【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、1つ以上のコンピュータネットワークを介して、金融商品及び/又は準金融商品のリース取引市場を創設し、利用者同士がリース取引を成立させることができることを特徴とする。
本発明にいうリース取引は、法律上、狭義の賃貸借契約のみならず、転貸借契約や消費貸借契約、消費寄託契約などを含み、また財務会計上もしくは税務会計上、賃貸借処理のみならず、売買処理や金融処理などをされ得る広義の貸借取引を意味し、さらに実際の取引に際して、特別目的会社や信託、組合などの導管体を利用者間に関与させる場合などをも含む。即ち、今日の産業界でいうリース取引に限定されるものではない。そして、本発明におけるリース取引には、資産運用者間のリース取引、資金調達者と資産運用者との間のリース取引、資金取引者間のリース取引などがあり、リース取引が成立した時点で各利用者又は顧客は賃貸人、賃借人、転貸人、転借人などと呼ばれる。
ところで、本発明における資産運用者とは、貸付、預金、株式や債券、コマーシャル・ペーパー、受益権、不動産商品の売買、外国為替商品や金融派生商品、不動産派生商品、現物派生商品の取引などを通じて資産運用を行う国内外の個人や法人をいう。資金調達者とは、借入、預金、株式や債券、コマーシャル・ペーパーの発行、外国為替商品や金融派生商品の取引などを通じて資金調達を行う国内外の個人や法人をいう。そして、本発明では、前記資産運用者としての機能と前記資金調達者としての機能を併せ持つ国内外の個人や法人を資金取引者と呼ぶ。
さらに、本発明においては、資産運用の対象となる金融運用商品や不動産運用商品などの基礎商品を資産運用商品といい、資金調達の対象となる金融調達商品などの基礎商品を資金調達商品と呼ぶ。よって、資金調達者が資金調達商品として利用する債券や株式、コマーシャル・ペーパーなどは、それらを購入する資産運用者の立場から見ると資産運用商品となる。また、資金調達の手段が融資である場合、調達側にとっての基礎商品即ち資金調達商品は借入債務、運用側にとっての基礎商品即ち資産運用商品は貸付債権となり、資金調達の手段が預金である場合、調達側にとっての基礎商品即ち資金調達商品は預金債務となり、運用側にとっての基礎商品即ち資産運用商品は預金債権となる。一方、本発明では、外国為替商品や金融派生商品、不動産派生商品、現物派生商品など、資産運用商品や資金調達商品とは異なる利用のされ方をする各種商品を資金取引商品とする。
そして、本発明において賃貸人は、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品のキャッシュフローや現物を賃借人へ貸し出す替わりに、賃借人よりリース料を受け取り、転貸人は、賃貸人より一旦借り入れた商品のキャッシュフローや現物を転借人へ貸し出す替わりに、転借人より転貸リース料を受け取る。即ち転貸リース取引における転貸人は、原リース取引において賃借人でもある。また本発明では、キャッシュフローの貸借をキャッシュフロー・リースといい、現物の貸借を直接リースと呼ぶ。
尚、本発明におけるキャッシュフローとは資金流入及び資金流出をいう。具体的には、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品における元本部分の資金流出入、並びに元本より生じる利子、配当、地代・家賃を含む賃料などの果実部分の資金流出入を指す。
【0006】
請求項2記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な請求項1記載の記憶媒体であって、前記コンピュータネットワークに接続された1台以上のコンピュータ及び複数の利用者端末に、前記金融・準金融商品のリース取引を希望する者の端末が、賃貸注文又は賃借注文を該コンピュータへ送信する送信手段と、該コンピュータが、該リース希望者の端末から前記送信手段によって送信された賃貸注文又は賃借注文を受け付ける受付手段と、該コンピュータが、前記受付手段によって受け付けた該リース希望者の賃貸注文又は賃借注文を格納する記憶手段と、該コンピュータが、該リース希望者の取引相手となり得る特定又は不特定の候補者の端末へ前記賃貸注文又は前記賃借注文を開示する開示手段と、該リース候補者の端末が、該コンピュータから前記開示手段によって開示された賃貸注文又は賃借注文に基づいて、そのリース取引を対象とする賃借注文又は賃貸注文を該コンピュータへ送信する送信手段と、該コンピュータが、該リース候補者の端末から前記送信手段によって送信された賃借注文又は賃貸注文を受け付ける受付手段と、該コンピュータが、前記受付手段によって受け付けた該リース候補者の賃借注文又は賃貸注文を格納する記憶手段と、該コンピュータが、前記記憶手段によって格納した前記リース希望者の賃貸注文又は賃借注文と、該リース候補者の賃借注文又は賃貸注文とを突き合わせて条件の合致を判別するマッチング手段と、該コンピュータが、前記マッチング手段によって条件が合致すると判別した場合に賃貸注文と賃借注文との間でリース取引を成立させ、前記記憶手段によって格納している両注文を更新する更新手段と、該コンピュータが、前記マッチング手段によって導いた取引結果を該リース希望者の端末及び該リース候補者の端末へ通知する通知手段とを備えることによりリース取引を実現させることができることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な請求項1記載の記憶媒体であって、前記コンピュータネットワークに接続された1台以上のコンピュータ及び複数の利用者端末に、複数の該利用者端末が、前記金融・準金融商品の賃貸注文及び賃借注文を該コンピュータへ送信する送信手段と、該コンピュータが、複数の該利用者端末から前記送信手段によって送信された賃貸注文及び賃借注文を受け付ける受付手段と、該コンピュータが、前記受付手段によって受け付けた賃貸注文及び賃借注文を格納する記憶手段と、該コンピュータが、前記記憶手段によって格納した賃貸注文と賃借注文とを突き合わせて条件の合致を判別するマッチング手段と、該コンピュータが、前記マッチング手段によって条件が合致すると判別した場合に賃貸注文と賃借注文との間でリース取引を成立させ、前記記憶手段によって格納している両注文を更新する更新手段と、該コンピュータが、前記マッチング手段によって導いた取引結果を複数の前記利用者端末へ通知する通知手段とを備えることによりリース取引を実現させることができることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な請求項1記載の記憶媒体であって、前記コンピュータネットワークに接続された1台以上のコンピュータ及び複数の利用者端末に、前記金融・準金融商品の相対リース取引を希望する者の端末が、取引相手となり得る候補者の端末へ相対リース取引要求を送信する送信手段と、該相対取引候補者の端末が、該相対取引希望者の端末から前記送信手段によって送信された相対リース取引要求を受信する受信手段と、該相対取引候補者の端末が、前記受信手段によって受信した相対リース取引要求に対し、受諾、拒否又は交渉の意思決定を該相対取引希望者の端末へ返信する返信手段と、該相対取引希望者の端末が、該相対取引候補者の端末から前記返信手段によって返信された意思決定を受信する受信手段と、該相対取引希望者の端末及び/又は該相対取引候補者の端末が、相対リース取引の成立又は不成立の結果を前記コンピュータへ通知する通知手段とを備えることによりリース取引を実現させることができることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な請求項4記載の記憶媒体であって、更なる手段を備えることを特徴とし、前記コンピュータネットワークに接続された1台以上のコンピュータ及び複数の利用者端末に、前記相対取引希望者の端末が、前記金融・準金融商品の相対リース取引要求を該コンピュータへ送信する送信手段と、該コンピュータが、該相対取引希望者の端末から前記送信手段によって送信された相対リース取引要求を受け付ける受付手段と、該コンピュータが、前記受付手段によって受け付けた相対リース取引要求に合致した相対取引候補者を特定する特定手段と、該コンピュータが、前記特定手段によって特定した相対取引候補者の連絡先を該相対取引希望者の端末へ通知する通知手段とを更に備えることにより相対リース取引を実現させることができることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な請求項1乃至5記載の記憶媒体であって、前記リース取引の対象商品を貸付債権、債券、コマーシャル・ペーパー、預金債権、株式、出資証券、預託証書及び受益証券のうち、何れか1つ以上の金融運用商品とすることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な請求項1乃至5記載の記憶媒体であって、前記リース取引の対象商品を土地、建物、複合不動産、区分所有建物、不動産担保証券及び不動産投資信託のうち、何れか1つ以上の不動産運用商品とすることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な請求項1乃至5記載の記憶媒体であって、前記リース取引の対象商品を借入債務、債券、コマーシャル・ペーパー、預金債務、株式及び出資証券のうち、何れか1つ以上の資金調達商品とすることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、金融商品等リース取引プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な請求項1乃至5記載の記憶媒体であって、前記リース取引の対象商品を外国為替商品、金利派生商品、株式派生商品、不動産派生商品、現物派生商品、複合派生商品、先渡商品、先物商品、オプション商品、スワップ商品のうち、何れか1つ以上の資金取引商品とすることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、資産運用者、資金調達者、資金取引者といった顧客同士による金融商品及び/又は準金融商品のリース取引を支援するためのコンピュータシステムであって、(a)ウェブ・サーバとしての機能とデータベース・サーバとしての機能とを備える1台以上のコンピュータと、(b)前記顧客の複数の利用者端末と、(c)該コンピュータと該利用者端末とを接続する1つ以上のコンピュータネットワークと、(d)前記リース取引に関するデータを格納するリース商品データベースより構成され、(1)リース取引契約書、目論見書、報告書及び開示書のうち、何れか1つ以上に関するデータを格納する契約管理データベース、(2)資金決済及び/又は証券決済に関するデータを格納する決済管理データベース、(3)鑑定評価者の自己紹介資料及び/又は前記リース取引に関する参考・提案資料を格納する評価者情報データベース及び、(4)前記システムの利用者に関するデータを格納するクライアント情報データベースのうち、何れか1つ以上のデータベースを備えることにより、リース注文を需給バランスの原理で直接マッチさせる入札モード及び/又は、通信路を提供されることで前記顧客同士が直接交渉により前記リース取引を成立させる相対モードを実現できることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の金融商品等リース取引システムであって、前記金融・準金融商品のリース取引を希望する者の端末が、賃貸注文又は賃借注文を前記コンピュータへ送信する送信手段と、該コンピュータが、該リース希望者の端末から前記送信手段によって送信された賃貸注文又は賃借注文を受け付ける受付手段と、該コンピュータが、前記受付手段によって受け付けた該リース希望者の賃貸注文又は賃借注文を格納する記憶手段と、該コンピュータが、該リース希望者の取引相手となり得る特定又は不特定の候補者の端末へ前記賃貸注文又は前記賃借注文を開示する開示手段と、該リース候補者の端末が、該コンピュータから前記開示手段によって開示された賃貸注文又は賃借注文に基づいて、そのリース取引を対象とする賃借注文又は賃貸注文を該コンピュータへ送信する送信手段と、該コンピュータが、該リース候補者の端末から前記送信手段によって送信された賃借注文又は賃貸注文を受け付ける受付手段と、該コンピュータが、前記受付手段によって受け付けた該リース候補者の賃借注文又は賃貸注文を格納する記憶手段と、該コンピュータが、前記記憶手段によって格納した前記リース希望者の賃貸注文又は賃借注文と、該リース候補者の賃借注文又は賃貸注文とを突き合わせて条件の合致を判別するマッチング手段と、該コンピュータが、前記マッチング手段によって条件が合致すると判別した場合に賃貸注文と賃借注文との間でリース取引を成立させ、前記記憶手段によって格納している両注文を更新する更新手段と、該コンピュータが、前記マッチング手段によって導いた取引結果を該リース希望者の端末及び該リース候補者の端末へ通知する通知手段とを具備することを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、請求項10記載の金融商品等リース取引システムであって、複数の前記利用者端末が、前記金融・準金融商品の賃貸注文及び賃借注文を前記コンピュータへ送信する送信手段と、該コンピュータが、複数の該利用者端末から前記送信手段によって送信された賃貸注文及び賃借注文を受け付ける受付手段と、該コンピュータが、前記受付手段によって受け付けた賃貸注文及び賃借注文を格納する記憶手段と、該コンピュータが、前記記憶手段によって格納した賃貸注文と賃借注文とを突き合わせて条件の合致を判別するマッチング手段と、該コンピュータが、前記マッチング手段によって条件が合致すると判別した場合に賃貸注文と賃借注文との間でリース取引を成立させ、前記記憶手段によって格納している両注文を更新する更新手段と、該コンピュータが、前記マッチング手段によって導いた取引結果を複数の前記利用者端末へ通知する通知手段とを具備することを特徴とする。
【0017】
請求項13記載の発明は、請求項10記載の金融商品等リース取引システムであって、前記金融・準金融商品の相対リース取引を希望する者の端末が、取引相手となり得る候補者の端末へ相対リース取引要求を送信する送信手段と、該相対取引候補者の端末が、該相対取引希望者の端末から前記送信手段によって送信された相対リース取引要求を受信する受信手段と、該相対取引候補者の端末が、前記受信手段によって受信した相対リース取引要求に対し、受諾、拒否又は交渉の意思決定を該相対取引希望者の端末へ返信する返信手段と、該相対取引希望者の端末が、該相対取引候補者の端末から前記返信手段によって返信された意思決定を受信する受信手段と、該相対取引希望者の端末及び/又は該相対取引候補者の端末が、相対リース取引の成立又は不成立の結果を前記コンピュータへ通知する通知手段とを具備することを特徴とする。
