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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-4251(P2015-4251A)
(43)【公開日】2015年1月8日
(54)【発明の名称】地盤改良工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20141205BHJP
【FI】
   E02D3/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-131287(P2013-131287)
(22)【出願日】2013年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】592072920
【氏名又は名称】平成テクノス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有馬 重治
(72)【発明者】
【氏名】堀内 泰徳
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AA01
2D040AB01
2D040AC02
2D040AC04
2D040BA00
2D040BB01
2D040BD05
2D040CA01
2D040CA02
2D040CB03
2D040CC02
2D040CD01
2D040DA01
2D040DA02
2D040DB04
2D040FA03
(57)【要約】
【課題】所要掘削深度に植設した薬液注入ロッドを複数箇所に配し、各薬液注入ロッドに所要インターバルで薬液材の供給を切換え巡回注入し、薬液注入ロッドのステップアップ操作を繰返し、地盤中に薬液注入で多段柱状の固結体を造成し、地層の形状に対応して深層部まで改良する地盤改良工法を提供する。
【解決手段】 所要の間隔で地盤1に複数個所の注入ポイントPを配分して、これら注入ポイントに所要深さで薬液注入ロッド10を植設し、それら薬液注入ロッドに対して薬液供給装置から供給切換手段を制御手段による設定で注入個所を順次切換え薬液材を供給する多点インターバル注入で、前記各注入ポイントへの所要給液量で固結体を地中に形成するとともに、前記薬液注入ロッド10をステップアップし、以後前記薬液材の注入操作と前記ステップアップを順次繰り返して地中に多段柱状の固結体50を造成して地盤の圧密強度を高める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の間隔を置いて地盤に複数個所で注入ポイントを配分して、これら注入ポイントに所要深さまで薬液注入管を植設し、それら薬液注入管に対して薬液供給装置から供給切換手段を制御手段による設定で注入ポイントを順次切換えて薬液材を供給する多点インターバル注入により、前記各注入ポイントへの所要給液量で薬液材と土壌との結合による固結体を地中に形成し、前記薬液注入管のステップアップもしくは多段注入により、地中に多段柱状の固結体を造成して地盤の圧密強度を高めることを特徴とする地盤改良工法。
【請求項2】
前記注入ポイントでは、まず注入管挿入穴を所要深さに掘削した後、この注入管挿入穴に所要長さの薬液注入管を挿入して植設し、前記薬液供給装置から供給切換手段によって切換えて各注入ポイントの薬液注入管に薬液材が供給されるようにすることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良工法。
【請求項3】
前記注入ポイントでは、薬液注入管として二重管で先端部に掘削カッターを備え、後端部に回転継ぎ手を介して給液配管に接続される薬液注入ロッドを使用し、この薬液注入ロッドに駆動力を加えて先端部の掘削カッターによって地盤内を掘進させ、所要負荷を超える反力の発生状態に到達した後、前記薬液注入操作とステップアップ操作を行えるようにすることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良工法。
【請求項4】
前記薬液注入管による注入ポイントでの薬液注入は、前記制御手段にて設定の所要時間をおいて複数の注入ポイントを順次切換えて短い注入時間で少量ずつ注入する操作を繰返し、注入薬液材を注入ポイントの周囲の地中に薄い層状で土壌と結合凝結させ、この操作の繰返しによって積層された固結体を形成するとともに、薬液注入管をステップアップさせ、前記操作を繰返し行って、多点インターバル注入により薬液材が各注入ポイントの周囲でとどまるようにして積層された柱状の固結体を造成することを特徴とする請求項1に記載の地盤改良工法。
【請求項5】
地盤の改良実施区域を複数区画に区分して、この区分された各区画に対して注入ポイントを配置し、この各注入ポイントの1列または複数列を1ユニットとする注入グループを構成し、この注入グループにおける各注入ポイントに設置した薬液注入管に対して供給切換手段を介し薬液供給装置から制御手段による設定時間で注入ポイントを順次切換えて薬液材を供給する多点インターバル注入操作を複数回繰返し行い、各注入ポイントへの所要給液量で固結体層を地中に形成すると、前記薬液注入管をステップアップして前記要領で次の固結体層形成分薬液注入を順次行い、以後前記薬液材の注入操作と前記ステップアップを順次繰り返して地中に柱状の固結体を造成し、
