(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-4077(P2015-4077A)
(43)【公開日】2015年1月8日
(54)【発明の名称】炭化水素含有材料からの炭化水素抽出
(51)【国際特許分類】
C10G 1/04 20060101AFI20141205BHJP
【FI】
C10G1/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2014-207858(P2014-207858)
(22)【出願日】2014年10月9日
(62)【分割の表示】特願2010-525819(P2010-525819)の分割
【原出願日】2008年9月17日
(31)【優先権主張番号】60/973,964
(32)【優先日】2007年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/053,126
(32)【優先日】2008年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/174,139
(32)【優先日】2008年7月16日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】510078148
【氏名又は名称】グリーン・ソース・エナジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】GREEN SOURCE ENERGY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎
(74)【代理人】
【識別番号】100085132
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083703
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 義平
(74)【代理人】
【識別番号】100096781
【弁理士】
【氏名又は名称】堀井 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100111246
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100124523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 眞人
(72)【発明者】
【氏名】ファン,リアン−ツェン
(72)【発明者】
【氏名】シャフィー,モハマド・レザ
(72)【発明者】
【氏名】トラス,ジュリアス・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウィリアム・アーサー・フィッツヒュー
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA01
4H129BA02
4H129BB01
4H129BB10
4H129BC03
4H129BC10
4H129BC38
4H129NA01
4H129NA09
4H129NA21
(57)【要約】
【課題】石油の二次および三次または増進回収運転については、費用対効果が大きく貯留層を損傷しないやり方で、石油の可溶化を増進させて、貯留層中の炭化水素含有有機物を回収するであろうプロセスを提供すること。
【解決手段】炭化水素含有材料からの炭化水素含有有機物の抽出方法であって、ターペンタイン液を含む第1の液体を提供するステップと、抽出混合物が形成され、残留物が形成されるよう、炭化水素含有材料を前記ターペンタイン液と接触させるステップとを備え、抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部と、ターペンタイン液とを含み、残留物は、炭化水素含有材料からの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含み、抽出混合物を残留物から分離するステップと、抽出混合物を第1の部分と第2の部分とに分離するステップとをさらに備え、抽出混合物の第1の部分は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含む炭化水素生成物流を含み、抽出混合物の第2の部分は、ターペンタイン液の少なくとも一部を含む、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素含有材料からの炭化水素含有有機物の抽出方法であって、
ターペンタイン液を含む第1の液体を提供するステップと、
抽出混合物が形成され、残留物が形成されるよう、炭化水素含有材料を前記ターペンタイン液と接触させるステップとを備え、抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部と、ターペンタイン液とを含み、残留物は、炭化水素含有材料からの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含み、
抽出混合物を残留物から分離するステップと、
抽出混合物を第1の部分と第2の部分とに分離するステップとをさらに備え、抽出混合物の第1の部分は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含む炭化水素生成物流を含み、抽出混合物の第2の部分は、ターペンタイン液の少なくとも一部を含む、方法。
【請求項2】
前記ターペンタイン液は、天然ターペンタイン、合成ターペンタイン、ミネラルターペンタイン、パイン油、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルペン樹脂、α−テルペン、β−テルペン、γ−テルペン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターペンタイン液は、ゲラニオール、3−カレン、ジペンデン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタン−8−オール、α−テルピニルアセタート、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタート、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ターペンタイン液は、アネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン、ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭化水素含有有機物は、固体または半固体であり、前記炭化水素含有材料は、複数の粒子を含み、粒子は、平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
平均粒径は、約0.74ミリメートルから約25ミリメートルまでである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ターペンタイン液に第2の液体を加えるステップをさらに備え、第2の液体は、低級脂肪族アルコール、低級アルカン、低級芳香族化合物、脂肪族アミン、芳香族アミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の液体は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アントラセン、テトラリン、トリエチレルアミン、アニリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
炭化水素含有材料を前記ターペンタイン液と接触させるステップは、水の沸点付近の温度の水を加えるステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ターペンタイン液を炭化水素含有材料と接触させる前に、ターペンタイン液を約200℃までの周囲温度を超える点までの温度まで加熱するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記炭化水素含有材料と前記ターペンタイン液とは、約1.0×104パスカル(0.1atm)から約5.0×106パスカル(50.0atm)までの圧力で接触させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
抽出混合物の第2の部分の少なくとも一部を、接触させるステップに供給するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記炭化水素含有有機物と前記ターペンタイン液とを、前記炭化水素含有有機物を含有する地下地層内でin situで接触させるための手段と、前記地下地層から前記炭化水素含有有機物を抽出するための手段とを提供するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記炭化水素含有材料は、約300℃未満の温度の前記ターペンタイン液によって接触される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
炭化水素含有材料は、約60℃未満の温度の前記ターペンタイン液によって接触される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
炭化水素含有材料は、地下地層中にあり、炭化水素含有材料を前記ターペンタイン液と接触させるステップは、地下地層中でin situで起こり、
抽出混合物を地下地層と流体連通している生産井を通して回収するステップをさらに備え、残留物は、地下地層にin situで残留する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
炭化水素材料のさらなる抽出のために再循環流を圧入井へ圧入するステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
地下地層は、炭化水素材料の一次回収を受けている、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ターペンタイン液は、少なくとも約30体積%のα−テルピネオールと、少なくとも約15%のβ−テルピネオールとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ターペンタイン液は、約50体積%の間のα−テルピネオールと、少なくとも約20体積%のβ−テルピネオールとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
ターペンタインは、
α−テルペン、β−テルペンまたはγ−テルペンのうち少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ターペンタイン液は、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含み、α−テルピネオールとβ−テルピネオールの比は、少なくとも約1.3:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ターペンタイン液は、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含み、α−テルピネオールとβ−テルピネオールの比は、少なくとも約2:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記炭化水素材料は、タールサンドを含み、
炭化水素含有材料を前記ターペンタイン液と接触させるステップは、炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物の相当な部分を抽出する働きをする時間の間、タールサンドを抽出容器の内部に供給し、ターペンタイン液を抽出容器の内部に供給するステップを含む、炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記炭化水素材料はオイルシェールを含み、
複数の粒子を作製するために炭化水素含有有機物を粉砕するステップをさらに備え、粒子は、複数の粒子がターペンタイン液と接触しているよう4.8mmから25mmの範囲の平均直径サイズを規定する、炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記炭化水素材料は石炭を含み、
複数の粒子を作製するために炭化水素含有有機物を粉砕するステップをさらに備え、粒子は、複数の粒子がターペンタイン液と接触しているよう0.8mmから0.07mmの範囲の平均直径サイズを規定する、炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項27】
炭化水素含有有機物の抽出のための組成物であって、少なくとも約30体積%のα−テルピネオールと、少なくとも約10体積%のβ−テルピネオールとを含む、組成物。
【請求項28】
前記組成物は、約50〜70体積%のα−テルピネオールと、約20〜40体積%のβ−テルピネオールとを含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
20体積%までのγ−テルピネオールも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
20体積%までの、天然ターペンタイン、合成ターペンタイン、ミネラルターペンタイン、α−ピネン、β−ピネン、α−テルペン、β−テルペン、およびγ−テルペンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物も含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項31】
ゲラニオール、3−カレン、ジペンデン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタン−8−オール、α−テルピニルアセタート、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタート、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントール、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物も含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項32】
アネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン、ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物も含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項33】
約10体積%までのα−テルペンと約10体積%までのβ−テルペンとも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項34】
組成物は、約30〜70体積%のα−テルピネオールと、約25〜55体積%のβ−テルピネオールとも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項35】
組成物は、約45〜80体積%のα−テルピネオールと、約15〜45体積%のβ−テルピネオールとも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項36】
組成物は、約40〜70体積%のα−テルピネオールと、約30〜40体積%のβ−テルピネオールとも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項37】
組成物は、約50〜70体積%のα−テルピネオールと、約30〜40体積%のβ−テルピネオールとも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項38】
約5体積%までのα−テルペンと、約5体積%までのβ−テルペンとも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項39】
組成物は、約60〜95体積%のα−テルピネオールと、約30体積%までのβ−テルピネオールとも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項40】
組成物は、約60〜95体積%のα−テルピネオールと、約30体積%までのβ−テルピネオールとも含む、請求項27に記載の組成物。
【請求項41】
炭化水素含有材料からの炭化水素含有有機物の抽出方法であって、
ターペンタイン液を含む第1の液体を提供するステップを備え、ターペンタイン液は、α−テルピネオールを含み、
抽出混合物が形成され、残留物が形成されるよう、炭化水素含有材料を前記ターペンタイン液と接触させるステップをさらに備え、抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部と、ターペンタイン液とを含み、残留物は、炭化水素含有材料からの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含み、
抽出混合物を残留物から分離するステップをさらに備える、方法。
【請求項42】
抽出混合物を炭化水素生成物流と再循環流とに分離するステップをさらに備え、炭化水素生成物流は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、再循環流は、ターペンタイン液の少なくとも一部を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
