【解決手段】キャビティ15を有するステム10と、ステム10に設けられたリード26および28と、キャビティ15内に搭載された半導体チップ12と、キャビティ15内に配置され、リード26と半導体チップ12との間、またはリード28と半導体チップ12との間に接続された整合回路と、キャビティ15内を封止するリッド18と、リッド18に設けられ、リード26または28、および整合回路に接続され、インピーダンスの変換量が整合回路におけるインピーダンスの変換量よりも大きい外部整合回路と、を有する半導体装置。
前記内部整合回路にはキャパシタ素子が含まれ、その容量は、前記外部整合回路に含まれるキャパシタ素子の容量に比べて大きいことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
前記リッドは誘電体からなり、前記外部整合回路は前記リッドの平面上に設けられたスタブを備えてなり、前記スタブは前記入力端子または前記出力端子と接続されてなることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
実施例1はリッドに整合回路を設け、かつリッドにより気密封止を行う例である。
図1(a)は実施例1に係る半導体装置100を例示する断面図である。
図1(b)はリッド18の下面を例示する平面図である。
図1(c)はリッド18の上面を例示する平面図である。
図1(a)は
図1(b)および
図1(c)の線A−Aに沿った断面を図示している。以降の断面図は、対応する平面図の
図1(b)および
図1(c)と同様の切り口に沿った断面を図示する。
【0012】
図1(a)に示すように、半導体装置100はステム10(パッケージ)、半導体チップ12、整合回路14および16、並びにリッド18を備える。ステム10はベース部11、フィードスルー22〜25を備える。フィードスルー22はベース部11の上面の一方の端に設けられ、フィードスルー24はベース部11の上面のフィードスルー22と対向する位置に設けられている。フィードスルー23はフィードスルー22の上面に設けられ、フィードスルー25はフィードスルー23の上面に設けられている。半導体チップ12、整合回路14および16はベース部11の上面に搭載され、例えば導電性接着剤などによりベース部11に固定されている。リッド18はステム10の上に設けられている。半導体チップ12、整合回路14および16は、ステム10およびリッド18が形成するキャビティ15の内部に封止される。整合回路14および16は例えばキャパシタなどを含む内部整合回路である。半導体チップ12には高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)が形成されている。
【0013】
リード26はフィードスルー22に設けられ、フィードスルー22上面の配線パターン22aと電気的に接続されている。リード28はフィードスルー24に設けられ、フィードスルー24上面の配線パターン24aと電気的に接続されている。配線パターン22aは整合回路14と、整合回路14は半導体チップ12のゲート(不図示)とワイヤ13を介して電気的に接続されている。半導体チップ12のドレイン(不図示)は整合回路16と、整合回路16は配線パターン24aとワイヤ13を介して電気的に接続されている。
【0014】
フィードスルー23の上面には接地パターン23cおよび配線パターン23dが設けられ、フィードスルー23の内部にはビア配線23aおよび23bが設けられている。配線パターン23dはビア配線23aを介して配線パターン22aに接続されている。接地パターン23cはビア配線23bに接続されている。フィードスルー25の上面には接地パターン25cおよび配線パターン25dが設けられている。フィードスルー25の内部にはビア配線25aおよび25bが設けられている。配線パターン25dはビア配線25aを介して配線パターン24aに接続されている。接地パターン25cはビア配線25bに接続されている。
【0015】
図1(a)および
図1(b)に示すように、リッド18の下面には接地パターン18a、配線パターン18bおよび18cが設けられている。接地パターン18aは下面の外周部から中央にかけて設けられている。配線パターン18bおよび18cは接地パターン18aから離間している。配線パターン18bは配線パターン23dに、配線パターン18cは配線パターン25dにロウ材17を介して接続されている。接地パターン18aは、リッド18の外周部において、ロウ材17を介して接地パターン23cおよび25cと接続されている。
【0016】
図1(a)および
図1(c)に示すように、リッド18の上面には接地パターン18e(第2接地パターン)、配線パターン18fおよび18hが設けられている。接地パターン18eは上面を囲み、配線パターン18fおよび18hは接地パターン18eから離間している。配線パターン18fは上面内に引きまわれたスタブであり、インダクタとして機能する。リッド18には、リッド18を厚さ方向(
