(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-41770(P2015-41770A)
(43)【公開日】2015年3月2日
(54)【発明の名称】印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/03 20060101AFI20150203BHJP
H05K 3/10 20060101ALI20150203BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20150203BHJP
【FI】
H05K1/03 610C
H05K3/10 D
H05K3/18 E
H05K3/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-246201(P2013-246201)
(22)【出願日】2013年11月28日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0100630
(32)【優先日】2013年8月23日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウン シル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ハン
(72)【発明者】
【氏名】リ,サ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジン ホ
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】シン,サン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リ,グン ヨン
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA26
5E343AA33
5E343BB02
5E343BB24
5E343DD03
5E343DD12
5E343DD25
5E343DD33
5E343DD43
5E343EE22
5E343FF01
5E343FF02
5E343FF05
5E343FF16
5E343GG06
5E343GG11
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】埋め込み形態の回路パターンを形成することでアンダーカット(Under Cut)を防止することができる印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の印刷回路基板100は、光が透過しないガラス基板110と、ガラス基板110に形成されるネガ型感光性絶縁層120と、ガラス基板110に形成されるにあたり、ネガ型感光性絶縁層120に埋め込まれた形態で形成される回路パターン140と、を含むものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が透過しないガラス基板と、
前記ガラス基板に形成されるネガ型(Negative)感光性絶縁層と、
前記ガラス基板に形成されるにあたり、前記ネガ型感光性絶縁層に埋め込まれた形態で形成される回路パターンと、を含む、印刷回路基板。
【請求項2】
前記ガラス基板を貫通するように形成され、前記回路パターンに連結される貫通ビアをさらに含む、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
前記ガラス基板と前記ネガ型感光性絶縁層との間に形成される接着層をさらに含む、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項4】
前記ガラス基板は不透明である、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項5】
前記ガラス基板は、柔軟性(Flexible)を有するガラス板である、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項6】
前記ネガ型感光性絶縁層は、前記ガラス基板の両面に形成される、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項7】
光が透過しないガラス基板が設けられる段階と、
前記ガラス基板にネガ型(Negative)感光性絶縁層を形成する段階と、
前記ネガ型感光性絶縁層に開口部を形成する段階と、
前記開口部に伝導性物質を充填して回路パターンを形成する段階と、を含む、印刷回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記ガラス基板が設けられる段階において、前記ガラス基板は不透明である、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記ガラス基板は、柔軟性(Flexible)を有するガラス板からなる、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記ネガ型感光性絶縁層に開口部を形成する段階は、
前記ネガ型感光性絶縁層において前記開口部が形成される領域以外の領域を露光する段階と、
現像を行って前記開口部を形成する段階と、を含む、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記露光する段階は、
前記開口部が形成される領域を保護し、前記開口部が形成される領域以外の領域を露出するようにパターニングされたマスクを前記ネガ型感光性絶縁層上に形成する段階と、
