特開2015-42148(P2015-42148A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-42148(P2015-42148A)
(43)【公開日】2015年3月5日
(54)【発明の名称】香味改善剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 1/221 20060101AFI20150206BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20150206BHJP
   A23F 3/16 20060101ALI20150206BHJP
【FI】
   A23L1/221 C
   A23L2/02 B
   A23F3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-174460(P2013-174460)
(22)【出願日】2013年8月26日
(71)【出願人】
【識別番号】591011410
【氏名又は名称】小川香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100106769
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 信輔
(72)【発明者】
【氏名】有馬 剛
(72)【発明者】
【氏名】足立 謙次
(72)【発明者】
【氏名】柏原 仁
【テーマコード(参考)】
4B017
4B027
4B047
【Fターム(参考)】
4B017LC02
4B017LG01
4B017LG20
4B017LP01
4B017LP03
4B017LP18
4B027FB08
4B027FC01
4B027FK08
4B027FP85
4B047LB03
4B047LB09
4B047LF07
4B047LG01
4B047LG07
4B047LG37
4B047LP01
4B047LP07
4B047LP20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】飲食品及びそれに含まれる香料の香味を改善可能な桜葉抽出物とその製造方法の提供。
【解決手段】桜の葉を5〜99.5(w/w)%のエタノール水溶液の存在下で、液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素とエタノール水溶液で抽出することによって得られる抽出物を、極少量添加することで飲食品の香味を改善もしくは増強する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桜の葉を、5〜99.5(w/w)%のエタノール水溶液の存在下で、液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素で抽出することによって得られる抽出物を含有することを特徴とする香味改善剤。
【請求項2】
桜の葉が、バラ科サクラ属サクラ亜属植物の葉部、もしくは葉部を塩漬けにしたもの、もしくはそれらの乾燥物である請求項1記載の香味改善剤。
【請求項3】
エタノール水溶液が、桜の葉1重量部に対して0.05〜2重量部である請求項1または2記載の香味改善剤。
【請求項4】
桜の葉を、エタノール水溶液を浸潤させた後、液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素で抽出して得られる請求項1〜3のいずれか1項に記載の香味改善剤。
【請求項5】
抽出に使用する亜臨界または超臨界状態の二酸化炭素の圧力が7.4〜60MPa、温度が20℃〜100℃であり、二酸化炭素の使用量が原料の桜葉の1〜20倍容量であり、抽出時間が1〜6時間である請求項1〜4のいずれか1項に記載の香味改善剤。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の香味改善剤と食品香料素材とを含有する香味料組成物。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の香味改善剤を添加したことを特徴とする飲食品。
【請求項8】
請求項6に記載の香味料組成物を添加したことを特徴とする飲食品。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の香味改善剤を添加することを特徴とする飲食品の香味改善方法。
