【解決手段】鉄粉が40質量%〜90質量%、アルデヒド吸着体が0.1質量%〜10質量%、ハロゲン化金属が0.4質量%〜5質量%、及びアルカリ性物質が0.1質量%〜2質量%含まれているアルコール含有食品用脱酸素剤である。
鉄粉が40質量%〜90質量%、アルデヒド吸着体が0.1質量%〜10質量%、ハロゲン化金属が0.4質量%〜5質量%、及びアルカリ性物質が0.1質量%〜2質量%含まれていることを特徴とするアルコール含有食品用脱酸素剤。
前記アルカリ性物質が、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物から選ばれる少なくともいずれかである請求項1から3のいずれかに記載のアルコール含有食品用脱酸素剤。
【背景技術】
【0002】
脱酸素剤は、例えば、紙、プラスチックフィルムなどの包装体に収容して保存された食品の日持ちを向上させ、品質を保持するために前記包装体に添付されるものである。
前記脱酸素剤としては、これまでに様々な種類が知られており、例えば、鉄粉などを含む脱酸素剤が挙げられる。前記脱酸素剤を食品とともに包装することにより、食品包装体内の酸素を除去して、食品の酸化を防止するとともに、有害微生物、カビ等の発生を抑制することができる。
【0003】
近年、食品の保存性を向上させるために、食品中にアルコールを含有させる方法が提案されており、そのようなアルコール含有食品としては、例えば、生麺などが挙げられる。
一方、前記アルコール含有食品にこれまでの脱酸素剤を使用すると、アルデヒドガスが生じ、異臭の発生や、変色などが生じる場合があるという問題がある。
【0004】
これまでに、食品品質保持剤として、エタノール蒸気発生体と、脱酸素剤と、アルデヒド吸着体であるポリアリルアミンとを必須の成分とする複合型の食品品質保持剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記複合型の食品品質保持剤では、ポリアリルアミンを用いることにより、アルデヒドガスにより生じる問題を低減している。
そのため、アルコール含有食品向けの脱酸素剤においてもアルデヒド吸着体を用いることが有効とも考えられる。
【0005】
しかしながら、脱酸素剤における前記アルデヒド吸着体の配合量が多くなると、コスト面の問題のみならず、脱酸素性能も低下するという非常に大きな問題がある。また、前記アルデヒド吸着体の配合量が少ないと、そもそもアルデヒドガスを十分に吸着することができず、アルデヒドガスにより生じる問題が解消しないという問題がある。
そのため、従来の技術では、優れた脱酸素性能と、アルデヒドガスの吸着とを両立することができず、新たな技術の開発が求められているのが現状である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(アルコール含有食品用脱酸素剤)
本発明のアルコール含有食品用脱酸素剤は、鉄粉と、アルデヒド吸着体と、ハロゲン化金属と、アルカリ性物質とを少なくとも含み、さらに必要に応じてその他の成分を含む。
【0011】
<鉄粉>
前記鉄粉は、酸化されることにより、雰囲気中の酸素を吸着及び除去する。
前記鉄粉としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、還元鉄粉、電解鉄粉、アトマイズ鉄粉が好ましい。
【0012】
前記鉄粉の粒度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、20μm〜150μmがさらに好ましい。前記粒度が、250μmを超えると、比表面積が小さくなり反応性が低下する傾向、又は食品品質保持剤の混合粉中で鉄粉が偏析しやすくなる傾向があり、好ましくない。
前記鉄粉は、純品である必要はなく、種々のきょう雑物が存在していてもよい。
【0013】
−含有量−
前記鉄粉のアルコール含有食品用脱酸素剤における含有量としては、40質量%〜90質量%であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60質量%〜80質量%が好ましく、65質量%〜75質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%未満であると、脱酸素能力が低くなる傾向、又はアルコール含有食品用脱酸素剤の混合粉中で鉄粉が偏析しやすい傾向があり、90質量%を超えると、アルデヒドガス濃度が高くなることがある。
【0014】
前記鉄粉は、適宜製造してもよいし、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、アトメル純鉄粉等のアトマイズ鉄粉(株式会社神戸製鋼所製);JIP303A−60等の純鉄粉(JFEスチール株式会社製);RDH−3M、RS等の還元鉄粉(パウダーテック株式会社製)などが挙げられる。
【0015】
<アルデヒド吸着体>
前記アルデヒド吸着体は、食品包装体内のエタノールが酸化して発生するアセトアルデヒドを吸着することにより、アセトアルデヒドに伴う臭気発生、変色などを防止して、食品の品質を保持するものである。
前記アルデヒド吸着体としては、アルデヒドを吸着することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アミン類、尿素類が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記アミン類の具体例としては、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。これらの中でも、アセトアルデヒドの吸着能力が高く、臭化ナトリウムと併用することにより、さらにその効果を向上できる点で、ポリアリルアミンが好ましい。
前記尿素類の具体例としては、エチレン尿素、尿素などが挙げられる。これらの中でも、アセトアルデヒドの吸着能力が高い点で、エチレン尿素が好ましい。
前記アルデヒド吸着体は、市販品を用いることができる。
【0017】
