【実施例1】
【0014】
実施例1は比誘電率の異なる2つの配線基板を用いる例である。
図1は、実施例1に係る光受信機100(光装置)を例示する平面模式図である。光受信機100はコヒーレント光通信システムに使用される。
【0015】
図1に示すように、光受信機100には、信号光(S)を入力するための第1光ファイバ10と、局部発振光(LO)を入力するための第2光ファイバ12とが、それぞれ接続されている。これらの光ファイバには、例えば偏波保持型の光ファイバを用いることができる。
【0016】
第1光ファイバ10に接続される光学系には、第1レンズ14、VOA16、第2レンズ18、及び第1PBS20が、それぞれ第1光ファイバ10に近い側から順に配置されている。第1レンズ14及び第2レンズ18は、集光レンズである。VOA(可変光アッテネータ(Variable Optical Attenuator))16は、光の通過量を変更可能な光減衰器の一例であり、第1レンズ14から第2レンズ18に至る信号光の光量を調節する。第1PBS(偏光ビームスプリッタ(Polarizing Beam Splitter))20は、信号光(S)をX方向の偏波(SX)とY方向の偏波(SY)とに分光する。分光された信号光は、光ハイブリッド30へと入射される。
【0017】
第2光ファイバ12に接続される光学系には、第3レンズ22、第4レンズ24、及び第2PBS26が、それぞれ第2光ファイバ12に近い側から順に配置されている。第3レンズ22及び第4レンズ24を通過した発振光(LO)は、信号光(S)と同様に、第2PBS26によりX方向の偏波(LO_X)とY方向の偏波(LO_Y)とに分光される。分光された発振光は、光ハイブリッド30へと入射される。
【0018】
光ハイブリッド30は、入力光を遅延・分光・合成するための光回路であり、例えば石英系平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)により構成されている。信号光SXは、光ハイブリッド30にて発振光LO_X、LO_Yと合成された後に、それぞれ同相成分I(In Phase)及び直交位相成分Q(Quadrature)に分離され、信号光X−Ip、X−In、X−Qp、X−Qnとして出力される。信号光SYは、光ハイブリッド30にて発振光LO_X、LO_Yと合成された後に、それぞれ同相成分I、直交位相成分Qに分離され、信号光Y−Ip、Y−In、Y−Qp、Y−Qnとして出力される。なお、上記信号光の添字のp及びnは、それぞれ正及び負の成分であることを示す。例えばX−Ipは、信号光SXのI成分の正成分の出力信号光であることを示す。
【0019】
第1レンズ14及び第2レンズ18に対し、光ハイブリッド30を挟んだ反対側には、フォトダイオード(PD:Photodiode)及びトランスインピーダンスアンプ(TIA:Transimpedance Amplifier)を含む光検出部32a〜32dが設けられている。また、光ハイブリッド30の周辺には、配線基板34および36a〜36dが設けられている。配線基板36a〜36dは光検出部32a〜32dの出力側に配置されている。
【0020】
図2は光検出部32cおよび32d並びに配線基板36cおよび36dを拡大した平面図である。
図2に示すように、光検出部32cの基板41cの上面に、PD40c、TIA42c、配線44cおよび46c、並びに接地パターン48cが設けられている。接地パターン48c1および48c2は、ビア配線45を介して基板41c下面の接地パターンに接続されている。ビア配線45は、基板41cを貫通する貫通孔の側面に金属を形成してなる。配線44cおよび46cはそれぞれ、下面の接地パターンと共にマイクロストリップ線路を形成する。光検出部32dの基板41dの上面に、PD40d、TIA42d、配線44dおよび46d、並びに接地パターン48dが設けられている。配線44dおよび46dはそれぞれ、基板41d下面の接地パターンと共にマイクロストリップ線路を形成する。
【0021】
配線基板36cは基板37cを含み、配線基板36dは基板37dを含む。基板37cおよび37dにはそれぞれ信号伝送路が形成されている。基板37cの上面には、コプレーナ線路50、マイクロストリップ線路52の信号線路52a、配線54および56、キャパシタC1およびC2が設けられている。基板37dの上面には、コプレーナ線路60、マイクロストリップ線路62の信号線路62a、配線64および66、キャパシタC3およびC4が設けられている。配線基板36aは配線基板36cと同じ構成であり、配線基板36bは配線基板36dと同じ構成である。
【0022】