前記注入グループにおける注入過程で、前記注入グループに隣接する区画に対して前記注入グループと同様の注入ポイントのユニットを配置して待機し、
先の注入グループにおける注入操作が終了すると、待機の注入グループの各注入ポイントの薬液注入管に、前記薬液供給装置から切換手段を介して接続する工程に切換えて、前記多点インターバル注入および前記ステップアップを行い、
以後、前記注入グループでの注入・ステップアップ操作を必要に応じ新たな隣接する注入区画に対して順次繰り返し、地盤中に柱状の固結体を造成して地盤の圧密強度を高めることを特徴とする地盤改良工法。
【請求項6】
前記地盤中に造成される柱状の固結体は、注入薬液材を所要のインターバルで断続的に注入して、当該注入ポイントの周囲に注入薬液材をとどらませて凝結するようにし、1ステップ上昇させるまでの間に多数の円盤状固結体が積層されて積層固結体を形成し、ステップアップを繰り返すことにより、前記積層固結体を複数段継ぎ足して形成されるようにする請求項1〜5のうちいずれかに記載の地盤改良工法。
【請求項7】
前記薬液注入管は、薬液材を所要インターバルで複数回注入するごとに固結体積層相当分ステップアップし、この操作を上昇最終位置まで繰り返すようにする請求項1,4または5のいずれかに記載の地盤改良工法。
【請求項8】
前記薬液注入管は、場合によって、薬液材の注入による固結体を地中に造成しつつ引上げるようにする請求項1,4または5のいずれかに記載の地盤改良工法。
【請求項9】
所要の間隔を置いて地盤に複数個所で注入ポイントを配分して、これら注入ポイントでは、それぞれその基準位置の周りに近接して長さの異なる複数本の薬液注入管を1ユニットとして多段に植設し、それら1ユニットの薬液注入管に対して薬液供給装置から切換手段を制御手段による設定で順次切換えて薬液材を供給し、前記要領で各注入ポイントに対して順次所要インターバルで多段に注入して、前記各注入ポイントの薬液注入管への所要給液量で、地中に多段柱状の固結体を造成して地盤の圧密強度を高めることを特徴とする地盤改良工法。
【請求項10】
前記注入ポイントに配置される1ユニットの薬液注入管は、吐出口が所要深度に達する長さ寸法の異なるチューブを、それぞれ独立して所要深度まで掘削植設し、前記各チューブの上端部に前記薬液供給装置からの薬液材の供給が切換弁を介して所要のインターバルで行われるようにする請求項9に記載の地盤改良工法。
【請求項11】
各注入ポイントに対する薬液の注入操作は、1注入ポイントにおける薬液注入管群ごとに所要多段固結体を地中に形成することを特徴とする請求項9に記載の地盤改良工法。
【請求項12】
前記薬液の注入操作は、薬液供給装置からの薬液材の供給を各注入ポイントの薬液注入管群単位で各チューブに切換えて、かつ所要のインターバルで順次前記各注入ポイントに切換えて薬液の供給を行い、各注入ポイントで所要多段固結体を地中に形成することを特徴とする請求項9に記載の地盤改良工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の改良に関するもので、薬液注入ポイントの状況に即応して薬液注入の条件設定を合理的に行い、地盤をより有効に改良することができる地盤改良工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤の改良技術としては、透水性を減少させたり、粘着力を増加させることを目的として、自硬性の薬液を地盤に注入する工法が多く採用されている。その改良手段としては既に多くの工法が提案され、かつ実施されている。その多くは、ゲルタイムの短い瞬結性グラウトやゲルタイムの長い緩結性グラウトを、注入ロッドを用いて地盤中に注入し、地盤の圧密度を高めて地盤を強化する方法が知られている。
【0003】
例えば、地震や近隣部での掘削工事などに起因して発生した地盤の変状により構築物が不同沈下する現象がある。このような不同沈下により傾斜した構築物を復元する工法としては、傾斜した構築物の基礎下部の地盤中に薬液を注入して地中に土壌との結合による固結体を造成し、その固結体により地盤の圧密度を高めて薬液注入時の反力を利用し、基礎ごと構築物を持上げて復元する技術について、特許文献1などにより知られている。
【0004】
また、地盤改良を目指して多数の薬液注入管を多点に配設し、これら各薬液注入管に注入薬液材を供給して同時または選択して地盤に注入することで、注入薬液材を地中に浸透させて地盤改良する技術について、特許文献2,3などによって開示されている。
【0005】
また、軟弱地盤の強度を高めて地盤の沈下やすべり破壊を抑制するための地盤改良について、地盤中に可塑状ゲル注入材からなる塊状の固結体を注入管の軸方向に多段に重ねて形成することにより、地盤を周囲に押しやるように締め固めて軟弱地盤を強化する地盤改良工法が、例えば特許文献4などによって知られている。