【0018】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の金融商品等リース取引システムであって、更なる手段を具備することを特徴とし、前記相対取引希望者の端末が、前記金融・準金融商品の相対リース取引要求を前記コンピュータへ送信する送信手段と、該コンピュータが、該相対取引希望者の端末から前記送信手段によって送信された相対リース取引要求を受け付ける受付手段と、該コンピュータが、前記受付手段によって受け付けた相対リース取引要求に合致した相対取引候補者を特定する特定手段と、該コンピュータが、前記特定手段によって特定した相対取引候補者の連絡先を該相対取引希望者の端末へ通知する通知手段とを更に具備することを特徴とする。
【0019】
請求項15記載の発明は、請求項10乃至14記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を資産運用商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0020】
請求項16記載の発明は、請求項10乃至15記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を割引幅による及び/又は割増幅に対する資産運用商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0021】
請求項17記載の発明は、請求項10乃至14記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を資産運用商品の直接リースとすることを特徴とする。
【0022】
請求項18記載の発明は、請求項10乃至14、又は17記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を返還型及び/又は非返還型の資産運用商品の直接リースとすることを特徴とする。
【0023】
請求項19記載の発明は、請求項10乃至14記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を資金調達商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0024】
請求項20記載の発明は、請求項10乃至14、又は19記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を償還延長型、償還短縮型及び買入消却型のうち、何れか1つ以上の資金調達商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0025】
請求項21記載の発明は、請求項10乃至14記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を資金取引商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0026】
請求項22記載の発明は、請求項10乃至14、又は21記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を評価益による及び/又は評価損に対する資金取引商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0027】
請求項23記載の発明は、請求項10乃至18記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引の対象商品を貸付債権、債券、コマーシャル・ペーパー、預金債権、株式、出資証券、預託証書及び受益証券のうち、何れか1つ以上の金融運用商品とすることを特徴とする。
【0028】
請求項24記載の発明は、請求項10乃至18記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引の対象商品を土地、建物、複合不動産、区分所有建物、不動産担保証券及び不動産投資信託のうち、何れか1つ以上の不動産運用商品とすることを特徴とする。
【0029】
請求項25記載の発明は、請求項10乃至14、19又は20記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引の対象商品を借入債務、債券、コマーシャル・ペーパー、預金債務、株式及び出資証券のうち、何れか1つ以上の資金調達商品とすることを特徴とする。
【0030】
請求項26記載の発明は、請求項10乃至14、21又は22記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引の対象商品を外国為替商品、金利派生商品、株式派生商品、不動産派生商品、現物派生商品、複合派生商品、先渡商品、先物商品、オプション商品、スワップ商品のうち、何れか1つ以上の資金取引商品とすることを特徴とする。
【0031】
請求項27記載の発明は、請求項10乃至26記載の金融商品等リース取引システムであって、複数の賃貸人及び/又は複数の賃借人が同時に前記リース取引を成立させることができることを特徴とする。
【0032】
請求項28記載の発明は、請求項10乃至26記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を資産運用商品、資金調達商品及び資金取引商品のうち、何れか1つ以上の同種又は異種の商品の抱き合わせリースとすることを特徴とする。
【0033】
請求項29記載の発明は、請求項10乃至26記載の金融商品等リース取引システムであって、前記リース取引を転貸リースとすることを特徴とする。
【0034】
請求項30記載の発明は、請求項10乃至26記載の金融商品等リース取引システムであって、資産運用商品のキャッシュフロー・リース、資産運用商品の直接リース、資金調達商品のキャッシュフロー・リース、資金取引商品のキャッシュフロー・リースの種々の組み合わせにより、資産・負債の総合管理ができることを特徴とする。
【0035】
請求項31記載の発明は、請求項10乃至30記載の金融商品等リース取引システムであって、国境及び/又は取引時間の壁を超え、国内外において1日24時間、前記リース取引を成立させることができることを特徴とする。
【0036】
請求項32記載の発明は、請求項10乃至30記載の金融商品等リース取引システムであって、リース取引商品の瑕疵調査の機能及び/又はリース取引価額の鑑定評価の機能を備えたことを特徴とする。
【0037】
請求項33記載の発明は、請求項10乃至30記載の金融商品等リース取引システムであって、取引照合、契約書の調印・譲渡、リース料の受払、キャッシュフローの授受、現物の授受、法規遵守の検査など、リース成立後の決済・管理機能を集約したことを特徴とする。
【0038】
請求項34記載の発明は、金融商品等リース取引方法であって、1つ以上のコンピュータネットワークを介して、金融商品及び/又は準金融商品のリース取引市場を創設し、利用者同士がリース取引を成立させることができることを特徴とする。
【0039】
請求項35記載の発明は、請求項34記載の金融商品等リース取引方法であって、前記リース取引を資産運用商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0040】
請求項36記載の発明は、請求項34記載の金融商品等リース取引方法であって、前記リース取引を返還型及び/又は非返還型の資産運用商品の直接リースとすることを特徴とする。
【0041】
請求項37記載の発明は、請求項34記載の金融商品等リース取引方法であって、前記リース取引を償還延長型、償還短縮型及び買入消却型のうち、何れか1つ以上の資金調達商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0042】
請求項38記載の発明は、請求項34記載の金融商品等リース取引方法であって、前記リース取引を資金取引商品のキャッシュフロー・リースとすることを特徴とする。
【0043】
さて本発明では、金融商品及び準金融商品のリース取引の種類を、対象商品の属性や取引形態を基に以下のように分類している。
(a)資産運用商品のキャッシュフロー・リース
[1]資産運用商品の一般的なキャッシュフロー・リース
[2]割引幅による資産運用商品のキャッシュフロー・リース
[3]割増幅に対する資産運用商品のキャッシュフロー・リース
(b)資産運用商品の直接リース
[1]資産運用商品の非返還型直接リース
[2]資産運用商品の返還型直接リース
(c)資金調達商品のキャッシュフロー・リース
[1]資金調達商品の償還延長型キャッシュフロー・リース
[2]資金調達商品の償還短縮型キャッシュフロー・リース
[3]資金調達商品の買入消却型キャッシュフロー・リース
(d)資金取引商品のキャッシュフロー・リース
[1]評価益による資金取引商品のキャッシュフロー・リース
[2]評価損に対する資金取引商品のキャッシュフロー・リース
(e)転貸リース
上記(a)〜(d)のリース取引の応用である各種転貸リース
(f)抱き合わせリース
上記(a)〜(d)のリース取引の応用である各種抱き合わせリース
【0044】
以下に、本システムの利用者が前記リース取引において享受できるメリットを箇条書きにして説明するが、これらのメリットに対する理解を深めるため、本発明におけるリース取引の仕組みを併せて説明する。
但し本発明は、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の総体又は一部を当事者間で実質的に又は実際に貸借し、借主が貸主へ直接的又は間接的に手数料相当額を支払う取引のためのコンピュータプログラムを記録した記憶媒体、コンピュータシステム及び方法にあり、そのための仕組みはこれより説明する仕組みに限定されるものではない。
1.本発明では、金融商品や準金融商品の各種リース取引を通じて、資産運用や資金調達、資金取引に絡む新種の取引を行うことができる。
(1)まず本発明は、資産運用商品のキャッシュフロー・リースを通じた新種の資産運用を可能とする。
一つの例として、資産運用者Aが、保有している資産運用商品aを近々処分するに際し、少しでも高い運用利回りの達成を希望し、一方、資産運用者Bが、これから価値が上昇するとの相場観から資産運用商品aの取得を希望しながらも、現在の手元流動性が十分ではないとする。この場合、本発明では、資産運用者Aが資産運用者Bに対して資産運用商品aのキャッシュフローをリースすることにより、両者が希望する経済効果を実現することができる。
【0045】
当該リース取引によって、資産運用者B(以下、賃借人B)は、資産運用商品aを期中市場で自由処分できる権利と当該商品より生じるキャッシュフローを期中受け取る権利を譲り受ける。一方、資産運用者A(以下、賃貸人A)は、資産運用商品aを当該リース取引の受入担保として保有し続けながらも、当該商品の自由処分権を賃借人Bへ譲渡し、当該商品より生じるキャッシュフローを賃借人Bへ期中支払う義務を負う。即ち賃借人Bは、資産運用商品aのこれら使用収益の対価として、期中月次ベースでリース料を賃貸人Aへ支払う。尚、当該リース取引が成立した段階では、賃貸人Aがその時点の評価額で、賃借人Bへ資産運用商品aを譲渡したと見なす。
【0046】
例えば当該リース料は、賃貸人Aが賃借人Bへ譲渡する資産運用商品aの価額に、賃貸人Aが賃借人Bへ課す手数料、資産運用商品aを名目上保有し続けるために賃貸人Aが期中に負担する諸経費などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。尚、当該手数料又は当該経費には、賃貸人Aが資産運用商品aを取得するために市場で行った資金調達のコストを含めることができる。
前記の例において、資産運用商品aの評価額が1000であった時点に、期間3年のリース取引が成立し、賃貸人Aが賃借人Bへ課す手数料が70、賃貸人Aが期中に負担する諸経費が5であったとすると、リース料総額は1075[1000+70+5]、月次のリース料は30[1075÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Bは、初期投資なしに、毎月30の支払で評価額1000の資産運用商品aを実質的に取得して、将来のキャピタル・ゲインを狙い、さらに、当該商品より生じる果実部分の年間キャッシュフローを50(即ち年率5%)とすると、期中150[50×3年]のキャッシュフローを受け取る権利を得たことになる。一方、賃貸人Aは、リース取引成立時に、1000の評価額で資産運用商品aを実質的に処分しながらも、その後、追加投資なしに70の手数料を稼ぐことが可能になる。