再循環流を炭化水素含有材料と接触するように再循環させるステップをさらに備える、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
固体または半固体の炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を回収するための装置であって、
炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を抽出するためのテルピネオールを含有するターペンタイン液を含むターペンタイン液供給源と、
接触容器とを備え、前記接触容器は、第1の入口を有し、第1の入口を通してターペンタイン液供給源と流体連通しており、接触容器は、炭化水素含有材料を第2の入口を通して内部に収容する働きをしており、接触容器は、炭化水素含有材料とターペンタイン液とを、抽出混合物および残留物を形成する働きをする予め定められた時間、接触容器の内部に維持する働きをしており、抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部とターペンタイン液とを含み、残留物は、炭化水素含有材料からの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含み、接触容器は、抽出混合物を接触容器から回収するための第1の出口と、残留物を接触容器から回収するための第2の出口とを含み、接触容器は、機械的攪拌を可能にする働きをしており、
貯蔵タンクをさらに備え、前記貯蔵タンクは、接触容器とラインを通して流体連通しており、貯蔵タンクは、抽出混合物を接触容器から受取る働きをしており、ラインは、固体が貯蔵タンクへ通過しないようにするろ過器を含み、
残留物を接触容器の第2の出口から収集するための収集手段をさらに備える、装置。
【請求項45】
抽出混合物を収容するための分離容器をさらに備え、分離容器は、炭化水素含有有機物をターペンタイン液から実質的に分離する働きをしている、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
ターペンタイン液を分離容器から受取るための再循環流をさらに備え、再循環流は、ターペンタイン液を分離容器から接触容器へ再使用のために戻す働きをする、請求項44に記載の装置。
【請求項47】
粉砕機をさらに備え、前記粉砕機は、液状ターペンタインとの接触容器内での接触のために、炭化水素含有材料の大きさを小さくするように構成されている、請求項44に記載の装置。
【請求項48】
前記接触容器は、ターペンタイン液と炭化水素含有材料との接触時間を制御するように構成された複数のフィンまたはトレーをさらに含む回転傾斜ろ過器である、請求項44に記載の装置。
【請求項49】
炭化水素含有材料を接触容器に導入するための前記手段は、コンベアを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項50】
前記接触容器は、炭化水素含有材料とターペンタイン液とを混合するための手段をさらに含む、請求項44に記載の装置。
【請求項51】
第1の接触容器に結合された第2の接触容器をさらに備え、第2の接触容器は、ターペンタイン液および石炭試料材料を受取るための入口と、抽出混合物の少なくとも一部の回収のための第1の出口と、残留物の少なくとも一部を混合容器から取出しすための第2の出口とを備え、第2の接触容器は、第1の接触容器と貯蔵タンクとの間に位置し、結合されている、請求項44に記載の装置。
【請求項52】
接触容器の入口に位置するろ過器をさらに備える、請求項44に記載の装置。
【請求項53】
タールサンドからの炭化水素含有有機物を回収方法であって、
回収可能な炭化水素含有有機物を含むタールサンドを入手するステップと、
ターペンタイン液を含む第1の液体を提供するステップとを備え、ターペンタイン液は、テルピネオールを含有し、
タールサンド試料を接触容器に供給するステップをさらに備え、前記接触容器は、ターペンタイン液を供給するための少なくとも1つの入口を含み、
抽出混合物が形成され、残留物が形成されるよう、タールサンド試料をターペンタイン液と接触容器内で接触させ、タールサンド試料をターペンタイン液で攪拌するステップをさらに備え、抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部と、ターペンタイン液とを含み、残留物は、タールサンドからの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含み、前記接触容器は、ターペンタイン液を供給するための少なくとも1つの入口を含み、
抽出混合物を残留物から分離するステップと、
抽出混合物を炭化水素生成物流とターペンタイン液再循環流とに分離するステップとをさらに備え、炭化水素生成物流は、タールサンドからの炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、
ターペンタイン液再循環流の少なくとも一部を、接触させるステップに再循環させるステップをさらに備え、
前記ターペンタイン液は、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含む、方法。
【請求項54】
細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールからの炭化水素含有有機物の回収方法であって、
細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールを提供するステップと、
ターペンタイン液を含む第1の液体を提供するステップと、
細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールをろ過するステップと、
破砕された炭化水素含有オイルシェールを接触容器に送るステップとを備え、接触容器は、ターペンタイン液を接触容器に供給するための少なくとも1つの入口を含み、
抽出混合物が形成され、残留物が形成されるよう、細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールをターペンタイン液と接触させるステップをさらに備え、抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部と、ターペンタイン液とを含み、残留物は、オイルシェールからの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の一部を少なくとも含み、
抽出混合物を残留物から分離するステップと、
炭化水素生成物流とターペンタイン液再循環流とを生成するために、炭化水素含有有機物をターペンタイン液から抽出混合物中で分離するステップとをさらに備え、炭化水素生成物流は、細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールからの炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、
ターペンタイン液再循環流の少なくとも一部を、接触させるステップに再循環させるステップをさらに備える、方法。
【請求項55】
炭化水素含有石炭を豊富に含む地下地層からの炭化水素含有有機物の回収方法であって、
石炭を入手するステップを備え、前記石炭は、回収可能な炭化水素含有有機物を含み、
破砕された石炭を生成するために石炭を粉砕するステップと、
破砕された石炭をろ過するステップと、
破砕された石炭を接触容器に送るステップとを備え、前記接触容器は、ターペンタイン液を接触容器に供給するための少なくとも1つの入口を含み、
抽出混合物が形成され、残留物が形成されるよう、破砕された石炭をターペンタイン液と接触させるステップをさらに備え、抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部と、ターペンタイン液とを含み、残留物は、石炭からの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の一部の少なくとも一部を含み、
残留物を抽出混合物から分離するステップと、
炭化水素生成物流およびターペンタイン液再循環流を生成するために、炭化水素含有有機物をターペンタイン液から分離するステップとをさらに備え、炭化水素生成物流は、石炭からの炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、
ターペンタイン液再循環流の少なくとも一部を、接触させるステップに再循環させるステップをさらに備える、方法。
【請求項56】
炭化水素含有地下地層に結合された生産井からの炭化水素含有有機物の回収の増加方法であって、地下地層は、炭化水素含有材料を含み、
圧入井を設けるステップを備え、前記圧入は、地下地層と流体連通しており、
第1の液体を提供するステップをさらに備え、第1の液体は、テルピネオールを含むターペンタイン液を含み、
ターペンタイン液を圧入井を通して地層に圧入するステップをさらに備え、ターペンタイン液と炭化水素含有地下地層からの炭化水素含有有機物とは、抽出混合物炭化水素含有有機物の少なくとも一部と、ターペンタイン液の少なくとも一部とを含む抽出混合物を形成し、
抽出混合物を地層から生産井を通して回収するステップと、
炭化水素生成物流およびターペンタイン液流を生成するために抽出混合物を分離するステップとをさらに備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2008年7月16日に出願された米国特許出願連続番号第12/174,139号および2008年3月21日に出願された米国特許出願連続番号第12/053,126号の一部継続出願であり、2007年9月20日に出願された米国仮出願第60/973,964号の優先権を主張し、その各々は、その全体がこの明細書中に引用により援用される。
【0002】
発明の分野
この発明は、炭化水素含有材料からの炭化水素の抽出の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
炭化水素含有有機物とも呼ばれる固体、半固体、非常に粘性のある、または粘性のある形状の化石燃料(以下、個別におよび合わせて化石燃料と称する)の液化、可溶化および/または抽出は、極度に困難で難しいことが判明している。この明細書中で用いられるそのような化石燃料には、石炭、オイルシェール、タールサンド、およびオイルサンド(以下合わせてタールサンドと呼ぶ)、ならびに原油、重質原油、ビチューメン、天然ビチューメン、ケロゲン、天然アスファルトおよび/またはアスファルテン内の炭化水素含有有機物が含まれるが、これに限定されない。この難しさは、部分的に、こういった化石燃料は、酸素結合および硫黄結合によって連結された複雑な有機ポリマーを含み、それらは無機化合物の基質に埋め込まれていることが多いことによると考えられる。炭化水素ベースの材料の需要および消費が増大するにつれて、液体燃料およびガス燃料の製造ならびにさまざまな化学薬品、医薬品、および工学的材料(engineered materials)の生産のための追加の液化炭化水素供給原料を生産する必要がある。
【0004】
化石燃料を液化、可溶化および/または抽出するためにさまざまな技術またはプロセスが開発されている。しかしながら、先行技術の液化、可溶化および抽出技術またはプロセスのうちで、すべての種類の化石燃料に対して大規模に商業的に実現可能であることが実証されているものはない。これは、今日まで開発された炭化水素の液化、可溶化または抽出のための先行技術の技術およびプロセスはすべて、配備し、運転する費用が高いことによる。加えて、炭化水素の液化、可溶化および/または抽出のための先行技術のプロセスおよび技術は、以下の理由のうち1つ以上により、大規模化、運転、および/または制御が困難なことがある:(1)過度な高圧での運転、(2)非常な高温での運転、(3)極限条件下で水素の外部供給を必要とする高価な処理容器および装置の必要性、(4)毒性が高いことが多く、再生可能でも再循環可能でもない2つ以上の試薬、触媒および/または促進剤の混合物または組成物に曝露されること、(5)たとえばマイクロ波放射のような特別な形態のエネルギを供給する必要があること、(6)部分液化、可溶化または抽出のための長い処理時間、(7)製造および取扱が非常に困難かつ費用のかかる約200メッシュ(0.074mm)の大きさの並外れて微小な粒子を必要とすること、(8)必要な試薬、触媒および/または促進剤を回収および再循環できないこと。よって、炭化水素材料の回収を増加させるための追加の技術およびプロセスを提供することが必要とされている。
【0005】
一次掘削運転については、次に回収され得る追加のまたは貯留された炭化水素含有有機物の液化を増進し、移動を促進するであろうプロセスを採用して、既存圧力勾配がこの炭化水素含有有機物を押して掘削孔を通すことを可能にすることが有利であるだろう。特に、一次掘削運転を通して貯留層内に通常は残留する、より重質の炭化水素を可溶化することは有用であるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5328518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
石油の二次および三次または増進回収運転については、費用対効果が大きく貯留層を損傷しないやり方で、石油の可溶化を増進させて、貯留層中の炭化水素含有有機物を回収するであろうプロセスを採用することが有利であるだろう。三次運転のための効果的な方法および組成物が存在するが、現在の方法は、生産される炭化水素含有有機物の価値と比較した運転費用により、不利である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
この発明の1つの実施形態に従って、炭化水素含有材料からの炭化水素含有有機物の抽出方法は、ターペンタイン液を含む第1の液体を提供するステップと、抽出混合物および残留物が形成されるよう、炭化水素含有材料をターペンタイン液と接触させるステップとを含む。抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部と、ターペンタイン液とを含有する。残留物は、炭化水素含有材料からの不溶性材料を含む。残留物は、炭化水素含有有機物の還元部分も含み得、それは、そのような炭化水素含有材料がターペンタイン液によってすべては可溶化され、抽出混合物中に移されていない状況における。次に残留物は、抽出混合物から分離される。抽出混合物は、第1の部分と第2の部分とにさらに分離される。抽出混合物の第1の部分は、炭化水素含有材料から抽出された炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含む炭化水素生成物流を含む。抽出混合物の第2の部分は、ターペンタイン液の少なくとも一部を含む。1つの実施形態において、実質的にすべてのターペンタイン液は、再循環流において回収される。
別の実施形態において、実質的にすべての炭化水素含有有機物は、抽出混合物中に抽出される。そのような実施形態において、残留物は、精油を含まず、さらに用いるか、または環境に影響を与えずに廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】タールサンドからの炭化水素の回収のための装置の1つの実施形態の概略図である。
【
図2】オイルシェールからの炭化水素の回収のための装置の1つの実施形態の概略図である。
【
図3】石炭からの炭化水素の回収のための装置の1つの実施形態の概略図である。
【
図4】地下貯留層からの炭化水素の増進回収の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
1つの局面において、この発明は、石炭、オイルシェール、タールサンドなどからおよび貯留層からの化石燃料の抽出、液化および/または可溶化のための容易に配備される組成物に関する。
【0011】
1つの実施形態に従って、炭化水素含有材料、たとえば石炭、オイルシェール、タールサンド、または重質原油、原油、(原油および他の上記化石燃料と共存することが多い)天然ガス、もしくはそれらの組合せを含有する貯留層などから、炭化水素含有有機物を液化、可溶化、および/または抽出するステップを含む方法が提供される。炭化水素含有有機物には、重質原油、原油、天然ガスなどが含まれるが、これに限定されない。炭化水素含有有機物は、固体、半固体、液体、スラッジ、粘性のある液体、液体またはガス状であり得る。この発明の方法を用いる処理に適した炭化水素含有材料である他の材料には、炭化水素含有材料および残留物を含む液体および固体が含まれる。例示的な炭化水素含有材料には、オイルタンク底残留物、オイルピットもしくはオイルポンドスラッジおよびスラリー混合物、廃棄食糧、堆肥、下水、または都市ごみも含まれ得る。炭化水素含有有機物を液化、可溶化および/または抽出するステップは、ターペンタイン液を提供するステップと、上記炭化水素含有材料から上記炭化水素含有有機物の少なくとも一部を上記ターペンタイン液中に抽出して、炭化水素含有材料から取出された炭化水素含有有機物とターペンタイン液とを含む抽出混合物を生成するように、炭化水素含有材料をターペンタイン液と接触させるステップと、ターペンタイン液中の抽出された有機物を抽出されていない任意の残留物から分離するステップとを含む。ターペンタイン液は、ある量のテレピネオールを含み得る。天然に存在するターペンタイン液は、ある量のテルペンを含む。1つの実施形態において、ターペンタイン液は、α−テルピネオールを含む。
【0012】
