特開2015-41289(P2015-41289A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ SMK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000003
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000004
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000005
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000006
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000007
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000008
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000009
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000010
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000011
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000012
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000013
  • 特開2015041289-タッチパネルの支持構造 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-41289(P2015-41289A)
(43)【公開日】2015年3月2日
(54)【発明の名称】タッチパネルの支持構造
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20150203BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20150203BHJP
【FI】
   G06F3/041 350A
   G06F3/041 380D
   G06F3/041 330A
   G06F3/041 330P
   G06F1/00 312G
   G06F1/00 312L
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-172585(P2013-172585)
(22)【出願日】2013年8月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095636
【弁理士】
【氏名又は名称】早崎 修
(72)【発明者】
【氏名】池田 龍司
【テーマコード(参考)】
5B068
5B087
【Fターム(参考)】
5B068AA05
5B068AA22
5B068AA32
5B068BB01
5B068DE11
5B087AA09
5B087AB12
5B087CC11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透明保護板をケースの表面に密着させたタッチパネルであっても、その振動を操作者へ伝達可能なタッチパネル支持構造の提供。
【解決手段】矩形タッチパネルの四隅を、四隅の近傍でケースに固着する透明保護板と背面支持部の間で挟持し、振動波形の節とする。四隅の内側の入力操作領域は振動波形の腹となり、タッチパネルの周囲が透明保護板を介して枠状のケースに固定されても入力操作領域を覆う透明保護板と共に一定の振幅で振動し、その振動が操作者に伝達される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの表面側に配置され、前記表示パネルに平行な入力操作領域への入力操作を検出する矩形のタッチパネルと、
前記入力操作領域を開口内に臨ませて前記タッチパネルを支持する枠状のケースと、
前記タッチパネルの背面側に固着される振動素子とを備え、
タッチパネルが入力操作を検出した際に振動素子を駆動制御し、タッチパネルを振動させるタッチパネルの支持構造であって、
タッチパネルの表面全体と前記ケースの前記開口の周縁に固着し、タッチパネルの表面を覆う透明保護板と、
前記開口の内壁面に一体に形成され、矩形の前記タッチパネルの四隅の部位でそれぞれ前記タッチパネルを背面側から支持する背面支持部を更に備え、