【0047】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃借人Bの相場観に沿う形で資産運用商品aの評価額が1200まで上昇したとする。この時点で賃借人Bが自由処分権を行使した場合、当該処分行為を市場で執行する者は名目上の保有者である賃貸人Aであるため、処分代金の1200は賃貸人Aが一旦受け取ることになるが、賃貸人Aはこれを当該商品の実質的な所有者である賃借人Bへと支払う。そして賃借人Bが、355[1075−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して賃貸人Aへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Aは、期首に1000の評価額だった資産運用商品aを、賃借人Bへ1000で譲渡しており、当該リース取引の上でキャピタル・ゲインの獲得はないが、賃借人Bからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Bは、期首に1000で譲り受けた資産運用商品aに対し総額1075のリース料を支払いながらも、期中の自由処分権行使によって200のキャピタル・ゲイン[1200−1000]を獲得し、また、当該商品より期中生じた果実の100[50×2年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースで225の利益[1000−1075+200+100]となった。さらに、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0048】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃借人Bの相場観に反して資産運用商品aの評価額が900まで下落したとする。この時点で賃借人Bが損切りのために自由処分権を行使した場合、当該処分行為を市場で執行する者は名目上の保有者である賃貸人Aであるため、処分代金の900は賃貸人Aが一旦受け取ることになるが、賃貸人Aはこれを当該商品の実質的な所有者である賃借人Bへと支払う。そして賃借人Bが、355[1075−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して賃貸人Aへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Aは、期首に1000の評価額だった資産運用商品aを、賃借人Bへ1000で譲渡しているため、当該リース取引の上でキャピタル・ロスは被らず、賃借人Bからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Bは、期首に1000で譲り受けた資産運用商品aに対し総額1075のリース料を支払い、期中の自由処分権行使によって100のキャピタル・ロス[900−1000]を計上しながらも、当該商品より期中生じた果実の100[50×2年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースでは75の損失[1000−1075−100+100]となった。しかし、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0049】
例えば、資産運用商品aの3年後の償還価額が1100であり、賃借人Bが自由処分権を行使せずに当該商品の満期日即ち当該リース取引の最終日を迎えた場合、又は当該リース取引が当初より自由処分権の付与されていない契約であった場合、1100の償還金は名目上の保有者である賃貸人Aが一旦受け取ることになるが、賃貸人Aはこれを当該商品の実質的な所有者である賃借人Bへと支払う。尚、この時点で賃借人Bは、リース料を既に完納している。
賃貸人Aは、期首に1000の評価額だった資産運用商品aを、賃借人Bへ1000で譲渡しており、当該リース取引の上で償還差益の獲得はないが、賃借人Bからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Bは、期首に1000で譲り受けた資産運用商品aに対し総額1075のリース料を支払いながらも、当該商品が1100で満期を迎えて100の償還差益[1100−1000]を獲得し、また、当該商品より期中生じた果実の150[50×3年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースで175の利益[1000−1075+100+150]となった。さらに、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0050】
例えば、資産運用商品aの3年後の償還価額が1000であり、賃借人Bが自由処分権を行使せずに当該商品の満期日即ち当該リース取引の最終日を迎えた場合、又は当該リース取引が当初より自由処分権の付与されていない契約であった場合、1000の償還金は名目上の保有者である賃貸人Aが一旦受け取ることになるが、賃貸人Aはこれを当該商品の実質的な所有者である賃借人Bへと支払う。尚、この時点で賃借人Bは、リース料を既に完納している。
賃貸人Aは、期首に1000の評価額だった資産運用商品aを、賃借人Bへ1000で譲渡しているため、当該リース取引の上で償還差損益の計上はなく、賃借人Bからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Bは、期首に1000で譲り受けた資産運用商品aに対し総額1075のリース料を支払い、当該商品が1000で満期を迎えたことで償還差損益の計上はないながらも、当該商品より期中生じた果実の150[50×3年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースで75の利益[1000−1075+150]となった。さらに、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0051】
本発明における資産運用商品のキャッシュフロー・リースには、例えば以下のような取引形態がある。
(a)貸付債権や債券、コマーシャル・ペーパー、一部預金債権、一部ファンド型運用商品、一部媒介体など、一般的に満期の存在する資産運用商品がそのまま満期を迎えることを前提として、当該商品の残存期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
(b)一般的に満期が存在する前記商品に残存期間より短い特定の期間を設定して、その間の資金流入、即ち果実のみのキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
(c)一般的に満期が存在する前記商品に関し自由処分権を行使することを前提として、当該商品を処分するまでの期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
(d)土地や建物、複合不動産、株式、一部預金債権、一部ファンド型運用商品、一部媒介体など、一般的に満期が存在しない資産運用商品に関し自由処分権を行使することを前提として、当該商品を処分するまでの期間の資金流入、即ち元本や果実のキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
(e)一般的に満期が存在しない前記商品に特定の期間を設定して、その間の資金流入、即ち果実のみのキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
尚、本発明では、対象商品の満期の有無又は残存期間の長短に関わらず、キャッシュフローの授受が終了した後もリース料の受払が続く場合や、逆にリース料の受払が終了した後もキャッシュフローの授受が続く場合などがある。よって、キャッシュフロー授受の終了日又はリース料受払の終了日の何れか遅い方を、当該リース取引の終了日とすることができる。尚、リース取引開始日を期首、リース取引終了日を期末と呼び、両者と両者の間を併せてリース取引期間又は期中という。
ところで、本発明におけるファンド型運用商品とは、証券投資信託や不動産投資信託、商品ファンド、貸付信託、狭義の金銭信託など、一般的に不特定多数の資産運用者向けに設定・運用される資産運用商品を指し、媒介体とは、特定金銭信託や指定金外信託、運用有価証券信託、投資子会社株式、ファンド型私募債券など、一般的に特定の資産運用者が、簿価分離や果実政策、外部への運用委託などを目的に設定・利用する資産運用商品をいう。
【0052】
(2)次に本発明は、資産運用商品の特定部分のキャッシュフロー・リースを通じた新種の資産運用を可能とする。即ち、本発明における資産運用商品のキャッシュフロー・リースには、商品の総体の評価額を基にしたリース取引に加え、当該評価額の一部を基にしたリース取引が含まれる。
一つの例として、資産運用者Cが保有している資産運用商品cの評価額が3000であるとする。資産運用者Cは、当該商品を近々処分するに際し、少しでも高い運用利回りの達成を希望している。一方、資産運用者Dは、資産運用商品cの価値がこれからも上昇するとの相場観から当該商品の取得を希望しながらも、現在の手元流動性が2000であり当該商品の総体を取得するに十分ではないとする。この場合、本発明では、資産運用者Cが資産運用者Dに対し、資産運用商品cの一部のみ即ち1000をリースすることで、両者が希望する経済効果を実現することができる。
尚、本発明では、商品の総体の評価額の内、リース取引の対象とはならない部分即ち前記の例でいう2000を割引評価額と呼び、リース取引の対象となる部分即ち前記の例でいう1000を割引幅という。
【0053】
当該リース取引によって、まず資産運用者D(以下、賃借人D)は、資産運用商品cの割引評価額相当額を資産運用者C(以下、賃貸人C)へ支払い、当該商品の割引評価額部分及び果実部分の実質的な所有権、並びに当該商品を期中市場で自由処分できる権利を譲り受ける。一方、賃貸人Cは、資産運用商品cを当該リース取引の受入担保として保有し続けながらも、割引評価額相当額の受取と見返りに、当該商品の割引評価額部分及び果実部分の実質的な所有権、並びに当該商品の自由処分権を賃借人Dへ譲渡する。
次に賃借人Dは、割引幅部分をも実質的に所有するために、期中月次ベースでリース料を賃貸人Cへ支払う。即ち賃借人Dは、資産運用商品cのこれら使用収益の対価としてリース料を納めることになる。
【0054】
例えば当該リース料は、賃貸人Cが賃借人Dへリースする割引幅部分の価額(1000)に、賃貸人Cが賃借人Dへ課す手数料、資産運用商品cを名目上保有し続けるために賃貸人Cが期中に負担する諸経費などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。尚、当該手数料又は当該経費には、賃貸人Cが資産運用商品cを取得するために市場で行った資金調達のコストを、一部含めることができる。
前記の例におけるリース取引の期間が3年で、賃貸人Cが賃借人Dへ課す手数料が70、賃貸人Cが期中に負担する諸経費が10であったとすると、リース料総額は1080[1000+70+10]、月次のリース料は30[1080÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Dは、毎月30の支払で評価額1000の割引幅部分も実質的に取得して、将来のキャピタル・ゲインを狙い、また、資産運用商品cの実質的な所有権は既に得ていることから、当該商品より生じる果実部分の年間キャッシュフローを150(即ち総体に対し年率5%)とすると、期中450[150×3年]のキャッシュフローを受け取ることができる。一方、賃貸人Cは、割引評価額相当額の受取時に資産運用商品cを実質的に処分しながらも、その後、追加投資なしに70の手数料を稼ぐことが可能になる。
【0055】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃借人Dの相場観に沿う形で、資産運用商品cの総体の評価額が3200まで上昇、即ち割引幅が1200まで増加したとする。この時点で賃借人Dが自由処分権を行使した場合、当該処分行為を市場で執行する者は、名目上の保有者である賃貸人Cであるため、賃貸人Cが総体の処分代金の3200を一旦受け取り、これを全額、資産運用商品cの実質的な所有者である賃借人Dへと支払う。そして賃借人Dが、360[1080−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して賃貸人Cへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Cは、期首に1000の評価額だった割引幅を、賃借人Dへ1000で譲渡しており、当該リース取引の上でキャピタル・ゲインの獲得はないものの、賃借人Dからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Dは、1000で譲り受けた割引幅に対し総額1080のリース料を支払いながらも、期中の自由処分権行使によって200のキャピタル・ゲイン[1200−1000]を獲得し、また、当該商品より期中生じた果実の300[150×2年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースで420の利益[1000−1080+200+300]となった。さらに、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0056】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃借人Dの相場観に反して、資産運用商品cの総体の評価額が2900まで下落、即ち割引幅が900まで減少したとする。この時点で賃借人Dが損切りのために自由処分権を行使した場合、当該処分行為を市場で執行する者は、名目上の保有者である賃貸人Cであるため、賃貸人Cが総体の処分代金の2900を一旦受け取り、これを全額、資産運用商品cの実質的な所有者である賃借人Dへと支払う。そして賃借人Dが、360[1080−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して賃貸人Cへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Cは、期首に1000の評価額だった割引幅を、賃借人Dへ1000で譲渡しているため、当該リース取引の上でキャピタル・ロスは被らず、賃借人Dからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Dは、期首に1000で譲り受けた割引幅に対し総額1080のリース料を支払い、期中の自由処分権行使によって100のキャピタル・ロス[900−1000]を計上しながらも、当該商品より期中生じた果実の300[150×2年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースでは120の利益[1000−1080−100+300]となった。さらに、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0057】
(3)また本発明は、資産運用商品の評価額に上乗せした割増部分に対するキャッシュフロー・リースを通じた新種の資産運用を可能とする。
一つの例として、資産運用者Eが保有している資産運用商品eの評価額が2000であるとする。資産運用者Eは、当該商品を近々処分するに際し、処分代金だけでは今後の資金繰りに影響を来たすため、1000の追加資金の工面を考えている。一方、資産運用者Fは、資産運用商品eの価値がこれから上昇するとの相場観から当該商品の取得を希望しつつ、少しでも運用利回りを高くしたいとする。この場合、本発明では、資産運用者Fが3000の資金を資産運用者Eへ支払って資産運用商品eを譲り受け、実質的に1000のキャッシュフローを資産運用者Eへ補給することによって、両者が希望する経済効果を実現することができる。