特定の実施形態において、ターペンタイン液と炭化水素含有材料の比は、約1:2および4:1以上であり、いくつかの実施形態においては、約1:1以上であり、いくつかの実施形態においては、この比は2:1以上であり得る。貯留層回収に関する実施形態においては、この比は、約3:1以上であり得、貯留層回収に関する他の実施形態においては、この比は約4:1以上であり得る。貯留層における適用のために、細孔容積を用いて、炭化水素含有材料の推定測定値を決定する。タールサンドおよび石炭およびオイルシェールの使用においてなどの、この発明の他の局面において、炭化水素含有材料の体積は、より直接的に測定し得る。
【0013】
特定の実施形態において、炭化水素含有材料に含有される最少有機物は、炭化水素含有材料の約1重量%以上であり、他の実施形態において、約10重量%以上であり、さらに他の実施形態において、約14重量%以上である。
【0014】
この発明の1つの実施形態において、炭化水素含有物のために選択される液化、可溶化、または抽出試薬は、α−テルピネオールを含み得る天然、合成もしくはミネラルターペンタインまたはα−テルピネオール自体であり得る。
【0015】
特定の実施形態において、化石燃料または炭化水素含有有機物の液化、可溶化および/または抽出は、ある温度で行なわれ得、この温度は、約2℃から約300℃の範囲内である。特定の実施形態において、有機物または材料は、約300℃未満または約60℃未満の温度でターペンタイン液と接触させられる。他の実施形態において、液化、可溶化および/または抽出温度は、約20℃から約200℃の範囲内であり得る。化石燃料の液化、可溶化および/または抽出が行なわれるべき圧力は、典型的に約1.0×10
4パスカル(0.1atm)から約5.0×10
6パスカル(50.0atm)の範囲内であってもよい。特定の実施形態において、プロセスは、約5.0×10
4パスカル(0.5atm)〜約8.0×10
5パスカル(8.0atm)の圧力で行なわれ得る。特定の他の実施形態において、1つ以上のターペンタイン液中への浸漬または1つ以上のターペンタイン液との接触によって液化、可溶化および/または抽出されるべき化石燃料または炭化水素含有有機物は、1つ以上の上記液化、可溶化および/または抽出試薬が入っている液化、可溶化または抽出容器(以下反応器)内で約0.74mmから約10mmの範囲内の大きさである化石燃料の粒子、断片、塊、またはブロックの層の形態であり得る。特定の実施形態において、化石燃料の粒子、断片、塊またはブロックの大きさは、約0.149mm(100メッシュ)から約20mmの範囲内である。特定の実施形態において、化石燃料の粒子、断片、塊またはブロックの層は、単数または複数の液状の液化、可溶化および/または抽出試薬を沸騰させることで、この試薬を粒子、断片、塊またはブロックの層を通過させることによって攪拌される。特定の実施形態において、液化、可溶化および/または抽出の持続時間は、約1分〜約90分である。化石燃料は、部分的にまたは完全に液化、可溶化および/または抽出され得る。液化、可溶化および/または抽出の程度は、温度、圧力、攪拌の強度および操作の持続時間などの運転条件を制御することによって、および/または反応器中の単数または複数の液化、可溶化または抽出試薬の種類、相対的な量および濃度を調節することによって影響され得る。
【0016】
この発明の1つの局面は、予期せぬ発見に基づく。この発見は、約500グラムの試薬、α−テルピネオールを、トレーに入った約250グラムのペンシルベニア州のワシントン郡にあるピッツバーグ鉱脈産石炭の60メッシュ試料に加えたとき、試薬の色がほぼ直ちに真っ黒に変わり、数時間後もそのままであったというものである。これは、変色が石炭粒子の懸濁によるものではなく、石炭からの炭化水素含有有機物の抽出を示すものであったことを示していた。その後、このα−テルピネオールと石炭試料との2:1混合物を、トレーから蓋付でしっかり密閉された瓶に移し、約20℃および約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲条件下に約25日間維持した。石炭試料の転化(すなわち液化の程度)は、ろ過、エタノールでの選炭、乾燥、および秤量後、約71重量%であると決定された。この71重量%の転化は、石炭試料中に存在するほぼすべての可溶性ビチューメン(有機物)に相当し、この石炭試料の工業分析は、2.00重量%の受取ったままの状態の(as−received)水分、9.25重量%の乾燥灰分、38.63重量%の乾燥揮発分、および50.12重量%の乾燥固定炭素である。石炭ならびにオイルシェールおよびタールサンドのさまざまな運転条件下での一連の後続の実験により、ピネンを含有する天然および/または合成ターペンタインと、たとえばテルピネオールのようなピネンのアルコールとを含む試薬のファミリーは、いかなる触媒またはアルカリ金属の助けも必要とせずに、石炭、オイルシェール、タールサンド、重質原油および/または原油を含めて化石燃料中のケロゲン(有機物)、ビチューメン(有機物)および/またはアスファルテン(有機物)を液化、可溶化および/または抽出するのに並外れて効果的であることが示された。こういった試薬は、石油から得られたミネラルターペンタインを除いて、再生可能で、「グリーン」すなわち低毒性であり、テトラリン、キシレン、アントラセンなどの化石燃料のためのすべての他の既知の液化、可溶化および/または抽出試薬ならびにこれらの試薬の他の化合物とのさまざまな溶液または混合物と比べて、比較的高価でない。再生可能ではないものの、石油から得られたミネラルターペンタインでさえ、比較的毒性が低く、高価でない。上記の液化、可溶化および/または抽出試薬はいずれも、化石燃料の粒子、断片、ブロックまたは塊の中にこの化石燃料の細孔を通ってかなりの速度で浸透または拡散して、石炭、オイルシェール、タールサンド、原油および重質原油などの化石燃料の液化、可溶化および/または抽出に関連する最近の発明によって必要とされる条件よりもはるかに穏やかな条件、たとえば周囲温度および圧力下においてさえも、その後、こういった粒子、断片、塊またはブロックに、その中の液化可能可溶化可能または抽出可能な部分を多くはほぼ完全に近く放出させることも分かった。
【0017】
この発明のある局面は、石炭、オイルシェールおよびタールサンドなどの炭化水素含有材料からの化石燃料または炭化水素含有有機物の液化、可溶化および/または抽出方法を提供し、固体または半固体化石燃料の一部は、抽出混合物中でターペンタイン液と接触させられ、この抽出混合物は、アルカリ金属、触媒、水素(H
2)および/または一酸化炭素(CO)がないものであり得る。水素およびCOは、混合剤として有用であり得るが、この発明の1つの実施形態は、水素およびCOがないプロセスおよび組成物を含む。
【0018】
特定の実施形態において、ターペンタイン液は、天然ターペンタイン、合成ターペンタイン、ミネラルターペンタイン、パイン油、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、それらのポリマー、およびそれらの混合物から選択される。特定の他の実施形態において、ターペンタイン液は、ゲラニオール、3−カレン、ジペンデン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタン−8−オール、α−テルピニルアセタート、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタート、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントール、およびそれらの混合物から選択される。他の実施形態において、ターペンタイン液は、アネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン、ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、およびそれらの混合物から選択される。
【0019】
ある局面に従って、石炭、オイルシェール、タールサンドおよび重質原油などの、または、たとえばオイルタンク底堆積物、オイルピットまたはオイルポンドスラッジ、廃棄食料、堆肥、下水スラッジまたは都市ごみのような固体または半固体化石燃料または他の炭化水素含有材料は、ターペンタイン液との接触をしやすくする任意の大きさで提供されてもよい。化石燃料または炭化水素含有材料は、たとえば石炭またはオイルシェールの大きな破片または断片のような粒子、断片、塊またはブロックとして提供され得る。この発明のある特定の局面に従って、化石燃料または炭化水素含有材料は、粒子として提供される。この発明のある特定の局面に従って、化石燃料または炭化水素含有材料の粒子の平均粒度は、約0.074mmから約100mmまでである。特定の他の実施形態において、化石燃料の粒子の平均粒度は、約0.074mmから約25mmまでである。
【0020】
この発明のある局面に従って、第2の液体がターペンタイン液に加えられ得る。このある発明の特定の局面に従って、第2の液体は、低級脂肪族アルコール、アルカン、芳香族化合物、脂肪族アミン、芳香族アミン、二硫化炭素、およびそれらの混合物から選択され得る。例示的な混合物は、デカントオイル、ライトサイクルオイルおよびナフサなどの石油精製において製造される溶剤または石炭の乾留および液化石炭の分留において製造される溶剤が含まれる。
【0021】
この明細書で用いられる低級脂肪族アルコールは、炭素原子2〜12個の一次、二次および三次一価および多価アルコールを指す。この明細書中で用いられるアルカンは、炭素原子5〜22個の直鎖および分鎖アルカンを指す。この明細書で用いられる芳香族化合物は、単環式、複素環式、および多環式化合物を指す。この明細書で用いられる脂肪族アミンは、炭素原子1〜15個のアルキル置換基を有する一次、二次および三次アミンを指す。特定の実施形態において、ベンゼン、ナフタレン、トルエンまたはそれらの組合せが用いられる。別の実施形態において、上記の低級脂肪族アルコールが用いられ得る。1つの実施形態において、溶剤は、溶剤を液状に維持する働きをする温度および圧力のエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン、テトラリン、トリエチルアミン、アニリン、二硫化炭素、およびそれらの混合物から選択される。
【0022】
特定の実施形態において、ターペンタイン液と上記流体に含有される任意の他のターペンタイン混和性溶剤の比は、1:1以上であり、特定の実施形態において約9:4以上である。特定の実施形態において、この比は、約3:1以上である。さらに他の実施形態において、この比は、4:1以上である。
【0023】
この発明のある局面に従って、化石燃料とターペンタイン液とを、約2℃から約300℃の温度で接触させる。特定の実施形態において、化石燃料を、約200℃未満の温度のターペンタイン液によって接触される。
【0024】
この発明のもう1つの局面に従って、化石燃料とターペンタイン液とを、約1.0×10
4パスカル(0.1atm)から約5.0×10
6パスカル(50atm)までの圧力で接触させる。ある局面に従って、この方法は、約0.5atmから約8atmまでの圧力で行なわれる。
【0025】
この発明のある局面に従って、この方法は、さらに、その中で固体または半固体化石燃料がターペンタイン液と接触させられる抽出容器を提供するステップを含む。ある局面に従って、攪拌手段を設け得、それによって反応器または抽出容器に入っている化石燃料とターペンタイン液とは、混合および攪拌される。
【0026】
この発明のある局面に従って、化石燃料およびターペンタイン液を、接触時間を延ばすために貯蔵タンク内で温置し得る。もう1つの局面に従って、液化、可溶化および/または抽出の程度を、固体または半固体の化石燃料がターペンタイン液と接触させている時間の長さおよび/または化石燃料とターペンタイン液との混合物の温度によって制御する。
【0027】
この発明のある局面に従って、化石燃料を、不均質な液体と接触させ、この液体は、ターペンタイン液と、攪拌するものとしての水とを含む。
【0028】
特定の実施形態において、ターペンタイン液と水との体積比は、約1:1以上であって、ターペンタイン液含有流体中の抽出された有機物の分離を困難にすることがあるスラリーが形成されないようにする。
【0029】
この発明のある局面に従って、化石燃料は、約300℃を超える熱エネルギ、50atmを超える圧力、マイクロ波エネルギ、超音波エネルギ、電離放射線エネルギ、機械的せん断力、およびそれらを混合したものから選択されるエネルギ入力の存在下で、ターペンタイン液によって接触される。
【0030】
この発明のある局面に従って、液化または可溶化触媒を、化石燃料とターペンタイン液との混合物に提供する。
【0031】
この発明のある局面に従って、反応または可溶化混合物を、水素、一酸化炭素、水、金属酸化物、金属、およびそれらの混合物から選択される化合物の追加によって補う。
【0032】
この発明のある局面に従って、反応または可溶化混合物中に微生物が含まれる。化石燃料および他の炭化水素含有の炭化水素中の選択化学結合、たとえば、硫黄架橋および酸素架橋を、硫黄温泉由来の天然に存在する分離株から選択された桿菌型好熱性かつ化学合成無機栄養微生物での生物処理で壊す。これらの選択化学結合を壊すことによって、化石燃料および他の炭化水素含有材料中の炭化水素の可溶化がしやすくなる。
【0033】
この発明のさらに他の局面および利点は、この説明から当業者には簡単に明らかとなるであろうものであり、この発明の特定の実施形態にこの発明の実施の企図される最良の形態の単なる例として示され、説明されている。認識されるであろうように、この発明は、他のおよび異なる実施形態が可能であり、この発明のいくつかの詳細は、この発明から逸脱することなくさまざまな明白な点の変形が可能である。したがって、この説明は、本質的に例示的なものであって、限定的なものではないとして考えられるべきである。
【0034】
この発明の1つの実施形態に従って、粘性の液体、液体またはガス状化石燃料材料を含む炭化水素含有材料からの炭化水素含有有機物の抽出方法が提供される。この方法は、ターペンタイン液を含む第1の液体を提供する。ターペンタイン液を、上記化石燃料材料を含有する地下地層中でin−situ(その場で)で炭化水素含有材料と接触させることによって、炭化水素含有有機物が上記ターペンタイン液中に抽出され、抽出液が形成されるように抽出混合物を形成する。抽出液を、上記地層から取出し、抽出液は、抽出された炭化水素含有有機物を含有するターペンタイン液を含む。抽出された炭化水素含有有機物を、抽出されなかった残留物から分離する。この方法は、さらに、上記抽出された炭化水素材料をターペンタイン液から分離するステップを含み得る。粘性のある液状、液状またはガス状の化石燃料材料は、重質原油、原油、天然ガス、またはそれらの組合せであり得る。地下地層は、たとえば、原油貯留層または天然ガス貯留層であってもよい。
【0035】
この発明は、容易にin−situで配備されて、地下地層中の化石燃料を直接液化および/または可溶化し、結果として生じる液状生成物をそのような地層から抽出することができる。
【0036】
この発明の抽出試薬は、液体であって、この液体は、固体石炭、オイルシェールおよびタールサンド中のビチューメン、ケロゲンおよび/またはタールを含めて瀝青有機物と、非常に強い生理化学的親和性を有する。この発明の抽出試薬と、主として炭化水素を含む瀝青有機物とが互いに直接接触すると、有機物は、この発明の抽出試薬に溶解することによって、有機物を液化する。接触し次第、炭化水素とこの発明の抽出試薬とは、均質な溶液、すなわち単相液を急速に形成する。
【0037】
この発明の抽出試薬と瀝青物質との間の生理化学的親和性を、in−situ条件下で石油貯留層からの石油回収を増進するために利用することが可能である。石油貯留層において今日まで適用された先行技術のin−situ回収技術は、いわゆる前面置換法(frontal displacement method)をほとんどが取る。このプロセスは、多孔質媒体中の多相流体流の特性によって厳格に制御される。これは、「良好な」低粘性の石油貯留層についてさえ、原始埋蔵量(original oil)の大部分、往々にして約40%を超える部分を未回収のまま残す傾向がある。この発明の抽出試薬は、in−situ条件下で支配的な多相流の複雑な挙動を克服することによって石油回収を増進する。
【0038】
この発明は、ターペンタイン液の非常に強い生理化学的親和性を利用する。
この発明の1つの方法は、この発明の抽出試薬を石油または天然ガス貯留層に圧入井を通して圧入する。
【0039】
石油は、石油とこの発明の抽出試薬中とが石油貯留層中で接触するときにこの発明の抽出試薬に溶解されることによって、均質な溶液、すなわち単相液を生み出す。この発明の抽出試薬は、石油が圧入井から生産井に進むとき、石油を単に置換するのではない。以前に貯留された石油のこの発明の試薬への溶解は、抽出試薬が石油に完全に飽和するまで継続する。その後、抽出試薬は、追加の石油回収プロセスにおいて不活性になり、単相液として貯留層の細孔を通って単に流れて、次第に生産井に到達する。
【0040】
以下は、この発明のin−situ石油回収方法の3つの特定的な実施形態を説明する。
【0041】
第1のin−situ実施形態において、約3(3.0)から7(7.0)細孔容積のこの発明の抽出試薬を、貯留層中の原始埋蔵量の約51%を生産する間に既に残留油飽和状態まで水攻法を受けた石油貯留層に圧入する。抽出試薬の圧入により、予期せずに、貯留層中の原始埋蔵量のさらに約41%を生産することができる。この方法のこの実施形態は、この明細書中で以下に実施例22において説明されるように、実験的に確認された。
【0042】
