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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-42908(P2015-42908A)
(43)【公開日】2015年3月5日
(54)【発明の名称】室外機システムおよび空調システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/14 20110101AFI20150206BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20150206BHJP
【FI】
   F24F1/14
   F25B27/00 P
   F25B27/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-174039(P2013-174039)
(22)【出願日】2013年8月25日
(71)【出願人】
【識別番号】513215339
【氏名又は名称】一般社団法人エレメント
(71)【出願人】
【識別番号】512140038
【氏名又は名称】株式会社育水舎アクアシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100124017
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 晃秀
(72)【発明者】
【氏名】木村 太
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA05
(57)【要約】
【課題】 エネルギー消費効率が向上した室外機システムおよび空調システムを提供する。
【解決手段】 室外機システム100、200は、一つ又は複数の空調装置の室外機112と、室外機112において熱媒体と熱交換する気体の温度を調整する気体温度調整装置116とを含む。室外機システム100は、一つ又は複数の空調装置の室外機を収容する収容室114を含むことができる。室外機システム200は、気体温度調整装置116で温度調整された気体を、熱媒体と熱交換する気体を吸入する室外機の吸入部112aに向けて案内する案内路220を含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又は複数の空調装置の室外機と、
前記室外機において熱媒体と熱交換する気体の温度を調整する気体温度調整装置とを含む、室外機システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記一つ又は複数の空調装置の室外機を収容する収容室を含む、室外機システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記気体温度調整装置で温度調整された気体を、熱媒体と熱交換する気体を吸入する室外機の吸入部に向けて案内する案内路を含む、室外機システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記気体温度調整装置は、再生可能エネルギーに由来する電源により駆動される、室外機システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記気体温度調整装置は、地下水と前記収容室の気体との間で熱交換を行うための熱交換器である、室外機システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記気体温度調整装置は、
気体と液体との間で熱交換を行うための気液接触室と、
前記気液接触室内に液体を導入するための液体導入口と、
前記気液接触室内の液体を導出するための液体導出口と、
前記気液接触室内に気体を導入するための気体導入口と、
前記気液接触室内の気体を導出するための気体導出口と、
前記気液接触室内の気体の圧力、又は、前記気液接触室内に導入する気体の圧力を制御する圧力制御手段と、を含み、
前記圧力制御手段は、コンプレッサーを用いずに気体の圧力制御を行い、ブロワを含んで構成される、室外機システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の室外機システムを含む、空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の室外機を含む室外機システムおよび空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、空調システムにおいて、室内機と室外機との間に熱媒体を循環させ、室外機において外気と熱媒体との間で熱交換している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−147078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、エネルギー消費効率が向上した室外機システムおよび空調システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.室外機システム