尚、本発明では、リース取引におけるキャッシュフロー補給の対象となる金額即ち前記の例でいう1000を割増幅と呼び、これに商品自体の評価額を加えた金額即ち前記の例でいう3000を当該商品の割増評価額という。
【0058】
当該リース取引によって、まず資産運用者F(以下、賃貸人F)は、資産運用商品eの割増評価額相当額を資産運用者E(以下、賃借人E)へ支払うことにより、当該商品の元本部分及び果実部分の実質的な所有権、並びに当該商品を期中市場で自由処分できる権利を譲り受けて、割増幅相当額のキャッシュフローを賃借人Eへ補給する。一方、賃借人Eは、賃貸人Fより受け取った割増評価額相当額の見返りに、資産運用商品eの元本部分及び果実部分の実質的な所有権、並びに当該商品の自由処分権を賃貸人Fへ譲渡して、割増幅相当額のキャッシュフローを入手する。そして賃借人Eは、この割増幅相当額のキャッシュフローの見返りに期中月次ベースでリース料を賃貸人Fへ支払う。即ち賃借人Eは、当該補給キャッシュフローの使用収益の対価として、リース料を納めることになる。
【0059】
例えば当該リース料は、賃貸人Fが賃借人Eへ補給する割増幅相当額(1000)に、賃貸人Fが賃借人Eへ課す手数料などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。尚、当該手数料には、割増評価額相当額を工面するために賃貸人Fが市場で行った資金調達のコストを、一部含めることができる。
前記の例におけるリース取引の期間が3年で、賃貸人Fが賃借人Eへ課す手数料が70であったとすると、リース料総額は1070[1000+70]、月次のリース料は30[1070÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Eは、毎月30の支払により、資産運用商品eを割増評価額の3000で実質的に処分でき、資金繰りに影響を来たすことを回避できる。一方、賃貸人Fは、キャッシュフローの補給時に、当該割増評価額で資産運用商品eを実質的に取得し1000の割増幅を引き受けながらも、その後、総額1070のリース料を受け取ることで、70の手数料を稼ぐことが可能になる。そして賃貸人Fは、資産運用商品eより生じる果実部分の年間キャッシュフローを100(即ち総体に対し年率5%)とすると、期中300[100×3年]のキャッシュフローを受け取り、さらに当該商品のキャピタル・ゲインを狙うことができる。
【0060】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃貸人Fの相場観に沿う形で、資産運用商品eの評価額が2400まで上昇したとする。この時点で賃貸人Fが自由処分権を行使した場合、当該処分行為を市場で執行する者は賃借人Eであるため、賃借人Eが処分代金の2400を一旦受け取り、これを全額、資産運用商品eの実質的な所有者である賃貸人Fへと支払う。そして賃借人Eが、350[1070−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して、又はリース取引の残存期間に渡り従来通り月額で賃貸人Fへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Fは、資産運用商品eの評価額が2400まで上昇したことで、実質的に400のキャピタル・ゲインを獲得。また、リース料の受取を通じて賃借人Eからの手数料(70)が収入になり、さらに、当該商品より期中生じた果実の200[100×2年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、合計で670の利益[400+70+200]となった。一方、賃借人Eは、賃貸人Fより補給された1000のキャッシュフローに対し総額1070のリース料を支払いながらも、当初の不足資金を工面することができた。また、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0061】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃貸人Fの相場観に反して、資産運用商品eの評価額が1900まで下落したとする。この時点で賃貸人Fが自由処分権を行使した場合、当該処分行為を市場で執行する者は賃借人Eであるため、賃借人Eが処分代金の1900を一旦受け取り、これを全額、資産運用商品eの実質的な所有者である賃貸人Fへと支払う。そして賃借人Eが、350[1070−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して、又はリース取引の残存期間に渡り従来通り月額で賃貸人Fへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Fは、資産運用商品eの評価額が1900まで下落したことで、実質的に100のキャピタル・ロスを計上。しかし、リース料の受取を通じて賃借人Eからの手数料(70)が収入になり、また、当該商品より期中生じた果実の200[100×2年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースで170の利益[−100+70+200]となった。一方、賃借人Eは、賃貸人Fより補給された1000のキャッシュフローに対し総額1070のリース料を支払いながらも、当初の不足資金を工面することができた。また、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0062】
ところで、本発明にいう割引幅による資産運用商品のキャッシュフロー・リースは、商品の割引評価額が賃貸人にとっての簿価又は取得価額、当該商品の割引幅が賃貸人にとっての評価益であった場合、賃貸人が賃借人へ当該評価益を実質的にリースするに等しく、また、本発明でいう割増幅に対する資産運用商品のキャッシュフロー・リースは、商品の割増評価額が賃借人にとっての簿価又は取得価額、当該商品の割増幅が賃借人にとっての評価損であった場合、賃貸人が賃借人へ当該評価損に対する補給キャッシュフローを実質的にリースするに等しい。
【0063】
(4)さらに本発明は、資産運用商品の直接リースを通じた新種の資産運用を可能とする。即ち、資産運用商品全体の評価額を基にした前記キャッシュフロー・リースと同様の経済効果は、資産運用商品の直接リースによっても実現可能となる。
一つの例として、資産運用者Gが、保有している資産運用商品gを近々処分するに際し、少しでも高い運用利回りの達成を希望し、一方、資産運用者Hが、これから価値が上昇するとの相場観から資産運用商品gの取得を希望しながらも、現在の手元流動性が十分ではないとする。この場合、本発明では、資産運用者Gが資産運用者Hに対して資産運用商品gを直接リースすることにより、両者が希望する経済効果を実現することができる。
【0064】
当該リース取引によって、資産運用者H(以下、賃借人H)は、資産運用者G(以下、賃貸人G)より資産運用商品gの現物を譲り受け、当該商品を期中市場で自由処分できる権利や当該商品より生じるキャッシュフローを期中受け取る権利などを獲得する。そして賃借人Hは、資産運用商品gのこれら使用収益の対価として、期中月次ベースでリース料を賃貸人Gへ支払う。尚、当該リース取引が成立した段階では、賃貸人Gがその時点の評価額で、賃借人Hへ資産運用商品gを実際に譲渡する。また本発明では、当該リース取引を資産運用商品の非返還型直接リースと呼ぶ。
【0065】
例えば当該リース料は、賃貸人Gが賃借人Hへ譲渡する資産運用商品gの価額に、賃貸人Gが賃借人Hへ課す手数料などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。尚、当該手数料には、賃貸人Gが資産運用商品gを取得するために市場で行った資金調達のコストを含めることができる。
前記の例において、資産運用商品gの評価額が1000であった時点に、期間3年のリース取引が成立し、賃貸人Gが賃借人Hへ課す手数料が70であったとすると、リース料総額は1070[1000+70]、月次のリース料は30[1070÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Hは、初期投資なしに、毎月30の支払で評価額1000の資産運用商品gを実際に取得して、将来のキャピタル・ゲインを狙い、さらに、当該商品より生じる果実部分の年間キャッシュフローを50(即ち年率5%)とすると、期中150[50×3年]のキャッシュフローを受け取る権利などを得たことになる。一方、賃貸人Gは、リース取引成立時に、1000の評価額で資産運用商品gを実際に処分しながらも、その後、追加投資なしに70の手数料を稼ぐことが可能になる。
【0066】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃借人Hの相場観に沿う形で資産運用商品gの評価額が1200まで上昇したとする。この時点で賃借人Hが自由処分権を行使した場合、処分代金の1200は当該商品の実際の所有者である賃借人Hが受け取る。そして賃借人Hが、350[1070−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して賃貸人Gへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Gは、期首に1000の評価額だった資産運用商品gを、賃借人Hへ1000で譲渡しており、当該リース取引の上でキャピタル・ゲインの獲得はないが、賃借人Hからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Hは、期首に1000で譲り受けた資産運用商品gに対し総額1070のリース料を支払いながらも、期中の自由処分権行使によって200のキャピタル・ゲイン[1200−1000]を獲得し、また、当該商品より期中生じた果実の100[50×2年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースで230の利益[1000−1070+200+100]となった。さらに、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0067】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃借人Hの相場観に反して資産運用商品gの評価額が900まで下落したとする。この時点で賃借人Hが損切りのために自由処分権を行使した場合、処分代金の900は当該商品の実際の所有者である賃借人Hが受け取る。そして賃借人Hが、350[1070−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して賃貸人Gへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Gは、期首に1000の評価額だった資産運用商品gを、賃借人Hへ1000で譲渡しているため、当該リース取引の上でキャピタル・ロスは被らず、賃借人Hからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Hは、期首に1000で譲り受けた資産運用商品gに対し総額1070のリース料を支払い、期中の自由処分権行使によって100のキャピタル・ロス[900−1000]を計上しながらも、当該商品より期中生じた果実の100[50×2年]をインカム・ゲインとして受け取っているため、正味ベースでは70の損失[1000−1070−100+100]となった。しかし、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0068】
(5)そして本発明は、借り入れた資産運用商品を返還することを前提とした新種の資産運用を可能とする。即ち、本発明における資産運用商品の直接リースは、レント契約的な取引を含む。
一つの例として、資産運用者Iが、取得した資産運用商品iを長期保有する運用方針又は経営政策でありながらも、その保有期間、当該商品を有効活用したいとし、一方、資産運用者Jが、資産運用商品iの価値が今後下落するとの相場観から、当該商品の先行処分並びにそれに続く再取得を通じてのキャピタル・ゲインを狙っているとする。この場合、本発明では、資産運用者Iが資産運用者Jに対して資産運用商品iを直接リースすることにより、両者が希望する経済効果を実現することができる。
【0069】
当該リース取引によって、資産運用者J(以下、賃借人J)は、資産運用者I(以下、賃貸人I)より資産運用商品iの現物を譲り受けて、当該商品を期中市場で自由処分できる権利などを獲得し、処分の実際の有無に関わらず、当該商品を期末までに返還する義務を負う。但し、リース取引期間に当該商品より生じる果実を受け取る権利は実質的に移転せず、賃借人Jが一旦受け取る果実は、賃貸人Iへ返還される。尚、本発明では、当該リース取引を資産運用商品の返還型直接リースと呼ぶ。
賃借人Jは、資産運用商品iを期中処分した場合、その後相場の下降局面を捉えて当該商品を市場より再取得し、高い処分価額と低い再取得価額との差額をキャピタル・ゲインとして認識。最終的に当該商品を賃貸人Iへ返還する。即ち賃借人Jは、資産運用商品iのこの使用収益の対価として、期中月次ベースでリース料を賃貸人Iへ支払う。そして賃貸人Iは、再リース、再々リースという形で資産運用商品iを賃借人Jへ繰り返しリースすることにより、もしくは二次リース、三次リースという形で当該商品を他の賃借人へもリースすることによって、運用利回りを一層向上させることが可能になる。
尚、賃借人Jが賃貸人Iへ返還する対象は、通常資産運用商品iその物だが、例えばそれ以外に、同一の資金調達者からの他商品や他の資金調達者からの同等商品など、資産運用商品iに準じた他の資産運用商品を含むことが可能である。また、当該リース取引が成立した段階で賃貸人Iは、その時点の評価額で資産運用商品iを賃借人Jへ譲渡し、評価額相当の譲渡代金を賃借人Jより担保として受け入れることができる。この場合、賃貸人Iは、当該担保を期中運用して生じる金利を賃借人Jへ納め、期末に当該担保を賃借人Jへ返還することになる。
【0070】
例えば、当該リース料は賃貸人Iが賃借人Jへ課す手数料より構成されるが、前記のように担保として現金が使用された場合は、担保金利の分だけリース料が実質的に減少する。また、当該手数料には、賃貸人Iが資産運用商品iを取得するために市場で行った資金調達のコストを含めることができる。