前記タッチパネルの四隅を、四隅の近傍で前記ケースに固着する前記透明保護板と前記背面支持部の間で挟持することを特徴とするタッチパネルの支持構造。
【請求項2】
前記開口は、前記タッチパネルを遊嵌する矩形状に形成され、
前記背面支持部は、矩形状の前記開口の四隅の近傍の内壁面に一体に形成される板バネ片で形成されることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルの支持構造。
【請求項3】
前記板バネ片は、前記開口の四隅の近傍の内壁面に一体に支持される両端から四隅の内壁面に沿ってL字状に形成されることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネルの支持構造。
【請求項4】
前記背面支持部と前記タッチパネルの四隅の間に、第1弾性支持体を配設することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のタッチパネルの支持構造。
【請求項5】
前記タッチパネルの四隅を支持する前記背面支持部の背面側の部位と前記表示パネルの間に第2弾性支持体を配設することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のタッチパネルの支持構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作が検出されたことをタッチパネルの振動により操作者へ伝達するフォースフィードバック型のタッチパネルの支持構造に関し、更に詳しくは、フォースフィードバック型のタッチパネルをケースへ取り付けるタッチパネルの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルは、その表面側の入力操作領域へ指、専用ペンなどを接近させる操作者の入力操作を検出し、タッチパネルが搭載された上位の電子機器へ検出した入力操作位置を出力するポインティングデバイスであり、通常は、液晶パネル、CRT等の表示パネルの表面側に配置され、表示パネルの表示を指標とする入力操作の入力操作位置を、表示内容に対応させて電子機器へ出力している。
【0003】
タッチパネルの入力操作位置を検出する方式には、磁気結合方式、容量結合方式、抵抗膜方式などの種々の方式が知られているが、いずれも、入力操作領域をわずかに触れるだけでその入力操作位置を検出するので、操作者は、タッチパネルへの入力操作が検出されたかどうかを知ることができず、入力操作に不安があった。そこで、タッチパネルへの入力操作が検出されたことを、タッチパネル自体を振動させて、入力操作領域に触れた専用ペン若しくは指を介して感触せしめるいわゆるフォースフィードバック型タッチパネルが開発され、本出願人は、振動素子となる圧電基板を直接タッチパネルへ固着することにより、効率的にまた装置全体が大型化せずに、タッチパネル自体を振動させるフォースフィードバック型タッチパネルを開発した(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、このようにタッチパネル自体が振動するタッチパネルを、電子機器のケースへ固定して取り付けると、ケースによりその振動が拘束され、操作者により充分にその振動が検知されない恐れが生じた。そこで、本出願人は、振動素子となる圧電基板を固着したタッチパネルを、弾性支持枠体を介してケースに取り付けたタッチパネルの支持構造を開発した(特許文献2)。
【0005】
以下、この従来のタッチパネルの支持構造100を、図12を用いて説明する。図に示すように、背面の側縁部に沿って1対の圧電素子101を固着したタッチパネル102は、表示パネル103とともに、矩形の枠形状に形成された弾性支持枠体104内に嵌合して支持される。弾性支持枠体104は、内壁面の全周に亘って内方に水平に張り出されたパネル受け部104aを一体に有し、更に、パネル受け部104aの四隅の表面側には、タッチパネル支持部104bが一体に形成されている。パネル受け部104aを挟んでその表面側のタッチパネル支持部104b上にタッチパネル102の四隅が支持され、背面側に表示パネル103が支持されることにより、表示パネル103の上方(表面側)にタッチパネル102が平行に支持される。
【0006】
タッチパネル102と表示パネル103を位置決めして取り付けた弾性支持枠体104は、電子機器の筐体105の開口105aにタッチパネル102を臨ませて開口105aの周囲に取り付けられる。その後、タッチパネル102から開口105aの周囲にかけて透明保護シート106が貼り付けられ、透明保護シート106でタッチパネル102の表面全体と開口105aの周囲を覆うことにより、開口部105aからの埃や水分の侵入を防いでいる。
