができる。
【0014】
上記変位測定装置において、前記第1及び第2部材は相対向するように配置され、前記第3部材は、一端が前記第1部材の前記第2部材との対向面に固定され、該変位測定装置にさらに、前記第2部材の前記第1部材との対向面に固定され、前記第3部材の他端を含む部分を支持する支持部材を設け、前記第3部材の他端は、前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記第1部材に追従して移動し、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記支持部材に対して静止するか、静止した状態を維持し、前記第3部材の伸長長さは、前記第1部材に固定された一端と前記支持部材との間で測定されるように構成することができる。
【0015】
上記変位測定装置において、前記第3部材を紐状に形成し、前記支持部材は、前記第3部材の他端を含む部分を巻回するリールであって、前記第1及び第2部材が互いに離間する方向に移動した際に、前記リールが回転して前記第3部材の他端が前記第1部材に追従して移動し、前記第1及び第2部材が相対的に移動しない場合、又は該両部材が互いに近接する方向に移動した際に、前記リール及び前記第3部材の他端は、前記支持部材に対して静止するか、静止した状態を維持し、前記測定手段は、前記第3部材の他端の移動距離を前記伸長長さとして測定することができる。
【0016】
上記変位測定装置において、前記測定手段は、前記第3部材に設けられ、該第3部材の初期位置に関連づけられた零点を有し、該第3部材の前記一端から離間する方向に値が増加する目盛りとすることができる。これにより、目視により容易に第3部材の伸長長さ、すなわち第1部材と第2部材との相対変位の最大値を測定することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、低コストでかつ簡便に2物体間の相対変位の最大値を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る変位測定装置の第1の実施形態を示し、(a)は変位測定装置の動作前、(b)は動作時、(c)は動作後の状態を各々示す正面図である。
【
図2】本発明に係る変位測定装置の第2の実施形態を示し、(a)は変位測定装置の動作前、(b)は動作時、(c)は動作後の状態を各々示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、本発明に係る変位測定装置を免震装置に用いられる積層ゴム体の上側及び下側フランジプレート間の相対変位の最大値を測定する場合を例にとって説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る変位測定装置の第1の実施形態を示し、この変位測定装置1は、、互いに相対的に移動する積層ゴム体9の上側及び下側フランジプレートからなる第1及び第2部材2、3と、両部材2、3間に介在する第3部材4と、第3部材4に連結される長尺状の第4部材7とで構成される。
【0021】
第1部材2は、上側フランジプレートそのものであり、この第1部材2の下面に、取付部材5を介して第3部材4の一端が固定される。
【0022】
第2部材3は、下側フランジプレートそのものであり、この第2部材3の上面に、第4部材7に摩擦力を付与しつつ移動可能に案内する摩擦案内部材3a、3bが固定され、摩擦案内部材3aに指示部3cが設けられる。
【0023】
第3部材4は、紐状に形成されると共に、一部が取付部材5に固定され、他端には第4部材7が連結される。この第3部材4は、第1及び第2部材2、3が互いに離間する方向に移動する際に第1部材2に追従して移動し、両部材2、3間の第3部材4の長さが伸長する。尚、ここで「第3部材4の長さが伸長する」とは、第3部材4の長さが第3部材4の弾性により長くなることを意味するのではなく、弾性を有さない第3部材4の他端が第4部材7を移動させ、それにより第3部材4の第1及び第2部材2、3間の長さが長くなることをいう。
【0024】
第4部材7は棒状に形成され、目盛り7aを有し、摩擦案内部材3a、3bに摩擦力によって保持されながら案内され、第2部材3の上面を摺動する。この第4部材7は、第1及び第2部材2、3が互いに離間する方向に移動する際に、第3部材4を介して第1部材2に追従して移動する。
【0025】
第4部材7に一体化された目盛り7aは、指示部3cの下方に零点(0%)を有し、支持部材6から離間する方向、すなわち左方に向かって値が100%、200%・・と増加する。また、この目盛り7aは、免震装置に用いられる積層ゴム体のゴム層総厚さと、第1及び第2部材2、3間の相対変位の最大値との比を表しており、
図1(b)に示す積層ゴム体9の変形による第1部材2の沈み込みを考慮したものである。そのため、目盛り7aの間隔が等間隔とはなっていない。例えば、第4部材7が200%の位置で静止した場合には、両部材2、3間の相対変位の最大値は、積層ゴム体のゴム層総厚さを2倍した値となることを示す。尚、
図1(a)では、第4部材7は初期位置に位置している。
【0026】
上記構成を有する変位測定装置1は、
図1(a)の状態から第1部材2が水平右方向に、第2部材3が水平左方向に互いに離間する方向に相対移動すると、
図1(b)に示すように、第1及び第2部材2、3の移動に伴い、第3部材4が第1部材2に追従して移動して第1及び第2部材2、3間の第3部材4の長さが伸長する。これに伴って、第3部材4に連結された第4部材7が第2部材3の上面を移動する。
【0027】
第1及び第2部材2、3の互いに離間する方向への相対移動が終了した後、両部材2、3が近接する方向に移動して元の状態に戻ると、
