卵の搬送装置は、n列に並んだ卵を列方向に搬送する第1の搬送部と、前記第1の搬送部から卵を受け、行方向に搬送する第2の搬送部と、前記第1の搬送部と前記第2の搬送部との間に介在し、前記第1の搬送部から前記第2の搬送部に卵を移し替える移替部とを備える。前記移替部は、n個の卵を前記第1の搬送部から第1のピッチで受け、前記第1のピッチを、これより狭小な第2のピッチに変換するピッチ変換部と、前記ピッチ変換部からn個の卵を前記第2のピッチで受け、n個の卵を同期させながら前記第2の搬送部に渡す速度同期部とを備える。前記ピッチ変換部は、n個の第1の卵収容器を備え、前記n個の第1の卵収容器は、前記第1のピッチで卵を受ける第1の位置と、前記速度同期部に卵を渡す第2の位置との間で往復移動を繰り返す。
【背景技術】
【0002】
卵を重量データ等に基づいて自動選別および自動包装するシステムとして様々な自動選別包装システムが公知となっている。たとえば、特許文献1に開示される選別包装システムは、6列に並んだ卵を列方向に搬送する第1の搬送部と、第1の搬送部から卵を受け、行方向に1列で搬送する第2の搬送部と、第1の搬送部と第2の搬送部の間に介在し、第1の搬送部により6列で列方向に搬送されてくる卵を6個ずつ順次受け取り、行方向に1列で卵を搬送する第2の搬送部に渡す移替部とを備える搬送装置を含む。
【0003】
この移替部は、第1の搬送部から6列で搬送される卵の一行分にあたる6個の卵を一対一の関係で受ける6個の卵収容器を備える。各卵収容器は、行方向に長軸を沿わせた状態の卵を受け、行方向と鉛直方向を含む鉛直平面で弧状に動作することより、鉛直方向に長軸を向けた状態に卵の姿勢を90°変更し、第2の搬送部に卵を受け渡す。
【0004】
また、各卵収容器は、前記した鉛直平面の弧状動作の途中で卵を放出することにより、行方向に速度成分を持たせ、第2の搬送部に同期するように卵を渡す。これより、第2の搬送部に卵を渡す際の卵への衝撃が緩和される。
【0005】
さらに、6個の卵収容器は、第1の搬送部から6個の卵を第1のピッチで受け、6個の卵を異なるタイミングで第2の搬送部に放出することにより、第1のピッチより狭小な第2のピッチに変換するように第2の搬送部に6個の卵を受け渡す。第2の搬送部では、搬送ピッチが狭小になることにより、搬送速度を変えることなく、第2の搬送部の搬送量を増加させ、ひいては選別包装の処理速度を高めることができる。すなわち、6個の卵収容器は、1つの動作で卵の姿勢変更と、卵間のピッチ変換と、卵の受け渡しのための同期との3つの機能を達成していた。
【0006】
しかし、近年は、選別包装システムの処理速度の向上により、移替部の移し替えも高速化が要求され、これらの3つの機能を1つの動作で達成することは困難となっている。すなわち、特許文献1に記載の移替部では、高速化にともない、破卵、落卵等の卵の移し替えの失敗が多数発生した。
【0007】
そこで、特許文献1に記載の搬送装置に対して、3つの機能を分離した特許文献2に記載の卵の搬送装置が開発された。この搬送装置は、卵の姿勢を変更する姿勢変更部と、卵のピッチを変更するピッチ変換部と、卵を第2の搬送部に同期させる同期部とを備える移替部を含む。この搬送措置では、各機能を分離することにより卵の移替を安定して行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2に記載の卵の自動選別包装装置においても、以下のような問題があった。すなわち、特許文献2に記載のピッチ変換部は、搬送幅方向に6個並んだ卵収容器を搬送方向に多数設け、無端コンベアによるバケットコンベアとして多数の卵収容器を搬送しながらピッチ変換する、いわゆるロータリー構造となっている。
【0010】
ところが、移替部により移し替えられる卵は、いかに安定して移し替えがされても卵収容器に受け渡される際に、卵が割れ、卵白、卵黄等の内容物により卵収容器が汚染されることがある。汚染された卵収容器は洗浄される必要があるが、汚染された卵収容器を特定して洗浄するためには、ロータリーを稼働させ、特定した卵収容器を清掃可能な場所に搬送する必要があった。したがって、特許文献2に記載のピッチ変換部は、卵収容器の清掃が迂遠であるという問題があった。
