【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に用いられるFETの断面図である。
図1に示すように、基板40に、バッファ層42、電子走行層44、電子供給層46およびキャップ層48が順次形成され窒化物半導体層50を形成している。基板40は、例えばSiC、サファイアまたはSiからなる基板である。バッファ層42は、例えば膜厚が300nmのAlN層である。電子走行層44は、例えば膜厚が1000nmのGaN層である。電子供給層46は、例えば膜厚が20nmのn型AlGaN層である。キャップ層48は、例えば膜厚が5nmのn型GaN層である。窒化物半導体層50上にゲート電極54、ソース電極52およびドレイン電極56が形成されている。ゲート電極54は、窒化物半導体層50の上面において、ソース電極52とドレイン電極56の間に配置されている。ソース電極52およびドレイン電極56は、例えば窒化物半導体層50側からTa層およびAl層から形成されている。ゲート電極54は、例えば窒化物半導体層50側からNi層およびAu層から形成されている。ゲート電極54を覆うように、窒化物半導体層50上に例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜58が形成されている。窒化物半導体層50は、上記各層に限られない。例えば、窒化物半導体層50としてInGaN、AlInGaN、またはInAlNなどを用いることもできる。
【0015】
例えば、
図1に示した窒化物半導体層50を用いたFETにおいては、基板40と窒化物半導体層50との異種の材料を接合している。このため、接合面または接合面の近傍の窒化物半導体層50に深い電子トラップが形成される。この電子トラップが電子を捕獲または放出することにより、ドレイン電流ドリフトが生じる。深い電子トラップは、異種材料の接合に起因する空孔または不純物により形成されるものと考えられている。このように、ドレイン電流ドリフトは、窒化物半導体層50を用いた半導体装置特有の現象である。以下の実施例は、窒化物半導体層を用いた増幅回路に限られず、経時変化を有する増幅回路に適用できる。
【0016】
図2は、実施例1に係る増幅回路の回路図である。増幅回路100は、パワーアンプ11、検出部12および出力部15を主に備えている。パワーアンプ11は、窒化物半導体からなるFET10から形成されている。FET10のソース端子Sは接地されている。ゲート端子Gには入力端子Tinから高周波信号が入力する。入力端子Tinには、チョークインダクタL1を介し出力部15からゲートバイアス電圧Vgが印加される。終端用のキャパシタC1が、インダクタL1と出力部15との間のノードと、グランドと、の間に接続されている。
【0017】
FET10のドレイン端子Dは出力端子Toutに増幅した高周波信号を出力する。出力端子Toutには、チョークインダクタL2を介しドレインアイドル電圧VDが印加される。雑音除去用のキャパシタC2が、インダクタL2とドレイン電源との間のノードと、グランドと、の間に接続されている。インダクタL2とドレイン電源との間には抵抗R1が直列に接続されている。
【0018】
検出部12は、抵抗R1の両端の電位差からFET10のドレインアイドル電流をドレイン電流Idとして検出する。検出部12は、基準電圧VRを用い検出されたドレイン電流Idに応じた電圧Va(第1電圧)を生成し、出力部15に電圧Vaを出力する。
【0019】
出力部15は、第1回路14および第2回路16を備えている。第1回路14は、電圧Vaが低下する場合に第1応答時間で電圧Vaから電圧Vb(第2電圧)を生成し、電圧Vaが上昇する場合に第1応答時間より速い第2応答時間で応答し電圧Vaから電圧Vbを生成する。第2回路16は、電圧Vbをゲートバイアス電圧VgとしてFET10のゲート端子Gに出力する。
【0020】
実施例1との比較のため比較例1について説明する。
図3は、比較例1に係る増幅回路の回路図である。