図1(a)の上下方向)に貫通する複数のビア配線18gが設けられている。これにより接地パターン18eのインピーダンスを下げることができる。接地パターン18aはビア配線18gを介して接地パターン18eに接続されている。配線パターン18bはビア配線18gを介して配線パターン18hに接続されている。配線パターン18cはビア配線18gを介して配線パターン18fに接続されている。
図1(c)に示すように、リッド18の上面には半田21を介して2つのチップ部品20および20aが実装されている。チップ部品20は接地パターン18eおよび配線パターン18hに接続されている。チップ部品20aは接地パターン18eおよび配線パターン18fに接続されている。
【0017】
ベース部11は金属により形成され、例えば下から銅(Cu)、モリブデン(Mo)およびCuを積層した部材である。半導体チップ12は例えば窒化物半導体を含む。半導体チップ12のチャネル層は窒化ガリウム(GaN)、電子供給層は窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)により形成されている。フィードスルー、およびリッド18は例えばセラミックなどの誘電体により形成されている。配線パターン、接地パターン、およびビア配線は例えばCuまたは金(Au)などの金属により形成されている。ワイヤ13は例えばAuなどの金属により形成されている。ロウ材17は金および錫(Au−Sn)の合金、銀(Ag)、または半田など金属を含むペーストである。
【0018】
図2は半導体装置100の等価回路を例示する回路図である。
図2に示すように、入力端子Inと出力端子Outとの間に、インダクタL1およびL2、HEMT12a、インダクタL3が直列接続されている。入力端子InとインダクタL1との間に、キャパシタC1の一端及びインダクタL4の一端が接続されている。インダクタL4の他端にはゲートバイアス電圧V1が接続される。インダクタL1およびL2間にはキャパシタC2の一端が接続されている。HEMT12aのゲートはインダクタL2に接続され、ソースは接地されている。ドレインはインダクタL3の一端と接続されている。インダクタL3の他端と出力端子Outとの間にキャパシタC3、インダクタL5およびL6それぞれの一端が接続されている。インダクタL5の他端にはキャパシタC4の一端が接続されている。インダクタL6の他端にはドレインバイアス電圧V2が接続されている。キャパシタC1〜C4の他端は接地されている。入力端子Inに入力される高周波信号は、HEMT12aにより増幅され、出力端子Outから出力される。キャパシタC1の容量は例えば20pFであり、キャパシタC2の容量は例えば100pFである。
【0019】
図1(a)の半導体チップ12にHEMT12aが形成されている。リード26は入力端子Inとして機能し、リード28は出力端子Outとして機能する。キャパシタC1はチップ部品20に対応する。インダクタL1は配線パターン22a、および配線パターン22aと整合回路14間のワイヤ13により生成される。キャパシタC2は整合回路14に対応する。インダクタL2は整合回路14と半導体チップ12との間のワイヤ13により生成される。インダクタL3は半導体チップ12と整合回路16との間のワイヤ13により生成される。キャパシタC3は整合回路16に対応する。
図1(c)に点線で示すように、インダクタL5は配線パターン18fおよびビア配線18gなどにより生成される。キャパシタC4はチップ部品20aに対応する。
【0020】
実施例1によれば、リッド18に設けられた配線パターン18f、チップ部品20aが整合回路(外部整合回路)として機能する。また、ビア配線18gは周辺の配線パターンおよび接地パターンと電気的に結合する。またビア配線18g同士が電気的に結合することもある。こうした電気的結合により、ビア配線18gがインダクタおよびキャパシタなどとして機能する。このようにリッド18に整合回路が形成される。
【0021】
リッド18に整合回路が形成されることで、半導体装置100と、入力端子Inに接続される機器および出力端子Outに接続される機器との間においてインピーダンス整合が可能である。また整合回路により高調波の抑制も可能である。リッド18が外部整合回路として機能するため、外部整合回路が小型化される。また、さらに別の整合回路を接続しなくてもよい。これにより、半導体装置100を実装するプリント基板の小型化、および半導体装置100を含む電子機器の低コスト化が可能である。整合回路14および16を小型化することができるため、半導体装置100の小型化も可能である。リッド18が半導体チップ12の上に位置することにより、外部に整合回路を接続する場合より整合回路が半導体チップ12に近くなる。これにより、高い効率を実現することができる。