第2のin−situ実施形態において、約2(2.0)から5(5.0)細孔容積のこの発明の抽出試薬を石油貯留層に圧入する。初めは、細孔容積の約3分の1(0.3)から4分の3(0.75)のこの発明の抽出試薬を圧入するまで、圧入は、石油のみを生成させる。その後、石油が溶解されているこの発明の抽出試薬が生成される。存在する石油の大部分は、細孔容積の約1と2分の1(1.5)〜3と2分の1(3.5)の試薬を圧入次第、回収することができる。この方法は、貯留層中の原始埋蔵量の約90%を予期せず回収する。方法のこの実施形態も、この明細書中で以下に実施例22において説明されるように、実験的に確認された。
【0043】
第3のin−situ実施形態において、この発明の抽出試薬を、たとえばベネズエラにある「オリノコ石油帯」の貯留層のような非常に粘性のある石油を含有する石油貯留層からの石油回収を向上するために圧入する。先行技術の回収方法での回収率は低く、そのような貯留層にある原始埋蔵量の10%から15%の範囲である。こういった貯留層からのこの発明のターペンタイン液抽出試薬の圧入での回収率の予期せぬ上昇は、生産井および圧入井の両方への水平井の採用およびこれらの井の周期的な水蒸気刺激法(steam soaking)によってさらに増進することができる。
【0044】
大きなガス貯留層からの天然ガスの究極回収は、貯留層へのこの発明の抽出試薬の圧入で増加させることができる。そのような貯留層からのガス生産は、たとえばオランダにある「フローニンゲン」田のように、ガス田の表面に危険大規模沈下を発生させることが多い。したがって、貯留層圧力を水圧入によって維持することが必要である。貯留層に圧入された水は、浸透性の低い貯留層を通る水とガスとからなる2相流により、ガスの約30%をin−situで高圧で貯留する。この発明の抽出試薬の圧入で、貯留層中の貯留されたガスは、試薬に溶解し、生産井まで流れる。地表で試薬とガスとを分離することによって、ガスは回収され、試薬は再使用のために再循環される。
【0045】
この発明の抽出方法は、たとえばCO
2または天然ガス圧入および界面活性剤のような1つ以上の既知の石油生産促進方法が実行された後、実現化することができる。
【0046】
発明を実施するための例示的な実施形態
石炭
特定の実施形態において、無煙炭または瀝青炭を、約0.841mm(20メッシュ)から約0.149mm(100メッシュ)の範囲の大きさに粉砕し、その後、約1.0×10
5パスカル(1atm)から約2.0×10
5パスカル(2.0atm)の範囲内の圧力下でターペンタイン液中に浸漬させることによって、可溶化および/または抽出、すなわち液化させることができる。特定の他の実施形態において、ターペンタイン液は、約50−70体積%までのα−テルピネオールと、約20−40体積%のβ−テルピネオールと、約10体積%の他の成分とを含む天然、合成またはミネラルターペンタインであり得る。特定の実施形態において、粉砕された無煙炭または瀝青炭の層を、80℃〜約130℃の範囲またはおそらくは上記ターペンタイン液の沸点までの温度の上記ターペンタイン液を通過させることによって攪拌し得る。特定の他の実施形態において、可溶化および/または抽出、すなわち液化の持続時間は、約10分から約40分以内であり得る。特定の実施形態において、石炭からの炭化水素含有有機物の抽出のための接触時間は、5分未満である。
【0047】
いくつかの実施形態において、亜炭(lignite)、褐炭(brown coal)または任意の他の低級石炭を、約0.419mm(40メッシュ)から約0.074mm(200メッシュ)の範囲の大きさに粉砕し、その後、約1.0×10
5パスカル(1atm)から約2.0×10
5パスカル(2.0atm)の範囲内の圧力下でターペンタイン液中に浸漬することによって、可溶化および/または抽出、すなわち液化することができる。特定の他の実施形態において、ターペンタイン液は、約70−90体積%のα−テルピネオールと、約5−25体積%のβ−テルピネオールと、約5体積%の他の成分とを含む天然、合成またはミネラルターペンタインであり得る。他の実施形態において、粉砕された亜炭、褐炭または任意の他の低級石炭の層を、約80℃〜約130℃の範囲の、またはおそらくは上記ターペンタイン液の沸点までの温度の上記ターペンタイン液を通過させることによって攪拌し得る。特定の他の実施形態において、可溶化および/または抽出、すなわち液化は、約20分から約60分以内であり得る。特定の実施形態において、石炭からの炭化水素含有有機物の抽出のための接触時間は、5分未満であり得る。
【0048】
オイルシェール
特定の実施形態において、オイルシェールを、約0.419mm(40メッシュ)から0.074mm(200メッシュ)の範囲の大きさに粉砕し、その後、約1.0×10
5パスカル(1atm)から約2.0×10
5パスカル(2.0atm)の範囲内の圧力下でターペンタイン液中に浸漬することによって、可溶化および/または抽出、すなわち液化することができる。他の実施形態において、ターペンタイン液は、約70−90体積%のα−テルピネオールと、約5−25体積%のβ−テルピネオールと、約5体積%の他の成分とを含む天然、合成またはミネラルターペンタインであり得る。特定のほかの実施形態において、粉砕されたオイルシェール層を、約80℃〜約130℃の範囲の、またはおそらくは上記ターペンタイン液の沸点までの温度の上記ターペンタイン液を通過させることによって攪拌し得る。他の実施形態において、可溶化および/または抽出、すなわち液化は、約30分から約60分以内であり得る。特定の実施形態において、オイルシェールからの炭化水素含有有機物の抽出のための接触時間は、5分未満である。
【0049】
タールサンド
特定の実施形態において、タールサンドを、約25.4mm(1メッシュ)から4.76mm(4メッシュ)の範囲の大きさまでに砕き、その後、約1.0×10
5パスカル(1atm)から約2.0×10
5パスカル(2.0atm)の範囲内の圧力下でターペンタイン液中に浸漬することによって、可溶化および/または抽出、すなわち液化することができる。他の実施形態において、ターペンタイン液は、約40−60体積%のα−テルピネオールと、約30−50体積%のβ−テルピネオールと、5体積%のαおよび/またはβ−ピネンと、約5体積%の他の成分とを含有して含む天然、合成またはミネラルであり得る。他の実施形態において、粉砕されたタールサンド層を、約60℃〜約90℃の範囲の、またはおそらくは上記ターペンタイン液の沸点までの温度の上記ターペンタイン液を通過させることによって攪拌し得る。他の実施形態において、可溶化および/または抽出、すなわち液化は、約10分から約30分以内であり得る。特定の実施形態において、タールサンドからの炭化水素含有有機物の抽出のための接触時間は、5分未満である。
【0050】
原油
特定の実施形態において、軽質および中質原油を、一次、二次または三次回収のために、約1(1.0)から約5(5.0)細孔容積のターペンタイン液を圧入することによって、in situで生成する、すなわち地下貯留層から取出すことができる。他の実施形態において、約2(2.0)〜約4(4.0)細孔容積のターペンタイン液を圧入し得る。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、約40−70体積%のα−テルピネオールと、約30−40体積%のβ−テルピネオールと、10体積%のαおよび/またはβ−ピネンと、約10体積%の他の成分とを含む天然、合成またはミネラルターペンタインであり得る。特定の実施形態において、ターペンタイン液の圧入に、約1(1.0)から約3(3.0)細孔容積の水での水攻法が続き得る。
【0051】
特定の実施形態において、重質および超重質原油を、一次、二次または三次回収のために、約1(1.0)から約5(5.0)細孔容積のターペンタイン液を圧入することによって、in situに生成する、すなわち地下貯留層から取出すことができる。他の実施形態において、約2(2.0)〜約4(4.0)細孔容積のターペンタイン液を圧入し得る。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、約50−70体積%のα−テルピネオールと、約20−35体積%のβ−テルピネオールと、10体積%のαおよび/またはβ−ピネンと、約5体積%の他の成分とを含む天然、合成またはミネラルターペンタインであり得、水蒸気圧入法(steam injection)と関連して用いることができる。
【0052】
図1を参照して、タールサンドからの炭化水素含有有機物の回収のための装置が提供される。装置100は、ターペンタイン液供給源102を含み、このターペンタイン液供給源は、任意選択的にポンプ104に結合され得て、ターペンタイン液を接触容器または抽出容器110に供給する。特定の実施形態において、ターペンタイン液供給源は、ターペンタイン液を加熱するための手段を含み得る。特定の実施形態において、接触容器は、傾斜した回転ろ過器またはトロンメルであり得る。タールサンド試料106は、タールサンドを接触容器110の入口に供給するためのコンベア108または類似の供給装置に提供される。任意選択的に、コンベア108は、ろ過ふるいまたは類似の分離装置を含んで、大きな粒子がプロセスに導入されないようにし得る。接触容器110は、ターペンタイン液が導入され、タールサンドと接触されるための少なくとも1つの入口を含む。接触容器110は、タールサンドを接触容器内に指定された時間保持し、かつタールサンド粒子とターペンタイン液との接触を増加または制御するように設計された複数のトレーまたはフィン114を含み得る。特定の実施形態において、接触容器は、傾斜した回転ろ過器であり得る。抽出する液と、タールサンドから抽出された炭化水素含有有機物とを含む抽出混合物は、接触容器110から出口116を介して取出され、この出口は、抽出された炭化水素含有有機物を含む抽出混合物とともに固体を取出さないようにするろ過器118を含み得る。ポンプ120は、出口116に結合されて、抽出混合物を貯蔵タンク122に供給するのを補助する。ライン124は、抽出混合物をさらなる処理のために供給するために保持タンク112に結合され得る。炭化水素含有有機物の抽出後、無機固体と、ターペンタイン液に溶解しない他の材料とは、接触容器から第2のコンベア126を介して取出され得る。ターペンタイン液の中には、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含む液体を含むものもあるが、これに限定されない。
【0053】
次に
図2を参照して、オイルシェールおよび回収可能な炭化水素材料を含む他の堆積岩層から炭化水素含有有機物を回収するための装置200が提供される。オイルシェール試料202は、オイルシェールの大きさを小さくする粉砕機または破砕機204に供給される。好ましくは、粉砕機または破砕機204は、オイルシェールの直径を約0.074〜0.42mmまで小さくする。破砕されたオイルシェールは、任意選択的に、均一および/または適格な粒度を確実なものにするろ過器に供給されてもよい。第1のコンベア206は、粒子を粉砕機または破砕機204から接触容器208へ提供する。接触容器208は、ターペンタイン液供給源210に結合されており、このターペンタイン液供給源は、任意選択的にポンプに結合されていてもよく、ターペンタイン液を接触容器208に結合された少なくとも1つの入口212に供給する。特定の実施形態において、ターペンタイン液供給源は、ターペンタイン液を加熱するための手段を含み得る。接触容器208は、オイルシェールを接触容器内に指定された時間保持し、かつオイルシェール粒子とターペンタイン液との接触を増加または制御するように設計された複数のトレーまたはフィン214を含み得る。特定の実施形態において、接触容器は、傾斜した回転ろ過器またはトロンメルであり得る。ターペンタイン液とオイルシェールから回収された炭化水素含有有機物とを含む抽出混合物流は、出口216を介して収集され、貯蔵タンク220へ供給される。ポンプ218は、任意選択的に出口216に結合されて、抽出混合物流の貯蔵タンク220への供給を補助する。抽出混合物流は、抽出混合物をさらなる処理に供給するためのライン222に結合され得る。第2のコンベア224は、無機または不溶性材料の接触容器208からの取出しを補助する。ターペンタイン液は、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含み得るが、これに限定されない。
【0054】
次に
図3を参照して、石炭から炭化水素含有有機物を回収するための装置300が提供される。石炭試料302は、石炭の大きさを小さくする粉砕機または破砕機304に供給される。好ましくは、粉砕機または破砕機304は、石炭試料の品質に応じて、石炭の直径を約0.074〜0.84mmまで小さくする。特定の実施形態において、粉砕機または破砕機304は、湿式粉砕機であり得る。破砕された石炭は、任意選択的に、均一かつ適格な粒度を確実なものにするろ過器に供給されてもよい。破砕された石炭は、第1の接触容器306に供給される。第1の接触容器306は、ターペンタイン液供給源308にも結合されており、このターペンタイン液供給源は、任意選択的にポンプ310に結合されていてもよく、ターペンタイン液を第1の接触容器306に供給する。特定の実施形態において、ターペンタイン液供給源は、ターペンタイン液を加熱するための手段を含み得る。第1の接触容器306は、固体石炭粒子とターペンタイン液との接触を攪拌および向上または制御するように設計された混合手段312を含む。ターペンタイン液と、石炭から回収された炭化水素含有有機物とを含む抽出混合物流は、第1の接触容器出口313を介して収集され、第2の接触容器316に供給される。ポンプ314は、任意選択的に出口313に結合されて、抽出混合物流の第2の接触容器316への供給を補助する。第2の接触容器316は、固体とターペンタイン液との分離を増加させるまたは制御するように設計された一連のトレーまたはフィン318を含み得る。任意選択的に、第2の接触容器316は、傾斜した回転ろ過器またはトロンメルであり得る。抽出混合物流は、第2の接触容器出口320から収集され得、この第2の接触容器出口は、任意選択的にポンプ322に結合されて、抽出混合物流の貯蔵タンク324への供給を補助してもよい。貯蔵タンク324内に存在する液状石炭およびターペンタイン液は、液状石炭精製または他の処理ステップにライン326を介して供給され得る。コンベア328は、プロセスの副産物としての固体の取出しおよび回収のために第2の接触容器316に結合され得る。ターペンタイン液は、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含み得るが、これに限定されない。装置300は、高品位および低品位のオイルシェールを処理するためにも用いられ得る。
【0055】
次に
図4を参照して、炭化水素含有地下地層からの炭化水素含有有機物の増進回収のためのプロセス400が提供される。炭化水素含有貯留層404は、地表402の下に位置するものとして示されている。生産井406は、既に運転中である。圧入井408は、ターペンタイン液のライン410を介した圧入のために設けられている。ターペンタイン液は、貯留層中に存在する炭化水素含有有機物の液化、可溶化および/または抽出をしやすくする上に、地層中の炭化水素含有有機物を生産井に向かって押す駆動力を提供もする。圧入されたターペンタイン液を含む炭化水素生成物流は、ライン412を介して収集される。ターペンタイン液は、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含み得るが、これに限定されない。
【0056】
特定の実施形態において、少なくとも30体積%の天然テルピネオール、合成テルピネオール、ミネラルテルピネオール、パイン油、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルペン樹脂、α−テルペン、β−テルペン、γ−テルペン、またはそれらの混合物を含む、石油井からの生産を増加させるためのターペンタイン液が提供される。他の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも30体積%のゲラニオール、3−カレン、ジペンテン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタ−8−オール、α−テルピニルアセタート、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタート、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントールまたはそれらの混合物を含む。さらに他の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも30体積%のアネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン,イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン,ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、またはそれらの混合物を含む。
【0057】
特定の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約40体積%のα−テルピネオールを含む。他の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約25体積%のβ−テルピネオールを含む。さらに他の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約40体積%のα−テルピネオールと少なくとも約25体積%のβ−テルピネオールとを含む。他の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約50体積%のα−テルピネオールを含み、特定の実施形態においては、β−テルピネオールも含む。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも20体積%のβ−テルピネオールを含む。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、約50〜70体積%のα−テルピネオールと、約10〜40体積%のβ−テルピネオールとを含む。