本発明に係る室外機システムは、
一つ又は複数の空調装置の室外機と、
前記室外機において熱媒体と熱交換する気体の温度を調整する気体温度調整装置とを含む。
【0006】
本発明によれば、気体温度調整装置により温度調整された気体が室外機に取り込まれ、熱媒体と熱交換することになる。このため、収容室内の気体の温度を制御することで、冷暖房平均エネルギー消費効率が高くなる温度にすることができ、空調システムの省エネルギー効果を高めることができる。
【0007】
本発明において、前記一つ又は複数の空調装置の室外機を収容する収容室を含むことができる。
【0008】
本発明によれば、室外機が収容室内に収容され、気体温度調整装置により、その収容室内の気体の温度を制御することができる。このため、室外機は収容室内の温度が制御された気体を取り込み、外気を直接に取り込むことにはならない。したがって、収容室内の気体の温度を制御することで、冷暖房平均エネルギー消費効率が高くなる温度にすることができ、空調システムの省エネルギー効果を高めることができる。
【0009】
また、室外機からの廃熱の過度な高温化、低温化を避けることができるため、夏場のヒートアイランド対策にもなる。また、冬場のデフロスト運転を回避することができる。
【0010】
本発明において、前記気体温度調整装置で温度調整された気体を、熱媒体と熱交換する気体を吸入する室外機の吸入部に向けて案内する案内路を含むことができる。
【0011】
本発明によれば、気体温度調整装置で温度調整された気体を室外機に向けて案内する案内路を設けている。熱交換する気体の温度を調整して、その気体が室外機に向けて供給されることになるため、気体温度調整装置により、室外機の吸入部から入る気体の温度を制御することができる。このため、室外機は気体温度調整装置によって温度が制御された気体を取り込むことになる。したがって、気体温度調整装置によって室外機に供給する気体の温度を制御することで、冷暖房平均エネルギー消費効率が高くなる温度にすることができ、空調システムの省エネルギー効果を高めることができる。
【0012】
また、室外機からの廃熱の過度な高温化、低温化を避けることができるため、夏場のヒートアイランド対策にもなる。また、冬場のデフロスト運転を回避することができる。
【0013】
本発明において、前記気体温度調整装置は、再生可能エネルギーに由来する電源により駆動されることができる。これにより、より省エネルギー化を図ることができる。
【0014】
本発明において、前記気体温度調整装置は、地下水と前記収容室の気体との間で熱交換を行うための熱交換器であることができる。これにより、より省エネルギー化を図ることができる。
【0015】
本発明において、気体温度調整装置は、
気体と液体との間で熱交換を行うための気液接触室と、
前記気液接触室内に液体を導入するための液体導入口と、
前記気液接触室内の液体を導出するための液体導出口と、
前記気液接触室内に気体を導入するための気体導入口と、
前記気液接触室内の気体を導出するための気体導出口と、
前記気液接触室内の気体の圧力、又は、前記気液接触室内に導入する気体の圧力を制御する圧力制御手段と、を含み、
前記圧力制御手段は、コンプレッサーを用いずに気体の圧力制御を行い、ブロワを含んで構成される。
【0016】
本発明においては、圧力制御手段がコンプレッサーを用いずに気体の圧力制御を行い、ブロワを含んで構成されていることで、省エネルギー性能が向上した気体温度調整装置を実現することができる。
【0017】
本発明において、前記ブロワは、吐出圧が0.1〜2.0kgf/cmとすることができる。
【0018】
本発明において、前記ブロワは、前記気液接触室内に気体を導入する前において、当該気体を加圧することができる。これにより、気液接触室内の気体が加圧状態になり、気液接触室から導出された気体が外に排出される際に、断熱的に膨張するために気体の温度を低下させることができる。
【0019】