【0022】
リッド18をチタン酸バリウム(BaTiO
3)など誘電率の高い材料で形成することが好ましい。リッド18の寄生容量が大きくなるため、リッド18が整合回路として有効に機能する。またスタブである配線パターン18fを引き回すことでインダクタL5のインダクタンスが高くなる。このためリッド18に形成される外部整合回路によるインピーダンス変換量は、整合回路14および16それぞれによるインピーダンス変換量より大きくなる。なお、整合回路14および16に含まれるキャパシタ素子の容量は、リッド18に形成される外部整合回路のキャパシタ素子の容量より大きい。
【0023】
図1(a)に示した接地パターン23cおよび25cは例えば一体であり、半導体チップ12、整合回路14および16を囲む。ロウ材17も半導体チップ12、整合回路14および16を囲む。接地パターン18aがロウ材17により接地パターン23cおよび25cと接続されることにより、半導体チップ12、整合回路14および16を気密封止することができる。気密性を高めるため、ロウ材17が半導体チップ12、整合回路14および16を完全に囲むことが好ましい。
【0024】
比較例について説明する。
図3(a)は比較例に係る半導体装置100Rを例示する断面図である。
図3(b)はリッド18の下面を例示する平面図である。
図3(c)はリッド18の上面を例示する平面図である。
【0025】
図3(a)および
図3(b)に示すように、リッド18の下面に接地パターン18aが設けられている。接地パターン18aはロウ材17により接地パターン23cおよび25cに接続されている。リッド18に接地パターン18a以外の配線パターン、およびビア配線は設けられていない。また
図3(a)および
図3(c)に示すようにチップ部品はリッド18に搭載されていない。なおリッド18に接地パターン18aを設けず、リッド18をステム10に樹脂などの絶縁性接着剤により固定することもある。
【0026】
比較例においてはリッド18に整合回路が形成されておらず、またチップ部品も搭載されていないため、リッド18によるインピーダンス整合および高調波処理は困難である。リード26および28に整合回路を接続することでインピーダンス整合および高調波処理は可能である。しかし半導体装置100Rおよび整合回路を実装するプリント基板が大型化する。また半導体チップ12から離れた位置に整合回路を設けるため、効率が低下する。
【実施例2】
【0027】
実施例2はリッド18の側面に接地パターンを設けた例である。実施例1において説明した構成と同じ部分については説明を省略する。
図4(a)は実施例2に係る半導体装置200を例示する断面図である。
図4(b)はリッド18の下面を例示する平面図である。
図4(c)はリッド18の上面を例示する平面図である。
【0028】
図4(a)に示すようにリッド18は逆U字形状を有する。フィードスルー23および25はリッド18の外側に位置する。
図4(b)に示すように、接地パターン18aはリッド18の外周より中央側に位置する。
図4(a)および
図4(c)に示すように、リッド18の上面に接地パターン18i(第4接地パターン)が設けられている。
図4(a)に示すように接地パターン18iはリッド18の上面から側面にかけて連続的に設けられており、半導体チップ12、整合回路14および16を囲む。接地パターン18iはロウ材17aにより接地パターン23cおよび25cに接続されている。
【0029】
実施例2によれば、実施例1と同様に高い効率を実現することができ、かつ低コスト化も可能である。接地パターン18iを接地パターン23cおよび25cに接続することにより半導体チップ12、整合回路14および16を気密封止することができる。気密性を高めるために、接地パターン18iは半導体チップ12、整合回路14および16を完全に囲むことが好ましい。
【実施例3】
【0030】
実施例3はリッド18が樹脂により形成されている例である。
図5(a)は実施例3に係る半導体装置300を例示する断面図である。
図5(b)はリッド18の下面を例示する平面図である。
図5(c)はリッド18の上面を例示する平面図である。
【0031】
図5(a)および
図5(b)に示すように、接地パターン18aはリッド18の外周より中央側に位置する。
図5(a)および
図5(c)に示すように、接地パターン18eはリッド18の外周より中央側に位置する。
図5(a)に示すように、リッド18は接着剤19によりステム10に接着されている。接着剤19は例えば樹脂などの絶縁体により形成され、ロウ材17より外側に位置する。接着剤19は
図5(b)の接地パターン18aを囲むように設けられる。つまり接着剤19は半導体チップ12、整合回路14および16を囲む。リッド18は例えばガラスエポキシ樹脂、またはテフロン(登録商標)などの樹脂により形成されている。実施例3によれば、実施例1と同様に高い効率を実現することができ、かつ低コスト化も可能である。