前記アルデヒド吸着体のうち、ポリアリルアミンのように一般的に液状で流通しているものについては、例えば、シリカ、アルミナ、活性炭、ゼオライト等の多孔質体に担持させたものを好適に使用することができる。これにより、前記アルコール含有食品用脱酸素剤中において、アセトアルデヒドをより効果的に吸着することができる。
【0018】
−含有量−
前記アルデヒド吸着体のアルコール含有食品用脱酸素剤における含有量としては、0.1質量%〜10質量%であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜2質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、アセトアルデヒドを吸着しきれないおそれがあり、10質量%を超えると、過剰量となりコスト高やアルコール含有食品用脱酸素剤の容積が大きくなることを招き、又脱酸素反応を阻害するおそれもある。
【0019】
なお、前記アルデヒド担持体として、シリカ、アルミナ、活性炭、ゼオライト等の多孔質体に、アルデヒド担持体を担持させたものを使用する場合においても、アルデヒド吸着体の配合量は上記範囲内であることが好ましい。
【0020】
<ハロゲン化金属>
前記ハロゲン化金属は、前記鉄粉に作用して、前記鉄粉を効果的に酸化させて、雰囲気中の酸素の吸着及び除去機能を促進させるものである。
前記ハロゲン化金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属のハロゲン化物などが挙げられる。これらの中でも、前記鉄粉をより効果的に酸化させることができる点で、アルカリ金属ハロゲン化物が好ましい。また、前記ハロゲン化金属のハロゲンとしては、発生するアルデヒドガスの濃度をより低くすることができ、前記アルデヒド吸着体の使用量を低減することができる点で、臭素が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記アルカリ金属ハロゲン化物の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、臭化ナトリウム、臭化カリウムが、効果及び安全性の点で好ましく、臭化ナトリウムがコスト面でより好ましい。
【0022】
前記アルカリ土類金属ハロゲン化物の具体例としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化バリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化バリウムなどが挙げられる。
【0023】
前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属のハロゲン化物における金属の具体例としては、銅、亜鉛、アルミニウム、スズ、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルなどが挙げられる。前記アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属のハロゲン化物におけるハロゲンの具体例としては、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。
【0024】
前記ハロゲン化金属は、市販品を用いることができる。
【0025】
−含有量−
前記ハロゲン化金属のアルコール含有食品用脱酸素剤における含有量としては、0.4質量%〜5質量%であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜4質量%が好ましく、2質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、0.4質量%未満であると、アセトアルデヒドの生成量を十分抑制できないことがあり、5質量%を超えると、脱酸素反応が逆に阻害されることがある。
【0026】
<アルカリ性物質>
前記アルカリ性物質は、水素ガスの発生を抑制するものである。
前記アルカリ性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、有機酸塩などが挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が、少ない含有量で効果を示すので、好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
−含有量−
前記アルカリ性物質のアルコール含有食品用脱酸素剤における含有量としては、0.1質量%〜2質量%であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2質量%〜1質量%が好ましく、0.3質量%〜0.8質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、保管中に水素ガスが生成されることがあり、2質量%を超えると、脱酸素反応が阻害されることがある。
【0028】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、吸着体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分のアルコール含有食品用脱酸素剤における含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0029】
−水−
前記水の種類としては、食品に用いることが可能な水であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記水のアルコール含有食品用脱酸素剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜20質量%とすることが、脱酸素反応及び容積の点で、好ましい。
また、例えば、前記アルコール含有食品用脱酸素剤が自力反応型の場合には、10質量%〜20質量%とすることが好ましい。