【0007】
タッチパネル102は、弾性を有する弾性支持枠体104を介して筐体105に取り付けられ、その表面側は可撓性を有する透明保護シート106で覆われるので、圧電素子101を駆動することよるタッチパネル102の振動が拘束されず、透明保護シート106に触れる入力操作で操作者は振動を感知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3798287号公報
【特許文献2】特開第4811965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の従来のタッチパネルの支持構造100は、タッチパネル102の表面に透明保護シート106を密着させているが、入力操作領域となるタッチパネル102の表面が可撓性シート106で覆われるので高級感が得られず、また、タッチパネル102を外力による衝撃から充分に保護することができない。そこで、車載用カーナビゲーション装置等の用途に用いるタッチパネルでは、透明保護シート106に代えて、周囲を筐体105に固着した透明なアクリル板、ガラス基板など一定の剛性を有する透明保護板を用いてタッチパネル102の表面を覆っている。
【0010】
一方、この透明保護板とタッチパネル102の間に隙間があると、空気が介在して透過率が低下したり、干渉縞が発生してその内方の表示パネルが見づらくなるばかりか、振動するタッチパネル102が透明保護板に衝突して無用な振動音が発生する。このため、タッチパネル102の表面全面と透明保護板の間を透明接着剤で接着し両者を密着させているが、タッチパネル102は、一定の剛性を有する透明保護板を介して筐体105に固定されるので、その振動が拘束され、操作者に充分に振動を伝達できない恐れがあった。
【0011】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、透明保護板を表面にケースに密着させたタッチパネルであっても、その振動を操作者へ伝達可能なタッチパネルの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、請求項1に記載のタッチパネルの支持構造は、表示パネルと、表示パネルの表面側に配置され、表示パネルに平行な入力操作領域への入力操作を検出する矩形のタッチパネルと、入力操作領域を開口内に臨ませてタッチパネルを支持する枠状のケースと、タッチパネルの背面側に固着される振動素子とを備え、タッチパネルが入力操作を検出した際に振動素子を駆動制御し、タッチパネルを振動させるタッチパネルの支持構造であって、
タッチパネルの表面全体とケースの開口の周縁に固着し、タッチパネルの表面を覆う透明保護板と、開口の内壁面に一体に形成され、矩形の前記タッチパネルの四隅の部位でそれぞれタッチパネルを背面側から支持する背面支持部を更に備え、タッチパネルの四隅を、四隅の近傍でケースに固着する透明保護板と背面支持部の間で挟持することを特徴とする。
【0013】
矩形のタッチパネルの四隅は、ケースに対して固定された透明保護板と背面支持部の間に挟持されることにより、上下方向の振動が規制されることにより、振動素子により振動する振動波形の節の位置となり、その内側の入力操作領域は振動波形の腹となって変形する。従って、タッチパネルの周囲が透明保護板を介して枠状のケースに固定されても、タッチパネルの四隅の内側の入力操作領域は、入力操作領域を覆う透明保護板と共に一定の振幅で振動し、その振動が操作者に伝達される。
【0014】
請求項2に記載のタッチパネルの支持構造は、開口がタッチパネルを遊嵌する矩形状に形成され、背面支持部は、矩形状の開口の四隅の近傍の内壁面に一体に形成される板バネ片で形成されることを特徴とする。
【0015】
タッチパネルの四隅の背面を板バネ片で支持するので、透明保護板との間で挟持するタッチパネルの四隅の変位を拘束せずに、四隅が回転端に近似して作用する。
【0016】
請求項3に記載のタッチパネルの支持構造は、板バネ片が、開口の四隅の近傍の内壁面に一体に支持される両端から四隅の内壁面に沿ってL字状に形成されることを特徴とする。
【0017】
板バネ片は、内壁面に一体に支持される両端からタッチパネルの四隅の背面を支持するL字状の角部まで、所定の長さのバネスパンが得られる。
【0018】
請求項4に記載のタッチパネルの支持構造は、背面支持部とタッチパネルの四隅の間に、第1弾性支持体を配設することを特徴とする。
【0019】
タッチパネルの四隅の振動による変位は、背面支持部との間に配設される第1弾性支持体に吸収され、背面支持部から大きい反力を受けない。