前記ネガ型感光性絶縁層において前記マスクによって露出した領域を露光する段階と、
前記マスクを除去する段階と、を含む、請求項10に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記露光する段階は、前記ネガ型感光性絶縁層において前記開口部が形成される領域以外の領域をLDI(Laser Direct Imaging)方式で露光する、請求項10に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記回路パターンを形成する段階は、前記開口部に伝導性ペーストをスクリーンプリント(Screen Printing)方式で充填する、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記回路パターンを形成する段階は、前記開口部に伝導性インクをインクジェット(Inkjet)方式で充填する、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項15】
前記回路パターンを形成する段階は、
前記ネガ型感光性絶縁層および開口部にシード層を形成する段階と、
前記開口部がめっきで充填されるように、前記シード層にめっき層を形成する段階と、
前記ネガ型感光性絶縁層の一面が露出するように前記めっき層を研磨して前記回路パターンを形成する段階と、を含む、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記開口部を形成する段階の後に、前記ガラス基板を貫通する貫通ビアホールを形成する段階をさらに含む、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項17】
前記貫通ビアホールを形成する段階において、前記貫通ビアホールは、CNCドリルまたはレーザドリルにより形成される、請求項16に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項18】
前記回路パターンを形成する段階は、前記貫通ビアホールに伝導性物質を充填して貫通ビアを形成する段階をさらに含む、請求項16に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項19】
前記ネガ型感光性絶縁層を形成する段階の前に、前記ガラス基板に接着層を形成する段階をさらに含む、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項20】
前記ネガ型感光性絶縁層を形成する段階において、前記ネガ型感光性絶縁層は、前記ガラス基板の両面に形成される、請求項7に記載の印刷回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子製品の多機能化および高速化が迅速に進められている。かかる傾向に対応するために、半導体チップおよび半導体チップが実装される印刷回路基板もまた非常に迅速に発展している。かかる印刷回路基板に対して、軽薄短小化、微細回路化、優れた電気的特性、高信頼性、高速信号伝逹などが要求される。
【0003】
従来、印刷回路基板の回路パターンは、回路パターンを形成してから絶縁層を形成する順に形成された。回路パターンは、絶縁層上にめっき層を形成した後、めっき層をエッチングしてパターニングすることで形成することができる。あるいは、絶縁層にシード層を形成し、開口部がパターニングされためっきレジストを形成し、めっきを行い、めっきレジストを除去し、シード層をエッチングする順に回路パターンを形成することができる。
【0004】
特許文献1にかかる回路パターン方法が開示されている。
【0005】
この際、めっき層またはシード層をエッチングする際にエッチング液を用いてウェットエッチングを行うと、等方性エッチング特性によって回路パターンにアンダーカット(Under Cut)が生じる。特に、微細パターンを形成する際に、アンダーカットによって回路パターンが脱落するなどの問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0070769号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、回路パターンのアンダーカット(Under Cut)を防止できる印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、剛性が大きい印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、歪みを低減できる印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、コストを低減できる印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施例によれば、光が透過しないガラス基板と、ガラス基板に形成されるネガ型(Negative)感光性絶縁層と、ガラス基板に形成されるにあたり、ネガ型感光性絶縁層に埋め込まれた形態で形成される回路パターンと、を含む印刷回路基板が提供される。
【0012】
ガラス基板を貫通するように形成され、回路パターンに連結される貫通ビアをさらに含んでもよい。
【0013】
ガラス基板とネガ型感光性絶縁層との間に形成される接着層をさらに含んでもよい。
【0014】
ガラス基板は不透明であってもよい。
【0015】
ガラス基板は、柔軟性(Flexible)を有するガラス板であってもよい。
【0016】
ネガ型感光性絶縁層は、ガラス基板の両面に形成されてもよい。
【0017】