【0058】
別の局面において、増進回収運転を受ける地下炭化水素含有貯留層からの生産を増加させるためのプロセスが提供され、このプロセスは、炭化水素含有材料の生産を促進するためにターペンタイン液を貯留層に圧入井を通して圧入するステップを含む。ターペンタイン液は、天然ターペンタイン、合成ターペンタイン、ミネラルターペンタイン、パイン油、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルペン樹脂、α−テルペン、β−テルペン、γ−テルペン、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。他の実施形態において、ターペンタイン液は、ゲラニオール、3−カレン、ジペンデン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタン−8−オール、α−テルピニルアセタート、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタート、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントール、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。さらに他の実施形態において、ターペンタイン液は、アネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン,イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン,ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含み得る。ターペンタイン液と回収された炭化水素とを含む炭化水素含有有機物生成物流を、炭化水素含有貯留層と関連付けられた生産井から回収する。炭化水素含有有機物生成物流を、回収された炭化水素流とターペンタイン液再循環流とに分離し得る。特定の実施形態において、さらなる方法は、ターペンタイン液再循環流を圧入井に圧入するステップをさらに含む。
【0059】
別の局面において、増進回収運転を受けている炭化水素含有地下炭化水素層からの生産の増加方法が提供される。この方法は、ターペンタイン液を地層に圧入井を通して圧入するステップを含む。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも40体積%のα−テルピネオールと、少なくとも10体積%のβ−テルピネオールとを含む。ターペンタイン液は、この地層から炭化水素含有材料を液化、抽出および/または置換し、この炭化水素含有材料は、その後この地層からターペンタイン液とともに生産井を通して取出される。さらに特定の実施形態において、この方法は、さらに、炭化水素をターペンタイン液から分離するステップを含む。他の実施形態において、この方法は、さらに、ターペンタイン液を圧入井に再循環させるステップを含む。特定の実施形態において、α−テルピネオールは、約40〜70体積%の量で存在する。特定の他の実施形態において、α−テルピネオールは、少なくとも70体積%の量で存在する。さらに他の実施形態において、β−テルピネオールは、約10〜40体積%の量で存在する。他の実施形態において、ターペンタイン液は、さらに約10体積%までのγ−テルピネオールを含む。他の実施形態において、ターペンタイン液は、約25体積%までの、メタノール、エタノール、プロパノール、トルエン、およびキシレンから選択される有機溶剤を含み得る。この方法は、水攻法を含む二次回収運転後を含めて、一次、二次および三次回収運転中の炭化水素含有有機物の回収に有用である。
【0060】
別の局面において、タールサンドからの炭化水素含有有機物の回収のためのターペンタイン液が提供される。1つの実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約30体積%のα−テルピネオールと、少なくとも約25体積%のβ−テルピネオールとを含む。別の実施形態において、ターペンタイン液は、約30〜70体積%のα−テルピネオールと、約25から55体積%のβ−テルピネオールと、約10体積%までのα−テルペンと、約10体積%までのβ−テルペンとを含む。
【0061】
別の局面において、たとえば無煙炭または瀝青炭などの高品位石炭源から炭化水素含有有機物を回収するためのターペンタイン液が提供される。1つの実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約45体積%のα−テルピネオールと、少なくとも約15体積%のβ−テルピネオールとを含む。別の実施形態において、ターペンタイン液は、約45〜80体積%のα−テルピネオールと、約15〜45体積%のβ−テルピネオールと、約10体積%までのα−テルペンと、約10体積%までのβ−テルペンとを含む。
【0062】
別の局面において、低品位石炭源から炭化水素含有有機物を回収するためのターペンタイン液が提供される。1つの実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約60体積%のα−テルピネオールと、約30体積%までのβ−テルピネオールとを含む。別の実施形態において、ターペンタイン液は、約60〜95体積%のα−テルピネオールと、約30体積%までのβ−テルピネオールと、約5体積%までのα−テルペンと、約5体積%までのβ−テルペンとを含む。
【0063】
別の局面において、オイルシェールから炭化水素含有有機物を回収するためのターペンタイン液が提供される。この明細書で用いられるオイルシェールは、一般的に、瀝青材料を含有する任意の堆積岩を指す。1つの実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約60体積%α−テルピネオールと、約30体積%までのβ−テルピネオールとを含む。別の実施形態において、ターペンタイン液は、約60〜95体積%のα−テルピネオールと、約30体積%までのβ−テルピネオールと、約5体積%までのα−テルペンと、約5体積%までのβ−テルペンとを含む。
【0064】
別の局面において、軽質および中質原油から炭化水素含有有機物を回収するためのターペンタイン液が提供される。1つの実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約40および70体積%のα−テルピネオールと、少なくとも約30および40体積%のβ−テルピネオールとを含む。さらに別の実施形態において、ターペンタイン液は、約40〜70体積%のα−テルピネオールと、約30〜40体積%のβ−テルピネオールと、約10体積%までのα−テルペンと、約10体積%までのβ−テルペンとを含む。
【0065】
別の局面において、重質および超重質原油から炭化水素含有有機物を回収するためのターペンタイン液が提供される。1つの実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約50および70体積%のα−テルピネオールと、少なくとも約30および40体積%のβ−テルピネオールとを含む。別の実施形態において、ターペンタイン液は、約50〜70体積%のα−テルピネオールと、約30〜40体積%のβ−テルピネオールと、約10体積%までのα−テルペンと、約10体積%のβ−テルペンとを含む。
【0066】
別の局面において、タールサンドからの炭化水素含有有機物の回収方法が提供される。この方法は、タールサンド試料を提供するためにタールサンドを豊富に含む地層を採掘するステップを含み、タールサンド試料は、回収可能な炭化水素含有有機物と、残留無機または不溶性材料とを含む。タールサンド試料は、接触容器に供給され、接触容器は、ターペンタイン液をタールサンドからの炭化水素の回収のために供給するための少なくとも1つの入口を含む。タールサンド試料を、ターペンタイン液と接触させて、タールサンドから炭化水素含有有機物を抽出して、残留物と抽出混合物とを生成する。抽出混合物は、ターペンタイン液と回収された炭化水素含有有機物とを含み、残留物をターペンタインから分離して、炭化水素生成物流とターペンタイン液再循環流とを生成する。特定の実施形態において、この方法は、さらに、ターペンタイン液再循環流を接触容器に再循環させるステップを含む。他の実施形態において、抽出混合物を、蒸留によって分離して、炭化水素生成物流とターペンタイン液再循環流とを生成し得る。
【0067】
特定の実施形態において、ターペンタイン液は、α−テルピネオールを含み得る。他の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約40体積%のα−テルピネオールと、10〜40重量%のβ−テルピネオールとを含み得る。特定の実施形態において、0.5〜4当量のターペンタイン液を用いて、タールサンドと接触し、炭化水素を回収する。特定の実施形態において、0.5〜2.0当量のターペンタイン液を用いて、タールサンドと接触し、炭化水素を回収する。
【0068】
別の局面において、炭化水素を多く含むオイルシェールからの炭化水素含有有機物の回収方法が提供される。この方法は、回収可能な炭化水素材料と無機または不溶性材料とを含む炭化水素含有オイルシェールを生成するために、炭化水素含有有機物を含む岩層を採掘するステップを含む。オイルシェールを粉砕して、破砕された炭化水素含有オイルシェールを生成する。次に、破砕された炭化水素含有オイルシェールを、過度に大きな粒子が抽出プロセスに供給されないようにするろ過ふるいでろ過する。破砕された炭化水素含有オイルシェールは、接触容器に送られ、接触容器は、破砕された炭化水素含有オイルシェールからの炭化水素の回収のためにターペンタイン液を供給するための少なくとも1つの入口を含む。破砕された炭化水素含有オイルシェールを、ターペンタイン液と接触させて、破砕された炭化水素含有オイルシェールから炭化水素含有有機物を抽出し、無機固体と、ターペンタイン液と回収された炭化水素とを含む抽出混合物とを生成する。無機または不溶性材料を、抽出混合物から取出し、回収された炭化水素を、ターペンタイン液から分離して、炭化水素生成物流とターペンタイン液再循環流とを生成する。特定の実施形態において、ターペンタイン液再循環流を、接触容器に再循環させる。他の実施形態において、破砕された炭化水素含有オイルシェールの平均粒度は、直径で約0.42mm未満である。オイルシェールからの炭化水素含有有機物の回収方法の他の実施形態において、ターペンタイン液は、天然ターペンタイン、合成ターペンタイン、ミネラルターペンタイン、パイン油、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルペン樹脂、α−テルペン、β−テルペン、γ−テルペン、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む。他の実施形態において、ターペンタイン液は、ゲラニオール、3−カレン、ジペンテンン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタン−8−オール、α−テルピニルアセタート、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタート、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントール、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む。他の実施形態において、ターペンタイン液は、アネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン、ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つ化合物を含む。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、α−テルピネオールを含み得る。他の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも約40体積%のαテルピネオールと、10〜40重量%のβ−テルピネオールとを含み得る。特定の実施形態において、0.5〜4当量のターペンタイン液を用いて、オイルシェールに接触し、炭化水素含有有機物を回収する。特定の実施形態において、0.5〜2.0当量のターペンタイン液を用いて、オイルシェールに接触し、炭化水素を回収する。
【0069】
別の局面において、石炭を豊富に含む地下地層からの炭化水素含有有機物の回収方法が提供される。この方法は、石炭を生産するために地下地層を採掘するステップを含み、石炭は、回収可能な炭化水素含有有機物と、無機または不溶性材料とを含む。石炭を、粉砕して、破砕された石炭を生成し、ろ過して、均一または所望の大きさの試料を提供する。破砕された石炭を、接触容器に送り、接触容器は、破砕された石炭からの炭化水素の回収のためにターペンタイン液を供給するための少なくとも1つの入口を含み、破砕された石炭を、破砕された石炭から炭化水素を抽出するターペンタイン液と接触させて、無機固体と、抽出混合物とを生成する。抽出混合物は、ターペンタイン液と、回収された炭化水素とを含む。無機または不溶性固体を、抽出混合物から分離し、回収された炭化水素を、ターペンタイン液から分離して、液状石炭生成物流とターペンタイン液再循環流とを生成する。特定の実施形態において、この方法は、さらに、ターペンタイン再循環流を接触容器に再循環させるステップを含む。さらに他の実施形態において、液状石炭生成物流は、液状石炭精製装置に供給される。特定の実施形態において、石炭試料は、約0.42mm未満の平均粒度を有する低品位石炭を含む。特定の実施形態において、石炭試料は、約0.84mm未満の平均粒度を有する高品位石炭を含む。
【0070】
石炭からの炭化水素含有有機物の回収方法のさらに他の実施形態において、ターペンタイン液は、天然ターペンタイン、合成ターペンタイン、ミネラルターペンタイン、パイン油、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルペン樹脂、α−テルペン、β−テルペン、γ−テルペン、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む。他の実施形態において、ターペンタイン液は、ゲラニオール、3−カレン、ジペンテン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロキシペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタン−8−オール、α−テルピニルアセタード、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタード、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントール、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む。他の実施形態において、ターペンタイン液は、アネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン、ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つ化合物を含む。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも60体積%のα−テルピネオールを含む。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも45体積%のα−テルピネオールと、少なくとも約15体積%のβ−テルピネオールとを含む。特定の他の実施形態において、ターペンタイン液は、少なくとも60体積%のα−テルピネオールと、約30体積%までのβ−テルピネオールとを含む。特定の実施形態において、0.5〜4当量のターペンタイン液を用いて、オイルシェールと接触し、炭化水素含有有機物を回収する。特定の実施形態において、0.5〜2.0当量のターペンタイン液を用いて、オイルシェールと接触し、炭化水素含有有機物を回収する。
【0071】
別の局面において、タールサンドから炭化水素含有有機物を回収するためのシステムが提供される。タールサンド回収システムは、ターペンタイン液を供給するためのタンクと接触容器とを含み、接触容器は、ターペンタイン液を導入するための少なくとも1つの入口と、抽出混合物を接触容器から回収するための少なくとも1つの出口とを含む。このシステムは、タールサンドを接触容器に供給するための第1のコンベアも含む。貯蔵タンクが設けられており、この貯蔵タンクは、貯蔵タンクを接触容器に接続するラインを含み、接触容器と貯蔵タンクとを接続するラインは、固体の貯蔵タンクへの通過を防止するろ過器を含む。このシステムは、固体の回収および輸送のための第2のコンベアも含む。
【0072】