【0006】
さらに、軟弱地盤の改良手段としては地盤を掘削しつつ薬液材を噴射注入して柱状の地盤改良部を造成し、地盤強化を行う工法が例えば特許文献5などによって知られている。
【0007】
しかしながら、従来の地盤改良工法にあっては、例えば前記特許文献1による工法では不同沈下による構築物の復元について実効が認められ、不同沈下による多くの傾斜した構築物を復元しているが、この地盤改良工法では不同沈下の復元を主目的とすることから、目的区画の改良に際して複数個所の薬液注入管に対する薬液供給を所要の間隔で切換えて断続的に注入する、いわゆる多点インターバル注入を行い、比較的1回の注入量を制限して均衡を保ちながら地上部の構築物を持上げる工法であるため薬液注入が地盤の表層部にとどまる。したがって、例えば軟弱地盤を改良するに際して十分であると言えない場合がある。
【0008】
また、多点注入を同時にあるいは選択して行う特許文献2,3などで知られる工法では、地盤に多数箇所で挿入埋設した各薬液注入管に同時に薬液を供給して一斉に薬液注入を行って地盤の強化を図る方式であるから、この工法では各注入位置での注入管に対する注入液の供給制御のための設備などに多くの工費が必要になる。そして、注入液を各薬液注入管に分配するためには送出部にそれぞれ分配弁を設けて送出量の調節が必要になったり(特許文献2参照)、あるいは各薬液注入管にそれぞれユニットポンプを配して(特許文献3参照)、同一条件に調製するなど複雑な操作が要求される、などの問題点がある。
【0009】
また、注入管をその管軸方向に移動させて薬液材の注入を行い地盤中に塊状の固結体を多段に形成する特許文献4などで知られる工法では、注入材をシリンダとピストンとによって吸入・吐出させてシリンダー内におけるピストンの移動量と移動速度を変位計を備えたジャッキによって制御して注入状態を決め、この繰り返しで地盤内にて塊状ゲル固形体を拡大させ、多段に形成する操作を行うために、注入管ごとに注入のための装置を必要とする。したがって、多点注入しようとすれば多くの圧入装置を配置しなければならず、設備費や工費がかさむという問題点がある。
【0010】
さらに、前記掘削噴射方式の地盤改良技術にあっては、地中に柱状の改良部が造成されることと、掘削深度を自由に得られることから地層深くまで柱状の改良部が造成されて地盤の強化に有効であるが、施工が大掛かりになるほか一度に複数個所の改良部を造成できない、また、施工には比較的大型の設備機械を導入する必要があり、かつ多点位置において柱状の改良部を造成するのに前記設備機械を移転させる必要が生じることから多くの工費が必要になるなどの問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3126896号公報
【特許文献2】特許第4672693号公報
【特許文献3】特開2003−232030号公報
【特許文献4】特開2010−59673号公報
【特許文献5】特開平06−306846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明では、所要掘削深度まで掘削して植設した薬液注入ロッドを複数箇所に配して、これら薬液注入ロッドに対して所要インターバルで薬液材の供給を切換え、注入箇所を所要巡回して注入操作を行い、その後に薬液注入ロッドをステップアップする操作を繰返し、地盤中に薬液注入により薬液と土壌との結合で多段柱状の固結体をそれぞれ造成し、広い範囲で地層の形状に対応して深層部まで地盤改良することができる地盤改良工法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明の地盤改良工法は、
所要の間隔を置いて地盤に複数個所で注入ポイントを配分して、これら注入ポイントに所要深さまで薬液注入管を植設し、それら薬液注入管に対して薬液供給装置から供給切換手段を制御手段による設定で注入ポイントを順次切換えて薬液材を供給する多点インターバル注入により、前記各注入ポイントへの所要給液量で薬液材と土壌との結合による固結体を地中に形成し、前記薬液注入管のステップアップもしくは多段注入により、地中に多段柱状の固結体を造成して地盤の圧密強度を高めることを特徴とするものである。(第1発明)
【0014】
前記発明において、前記注入ポイントでは、まず注入管挿入穴を所要深さに掘削した後、この注入管挿入穴に所要長さの薬液注入管を挿入して植設し、前記薬液供給装置から供給切換手段によって切換えて各注入ポイントの薬液注入管に薬液材が供給されるようにすることを特徴とする。(第2発明)
【0015】
また、前記発明において、前記注入ポイントでは、薬液注入管として二重管で先端部に掘削カッターを備え、後端部に回転継ぎ手を介して給液配管に接続される薬液注入ロッドを使用し、この薬液注入ロッドに駆動力を加えて先端部の掘削カッターによって地盤内を掘進させ、所要負荷を超える反力の発生状態に到達した後、前記薬液注入操作とステップアップ操作を行えるようにすることを特徴とする。(第3発明)
【0016】