【0020】
請求項5に記載のタッチパネルの支持構造は、タッチパネルの四隅を支持する背面支持部の背面側の部位と表示パネルの間に第2弾性支持体を配設することを特徴とする。
【0021】
タッチパネルの四隅の振動は、表示パネルとの間の第2弾性支持体の変形に吸収され、タッチパネルの四隅の変位を拘束せずに、回転端として作用させる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、タッチパネルの表面に周囲をケースへ固定した透明保護板を密着させても、タッチパネルの入力操作領域を覆う透明保護板の部位は、一定の振幅で振動し、タッチパネルの振動を操作者へ確実に伝達することができる。
【0023】
タッチパネルを覆う透明保護板は、一定の剛性を有するので、タッチパネルの入力操作領域が外力から保護される。
【0024】
また、透明保護板の周囲を開口の周囲のケースに固着するので、開口からの水や埃の侵入を確実に防止できる。
【0025】
請求項2の発明によれば、タッチパネルの四隅の変位を拘束して振動を減衰させることなく、四隅を振動の節とすることができる。
【0026】
請求項3の発明によれば、タッチパネルの四隅の振動による一定量の変位に対して、板バネ片から高い弾力を受けないので、タッチパネルの四隅の振動が減衰しない。
【0027】
また、板バネ片は、内壁面と一体の固定端からタッチパネルの四隅を支持するL字状の角部まで充分な長さのバネスパンを有するので、大きな曲げ応力が発生せず、タッチパネル全体が押し下げられる等で意図しない外力を受けても、破損しにくい。
【0028】
請求項4の発明によれば、タッチパネルの四隅の振動による変位は、背面支持部との間に配設される第1弾性支持体に吸収されるので、タッチパネルの四隅の振動が減衰しない。
【0029】
また、タッチパネル全体が押し下げられる等でタッチパネルの四隅が予期せずに大きく押し下げられても、第1弾性支持体が圧縮してその変位を吸収するので、背面支持部に大きな外力が作用せず、背面支持部は破損しない。
【0030】
請求項5の発明によれば、表示パネルと背面支持部の間隔に組み立て誤差が生じても、第2弾性支持体の変形に吸収され、タッチパネルの四隅の背面を背面支持部と第2弾性支持体で確実に支持できる。
【0031】
また、タッチパネル全体が押し下げられる等でタッチパネルの四隅が大きく押し下げられても、表示パネルとの間に配設される背面支持部と第2弾性支持体で支持されるので、背面支持部は大きく変位せず破損しない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本願発明の一実施の形態に係るタッチパネルの支持構造1の分解斜視図である。
図2】タッチパネル3を取り付けたケース2の斜視図である。
図3】表示パネル4を取り付けたケース2の斜視図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5】上ケース2Aの斜視図である。
図6】上ケース2Aの平面図である。
図7】タッチパネル3の背面側からみた斜視図である。
図8図2のA−A線断面図である。
図9図2のB−B線断面図である。
図10図2のC−C線断面図である。
図11】圧電素子5を駆動制御した際の図2のa、b、cの位置での振動加速度を、背面支持部6の有無で比較したグラフである。
図12】従来のタッチパネルの支持構造100を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施の形態に係るタッチパネルの支持構造1を図1乃至図11を用いて説明する。タッチパネル3は、携帯情報端末装置、携帯電話機、カーナビゲーション装置等種々の電子機器の入力装置として用いられ、例えば、カーナビゲーション装置の筐体を構成するケース2に取り付けられる。合成樹脂で形成されるケース2は、タッチパネル3を取り付ける枠状に形成された上ケース2Aと、地図やアイコンなどを表示する液晶表示パネル4を取り付ける桝形に形成された下ケース2Bとからなり、両者をねじ止めして組み合わせることにより、液晶表示パネル4と平行にその上方にタッチパネル3が配置される。以下各部の説明は、図1において上方の平面を表面と、下方の底面を背面として説明する。
【0034】
タッチパネル3は、ここでは静電容量方式のうち相互容量方式でその表面の入力操作領域への入力操作位置を検出するタッチパネルであり、絶縁基板上の入力操作領域に沿って多数配設した検出電極から、指等の入力操作体が接近して検出電極間の静電容量が変化した検出電極を検出し、その検出電極の配置位置から入力操作位置を検出している。従って、タッチパネル3は、それぞれ透明材料で形成された絶縁基板、絶縁基板上に配設された多数の検出電極、検出電極の表面を覆い保護する保護基板を積層して構成されるが、各図には1枚の矩形のパネルとして表示している。