【請求項10】
請求項6に記載の香味料組成物を添加することを特徴とする飲食品の香味改善方法。
【請求項11】
桜の葉を、5〜99.5(w/w)%のエタノール水溶液の存在下で、液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素で抽出することを特徴とする香味改善剤の製造方法。
【請求項12】
抽出に使用する亜臨界または超臨界状態の二酸化炭素の圧力が7.4〜60MPa、温度が20℃〜100℃であり、二酸化炭素の使用量が原料の桜葉の1〜20倍容量であり、抽出時間が1〜6時間である請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
(a)桜の葉を、質量で0.05〜2倍のエタノール水溶液と1〜20倍の液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素を用いて抽出する工程、
(b)必要に応じて工程(a)で得られた抽出液中の不溶物質をろ過精製によって除去して抽出精製液を得る工程、次いで
(c)工程(a)で得られた抽出液もしくは工程(b)で得られた抽出精製液を、(1)乾燥して粉末状にする工程、或いは、(2)濃縮してペースト状にする工程、
からなることを特徴とする香味改善剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食品及びその飲食品に含まれる香料の香味を改善もしくは増強することができる桜の葉抽出物とその製造方法に関するものである。詳しくは、桜の葉をエタノール水溶液の存在下で液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素で抽出して得られる桜の葉の香味成分からなる、香味を改善できる素材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に飲食品の味と香気は食欲の増進や減退に大きく影響するため、その香味は各種栄養成分と同様に食生活において重要な要素と考えられる。
こうした香気成分は一般的に不安定なものも多く、例えば果汁飲料に多用される濃縮還元果汁などのように濃縮や殺菌処理等の加工を施したものは本来の香味が減少もしくは変化していることがほとんどである。
こうした飲食品に好ましい香味を付与する、もしくは増強する上で香料が多用されている。しかし香気成分はいまだ解明されていない成分も多く、そのため既存の香料だけでは多種多様な飲食品に自然で好ましい香味を付与する点においてまだ十分と言えない。
【0003】
上記問題を解決する方法として、例えば化合物を用いて魚節香味飲食品に削り立の魚節感を付与させる方法(特許文献1、2)やコーヒー飲料のコーヒー香味を増強させる方法(特許文献3)、茶飲料の香味を改善する目的で火入れ香を付与する方法(特許文献4)などが提案されている。これらの方法はいずれもある特定の香味の改善もしくは増強に効果があるが、その対象は限定的であり汎用性のあるものとは言えない。
【0004】
さらに化合物ではなく天然物由来の物質を使用している例もある。例えば甘蔗由来の蒸留物精製成分を用いることで飲食物の香味を向上させる方法(特許文献5)や重合カテキンを用いて飲食品の香味を増強する方法(特許文献6)、清澄乳酸菌・酵母発酵乳清液を用いて低果汁飲料に高果汁飲料並みの果汁感、香味を付与する方法(特許文献7)などが提案されている。しかし、これらの方法はいずれもその添加量の多さからそれら自体が持つ香味が飲食品そのものの香味に影響することは否定できず、またその効果も十分とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−178984号公報
【特許文献2】特開2012−34662号公報
【特許文献3】特開2010−75177号公報
【特許文献4】特開2003−274857号公報
【特許文献5】特開2003−274890号公報
【特許文献6】特開2010−154806号公報