図3に示すように、増幅回路110は、制御部30、出力部32およびスイッチ34を備えている。制御部30は、検出されたドレイン電流Idが基準値より小さい場合は、ドレイン電流Idに応じた電圧Vbを出力部32に出力する。一方、検出されたドレイン電流Idが基準値以上の場合は、固定値の電圧VRを電圧Vbとして出力部32に出力する。出力部32は、制御部30の出力電圧Vbをゲートバイアス電圧Vgとしてパワーアンプ11のFET10のゲート端子Gに印加する。スイッチ34は、出力部32の出力と電圧VRとのいずれかを選択し、FET10のゲート端子Gに出力する。増幅回路110の初期調整またはFET特性が経年変化した場合に、ドレイン電流の基準値を調整するために、スイッチ18はゲート端子Gに電圧VRを印加する。増幅回路110の動作時は、スイッチ18はゲート端子Gに出力部32の出力を出力する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0021】
図4は、実施例1における時間に対するドレイン電流等を示す模式図であり、ドレイン電流ドリフトがない場合の例である。ドレイン電流Idは、ドレインアイドル電流に対応する。閾値電圧VthはFET10の閾値電圧である。電圧Va、電圧Vbおよびゲートバイアス電圧Vgは、高周波信号に対し十分周波数の低い直流成分の電圧である。時間t0において、ドレイン電流Id、閾値電圧Vth、電圧Va、電圧Vbおよびゲートバイアス電圧Vgは、それぞれ例えば150mA、−2.5V、−2V、−2Vおよび−2Vである。
【0022】
時間t1とt2との間に入力端子Tinに大電力の高周波信号が入力される。時間t1とt2との間においては、ドレイン電流の直流成分が大きくなるためドレイン電流Idが大きくなる。このため、検出部12の出力電圧Vaは例えば−2.3Vとなる。ドレイン電流ドリフトが発生しないため、閾値電圧Vthは−2.5Vで一定である。電圧Vbは、第1応答時間で応答する。第1応答時間は、t1とt2との期間より十分長いため、時間t2においても電圧Vbは−2Vからほとんど低下しない。ゲートバイアス電圧Vgは電圧Vbとほぼ同じであり、ほとんど−2Vである。時間t2後にドレイン電流Idのドリフトが生じていない。電圧Vaが−2Vに戻ると、電圧Vbは第2応答時間で応答する。第2応答時間は、第1応答時間より速いため、電圧VbおよびVgは時間t2後直ぐに−2Vに戻る。
【0023】
図4において、大電力の信号が入力する時間t1とt2との間において、ドレイン電流Idは大きくなる。このため、検出部12の出力電圧Vaは、例えば−2Vから−2.3Vに変化する。しかしながら、第1回路14は、電圧Vbとして、ほぼ−2Vを出力する。よって、大電力の信号が入力する時間t1とt2との間において、ゲートバイアス電圧Vgはほとんど変化しない。仮に、大電力の信号が入力する時間t1とt2との間において、ゲートバイアス電圧Vgが変化すると、増幅回路100の最大出力電圧の低下、ゲインの低下、またはエラー率の劣化等を招いてしまう。実施例1によれば、時間t1とt2との間において、ゲートバイアス電圧Vgがほとんど変化しないことにより、増幅回路100の出力電力の低下、ゲインの低下、またはエラー率の劣化等を抑制できる。
【0024】
図5は、実施例1における時間に対するドレイン電流等を示す模式図であり、ドレイン電流ドリフトがある場合の例である。ドレイン電流Idは、ドレインアイドル電流に対応する。電圧Va、電圧Vbおよびゲートバイアス電圧Vgは、高周波信号に対し十分周波数の低い直流成分の電圧である。時間t0からt2におけるドレイン電流Id、閾値電圧Vth、電圧Va、電圧Vbおよびゲートバイアス電圧Vgは、
図4と同じである。時間t2において大電力の高周波信号がオフする。時間t2の後、ドレイン電流ドリフトのため閾値電圧Vthが例えば−2.2Vとなり、その後徐々に−2.5Vに戻る。ドレイン電流Idが小さくなるため、検出部12は、ドレイン電流Idの低下を検出し、電圧Vaとして例えば−1.7Vを出力する。電圧Vaが上昇するときの第2応答時間は速いため、電圧Vbは、直ぐに電圧Vaに追従する。これにより、FET10のドレイン電流Idが大きくなるようにゲートバイアス電圧Vgがフィードバックされ、結果としてドレイン電流Idは変化しない。閾値電圧Vthが例えば−2.2Vから徐々に−2.5Vに戻るに従い、電圧Va、VbおよびVgは、例えば−1.7Vから徐々に−2Vに戻る。