1つの実施形態において、接触容器は、タールサンドを分離およびまたは制御するための一連のフィンまたはトレーを含む回転傾斜ろ過器である。別の実施形態において、フィンまたはトレーは、タールサンドとターペンタイン液との接触時間を増加させるまたは制御するように設けられている。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、α−テルピネオールを含み得る。他の実施形態において、ターペンタイン液は、約30体積%〜70体積%のα−テルピネオールと、約25重量%〜55重量%のβ−テルピネオールとを含み得る。
【0073】
別の局面において、オイルシェールから炭化水素含有有機物を回収するためのシステムが提供される。このシステムは、ターペンタイン液を供給するためのタンクと、オイルシェールを小さくされた粒度まで細かく砕くための粉砕機とを含む。ターペンタイン液を導入するための少なくとも1つの入口と、破砕されたオイルシェールを受取るための少なくとも1つの入口と、接触容器から固体を回収するための少なくとも1つの出口と、接触容器から抽出混合物を回収するための少なくとも1つの出口とを含む接触容器が設けられている。第1のコンベアが破砕されたオイルシェールを接触容器に供給するために設けられている。このシステムは、さらに、貯蔵タンクを含み、貯蔵タンクは、貯蔵タンクを接触容器に接続するラインを含み、このラインは、固体の貯蔵タンクへの通過を防止するろ過器を含む。このシステムは、さらに、固体を回収するための第2のコンベアを含む。特定の実施形態において、このシステムは、さらに、回収された炭化水素とターペンタイン液とを含む反応混合物をさらなる分離および/または処理のために精製装置へ供給するためのラインを含む。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、αテルピネオールを含み得る。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、約60体積%〜95体積%のαテルピネオールと、約30重量%までのβテルピネオールとを含み得る。他の実施形態において、ターペンタイン液は、約70体積%〜90体積%のα−テルピネオールと、約5重量%〜25重量%のβ−テルピネオールとを含み得る。
【0074】
別の局面において、炭化水素含有有機物を石炭から回収するためのシステムが提供される。このシステムは、ターペンタイン液を供給するためのタンクと、石炭を細かく砕いて、大きさが小さくなった粒子状物質を生成する粉砕機とを含む。ターペンタイン液を導入するための少なくとも1つの入口と、固体および液体を接触容器から回収するための少なくとも1つの出口とを含む接触容器が設けられている。接触容器は、ターペンタイン液と細かく砕かれた石炭とを徹底的に混合するためのかき回し手段も含む。分離器が固体と液体とを分離するために設けられており、分離器は、入口と、出口と、分離器の入口を接触容器の出口に接続するラインとを含む。このシステムは、貯蔵タンクも含み、貯蔵タンクは、貯蔵タンクを分離器に接続するラインを含み、このラインは、固体の貯蔵タンクへの通過を防止するろ過器を含み得る。
【0075】
特定の実施形態において、このシステムは、約0.85mmよりも大きい平均直径を有する粒子が接触容器に導入されることを選択的に防止するためのろ過器を含む。特定の他の実施形態において、このシステムは、さらに、液状石炭生成物をさらなる処理のための精製装置へ供給するためのラインを含む。特定の実施形態において、このシステムは、さらに、破砕された石炭を接触容器に供給するための第1のコンベアを含む。他の実施形態において、このシステムは、さらに、固体を分離器から取出すための第2のコンベアを含む。特定の実施形態において、ターペンタイン液は、α−テルピネオールを含み得る。炭化水素の高品位石炭からの回収に関する実施形態において、ターペンタイン液は、約45体積%〜80体積%のα−テルピネオールと、約15重量%〜45重量%のβ−テルピネオールとを含み得る。低品位石炭からの炭化水素の回収に関する実施形態において、ターペンタイン液は、約60体積%〜95体積%のα−テルピネオールと、約0重量%〜30重量%のβ−テルピネオールとを含み得る。
【0076】
別の局面において、炭化水素含有物からの炭化水素含有有機物の抽出のためのターペンタイン液の最適化方法が提供される。概して、この方法は、炭化水素含有材料の試料を提供するステップと、抽出されている炭化水素の種類を決定するために炭化水素材料を分析するステップとを含む。炭化水素含有有機物を炭化水素材料から抽出するための配合が提供され、この配合は、地層の種類と粒子状炭化水素材料の大きさとの関数である。概して、この配合は、少なくとも約40体積%のα−テルピネオールと、少なくとも約10体積%のβ−テルピネオールとを含む。次に、配合中のα−テルピネオールおよびβ−テルピネオールの量を、上記のパラメータに基づいて調節する。一般的に、上記の方法は、さまざまな炭化水素含有材料の抽出のための所望の配合を決定するための良好な出発点を提供するが、他の炭化水素含有材料および指定された運転条件については、一連の統計的に設計された実験か最適化方法に従った一連の実験かのいずれかを行って、液状ターペンタインの最適組成物を決定することができる。
【0077】
表1に示されるように、タールサンドからの炭化水素含有有機物の抽出、液化および/または可溶化のための特定の配合は、粒度に基づいて変化する。特定の実施形態において、タールサンドから炭化水素含有有機物を抽出するためのターペンタイン液の調製方法は、配合中のα−テルピネオールおよびβ−テルピネオールの量を、抽出されている炭化水素を豊富に含む固体粒子の大きさの関数として調節するステップを含む。他の実施形態において、炭化水素含有有機粒子状物質が低品位石炭またはオイルシェールを含む場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を増加させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を減少させる。他の実施形態において、炭化水素含有有機粒子状物質がタールサンドを含む場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を減少させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を増加させる。他の実施形態において、炭化水素含有有機粒子状物質が、タールサンドを含み、かつ粒子状物質の平均直径が約4.76mm未満である場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を減少させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を増加させる。他の実施形態において、炭化水素含有有機粒子状物質がタールサンドを含み、粒子状物質の平均直径が約1インチ(1メッシュ)よりも大きい場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を増加させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を減少させる。
【0079】
タールサンドの抽出に関して上に示されたものと同様に、表2および表3に示されるように、石炭の抽出、液化および/または可溶化のための配合は、抽出されている石炭の粒度と品質との両方に依存する。炭化水素含有有機物を抽出するためのターペンタイン液の調製方法の1つの実施形態において、炭化水素含有物が無煙炭、瀝青炭、または他の高品位石炭を含み、かつ粒子状物質の平均直径が約0.15mm未満の場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を減少させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を増加させる。他の実施形態において、炭化水素を豊富に含む粒子状物質が、無煙炭、瀝青炭、または他の高品位石炭を含み、かつ粒子状物質の平均直径が約0.84mmよりも大きい場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を増加させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を減少させる。別の実施形態において、炭化水素を豊富に含む粒子状物質が、低品位石炭を含み、かつ粒子状物質の平均直径が約0.074mm未満の場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を減少させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を増加させる。他の実施形態において、炭化水素を豊富に含む粒子状物質が、低品位石炭を含み、かつ粒子状物質の平均直径が約0.42mmよりも大きい場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を増加させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を減少させる。
【0082】
タールサンドの抽出に関して上に示されたものと同様に、表4に示されるように、オイルシェールの抽出、液化および/または可溶化のための配合は、粒度に依存する。炭化水素含有有機物を抽出するための組成物の調製方法の1つの実施形態において、炭化水素を豊富に含む粒子状物質がオイルシェールを含み、かつ粒子状物質の平均直径が約0.074mm未満の場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を減少させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を増加させる。別の実施形態において、炭化水素を豊富に含む粒子状物質がオイルシェールを含み、かつ粒子状物質の平均直径が約0.42mmよりも大きい場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を増加させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を減少させる。
【0084】
原油の抽出は、同様に、抽出、液化および/または可溶化されている原油の種類に依存する。表5に示されるように、原油の抽出、液化および/または可溶化のための配合は、抽出されている原油の密度と品質との両方の関数である。この方法は、少なくとも50体積%のα−テルピネオールと少なくとも20体積%のβ−テルピネオールとを含むターペンタイン液配合を提供するステップと、抽出されている液状炭化水素の密度に基づいてターペンタイン液配合中のα−テルピネオールおよびβ−テルピネオールの量を調節するステップとを含む。1つの実施形態において、抽出されている液状炭化水素のAPI比重が約22°よりも大きい場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を減少させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を増加させる。別の実施形態において、抽出されている液状炭化水素のAPI比重が約22°未満の場合、ターペンタイン液中のα−テルピネオール量を増加させ、ターペンタイン液中のβ−テルピネオールの量を減少させる。この明細書で用いられる軽質石油のAPIは、少なくとも約31°であり、中質原油のAPIは、約22°〜約31°であり、重質石油のAPIは、約10°〜約22°であり、超重質石油のAPIは、約10°未満である。
【0086】
別の局面において、地下地層からの液状炭化水素含有有機物の回収を増進させるためのターペンタイン液の調製方法が提供される。この方法は、少なくとも50体積%のα−テルピネオールと少なくとも20体積%のβ−テルピネオールとを含む配合を提供するステップと、地下地層の地質学的特徴に基づいて配合中のα−テルピネオールおよびβ−テルピネオールの量を調節するステップとを含む。
【0087】
別の局面において、液状炭化水素含有容器から炭化水素を精選および/または回収するための組成物が提供され、この組成物は、天然ターペンタイン、合成ターペンタイン、ミネラルターペンタイン、パイン油、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルペン樹脂、α−テルペン、β−テルペン、γ−テルペン、またはそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む。他の実施形態において、炭化水素を精選および/または回収するための組成物は、ゲラニオール、3−カレン、ジペンテン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタン−8−オール、α−テルピニルアセタート、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタート、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントール、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む。さらに他の実施形態において、炭化水素を精選および/または回収するための組成物は、アネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン、ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物を含む。1つの実施形態において、組成物は、以下のうち少なくとも1つの化合物を含む:α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、およびβ−テルピネオール。別の実施形態において、組成物は、少なくとも25体積%のα−テルピネオールまたはβ−テルピネオールを含む。
【0088】
別の局面において、液状炭化水素含有容器からの炭化水素の精選および/または回収方法が提供される。この方法は、混合物を生成するために、容器の内部をα−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、およびβ−テルピネオールから選択される少なくとも1つの化合物を含む炭化水素精選組成物と接触させるステップを含み、この混合物は、液状炭化水素残渣と炭化水素精選組成物とを含む。この混合物は、容器から回収され、取出される。特定の実施形態において、精選組成物は、少なくとも25体積%のα−テルピネオールまたはβ−テルピネオールを含む。特定の他の実施形態において、精選組成物は、少なくとも25体積%のα−テルピネオールと、少なくとも25体積%のβ−テルピネオールとを含む。
【実施例】
【0089】
実施例1。この実施例において、ペンシルバニア州ワシントン郡にあるピッツバーグ鉱脈産の石炭を試薬α−テルピネオールで液化した。石炭試料は、それに対して以下の工業分析を提供したペンシルバニア州立大学の石炭バンク(Coal Bank)から入手されたものである:2.00重量%の受取ったままの状態の水分、9.25重量%の乾燥灰分、38.63重量%の乾燥揮発分、および50.12重量%の乾燥固定炭素。石炭試料の粒度は、約60メッシュであった。約60グラムのα−テルピネオールを、抽出容器内に置かれた約30グラムの石炭試料に穏やかに加えて、2対1の試薬対試料比を生じさせた。結果として生じたα−テルピネオールと石炭との混合物が入った、蓋付だがしっかり密閉はされていない抽出容器を、約96℃の一定温度に維持し、絶えず攪拌した、α−テルピネオールを沸騰させずに、抽出容器内の圧力は、約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力のままであった。約30分後、混合物をろ過し、ろ過器上に得られた石炭粒子をエタノールで選炭し、恒量まで乾燥させた。重量損失に基づいて、石炭試料の転化、すなわち液化の程度は、約68重量%であると決定された。
【0090】
実施例2。この実施例は、2つを除くすべての局面が実施例1と同一である。実施例1で行なったように、温度を約96℃に約30分維持した後、石炭試料とα−テルピネオールとが入った抽出容器を、約135℃の温度にさらに約30分間維持した。抽出容器内の圧力は、約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力のままであった。石炭試料の転化、すなわち液化の程度は、約70重量%であると決定された。
【0091】
実施例3。用いた石炭試料は、前の2つの実施例において用いたものと同じ供給源からで同じ工業分析のものであった。約31グラムのα−テルピネオールを抽出容器内の約31グラムの石炭試料に加えた。混合物を、約96℃かつ約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力に約30分間維持した。得られた石炭試料の転化、すなわち液化の程度は、前の2つの実施例においてなされたようにろ過、選炭および乾燥後の試料の秤量によって、約71重量%であると決定された。
【0092】
実施例4。この実施例は、約30重量%のα−テルピネオールをヘキサンと置き換えて、70重量%のα−テルピネオールと30重量%のヘキサンとを含む試薬を提供した点を除いて、実施例3と同一である。これは、転化、すなわち液化の程度を約1.3重量%に減少させた。
【0093】
実施例5。石炭試料の供給源および工業分析ならびにこの実施例についての温度、圧力および試薬対試料比に関する実験条件は、実施例3におけるものと同じであった。しかしながら、抽出の持続時間を、約30分から約20分に減少させた。加えて、約30重量%のα−テルピネオールを1−ブタノールで置き換えて、70重量%のα−テルピネオールと30重量%の1−ブタノールとを含む試薬を提供した。液化された石炭の量は、たった約0.30グラムであって、約1.0重量%の転化に相当した。