本発明において、前記ブロワは、前記気液接触室内の気体を吸引することができる。これにより、気液接触室内の圧力が負圧状態となりことから、気体が断熱的に膨張し、温度が低下し、飽和水蒸気量が低下する。このため、気体中に含まれる水蒸気の一部が液体の水となり、潜熱が発生し、その潜熱エネルギーが気体に取り込まれる。また、気体の圧力が負圧の状態になっているため、気体が外部に放出される際に、断熱的に加圧されるために、温度がその分だけ、向上することになる。
【0020】
本発明において、前記ブロワは、前記気体導入口および前記気体導出口に接続され、前記気体導入口と前記送風装置との間に第1の開閉部が設けられ、前記気体導出口と前記送風装置との間に第2の開閉部が設けられていることができる。これにより、開閉部を切り替えることで、ブロワを気液接触室の上流側と下流側との切り替えをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1の空調システムおよび室外機システムを模式的に示す図である。
図2】第2の空調システムおよび室外機システムを模式的に示す図である。
図3】気液接触装置を模式的に示す図である。
図4】冷房運転時における気液接触装置の説明図である。
図5】暖房運転時における気液接触装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
1.第1の空調システムおよび第1の室外機システム
空調システムおよび室外機システムの一例として、第1の空調システムおよび第1の室外機システムを説明する。
【0024】
第1の空調システム100は、空調室122内にある室内機120と、室外機システム110とを含む。第1の室外機システム110は、一つ又は複数の空調装置の室外機112と、一つ又は複数の空調装置の室外機112を収容する収容室114と、気体温度調整装置116とを含む。
【0025】
室内機120と室外機112との間に熱媒体が循環している。室内機120および室外機112は特に限定されず、空調装置の公知の室内機および室外機を適用することができる。
【0026】
室内機120において、熱媒体と室内機120のある空調室122内の気体との間で熱交換が行われる。室外機112において、熱媒体と収容室114内の気体との間で、熱交換が行われる。
【0027】
気体温度調整装置116は、室外機112において熱媒体と熱交換する気体の温度を調整するものである。第1の空調システムおよび第1の室外機システムにおいて、気体温度調整装置116は、具体的には、収容室114の気体の温度を冷却又は加温する。気体温度調整装置116は、気体温度を調整することができるものであれば特に限定されないが、後述する地下水などを利用した気液接触装置、再生可能エネルギーに由来する電源により駆動される空調装置、または、太陽熱、地熱、排熱、地下水熱などの熱源を利用する空調装置であることが好ましい。再生可能エネルギーに由来する電源により駆動される空調装置としては、再生可能エネルギーに由来する電源を駆動源とした、公知の空調装置を適用することができる。再生可能エネルギーに由来する電源としては、たとえば、太陽光エネルギー、風力エネルギー、地熱エネルギーなどの再生エネルギーを利用した電源を挙げることができる。
【0028】
収容室114は、建屋であっても、ビニールハウスなどのシート状のハウスであってもよく、室外機112が覆われていればよい。収容室114には、必要に応じて、開閉可能な通気口(図示せず)を設けてもよい。収容室114内の気体の温度を計測するための温度計測器(図示せず)を設けてもよい。収容室114は、公知の断熱材からなるとができる。収容室114は、密閉されていても、又は、開口部により一部開放されていてもよい。
【0029】
以下、第1の室外機システム110および第1の空調システム100の作用効果を説明する。
【0030】
第1の室外機システム110および第1の空調システム100において、室外機112が収容室114内にあり、その収容室114内にある気体の温度を調整する気体温度調整装置116が設けられている。室外機112が収容室114内にあることで、室外機112は、収容室114の気体と熱媒体との間で、熱交換されることになる。空調システムが冷房運転の場合、室外機において熱媒体と熱交換する外気の温度が高いと、冷暖房平均エネルギー消費効率(COP)が低くなる。一方、暖房運転の場合、室外機112において熱媒体と熱交換する外気の温度が低いと冷暖房平均エネルギー消費効率(COP)が低くなる。
【0031】
第1の室外機システム110および第1の空調システム100においては、室外機112が収容室114内に収容され、気体温度調整装置116により、その収容室114内の気体の温度を制御することができる。このため、室外機112は収容室114内の温度が制御された気体を取り込み、外気を直接に取り込むことにはならない。したがって、収容室114内の気体の温度を制御することで、冷暖房平均エネルギー消費効率が高くなる温度にすることができ、空調システム100の省エネルギー効果を高めることができる。