【0011】
また、ロータリー構造のピッチ変換機構は、多数の卵収容器を設けるためにコストが高くなるという問題もあった。さらに、ピッチ変換のためにロータリー構造を配置する空間も必要となり、装置が大型化するといった問題もあった。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決すべくなされたもので、その目的は、卵の移替を簡易かつ安定して行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る卵の搬送装置は、n列に並んだ卵を列方向に搬送する第1の搬送部と、前記第1の搬送部から卵を受け、行方向に搬送する第2の搬送部と、前記第1の搬送部と前記第2の搬送部との間に介在し、前記第1の搬送部から前記第2の搬送部に卵を移し替える移替部とを備える。
【0014】
前記移替部は、n列に並んだ卵の一行分にあたるn個の卵を前記第1の搬送部から第1のピッチで受け、前記第1のピッチを、これより狭小な第2のピッチに変換するピッチ変換部と、前記ピッチ変換部からn個の卵を前記第2のピッチで受け、n個の卵を行方向に同期させながら前記第2の搬送部に渡す速度同期部とを備える。
【0015】
前記ピッチ変換部は、n個の卵に一対一の関係で対応して卵を受けるn個の第1の卵収容器を備え、前記n個の第1の卵収容器は、前記第1のピッチで卵を受ける第1の位置と、前記速度同期部に卵を渡す第2の位置との間で往復移動を繰り返すことを特徴とする。
【0016】
この卵の搬送装置によれば、第1の搬送部から第1のピッチでn個の卵を受け、第2のピッチに変更して、第2の搬送部に同期させて卵を移し替える移替部が、ピッチ変換部と速度同期部とに分離されているため、卵の移替が安定して行われる。
【0017】
さらに、ピッチ変換部では、n個の第1の卵収容器が第1のピッチと第2のピッチとの間で往復運動を繰り返すことにより、ピッチ変換が行われる。したがって、ピッチ変換部は、n個の卵収容器を備えればよい。
【0018】
本発明に係る卵の搬送装置によれば、第1の搬送部から第2の搬送部に卵が安定して移し替えられるにも関わらず、移替部の清掃が容易で、構造が簡易かつ小型になる。
【0019】
また、行方向および列方向は略水平面に規定されており、前記第1の搬送部は、行方向に長軸を沿わせた状態で卵を搬送し、前記移替部は、さらに、前記第1の搬送部から列に長軸を沿わせた状態でn個の卵受け、鉛直方向に長軸を沿わせた状態に各卵の姿勢を変更し、前記ピッチ変換部にn個の卵を渡す姿勢変更部を備えていてもよい。
【0020】
また、前記第1の卵収容器は、前記第1の位置に停止した状態で卵を受け、卵を収容した状態で第2の位置へ移動し、第2の位置で卵を前記速度同期部へ渡し、前記速度同期部は、前記第2のピッチで配置されており、n個の前記第1の卵収容器に一対一の関係で対応して前記第1の卵収容器から卵を受けるn個の第2の卵収容器を備えていてもよい。
【0021】
さらに、n個の前記第2の卵収容器は、第3の位置で停止した状態で前記第1の卵収容器から卵を受け、第2のピッチを維持したまま行方向に移動しながら第4の位置で第2の搬送部に同期して卵を渡し、さらに第3の位置へ戻るように往復移動を繰り返してもよい。
【0022】
また、前記第1の収容容器は、第1の位置と第2の位置との間で行方向にのみ移動するようされてもよい。
【0023】
本発明に係る卵の移替方法は、n列に並んだ卵を列方向に搬送する第1の搬送部から、行方向に搬送する第2の搬送部に卵を移載する。この卵の移替方法は、n列に並んだ卵の一行分にあたるn個の卵を前記第1の搬送部から第1のピッチで受ける第1のステップと、第1のステップの後に、前記第1のピッチを、これより狭小な第2のピッチに変換する第2のステップと、第2のステップの後に、n個の卵を前記第2のピッチで受ける第3のステップと、第3のステップの後に、n個の卵を前記第2の搬送部の搬送速度に同期させながら前記第2の搬送部に渡す第4のステップとを含む。