【実施例4】
【0032】
実施例4は多層基板をリッド18として用いる例である。
図6(a)は実施例4に係る半導体装置400を例示する断面図である。
図6(a)に示すように、リッド18は複数の絶縁層30、32および34が積層された多層基板である。
図6(b)はリッド18の下面を例示する平面図である。
図6(c)は絶縁層30の上面を例示する平面図である。
図7(a)は絶縁層32の上面を例示する平面図である。
図7(b)はリッド18の上面を例示する断面図である。
【0033】
図6(b)に示すように、リッド18の下面(絶縁層30の下面)に接地パターン18a、配線パターン18bおよび18cが設けられている。
図6(c)に示すように、絶縁層30および32の間に、接地パターン18l(第2接地パターン)、配線パターン18jおよび18kが設けられている。
図7(a)に示すように、絶縁層32および34の間に、接地パターン18m(第2接地パターン)、配線パターン18nおよび18oが設けられている。
図7(b)に示すように、リッド18の上面(絶縁層34の上面)に、接地パターン18e、配線パターン18f、18hおよび18pが設けられている。リッド18の上面には3つのチップ部品20、20aおよび20bが実装されている。チップ部品20aは接地パターン18eおよび配線パターン18pに接続されている。チップ部品20bは接地パターン18eおよび配線パターン18fに接続されている。ビア配線18gは絶縁層を貫通する。配線パターン18b、18k、18nおよび18hは、ビア配線18gを介して接続されている。配線パターン18c、18j、18o、18fおよび18pは、ビア配線18gを介して接続されている。
【0034】
図8は半導体装置400の等価回路を例示する回路図である。
図8に示すように、インダクタL3の他端と出力端子Outとの間にキャパシタC3およびC5、インダクタL5およびL6それぞれの一端が接続されている。キャパシタC5の他端は接地されている。インダクタL5は配線パターン18jおよびビア配線18gにより生成される。キャパシタC5はチップ部品20bに対応する。
【0035】
実施例4によれば、実施例1と同様に高い効率を実現することができ、かつ低コスト化が可能である。リッド18の絶縁層30、32および34は配線パターンおよび接地パターンにより上下から挟まれるため、リッド18はキャパシタとして機能する。スタブである配線パターン18jの上下に接地パターン18aおよび18mが設けられるため、リッド18の実効誘電率が高くなる。実効誘電率を高くすることで、リッド18の容量を高めることができ、配線パターン18jを短くし、かつ外部整合回路、整合回路14および16の小型化も可能である。絶縁層30、32および34は例えばガラスエポキシ樹脂などにより形成することができ、高誘電体により形成することが好ましい。リッド18の容量を高くするためである。
【実施例5】
【0036】
実施例5はリッド18が多層基板である別の例である。
図9(a)は実施例5に係る半導体装置500を例示する断面図である。
図9(a)は絶縁層32の上面を例示する平面図である。
図9(b)はリッド18の上面を例示する断面図である。リッド18の下面は
図6(b)に示した構成であり、絶縁層30の上面は
図6(c)に示した構成である。
【0037】
図9(a)に示すように、リッド18の内部にチップ部品20および20bが設けられている。さらに
図9(b)に示すようにチップ部品20aもリッド18内部に設けられている。チップ部品20は接地パターン18mおよび配線パターン18nに接続されている。チップ部品20aは接地パターン18mおよび配線パターン18qに接続されている。チップ部品20bは接地パターン18mおよび配線パターン18oに接続されている。
図9(c)に示すようにリッド18の上面にチップ部品は設けられていない。
【0038】
実施例5によれば、実施例1と同様に高い効率を実現することができ、かつ低コスト化が可能である。チップ部品をリッド18に内蔵するため、半導体装置500の低背化が可能である。
【実施例6】
【0039】
実施例6はリッド18に高周波信号用の配線パターンを設けた例である。
図10(a)は実施例6に係る半導体装置600を例示する断面図である。
図10(b)はリッド18の下面を例示する断面図である。
図10(c)はリッド18の上面を例示する断面図である。
図10(a)に示すように、フィードスルー22の上面に配線パターン22aおよび22bが設けられている。フィードスルー23の上面に2つの配線パターン23dおよび23e、並びに接地パターン23cが設けられている。
【0040】
図10(a)および
図10(b)に示すように、リッド18の下面に、接地パターン18a、配線パターン18b1、18b2および18cが設けられている。
図10(a)および