【0035】
タッチパネル3の背面には、一対の振動素子である圧電基板5が取り付けられる。この圧電基板5は、細長帯状に形成され、表裏両面に一組の駆動電極が形成され、その表面の全面を、タッチパネル3の背面に接着剤などを用いて固着している。タッチパネル3の振動は、圧電基板5の電わい効果を利用して発生させるもので、一組の駆動電極へ駆動電圧を印加し、伸縮する圧電基板5の歪みを固着したタッチパネル3へ伝達して振動させる。
【0036】
圧電基板5は、細長帯状に形成することにより、少ない材料でより大きな振幅の振動が得られ、また、細長帯状とした圧電基板5は、圧電基板5を固着するタッチパネル3が長方形であるので、その長手方向に沿って固着することにより、短手方向に比べてより大きな振幅でタッチパネル3が振動する。一方、一対の圧電基板5の固着位置は、図7に示すように、入力操作領域への入力操作位置検出に影響しないように、また、下方に配置された液晶表示パネルの表示を遮らないように、それぞれタッチパネル3背面の長手方向の両辺に沿った部位としている。なおねこのような圧電基板5の取り付けの態様は一例であって、このような態様に限定されるものではない。
【0037】
タッチパネル3を取り付ける上ケース2Aは、図5図6に示すように、横長長方形の輪郭の長方形枠部21を有し、長方形枠部21で囲まれる開口12は、タッチパネル3表面の入力操作領域を開口12内に臨ませるように、タッチパネル3を遊嵌する大きさに形成されている。長方形枠部21の内側四隅には、長方形のタッチパネル3の四隅を背面から支持する背面支持部6が長方形枠部21に一体に形成されている。ここでは背面支持部6は、図4に拡大して示すように、長方形枠部21の内側四隅の内壁面に沿ったL字状に形成された板バネ片であり、その両端を長方形枠部21の内壁面と一体の固定端としてタッチパネル3の背面に平行に支持されている。
【0038】
板バネ片6のL字状の屈曲部分は、タッチパネル3の四隅を支持する受圧部6aとなり、この受圧部6aの表面とタッチパネル3の四隅の背面にそれぞれ表裏両面を接着させた上部弾性スペーサ10が配置されている。
【0039】
タッチパネル3の表面側には透明保護板8が積層配置され、タッチパネル3の表面全体と透明保護板8の背面を接着する透明接着剤9により、両者は密着した状態で一体に固定される。透明保護板8は、タッチパネル3を外力から保護する為のある程度の剛性と、タッチパネル3と一体に振動する為の弾性を満たす透明材料で形成され、ガラス板、透明な合成樹脂板等で構成することができるが、ここでは、透明アクリル板としている。
【0040】
透明アクリル板8は、上ケース2Aと同一の輪郭の横長長方形に形成され、タッチパネル3を接着した背面の周囲を長方形枠部21の表面に接着剤で接着して上ケース2Aに固着される。この接着は、タッチパネル3との接着に用いる透明接着剤9を透明アクリル板8の背面全体に付着してタッチパネル3と同一の接着工程で行うが、上ケース2Aとの接着には必ずしも透明接着剤を用いる必要がないので、別の接着剤を用いてもよく、また、超音波溶着など他の固着手段で上ケース2Aへ固着してもよい。
【0041】
透明アクリル板8の周囲を長方形枠部21の表面に固着することにより、タッチパネル3は、表面側が一体の透明アクリル板8を介して長方形枠部21に支持され、背面側はその四隅が、上部弾性スペーサ10を介して板バネ片6に支持される。また、開口12の周囲が透明アクリル板8と長方形枠部21が接着されることにより完全に封止されるので、開口12内に水滴や埃が侵入しない。
【0042】
上ケース2Aの長方形枠部21の四隅の部位の背面には、図10に示すように、それぞれ下ケース2Bの背面側からねじ込まれる雄ねじ7に螺合する雌ねじ孔22が凹設され、また、この雌ねじ孔22を避けて長方形枠部21の四隅の近傍両側と、長手方向の中間の部位の背面には、図9に示すように、下ケース2Bの窓孔23に係合する係合突起24が垂設されている。
【0043】
一方、下ケース2Bの桝形の周囲を構成する矩形枠部25は、上ケース2Aと同一の横長長方形の輪郭で形成され、上ケース2Aの雌ねじ孔22と係合突起24に対応してその下方となる部位に、雄ねじ7を挿通させる挿通孔26と窓孔23が穿設されている。これにより上ケース2Aと下ケース2Bは、各四隅で雄ねじ7によりネジ止めされて相互に固定され、係合突起24が窓孔23に係合する部位で下ケース2Bに対して上ケース2Aが上方に抜け止めされる。
【0044】