前記の例において、資産運用商品iの評価額が1000であった時点に、期間3年のリース取引が成立し、賃貸人Iが賃借人Jへ課す手数料が210(即ち年間70)、担保金利が年間30(即ち年率3%)であったとすると、リース料総額は120[210−(30×3年)]、月次のリース料は3[120÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Jは、毎月3の支払で評価額1000の資産運用商品iを実質的に取得し、将来相場の下降局面においてキャピタル・ゲインを狙うことが可能になる。一方、賃貸人Iは、追加投資なしに120のリース料を稼ぎ、また、当該商品より生じる果実部分の年間キャッシュフローを50(即ち年率5%)とすると、期中150[50×3年]のキャッシュフローを従来通り受け取ることができる。
尚、視点を変えて、当該リース取引における現金担保の受払を資金の授受と認識した場合、「賃貸人Iが資産運用商品iを担保に差し入れ、資金を賃借人Jより調達してその後借入金利を支払い、一方、賃借人Jが資産運用商品iを担保として受け入れ、資金を賃貸人Iへ貸し付けてその後融資金利を受け取る」と見なすことも可能である。
【0071】
例えば、当該リース取引の開始日に、賃借人Jが早速自由処分権を行使し、資産運用商品iを市場で先行処分した場合、処分代金の1000は名目上の所有者である賃借人Jが受け取る。それから2年を経過した後、賃借人Jの相場観に沿う形で当該商品の評価額が800まで下落し、賃借人Jが利食いのために当該商品を市場より再取得した場合、取得代金の800は賃借人Jが市場の売主へと支払う。そして賃借人Jが、再取得した資産運用商品iを実際の所有者である賃貸人Iへ返還することにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Iは、期首に1000の評価額だった資産運用商品iを、賃借人Jへ1000で譲渡しており、当該リース取引の上でキャピタル・ゲインの獲得はないが、賃借人Jより受け取った手数料140[70×2年]から賃借人Jへ支払った担保金利60[30×2年]を控除した80が収入になり、また、当該商品より期中生じた果実の100[50×2年]をインカム・ゲインとして従来通り受け取っているため、正味ベースで180の利益[80+100]となった。一方、賃借人Jは、期首に1000で譲り受けた資産運用商品iに対し140の手数料を賃貸人Iへ支払いながらも、賃貸人より60の担保金利を受け取り、さらに期首の先行処分及びそれに続く2年後の再取得を通じて200のキャピタル・ゲイン[1000−800]を得たため、正味ベースで120の利益[−140+60+200]となった。
【0072】
例えば、当該リース取引の開始日に賃借人Jが資産運用商品iを先行処分してから2年を経過した後、賃借人Jの相場観に反して当該商品の評価額が1100まで上昇し、賃借人Jが損切りのために当該商品を市場より再取得した場合、取得代金の1100は賃借人Jが市場の売主へ支払う。そして賃借人Jが、再取得した資産運用商品iを実際の所有者である賃貸人Iへ返還することにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Iは、期首に1000の評価額だった資産運用商品iを、賃借人Jへ1000で譲渡しており、当該リース取引の上でキャピタル・ロスの発生はなく、賃借人Jより受け取った手数料140[70×2]から賃借人Jへ支払った担保金利60[30×2年]を控除した80が収入になり、また、当該商品より期中生じた果実の100[50×2年]をインカム・ゲインとして従来通り受け取っているため、正味ベースで180の利益[80+100]となった。一方、賃借人Jは、期首に1000で譲り受けた資産運用商品iに対し140の手数料を賃貸人Iへ支払い、賃貸人より60の担保金利を受け取りながらも、期首の先行処分並びにそれに続く再取得を通じて100のキャピタル・ロス[1000−1100]を計上したため、正味ベースで180の損失[−140+60−100]となった。
【0073】
(6)ところで本発明は、資金調達商品のキャッシュフロー・リースを通じた新種の資金調達及び資産運用を可能とする。
一つの例として、資金調達者Kが資金調達商品kの持高を抱えているとする。当該商品が近々償還を迎えるに際し、資金調達者Kは元本の償還を繰り下げることで残存期間を延長し、今後の資金繰りに余裕を持たせたい。一方、資産運用者Lは、資金調達者Kの負債管理に関与して、何らかの収益を上げたいとする。この場合、本発明では、資産運用者Lが資金調達商品kの償還価額相当額のキャッシュフローをリースすることにより、両者が希望する経済効果を実現することができる。
【0074】
当該リース取引によって、資産運用者L(以下、賃貸人L)は、資金調達者K(以下、賃借人K)が抱える資金調達商品kの持高を引き受け、当該商品を運用対象として保有する資産運用者へ償還金を支払う義務を負う。一方、賃借人Kは、資金調達商品kの持高を賃貸人Lへ引き渡して、償還金を支払う義務より開放される。そして賃借人Kが、当該補給キャッシュフローの使用収益の対価として、以後月次ベースでリース料を賃貸人Lへ支払うことにより、元本の償還が実質的に繰り下がる。尚、本発明では、当該リース取引を資金調達商品の償還延長型キャッシュフロー・リースと呼ぶ。
【0075】
例えば当該リース料は、賃借人Kが賃貸人Lへ引き渡す資金調達商品kの償還価額に、賃貸人Lが賃借人Kへ課す手数料などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。尚、当該手数料には、補給キャッシュフローを工面するために賃貸人Lが市場で行う資金調達のコストを含めることができる。
前記の例において期間3年のリース取引が成立し、当該商品の償還価額が1000、賃貸人Lが賃借人Kへ課す手数料が150であったとすると、リース料総額は1150[1000+150]、月次のリース料は32[1150÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Kは、毎月32の支払により、資金調達商品kの残存期間を実質的に3年間延長でき、資金繰りに余裕を持たせることができる。また、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。一方、賃貸人Lは、リース取引成立時に1000の償還金を負担しながらも、その後3年間に渡り、総額1150のリース料を受け取ることで、150の手数料を稼ぐことが可能になる。尚、当該償還金は、名目上の資金調達者である賃借人Kを経由して、資金調達商品kの保有者へと支払われることになる。
【0076】
(7)一つの例として、資金調達者Mが資金調達商品mの持高を抱えているとする。当該商品の償還まで数年を残しているものの、資金調達者Mは、手元流動性が高い現時点で償還を済ませ、果実分のキャッシュフローを以後支払う義務より開放されたい。一方、資産運用者Nは、資金調達者Mの負債管理に関与して、何らかの収益を上げたいとする。この場合、本発明では、資産運用者Nが資金調達商品mの持高に対してキャッシュフローをリースすることにより、両者が希望する経済効果を実現することができる。
【0077】
当該リース取引によって、資産運用者N(以下、賃貸人N)は、資金調達者M(以下、賃借人M)が抱える資金調達商品mの持高を引き受け、当該商品の残存期間において、これを運用対象として保有する資産運用者へ元本及び果実のキャッシュフローを支払う義務を負う。一方、賃借人Mは、資金調達商品mの持高を賃貸人Nへ引き渡して、元本及び果実のキャッシュフローを支払う義務より開放される。そして賃借人Mが、当該補給キャッシュフローの使用収益の対価として、リース料を一括で賃貸人Nへ支払うことにより、元本の償還が実質的に繰り上がる。尚、当該リース取引が成立した段階では、賃借人Mがその時点の評価額で、賃貸人Nへ資金調達商品mを引き渡したと見なす。また本発明では、当該リース取引を資金調達商品の償還短縮型キャッシュフロー・リースと呼ぶ。
【0078】
例えば当該リース料は、賃借人Mが賃貸人Nへ引き渡す資金調達商品mの評価額に、賃貸人Nが賃借人Mへ課す手数料などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。
前記の例において、資金調達商品mの残存期間が3年であり、それに合わせてリース取引期間を設定し、当該商品の評価額が1000、賃貸人Nが賃借人Mへ課す手数料が150であったとすると、リース料は1150[1000+150]と概算できる。
即ち賃借人Mは、1150のリース料を期首に一括で支払うことにより、資金調達商品mを実質的に償還でき、果実分のキャッシュフローを今後支払う義務より開放される。また、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。一方、賃貸人Nは、リース取引成立時に1150のリース料を受け取って、評価額1000の資金調達商品mを保有している資産運用者に対し元本及び果実のキャッシュフローを支払う義務を負うが、現在価値ベースで150の手数料を稼ぐことが可能になる。尚、当該キャッシュフローは、名目上の資金調達者である賃借人Mを経由して、資金調達商品mの保有者へと支払われることになる。
【0079】
(8)一つの例として、資金調達者Oが資金調達商品oの持高を抱えているとする。資金調達者Oは、各種財務指標を向上させるために、近々当該商品を買入消却したいが、現在手元流動性に余裕がない。一方、資産運用者Pは、資金調達者Oの財務管理に関与して、何らかの収益を上げたいとする。この場合、本発明では、資産運用者Pが資金調達商品oの買付価額相当額のキャッシュフローをリースすることにより、両者が希望する経済効果を実現することができる。
【0080】
当該リース取引によって、資産運用者P(以下、賃貸人P)は、資金調達者O(以下、賃借人O)が抱える資金調達商品oの持高を引き受け、賃借人Oが市場より買入消却する際に、当該商品を運用対象として保有してきた資産運用者へ買付代金を支払う義務を負う。一方、賃借人Oは、資金調達商品oの持高を賃貸人Pへ引き渡して、買付代金を支払う義務より開放される。そして賃借人Oが、当該補給キャッシュフローの使用収益の対価として、以後月次ベースでリース料を賃貸人Pへ支払うことにより、当該商品の買入消却が実質的に完了する。尚、本発明では、当該リース取引を資金調達商品の買入消却型キャッシュフロー・リースと呼ぶ。
【0081】
例えば当該リース料は、賃借人Oが賃貸人Pへ引き渡す資金調達商品oの市場における買付価額に、賃貸人Pが賃借人Oへ課す手数料などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。尚、当該手数料には、補給キャッシュフローを工面するために賃貸人Pが市場で行う資金調達のコストを含めることができる。
前記の例において期間3年のリース取引が成立し、当該商品の買付価額が1000、賃貸人Pが賃借人Oへ課す手数料が150であったとすると、リース料総額は1150[1000+150]、月次のリース料は32[1150÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Oは、毎月32の支払により、資金調達商品oを実質的に買入消却し、各種財務比率を向上させることができる。また、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。一方、賃貸人Pは、リース取引成立時に1000の買付代金を負担しながらも、その後3年間に渡り、総額1150のリース料を受け取ることで、150の手数料を稼ぐことが可能になる。尚、当該買付代金は、名目上の資金調達者である賃借人Oを経由して、資金調達商品oの保有者へと支払われることになる。
【0082】
本発明における資金調達商品のキャッシュフロー・リースには、例えば以下のような取引形態がある。
(a)借入債務や債券、コマーシャル・ペーパー、一部預金債務など、一般的に満期の存在する資金調達商品がそのまま満期を迎えることを前提として、当該商品の残存期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
(b)一般的に満期が存在する前記商品に残存期間より短い特定の期間を設定して、その間の資金流出、即ち果実のみのキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
(c)一般的に満期が存在する前記商品を期中償還又は買入消却することを前提として、当該商品が消滅するまでの期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
(d)株式や一部預金債務など、一般的に満期が存在しない資金調達商品を買入消却又は解約することを前提として、当該商品が消滅するまでの期間の資金流出、即ち元本や果実のキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
(e)一般的に満期が存在しない前記商品に特定の期間を設定して、その間の資金流出、即ち果実のみのキャッシュフローを対象にリース料の受払を行う形態。
尚、本発明において期中償還とは、満期が存在する資金調達商品を、所定の価額で期中に繰り上げて弁済、解約又は償還することを指し、買入消却とは、満期の有無に係わらず、資金調達商品を流通価額などで買い入れて消滅させることをいう。
【0083】
(9)次に本発明は、資金取引商品のキャッシュフロー・リースを通じた新種の資金取引を可能とする。即ち、外国為替商品や先渡商品、先物商品、オプション商品、スワップ商品などの資金取引商品は、資金取引者が取引の相手方と直接的に、もしくは証券取引所や派生商品取引所を経由して間接的に、対峙する持高を造成し合っている。本発明において資金取引者は、これらの持高より生じるキャッシュフローを他の資金取引者へリースすることができる。
資金取引商品は当初の投資額が不要か、又は基礎商品に比べて極めて小さく、反対取引によって差金決済もしくは利益の確保、損失の確定ができる。基礎商品を受け渡す場合であっても、流動性の高い売買市場が既に存在しているため、当該市場で基礎商品を購入または売却することにより、資金取引者を差金決済と実質異ならない状態に置くことができる。即ち、資金取引商品の資産価値は評価益に、また負債価値は評価損にあり、本発明における資金取引商品のキャッシュフロー・リースは、評価損益の評価額を基にしたリース取引となる。