本発明の他の実施例によれば、光が透過しないガラス基板が設けられる段階と、ガラス基板にネガ型(Negative)感光性絶縁層を形成する段階と、ネガ型感光性絶縁層に開口部を形成する段階と、開口部に伝導性物質を充填して回路パターンを形成する段階と、を含む印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0018】
ガラス基板が設けられる段階において、ガラス基板は不透明であってもよい。
【0019】
ガラス基板は、柔軟性(Flexible)を有するガラス板からなってもよい。
【0020】
ネガ型感光性絶縁層に開口部を形成する段階は、ネガ型感光性絶縁層において開口部が形成される領域以外の領域を露光する段階と、現像を行って開口部を形成する段階と、を含んでもよい。
【0021】
露光する段階は、開口部が形成される領域を保護し、開口部が形成される領域以外の領域を露出するようにパターニングされたマスクをネガ型感光性絶縁層上に形成する段階と、ネガ型感光性絶縁層においてマスクによって露出した領域を露光する段階と、マスクを除去する段階と、を含んでもよい。
【0022】
露光する段階は、ネガ型感光性絶縁層において開口部が形成される領域以外の領域をLDI(Laser Direct Imaging)方式で露光してもよい。
【0023】
回路パターンを形成する段階は、開口部に伝導性ペーストをスクリーンプリント(Screen Printing)方式で充填してもよい。
【0024】
回路パターンを形成する段階は、開口部に伝導性インクをインクジェット(Inkjet)方式で充填してもよい。
【0025】
回路パターンを形成する段階は、ネガ型感光性絶縁層および開口部にシード層を形成する段階と、開口部がめっきで充填されるように、シード層にめっき層を形成する段階と、ネガ型感光性絶縁層の一面が露出するようにめっき層を研磨して回路パターンを形成する段階と、を含んでもよい。
【0026】
開口部を形成する段階の後に、ガラス基板を貫通する貫通ビアホールを形成する段階をさらに含んでもよい。
【0027】
貫通ビアホールを形成する段階において、貫通ビアホールは、CNCドリルまたはレーザドリルにより形成されてもよい。
【0028】
回路パターンを形成する段階は、貫通ビアホールに伝導性物質を充填して貫通ビアを形成する段階をさらに含んでもよい。
【0029】
ネガ型感光性絶縁層を形成する段階の前に、ガラス基板に接着層を形成する段階をさらに含んでもよい。
【0030】
ネガ型感光性絶縁層を形成する段階において、ネガ型感光性絶縁層は、ガラス基板の両面に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の実施例による印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法によれば、埋め込み形態の回路パターンを形成することでアンダーカット(Under Cut)を防止することができる。
【0032】
本発明の実施例による印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法によれば、ガラス基板を用いることで剛性が向上することができる。
【0033】
本発明の実施例による印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法によれば、ガラス基板を用いることで歪みを低減することができる。
【0034】
本発明の実施例による印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法によれば、ネガ型感光性絶縁層を用いることでコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の実施例による印刷回路基板を示す例示図である。
【
図2】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図3】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図4】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図5】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図6】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図7】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図8】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図9】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図10】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図11】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図12】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図13】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【
図14】本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「一面」、「他面」、「第1」、「第2」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨を不明瞭にする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0037】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の実施例による印刷回路基板を示す例示図である。