【0094】
実施例6。この実施例は、石炭試料の供給源および工業分析ならびに温度、圧力および抽出の持続時間に関して、実施例3と同じである。しかしながら、用いた石炭試料の量は、約25グラムであり、試薬は、約24グラム(80重量%)のα−テルピネオールと約6グラム(20重量%)のキシレンとを含んで、70重量%のα−テルピネオールと30重量%のキシレンとを含む試薬を提供した。液化された石炭は、約10.0グラムであって、約40重量%の転化に相当した。
【0095】
実施例7。この実施例において、ワイオミング州キャンベル郡にあるワイオダク鉱脈産の石炭を試薬α−テルピネオールで液化した。石炭試料は、それに対して以下の工業分析が提供したペンシルバニア州立大学の石炭バンクから得たものであった:26.30重量%の受取ったままの状態の水分、7.57重量%の乾燥灰分、44.86重量%の乾燥揮発分、および47.57重量%の乾燥固定炭素。石炭試料の粒度は、約20メッシュであった。約60グラムのα−テルピネオールを抽出容器内に置かれた約30グラムの石炭試料に穏やかに加え、約2対1の試薬対試料比であった。結果として生じたα−テルピネオールと石炭との混合物の入った蓋付だがしっかり密閉はされていない抽出容器を、約96℃の一定温度に維持し、絶えず攪拌した。α−テルピネオールが沸騰することなく、抽出容器内の圧力は、約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力のままであった。約30分後、抽出容器内の混合物をろ過し、ろ過器上に得られた石炭粒子をエタノールで選炭し、恒量まで乾燥させた。重量損失に基づいて、石炭試料の転化、すなわち液化の程度は、75重量%であると決定された。
【0096】
実施例8。この実施例における実験は、1つを除き前の実施例の条件と同一の条件下で実行された。前の実施例において行なわれた約60グラムに代えて、約15グラムのα−テルピネオールを約30グラムの石炭試料に加えて、0.5対1の試薬対石炭比を得た。得られた石炭試料の転化、すなわち液化の程度は、前の実施例において得られた約75重量%から約69重量%に減少した。
【0097】
実施例9。この実施例において、約3グラムのコロラド州グリーンリバー地方産オイルシェールを、約9グラムのα−テルピネオールで可溶化して、3対1の試薬対試料比を生じさせて、このオイルシェールからケロゲン(有機物)および/またはビチューメン(有機物)を抽出した。揮発性および固定両方の炭素を含めて、有機炭素含有量は、公認の分析会社によって約22.66重量%であると決定された。60メッシュの粒度を有するオイルシェール試料での2つの実験を、約25℃および約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲温度および圧力下でそれぞれ行った。試料の重量損失は、ろ過、エタノールでの選炭、および乾燥後の秤量によって決定された。これらの損失は、約30分後に約9重量%および約45分後に約17重量%であった。これらの重量損失から、有機物、すなわちケロゲンおよび/またはビチューメンの転化、すなわち抽出の程度は、前者については約40重量%であると推定され、後者については約75重量%であった。
【0098】
実施例10。この実施例は、約15分続く単一の実験を約25℃に代えて約96℃の温度で行ったことを除いて、前の実施例を再現した。オイルシェール試料の重量損失は、約12重量%であり、約53重量%のケロゲン(有機物)の転化、すなわち抽出の程度に相当した。
【0099】
実施例11。この実施例において、カナダのアルバータ州産のタールサンド中のビチューメン(有機物)を商業用グレードの合成ターペンタインで可溶化し、抽出した。タールサンド試料は、それについて以下の工業分析を提供したアルバータ研究評議会(Alberta Research Council)から入手したものであった:84.4重量%の乾燥固体、11.6重
量%の乾燥ビチューメン、および4.0重量%の受取ったままの状態の水分。約30グラムの合成ターペンタインを蓋付だがしっかり密閉はされていない抽出容器内の約15グラムのタールサンド試料に加えて、重量で約2対1の試薬対試料比を利用した。合成ターペンタインとタールサンドとの結果として生じる混合物が入ったこの抽出容器を、約96℃の一定温度に維持した。合成ターペンタインが沸騰することなしに、抽出容器内の圧力は、約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力のままであった。約20分後、抽出容器内の混合物をろ過し、ろ過器上に得られた固体(タールサンド)をエタノールで選炭し、恒量まで乾燥させた。重量損失に基づいて、タールサンド試料からのビチューメンの転化、すなわち抽出の程度は、約100重量%であると決定された。
【0100】
実施例12。この実施例において、前の実施例のものと同じ供給源からで同じ工業分析の約60グラムのタールサンド試料を、α−テルピネオールを含む商業用グレードの合成ターペンタインに代えて、約60グラムのα−テルピネオールで抽出した。結果として生じた試薬対試料比は、前の実施例におけるように2対1である代わりに1対1であった。実験は、約96℃の温度で約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力下で約30分続いた。タールサンド試料中のビチューメン(有機物)の転化、すなわち抽出の程度は、約100重量%であると決定された。
【0101】
実施例13。この実施例において、前の2つの実施例のものと同じ供給源からで同じ工業分析の約60グラムのタールサンド試料を、商業用グレードの約60グラムの合成ターペンタインで抽出した。したがって、結果として生じる試薬対試料比は、約1対1であった。この実験は、約96℃の温度で約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力下で約30分間行われた。タールサンド試料中のビチューメン(有機物)の転化、すなわち抽出の程度は、約70重量%であると決定された。
【0102】
実施例14。この実施例における実験は、試薬対試料比が約2対1から約0.5対1に減少されたことを除いて、すべての局面で実施例8を再現した。約60グラムのタールサンド試料を商業用グレードの約30グラムの合成ターペンタインで抽出した。ビチューメン(有機物)の転化、すなわち抽出の程度は、実施例9において得られた約100重量%から約70重量%に減少した。
【0103】
実施例15。この実施例における実験は、前の実施例のものを商業用グレードの合成ターペンタインに代えてα−テルピネオールで繰返した。タールサンド試料中のビチューメン(有機物)の転化、すなわち抽出の程度は、前の実施例におけるように約70重量%であった。
【0104】
実施例16。この実施例における実験は、約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力下で、タールサンドでの前の実施例におけるものと同じ供給源からで同じ工業分析のタールサンド試料で行われた。約60グラムの商業用グレードの合成ターペンタインを約60グラムのタールサンド試料に加えて、約1対1の試薬対試料比を生じさせた。試料および商業用グレードの合成ターペンタインの温度を約65℃に約30分間維持し、続いて約15℃まで約5分以内で冷却した。その後、タールサンド試料をろ過、選炭、乾燥および秤量した。重量損失に基づいて、タールサンド試料中のビチューメン(有機物)の転化、すなわち抽出の程度は、約70重量%であると決定された。
【0105】
実施例17。この実施例における実験は、前の実施例のものを商業用グレードの合成ターペンタインに代えてα−テルピネオールで繰返した。ビチューメン(有機物)の転化、すなわち抽出の程度は、前の実施例の約70重量%から約90重量%に増加した。
【0106】
実施例18。この実施例において、実施例11から実施例17までにおけるものと同じ供給源からで同じ工業分析の約30グラムの重量があるタールサンド試料を、約20グラム(80重量%)のα−テルピネオールと約5グラム(20重量%)のトルエンとを含んだ液体で、約96℃の温度で約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力下で抽出した。実験の持続時間(反応または抽出時間)は、約30分であった。試料の重量損失は、約10.2グラムであった。この重量損失から、ビチューメン(有機物)の転化、すなわち抽出の程度は、約33重量%であると推定された。
【0107】
実施例19。タールサンドでのすべての前の実施例において用いられたものとすべて同じ供給源からで同じ工業分析の3つのタールサンド試料を、さまざまな量のα−テルピネオールとを含む試薬で、約15℃の温度で約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力下で抽出した。各実験の持続時間(反応または抽出時間)は、各タールサンド試料について約15分であった。第1の試料は、約0グラム(0重量%)のα−テルピネオールと約15グラム(100重量%)のエタノールとを含む混合物で、すなわち純粋なエタノールで抽出した。第2の試料は、約7.5グラム(50重量%)のα−テルピネオールと、約7.5グラム(50重量%)のエタノールとを含む混合物で抽出した。第3の試料は、約12グラム(80重量%)のα−テルピネオールと、約3グラム(20重量%)のエタノールとを含む混合物で抽出した。3つの試料中のビチューメン(有機物)の重量損失および推定される転化、すなわち抽出の程度は、第1、第2および第3の試料について、それぞれ約0.2グラム(1.0重量%)、0.6グラム(3.0重量%)および0.9グラム(4.5重量%)であった。
【0108】
実施例20。平均サイズが約15mmである商業用グレードのアスファルトの不規則形状ペレットを、α−テルピネオールで、約22℃の周囲温度で、約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力下で液化し、抽出した。約20グラムの重量がある第1の試料を約40グラムのα−テルピネオールで液化、抽出した。第2の試料も約20グラムの重量があり、約20グラムのα−テルピネオールで液化、抽出した。試料は両方とも30分後完全に溶解された。これらの実験は、アスファルトのようにアスファルテンを豊富に含む傾向がある重質原油の可溶化および抽出の模擬実験をするために行われた。
【0109】
実施例21。この実施例において、タールサンドでのすべての以前の実施例において用いられたものと同じ供給源からで同じ工業分析のタールサンド中のビチューメン(有機物)を、2種類の植物油、大豆油およびトウモロコシ油で可溶化し、抽出した。植物油は、ターペンタイン液と完全に混和可能である。第1の実験において、約15グラムの重量があるタールサンド試料を約30グラムの大豆油で、約20分間約96℃の温度で約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力下で混和し、絶えず攪拌した。重量損失は約0.5グラムであったことから、試料中のビチューメンの転化、すなわち抽出の程度は、約3.3重量%であると推定された。第2の実験において、約30グラムの重量があるタールサンド試料を約16グラムのトウモロコシ油で約30分間約175℃の温度で約1.01×10
5パスカル(1atm)をわずかに下回る周囲圧力下で混合し、攪拌した。重量損失は、約4.8グラムであったことから、試料中のビチューメンの転化、すなわち抽出の程度は、約12重量%であると推定された。
【0110】
実施例22。ベレア砂岩プラグコア試料に2つの試験を行なって、コアからのオイル回収に対する試薬圧入の影響を決定した。第1の試験は、油田が既に限界まで水攻法を受けた後のα−テルピネオール圧入による増分石油回収を決定するように設計された。選択されたコアは、原油を模擬した9.01mLの実験用石油を含有していた。3.0%の塩化カリウムを含有する水溶液での水攻法は、4.6mLの石油を生成した。5(5)細孔容積のα−テルピネオール圧入により、さらに3.61mLの石油が生成されることによって、コアは最初の体積の8.0%未満の石油が残留している状態で残された。第2の試験は、α−テルピネオール圧入で未採掘の貯留層から予期され得る増加された回収を表わすように設計された。選択されたコアは、原油を模擬した8.85mLの実験用石油を含有していた。石油生成は、およそ0.5細孔容積のα−テルピネオールの圧入後、開始し、この圧入は3.5細孔容積まで継続したが、大部分の石油は、たった2.5細孔容積のα−テルピネオール圧入後、回収された。合計7.94mLの実験用石油が回収されることによって、コアは最初の体積の7.5%未満の石油が残留している状態で残された。
【0111】
1つの実験において、ターペンタイン液とタールサンド試料のさまざまな異なる比が試験された。以下に記される実験の各々に対してターペンタイン液は、同じ配合を有し、この組成物は、約60体積%のα−テルピネオールと、約20体積%のβ−テルピネオールと、約20体積%のγ−テルピネオールとを含んだ。タールサンドは、カナダのアルバータ州産鉱石の異なる混合物であって、およそ12重量%のビチューメン含有量と、約4−5重量%の水含有量とを有した。実験はすべて大気温度で行なわれた。
【0112】
以下の表6に示されるように、以下に記すすべての比(すなわち1:2から2:1の範囲のターペンタイン液とタールサンドの比)のすべてにわたって、タールサンドからの炭化水素の回収の結果、炭化水素の回収は良好であり、認識可能な差はほとんどなかった。抽出が実行された温度について、タールサンドからの炭化水素の抽出、可溶化および/または液化のための最適温度は、65℃であると考えられる。表に示されるように、約130℃で、回収された炭化水素の量は減少された。なおしかしながら、炭化水素を回収することが特別に困難な特定の固体については、抽出溶剤の温度を上昇させると、回収される炭化水素の量を増加させることができる。最後に、曝露時間は、抽出される材料の量にほとんど影響がなかった。これはおそらく、最も短い抽出時間が20分であるためであり、この時間は、炭化水素のタールサンドからの抽出のためには十分以上であると考えられる。
【0113】
【表6】
【0114】
さらなる実験を代替的な溶剤、すなわちエタノールとトウモロコシ油を用いて行ない、約60体積%のα−テルピネオールと、約20体積%のβ−テルピネオールと、約20体積%のγ−テルピネオールとを含んだ組成物と比較した。以下に記される表7に記載のように、エタノールおよびトウモロコシ油の性能は、予期せずに、60体積%のαテルピネオールと、約20体積%のβ−テルピネオールと、約20体積%γ−テルピネオールとを含んだ組成物よりも相当低かった。たとえば、テルピネオール組成物が抽出可能な炭化水素の完全なまたはほぼ完全な抽出を達成したのに対し、エタノールは、回収可能な炭化水素のたった10%を生じ、加熱されたトウモロコシ油は、回収可能な炭化水素のたった33%を生じた。
【0115】
【表7】
【0116】
以下の表8に示されるように、α−テルピネオールのみおよびさまざまな既知の有機溶剤と組合されたα−テルピネオールが含まれるターペンタイン液配合を含めて、さまざまなターペンタイン液配合の性能が提供される。表中に示された最初の3つの組成物は、α−テルピネオールと、β−テルピネオールと、γ−テルピネオールとを含む。たとえば、第1のものは、約60体積%のα−テルピネオールと、約30体積%のβ−テルピネオールと、約10体積%のγ−テルピネオールとを含む。結果は、予期せずに、α−テルピネオールの濃度が上昇するにつれてターペンタイン液の性能が向上し、ターペンタイン液がおよそ70%のα−テルピネオールを含むとき、タールサンド試料からの炭化水素材料の完全抽出が達成されるまでに達することを示す。
【0117】
炭化水素を含むタールサンドの純粋なα−テルピネオールでの抽出について第2のデータセットを示す。示されるように、100%を超える抽出が達成され、おそらくは試料中の炭化水素含有量のばらつきによる。しかしながら、結果は、概して、α−テルピネオールは、タールサンド試料から回収可能な炭化水素の実質的にすべてを抽出することができるという予期せぬ結果を示す。
【0118】
最後に、表8に記す最後のデータは、α−テルピネオールと既知の有機溶剤との混合系の有効性を説明する。示されるように、回収可能な炭化水素の実質的に完全な回収を比1:1のα−テルピネオール対エタノールを含む組成物で達成する。純粋なエタノールが総回収可能炭化水素の約10%しか取出さなかったので、これは予期せぬことである。加えて、比1:1か3:1かのいずれかのα−テルピネオール対トルエンを含む混合系でさえも、さらに総回収可能炭化水素の77%および92%の回収をもたらした。これは予期せぬ結果であった。
【0119】
【表8】
【0120】
【表9】
【0121】
明細書中に、特に上記の実施例において説明された炭化水素含有材料からの炭化水素含有有機物の回収についての結果は、予期せぬものであった。
【0122】
この明細書中で用いられる第1、第2、第3などの用語は、要素を一義的に識別するものであって、要素またはステップの如何なる特定の順序付けも暗示または限定しないものであると解釈されるべきである。
【0123】
この明細書で用いられる用語、約およびおよそは、記載された値の5%以内の任意の値を含むものとして解釈されるべきである。さらに、値の範囲に関する用語、約およびおよその記載は、記載された範囲の上限および下限の両方を含むものとして解釈されるべきである。この明細書で用いられる用語、第1、第2、第3などは、要素を一義的に識別するものであって、要素またはステップの如何なる特定の順序付けも暗示または限定しないものであると解釈されるべきである。
【0124】