【0024】
前記第2のステップは、往復運動により第1のピッチから第2のピッチにピッチを変換することを含み、第1ないし第4のステップを繰り返すことで連続的に卵を第1の搬送部から第2の搬送部に移し替える。
【0025】
この移替方法によれば、第1のピッチから第2のピッチへのピッチ変換の後に、第2の搬送部に対する速度同期がされる。すなわち、ピッチ変換機能と速度同期機能が分離されているため、卵の移替が安定して行われる。さらに、ピッチ変換は、往復運動により行われるため、卵の移替を簡易に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、卵の移替を簡易かつ安定して行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示すように、卵の選別包装システムSは、本発明の実施の形態に係る卵の搬送装置10と、卵の搬送装置10により搬送された卵Eを受けて容器に包装する包装装置12と、これらの装置を制御する制御装置14とを含む。
【0030】
卵の選別包装システムSは、様々な物理的性状(たとえば、重量、ヒビの有無、汚れの有無、卵内異常の有無)を有する多数の卵Eを受け、搬送装置10により卵Eを搬送しながら、その物理的性状に基づいて卵Eを選別し、物理的性状ごとに選別した卵Eを包装装置12により包装容器16に包装する。
【0031】
卵の選別包装システムSは、従来よく知られるように、卵の重量を計る計量装置18(
図2参照)を備え、また、従来よく知られるように、卵のヒビ、汚れ、内部異常等を検査する検査装置(たとえば、特開平9−47184号公報、特開2008−309678号公報、特開平11−41589号公報等参照)が組み込まれていてもよい。
【0032】
制御装置14は、卵の選別包装システムSが物理的性状に基づいて卵Eを選別包装するように各装置を制御する。したがって、制御装置14は、CPU、メモリ等のハードウェアとプログラム等のソフトウェアとを備え、搬送装置10、包装装置12、前記検査装置等の選別包装システムSの各構成装置を適切に制御する。
【0033】
ところで、卵Eは、先の少し尖った鋭端と、これと反対側の鈍端とを有し、鋭端と鈍端を結ぶ仮想的な軸線が長軸と称される。卵の選別包装システムSは、搬送装置10の上流側に、方向整列装置(図示しない)を備え(たとえば、特開2007−222221号公報参照)、この方向整列装置により、複数の卵Eは、鋭端(および鈍端)が特定の方向に向く状態に、卵の方向(姿勢)を整列され、搬送装置10に渡される。
【0034】
搬送装置10は、卵Eをn列に並べた状態で、矢印Xの方向へ搬送する第1の搬送部20と、第1の搬送部20から卵Eを受け、矢印Yの方向に卵Eを搬送する第2の搬送部22と、第1の搬送部20から第2の搬送部22に卵Eを移し替える移替部24とを備える。以下の説明ではn=6として説明するが、n≧2であればよい。
【0035】
本実施の形態において、列方向は矢印Xに沿う前後方向、行方向は矢印Yに沿う前後方向となる。また、列方向と行方向とは略水平面内に規定されており、第1の搬送部20は6列に並んだ状態で卵Eを列方向に搬送し、第2の搬送部22は1行に並んだ状態で卵Eを行方向に搬送する。列方向と行方向の関係は、直交関係に限定されず、交差する関係であればよい。
【0036】
第1の搬送部20は、
図2に示すように、列方向および行方向に並ぶ多数のローラ26を備える。第1の搬送部20の多数のローラ26のうち、一行分のローラ26は軸部材28により連結され、1つのローラ群Rを構成する。ローラ群Rは、列方向に並んで配置されており、列方向に隣り合う一対のローラ26は、共同して1つの卵Eを挟持して保持する。
【0037】
本実施の形態において、1つのローラ群Rが6個のローラ26を備え、多数のローラ群Rが列方向に並ぶことにより、卵Eは、第1の搬送部20に6列に並んだ状態に置かれる。1つのローラ群Rの6個のローラ26は、第1のピッチP1で軸部材28に固定されて連結されており、列方向に隣り合う一対のローラ26に挟持される卵Eも行方向に第1のピッチP1で間隔をおいて保持される。