前記薬液注入管による注入ポイントでの薬液注入は、前記制御手段にて設定の所要時間をおいて複数の注入ポイントを順次切換えて短い注入時間で少量ずつ注入する操作を繰返し、注入薬液材を注入ポイントの周囲の地中に薄い層状で土壌と結合凝結させ、この操作の繰返しによって積層された固結体を形成するとともに、薬液注入管をステップアップさせ、前記操作を繰返し行って、多点インターバル注入により薬液材が各注入ポイントの周囲でとどまるようにして積層された柱状の固結体を造成することを特徴とする。(第4発明)
【0017】
地盤の改良実施区域を複数区画に区分して、この区分された各区画に対して注入ポイントを配置し、この各注入ポイントの1列または複数列を1ユニットとする注入グループを構成し、この注入グループにおける各注入ポイントに設置した薬液注入管に対して供給切換手段を介し薬液供給装置から制御手段による設定時間で注入ポイントを順次切換えて薬液材を供給する多点インターバル注入操作を複数回繰返し行い、各注入ポイントへの所要給液量で固結体層を地中に形成すると、前記薬液注入管をステップアップして前記要領で次の固結体層形成分薬液注入を順次行い、以後前記薬液材の注入操作と前記ステップアップを順次繰り返して地中に柱状の固結体を造成し、
前記注入グループにおける注入過程で、前記注入グループに隣接する区画に対して前記注入グループと同様の注入ポイントのユニットを配置して待機し、
先の注入グループにおける注入操作が終了すると、待機の注入グループの各注入ポイントの薬液注入管に、前記薬液供給装置から切換手段を介して接続する工程に切換えて、前記多点インターバル注入および前記ステップアップを行い、
以後、前記注入グループでの注入・ステップアップ操作を必要に応じ新たな隣接する注入区画に対して順次繰り返し、地盤中に柱状の固結体を造成して地盤の圧密強度を高めることを特徴とするものである(第5発明)。
【0018】
前記発明において、前記地盤中に造成される柱状の固結体は、注入薬液材を所要のインターバルで断続的に注入して、当該注入ポイントの周囲に注入薬液材をとどらませて凝結するようにし、1ステップ上昇させるまでの間に多数の円盤状固結体が積層されて積層固結体を形成し、ステップアップを繰り返すことにより、前記積層固結体を複数段継ぎ足して形成されるようにするのが好ましい。(第6発明)
【0019】
前記発明において、前記薬液注入管は、薬液材を所要インターバルで複数回注入するごとに固結体積層相当分ステップアップし、この操作を上昇最終位置まで繰り返すようにする(第7発明)。また、前記薬液注入管は、場合によって、前記薬液注入ロッドは、薬液材の注入による固結体を地中に造成しつつ引上げるようにしてもよい(第8発明)。
【0020】
また、第1発明の趣旨に基づく第9発明は、
所要の間隔を置いて地盤に複数個所で注入ポイントを配分して、これら注入ポイントでは、それぞれその基準位置の周りに近接して長さの異なる複数本の薬液注入管を1ユニットとして多段に植設し、それら1ユニットの薬液注入管に対して薬液供給装置から切換手段を制御手段による設定で順次切換えて薬液材を供給し、前記要領で各注入ポイントに対して順次所要インターバルで多段に注入して、前記各注入ポイントの薬液注入管への所要給液量で、地中に多段柱状の固結体を造成して地盤の圧密強度を高めることを特徴とするものである。
【0021】
前記第9発明において、前記注入ポイントに配置される1ユニットの薬液注入管は、吐出口が所要深度に達する長さ寸法の異なるチューブを、それぞれ独立して所要深度まで掘削植設し、前記各チューブの上端部に前記薬液供給装置からの薬液材の供給が切換弁を介して所要のインターバルで行われるようにする。(第10発明)
【0022】
前記第9発明において、各注入ポイントに対する薬液材の注入操作は、1注入ポイントにおける薬液注入管群ごとに所要多段固結体を地中に形成することを特徴とする(第11発明)。
【0023】
また、前記第9発明において、前記薬液材の注入操作は、薬液供給装置からの薬液材の供給を各注入ポイントの薬液注入管群単位で各チューブに切換えて、かつ所要のインターバルで順次前記各注入ポイントに切換えて薬液の供給を行い、各注入ポイントで所要多段固結体を地中に形成することを特徴とする(第12発明)。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数箇所に配設する薬液注入管に対して一か所に配置する薬液供給装置から所要のインターバルにて薬液材の供給を短い時間で切換えて巡回注入するとともに、所要注入回数切換え供給するごとにステップアップさせる操作を繰り返すことにより、薬液材を注入ポイントの周囲にとどめて逸走させることなく、地盤中に注入対応箇所で柱状的な固結体を造成して合理的に地盤を圧密して強化することができる。
【0025】
また、本発明によれば、広い範囲の改良対象には、複数区画に区分して注入ポイントを配分し、その各区分を所要数纏めてユニットにし、そのユニットごとに前記インターバルで巡回して薬液注入を行うとともにステップアップ操作によって各注入ポイントにおける地中に柱状的な固結体を造成して広範囲の地盤を所要深度まで圧密し、合理的に軟弱地盤の強化を図ることができる。