この発明は、その実施形態のうちいくつかにのみおいて示されたまたは説明されたが、この発明はそのようには限定されず、この発明の範囲を逸脱することなくさまざまな変更が可能であることが当業者には明らかであるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2014年10月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターペンタイン液を含む均質な単相の炭化水素抽出液を用いる炭化水素含有材料からの炭化水素含有有機物の抽出方法であって、
均質な単相の抽出混合物と残留物が形成されるよう、炭化水素含有材料を、ターペンタイン液を含む均質な単相の炭化水素抽出液と接触させるステップであって、均質な単相の抽出混合物は、ターペンタイン液に抽出された炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、残留物は、炭化水素含有材料からの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含むステップと、
抽出混合物を残留物から分離するステップと、
抽出混合物を第1の部分と第2の部分とに分離するステップであって、抽出混合物の第1の部分は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含む炭化水素生成物流を含み、抽出混合物の第2の部分は、ターペンタイン液の少なくとも一部を含むステップとを備え、
前記ターペンタイン液は、天然ターペンタイン、合成ターペンタイン、ミネラルターペンタイン、パイン油、α−ピネン、β−ピネン、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルペン樹脂、α−テルペン、β−テルペン、γ−テルペン、ゲラニオール、3−カレン、ジペンデン(ρ−メンタ−1,8−ジエン)、ノポール、ピナン、2−ピナンヒドロペルオキシド、テルピンヒドラート、2−ピナノール、ジヒドロミセノール、イソボルネオール、ρ−メンタン−8−オール、α−テルピニルアセタート、シトロネロール、ρ−メンタン−8−イルアセタート、7−ヒドロキシジヒドロシトロネラール、メントール、アネトール、カンフェン、ρ−シメン、アニスアルデヒド、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、イソボルニルアセタート、オシメン、アロオシメン、アロオシメンアルコール、2−メトキシ−2,6−ジメチル−7,8−エポキシオクタン、ショウノウ、シトラール、7−メトキシジヒドロ−シトロネラール、10−ショウノウスルホン酸、シトロネラール、メントン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項2】
前記炭化水素含有有機物は、固体または半固体であり、前記炭化水素含有材料は、複数の粒子を含み、粒子は、0.74ミリメートルから25ミリメートルまでの平均粒径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターペンタイン液に第2の液体を加えるステップをさらに備え、第2の液体は、低級脂肪族アルコール、低級アルカン、低級芳香族化合物、脂肪族アミン、芳香族アミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ターペンタイン液を炭化水素含有材料と接触させる前に、ターペンタイン液を200℃までの周囲温度を超える点までの温度まで加熱するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
抽出混合物の第2の部分の少なくとも一部を、接触させるステップに供給するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記炭化水素含有有機物と前記ターペンタイン液とを、前記炭化水素含有有機物を含有する地下地層内でin situで接触させるための手段と、前記地下地層から前記炭化水素含有有機物を抽出するための手段とを提供するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素含有材料は、300℃未満の温度の前記ターペンタイン液によって接触される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素含有材料は、地下地層中にあり、炭化水素含有材料を前記ターペンタイン液と接触させるステップは、地下地層中でin situで起こり、
抽出混合物を地下地層と流体連通している生産井を通して回収するステップをさらに備え、残留物は、地下地層にin situで残留する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
炭化水素材料のさらなる抽出のために再循環流を圧入井へ圧入するステップをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
地下地層は、炭化水素材料の一次回収を受けている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ターペンタイン液は、少なくとも30体積%のα−テルピネオールと、少なくとも15%のβ−テルピネオールとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ターペンタインは、
α−テルペン、β−テルペンまたはγ−テルペンのうち少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ターペンタイン液は、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含み、α−テルピネオールとβ−テルピネオールの比は、少なくとも1.3:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記炭化水素材料は、タールサンドを含み、
炭化水素含有材料を前記ターペンタイン液と接触させるステップは、炭化水素含有材料から前記ターペンタイン液に炭化水素含有有機物の相当な部分を抽出する働きをする時間の間、タールサンドを抽出容器の内部に供給し、ターペンタイン液を抽出容器の内部に供給するステップを含む、炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記炭化水素材料はオイルシェールを含み、
複数の粒子を作製するために炭化水素含有有機物を粉砕するステップをさらに備え、粒子は、複数の粒子がターペンタイン液と接触しているよう4.8mmから25mmの範囲の平均直径サイズを規定する、炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記炭化水素材料は石炭を含み、
複数の粒子を作製するために炭化水素含有有機物を粉砕するステップをさらに備え、粒子は、複数の粒子がターペンタイン液と接触しているよう0.8mmから0.07mmの範囲の平均直径サイズを規定する、炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を抽出するための請求項1に記載の方法。
【請求項17】
石炭、オイルシェール、タールサンド、原油、重質原油、天然ガスまたはこれらの混合物から選択される炭化水素含有材料からα−テルピネオールへの炭化水素含有有機物の抽出方法であって、
抽出混合物が形成され、残留物が形成されるよう、炭化水素含有材料をα−テルピネオールと接触させるステップであって、抽出混合物は、α−テルピネオールに抽出された炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、残留物は、炭化水素含有材料からの、α−テルピネオールに溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含むステップと、
抽出混合物を残留物から分離するステップとを備える、方法。
【請求項18】
抽出混合物を炭化水素生成物流と再循環流とに分離するステップをさらに備え、炭化水素生成物流は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、再循環流は、α−テルピネオールの少なくとも一部を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
再循環流を炭化水素含有材料と接触するように再循環させるステップをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
固体または半固体の炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を回収するための装置であって、
炭化水素含有材料からテルピネオールに炭化水素含有有機物を抽出するためのテルピネオールを含有するターペンタイン液を含むターペンタイン液供給源と、
接触容器とを備え、前記接触容器は、第1の入口を有し、第1の入口を通してターペンタイン液供給源と流体連通しており、接触容器は、炭化水素含有材料を第2の入口を通して内部に収容する働きをしており、接触容器は、炭化水素含有材料とターペンタイン液とを、抽出混合物および残留物を形成する働きをする予め定められた時間、接触容器の内部に維持する働きをしており、抽出混合物は、炭化水素含有有機物の少なくとも一部とターペンタイン液とを含み、残留物は、炭化水素含有材料からの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含み、接触容器は、抽出混合物を接触容器から回収するための第1の出口と、残留物を接触容器から回収するための第2の出口とを含み、接触容器は、機械的攪拌を可能にする働きをしており、
貯蔵タンクをさらに備え、前記貯蔵タンクは、接触容器とラインを通して流体連通しており、貯蔵タンクは、抽出混合物を接触容器から受取る働きをしており、ラインは、固体が貯蔵タンクへ通過しないようにするろ過器を含み、
残留物を接触容器の第2の出口から収集するための収集手段をさらに備える、装置。
【請求項21】
抽出混合物を収容するための分離容器をさらに備え、分離容器は、炭化水素含有有機物をターペンタイン液から分離する働きをしている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
ターペンタイン液を分離容器から受取るための再循環流をさらに備え、再循環流は、ターペンタイン液を分離容器から接触容器へ再使用のために戻す働きをする、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
粉砕機をさらに備え、前記粉砕機は、液状ターペンタインとの接触容器内での接触のために、炭化水素含有材料の大きさを小さくするように構成されている、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記接触容器は、ターペンタイン液と炭化水素含有材料との接触時間を制御するように構成された複数のフィンまたはトレーをさらに含む回転傾斜ろ過器である、請求項20に記載の装置。
【請求項25】
炭化水素含有材料を接触容器に導入するための前記手段は、コンベアを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項26】
前記接触容器は、炭化水素含有材料とターペンタイン液とを混合するための手段をさらに含む、請求項20に記載の装置。
【請求項27】
第1の接触容器に結合された第2の接触容器をさらに備え、第2の接触容器は、ターペンタイン液および石炭試料材料を受取るための入口と、抽出混合物の少なくとも一部の回収のための第1の出口と、残留物の少なくとも一部を混合容器から取出しすための第2の出口とを備え、第2の接触容器は、第1の接触容器と貯蔵タンクとの間に位置し、結合されている、請求項20に記載の装置。
【請求項28】
接触容器の入口に位置するろ過器をさらに備える、請求項20に記載の装置。
【請求項29】
タールサンドからの炭化水素含有有機物を回収方法であって、
回収可能な炭化水素含有有機物を含むタールサンド試料を入手するステップと、
タールサンド試料を接触容器に供給するステップをさらに備え、前記接触容器は、ターペンタイン液を供給するための少なくとも1つの入口を含み、
均質な単相の抽出混合物と残留物が形成されるよう、タールサンド試料を、α−テルピネオールとβ−テルピネオールとを含む均質な単相の炭化水素抽出液と接触容器内で接触させ、タールサンド試料を炭化水素抽出液で攪拌するステップであって、抽出混合物は、炭化水素抽出液に抽出された炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、残留物は、タールサンド試料からの、炭化水素抽出液に溶解しない不溶性材料の少なくとも一部を含み、前記接触容器は、炭化水素抽出液を供給するための少なくとも1つの入口を含むステップと、
抽出混合物を残留物から分離するステップと、
抽出混合物を炭化水素生成物流と炭化水素抽出液再循環流とに分離するステップであって、炭化水素生成物流は、タールサンド試料からの炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含むステップと、
炭化水素抽出液再循環流の少なくとも一部を、接触させるステップに再循環させるステップとを備える、方法。
【請求項30】
細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールからの炭化水素含有有機物の回収方法であって、
細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールを提供するステップと、
ターペンタイン液を含む第1の液体を提供するステップと、
細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールをろ過するステップと、
破砕された炭化水素含有オイルシェールを接触容器に送るステップであって、接触容器は、ターペンタイン液を接触容器に供給するための少なくとも1つの入口を含むステップと、
均質な単相の抽出混合物と残留物が形成されるよう、細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールをターペンタイン液と接触させるステップであって、抽出混合物は、ターペンタイン液に抽出された炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、残留物は、オイルシェールからの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の一部を少なくとも含むステップと、
抽出混合物を残留物から分離するステップと、
炭化水素生成物流とターペンタイン液再循環流とを生成するために、炭化水素含有有機物をターペンタイン液から抽出混合物中で分離するステップであって、炭化水素生成物流は、細かく砕かれた炭化水素含有オイルシェールからの炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含むステップと、
ターペンタイン液再循環流の少なくとも一部を、接触させるステップに再循環させるステップとを備える、方法。
【請求項31】
炭化水素含有石炭を豊富に含む地下地層からの炭化水素含有有機物の回収方法であって、
回収可能な炭化水素含有有機物を含む石炭を入手するステップと、
破砕された石炭を生成するために石炭を粉砕するステップと、
破砕された石炭をろ過するステップと、
破砕された石炭を接触容器に送るステップであって、前記接触容器は、45〜80体積%のα−テルピネオールと15〜45体積%のβ−テルピネオールとを含むターペンタイン液を接触容器に供給するための少なくとも1つの入口を含むステップと、
均質な単相の抽出混合物と残留物が形成されるよう、破砕された石炭をターペンタイン液と接触させるステップであって、抽出混合物は、ターペンタイン液に抽出された炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含み、残留物は、石炭からの、ターペンタイン液に溶解しない不溶性材料の一部の少なくとも一部を含むステップと、
残留物を抽出混合物から分離するステップと、
炭化水素生成物流およびターペンタイン液再循環流を生成するために、炭化水素含有有機物をターペンタイン液から分離するステップであって、炭化水素生成物流は、石炭からの炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含むステップと、
ターペンタイン液再循環流の少なくとも一部を、接触させるステップに再循環させるステップとを備える、方法。
【請求項32】
炭化水素含有材料を含む炭化水素含有地下地層に結合された生産井からの炭化水素含有有機物の回収の増加方法であって、
地下地層と流体連通している圧入井を設けるステップと、
テルピネオールを含むターペンタイン液を含む第1の液体を提供するステップと、
ターペンタイン液を圧入井を通して地層に圧入するステップであって、ターペンタイン液と炭化水素含有地下地層からの炭化水素含有有機物とは、ターペンタイン液に抽出された抽出混合物炭化水素含有有機物の少なくとも一部を含む均質な単相の抽出混合物を形成するステップと、
抽出混合物を地層から生産井を通して回収するステップと、
炭化水素生成物流およびターペンタイン液流を生成するために抽出混合物を分離するステップとを備える、方法。
【請求項33】
炭化水素含有材料への界面活性剤の添加を利用して前記炭化水素含有材料から炭化水素含有有機物を抽出する方法であって、前記方法は、請求項1に記載の方法を備え、前記抽出は、前記有機物への任意の界面活性剤の添加があってから起こる、方法。