【特許文献7】特開平7−75521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、飲食品及びその飲食品に含まれる香料の香味を改善もしくは増強することができる香味改善剤、香味料組成物、及びこれらを含有する飲食品、並びに該香味改善剤の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、これまで香料素材として注目されることが無かった桜の葉に着目し、それを液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素とエタノール水溶液で抽出することによって得られる抽出物が、飲食品及び香料の香味改善剤として優れた効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は桜の葉を液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素とエタノール水溶液で抽出することによって得られる抽出物を有効成分として含有することを特徴とする香味改善剤である。また当該香味改善剤を含有する香味料組成物、並びに当該香味料組成物を添加したことを特徴とする飲食品である。
さらに、本発明は、桜の葉を、質量で0.05〜2倍のエタノール水溶液と1〜20倍の液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素を用いて抽出し、不溶物質をろ過精製によって除去する工程、次いで必要に応じて当該抽出液もしくは抽出精製液を乾燥して粉末状にする工程、或いは当該抽出液もしくは抽出精製液を濃縮してペースト状にする工程、からなることを特徴とする香味改善剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の香味改善剤は、非常に力価が強く、当該香味改善剤そのものが持つ香味の特徴が感じられないくらいの極微量の添加量においても、飲食品もしくは飲食品に含まれる香料の香味に華やかさ、甘さ、ボリューム感などを付与するとともに、より自然で天然らしい、好ましいものに変える効果がある。
従って、各種飲食品に幅広く利用でき、例えば果実香味の無果汁飲料や、果汁含量の低い飲料に対し、果汁含量が高い飲料のような自然な香味、コク、ボリューム、果実感などを付与することができる。
また、品質が劣る紅茶葉を使用した紅茶飲料に対して高級紅茶葉を使用した紅茶飲料のような華やかさを付与したり、ココアパウダーを原料としたノーテンパリングタイプのチョコレートにカカオマスを使用したチョコレートのような甘い香味、華やかさ、本物らしさを付与することができる。
【0010】
さらに、当該香味改善剤は非常に優れた桜の葉そのものの香味も有しているため、各種の桜の葉風味の飲食品に使用することで、桜の葉独特の甘さ、華やかさを付与することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
(A)香味改善剤(もしくは香味増強剤)およびその製造方法
(1)原材料
本発明に使用する桜の葉は、バラ科サクラ属の木から得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、オオシマザクラ、ソメイヨシノ、エドヒガン、ヤマザクラ、マメザクラ、サトザクラ、カンヒザクラ、コヒガンザクラなど種々の品種の桜葉が挙げられる。
このうち一般的に広く流通しているオオシマザクラの桜葉を好適原材料として挙げることができる。また、桜の葉は生桜葉、塩漬け桜葉のいずれも使用可能であるが、香りの強さ、質の良さから塩漬け桜葉の方がより好ましい。使用する生桜葉もしくは塩漬け桜葉の形態は特に限定されるものではないが、例えば、桜葉を乾燥させて粉砕したものを使用する方法が挙げられる。
【0012】
(2)抽出工程
本発明においては、桜の葉を液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素で抽出する。
抽出に用いる液化状態の二酸化炭素は、例えば、その圧力が0.52〜7.4MPa、好ましくは3〜6.5MPa、その温度が−56.6〜31.1℃、好ましくは5〜30℃の領域における液化状態のものである。
また、亜臨界または超臨界状態の二酸化炭素は、例えば、その圧力が7.4〜60MPa、好ましくは8〜20MPa、その温度が20〜100℃、好ましくは30〜60℃の領域における亜臨界状態もしくは超臨界状態のものである。
液化状態または亜臨界もしくは超臨界二酸化炭素の使用量は、原料の桜葉の1〜20倍容量、好ましくは2.5〜12倍容量であり、その抽出時間は、1〜6時間、好ましくは2.5〜4.5時間である。
【0013】