【0025】
図6は、比較例1における時間に対するドレイン電流等を示す模式図であり、ドレイン電流ドリフトがある場合の例である。電圧Vbは制御部30の出力電圧、電圧Vgは出力部32の出力電圧である。制御部30は、ドレイン電流Idが基準値(例えば150mA)より小さい場合は、ドレイン電流Idに応じた電圧Vbを出力部32に出力し、ドレイン電流Idが基準値以上の場合は、固定電圧として例えば−2Vを電圧Vbとして出力する。時間t0からt2の間は、ドレイン電流Idは基準値以上である。よって、電圧VbおよびVgは、時間t2まで−2Vと一定である。時間t2以降においてドレイン電流ドリフトが発生すると、ドレイン電流Idは基準値より小さくなろうとする。よって、電圧VbおよびVgは、ほぼ電圧Vaとなる。これにより、ドレイン電流ドリフトが補償され、ドレイン電流Idはほとんど変化しない。
【0026】
図7は、比較例1における時間に対するドレイン電流を示す模式図である。
図7において、実線80は、
図6のドレイン電流Idと同じである。破線81は、FET10の特性が温度変化および/または経年変化し、ドレインアイドル電流が大きくなった場合を示している。一点鎖線82のように、ドレイン電流ドリフトが発生してもドレイン電流は一定であることが好ましい。仮にドレイン電流ドリフトの補償を行なわないと、点線83のように、時間t2直後においてドレイン電流が大きく低下してしまう。比較例1においては、制御部30が電圧Vbを一定にするか電圧Vaにするか判定する基準値が一定である。このため、ドレイン電流ドリフトが発生しても一部の期間でドレイン電流ドリフトの補償のフィードバックがかからない。よって、破線81のように、時間t2直後において、ドレイン電流のドリフトが一部残ってしまう。これにより、増幅回路110において利得の低下および歪み特性の劣化が生じてしまう。
【0027】
実施例1によれば、出力部15は、電圧Vaが低下する場合に電圧Vaから第1応答時間で電圧Vaに応じたゲートバイアス電圧Vgを生成し、ゲート端子Gに出力する。出力部15は、電圧Vaが上昇する場合に電圧Vaから第1応答時間より短い第2応答時間で電圧Vaに応じたゲートバイアス電圧Vgを生成し、ゲート端子Gに出力する。これにより、第1応答時間より長い時間で考えれば、ドリフト電流はほぼ一定の電流となる。よって、FET特性が温度変化および/または経年変化してもドレインアイドル電流をほぼ一定に保つ。よって、
図7の破線81のようなFET特性の変化に起因し、ドレイン電流ドリフトの補償が異常となることを抑制することができる。よって、低下および歪み特性の劣化を抑制できる。さらに、比較例1のように、スイッチ18を用いた複雑な基準値の設定を行なわなくてもよい。
【0028】
また、第2応答時間は、高周波信号に大電力が入力する期間(t1とt2との間の期間)より長い。これにより、時間t2までに電圧VbおよびVgが低下してしまうことを抑制できる。第2応答時間は、例えば100m秒以上が好ましい。
【0029】
さらに、第1応答時間は、高周波信号に大電力が入力する期間より短い。すなわち、高周波信号には、他の期間よりも電力が大きい大電力期間が存在し、第1応答時間は、大電力期間よりも短い。これにより、ドレイン電流ドリフトの応答に電圧VbおよびVgを十分追従させることができる。第1応答時間は、例えば1μ秒以下が好ましい。
【実施例2】
【0030】
図8は、実施例2に係る増幅回路の回路図である。