【0084】
一つの例として、資金取引者Qが資金取引商品qの評価益を保有しており、その評価額が1000であるとする。資金取引者Qは近々、当該商品に付随する権利の行使又は義務の履行で当該商品の評価益が実現するに際し、少しでも多い収益の達成を希望している。一方、資金取引者Rは、資金取引商品qの価値がこれからも上昇するとの相場観から、当該商品の持高の新規造成を希望しながらも、現在の相場水準や市場の流動性では類似の持高を造成することが不可能に近い。この場合、本発明では、資金取引者Qが資金取引者Rに対し、評価益が生じている資金取引商品qの持高をリースすることで、両者が希望する経済効果を実現することができる。
【0085】
当該リース取引によって、資金取引者R(以下、賃借人R)は、資金取引商品qに付随する権利を譲り受け、又は当該商品に付随する義務を引き受けて、当該商品の評価益の実質的な所有権を譲り受ける。一方、資金取引者Q(以下、賃貸人Q)は、資金取引商品qの持高を当該リース取引の受入担保として維持し続けながらも、当該商品に付随する権利を譲渡し、又は当該商品に付随する義務を引き渡して、評価益の実質的な所有権を賃借人Rへ譲渡する。即ち賃借人Rは、当該評価益の使用収益の対価として、期中月次ベースで賃貸人Qへリース料を支払う。尚、当該リース取引が成立した段階では、賃貸人Qがその時点の評価額で、賃借人Rへ資金取引商品qの評価益を譲渡したと見なす。
【0086】
例えば当該リース料は、賃貸人Qが賃借人Rへ譲渡する評価益の価額(1000)に、賃貸人Qが賃借人Rへ課す手数料、資金取引商品qの持高を名目上抱え続けるために賃貸人Qが期中に負担する諸経費などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。
前記の例におけるリース取引の期間が3年で、賃貸人Qが賃借人Rへ課す手数料が70、賃貸人Qが期中に負担する諸経費が5であったとすると、リース料総額は1075[1000+70+5]、月次のリース料は30[1075÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Rは、毎月30の支払で1000の評価益を譲り受けて将来の増加を狙い、一方、賃貸人Qは、リース取引成立時に1000の評価益を譲渡しながらも、70の手数料を稼ぐことが可能になる。
【0087】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃借人Rの相場観に沿う形で、資金取引商品qの評価益が1200まで増加したとする。この時点で賃借人Rが、当該商品に関し賃貸人Qより譲り受けた権利を行使、又は賃貸人Qより引き受けた義務を履行した場合、当該持高の解消行為の市場における当事者は、名目上持高を抱えている賃貸人Qであるため、実現益の1200は賃貸人Qが一旦計上することになるが、賃貸人Qはこれを、当該実現益の実質的な享受者である賃借人Rへと支払う。そして賃借人Rが、355[1075−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して賃貸人Qへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Qは、期首に1000だった評価益を、賃借人Rへ1000で譲渡しており、当該リース取引の上で実現益の獲得はないが、賃借人Rからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Rは、期首に1000で譲り受けた評価益に対して総額1075のリース料を支払いながらも、当該商品に付随する権利の行使又は義務の履行によって200の追加実現益[1200−1000]を得たため、正味ベースで125の利益[1000−1075+200]となった。さらに賃借人Rは、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0088】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃借人Rの相場観に反して、資金取引商品qの評価益が900まで減少したとする。この時点で賃借人Rが、当該商品に関し賃貸人Qより譲り受けた権利を行使もしくは賃貸人Qより引き受けた義務を履行した場合、当該持高の解消行為の市場における当事者は、名目上持高を抱えている賃貸人Qであるため、実現益の900は賃貸人Qが一旦計上することになるが、賃貸人Qはこれを、当該実現益の実質的な享受者である賃借人Rへと支払う。そして賃借人Rが、355[1075−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して賃貸人Qへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Qは、期首に1000であった評価益を、賃借人Rへ1000で譲渡しており、当該リース取引の上で実現益の目減りは被らず、賃借人Rからの受取手数料(70)が収入になった。一方、賃借人Rは、期首に1000で譲り受けた評価益に対し総額1075のリース料を支払い、また、当該商品に付随する権利の行使又は義務の履行により実現益に100の目減り[900−1000]を招いたため、正味ベースで175の損失[1000−1075−100]となった。しかし賃借人Rは、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0089】
(10)また本発明は、資金取引商品の評価損に対するキャッシュフロー・リースを通じた新種の資金取引を可能とする。
一つの例として、資金取引者Sが資金取引商品sの評価損を抱えており、その評価額が1000であるとする。資金取引者Sは近々、当該商品に付随する権利を損切りのために行使する際、又は付随する義務を履行することになるに当たり、評価損の実現による資金流出が資金繰りに大きく影響することを避けたい。一方、資金取引者Tは、資金取引商品sの価値がこれからは上昇に転じるとの相場観から、当該商品の持高の新規造成を希望しながらも、現在の相場水準や市場の流動性では類似の持高を造成することが不可能に近い。この場合、本発明では、資金取引者Tが資金取引者Sの抱える評価損を引き受けて資金取引商品sの持高を譲り受けることにより、両者が希望する経済効果を実現することができる。
【0090】
当該リース取引によって、まず資金取引者T(以下、賃貸人T)は、資金取引商品sに付随する権利を譲り受け、又は当該商品に付随する義務を引き受けて、資金取引者S(以下、賃借人S)の抱える評価損が実現する際に生じる資金流出を肩代わりする。一方、賃借人Sは、当該商品に付随する権利を譲渡し、又は当該商品に付随する義務を引き渡して、自分の抱える評価損が実現する際に生じる資金流出から開放される。即ち賃借人Sは、当該実現損に対する補給キャッシュフローの使用収益の対価として、期中月次ベースでリース料を賃貸人Tへ支払う。尚、当該リース取引が成立した段階では、賃借人Sがその時点の評価額で、賃貸人Tへ資金取引商品qの評価損を引き渡したと見なす。
【0091】
例えば当該リース料は、賃借人Sが賃貸人Tへ引き渡す評価損(1000)に、賃貸人Tが賃借人Sへ課す手数料などを加え、これらの合計金額をリース取引期間の月数で除した数値となる。尚、当該手数料には、補給キャッシュフローを工面するために賃貸人Tが市場で行う資金調達のコストを含めることができる。
前記の例におけるリース取引の期間が3年で、賃貸人Tが賃借人Sへ課す手数料が70であったとすると、リース料総額は1070[1000+70]、月次のリース料は30[1070÷(12ヶ月×3年)]と概算できる。
即ち賃借人Sは、毎月30の支払により、1000の評価損の実現が実質的に繰り下がり、資金繰りに及ぼす影響を弱めることができる。一方、賃貸人Tは、1000の評価損を実質的に肩代わりしてその実現時にキャッシュフローを補給しながらも、総額1070のリース料を賃借人Sより受け取ることで、70の手数料を稼ぐことができ、また、将来の評価損の減少延いては評価益への転換を狙うことが可能になる。
【0092】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃貸人Tの相場観に沿う形で、資金取引商品sの評価損が800まで減少したとする。この時点で賃貸人Tが、当該商品に関し賃借人Sより譲り受けた権利を行使、又は賃借人Sより引き受けた義務を履行した場合、当該持高の解消行為の市場における当事者は、名目上持高を抱えている賃借人Sであるため、実現損相当額の800の資金流出は賃借人Sが一旦負担することになるが、これは全額、当該実現損の実質的な負担者である賃貸人Tより補給される。そして賃借人Sが、350[1070−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して、又はリース取引の残存期間に渡り従来通り月額で賃貸人Tへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Tは、賃借人Sより1000で引き受けた評価損に対する補給キャッシュフローが最終的に800で済んだことにより、200の差益を獲得。また、リース料の受取を通じて、賃借人Sからの手数料(70)が収入になったことにより、正味ベースで270の利益[200+70]となった。一方、賃借人Sは、賃貸人Tへ引き渡した1000の評価損に対し総額1070のリース料を支払いながらも、当該評価損の実現が実質的に繰り下がり、資金繰りへの影響を弱めることができた。また、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0093】
例えば、当該リース取引の開始から2年を経過した後、賃貸人Tの相場観に反して、資金取引商品sの評価損が1100まで増加したとする。この時点で賃貸人Tが、当該商品に関し賃借人Sより譲り受けた権利を損切りのために行使する場合、又は賃借人Sより引き受けた義務を履行した場合、当該持高の解消行為の市場における当事者は、名目上持高を抱えている賃借人Sであるため、実現損相当額の1100の資金流出は賃借人Sが一旦負担することになるが、これは全額、当該実現損の実質的な負担者である賃貸人Tより補給される。そして賃借人Sが、350[1070−(30×24ヶ月)]の未経過リース料を繰り上げ一括して、又はリース取引の残存期間に渡り従来通り月額で賃貸人Tへ納めることにより、当該リース取引が終了する。
賃貸人Tは、賃借人Sより1000で引き受けた評価損に対する補給キャッシュフローが最終的に1100まで増加したことにより、100の差損を計上。しかし、リース料の受取を通じて、賃借人Sからの手数料(70)が収入になったことにより、正味ベースで30の損失[−100+70]となった。一方、賃借人Sは、賃貸人Tへ引き渡した1000の評価損に対し総額1070のリース料を支払いながらも、当該評価損の実現が実質的に繰り下がり、資金繰りへの影響を弱めることができた。また、当該リース取引の税務会計上の処理方法によっては、節税効果を享受できる可能性がある。
【0094】
2.次に本発明では、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の持高の造成又は解消のために仲介者などへ支払う売買手数料や契約・解約手数料、償還手数料、引受・販売手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用が節約できる。尚、ここでいう仲介者とは、個人や事業法人などの取引における伝統的な金融機関や伝統的な不動産会社、並びに金融機関間や不動産会社間などの取引におけるブローカーを指す。また、前記手数料や諸費用には、仲介者が資産運用者や資金調達者、資金取引者を相手に自己取引して実質的に徴収する手数料相当額や費用相当額を含む。
資産運用者が資産運用商品を取得する場合、これまで買付手数料や契約手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払わなくてはならなかった。本発明における賃借人は、資産運用商品のキャッシュフロー・リースや非返還型直接リースを通じ当該商品を実質的に取得できるため、賃貸人へ納めるリース料に内在する手数料を前記手数料・諸費用より低く抑えることで、より高い運用利回りを達成できる。
【0095】
資産運用者が、保有している資産運用商品を処分する場合、これまで売付手数料や解約手数料、償還手数料、委託・仲介手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払わなくてはならなかった。本発明における賃貸人は、資産運用商品のキャッシュフロー・リースや非返還型直接リースを通じ、前記手数料・諸費用を負担することなく当該商品を実質的に処分できるため、また、賃借人からリース料を徴収して内在する手数料を得ることで、より高い運用利回りを達成できる。
【0096】
資産運用者が、保有している貸付債権や不動産などを証券化する場合、これらの資産を直接または信託受益権化して特別目的会社へ譲渡し、当該特別目的会社が資産担保証券を投資家向けに発行する方式が一般的である。この仕組みでは、信託手数料や引受・販売手数料、委託・仲介手数料、信用補完や流動性補完のためのコスト・手数料、譲渡資産の管理・回収手数料、その他の諸費用が生じ、これが譲渡資産の価値の目減りを引き起こしている。本発明における賃貸人は、資産運用商品のキャッシュフロー・リースや非返還型直接リースを通じ、前記手数料・諸費用を負担することなく保有資産を実質的に処分でき、また、賃借人からリース料を徴収して内在する手数料を得ることで、より高い運用利回りを達成できる。
【0097】
資金調達者が、抱えている資金調達商品を繰上弁済、期中償還、中途解約、又は買入消却する場合、これまで償還手数料や解約手数料、買付手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払わなくてはならなかった。本発明における賃借人は、資金調達商品の償還短縮型キャッシュフロー・リースを通じ当該商品を実質的に償還できるため、賃貸人へ一括で納めるリース料に内在する手数料を前記手数料・諸費用より低く抑えることで、より低い調達コストを達成できる。
【0098】