さらに本発明では香味成分をより効率よく抽出するために、上記液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素と共に助溶媒としてエタノール水溶液を使用する。そのエタノール濃度は5〜99.5(w/w)%、好ましくは30〜70(w/w)%である。エタノール水溶液の使用量は、原料の桜葉の好ましくは0.05〜2倍量、特に好ましくは0.5〜1.5倍量である。
また、桜の葉を、エタノール水溶液を浸潤させた後、液化状態または亜臨界もしくは超臨界状態の二酸化炭素で抽出することが好ましい。浸潤の際、桜の葉を撹拌しながらエタノール水溶液を徐々に加え、桜の葉全体にエタノール水溶液がまんべんなく行きわたるようにすることが好ましい。なお、浸潤時間は12時間以下、好ましくは数十秒(例えば30秒)から2時間の間である。
【0014】
(3)精製工程
上記抽出工程で得られた抽出物は、さらにろ過精製処理を施すことで清澄化して利用することも可能である。ろ過精製に用いるろ過助剤は、珪藻土、二酸化珪素、活性白土、酸性白土、パーライト、ベントナイト、タルクなどが使用できる。
また、以上の群から選ばれる1種または2種以上の処理を組み合わせてもよい。
ろ過助剤の使用量は抽出工程で得られた抽出液100質量部に対して0.5〜5質量部が好ましい。
【0015】
(4)製剤化工程
上記抽出物もしくはその精製物は、そのまま香味改善剤として食品等に配合できるが、以下のように製剤化して使用することもできる。
例えば、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等の溶剤に適当な濃度で溶解させて、具体的には、水/エタノール、水/エタノール/グリセリン、水/グリセリンなどの混合溶剤とする。またはデキストリン、シュークロース、ペクチン、キチン等を加えることもでき、これらをさらに濃縮してペースト状とすることもできる。
また、各溶液にデキストリン等の賦形剤を添加し、噴霧乾燥もしくは凍結乾燥による粉末化することも可能である。さらに上記溶剤をアラビアガム等の乳化剤とともに油脂等に添加して分散させることにより、油溶性の液剤とすることもでき、用途に応じて種々の製剤形を採用することができる。
【0016】
(B)香味改善剤の適用対象及び添加量
香味改善もしくは増強の対象となる飲食品としては、例えば、コーヒー、紅茶、清涼飲料、乳酸菌飲料、無果汁飲料、果汁入り飲料、栄養ドリンクなどの飲料類、リキュール、果実酒などの酒類、アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓類、スナック類、栄養食品、ゼリー、プリン、羊かんなどのデザート類、クッキー、ケーキ、チョコレート、チューイングガム、饅頭などの菓子類、菓子パン、食パンなどのパン類、ラムネ菓子、タブレットなどの錠菓類などを挙げることができるが、特に紅茶、無果汁飲料、果汁入り飲料に好適である。
【0017】
本発明の香味改善剤は香料、飲食品をはじめとした経口組成物等の製造過程で適宜添加することができる。
その添加量については、添加対象の種類により異なるが、飲食品をはじめとした経口組成物に添加する場合は、一般に飲食品中で0.0001〜10ppmとなるような添加量が適当であるが、対象製品本来の香味に影響を及ぼさないという観点からは0.001〜1ppmが好ましい。
【0018】
(C)香味改善剤を含む香味料組成物
本発明の香味改善剤と、他の食品香料素材(例えば、他の植物エキス等の天然香料素材あるいは合成香料素材)と組み合わせた香味料組成物として使用することも可能である。
他の食品香料に添加して香味料組成物とする場合の香味改善剤の使用量は、組成物中において0.0001〜1%、好ましくは0.0001〜0.1%である。
そのような食品香料素材としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
アセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムサルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸3−ブテニル、イソチオシアン酸4−ペンテニル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸3−メチルチオプロピル、イソチオシアネート類、インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、エチルバニリン、エーテル類、