【0026】
さらに、本発明の趣旨に則すれば、複数に区画された各注入ポイントで、その基準の周りに近接して注入深度の異なる複数の薬液注入管を植設して、これら薬液注入管に所要のインターバルで薬液材の供給を切換えて注入操作を行うことにより、薬液注入管のステップアップを行うことなく多段柱状の固結体を造成することができ、広範囲の地盤を所要深度まで圧密して軟弱地盤の強化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は本発明の地盤改良工法の一実施形態を表す概要図である。
図2図2は一実施形態における注入ポイントの配置態様の一部を表す図である。
図3図3は本発明の地盤改良工法の手順を表すフローシートである。
図4図4は注入ポイントにおける薬液注入ロッドの一態様を表す図である。
図5図5は注入ポイントにおける薬液注入ロッドの設置態様説明図であって、(a)は地層探査の態様、(b)は注入ロッド挿入穴の掘削態様、(c)は注入ロッドの設置・注入態様、(d)は注入ロッドのステップアップの態様、をそれぞれ表す。
図6図6は本発明の地盤改良工法における他の実施形態の手順を表すフローシートである。
図7図7は第9発明に係る地盤改良工法の実施形態を表す一部概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の地盤改良工法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
この実施形態は、軟弱地盤を改良するものであって、作業の実施にあたり、まず、図3のフローシートで示すような手順で実施される。
この軟弱地盤1(以下、単に「地盤1」として説明する。)における改良必要区域を仮想的に複数区画に分割設定し(S1)、その各区画に対して所要の間隔で複数箇所に注入ポイントPを設ける(S2)。そして、前記各区画で地層について探査を行う(S3)。その後に各注入ポイントPで注入ロッド挿入穴を掘削し、これら各注入ポイントPに薬液注入管10を配設する(S4)。薬液供給装置20を適所に設置し(S5)、前記各薬液注入管10には切換手段を介して薬液供給装置20から薬液材が配管(ホース)で分配できるようにする(S6)。その後において各注入ポイントPにおける薬液注入管10に対し、制御手段によって注入の条件設定し(S7)、この設定条件に応じて薬液の注入を切換えて多点インターバルで注入する(S8)。この注入操作が繰返されて所定時間経過すると注入を一旦停止し(S9)、薬液注入管10を所要量引上げる(ステップアップ操作)を行う(S10)。以後、前記薬液材の注入操作と前記薬液注入管10のステップアップ操作とを組合わせて(S11〜S15)地盤1中に柱状の固結体50を造成して、地盤1の圧密強度を高めるのである。
【0030】
前記作業手順についてより具体的に説明する。この実施形態では、地盤改良する区域を、まず複数の区画に仮想的に分割して作業を進めるようにする。
【0031】
前記仮想的に分割した区画には、複数の注入ポイントPを所要の間隔(例えば2m)で一列または複数列に配分して割り当て、その各注入ポイントPに所要の薬液注入管10(以下、「薬液注入ロッド10」という)を挿入設置できるようにする。このために、各注入ポイントPの中央位置に注入ロッド挿入穴5を掘削して薬液注入ロッド10の設置準備を行う。
【0032】
前記薬液注入ロッド10は、前記注入ロッド挿入穴5に挿入できる口径で、長さ寸法が前記注入ロッド挿入穴5の深さに対応できるように、周知構造の継ぎ手によって長さ方向に複数に分割でき、一軸に接続形成できる公知の二重管構造のものが用いられる。
【0033】
前記各薬液注入ロッド10に対する注入薬液材を供給する薬液供給装置20は、例えば水ガラス系注入材(A液)とセメント系注入材(B液)とを個々に調製し、これらA液とB液とをそれぞれ個別に送液高圧ポンプ(図示省略)によって供給できるようにしたものを用いる。
【0034】
前記分割設定した改良区画に掘削する注入ロッド挿入穴5の深さ寸法の設定は、掘削作業に先立って、地層探査装置36を用い地層の探査(例えばスウェーデン式サウンディング試験方法による)を行い、安定地層2を確認して行うようにする(図5(a)参照)。
【0035】
前記地層の探査で安定地層2が確認できた注入ポイントPでは、小型の掘削機38によって所要の深さに薬液注入ロッド10が挿入できる注入ロッド挿入穴5を掘削する(図5(b)参照)。その注入ロッド挿入穴5の深さは、例えば、地盤1内部の安定地層2に達する深さとなるように掘削するのが好ましい。したがって、一区画に配分設置される薬液注入ロッド10の挿入深さは、改良する地盤1内の地層の状態によって一定するものではない。この掘削された注入ロッド挿入穴5に対しては、その深さ寸法に対応する長さに調整された薬液注入ロッド10を用意して挿入設置する(図5(c)参照)。
【0036】