【0039】
図1を参照すると、印刷回路基板100は、ガラス基板110と、ネガ型感光性絶縁層120と、回路パターン140と、貫通ビア150と、を含むことができる。
【0040】
ガラス基板110は、光が透過しないガラス板であってもよい。ガラス基板110は、ネガ型(Negative)感光性絶縁層120に露光工程を行う際、露光がガラス基板110を通過して行われないほどの透明度を有してもよい。例えば、ガラス基板110は、不透明なガラス板であってもよい。また、ガラス基板110は、柔軟性(Flexible)を有するガラス板からなってもよい。柔軟性を有するガラス基板110をもってガラス基板110にネガ型感光性絶縁層120を形成する際に、既存の工法だけでなく、ロールツーロール工法を適用してもよい。ガラス基板110は、回路パターン140の間を絶縁させる役割を果たすことができる。
【0041】
ネガ型感光性絶縁層120は、ガラス基板110に形成されることができる。
図1において、ネガ型感光性絶縁層120がガラス基板110の両面に形成されることが示されているが、これに限定されない。ネガ型感光性絶縁層120は、当業者の選択によってガラス基板110の一面にのみ形成されもよい。
【0042】
ネガ型感光性絶縁層120は、回路パターン140の間を絶縁させる役割だけでなく、レジストの役割もともに行うことができる。ネガ型感光性絶縁層120は、露光工程において、光を受けた部分が光重合反応を起こし、単一構造で鎖構造の3次元網状構造を形成して硬化される。次に、現像工程を行うと、硬化していない部分が除去されることでパターニングされる。かかるネガ型感光性絶縁層120は、長鎖ポリマー(Polymer)からなり、ポジ型感光性絶縁層より安価であるという利点がある。
【0043】
ネガ型感光性絶縁層120には、上述した露光工程および現像工程により開口部121がパターニングされることができる。開口部121は、回路パターン140が形成される領域に形成されるにあたり、ガラス基板110が露出するように形成されることができる。
【0044】
回路パターン140は、ネガ型感光性絶縁層120の開口部121に形成されることができる。すなわち、回路パターン140は、ガラス基板110に形成されるにあたり、ネガ型感光性絶縁層120に埋め込まれた形態で形成されることができる。回路パターン140は、伝導性物質からなってもよい。例えば、回路パターン140は、銅(Cu)からなってもよい。しかし、回路パターン140の材質は、銅に限定されない。回路パターン140は、回路基板分野において用いられる伝導性物質として用いられるものであれば制限なく適用できる。回路パターン140は、スクリーンプリント(Screen Print)方法、インクジェット(Inkjet)方法およびめっき方法のいずれか一つにより形成されてもよい。回路パターン140がめっき方法で形成される場合、無電解めっきおよび電解めっき方法が適用されてもよい。
【0045】
貫通ビア150は、ガラス基板110を貫通するように形成されることができる。また、貫通ビア150は、ガラス基板110の両面に形成された回路パターン140を電気的に連結することができる。貫通ビア150は、伝導性物質からなってもよい。貫通ビア150は、回路パターン140と同一物質からなってもよい。しかし、貫通ビア150は、必ずしも回路パターン140と同一物質からならず、回路基板分野において用いられる伝導性物質として用いられるものであれば制限なく適用できる。
【0046】
本発明の実施例によれば、印刷回路基板100は、接着層130をさらに含むことができる。接着層130は、ガラス基板110に形成されることができる。接着層130は、ガラス基板110とネガ型感光性絶縁層120との接着力を向上させるために形成されることができる。接着層130の材質は、回路基板分野において用いられる接着物質として用いられるものであれば制限なく適用できる。本発明において、接着層130は必須の構成ではなく、当業者の選択によって適用するか適用しなくてもよい。
【0047】
本発明の実施例による印刷回路基板は、ガラス基板により、大きい剛性を有し、温度および湿度の変化による変形の程度が低減する。これにより印刷回路基板の歪みが減少する。また、柔軟性を有するガラス基板は、脆性が低くて外部の衝撃によって簡単に壊れず、曲面を有する印刷回路基板に適用することができる。更に、印刷回路基板は、ネガ型感光性絶縁層を用いることで、ポジ型感光性絶縁層を用いる場合よりコストを低減することができる。
【0048】
図2から
図14は、本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法を示す例示図である。
【0049】
図2を参照すると、ガラス基板110が設けられる。
【0050】
ガラス基板110は、光が透過しないガラス板であってもよい。ガラス基板110は、ネガ型(Negative)感光性絶縁層120に露光工程を行う際、露光がガラス基板110を通過して行われないほどの透明度を有してもよい。例えば、ガラス基板110は、不透明なガラス板であってもよい。また、ガラス基板110は、柔軟性(Flexible)を有するガラス板からなってもよい。ガラス基板110は、絶縁材質からなり、以降形成される回路パターン(図示せず)の間を絶縁させる役割を果たすことができる。
【0051】
図3を参照すると、ガラス基板110にネガ型感光性絶縁層120が形成される。
【0052】