【0019】
オイゲノール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケトン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸l−メンチル、酢酸リナリル、サリチル酸メチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、1,8−シネオール、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、テルピネオール、リモネン、ピネン、
【0020】
ミルセン、タピノーレン、テルペン系炭化水素類、γ−ノナラクトン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラール及びその誘導体、プロピオン酸、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、マルトール、N−メチルアントラニル酸メチル、メチルβ−ナフチルケトン、dl−メントール、l−メントール、酪酸、
【0021】
酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ラクトン類、リナロオール等の合成或いは天然由来の香料の他、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどシトラス系精油類、アップル、バナナ、グレープ、メロン、ピーチ、パイナップル、ストロベリーなどフルーツ系の精油或いは回収フレーバー、ミルク、クリーム、バター、チーズ、ヨーグルトなど乳系の抽出香料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、ココアなど嗜好品系の回収フレーバー、ペパーミント、スペアミントなどミント系の精油、アサノミ、アサフェチダ、アジョワン、アニス、アンゼリカ、ウイキョウ、ウコン、オレガノ、オールスパイス、オレンジノピール、カショウ、カッシア、カモミル、カラシナ、カルダモン、カレーリーフ、カンゾウ、キャラウェー、クチナシ、
【0022】
クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケイパー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サッサフラス、サフラン、サボリー、サルビア、サンショウ、シソ、シナモン、シャロット、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、スペアミント、セイヨウワサビ、セロリー、ソーレル、タイム、タマネギ、タマリンド、タラゴン、チャイブ、ディル、トウガラシ、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニンジン、ニンニク、バジル、パセリ、ハッカ、バニラ、パプリカ、ヒソップ、フェネグリーク、ペパーミント、ホースミント、ホースラディッシュ、マジョラム、ミョウガ、ラベンダー、リンデン、レモンバーム、ローズ、ローズマリー、ローレル、ワサビなどから得られる香辛料抽出物、アイスランドモス、アカヤジオウ、アケビ、アサ、アサフェチダ、アジアンタム、
【0023】
アジョワン、アズキ、アスパラサスリネアリス、アップルミント、アーティチョーク、アニス、アボカド、アマチャ、アマチャズル、アミガサユリ、アミリス、アーモンド、アリタソウ、アルカンナ、アルテミシア、アルニカ、アルファルファ、アロエ、アンゴスツラ、アンゴラウィード、アンズ、アンズタケ、アンゼリカ、アンバー、アンバーグリス、アンブレット、イカ、イカリソウ、イグサ、イースト、イタドリ、イチゴ、イチジク、イチョウ、イノコヅチ、イランイラン、イワオウギ、インペラトリア、インモルテル、ウィンターグリーン、ウォータークレス、ウコギ、ウコン、ウスバサイシン、ウッドラフ、ウニ、ウメ、ウーロンチャ、エゴマ、エノキダケ、エビ、エビスグサ、エリゲロン、エルダー、エレウテロコック、エレカンペン、エレミ、エンゴサク、
【0024】