【0032】
また、室外機112からの廃熱の過度な高温化、低温化を避けることができるため、夏場のヒートアイランド対策にもなる。また、冬場のデフロスト運転を回避することができる。
【0033】
2.第2の空調システムおよび室外機システム
空調システムおよび室外機システムの一例として、第1の空調システムおよび第1の室外機システムを説明する。
【0034】
第2の空調システム200および第2の室外機システム210は、収容室を設けずに、気体温度調整装置116で温度調整された気体を室外機112の気体吸入部112aに向けて案内する案内路220を設けている点で、第1の空調システム100および室外機システム110と異なり、それ以外の点については基本的に同様である。
【0035】
第2の空調システムおよび第2の室外機システムは、気体温度調整装置で温度調整された気体を室外機の気体吸入部(熱媒体と熱交換する気体を吸入する室外機の吸入部)112aに向けて送るための送風装置(ファンなど)230を設けてもよい。案内路は、たとえば、ダクトや、筒状のもので構成することができる。
【0036】
第2の空調システム200および第2の室外機システム210において、気体温度調整装置116で温度調整された気体を室外機112に向けて案内する案内路220を設けている。熱交換する気体の温度を調整して、その気体が室外機112に向けて供給されることになるため、気体温度調整装置116により、室外機112の気体吸入部112aから入る気体の温度を制御することができる。このため、室外機112は気体温度調整装置116によって温度が制御された気体を取り込むことになる。したがって、気体温度調整装置116によって室外機112に供給する気体の温度を制御することで、冷暖房平均エネルギー消費効率が高くなる温度にすることができ、空調システム100の省エネルギー効果を高めることができる。
【0037】
また、室外機112からの廃熱の過度な高温化、低温化を避けることができるため夏場のヒートアイランド対策にもなる。また、冬場のデフロスト運転を回避することができる。
【0038】
2.温度調整装置
(1)構成
次に、好適な温度調整装置について説明する。温度調整装置として気液接触装置10を例にとり、温度調整装置を説明する。
【0039】
気液接触装置10は、冷房又は暖房装置として機能することができる。気液接触装置10は、気体と液体との間で熱交換を行うための気液接触室20と、気液接触室20内に液体を導入するための液体導入口30と、気液接触室20内の液体を導出するための液体導出口32と、気液接触室20内に気体を導入するための気体導入口40と、気液接触室20内の気体を導出するための気体導出口42と、気液接触室20の気体の圧力を制御する圧力制御手段50と、を含む。
【0040】
気液接触室20は、たとえば、直接気液接触塔により構成することができる。気液接触室20内には、ラシヒリングなどの充填材22を設けてもよい。気液接触室20内の圧力を計測するための圧力計24を設けることができる。
【0041】
圧力制御手段50は、コンプレッサーを用いずに圧力制御を行い、ブロワB1により構成されている。ブロワB1は、吐出圧がたとえば気圧の2倍前後、具体的には、0.1〜2.0kgf/cm、好ましくは0.1〜1.5kgf/cm、より好ましくは0.1〜1.0kgf/cmとすることができる。ブロワB1は、気液接触室20内に気体を導入する前において気体を加圧する機能、及び、気液接触室20内の気体を吸引する機能の少なくとも一方の機能を有する。ブロワB1は、ターボ機能を有するターボブロワであってもよい。
【0042】
気液接触装置10は、第1〜第5の管路70a〜70eおよび第1〜7の開閉装置60a〜60gを有する。第1〜第5の管路70a〜70eは、気体が通過する管路であり、公知の管を適用することができる。第1〜第7の開閉装置60a〜60gは、たとえば、開閉バルブなどから構成され、開いていたときには気体又は液体が通過させ、閉じたときには気体又は液体を通過させないようにするものである。
【0043】
第1の管路70aは、一方の端が気液接触室20の気体導入口40に接続されている。第2の管路は、一方の端が気液接触室20の気体導出口42に接続されている。
【0044】