ネガ型感光性絶縁層120は、回路パターン140の間を絶縁させる役割だけでなく、レジストの役割もともに行うことができる。ネガ型感光性絶縁層120は、長鎖ポリマー(Polymer)からなり、ポジ型感光性絶縁層より安価であるという利点がある。
【0053】
図3には、ネガ型感光性絶縁層120がガラス基板110の両面に形成されることが示されているが、これに限定されない。ネガ型感光性絶縁層120は、当業者の選択によってガラス基板110の一面にのみ形成されもよい。
【0054】
例えば、ネガ型感光性絶縁層120は、ロールツーロール(Roll To Roll)工程によりガラス基板110に形成されてもよい。ここで、ネガ型感光性絶縁層120は、ネガ型感光性材質のフィルムからなってもよい。本発明の実施例において、ガラス基板110は、柔軟性を有するため、ロールツーロール工程を適用することができる。ロールツーロール工程を用いると、ガラス基板110に形成されたネガ型感光性絶縁層120の平坦度を向上させることができる。
【0055】
しかし、ガラス基板110にネガ型感光性絶縁層120を形成する方法は、ロールツーロール工程に限定されない。ネガ型感光性絶縁層120は、ネガ型感光性材質のインク、ペーストまたはワニスをコーティングする方法で形成されてもよい。
【0056】
本発明の実施例によれば、ガラス基板110にネガ型感光性絶縁層120を形成する前に、接着層130をさらに形成してもよい。接着層130は、ガラス基板110とネガ型感光性絶縁層120との接着力を向上させるために形成されることができる。接着層130の材質は、非伝導性物質であり、回路基板分野において接着力を向上するために用いられるものであればいずれの物質を適用してもよい。
【0057】
図4を参照すると、ネガ型感光性絶縁層120に露光が行われる。
【0058】
まず、ネガ型感光性絶縁層120上にマスク210が形成されることができる。マスク210は、ネガ型感光性絶縁層120の開口部(図示せず)が形成される領域を保護するようにパターニングされることができる。ここで、開口部(図示せず)は、回路パターン(図示せず)が形成される領域であり、以降、現像工程により除去される領域である。すなわち、マスク210は、ネガ型感光性絶縁層120において、以降、回路パターン(図示せず)が形成される領域を保護するようにパターニングされることができる。
【0059】
ネガ型感光性絶縁層120にパターニングされたマスク210を配置した後、光を照射して露光を行うことができる。ネガ型感光性絶縁層120に照射される光は、紫外線またはレーザ光源であってもよい。このように露光を行うと、ネガ型感光性絶縁層120は、光を受けた部分が光重合反応を起こし、単一構造で鎖構造の3次元網状構造を形成して硬化される。
【0060】
図4においてネガ型感光性絶縁層120に露光を行う方法としてマスク210を用いることを示しているが、露光方法は、これに限定されない。図示されてはいないが、ネガ型感光性絶縁層120にLDI(Laser Direct Imaging)方法を適用して、マスク210を用いることなく、所望の領域にのみ露光を行ってもよい。
【0061】
図5を参照すると、ネガ型感光性絶縁層120に開口部121が形成される。
【0062】
露光が行われたネガ型感光性絶縁層120に現像が行われることができる。露光が行われた後、ネガ型感光性絶縁層120においてマスク(
図4の210)によって保護されて硬化していない領域は、現像液によって除去されてもよい。かかる露光工程および現像工程により、ネガ型感光性絶縁層120には、回路パターン(図示せず)が形成される領域に開口部121が形成されることができる。開口部121は、ガラス基板110を露出させることができる。
【0063】
図6を参照すると、貫通ビアホール111が形成されることができる。
【0064】
貫通ビアホール111には、以降ガラス基板110の両面に形成された回路パターン(図示せず)を電気的に連結する貫通ビア150が形成される。これにより、貫通ビアホール111は、ガラス基板110を貫通するように形成されることができる。貫通ビアホール111は、CNCドリルまたはレーザドリルにより形成されることができる。
【0065】
図7から
図9は、本発明の実施例による回路パターンを形成する方法を示す例示図である。
【0066】
図7を参照すると、スクリーンプリント(Screen Print)方法により伝導性ペースト141が塗布されることができる。
【0067】
図8を参照すると、本発明の実施例により、スキージー220を用いて伝導性ペースト141を塗布することでネガ型感光性絶縁層120の開口部121を充填することができる。また、伝導性ペースト141が貫通ビアホール111にも充填されることで貫通ビア150が形成されることができる。このようにスクリーンプリント方法で塗布された伝導性ペースト141は、開口部121だけでなく、ネガ型感光性絶縁層120の上面にも塗布されることができる。
【0068】
図9を参照すると、回路パターン140が形成されることができる。
【0069】
伝導性ペースト141がネガ型感光性絶縁層120の上面にまで塗布されると、研磨を行うことができる。研磨を行って、ネガ型感光性絶縁層120の上面が露出するまで伝導性ペースト141を除去することができる。かかる研磨により、ネガ型感光性絶縁層120に埋め込まれた形態の回路パターン140が形成されることができる。また、研磨により、ネガ型感光性絶縁層120と回路パターン140の平坦度が向上することができる。
【0070】
図10から
図11は、本発明の他の実施例による回路パターンを形成する方法を示す例示図である。
【0071】
図10を参照すると、インクジェット(Inkjet)方法により伝導性インク142が塗布されることができる。