図3(a)はコプレーナ線路50を例示する断面図である。
図3(a)に示すように、コプレーナ線路50は基板37cの上面に設けられた信号線路50aおよび接地パターン50b(第1接地パターン)を含む。2つの接地パターン50bは信号線路50aの両側に設けられている。基板37cの下面には、接地パターン52b(第2接地パターン)が設けられており、信号線路50aおよび接地パターン50bと厚さ方向において重なる。
図2に示すようにコプレーナ線路60は信号線路60aおよび接地パターン60bを含む。マイクロストリップ線路62は信号線路62aおよび基板37dの下面に設けられた接地パターンを含む。
図3(a)に示すように、信号線路50aの幅W1は例えば0.1mmである。基板37cの厚さT1および基板37dの厚さは例えば0.254mmである。信号線路60aの幅は例えば0.14mmである。
【0023】
図3(b)はマイクロストリップ線路52を例示する断面図である。
図3(b)に示すように、マイクロストリップ線路52は信号線路52aおよび接地パターン52bを含む。信号線路52aは基板37cの上面に設けられ、接地パターン52bは基板37cの下面に設けられている。マイクロストリップ線路62はマイクロストリップ線路52と同様の構成である。
図2および
図3(a)に示すように、基板37cを貫通する貫通孔の側面に金属が形成されてなるビア配線51が設けられている。接地パターン50bはビア配線51を介して接地パターン52bに接続されている。配線基板36dに基板37dを貫通する貫通孔の側面に金属が形成されてなるビア配線61が設けられている。接地パターン60bはビア配線61を介してマイクロストリップ線路62の接地パターンに接続されている。
【0024】
図2に示すように、PD40cはワイヤ43を介してTIA42cの入力端子に電気的に接続され、TIA42cの出力端子はワイヤ43を介して配線44cおよび46cに接続されている。配線44cは信号線路50aに接続され、配線46cは信号線路52aに接続されている。接地パターン48c1は2つの接地パターン50bの一方に接続され、接地パターン48c2は2つの接地パターン50bの他方に接続されている。信号線路50aは配線54に接続されている。配線54にはキャパシタC1が挿入されている。信号線路52aは配線56に接続されている。配線56にはキャパシタC2が挿入されている。光検出部32dのPD40d、TIA42d、配線44dおよび46d、並びに接地パターン48dは、光検出部32cの対応する要素と同様に接続されている。配線44dは信号線路60aに接続され、配線46dは信号線路62aに接続されている。接地パターン48d1および48d2は接地パターン60bに接続されている。各接地パターンは基準電位(例えば接地電位)を有する。
【0025】
PD40cは信号光を電流に変換する。TIA42cはPD40cから入力される電流を電圧信号(信号と記載することがある)に変換する。TIA42cからは差動信号が出力され、一方の信号は配線44cの形成するマイクロストリップ線路、コプレーナ線路50、および配線54を伝播し、配線54の出力端から出力される。差動信号の他方の信号は配線46cの形成するマイクロストリップ線路、マイクロストリップ線路52、および配線56を伝播し、配線56の出力端から出力される。信号線路50aの入力端(ワイヤ43との接続部分)は差動信号の一方が入力される端子(第1端子)として機能し、信号線路52aの入力端は差動信号の他方が入力される端子(第2端子)として機能する。光検出部32dおよび配線基板36dにおいても、光検出部32cおよび配線基板36cと同様に差動信号が流れる。
【0026】
ワイヤ43、配線、信号線路、接地パターン、およびビア配線は例えば銅(Cu)、金(Au)などの金属により形成されている。基板37cは、例えば比誘電率が7.7の低温焼成セラミック(Low Temperature Co-fired Ceramics:LTCC)などの絶縁体により形成されている。基板37dは、例えば比誘電率が9.6のアルミナ(Al
2O
3)などの絶縁体により形成されている。コプレーナ線路50とマイクロストリップ線路52とでは誘電率が共通する。コプレーナ線路60とマイクロストリップ線路62とでは誘電率が共通する。キャパシタC1〜C4それぞれの容量は例えば0.1μFである。
【0027】