エンジュ、エンダイブ、欧州アザミ、オウレン、オオバコ、オカゼリ、オキアミ、オーク、オークモス、オケラ、オスマンサス、オポポナックス、オミナエシ、オモダカ、オランダセンニチ、オリガナム、オリス、オリバナム、オリーブ、オールスパイス、オレンジ、オレンジフラワー、カイ、カイニンソウ、カカオ、カキ、カサイ、カシューナッツ、カスカラ、カスカリラ、カストリウム、カタクリ、カツオブシ、カッシー、カッシャフィスチュラ、カテキュ、カニ、カーネーション、カノコソウ、カモミル、カヤプテ、カラシ、カラスウリ、カラスビシャク、ガラナ、カラムス、ガランガ、カーラント、カリッサ、カリン、カルダモン、ガルバナム、カレー、カワミドリ、カンゾウ、ガンビア、カンラン、キウィーフルーツ、キカイガラタケ、キキョウ、キク、
【0025】
キクラゲ、キササゲ、ギシギシ、キダチアロエ、キナ、キハダ、キバナオウギ、ギボウシ、ギムネマシルベスタ、キャットニップ、キャラウェー、キャロップ、キュウリ、キラヤ、キンミズヒキ、グァバ、グァヤク、クコ、クサスギカズラ、クサボケ、クズ、クスノキ、クスノハガシワ、グーズベリー、クチナシ、クベバ、クマコケモモ、グミ、クミン、グラウンドアイビー、クララ、クラリセージ、クランベリー、クリ、クルミ、クリーム、グレインオブパラダイス、クレタディタニー、グレープフルーツ、クローバー、クローブ、クロモジ、クワ、クワッシャ、ケイパー、ゲットウ、ケード、ケブラコ、ゲルマンダー、ケンチュール、ケンポナシ、ゲンノショウコ、コウジ、コウダケ、コウチャ、コウホネ、コカ、コガネバナ、コクトウ、コクルイ、ココナッツ、
【0026】
ゴシュユ、コショウ、コスタス、コストマリー、コパイパ、コーヒー、コブシ、ゴボウ、ゴマ、コーラ、コリアンダー、コルツフート、ゴールデンロッド、コロンボ、コンサイ、コンズランゴ、コンフリー、サイプレス、魚、サクラ、サクランボ、ザクロ、サケカス、ササ、ササクサ、サーチ、サッサフラス、サフラン、サポジラ、サボテン、サラシナショウマ、サルサパリラ、サルシファイ、サルノコシカケ、サンザシ、サンシュユ、サンショウ、サンタハーブ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シイタケ、ジェネ、シソ、シダー、シトラス、シトロネラ、シヌス、シベット、シマルーバ、シメジ、シャクヤク、ジャスミン、ジャノヒゲ、ジャボランジ、シャロット、シュクシャ、ジュニパーベリー、ショウガ、ショウユ、ショウユカス、
【0027】
ジョウリュウシュ、ショウロ、シロタモギタケ、ジンセン、シンナモン、酢、スイカ、スイセン、スギ、スターアニス、スターフルーツ、スチラックス、スッポン、スッポンタケ、ズドラベッツ、スネークルート、スパイクナード、スプルース、スペアミント、スベリヒユ、スローベリー、セイボリー、セキショウ、セージ、ゼドアリー、セネガ、ゼラニウム、セロリー、センキュウ、センタウリア、センゲン、セントジョーンズウォルト、センナ、ソース、ダイオウ、ダイズ、タイム、タケノコ、タコ、タデ、ダバナ、タマゴ、タマゴタケ、タマネギ、タマリンド、ダミアナ、タモギタケ、タラゴン、タラノキ、タンジー、タンジェリン、タンポポ、チェリモラ、チェリーローレル、チェリーワイルド、チガヤ、チコリ、チーズ、チチタケ、チャイブ、チャービル、チャンパカ、チュベローズ、チョウセンゴミシ、チラータ、ツクシ、ツケモノ、ツタ、
【0028】
ツバキ、ツユクサ、ツリガネニンジン、ツルドクダミ、ディアタング、ティスル、ディタニー、ディル、デーツ、テンダイウヤク、テンマ、トウガラシ、トウキ、ドウショクブツタンパクシツ、ドウショクブツユ、トウミツ、トウモロコシ、ドクダミ、トチュウ、ドッググラス、トマト、ドラゴンブラッド、ドリアン、トリュフ、トルーバルサム、トンカ、ナギナタコウジュ、ナシ、ナスターシャム、ナッツ、ナットウ、ナツメ、ナツメグ、ナデシコ、ナメコ、ナラタケ、ニアウリ、ニュウサンキンバイヨウエキ、ニンジン、ニンニク、ネズミモチ、ネットル、ネムノキ、ノットグラス、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、麦芽、ハコベ、バジル、ハス、ハスカップ、パースカップ、パセリ、バター、バターオイル、バターミルク、バーチ、ハチミツ、パチュリー、
【0029】