また、前記水を、前記ハロゲン化金属などを溶かすために使用した場合は、1質量%〜20質量%とすることができる。
【0030】
前記アルコール含有食品用脱酸素剤に水を含ませる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記鉄粉に水を含ませる方法、多孔質体に水を吸収させたものを添加する方法などが挙げられる。
前記多孔質体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、活性炭、ゼオライトなどが挙げられる。
【0031】
−吸着体−
前記吸着体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上述した水などを吸着乃至吸収する多孔質体などが挙げられる。
前記多孔質体としては、例えば、シリカ、アルミナ、活性炭、ゼオライト、珪藻土、タルクなどが挙げられる。これらの中でも、シリカ及びゼオライトが、品質安定性や取り扱い性の点で、好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記吸着体のアルコール含有食品用脱酸素剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%とすることが、容積の点で、好ましい。
【0033】
<包材>
前記アルコール含有食品用脱酸素剤を入れる包材としては、特に制限はなく、公知の包材を適宜選択して用いることができるが、透気度が、2,000秒/100cc〜7,500秒/100ccであることが好ましく、3,500秒/100cc〜7,500秒/100ccであることがより好ましい。前記好ましい範囲とすることにより、発生するアルデヒドガス濃度は低くなり、吸着剤の低減が可能となる点で、有利である。
前記透気度は、ガーレー式透気度(JIS P8117−1998の方法により測定)をいう。
前記透気度は、例えば、包材の種類や開孔の孔径などにより調整することができる。
【0034】
前記包材の形状、構造、大きさ、材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール含有食品用脱酸素剤と接する側(内側)から外側へ、有孔ポリエチレン、紙、有孔ポリエチレンテレフタレートの順に構成されたフィルム包材を外形40mm(縦)×50mm(横)の小袋状になるようヒートシールにより成形したものが挙げられる。
【0035】
1包材あたりの前記アルコール含有食品用脱酸素剤の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、食品包装体の空気量1,000mLあたり、1g〜5g程度とすることができる。
【0036】
<アルコール含有食品>
前記アルコール含有食品としては、アルコールを含有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、麺類、惣菜、菓子、パン、ケーキなどが挙げられる。これらの中でも、前記アルコール含有食品用脱酸素剤は、麺類に好適に用いることができる。
【0037】
前記アルコール含有食品用脱酸素剤は、水分依存型であってもよいし、自力反応型であってもよい。前記水分依存型は、高湿度の空気に触れることにより、脱酸素を行うものであり、前記自力反応型は、前記アルコール含有食品用脱酸素剤が反応に必要な水分を含有しているため、空気に触れることにより、脱酸素を行うものである。
【0038】
前記アルコール含有食品用脱酸素剤の食品包装体への添付量としては、食品包装体の空気量1,000mLあたりの量として、1g〜5gが好ましく、1.5g〜4gがより好ましい。前記添付量が、1g未満であると、食品包装体の酸素を十分に吸収しきれないことがあり、5gを超えると、コストが高くなり、アルコール含有食品用脱酸素剤の容積が大きくなることから、好ましくない。
【0039】
本発明のアルコール含有食品用脱酸素剤は、優れた脱酸素性能を有する。
前記アルコール含有食品用脱酸素剤を用いて食品を25℃で24時間保管した場合における食品包装体内における酸素濃度としては、5体積%未満が好ましく、1体積%未満がより好ましく、0.1体積%未満が特に好ましい。
前記酸素濃度は、例えば、酸素分析計(LC−700F、東レエンジニアリング株式会社製)にて測定することができる。
【0040】
本発明のアルコール含有食品用脱酸素剤は、優れたアルデヒドガスの吸着能を有する。
前記アルコール含有食品用脱酸素剤を用いて食品を25℃で48時間保管した場合における食品包装体内におけるアルデヒド濃度としては、アセトアルデヒドガスの濃度として、50ppm未満が好ましく、35ppm未満がより好ましく、20ppm未満が特に好ましい。
前記アセトアルデヒドガスの濃度は、例えば、ガスクロマトグラフ(GC−14B、株式会社島津製作所製)にて測定することができる。
【0041】
本発明のアルコール含有食品用脱酸素剤は、アルコール含有食品に適用した場合に優れた脱酸素性能と、アルデヒドガスの吸着とを両立することができるので、生中華麺など既存の脱酸素剤では対応できなかったアルコールを含有する食品に使用した場合に、異臭、変色などの発生を抑制することができ、安全、安心な食品を提供できる。また、本発明のアルコール含有食品用脱酸素剤は、比較的安価に製造、提供することができる。
前記アルコール含有食品用脱酸素剤は、エタノール蒸気発生体と組み合わせて、複合型の食品品質保持剤として使用してもよい。
【0042】
<製造方法>
前記アルコール含有食品用脱酸素剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、前記各成分を混合することにより得ることができる。前記混合の条件、順序なども、適宜選択して行うことができる。
また、前記アルコール含有食品用脱酸素剤を前記包材に充填する方法としても、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択して行うことができる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例及び比較例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