第3の管路70cは、第1の管路70aと第2の管路70bとをつないでいる。第3の管路70cには、ブロワB1が設けられている。ブロワB1と第1の管路70aとの間の第3の管路70cの途中に第1の開閉装置60aが設けられている。ブロワB1と第2の管路70bとの間の第3の管路70cの途中に第2の開閉装置60bが設けられている。第1の管路70aにおいて、第3の管路70cとの接続箇所を基準に気液接触室20とは逆側に、第3の開閉装置60cが設けられている。第2の管路70bにおいて、第3の管路70cとの接続箇所を基準に気液接触室20とは逆側に、第4の開閉装置60dが設けられている。
【0045】
第4の管路70dは、第1の管路70aとブロワB1との間の第3の管路70cに接続されている。第4の管路70dには、第5の開閉装置60eが設けられている。第5の管路70eは、第1の管路70aとブロワB1との間の第3の管路70cに接続されている。第5の管路70eには、第6の開閉装置60fが設けられている。
【0046】
気液接触室20には、液体(たとえば水、特に地下水)を導入するための液体導入管70fが設けられている。必要に応じて、ポンプにより液体を気液接触室に導入することができる。液体の導入の仕方は、特に限定されず、たとえば導入管から公知の噴霧装置により霧状にして導入してもよいし、噴霧装置を介さずに導入管から直接導入してよい。噴霧装置を介さずに導入管から直接導入する場合には、ラシヒリングなどの充填材や多層の接触板などに液体を供給し、気液接触を図ってもよい。このようにすることで、気液接触の熱交換効率を高めることができる。
【0047】
気液接触室20には、下に貯まった液体を排出するための液体排出管70gが設けられている。液体排出管70gに、第7の開閉装置60gが設けられている。
【0048】
(2)動作原理
(a)冷房運転時の場合
冷房運転時においては、第1の開閉装置60a、第4の開閉装置60dおよび第6の開閉装置60fを開くと共に、第2の開閉装置60b、第3の開閉装置60c、第5の開閉装置60eを閉じる。
【0049】
ポンプP1を稼働させ液体(たとえば地下水)を気液接触室20内に導入し、第7の開閉装置60gを開き、気液接触室20の液体を排出する。液体は、気液接触室20内に霧状で導入することができる。液体は、気体の温度よりも低い温度とすることができる。
【0050】
ブロワB1を稼働させ、第5の管路70e、第3の管路70c、第1の管路70aを通じて、気体を気液接触室20内に導入する。ブロワB1により気体に加えられる圧力により、気体が断熱的に加圧され、その分だけ、温度が上昇する。
【0051】
気液接触室20内に導入された気体は、液体と直接に接触し、熱交換が行われ、液体により冷却される。気体は加圧された状態で液体の温度と同じかその温度に近い温度まで冷却される。冷却された気体は、第2の管路70bを通じて、排出される。その排出時において、断熱的に膨張し、気体の温度が低下することになる。つまり、液体による冷却の他に、排出時に、断熱的に膨張する作用により、気体の温度がより低下することになる。
【0052】
たとえば、地下水の温度をたとえば15℃とし、導入する気体の温度を25〜30℃としたとき、ブロワB1により加圧された状態の気体は、地下水にて15℃まで冷却される。加圧された状態の気体は、排出される際に断熱的に膨張し、気体温度はさらに低下し、気体温度は15℃未満になる。排出された気体の湿度は、たとえば95%以上となる。
【0053】
(b)暖房運転時の場合
暖房運転時においては、第2の開閉装置60b、第3の開閉装置60cおよび第5の開閉装置60eを開くと共に、第1の開閉装置60a、第4の開閉装置60d、第6の開閉装置60fを閉じる。
【0054】
ポンプP1を稼働させ液体(たとえば地下水)を気液接触室20内に導入し、第7の開閉装置60gを開き、気液接触室20に導入された液体を排出する。液体は、気液接触室20内に霧状で導入することができる。液体は、気体の温度よりも高い温度とすることができる。
【0055】
ブロワB1を稼働させ、第1の管路70aを通じて、気体を気液接触室20内に導入する。
【0056】
気体は、液体と直接に接触し、熱交換が行われ、液体により加温される。気体は減圧された状態で液体の温度と同じかその温度に近い温度まで加温される。加温された気体は、ブロワB1により吸引され、第2の管路70b、第3の管路70cおよび第4の管路70dを通じて、排出される。ブロワB1により、気液接触室20内から気体が吸引されることで、気液接触室20内の気体が減圧下(負圧状態)におかれる。気液接触室20内の気体が減圧した分だけ、気液接触室20内で気体が断熱的に膨張することになり、気体の温度が低下し、飽和水蒸気量が低下する。その結果、気体中に含まれる水蒸気の一部が液体の水になり、潜熱が発生する。その潜熱は気体に取り込まれる。
【0057】
ブロワB1を通じて、気体は加圧され温度が上がると共に、第4の管路70dを通じて排出された加温された減圧状態の気体は、断熱的に圧縮して放出されるため、気体の温度がさらに上昇することになる。