資金調達者が資金調達を行う場合、これまで契約手数料や引受・販売手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払わなくてはならなかった。本発明における賃貸人は、資金調達商品の償還短縮型キャッシュフロー・リースを通じ、賃借人からリース料を一括で徴収して実質的に資金調達ができ、また、前記手数料・諸費用を負担せず逆に当該リース料に内在する手数料を受け取ることで、より低い調達コストを達成できる。
【0099】
資金取引者が資金取引商品の持高を造成する場合、これまで契約手数料や委託・仲介手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払わなくてはならなかった。本発明における賃借人は、資金取引商品のキャッシュフロー・リースを通じ当該持高を実質的に造成できるため、賃貸人へ納めるリース料に内在する手数料を前記手数料・諸費用より低く抑えることで、より多くの売買益やより有利な契約条件を達成できる。
【0100】
資金取引者が、抱えている資金取引商品の持高を解消する場合、これまで解約手数料や委託・仲介手数料、その他の諸費用を仲介者などへ支払わなくてはならなかった。本発明における賃貸人は、資金取引商品のキャッシュフロー・リースを通じ、前記手数料・諸費用を負担することなく当該持高を実質的に解消できるため、また、賃借人からリース料を徴収して内在する手数料を受け取ることで、より多くの売買益やより有利な契約条件を達成できる。
【0101】
3.また本発明は、非流動性商品に新しい流通市場を提供する。即ち資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品の持高の流動性を実質的に向上することができる。
資産運用商品の中でも、事業法人が発行する債券、中小企業や非公開企業の株式、貸付債権、土地・建物などは一般的に流動性が低いため、一旦取得してから処分しようにも市場価額が低く抑えられ、無理な処分が運用利回りの低下を招く傾向が強かった。また、仲介者による資産運用商品の募集や売出では、対象商品の値付けがきつかった場合や仲介者による買取引受の後市場が崩れてしまった場合などに、仲介者が在庫を抱え込んでしまうことが多かった。本発明にいうキャッシュフロー・リースや非返還型直接リースでは、手元流動性の低さゆえ前記商品の取得者に従来成り得なかった資産運用者が新たに市場参加でき、資産運用商品の処分方法の選択肢が広がることで、処分者は賃貸人として、運用利回りを低下させることなく当該商品を実質的に処分することが可能となる。
【0102】
資金調達商品は、繰上弁済条項や期中償還条項が付与された商品を除くと基本的に流動性を備えておらず、持高の無理な解消が調達コストの上昇を招く傾向が強かった。本発明にいう償還短縮型キャッシュフロー・リースでは、資金調達商品が実質的に流動性を備えるため、資金調達者は賃借人として、調達コストを上昇させることなく当該商品の持高を実質的に解消することが可能となる。
【0103】
資金取引商品は、一部の外国為替商品や先物商品、先物オプション商品を除くと基本的に流動性を備えていない。非基軸通貨に絡む資金取引商品、各種先渡商品や各種店頭オプション商品、各種スワップ商品、各種合成商品などは、持高の無理な解消が取引益の減少や不利な解約条件を招く傾向が強かった。本発明にいう評価益によるキャッシュフロー・リースでは、資金取引商品が実質的に流動性を備えるため、資金取引者は賃貸人として、取引益を減少させたり不利な解約条件を被ったりすることなく当該商品の持高を実質的に解消することが可能となる。
【0104】
さらに、特定金銭信託や指定金外信託、運用有価証券信託、投資子会社株式、ファンド型私募債券などの媒介体を、資産運用者である保有者が、運用方針や経営政策の変更などに伴い消滅させることになった場合は、これまで、ポートフォリオの総体を現金化又は本体で現引きすることが一般的であり、他に譲渡することは媒介体の設定当時より考慮されていなかった。本発明では、当該保有者が他の資産運用者を相手に媒介体のキャッシュフロー・リース又は非返還型直接リースを行い、媒介体に実質的な流動性を持たせることができる。
これらのリース取引では、現金化を予定していた場合に比べ、ポートフォリオの構成商品を処分する際に仲介者などへ支払わなければならない各種手数料やその他の諸費用を節約でき、逆に賃借人からは手数料を受け取れるため、賃貸人である保有者は最終的により高い運用利回りを達成することが可能になる。一方、賃借人も、保有者へ支払う手数料を、現金持高からポートフォリオを構築する際に要する諸費用より低く抑えることによって、ポートフォリオを経済的に構築でき、また、本来ならば構築のために要したであろう時間をリース取引によって節約できることから、市場リスクを減少させることも可能になる。尚、リース取引の成立後、媒介体のポートフォリオの運用は、賃貸人又は賃貸人が任命した運用受託機関から、賃借人又は賃借人が任命した運用受託機関へと引き継ぐことができる。
【0105】
4.そして本発明は、銀行や証券会社などの金融機関が抱える持高への新しいアクセスを可能とする。即ち、貸付債権や預金債権などその殆どが金融機関によって保有される資産運用商品、コール・ローンなど金融機関間市場のみで保有される資産運用商品、また、外国為替商品や先渡商品、スワップ商品など金融機関間市場における取扱高が市場の大宗を占める資金取引商品は、規制上又は商慣習的に、事業法人や個人投資家の参加する機会が限られてきた。しかし本発明では、金融機関を賃貸人、事業法人や個人投資家を賃借人として、資産運用商品のキャッシュフロー・リースや評価益による資金取引商品のキャッシュフロー・リースを行えば、事業法人や個人投資家はアクセスが限られていた商品の持高を実質的に造成することができ、より高い運用利回りやより多くの取引益、より有利な契約条件を追求することが可能になる。
【0106】
5.ところで、本発明における資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品のリース取引は、兼ね備える以下の特徴によって、取引の確実性や透明性、即時性、経済性、効率性がアップする。
(1)債券や相対で取引される資金取引商品の中には、国内外において1日24時間取引できる商品が既に存在し、株式や上場している資金取引商品も、情報技術の発達と各国の取引所間の提携・合併によって、国境や取引時間の壁を超えた取引が徐々に実現してきている。本発明は、この世界的な傾向と歩調を合わせ、資産運用商品や資金調達商品、資金取引商品のリース取引を国内外において1日24時間成立させることを可能とし、各種相対商品や各種上場商品との裁定取引に即時性を持たせる。
【0107】
(2)本発明は、リース取引契約書の調印までの過程において賃貸人や賃借人と利益相反にない鑑定評価者を設置し、リース成立商品の瑕疵調査やリース成立価額の鑑定評価を行うことから、賃貸人や賃借人が出品・入札した持高の評価額が公正と呼べるものであったこと、リース成立商品が法律的、倫理的、経済的、物理的及び環境的な問題を孕んでいないことなどを確認でき、取引その物の透明性が増す。
【0108】
(3)伝統的な金融取引や伝統的な準金融取引が成立した後に生じる様々な決済業務や管理業務は、その歴史的な経緯から商品又は取引市場によって使用できるシステムが異なり統合が難しく、多種多様な商品を取引したい顧客にとって使い勝手が良いものではない。そこで本発明は、伝統的な金融・準金融取引で扱われる商品との裁定取引を容易にするため、取引照合、契約書の作成・譲渡、キャッシュフローの授受、現物の引渡及び返還、リース料の受払、リスク管理やキャッシュフロー管理のツール提供、法規遵守の検査、信用補完、債権の保全・回収など、リース成立後の決済・管理機能を集約した。
【0109】
(4)本発明では、一人の賃貸人と一人の賃借人とがマッチされる場合のみならず、一人の賃貸人に対して複数の賃借人がマッチされる場合、一人の賃借人に対して複数の賃貸人がマッチされる場合、複数の賃貸人と複数の賃借人とがマッチされる場合があるため、リース成立の確実性や即時性、効率性が増す。
【0110】
(5)本発明では、抱き合わせた複数の資産運用商品がリース対象である場合、抱き合わせた複数の資金調達商品がリース対象である場合、及び抱き合わせた複数の資金取引商品リース対象である場合があるため、リース取引の効率性や経済性、即時性が増す。
【0111】
6.次に本発明では、資産・負債の総合管理の効率性が上昇する。即ち、資産運用商品のキャッシュフロー・リースや直接リース、資金調達商品のキャッシュフロー・リース、資金取引商品のキャッシュフロー・リースを種々組み合わせることにより、貸借対照表における資産、負債及び資本の構成を実質的に改編することが可能になる。本発明における資産・負債の総合管理のためのリース取引には、例えば以下のような組み合わせがある。
(a)『資産運用商品の総体』と『資金取引商品の評価損益』との抱き合わせによるキャッシュフロー・リース。
(b)『資産運用商品の割引幅・割増幅』と『資金取引商品の評価損益』との抱き合わせによるキャッシュフロー・リース。
(c)『資産運用商品の現物』と『資金取引商品の評価損益』との抱き合わせリース。
(d)『資金調達商品』と『資金取引商品の評価損益』との抱き合わせによるキャッシュフロー・リース。
(e)『資金調達商品』と『資産運用商品の総体』との抱き合わせによるキャッシュフロー・リース。
(f)『資金調達商品』と『資産運用商品の割引幅・割増幅』との抱き合わせによるキャッシュフロー・リース。
(g)『資金調達商品』と『資産運用商品の現物』との抱き合わせリース。
(h)『資産運用商品の総体、資金取引商品の評価損益、及び資金調達商品』の抱き合わせによるキャッシュフロー・リース。
(i)『資産運用商品の割引幅・割増幅、資金取引商品の評価損益、及び資金調達商品』の抱き合わせによるキャッシュフロー・リース。
(j)『資産運用商品の現物、資金取引商品の評価損益、及び資金調達商品』の抱き合わせリース。
【0112】
7.また、本発明では、各種転貸リース取引を通じて収益を確定することができる。即ち本発明では、既存のリース取引における賃借人が、賃借しているリース取引商品を他の者に転貸し、自らが賃貸人へ支払っているリース料より多いリース料を転借人へ課すことに成功した場合、原リース取引の原リース料と転貸リース取引の転貸リース料との差額、即ち転貸差益を確定することができる。
(1)まず本発明は、資産運用商品のキャッシュフロー・リースに関して転貸リース取引を可能とする。
一つの例として、資産運用者U(以下、賃貸人U)と資産運用者V(以下、賃借人V)との間で、賃貸人Uが保有する資産運用商品uを対象とした期間3年のキャッシュフロー・リースが既に成立しており、賃借人Vが賃貸人Uへ毎月30のリース料を納めているとする。当該リース取引の開始から1年を経過した後、需給バランスの変化などにより、資産運用商品uを対象とする期間2年のキャッシュフロー・リースの月次リース料が45の水準を示したため、原リース取引と終了日を合わせる形で賃借人Vが資産運用者Wと転貸リース取引を締結。賃借人V(以下、転貸人V)は、賃貸人Uより譲り受けていた資産運用商品uの自由処分権や、当該商品より生じるキャッシュフローを期中受け取る権利などを資産運用者W(以下、転借人W)へ譲渡し、転借人Wは当該商品のこれら使用収益の対価として、毎月45の転貸リース料を転貸人Vへ支払うことになった。
【0113】
これで転貸人Vは、資産運用商品uに付随する前記権利を失いながらも、原リース取引の残存期間即ち転貸リース取引期間において、原リース料(30)を賃貸人Uへ払い続ける一方でより高い転貸リース料(45)を転借人Wから受け取ることになり、期末までに計360の転貸差益[(45−30)×24ヶ月]を確定することが可能になった。
【0114】
例えば、転借人Wが資産運用商品uの自由処分権を期中行使した場合、転貸リース取引契約上、転貸人Vが当該商品の名目上の保有者でありながらも、上位の原リース取引契約では賃貸人Uが名目上の保有者であるため、転借人Wに代わって当該処分行為を市場で実際に執行するのは、最終的に賃貸人Uということになる。よって、処分代金は賃貸人Uが一旦受け取り、賃貸人Uは転貸人Vを経由してこれを資産運用商品uの実質的な所有者である転借人Wへと支払う。そして転借人Wが、未経過リース料を繰り上げ一括して転貸人Vへ納め、これを転貸人Vがそのまま賃貸人Uへ支払うことで、当該原リース取引、当該転貸リース取引の双方が終了する。尚、転借人Wは、同様の転貸リース取引を他の資産運用者と行うことによって、同様の転貸差益を得ることが可能になる。
【0115】
(2)次に本発明は、割引幅による資産運用商品のキャッシュフロー・リースに関して転貸リース取引を可能とする。
一つの例として、資産運用者X(以下、賃貸人X)と資産運用者Y(以下、賃借人Y)との間で、賃貸人Xが保有する資産運用商品xの割引幅を対象とした期間3年のキャッシュフロー・リースが既に成立しており、賃借人Yが、期首に割引評価額相当額を支払った後、毎月30のリース料を賃貸人Xへ納めているとする。当該リース取引の開始から1年を経過した後、資産運用商品xの割引幅を対象とする期間2年のキャッシュフロー・リースにおいて、需給バランスの変化などにより月次リース料が45の水準を示したため、原リース取引と終了日を合わせる形で賃借人Yが資産運用者Zと転貸リース取引を締結。賃借人Y(以下、転貸人Y)は、賃貸人Xより譲り受けていた資産運用商品xの自由処分権や、当該商品より生じるキャッシュフローを期中受け取る権利などを資産運用者Z(以下、転借人Z)へ譲渡し、転借人Zは当該商品のこれら使用収益の対価として割引評価額相当額と毎月45の転貸リース料を転貸人Yへ支払うことになった。
【0116】
これで転貸人Yは、資産運用商品xに付随する前記権利を失いながらも、原リース取引の残存期間即ち転貸リース取引期間において、原リース料(30)を賃貸人Xへ払い続ける一方でより高い転貸リース料(45)を転借人Zから受け取ることになり、期末までに計360の転貸差益[(45−30)×24ヶ月]を確定することが可能になった。また、転貸人Yは、割引評価額相当額に関しても差益を確定できる場合がある。
【0117】
例えば、転借人Zが資産運用商品xの自由処分権を期中行使した場合、転貸リース取引契約上、転貸人Yが当該商品の名目上の保有者でありながらも、上位の原リース取引契約では賃貸人Xが名目上の保有者であるため、転借人Zに代わって当該処分行為を市場で実際に執行するのは、最終的に賃貸人Xということになる。よって、処分代金は賃貸人Xが一旦受け取り、賃貸人Xは転貸人Yを経由してこれを資産運用商品xの実質的な所有者である転借人Zへと支払う。そして転借人Zが、未経過リース料を繰り上げ一括して転貸人Yへ納め、これを転貸人Yがそのまま賃貸人Xへ支払うことで、当該原リース取引、当該転貸リース取引の双方が終了する。尚、転借人Zは、同様の転貸リース取引を他の資産運用者と行うことによって、同様の転貸差益を得ることが可能になる。