配線基板36cおよび36dそれぞれの一方の辺の長さL1は例えば6.07mmである。配線基板36cの他方の辺と配線基板36dの他方の辺の合計L2は例えば9.67mmである。入力端(配線基板36cの左端)における信号線路50aおよび52a間の距離は例えば0.5mmである。入力端(配線基板36dの左端)における信号線路60aおよび62a間の距離は例えば0.5mmである。信号線路52aおよび60a間の距離は例えば2.67mmである。配線54および56間の距離D1は2mmである。配線64および66間の距離D2は2mmである。配線56および64間の距離D3は例えば3mmである。
【0028】
配線基板36cおよび36dそれぞれの入力側と出力側との間でインピーダンスを整合させるために、伝送線路(コプレーナ線路およびマイクロストリップ線路)の特性インピーダンスを例えば50Ωとする。また各伝送線路における信号の遅延量を同程度とするために、各伝送線路における信号線路の長さlと波長短縮率kとの比l/kを等しくする。信号線路の長さlとは、
図2に信号線路52aを例に示すように、信号線路の入力端から配線54、56、64または66までにおける信号線路の長さである。
【0029】
図4は比誘電率の異なる基板における線路幅と波長短縮率との関係を示す図である。横軸は線路幅、縦軸は波長短縮率を示す。三角は基板の比誘電率ε
r=9.6、四角はε
r=7.7、円はε
r=5.7の例である。また黒塗りの印はコプレーナ線路、白抜きの印はマイクロストリップ線路における波長短縮率を表す。
【0030】
図4に示すように、比誘電率ε
rが変わると波長短縮率も変わる。比誘電率ε
rが大きいほど波長短縮率は小さくなる。線路幅が大きいほど波長短縮率は小さくなる。マイクロストリップ線路では、基板の比誘電率および厚さ、線路幅(信号線路の幅)によりマイクロストリップ線路の特性インピーダンスが決まる。このため、
図4の白抜きの印に示すように、基板の比誘電率に応じて線路幅および波長短縮率が決まる。一方、コプレーナ線路では、特性インピーダンスが50Ωに維持されるように、線路幅、および信号線路と接地パターンとの距離を変える。このとき、信号線路と上面の接地パターンとの容量、および信号線路と下面の接地パターンとの容量の割合が変化する。従って
図4の黒塗りの印に示すように、同一の比誘電率の基板において、線路幅を変えることにより波長短縮率が変わる。
【0031】
図4に示すように、同一の比誘電率の基板においても、コプレーナ線路とマイクロストリップ線路とでは波長短縮率は異なる。配線基板36cのコプレーナ線路50の波長短縮率は、マイクロストリップ線路52の波長短縮率と異なる。コプレーナ線路50およびマイクロストリップ線路52の長さおよび線路幅などを調節し、コプレーナ線路50およびマイクロストリップ線路52における信号の遅延量を同程度にすることができる。この結果、コプレーナ線路60およびマイクロストリップ線路62における信号の遅延量を同程度にすることができる。
【0032】
図4に示すように、基板の比誘電率が異なると、同じ種類の伝送線路の波長短縮率も変化する。つまり基板37cに設けられたコプレーナ線路50の波長短縮率は、基板37dに設けられたコプレーナ線路60の波長短縮率と異なる。コプレーナ線路50および60の長さおよび線路幅などを調節することにより、コプレーナ線路50および60における信号の遅延量を同程度にすることができる。また、マイクロストリップ線路52および62における信号の遅延量を同程度にすることができる。
【0033】
以上のように実施例1によれば、各伝送線路を伝播する信号の遅延量を同程度とする。これにより信号間のスキューが抑制される。遅延量の調整のために伝送線路を配線基板内において迂回させなくてよい。つまり信号線路を直線に近づけることができ、迂回させる場合より短くなる。伝送線路が短くなることで、信号の損失が抑制され、かつ周囲のノイズの影響を受け難くなるため、特性が改善する。また配線基板の小型化が可能である。
【0034】
コプレーナ線路50および60、並びにマイクロストリップ線路52および62それぞれの長さは互いに異なる。比誘電率の異なる配線基板において遅延量を同程度とすることができる。コプレーナ線路50およびマイクロストリップ線路52における遅延量が同程度になることで、配線基板36aを伝播する差動信号の遅延量が同等になる。入力端と出力端とにおける差動信号の位相差の変化が抑制される。コプレーナ線路60およびマイクロストリップ線路62における遅延量が同程度になることで、配線基板36bを伝播する差動信号の遅延量が同等になる。配線基板36a〜36dにおける信号の遅延量を同程度とすることにより、QPSKおよびDP−QPSKなどの変調が可能になる。
【0035】