図8に示すように、検出部12は、差動増幅回路28と抵抗R11からR14を備えている。抵抗R11は、差動増幅回路28の正入力端子と、抵抗R1とインダクタL2との間のノードとの間に接続されている。抵抗R12は、差動増幅回路28の負入力端子とドレイン電圧VDとの間に接続されている。抵抗R13は、差動増幅回路28の出力端子と負入力端子との間に接続されている。抵抗R14は、差動増幅回路28の正入力端子と、抵抗R2とR3との間のノードと、の間に接続されている。抵抗R2とR3とは電圧VRとグランドとの間に直接に接続されている。ドレイン電流Idが大きくなると出力電圧Vaは負側に変化し、ドレイン電流Idが小さくなると出力電圧Vaは正側に変化する。抵抗R2およびR3は、抵抗分割により差動増幅回路28の正入力端子に出力する電圧を調整している。他の方法で電圧を調整してもよい。抵抗R11〜R14の抵抗値は例えば等しく設定されている。抵抗R11〜R14の抵抗値を異ならせることにより、差動増幅回路22の増幅率等を変更することもできる。
【0031】
第1回路14は、差動増幅回路22、ダイオードD1、抵抗R4およびキャパシタC3を備えている。電圧Vaが差動増幅回路22の正入力端子に入力する。差動増幅回路22の出力端子には、ダイオードD1のアノードと抵抗R4の一端が共通に接続されている。ダイオードD1のカソードと抵抗R4の他端は共通に差動増幅回路22の負入力端子に接続され、キャパシタC3を介しグランドに接続され、かつ電圧Vbを出力する。
【0032】
電圧Vaが上昇するときには、電圧Vaが電圧Vbより高くなる。よって、ダイオードD1の順方向に電流が流れ、キャパシタC3が充電される。ダイオードD1の順方向のインピーダンスは抵抗R4の抵抗値より十分低い。これにより、電圧Vbは速い応答時間で電圧Vaに追従し応答する。一方、電圧Vaが低下するときには、電圧Vaが電圧Vbより低くなる。よって、電流はダイオードD1を介さず抵抗R4を介し流れ、キャパシタC3が放電される。よって、電圧Vbは遅い応答時間で電圧Vaに追従し応答する。このように、第1回路14は、電圧Vaに対し非対称な応答速度で追従し電圧Vbを生成する。
【0033】
第2回路16は、差動増幅回路24と抵抗R5およびR6を備えている。電圧Vbが抵抗R5を介し差動増幅回路24の正入力端子に入力する。差動増幅回路24の出力端子が抵抗R6を介し差動増幅回路24の負入力端子に接続されている。以上により、第2回路16は、ボルテージフォロア回路として機能する。よって、第2回路16は、電圧Vbをゲートバイアス電圧Vgとして出力する。また、第2回路16の出力インピーダンスを第1回路14の出力インピーダンスより低くできる。
【0034】
図9(a)から
図9(c)は、出力部の別の例である。
図9(a)に示すように、
図8のキャパシタC3の充放電の機能とキャパシタC1の雑音除去機能を1つのキャパシタC1で兼ねている。このように、第2回路16を省略してもよい。これにより、出力部15が簡素となり、実装面積の削減およびコストを低減することができる。
【0035】
図9(b)に示すように、ダイオードD1が差動増幅回路20の出力に直列に接続され、抵抗R7とキャパシタC3とが負電圧VRに接続されていてもよい。キャパシタC3の充電の際は、ダイオードD1の順方向に電流が流れるため応答時間が速い。キャパシタC3の放電の際は、ダイオードD1には電流が流れず、抵抗R7を介し負電圧VRに放電される。よって、応答時間が長くなる。第2回路16における抵抗の図示を省略しているが、第2回路16は
図8と同じ構成である。
図9(c)に示すように、
図9(b)の第2回路16を省略し、キャパシタC1が、
図9(b)のキャパシタC1およびC3の機能を兼ねていてもよい。
【0036】
図10(a)および
図10(b)は、出力部のさらに別の例である。
図10(a)に示すように、第1回路14は、pnp型バイポーラトランジスタ36および39、npn型バイポーラトランジスタ37および38、並びに抵抗R20からR22を備えている。電圧Vaは、トランジスタ36および37のベースに入力する。トランジスタ36のエミッタは抵抗R20を介し高電圧電源に接続されている。トランジスタ36のコレクタは低電圧電源に接続されている。トランジスタ37のエミッタは抵抗R21を介し低電圧電源に接続されている。トランジスタ37のコレクタは高電圧電源に接続されている。トランジスタ38のベースはトランジスタ36のエミッタに接続されている。トランジスタ38のコレクタは高電圧電源に接続されている。トランジスタ39のベースはトランジスタ37のエミッタに接続されている。トランジスタ39のコレクタは低電圧電源に接続されている。トランジスタ38および39のエミッタは共通に第1回路14の出力端子に接続されている。トランジスタ39のエミッタは抵抗R22を介し出力端子に接続されている。キャパシタC3は出力端子とグランドとの間に接続されている。