ハッカ、バックビーン、ハッコウシュ、ハッコウニュウ、ハッコウミエキ、パッションフルーツ、ハツタケ、バッファローベリー、ハトムギ、ハナスゲ、バナナ、バニラ、ハネーサックル、パパイヤ、バーベリー、ハマゴウ、ハマスゲ、ハマナス、ハマボウフウ、ハマメリス、バラ、パルマローザ、バンレイシ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒソップ、ヒッコリー、ピーナッツ、ヒノキ、ヒバ、ピプシシワ、ヒメハギ、ヒヤシンス、ヒラタケ、ビワ、ビンロウ、フェイジョア、フェネグリーク、フェンネル、フジバカマ、フジモドキ、フスマ、フーゼルユ、プチグレイン、ブチュ、ブドウ、ブドウサケカス、フトモモ、ブナ、ブナハリタケ、ブラックキャラウェイ、ブラックベリー、プラム、ブリオニア、プリックリーアッシュ、プリムローズ、プルネラ、
【0030】
ブルーベリー、ブレッドフルーツ、ヘイ、ベイ、ヘーゼルナッツ、ベチバー、ベーテル、ベニバナ、ペニーロイヤル、ペパーミント、ヘビ、ペピーノ、ペプトン、ベルガモット、ベルガモットミント、ペルーバルサム、ベルベナ、ベロニカ、ベンゾイン、ボアドローズ、ホアハウンド、ホウ、ホウキタケ、ホウショウ、ボウフウ、ホエイ、ホオノキ、ホースミント、ホースラディッシュ、ボタン、ホップ、ポピー、ポプラ、ポポー、ホホバ、ホヤ、ボルドー、ボロニア、マイタケ、マグウォルト、マシュマロー、マジョラム、マスティック、マソイ、マタタビ、マチコ、マツ、マツオウジ、マッシュルーム、マツタケ、マツブサ、マツホド、マテチャ、マメ、マリーゴールド、マルバダイオウ、マルメロ、マレイン、マロー、マンゴー、マンゴスチン、ミカン、ミシマサイコ、
【0031】
ミソ、ミツマタ、ミツロウ、ミート、ミモザ、ミョウガ、ミルク、ミルテ、ミルフォイル、ミルラ、ミロバラン、ムギチャ、ムスク、ムラサキ、メスキート、メドウスィート、メハジキ、メープル、メリッサ、メリロット、メロン、モウセンゴケ、モニリアバイヨウエキ、モミノキ、モモ、モロヘイヤ、ヤクチ、ヤマモモ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユッカ、ユリ、ヨウサイ、ヨロイグサ、ライオンズフート、ライチ、ライフエバーラスティングフラワー、ライム、ライラック、ラカンカ、ラカンショウ、ラズベリー、ラタニア、ラディッシュ、ラブダナム、ラベンダー、ラングウォルト、ラングモス、ランブータン、リキュール、リーク、リツェア、リナロエ、リュウガン、リョウフンソウ、リョクチャ、リンゴ、リンデン、リンドウ、ルー、ルリジサ、レセダ、レモン、レンギョウ、レンゲ、
レンブ、ローズマリー、ロベージ、ローレル、ロンゴザ、ワサビ、ワタフジウツギ、ワームウッド、ワームシード、ワラビ、ワレモコウなどから得られる天然香料などが例示され、適宜選択して使用される。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
【0033】
〔I〕香味改善剤の製造例
以下の実施例及び比較例に用いた桜の葉は、塩漬けした桜の葉を55℃で機械乾燥し、粗挽き機で2〜3mm角に粗砕したもの(株式会社外岡商店製)を用いた。
【0034】
[実施例1](超臨界二酸化炭素抽出)
桜の葉180gに50(w/w)%エタノールを180g添加し、撹拌混合した後すぐに抽出槽に仕込み、圧力10MPa、温度40℃の超臨界二酸化炭素を連続的に2時間半供給して抽出を行った。超臨界二酸化炭素は、原料である桜の葉に対して7.1倍容量使用した。
抽出槽から流出する抽出物含有超臨界二酸化炭素は、圧力4MPa、温度25℃に保った分離槽に移し、抽出物を二酸化炭素から分離し、74gの抽出液を得た。
得られた抽出液を−5℃で一晩静置し、その後珪藻土ろ過を行い、本発明の香味改善剤を得た。得られた本発明の香味改善剤は桜の葉独特の甘い芳香が強く感じられる暗黄緑色透明の溶液であった。
【0035】
[比較例1](エタノール抽出)
桜の葉50gに99.5(w/w)%エタノールを500g添加し、40℃で1時間抽出を行った後、抽出残渣を固液分離により除去した。得られた溶液を−5℃で一晩静置し、その後珪藻土ろ過を行い、比較例のエタノールチンキを475g得た。得られたチンキは桜の葉の甘さとややグラッシー感が感じられる濃緑色透明の溶液であった。
【0036】
[比較例2] (エタノール抽出)
桜の葉50gに50(w/w)%エタノールを500g添加し、40℃で1時間抽出を行った後、抽出残渣を固液分離により除去した。得られた溶液を−5℃で一晩静置し、その後珪藻土ろ過を行い、比較例のエタノールチンキを470g得た。得られたチンキは桜の葉の甘い芳香が弱く感じられる黄緑色透明の溶液であった。
【0037】