前記の薬液注入ロッド10を地中に挿入設置した各注入ポイントPには、前記薬液供給装置20から切換弁を配する分配器25を中継して各薬液注入ロッド10に配管し、薬液供給装置20に併設される制御手段(制御盤40)によって前記分配器25の切換弁を制御し、設定した注入時間で供給する注入ポイントPを選択し切換え、薬液材の1回の注入量を決めて、時間を短くして選択された注入ポイントPを巡らせ、順次繰り返し注入できるようにする(所要インターバルでの注入を行う)。
【0037】
前述のように設定した仮想的改良区画に配した注入ポイントPに設置された薬液注入ロッド10には、別途設置した薬液供給装置20において別個に調製注入する薬液材(A液とB液)を、それぞれ配管22,23によって別個に供給する。ここで使用される薬液材は、凝固時間の長いもの、いわゆる緩結性薬液材を用いる。また、注入の操作を制御する制御手段(制御盤40)では、コンピュータによる選択設定により、1か所の注入ポイントPでの1回の薬液材注入量として例えば約200L(200リットル)とし、この注入量が薬液注入ロッド10先端から地中に注入されるに要する時間経過すると、当該注入ポイントPへの薬液材の供給を切換弁によって他の注入ポイントPにおける薬液注入ロッド10への配管に順次切換える。
【0038】
こうして注入ポイントPで薬液注入ロッド10によって地中に注入された薬液材は、この注入ポイントPの周囲に拡散する。この注入薬液材の1回あたりの注入量は、前述のように少ないのと同時に短い時間で注入されるので、広範囲に流動するのが阻止されて、地中にあって広く拡散することがなく、注入ポイントP(薬液注入ロッド10)の周囲にとどまる。
【0039】
薬液供給装置20から送り出される薬液材は、制御盤40によって予め設定された注入順序と1か所での注入量に基づいて各注入ポイントPへの供給を切換えて薬液材の注入操作が行われる。したがって、薬液供給装置20からは連続して薬液材が送り出されるが、分配器25の切換弁が制御指令によって所定の順序で各注入ポイントPに給液が切換えられ、各注入ポイントPを一巡すると再度前記要領で設定量の薬液材が順次注入される。なお、注入の状況に応じて注入ポイントPへの供給量や注入時間、供給する薬液材の選択変更などを行うことができる。
【0040】
各注入ポイントPでは、注入された薬液材が緩結性であることにより先に注入された薬液材が土壌と結合してホモゲル状態にある固結体層51に対し、次に巡ってきた薬液材の注入により、形成される固結体層51aが、その一部が先の固結体層51に結合するとともに、その一部を注入圧力によって割裂させて周囲に流動し、先の凝固部分と一体化して固結体層51aを拡張展開する。
【0041】
このようにして各注入ポイントPに所要のインターバルで切換えて順次薬液材の注入が行われると、一回の注入量が過量ではないので周囲に広く拡散せず、その注入ポイント(薬液注入ロッド10)を中心にして周囲に薬液材が散逸するのを阻まれて、比較的狭い範囲に注入拡散する薬液材をとどめて円盤状の固結体層51aを凝結形成することができる。薬液材は、その後の注入によって先の固結体部分におけるホモゲル状態の部分から後続注入の薬液材が地中に流動する部分で、次第に抵抗の少ない固結体51の上側に流出することになるので層状に流動し、順次積層状態で凝固されてブロック化することになる。
【0042】
各注入ポイントPでは、所要インターバルでの注入操作により、やがて、注入された薬液材と土壌との結合による固結体51がブロック状に造成されると、次の操作に移行する。
【0043】
注入ポイントPの地上部では、図5(d)に示されるように、リフト装置30が薬液注入ロッド10を囲うようにして設置される。このリフト装置30は所要の小型支持枠31(支持フレーム)を地上部に設置し、この支持枠31に付帯させるジャッキ装置32によって薬液注入ロッド10を所要寸法真上に引き上げるようにする。
【0044】
ここでは、基端を支持枠31の一部に取付けたジャッキ装置32の可動端に設けてあるクランプ機構を油圧装置(いずれも図示省略)と関連して作動させ、上昇操作時にはこのクランプ機構によって薬液注入ロッド10のロッド部分を把持させる。次いで、ジャッキ装置32の移動量(ストローク)を加減して薬液注入ロッド10の引き上げ量を決める。
【0045】
所要量の薬液材注入により地盤1内に固結体51のブロックが造成できたと推定されたならば、前記リフト装置30のジャッキ装置32を作動させて薬液注入ロッド10を所要寸法h引き上げる操作(ステップアップ)を行う。このステップアップ操作が各注入ポイントPを巡って順次行なわれると、次の操作に移行する。
【0046】
次いで、再び各注入ポイントPの薬液注入ロッド10に対する薬液材の供給と注入操作に移行する。以後の薬液材の注入操作は、前記要領で行い所要量の注入により地盤1中に固結体層51(51a)のブロックが造成されると、注入操作を一時中断させる。その後に、前述のようにリフト装置30を作動させて薬液注入ロッド10を所要寸法hステップアップさせる。
【0047】
このようなステップアップ操作が順次各注入ポイントPにおいて行われ、一巡する間に、ステップアップが行われた注入ポイントPの薬液注入ロッド10に対して薬液材を注入する操作を順次開始する。
【0048】