【0118】
(3)また本発明は、割増幅に対する資産運用商品のキャッシュフロー・リースに関して転貸リース取引を可能とする。
一つの例として、資産運用者[A](以下、賃借人[A])と資産運用者[B](以下、賃貸人[B])との間で、賃借人[A]が保有する資産運用商品[a]の割増幅を対象とした期間3年のキャッシュフロー・リースが既に成立しており、賃貸人[B]が、期首に割増評価額相当額を賃借人[A]へ支払って当該割増幅に対しキャッシュフローを補給した後、賃借人[A]が毎月30のリース料を賃貸人[B]へ納めているとする。当該リース取引の開始から1年を経過した後、資産運用者[C]が保有する資産運用商品[c]の割増幅を対象とする期間2年のキャッシュフロー・リースにおいて、月次リース料が45の水準を示したため、原リース取引と終了日を合わせる形で賃借人[A]が資産運用者[C]と転貸リース取引を締結。賃借人[A](以下、転貸人[A])は、資産運用商品[c]の割増評価額相当額を資産運用者[C](以下、転借人[C])へ支払って当該割増幅に対しキャッシュフローを補給し、当該商品の自由処分権や当該商品より生じる果実を期中受け取る権利などを転借人[C]より譲り受けた。即ち転貸人[A]は、賃貸人[B]より補給されたキャッシュフローを転借人[C]へ転貸し、転借人[C]は当該補給キャッシュフローの使用収益の対価として、毎月45の転貸リース料を転貸人[A]へ支払うことになる。
【0119】
これで転貸人[A]は、資産運用商品[c]の割増評価額相当額の手元流動性を崩しながらも、原リース取引の残存期間即ち転貸リース取引期間において、原リース料(30)を賃貸人[B]へ払い続ける一方でより高い転貸リース料(45)を転借人[C]から受け取ることになり、期末までに計360の転貸差益[(45−30)×24ヶ月]を確定することが可能になった。また、転貸人[A]は、割増評価額相当額に関しても差益を確定できる場合がある。
【0120】
例えば、転貸人[A]が資産運用商品[c]の自由処分権を期中行使した場合、転貸リース取引契約上、当該処分行為を市場で執行する者は転借人[C]であるため、転借人[C]が処分代金を一旦受け取り、これを全額、資産運用商品[c]の実質的な所有者である転貸人[A]へと支払う。そして転借人[C]が、未経過リース料を繰り上げ一括して、又は転貸リース取引の残存期間に渡り従来通り月額で転貸人[A]へ納めることにより、当該転貸リース取引が終了する。
【0121】
一方、賃貸人[B]が資産運用商品[a]の自由処分権を期中行使した場合、原リース取引契約上、当該処分行為を市場で執行する者は転貸人[A]であるため、転貸人[A]が処分代金を一旦受け取り、これを全額、資産運用商品[a]の実質的な所有者である賃貸人[B]へと支払う。そして転貸人[A]が、未経過リース料を繰り上げ一括して、又は原リース取引の残存期間に渡り従来通り月額で賃貸人[B]へ納めることにより、当該原リース取引が終了する。尚、転借人[C]は、同様の転貸リース取引を他の資産運用者と行うことによって、同様の転貸差益を得ることが可能になる。
【0122】
(4)さらに本発明は、資産運用商品の直接リースに関して転貸リース取引を可能とする。
一つの例として、資産運用者[D](以下、賃貸人[D])と資産運用者[E](以下、賃借人[E])との間で、賃貸人[D]が保有する資産運用商品[d]を対象とした期間3年の返還型直接リースが既に成立しており、現物を譲り受けて賃借人[E]が賃貸人[D]へ毎月3のリース料を納めているとする。当該リース取引の開始から1年を経過した後、需給バランスの変化などにより、資産運用商品[d]を対象とする期間2年のキャッシュフロー・リースの月次リース料が5の水準を示したため、原リース取引と終了日を合わせる形で賃借人[E]が資産運用者[F]と転貸リース取引を締結。賃借人[E](以下、転貸人[E])は、賃貸人[D]より譲り受けていた資産運用商品[d]の現物を資産運用者[F](以下、転借人[F])へ譲渡し、転借人[F]はこの使用収益の対価として、毎月5の転貸リース料を転貸人[E]へ支払うことになった。
【0123】
これで転貸人[E]は、資産運用商品[d]の現物を手元より失いながらも、原リース取引の残存期間即ち転貸リース取引期間において、原リース料(3)を賃貸人[D]へ払い続ける一方でより高い転貸リース料(5)を転借人[F]から受け取ることになり、当該商品が返還されるまで毎月2の転貸差益[5−3]を獲得することが可能になった。尚、資産運用商品[d]より生じる果実を期中受け取る権利は転貸リース取引においても移転しないため、転借人[F]が一旦受け取る果実は、転貸人[E]を経由して当該商品の実際の所有者である賃貸人[D]へと支払われる。
【0124】
例えば、転借人[F]が資産運用商品[d]を転貸人[E]へ期中返還した場合は当該転貸リース取引が終了し、また、転貸人[E]がこのタイミングに合わせて、転借人[F]より返還された当該商品を賃貸人[D]へ返還した場合は原リース取引も終了する。しかし、転借人[F]より資産運用商品[d]を返還された後、転貸人[E]が当該商品の先行処分並びにそれに続く再取得を通じてキャピタル・ゲインを狙うなどして再利用するのであれば、転貸リース取引成立前と同様に当該商品を保有することになる。尚、転借人[F]は、資産運用商品[d]を転貸人[E]へ返還する前段階において、同様の転貸リース取引を他の資産運用者と行うことによって、同様の転貸差益を得ることが可能になる。また、転貸人[E]は、資産運用商品[d]を返還された後、同様の転貸リース取引を転借人[F]又は他の資産運用者を相手に繰り返すことで、その都度同様の転貸差益を享受することができる。
【0125】
(5)そして本発明は、資金調達商品のキャッシュフロー・リースに関して転貸リース取引を可能とする。
一つの例として、資金調達者[G](以下、賃借人[G])と資産運用者[H](以下、賃貸人[H])との間で、賃借人[G]が抱える資金調達商品[g]を対象とした期間3年の償還短縮型キャッシュフロー・リースが既に成立しており、賃借人[G]が期首に1000の一括リース料を賃貸人[H]へ支払い、賃貸人[H]が賃借人[G]に代わって当該商品を運用対象として保有する資産運用者へ果実や元本のキャッシュフローを支払っているとする。当該リース取引の開始から1年を経過した後、資金調達者[I]が抱える資金調達商品[i]を対象とする期間2年のキャッシュフロー・リースの一括リース料が1300の水準を示したため、原リース取引と終了日を合わせる形で賃借人[G]が資金調達者[I]と転貸リース取引を締結。賃借人[G](以下、転貸人[G])は、資金調達者[I](以下、転借人[I])より一括転貸リース料(1300)を受け取って、資金調達商品[i]を運用対象として保有する資産運用者へ果実や元本を期中支払う義務を引き受けた。即ち転借人[G]は、当該補給キャッシュフローの使用収益の対価として、一括転貸リース料を転貸人[G]へ支払ったことになる。
【0126】
これで転貸人[G]は、資金調達商品[i]に付随する前記義務を引き受けながらも、一括原リース料(1000)を賃貸人[H]へ支払った一方でより高い一括転貸リース料(1300)を転借人[I]から受け取ったため、300の転貸差益[1300−1000]を確定することができた。また、転貸人[G]は、原リース取引の残存期間即ち転貸リース取引期間に賃貸人[H]より受け取る補給キャッシュフローと、同期間に転借人[I]へ支払う補給キャッシュフローとの差額に関しても利益を確定できる場合がある。尚、転借人[I]は、同様の転貸リース取引を他の資金調達者と行うことによって、同様の転貸差益を得ることが可能になる。
【0127】
(6)ところで本発明は、評価益による資金取引商品のキャッシュフロー・リースに関して転貸リース取引を可能とする。
一つの例として、資金取引者[J](以下、賃貸人[J])と資金取引者[K](以下、賃借人[K])との間で、賃貸人[J]が保有する資金取引商品[j]の評価益を対象とした期間3年のキャッシュフロー・リースが既に成立しており、賃借人[K]が賃貸人[J]へ毎月30のリース料を納めているとする。当該リース取引の開始から1年を経過した後、需給バランスの変化などにより、資金取引商品[j]の評価益を対象とする期間2年のキャッシュフロー・リースの月次リース料が45の水準を示したため、原リース取引と終了日を合わせる形で賃借人[K]が資金取引者[L]と転貸リース取引を締結。賃借人[K](以下、転貸人[K])は、資金取引商品[j]に関して譲り受けていた権利を資金取引者[L](以下、転借人[L])へ譲渡し、又は引き受けていた義務を転借人[L]へ引き渡して資金取引商品[j]の評価益を転借人[L]へ譲渡し、転借人[L]は当該評価益の使用収益の対価として、毎月45の転貸リース料を転貸人[K]へ支払うことになった。
【0128】
これで転貸人[K]は、資金取引商品[j]の評価益を失いながらも、原リース取引の残存期間即ち転貸リース取引期間において、原リース料(30)を賃貸人[J]へ払い続ける一方でより高い転貸リース料(45)を転借人[L]から受け取ることになり、期末までに計360の転貸差益[(45−30)×24ヶ月]を確定することが可能になった。
【0129】
例えば、転借人[L]が期中、資金取引商品[j]に関する権利を行使又は義務を履行した場合、転貸リース取引契約上、転貸人[K]が当該商品の持高を名目上抱えていながらも、上位の原リース取引契約では賃貸人[J]が当該持高を名目上抱えているため、転借人[L]に代わって当該権利の行使又は当該義務の履行を市場で実際に行うのは、最終的に賃貸人[J]ということになる。よって、実現益は賃貸人[J]が一旦計上し、賃貸人[J]は転貸人[K]を経由してこれを実現益の実質的な享受者である転借人[L]へと支払う。そして転借人[L]が、未経過リース料を繰り上げ一括して転貸人[K]へ納め、これを転貸人[K]がそのまま賃貸人[J]へ支払うことで、当該原リース取引、当該転貸リース取引の双方が終了する。尚、転借人[L]は、同様の転貸リース取引を他の資金取引者と行うことによって、同様の転貸差益を得ることが可能になる。
【0130】
(7)次に本発明は、評価損に対する資金取引商品のキャッシュフロー・リースに関して転貸リース取引を可能とする。
一つの例として、資金取引者[M](以下、賃借人[M])と資金取引者[N](以下、賃貸人[N])との間で、賃借人[M]が抱える資金取引商品[m]の評価損を対象とした期間3年のキャッシュフロー・リースが既に成立しており、賃借人[M]が毎月30のリース料を賃貸人[N]へ納めているとする。当該リース取引の開始から1年を経過した後、資金取引者[O]が抱える資金取引商品[o]の評価損を対象とする期間2年のキャッシュフロー・リースにおいて、月次リース料が45の水準を示したため、原リース取引と終了日を合わせる形で賃借人[M]が資金取引者[O]と転貸リース取引を締結。賃借人[M](以下、転貸人[M])は、資金取引商品[o]に付随する権利を譲り受け、又は当該商品に付随する義務を引き受けて、資金取引者[O](以下、転借人[O])の抱える評価損が実現する際に生じる資金流出を肩代わりすることになった。即ち転貸人[M]は、賃貸人[N]より補給されるキャッシュフローを転借人[O]へ転貸し、転借人[O]は当該補給キャッシュフローの使用収益の対価として、毎月45の転貸リース料を転貸人[M]へ支払うことになる。
【0131】
これで転貸人[M]は、原リース取引の残存期間即ち転貸リース取引期間において、原リース料(30)を賃貸人[N]へ払い続ける一方でより高い転貸リース料(45)を転借人[O]から受け取ることになり、期末までに計360の転貸差益[(45−30)×24ヶ月]を確定することが可能になった。
【0132】
例えば、転貸人[M]が期中、資金取引商品[o]に関する権利を行使又は義務を履行した場合、転貸リース取引契約上、当該持高の解消行為の市場における当事者は、名目上持高を抱えてきた転借人[O]であるため、実現損相当額の資金流出は転借人[O]が一旦負担することになるが、これは全額、実現損の実質的な負担者である転貸人[M]より補給される。そして転借人[O]が、未経過リース料を繰り上げ一括して、又は転貸リース取引の残存期間に渡り従来通り月額で転貸人[M]へ納めることにより、当該転貸リース取引が終了する。
【0133】
一方、賃貸人[N]が期中、資金取引商品[m]に関する権利を行使又は義務を履行した場合、原リース取引契約上、当該持高の解消行為の市場における当事者は、名目上持高を抱えてきた転貸人[M]であるため、実現損相当額の資金流出は転貸人[M]が一旦負担することになるが、これは全額、実現損の実質的な負担者である賃貸人[N]より補給される。そして転貸人[M]が、未経過リース料を繰り上げ一括して、又は原リース取引の残存期間に渡り従来通り月額で賃貸人[N]へ納めることにより、当該原リース取引が終了する。尚、転貸人[M]は、キャッシュフローの補給額に関しても差益を確定できる場合がある。また転借人[O]は、同様の転貸リース取引を他の資金取引者と行うことによって、同様の転貸差益を得ることが可能になる。
【0134】
そして、本発明にいう転貸リース取引は、商品の単数・複数に着目すると以下のように分類できる。
(a)資産運用商品単独の転貸リース取引
(b)資金調達商品単独の転貸リース取引
(c)資金取引商品単独の転貸リース取引
(d)資産運用商品同士を抱き合わせた転貸リース取引
(e)資金調達商品同士を抱き合わせた転貸リース取引
(f)資金取引商品同士を抱き合わせた転貸リース取引
(g)資産運用商品と資金取引商品との抱き合わせによる転貸リース取引
(h)資金調達商品と資金取引商品との抱き合わせによる転貸リース取引
(i)資金調達商品と資産運用商品との抱き合わせによる転貸リース取引
(j)資産運用商品、資金調達商品及び資金取引商品の抱き合わせによる転貸リース取引
【0135】
以上これまで、本システムの利用者が各種リース取引において享受できるメリットを、取引の仕組みと併せ箇条書きにして説明してきたが、リース料の算定と損益の算出を目的として文中に使用してきた計算式は基本的に単利ベースであり、実際の取引においては複利ベースを用いることも可能である。