上ケース2Aは、検知可能な振動を伝達可能な程度に弾性変形する合成樹脂で形成され、下ケース2Bに対して矩形枠部25の短手方向に沿った両端の部位が固定されると共に、長手方向に沿った両側は、係合突起24が窓孔23に係合するだけであるので、長手方向に沿って細長帯状に固着される圧電基板5の伸縮によるタッチパネル3の長手方向に沿った振動波形の振動を拘束しない。
【0045】
長方形の桝形に形成される下ケース2B内には、液晶表示パネル4、液晶表示パネル4のドライバー素子、その他の電子部品が配置され、図8に示すように、液晶表示パネル4の表面と板バネ片6の受圧部6aの背面にそれぞれ表裏両面を接着させた下部弾性スペーサ11が配置されている。従って、タッチパネル3の四隅を支持する板バネ片6の受圧部6aは、下部弾性スペーサ11を介して固定された液晶表示パネル4上に支持される。
【0046】
上述した構成によってタッチパネル3は、上ケース2Aの開口12内に入力操作領域を臨ませてケース2に取り付けられる。タッチパネル3が入力操作領域への入力操作を検出すると、タッチパネル3の背面に固着する一対の圧電基板5に駆動電圧が印加され、タッチパネル3と透明アクリル板8の全体が振動し、透明アクリル板8に接する指などの入力操作体を介して操作者は入力操作が受け付けられたことを確認する。
【0047】
このタッチパネル3と透明アクリル板8の振動は、細長帯状の圧電基板5がタッチパネル3の長手方向に沿って固着され、また、透明アクリル板8の周囲に固着する上ケース2Aの長手方向が拘束されないことから、タッチパネル3の長手方向に沿った振動波形の振幅が短手方向に比べて大きい。また、タッチパネル3の四隅は、その近傍で上ケース2Aに対して固定された透明アクリル板8とともに、上部弾性スペーサ10と板バネ片6に支持されるので、その回転は大きく拘束されず、振動方向の加速度と逆方向に作用する上部弾性スペーサ10と板バネ片6のバネ作用により鉛直方向の振幅は制限される。
【0048】
更に、タッチパネル3の四隅を支持する板バネ片6の受圧部6aは、固定された下ケース2B側に配置された液晶表示パネル4上に下部弾性スペーサ11を介して一定の高さを維持するように支持されるので、板バネ片6の受圧部6aによってタッチパネル3の四隅の位置も一定高さを維持するように支持される。
【0049】
つまり、タッチパネル3の四隅は、回転自在に上下の変位が拘束される回転端(ヒンジ支点)に近似し、タッチパネル3の長手方向に沿った振動波形の節となる一方、四隅から離れた入力操作領域に腹の部分が生じ、操作者へ伝達可能な大きい振幅の振動が得られる。
【0050】
図11は、圧電素子5を駆動制御してタッチパネル3を振動させた際に図2のa、b、cの位置に発生する鉛直方向の振動加速度を、板バネ片6、上部弾性スペーサ10及び下部弾性スペーサ11(背面支持部等)を設けずにタッチパネル3を支持した場合(背面支持部等無)と、本実施の形態のように背面支持部等で支持した場合(背面支持部等有)を比較したグラフであり、図に示す通り、背面支持部等でタッチパネル3を支持する場合に、各位置a、b、cでの振動が減衰せずに得られる。
【0051】
上述の実施の形態では、上部弾性スペーサ10と下部弾性スペーサ11の間で板バネ片6を支持しているが、上部弾性スペーサ10と下部弾性スペーサ11の一方若しくは双方は必ずしも設けなくてもよい。なお、タッチパネル3の振動に伴って、タッチパネル3と板バネ片6との間で打音が生じることを防ぐために、上部弾性スペーサ10を設けることが望ましい。
【0052】
また、板バネ片6は、充分に長いバネスパンでタッチパネル3の四隅を支持するために、長方形枠部21の内側四隅の内壁面に沿ったL字状に形成しているが、U字状などこのような形状に限らない。
【0053】
また、上述の実施の形態で、タッチパネル3は、静電容量方式のタッチパネルで説明したが、抵抗膜方式、磁気結合方式等他の方式で入力操作位置を検出するタッチパネルであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、フォースフィードバック型タッチパネルの表面を一定の剛性を有する透明保護板で保護するタッチパネルの支持構造に適している。
【符号の説明】
【0055】
1 タッチパネルの支持構造
2 ケース
3 タッチパネル
4 液晶表示パネル(表示パネル)
5 圧電基板(振動素子)
6 板バネ片(背面支持部)
8 透明アクリル板(透明保護板)
10 上部弾性スペーサ(第1弾性支持体)
11 下部弾性スペーサ(第2弾性支持体)
12 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12