[比較例3](水蒸気蒸留)
桜の葉1,000gを水蒸気蒸留に仕込み、水蒸気流量を1.0kg/時間に設定して、蒸留容器の底部から水蒸気を導入し水蒸気蒸留を行い、最終的に総量1,000gのリカバリーを得た。得られたリカバリーは桜の葉独特の甘い芳香が感じられる無色透明の溶液であった。
【0038】
〔II〕香味改善剤の評価
[試験例1](各種フルーツモデル飲料)
グラニュー糖80g、クエン酸0.8gを、水1000gで調整した酸入りシロップに、オレンジ、チェリー、ストロベリー、アップル、ピーチおよびパイナップルの各種フルーツフレーバー(いずれも小川香料株式会社製)を0.1(w/w)%添加し、各種フルーツベースを製造した。
上記フルーツベースに実施例1で得られた香味改善剤を0.01ppm添加し、フルーツモデル飲料を作製した。
【0039】
[試験例2](各種嗜好系飲料)
グラニュー糖80gを水1000gで調整したシロップ水に、紅茶、バニラ、ココアおよびコーヒーの各種嗜好系フレーバー(いずれも小川香料株式会社 製)を0.1(w/w)%添加し、各種嗜好系ベースを製造した。
上記嗜好系ベースに実施例1で得られた香味改善剤を1ppm添加し、嗜好系モデル飲料を作製した
【0040】
[官能評価1]
試験例1、2の各飲料について、熟練したパネル5名により官能評価を行った。
香味改善剤の添加した後の効果について、表1、2に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
以上の結果より、本発明の香味改善剤は非常に少ない添加量にも関わらず様々な飲食品の香味に違和感を与えることなく華やかさや甘さなどを付与し、改善する効果があると言える。
【0044】
[試験例3]
グラニュー糖80g、クエン酸0.8gを、水1000gで調整した酸入りシロップに、オレンジフレーバー(小川香料株式会社製)を0.1(w/w)%添加し、オレンジベースを製造した。
上記オレンジベースに実施例1で得られた香味改善剤を0.01ppm添加し、オレンジモデル飲料を作製した。また比較例1、2、3で得られた桜の葉香味抽出物を、実施例1の原料収率と添加量の比が合うように添加した。(*各添加量 比較例1:0.24ppm、比較例2:0.24ppm、比較例3:0.025ppm)
さらに実施例および各比較例を無添加のオレンジベースをコントロールとした。
【0045】
[官能評価2]
試験例3で製造した飲料について、熟練したパネル7名により官能評価を行った。
無添加のオレンジベースをコントロール(4点)として、「スイート感」、「ジューシー感」、「ボリューム」、「異味異臭」について、非常に強い(7点)〜ない、又は非常に弱い(1点);「嗜好性」については、非常に高い(7点)〜非常に低い(1点);とする7段階評価を行った。
評価点の平均を表3に示した。
【0046】
【表3】
【0047】
[試験例4]
水1000gに、ブラックティーフレーバー(小川香料株式会社製)を0.1(w/w)%添加し、紅茶ベースを製造した。
上記紅茶ベースに実施例1で得られ香味改善剤を0.1ppm添加し、紅茶モデル飲料を作製した。また比較例1、2、3で得られた桜の葉香味抽出物を、実施例1の原料収率と添加量の比が合うように添加した。(*各添加量 比較例1:2.4ppm、比較例2:2.4ppm、比較例3:0.25ppm)
さらに実施例および各比較例を無添加の紅茶ベースをコントロールとした。
【0048】
[官能評価3]
試験例4で製造した飲料について、熟練したパネル7名により官能評価を行った。
無添加の紅茶ベースをコントロール(4点)として、「スイート感」、「華やかさ」、「ボリューム」、「異味異臭」について、非常に強い(7点)〜ない、又は非常に弱い(1点);「嗜好性」については、非常に高い(7点)〜非常に低い(1点);とする7段階評価を行った。
評価点の平均を表4に示した。
【0049】
【表4】
【0050】
以上の結果より、桜の葉から超臨界二酸化炭素抽出によって得られた本発明の香味改善剤(実施例1)は、他の製法で作製した桜の葉抽出物(比較例1、2、3)よりも力価が強く、極微量の添加量で飲食品に甘さ、華やかさ、ボリュームを付与することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の香味改善剤を飲食品に添加することにより、飲食品の香味を改善もしくは増強する効果があり、各種の飲食品に幅広く利用できる。