【0037】
トランジスタ36から39は、ボルテージフォロアとして機能し、電圧Vbが電圧Vaと同じになるように、トランジスタ38および39が電流を流す。電圧Vaが上昇すると、トランジスタ38がキャパシタC3を高速に充電する。電圧Vaが低下すると、トランジスタ39がキャパシタC3を充電する。しかし、抵抗R22のため、キャパシタC3の放電は低速になる。これにより、第1応答時間を第2応答時間より遅くできる。第2回路16における抵抗の図示を省略しているが、第2回路16は
図8と同じ構成である。
図10(b)に示すように、
図10(a)の第2回路16を省略し、キャパシタC1が、
図10(a)のキャパシタC1およびC3の機能を兼ねていてもよい。
【0038】
図11(a)および
図11(b)は、出力部のさらに別の例である。
図11(a)は、
図10(a)のトランジスタ38、抵抗R22およびトランジスタ39を、複数のトランジスタ38およびトランジスタ39に置き換えた回路である。トランジスタ36のエミッタが複数のトランジスタ38のベースに接続されている。トランジスタ37のエミッタがトランジスタ39のベースに接続されている。トランジスタ39のエミッタに抵抗R22が接続されていない。その他の構成は、
図10(b)と同じであり説明を省略する。キャパシタC3を充電することきは、複数のトランジスタ38が駆動するため、高速に充電される。キャパシタC3を放電するときはトランジスタ38より少ない(例えば1つ)トランジスタ39が駆動するため低速に放電される。これにより、第1応答時間を第2応答時間より遅くできる。第2回路16における抵抗の図示を省略しているが、第2回路16は
図8と同じ構成である。
図11(b)に示すように、
図11(a)の第2回路16を省略し、キャパシタC1が、
図11(a)のキャパシタC1およびC3の機能を兼ねていてもよい。
【0039】
図9(a)から
図11(b)のように、出力部15として、任意の回路を用いることができる。
【実施例4】
【0042】
実施例4は、実施例1または2に係る増幅回路をエンベロープトラッキング方式増幅回路に適用する例である。
図13は、実施例4に係る増幅回路のブロック図である。
図13に示すように、増幅回路106において、入力端子Tinはパワーアンプ72の入力に電気的に接続されている。出力端子Toutは、パワーアンプ72の出力に電気的に接続されている。エンベロープコントローラ74は、パワーアンプ72のドレイン電圧を制御する。回路70の抵抗R1および検出部12は、パワーアンプ72のドレイン電流を検出する。回路70の出力部15がパワーアンプ72のゲートバイアス電圧を制御する。
【0043】
エンベロープトラッキング方式では、エンベロープコントローラ74が変調信号のエンベロープ(変調信号波の振幅)に合わせてパワーアンプ72のドレイン電圧を高速で制御する。ドレイン電圧を高電圧(例えば50V)から低電圧(例えば10V)に変化させた場合、高電圧のストレスにより、ドレイン電流のドリフトが発生し、低電圧時にバイアス点がシフトしてしまう。そこで、回路70を用いることにより、低電圧時のドレイン電流ドリフトを補償し、バイアス点を一定に保つことができる。なお、検出部12は、抵抗R1の両端の電位差を検知している。このため、ドレイン電圧の絶対値が変化しても、ドレイン電流の大小により検出部12は実施例1または2と同様に動作することができる。
【0044】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。