【0072】
本発明の他の実施例によれば、インクジェット(Inkjet)方法により伝導性インク142をネガ型感光性絶縁層120の開口部121に充填することができる。また、伝導性インク142は、貫通ビアホール111にも充填されることができる。伝導性インク142がネガ型感光性絶縁層120の開口部121に充填されるため、別の埋込パターン(Buried Pattern)を必要としない。ここで、埋込パターンとは、伝導性インク142の流動性によって回路パターンの形態が変わることを防止するために形成されるパターンである。
【0073】
図11を参照すると、回路パターン140が形成されることができる。
【0074】
伝導性インク142が開口部121に全部充填されて、ネガ型感光性絶縁層120に埋め込まれた形態の回路パターン140が形成されることができる。また、伝導性インク142が貫通ビアホール111に充填されることで貫通ビア150が形成されることができる。
【0075】
図12から
図14は、本発明の他の実施例による回路パターンを形成する方法を示す例示図である。
【0076】
図12を参照すると、シード層143が形成されることができる。
【0077】
シード層143は、ネガ型感光性絶縁層120の上面、開口部121の内壁および開口部121によって露出したガラス基板110の上面に形成されることができる。また、シード層143は、貫通ビアホール111の内壁に形成されてもよい。シード層143は、スパッタリング(Sputtering)方法または無電解めっき方法によって形成されてもよい。シード層143を形成する方法はこれに限定されず、回路基板分野において公知のシード層の形成方法のいずれか一つ以上を適用して形成してもよい。シード層143は、伝導性金属からなってもよい。例えば、シード層143は、銅からなってもよい。しかし、シード層143の材質は、銅に限定されない。
【0078】
図13を参照すると、めっき層144が形成されることができる。
【0079】
めっき層144は、シード層143に電解めっきを行って形成されることができる。めっき層144は、伝導性金属からなってもよい。例えば、めっき層144は、銅からなってもよい。しかし、めっき層144の材質は、銅に限定されない。めっき層144は、
図13に示されたように、開口部121だけでなく、ネガ型感光性絶縁層120上に形成されてもよい。
【0080】
図14を参照すると、回路パターン140が形成されることができる。
【0081】
めっき層144がネガ型感光性絶縁層120の上面にまでめっきされると、研磨を行うことができる。研磨を行って、ネガ型感光性絶縁層120の上面が露出するまでめっき層144を除去することができる。これにより、ネガ型感光性絶縁層120に埋め込まれた形態のシード層143およびめっき層144からなる回路パターン140が形成されることができる。また、貫通ビアホール111に形成されたシード層143およびめっき層144からなる貫通ビア150が形成されることができる。
【0082】
かかる研磨により、ネガ型感光性絶縁層120に埋め込まれた形態の回路パターン140が形成されることができる。また、研磨により、ネガ型感光性絶縁層120と回路パターン140の平坦度が向上することができる。
【0083】
本発明において、伝導性ペースト141、伝導性インク142、シード層143およびめっき層144は、回路基板分野において伝導性物質として用いられるものであれば制限なく適用できる。
【0084】
本発明の実施例による印刷回路基板の製造方法によれば、ガラス基板を用いることで、大きい剛性を有し、温度および湿度の変化による変形の程度が低い印刷回路基板を形成することができる。すなわち、前記印刷回路基板の製造方法によれば、印刷回路基板の歪みを低減することができる。
【0085】
また、前記印刷回路基板の製造方法によれば、柔軟性を有するガラス基板を用いることで、ロールツーロール工程に容易に適用することができる。
【0086】
そして、柔軟性を有するガラス基板は、脆性が低くて外部の衝撃により簡単に壊れず、曲面を有する印刷回路基板を容易に作製することができる。
【0087】
また、前記印刷回路基板の製造方法によれば、ネガ型感光性絶縁層を用いることで、ポジ型感光性絶縁層を用いる場合よりコストを低減することができる。
【0088】
更に、前記印刷回路基板の製造方法によれば、ネガ型感光性絶縁層の開口部に伝導性物質を充填する方式で回路パターンを形成することで、回路パターンにおいてアンダーカットが生じることを防止することができる。
【0089】
なお、本発明の実施例による印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法は、1層のネガ型感光性絶縁層および回路パターンを形成しているが、印刷回路基板の層数はこれに限定されず、当業者の選択により、本発明の実施例による印刷回路基板に多層のビルドアップ層がさらに形成されてもよい。
【0090】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0091】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、印刷回路基板および印刷回路基板の製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
100 印刷回路基板
110 ガラス基板
111 貫通ビアホール
120 ネガ型感光性絶縁層
121 開口部
130 接着層
140 回路パターン
141 伝導性ペースト
142 伝導性インク
143 シード層
144 めっき層
150 貫通ビア
210 マスク
220 スキージー