接地パターン50bはビア配線51を介して接地パターン52bに接続されているため、コプレーナ線路50とマイクロストリップ線路52とは共通した接地電位を有する。接地電位の共有により、信号の電位が安定する。コプレーナ線路50とマイクロストリップ線路52とは共通した接地電位を有するため、信号の電位が安定する。光検出部32cに2つのコプレーナ線路が設けられてもよい。光検出部32cに設ける2つの伝送線路は同じ種類であることが好ましい。伝送線路における信号の遅延量が同程度になるためである。光検出部32dにも、2つの同じ種類の伝送線路を設ける。
【実施例2】
【0036】
実施例2はコプレーナ線路にストリップ線路を接続した例である。
図5は実施例2に係る光受信機200を例示する平面模式図である。
図5に示すように、2つの配線基板36eおよび36fが設けられている。配線基板36eは光検出部32aおよび32bの出力側に配置されている。配線基板36fは光検出部32cおよび32dの出力側に配置されている。
【0037】
図6は光検出部32cおよび32d並びに配線基板36fを拡大した平面図である。
図6に示すように、配線基板36fは、基板37f、コプレーナ線路50、70および72、マイクロストリップ線路52、並びにストリップ線路74および76を備える。コプレーナ線路70は信号線路70a、接地パターン70b1および70b2を含む。コプレーナ線路72は信号線路72aおよび接地パターン72bを含む。
【0038】
信号線路70aおよび接地パターン70b2はコプレーナ線路70およびストリップ線路74に共用されている。接地パターン70b1は、信号線路70aと信号線路72aとの間に設けられ、コプレーナ線路70および72、並びにストリップ線路74および76に共用されている。信号線路72aおよび接地パターン72bはコプレーナ線路72およびストリップ線路76に共用されている。TIA42dから出力される差動信号の一方はコプレーナ線路70およびストリップ線路74を伝播する。差動信号の他方はコプレーナ線路72およびストリップ線路76を伝播する。なお
図6ではストリップ線路74のうち基板74a(調整基板)、およびストリップ線路76のうち基板76a(調整基板)が図示されている。信号線路70aの入力端は差動信号の一方が入力される端子(第3端子)として機能し、信号線路72aの入力端は差動信号の他方が入力される端子(第4端子)として機能する。
【0039】
図7(a)はストリップ線路74を例示する断面図である。
図7(a)に示すように、ストリップ線路74は、信号線路70a、接地パターン70b1、70b2、74bおよび74cにより形成される。信号線路70aの上に基板74aが設けられている。接地パターン74b(接地面)は基板74aの上面および側面に連続的に設けられ、接地パターン70b1および70b2に電気的に接続されている。また接地パターン70b1および70b2は、基板37fを貫通する貫通孔の側面に金属が形成されてなるビア配線71を介して接地パターン74cに接続されている。ストリップ線路76の基板76aの上面および側面には接地パターンが設けられ、接地パターン70b2および72bに接続されている。
【0040】
図7(b)はコプレーナ線路70およびストリップ線路74を拡大した平面図であり、信号線路および接地パターンは格子斜線で示した。
図7(b)に示すように、ストリップ線路74における信号線路70aと接地パターン70b1および70b2との距離D4は、コプレーナ線路70における距離D5より大きい。距離D4が距離D5より大きいことにより、コプレーナ線路70とストリップ線路74とにおいて特性インピーダンスを整合させることができる。
【0041】
図6に示すように、信号線路70aは配線64に接続され、信号線路72aは配線66に接続されている。光検出部32dの配線44dは信号線路70aに接続され、配線46dは信号線路72aに接続されている。接地パターン48d1は接地パターン70b1に、接地パターン48d2は接地パターン70b2に、接地パターン48d3は接地パターン72bにそれぞれ接続されている。配線基板36f、基板74aおよび76aは例えば比誘電率ε
rが7.7のLTCCにより形成されている。
【0042】
図8は波長短縮率を示す図である。黒塗りの四角はコプレーナ線路、白抜きの四角はマイクロストリップ線路、円はストリップ線路における波長短縮率を表す。
図8に示すように、ストリップ線路の波長短縮率は、コプレーナ線路およびマイクロストリップ線路の波長短縮率と大きく異なる。従って、伝送線路の一部をストリップ線路にすることにより伝送線路の波長短縮率および信号の遅延量を変化させることができる。
【0043】