このようにして各注入ポイントPで注入操作が数回巡回するたびに、薬液材の注入操作を順次停止して、薬液注入ロッド10のステップアップ操作に切換える。以後、前記注入およびステップアップ操作を順次繰り返し、薬液注入ロッド10が注入操作の上限位置に達したならば、注入作業を終了し、撤去作業に移行する。
【0049】
このような薬液材の注入操作によって地盤中には、各注入ポイントPにおいてそれぞれのステップアップごとに形成される固結体51(51a)ブロックの積み重ねによって柱状の固結体50が造成される。地盤1ではそれら造成された柱状の固結体50によって横方向の押圧力が大きく作用して、土壌が圧密され、地盤1が強化されることになる。
【0050】
次に、改良対象領域を所要数の区画に区分して、さらにその複数区画を纏めて複数のブロックに区分し、そのひとつの区分を一ユニットとし、ユニットごとに分割して注入操作する実施態様について説明する。なお、各部の構成については前記実施形態と同様であるから、同一部分については前記実施形態のものと同一の符号を付して詳細な説明について省略する。また、作業の手順については、図6にフローシートで表している。
【0051】
この実施態様では、基本的に前述の注入操作と同様で、区分したユニットごとに作業を実施するものである。すなわち、改良区画の一ユニットAの注入作業がある程度進捗すれば、隣接する区画A′(図2参照)において、前記実施形態と同様の要領で注入区画の分割設定と注入ポイントPの設定を行い、その各注入ポイントPに対する薬液注入ロッド10の植設準簿を行うようにする(T1〜T4)。これに並行して区画外の適所に薬液供給装置20を設置する(T5)。
【0052】
こうして準備が整うと、各注入ポイントPの薬液注入ロッド10には、前記薬液供給装置20から切換手段の分配器を介してそれぞれに配管し(T6)、前述の実施形態と同様に制御盤40にて選択設定した注入条件で所要インターバルで順次切換えて薬液材の供給を行い(T7,T8)、所要回薬液材の注入が巡回して繰返されると送液を一旦停止する(T9)。この状態で地中には注入薬液材と土壌との結合によって前述のようにブロック状の固結体が形成される。
【0053】
前記薬液の注入操作を一旦停止した後には、前記実施形態と同様に地上部に設置してリフト装置によって薬液注入ロッド10を所要量引上げる操作を行う(T10)。各注入ポイントでの前記薬液注入ロッド10の引上げ操作が順次行われると、再び注入操作を再開し、以後所要のインターバルで各注入ポイントでの注入操作が順次巡回して繰返され、薬液材が所要注入量供給されると再び注入を停止し(T11)、薬液注入ロッド10の引上げ操作(ステップアップ)を行う。
【0054】
こうして薬液材の注入操作と薬液注入ロッド10の引上げ操作とをn回繰返し(T12)、上限位置まで薬液注入ロッド10が引き上げられると、注入作業を停止する(T13)。その結果、地中には各注入ポジションで形成された固結体が積み重なって柱状の固結体が造成される。
【0055】
前述のようにして1グループの区画での注入作業が終了すると、次のグループでの薬液材の注入作業に移行する。次の注入グループに移行する場合には、前述のように、注入区画を設定して(ステップT4に戻って)、薬液注入ロッド10の設置操作を順次並行して行うようにすることで、新たに準備した各注入ポイントPに対して先に注入作業が行われて終了した箇所の注入ポイントPから新たな注入ポイントPに対して薬液供給装置20からの配管22,23などを移設する。こうすることで、継続的に注入作業が実施でき、作業効率を高めることができる。
【0056】
こうして新たな各注入ポイントPに植設された薬液注入ロッド10には、前述のように、T4に戻って薬液供給装置20からそれぞれに前記要領で薬液材を順次巡回して注入するとともに、所要手順でステップアップ操作を繰返し実行すれば、新たな区画での地盤改良作業を遂行することができる。したがって、所要の区域での薬液材の注入作業が行えれば、所期の目的を達成できる。なお、前記操作の繰り返しで所定の区画における薬液材の注入による地盤の改良操作が完了すれば、作業終了となる。
【0057】
前記実施形態では、各注入ポイントPでの薬液注入ロッド10の設置について、先に注入ロッド挿入穴5を掘削し、この注入ロッド挿入穴5に薬液注入ロッド10を挿入設置する方法を採用したものについて記述したが、本発明趣旨に基づけば、この方式に代えて小型の掘削機を使用し、先端に掘削ビット(掘削カッター)を備えた注入ロッド(図示せず)で所要深度まで掘削挿入し、前記要領(多点注入インターバル)でもって1か所に設置した薬液供給装置20から薬液材を順次切換えて供給することで、所期の目的を達成することができる。
【0058】
また、前記各注入ポイントPでの薬液注入ロッド10のステップアップ操作については、薬液材の注入過程で、薬液注入ロッド10を徐々に引き上げる操作を並行して行うようにしてもよい。したがって、この操作を行うには、予め各注入ポイントPに前記リフト装置30を配置して、制御手段によりリフト装置30のジャッキ装置32を選択的に作動させるようにする。
【0059】