図1(c)に示す状態となる。この過程で、第4部材7は、案内部材3a、3bを介して摩擦力によって第2部材3に保持されているため、第1及び第2部材2、3が互いに離間する方向に移動した場合にのみ、第4部材7は、第1部材2及び第3部材4によって第2部材3上を移動し、第3部材4の第1及び第2部材2、3間の長さが伸長する。第1及び第2部材2、3が相対的に移動しない場合や、第1及び第2部材2、3が互いに近接する方向に移動した場合には、第4部材7は、摩擦力によって、第3部材4の伸長長さを維持しながら第2部材3に対して静止するか、静止した状態を維持する。そのため、第1及び第2部材2、3間の最大の相対変位により、第4部材7が
図1(a)に示す初期位置から
図1(c)に示す最終位置まで移動したことになる。
【0028】
図1(c)において指示部3cの直下の目盛り7aの値を見ると200%となっているので、第1及び第2部材2、3間の相対変位の最大値は、積層ゴム体のゴム層総厚さを2倍した値となる。
【0029】
次に、本発明に係る変位測定装置の第2の実施形態について
図2を参照しながら説明する。
【0030】
この変位測定装置11は、互いに相対的に移動する積層ゴム体9の上側及び下側フランジプレートからなる第1及び第2部材12、13と、両部材12、13間に介在する第3部材14と、第2部材13に固定され、第3部材14の一部を巻回するリール16(支持部材)等で構成される。
【0031】
第3部材14は紐状に形成され、一端が取付部材15を介して第1部材12に固定され、他端を含む部分がリール16に巻回される。このリール16は、第1部材12と第2部材13とが互いに離間する方向に移動した際に、第1及び第2部材12、13間の第3部材14の長さが伸長する方向にのみ、すなわち一方向にのみ回転する。尚、
図2(a)では、第3部材14は初期位置に位置している。
【0032】
第3部材14の表面には、第3部材14の初期位置を零(0%)とし、第3部材14の他端(リール16に巻回されている部分の第3部材14の端)に向かって値が100%、200%・・・と増加する目盛り(不図示)が設けられ、また、リール16には、目盛りを読み取るための指示部(不図示)が設けられる。尚、目盛りの値(100%、200%・・・)の間隔は、上記と同様の理由により等間隔とはなっていない。
【0033】
上記構成を有する変位測定装置11は、
図2(a)の状態から、第1部材12が水平右方向に、第2部材13が水平左方向に互いに離間する方向に相対移動すると、
図2(b)に示すように、第1及び第2部材12、13の移動に伴い、第3部材14が第1部材12の移動に追従して移動し、リール16が回転して第1及び第2部材12、13間の第3部材14の長さが伸長する。
【0034】
第1及び第2部材12、13の互いに離間する方向への相対移動が終了した後、両部材12、13が近接する方向に移動して元の状態に戻ると、
図2(c)に示す状態となる。この過程で、リール16は、一方向にしか回転しないため、第1及び第2部材12、13が互いに離間する方向に移動した場合にのみ、第1及び第2部材12、13間の第3部材14の長さが伸長し、第1及び第2部材12、13が相対的に移動しない場合や、第1及び第2部材12、13が互いに近接する方向に移動した場合には、第3部材14の伸長長さを維持しながらリール16は静止するか、静止した状態を維持する。そのため、第1及び第2部材2、3間の最大の相対変位により、第3部材14が
図2(a)に示す初期状態から
図2(c)に示す最終状態まで伸長したことになる。
【0035】
図2(c)における目盛りを指示部を介して読み取り、積層ゴム体のゴム層総厚さに読み取った値を乗算することにより、第1及び第2部材12、13間の相対変位の最大値を得ることができる。
【0036】
尚、上記実施の形態において、本発明に係る変位測定装置によって、免震装置に用いられる積層ゴム体の上側及び下側フランジプレート間の変位を測定する場合について説明したが、これに限らず、変位を測定したい様々な2物体の間に取り付けて利用することができる。
【0037】
また、上記実施の形態では、本発明に係る変位測定装置を積層ゴム体の上側及び下側フランジプレート間に配置したため、上側フランジプレートの沈み込みを考慮する必要があり、第3部材4、14の伸長長さが上側及び下側フランジプレート間の相対変位の最大値を示していなかったが、変位を測定したい2物体が第3部材4等の伸長方向と同方向に相対変位する場合には、第3部材4等の伸長長さそのものが2物体の相対変位の最大値となる。
【0038】
本説明では、実施例1において目盛り7aを、実施例2において第3部材14の表面に設けられる目盛りを、積層ゴム体のゴム層総厚さに対するせん断歪み量(%)としたが、積層ゴム体のゴム層総厚さや変位測定装置の取付高さが取り付ける建物によって異なるときは、目盛り表示をその都度変更する必要があるため、実寸のスケール表示、例えばcm単位等としても良く、その場合積層ゴム体の最大経験歪み量(%)は、以下のように求めることができる。
積層ゴム体の最大経験歪み量(%)=D/Σte×100
D:免震層の相対水平変位(cm)
Σte:積層ゴム体のゴム層総厚さ(cm)
尚、免震層の相対水平変位Dは、
D=√((h+L)
2−h
2)
h:変位測定装置の取付位置高さ(cm)
L:変位測定装置の指示目盛り(cm)
【符号の説明】
【0039】
1 変位測定装置
2 第1部材
3 第2部材
3a、3b 案内部材
3c 指示部
4 第3部材
5 取付部材
6 支持部材
7 第4部材
7a 目盛り
9 積層ゴム体
11 変位測定装置
12 第1部材
13 第2部材
14 第3部材
15 取付部材
16 リール