実施例2によれば、実施例1と同様に、各伝送線路におけるl/kが等しくなるように信号線路の長さおよび線路幅などを調整する。なおコプレーナ線路とストリップラインとに共用されている信号線路の長さは、両者における長さの合計である。例えばコプレーナ線路70における信号線路70aの長さとストリップ線路74とにおける信号線路70aの長さとの合計が長さlである。各伝送線路を伝播する信号の遅延量を同程度とすることによりスキューが抑制される。コプレーナ線路70とストリップ線路74との長さの比率、コプレーナ線路72とストリップ線路76との長さの比率を変更することで、光検出部32dから出力される信号の遅延量を調整することができる。
【0044】
図9は比率の調整の方法を例示するフローチャートである。
図9に示すように、まずコプレーナ線路70および72並びにストリップ線路74および76を作成する(ステップS1)。このときコプレーナ線路およびストリップ線路は配線基板36fに仮固定され、配線基板36fから取り外し可能な状態にある。ステップS1において作成したコプレーナ線路およびストリップ線路におけるスキューを評価する(ステップS2)。スキューが規格内であるか判定する(ステップS3)。スキューが規格内(ステップS3のYes)ならば、コプレーナ線路およびストリップ線路を配線基板36fに固定する(ステップS4)。スキューが規格外(ステップS3のNo)ならば、コプレーナ線路とストリップ線路との比率を変更する(ステップS5)。変更後に再びスキューの評価を行い、スキューが規格内ならば調整を終了する。
【0045】
図10(a)は基板37fの一部を例示する平面図である。
図10(a)に示すように基板37fの上面には信号線路70a、接地パターン70b3および70b4が設けられている。
図10(b)は金属板70b5および70b6を例示する平面図である。金属板70b5および70b6の長さはL3である。
図10(c)は基板74aを例示する平面図である。基板74aの長さはL4である。
図9のステップS1では、基板37f、金属板70b5および70b6、並びに基板74aを用いてコプレーナ線路70およびストリップ線路74を形成する。
【0046】
図11(a)はコプレーナ線路70およびストリップ線路74を例示する平面図である。
図10(a)に示した基板37fの上面に
図10(b)に示す金属板70b5および70b6を設けることによりコプレーナ線路70を形成する。基板37fの上面に
図10(c)に示す基板74aを配置することでストリップ線路74を形成する。接地パターン70b3および金属板70b5は接地パターン70b1として機能する。接地パターン70b4および金属板70b6は接地パターン70b2として機能する。基板74a下の接地パターン70b3は接地パターン70b1として機能し、基板74a下の接地パターン70b4は接地パターン70b2として機能する。コプレーナ線路70の長さはL3、ストリップ線路74の長さはL4である。L3とL4との合計はL5である。
図9のステップS5では、コプレーナ線路70およびストリップ線路74の長さを変更する。
【0047】
図11(b)はコプレーナ線路70およびストリップ線路74を例示する平面図である。金属板70b5および70b6並びに基板74aを異なるサイズのものに変更することで、
図11(b)に示す長さL6のコプレーナ線路70および長さL7のストリップ線路74を形成する。コプレーナ線路70の長さL6はL3より大きく、ストリップ線路74の長さL7はL4より小さい。なお合計の長さL5は変えない。長さの比率をL3/L4からL6/L7に変化させることで、スキューを規格内に収める。サイズの異なる複数の金属板70b5および70b6、並びに複数の基板74aを用意することが好ましい。製造工程において金属板70b5および70b6並びに基板74aを入れ替えることにより、
図9のようにスキューを評価することができる。以上と同様の調整をコプレーナ線路72およびストリップ線路76においても行う。
【0048】
基板74aの比誘電率は基板76aの比誘電率と等しいため、信号線路70aおよび72aの線路幅を同一にすることでストリップ線路74および76における波長短縮率は等しくなる。基板74aの長さを基板76aの長さと異ならせることにより、コプレーナ線路70およびストリップ線路74における遅延量を、コプレーナ線路72およびストリップ線路76における遅延量と等しくすることができる。基板74aの比誘電率は基板76aの比誘電率と異なってもよい。コプレーナ線路70および72の一方に基板を設けることで1つのストリップラインを形成し、他方のコプレーナ線路の上に基板を設けなくてもよい。コプレーナ線路70および72に代えてマイクロストリップ線路を設けてもよい。
【0049】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。