本発明においては、薬液供給装置に設けられる1組(1台)の高圧送液ポンプによって供給される薬液材を多点に配設された薬液注入管に対して、予め設定したインターバルで順次切換えて所要の給液量を巡回して供給注入することにより、注入ポイント(設置した薬液注入ロッド)の周囲に注入材をとどめて固結体を順次積層形成することによる地盤の圧密強化を図ることができる。したがって、大型の設備などを要することなく、比較的に短い時間で地盤改良を行うことができ、経済性を高めることができる。
【0060】
また、次に本発明に基づく他の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0061】
この実施形態では、前述の実施形態と同様に、仮想的に分割した複数の区画に注入ポイントPaを所要の間隔(例えば2m)で一列または複数列に配分して割り当て、その各注入ポイントPaに所要の薬液注入管(チューブ)を挿入設置できるようにする。
【0062】
前記注入ポイントPaでは、複数本の長さの異なる比較的細径の薬液注入管10n(複数本の薬液注入管(チューブ)を総称して10nで表す)をそれぞれ独立した状態で1グルーブとして植設される。この1グルーブの薬液注入管10nは、その軸方向の長さを異なる所要寸法で、例えば図7に示すように、その注入吐出口11が多段になる設定して配設するように設定される。
【0063】
前記1グループの薬液注入管10nは、その先端に掘削錐を備えたもので、かつその掘削錐の近傍(例えば上側)に注入吐出口11を備えた構造のものを用いるのが好ましい。それら薬液注入管10nは、それぞれ公知の掘削手段によって地盤1に対して掘削挿入して植設する。
【0064】
植設された各薬液注入管10〜10の上端には薬液材の注入ヘッド12が取付けられ、地盤改良区域の近傍に設置した薬液供給装置(図示省略)から切換手段を備えた分配器(図示省略)を通じて前記各薬液注入管10nにそれぞれ配管接続される。前記切換手段は前記薬液供給装置に付設された制御手段(制御盤)によって設定される注入条件に基いて所要のインターバルで順次各薬液注入管10nに供給を切換えて注入操作が行えるようにする。
【0065】
このようにして注入ポイントPaに設置された薬液注入管10nには、調製された薬液材を薬液供給装置から分配器を介して制御手段(制御盤)にて設定した注入条件に従って順次供給を切換えて各薬液注入管10nに供給し、地中に注入する。
【0066】
前記薬液注入管10nから地中に注入される薬液材は、前記制御盤で設定された注入条件によって、各薬液注入管10nに少量ずつごく短い時間で注入すると操作を順次切換える動作が繰返される。こうして薬液材は地中に注入されると、この注入ポイントPaにおける各薬液注入管10nが所要の長さ寸法で段階的に異なるように配設されているから、各薬液注入管10nの注入吐出口11から地中に吐出注入された薬液材が各注入地点の周囲に分散拡大し、注入吐出口11の周囲で土壌と結合して固結体52を形成する。
【0067】
前記薬液注入管10nの注入吐出口11から吐出される薬液材は、前述のように薬液材が少量ずつ短い時間で注入され、かつ適宜時間経過して再び注入される操作が繰り返されるので、周囲に薬液材が散逸するのを阻まれて、比較的狭い範囲に注入拡散する薬液材をとどめてほぼ円盤状の固結体52が形成され、その後の注入によって先の固結体部分におけるホモゲル状態の部分から後続注入の薬液材が地中に流動する部分で、次第に抵抗の少ない固結体52の上側に流出することになって層状に流動し、順次積層状態で凝固されてブロック化する。
【0068】
薬液材の注入によって各薬液注入管10nで前述のような態様がなされると、各固結体52が多段に形成されて地中に柱状の固結体50が造成される。
【0069】
したがって、複数箇所に配された注入ポイントPaにおいて薬液材の注入が行われると、各所で前述のような挙動によってそれぞれ地中に柱状の固結体50が造成され、これら柱状の固結体50により軟弱な地層に横方向の押圧力が作用して圧密され、地盤1の強化がなされるのである。
【0070】
この発明によれば、複数箇所に区画した改良対象域で各区画に配した注入ポイントにおいて、薬液材の注入吐出口が多段に配置されるように長さ寸法の異なる薬液注入管を独立して植設し、これら薬液注入管群に選択してインターバル注入するようにして、固結体ブロックを多段積層状態で柱状の固結体を造成することができ、軟弱地盤を強化して改良することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 地盤(軟弱地盤)
2 安定地層
5 注入ロッド挿入穴
10 薬液注入ロッド
10n 薬液注入管(チューブ)
11 薬液注入管の吐出注入口
20 薬液供給装置
22,23 薬液材供給用の配管
25 分配器
30 リフト装置
32 ジャッキ装置
40 制御盤(制御手段)
50 柱状の固結体
51,51a,52 固結体層
P,Pa 注入ポイント
A 注入区画の注入ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7