【0058】
地下水の温度をたとえば15℃とし、導入する気体の温度を−10〜10℃としたとき、気体は地下水にて15℃まで加温される。減圧状態の気体は、ブロアB1により加圧され、かつ、排出される際に断熱的に圧縮されるため、気体温度はさらに上昇し、気体温度は15℃を越えることになる。排出された気体の湿度は、たとえば95%以下となる。
【0059】
(3)作用効果
この気液接触装置10によれば、気体を流すための動力源としてブロワB1を利用するのみで足りるため、消費電力が極端に少なく、地下水を汲むためのポンプと合わせても、大幅な省エネルギー効果を実現することができる。コンプレッサーを使用せず、動力はブロワのみで大量の空気を熱交換できるため、最小の電力で大きな熱エネルギーの移動を成し遂げることが可能となるシステムである。つまり、この気液接触装置10によれば、地下水をヒートポンプの冷却水として用いる方式に比べて、コンプレッサーを使用せず、動力は送風装置(ブロワ)のみで大量の空気を熱交換できるため、最小の電力で大きな熱エネルギーの移動を成し遂げることが可能となるシステムである。
【0060】
この気液接触装置10によれば、地下水を熱源とした冷暖房装置を実現することができる。地下水の安定した水温(年間通じ約15〜18℃)を利用して空調を行う方式として、地下水を冷却水として直接水冷式のヒートポンプに導入し、熱回収を行い、冷水・温水を生み出す「地下水熱利用ヒートポンプ方式」が挙げられる。この方式は水を熱源とするため、空気大気からの採熱や一般的な地中熱利用ヒートポンプ方式に比べ熱効率がはるかに高く、効率の良いシステムとなっている。しかし大量の地下水利用には、恒常的に確保できる水量・水質が地域によって限界があり、実施が進んでいない。
【0061】
一方、気液接触装置10において、地下水を熱源とし、地下水を空気に直接気液接触させることで、ヒートポンプによる方式や、地下水を直接ファンコイルユニットに導く方式に比べても、熱交換部でのロスがなく、高い効率性を実現することができる。
【0062】
また、動力源はブロワ程度のごく小電力の装置を使うだけなので、省エネルギー効果は極めて大きい。コンプレッサーを使用せず、大量の空気を熱交換できるため、最小の電力で大きな熱エネルギーの移動を成し遂げることができるシステムである。
【0063】
さらに、気液接触室を接触塔形状とすることで、耐圧性を付与することができ、断熱膨張、圧縮による昇温、冷却効果も付加することができる。これはフェーン現象による昇温効果を塔内で再現することとなる。
【0064】
ブロワ送風方式のために気体を排出する排出出口部に高性能フィルターをつけることも可能である。空気清浄器と同じレベルでの浄化空気を施設内に送ることが可能である。この気液接触装置10によれば、冷房運転時と暖房運転時は空気の入口をバルブ操作で切り替える事のみで行うことが可能で、暖房運転時は、送風装置(ブロワ)は気体導出口から吸引することで気液接触室内は弱い負圧状態となる、冷気は接触等で地下水温(一般的に15〜18℃)に限りなく近づき、出口において気体は送風装置の加圧により若干昇温する。その後、フェーン現象が装置内で再現され、潜熱による温度上昇も加わることとなる。
【0065】
冷房運転時は、真夏のケースでは、たとえば30℃近くの空気が送風装置(ブロワ)で気液接触内に導入される。この時、送風装置(ブロワ)の加圧のため、気体の温度はやや上昇するものの、気液接触内で地下水の温度に限りなく近く冷却される。気液接触室内は、弱い負圧状態であり、噴出されるときに膨張し、温度は更に低下する。
【0066】
この気液接触装置10によれば、収容室112内の外気の温度調整するに当たって、電気消費量を格段に低減することができる。
【0067】
本実施の形態は、本発明の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、冷暖房装置など空調装置の用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
10 気液接触装置
20 気液接触室
30 液体導入口
32 液体導出口
40 気体導入口
42 気体導出口
50 送風装置
60a〜60g 第1〜第7の開閉部
70a〜70e 第1〜第5の管路
80 液体導入管
82 液体排出管
100 第1の空調システム
110 第1の室外機システム
112 室外機
112a 吸入部
114 収容室
116 気体温度調整装置
120 室内機
122 空調室
200 第2の空調システム
210 第2の室外機システム
220 案内路
230 送風装置
図1
図2
図3
図4
図5