図10(c)に示すように、リッド18の上面に、配線パターン18fおよび18h、並びに接地パターン18eが設けられている。配線パターン18fおよび18hはリッド18の上面内に引きまわれている。
【0041】
図10(a)に示すように、配線パターン22bはビア配線23aを介して配線パターン23eに接続されている。配線パターン23eはロウ材17、配線パターン18b1およびビア配線18gを介して配線パターン18hの一端に接続されている。配線パターン22aはビア配線23aを介して配線パターン23dに接続されている。配線パターン23dはロウ材17、配線パターン18b2およびビア配線18gを介して配線パターン18hの他端に接続されている。
【0042】
リード26に入力された高周波信号は配線パターン22bから配線パターン18hに向けて流れ、さらに配線パターン18hから配線パターン22aに流れる。高周波信号は配線パターン22aから整合回路14、半導体チップ12および整合回路16を経てリード28から出力される。
【0043】
実施例6によれば、高周波信号はリッド18の配線パターン18hに流れた後、半導体チップ12に入力される。高周波信号は配線パターン18hにより遅延する。配線パターン18hの長さを調節することで、高周波信号の位相を変化させることができる。また実施例1と同様に、高い効率を実現することができ、かつ低コスト化が可能である。
【実施例7】
【0044】
実施例7はリッド18にリード26および28を設けた例である。
図11(a)は実施例7に係る半導体装置700を例示する断面図である。
図11(b)はリッド18の下面を例示する断面図である。
図11(c)はリッド18の上面を例示する断面図である。
【0045】
図11(a)および
図11(c)に示すように、リッド18の上面にリード26および28が設けられている。リード26は配線パターン18hに接続され、リード28は配線パターン18fに接続されている。リッド18の下面に設けられた配線パターン18bは配線パターン18hおよび22aに接続されている。配線パターン18cは配線パターン18fおよび24aに接続されている。
【0046】
実施例7によれば、リード26および28と、リッド18の上面とがほぼ同一の高さとなる。このため、リード26および28に接続される外部のプリント基板の上面と、リッド18の上面とがほぼ同じ高さとなる。従って、例えばチップ部品をプリント基板に実装する工程と同じ工程で、半導体装置700をプリント基板に実装することができる。製造工程が簡略化されるため、半導体装置700を含む電子装置の低コスト化が可能である。リードの本数を増やすことで端子数を増やすことができる。端子数を増やしてもステム10を変更しなくてよいため、低コスト化が可能である。実施例1と同様に、高い効率を実現することができる。
【実施例8】
【0047】
実施例8はステム10およびリッド18にリードを設けた例である。
図12(a)は実施例8に係る半導体装置800を例示する断面図である。
図12(b)はリッド18の下面を例示する断面図である。
図12(c)はリッド18の上面を例示する断面図である。
【0048】
図12(c)に示すように、リッド18の上面に4つのリード40、42、44および46が設けられ、チップ部品20a、および20c〜20fが実装されている。リード40は配線パターン18rに接続され、リード42は配線パターン18fに接続されている。リード44は配線パターン18sに接続され、リード46は配線パターン18tに接続されている。チップ部品20aは接地パターン18e1および配線パターン18fに接続されている。チップ部品20cは配線パターン18hおよび18rに接続されている。チップ部品20dは配線パターン18sおよび接地パターン18e2に接続されている。チップ部品20eは配線パターン18tおよび接地パターン18e2に接続されている。チップ部品20fは配線パターン18fおよび18tに接続されている。
図12(a)に示す配線パターン18bは配線パターン18hに、配線パターン18cは配線パターン18fに、それぞれビア配線18gを介して接続されている。接地パターン18aは接地パターン18e1および18e2に接続されている。
【0049】
図13は半導体装置800の等価回路を例示する回路図である。
図13に示すように、入力端子InとインダクタL1との間に抵抗R1の一端が接続されている。抵抗R1の他端にインダクタL7が接続され、インダクタL7の他端にゲートバイアス電圧V1が接続されている。インダクタL3と出力端子Outとの間に抵抗R2の一端が接続されている。抵抗R2の他端に端子T1およびキャパシタC6の一端が接続されている。キャパシタC6の他端は接地されている。
【0050】
ゲートバイアス電圧V1は