各実施例及び比較例で使用した原材料等は、以下のとおりである。
・ 鉄粉 : 粒度150μm以下のアトマイズ鉄粉(純鉄粉270M、株式会社神戸製鋼所製)。
・ アルデヒド吸着体 :
(1) ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製、以下「PAA」と称することがある)。
(2) エチレン尿素(和光純薬工業株式会社製)。
・ ハロゲン化金属 :
(1) 臭化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、以下「臭化Na」と称することがある)。
(2) 臭化カリウム(和光純薬工業株式会社製、以下「臭化K」と称することがある)。
(3) 塩化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、以下「塩化Na」と称することがある)。
・ アルカリ性物質 : 水酸化カルシウム(和光純薬工業株式会社製、以下「水酸化Ca」と称することがある)。
・ 吸着体 : シリカゲル(重量平均粒径150μmの多孔質シリカ粉体(アドソリダー、フロイント産業株式会社製))。
・ 包材(アルコール含有食品用脱酸素剤用の小袋) :
(1) アルコール含有食品用脱酸素剤と接する側(内側)から外側へ、有孔ポリエチレン、紙、有孔ポリエチレンテレフタレートの順に構成されたフィルム包材を外形40mm×50mmの小袋状になるようヒートシールにより成形したものであり、ガーレー式透気度(JIS P8117−1998の方法により測定)が3,800秒/100cc〜7,500秒/100ccである(以下、「I」と称することがある)。
(2) アルコール含有食品用脱酸素剤と接する側(内側)から外側へ、有孔ポリエチレン、紙、有孔ポリエチレンテレフタレートの順に構成されたフィルム包材を外形40mm×50mmの小袋状になるようヒートシールにより成形したものであり、ガーレー式透気度(JIS P8117−1998の方法により測定)が2,220秒/100cc〜3,050秒/100ccである(以下、「II」と称することがある)。
・ アルコール含有食品 : アルコールを1.5質量%含む生中華麺100g。
・ 食品用包装袋:密封可能な市販の非晶質ナイロンと、ポリエチレンとがこの順で積層されたフィルム包材からなる袋(空気量500mL)。
【0045】
(実施例1)
<アルコール含有食品用脱酸素剤の製造>
表1に示す各成分を、1包あたりにおける含有割合が表1に示す割合となるように以下のようにして混合した。
吸着体に対し、水に溶解させたハロゲン化金属を配合して混合した後、アルデヒド吸着体、鉄粉及びアルカリ性物質を配合して混合した。得られた粉末を、表1に示す1包あたりの量のとおり量りとり、前記包材(I)に充填した後、ヒートシールにより封止して、アルコール含有食品用脱酸素剤を得た。
【0046】
<アルコール含有食品用脱酸素剤の評価>
前記実施例1で得たアルコール含有食品用脱酸素剤を、前記アルコール含有食品を入れた前記食品用包装袋に入れて、ヒートシールにより前記食品包装袋を密封した後、温度25℃で48時間静置保管した。
【0047】
−脱酸素性能−
前記保管開始から24時間後の前記食品用包装袋内の酸素濃度を酸素分析計(LC−700F、東レエンジニアリング株式会社製)にて測定し、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
◎ : 酸素濃度が、0.1体積%未満
○ : 酸素濃度が、0.1体積%以上1体積%未満
△ : 酸素濃度が、1体積%以上5体積%未満
× : 酸素濃度が、5体積%以上
【0048】
−アセトアルデヒドガス濃度−
前記保管開始から48時間後の前記食品用包装袋内のアセトアルデヒドガス濃度をガスクロマトグラフ(GC−14B、株式会社島津製作所製)にて測定し、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
◎ : アセトアルデヒドガス濃度が、20ppm未満
○ : アセトアルデヒドガス濃度が、20ppm以上35ppm未満
△ : アセトアルデヒドガス濃度が、35ppm以上50ppm未満
× : アセトアルデヒドガス濃度が、50ppm以上
【0049】
(実施例2〜7、比較例1〜6)
実施例1において、アルコール含有食品用脱酸素剤に含まれる各成分の組成、1包あたりの量、包材の種類を表1〜4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、アルコール含有食品用脱酸素剤を作製した。
また、得られた各アルコール含有食品用脱酸素剤について、実施例1と同様にして、脱酸素性能、アセトアルデヒドガス濃度を評価した。結果を表1〜4に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
実施例1〜7、及び比較例1〜6の結果から、鉄粉が40質量%〜90質量%、アルデヒド吸着体が0.1質量%〜10質量%、ハロゲン化金属が0.4質量%〜5質量%、及びアルカリ性物質が0.1質量%〜2質量%含まれている実施例1〜7のアルコール含有食品用脱酸素剤は、脱酸素性能及びアセトアルデヒドガス濃度のいずれについても優れた評価結果となった。一方、鉄粉が40質量%〜90質量%、アルデヒド吸着体が0.1質量%〜10質量%、ハロゲン化金属が0.4質量%〜5質量%、及びアルカリ性物質が0.1質量%〜2質量%の少なくともいずれかを満たさない比較例1〜6のアルコール含有食品用脱酸素剤は、脱酸素性能及びアセトアルデヒドガス濃度の少なくともいずれかの評価が劣っていた。
また、実施例1〜7のアルコール含有食品用脱酸素剤の中でも、実施例1及び3が、脱酸素性能及びアセトアルデヒドガス濃度のいずれについても特に優れた評価結果となった。