図12(c)に示したリード40を通じて印加される。インダクタL7は配線パターン18rにより生成される。抵抗R1はチップ部品20cに対応する。ドレインバイアス電圧V2はリード42を通じて印加される。端子T1はリード46に対応し、ドレイン電圧を監視するための端子である。キャパシタC6はチップ部品20eに対応する。抵抗R2はチップ部品20fに対応する。インダクタL5およびL6は配線パターン18fおよびビア配線18gにより生成される。キャパシタC4はチップ部品20aに対応する。チップ部品20dは例えばサーミスタである。リード44を通じて半導体装置800の温度を監視することができる。
【0051】
実施例8によれば、半導体装置800の外部にサーミスタを設ける場合より、半導体チップ12の近くにサーミスタ(チップ部品20d)が配置されることで、温度の正確なモニタリングが可能となる。リッド18のリードをDC信号のための端子とすることができる。半導体装置の外部に端子を設けなくてよいため、半導体装置800を含む電子機器の小型化が可能である。また実施例1と同様に、高い効率を実現することができ、かつ低コスト化が可能である。
図12(a)のように、リード40および42の高さをリード26および28と同程度の高さとすることが好ましい。半導体装置800の実装が容易になる。リード44および46もリード40および42と同様の形状とすることが好ましい。
【実施例9】
【0052】
実施例9はステム10およびリッド18にリードを設けた別の例である。
図14(a)は実施例9に係る半導体装置900を例示する断面図である。
図14(b)はリッド18の上面を例示する断面図である。リッド18の下面は
図12(b)に示した構成である。
【0053】
図14(b)に示すように、リッド18の上面に4つのリード40、42、44および46が設けられ、4つのチップ部品20g〜20jが実装されている。チップ部品20gは接地パターン18e1および配線パターン18rに接続され、チップ部品20hは接地パターン18e1および配線パターン18f2に接続されている。チップ部品20iは配線パターン18hおよび18rに接続されている。チップ部品20jは配線パターン18f1および18f2に接続されている。リード42は配線パターン18f2に接続されている。
【0054】
リード40、42、44および46は
図14(a)に示すようにリードフォーミングされている。ゲートバイアス電圧V1はリード40を通じて印加され、ドレインバイアス電圧V2はリード42を通じて印加される。チップ部品20gおよび20hはバイパスキャパシタである。チップ部品20iおよび20jはチョークインダクタである。
【0055】
実施例9によれば、半導体装置の外部にバイパスキャパシタおよびバイパスインダクタを設ける場合より、半導体チップ12の近くにバイパスキャパシタおよびバイパスインダクタを設けることができる。高いバイパス効果を得ることができるため、ノイズ除去の効果、およびドレインバイアス電流の供給能力を高めることができる。また実施例1と同様に、高い効率を実現することができ、かつ低コスト化が可能である。
【0056】
リッド18には整合回路以外の回路を形成することもできる。リッド18に温度補償回路を形成することで、温度変化による半導体装置の特性の変動を抑制することができる。リッド18に電流ドリフト補償回路を形成することで、半導体チップ12に流れる電流を一定に近づけることができる。リッド18にディレイラインおよびコンバイナなどを設けることでドハティアンプを形成してもよい。リッド18に電源ICを設けてもよい。電源ICから半導体チップにゲートバイアス電圧およびドレインバイアス電圧を印加することができる。リッド18に半導体装置に関する情報を記憶したメモリを搭載してもよい。メモリから半導体装置の仕様などを読み込むことができる。
【0057】
実施例1〜9では、
図2に示すようにHEMT12aと出力端子Outとの間にインダクタL5およびキャパシタC4を含む整合回路が形成される。例えば
図1(a)のように半導体チップ12とリード28との間に配線パターン18fおよびチップ部品20aが接続されることで、HEMT12a〜Out間の整合回路が形成される。半導体チップ12とリード26との間に配線パターン18fおよびチップ部品20aを接続することにより、入力端子InとHEMT12aとの間に整合回路を形成してもよい。半導体チップ12とリード26との間、および半導体チップ12とリード28との間に整合回路を形成してもよい。HEMTのゲート電極を入力電極、ドレインを出力電極としたが、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極のいずれを入力電極または出力電極としてもよい。半導体チップ12は例えば窒化物半導体以外にガリウム砒素(GaAs)など砒素系半導体を含んでもよい。HEMT以外のトランジスタを設けてもよい。
【0058】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。