【0038】
卵Eを保持した一対のローラ26を含むローラ群Rが、卵Eを保持した状態で矢印Xの方向に連続して移動することにより、卵Eが連続搬送される。列方向に隣り合う一対のローラ26は、前記方向整列装置から鋭端(および鈍端)が特定の方向に向いた状態で卵Eを受け、軸部材28を中心として回転しながら矢印Xの方向に移動することにより、長軸を中心として卵Eを回転させながら矢印Xの方向に搬送する。
【0039】
本実施の形態において、第1の搬送部20では、卵の鋭端が矢印Yの方向を向いた状態で、各卵Eがローラ26に保持されている。第1の搬送部20は、従来よく知られたローラバーコンベアである。しかし、第1の搬送部は、他のコンベアであってもよい。
【0040】
第1の搬送部20では、列方向に隣り合う一対のローラ26に1つの卵Eが挟持されるため、ローラ26の位置を特定することで、卵Eの位置を特定することができる。第1の搬送部20には、ローラ群Rの搬送方向の動きに連動する第1のエンコーダ30が設けられており(
図1参照)、一対のローラ群Rに挟持された卵Eが所定距離移動する毎にパルス信号が生成される。これにより、第1の搬送部20を6列で搬送される多数の卵Eは、第1の搬送部20での位置を特定される。
【0041】
再び
図1を参照するに、移替部24は、長軸を行に沿わせた状態で第1の搬送部20を搬送された卵Eを、長軸を鉛直方向に沿わせた状態に姿勢を変更して第2の搬送部22に移し替える。また、第2の搬送部22は、第1のピッチP1よりも狭小な第2のピッチP2で卵Eを搬送しており、移替部24は、第1の搬送部から第1のピッチで6個の卵Eを受け、第2のピッチP2に6個の卵Eのピッチを変更して、第2の搬送部に6個の卵Eを渡す。
【0042】
本発明の実施の形態に係る卵の搬送装置では、第1の搬送部の列間ピッチが第2の搬送部の搬送ピッチに対応する。すなわち、第1のピッチは第1の搬送部の列間ピッチとなり、第2のピッチは第2の搬送部の搬送ピッチとなり、卵間のピッチを第1のピッチから、これより狭小な第2のピッチに変換することにより、選別包装システムSの処理速度を高めることができる。例えば、第1の搬送部において第1のピッチは、76.2mmで設計され、第2の搬送部において第2のピッチは、57.15mmで設計された選別包装システムが周知である(特開2008−179475号公報参照)。
【0043】
さらに、第2の搬送部22は、後述するように卵Eを連続搬送しており、移替部24は、第2の搬送部22の連続動作に同期するように卵Eを移動させながら、第2の搬送部22に渡す。したがって、移替部24は、卵の姿勢の変更と共に、6個の卵の間のピッチを変換し、さらに、卵Eを同期させて第2の搬送部22に渡す。
【0044】
第2の搬送部22は、姿勢とピッチとを変換された一行分にあたる6個の卵Eを、自身の連続動作に同期されて受け、矢印Yの方向に卵Eを順次、連続して搬送する。したがって、第2の搬送部22は、第1の搬送部20の約6倍の速度で卵を連続搬送する。第2の搬送部22は、
図3に示すように、移替部24の下方に配置され、移替部24から渡される卵Eを保持する多数の保持容器32を備える。保持容器32は、
図3には6個のみ図示されているが、実際は、多数の保持容器32が周回無限軌道を形成するように設けられる。
【0045】
すなわち、第2の搬送部22は、第2のピッチP2で等間隔に並ぶ多数の保持容器32が卵Eを保持して矢印Yの方向に連続移動することにより、卵Eを連続搬送するバケットコンベアである。第2の搬送部22は、バケットが周回無限軌道を形成し、周回運動することによりロータリー構造となる。
【0046】
保持容器32は、搬送において卵Eを保持できればよく、本実施の形態に示すような、卵Eを支持して保持するバケットに替えて、たとえば、卵Eを把持して保持するフィンガー(特開平11−079345号公報参照)であってもよい。第1の搬送部20にて、第1のエンコーダ30により第1の搬送部の搬送方向(矢印Xの方向)の位置を特定された卵Eは、第1の搬送部20の矢印Yの方向の位置を特定することにより、第2の搬送部22のいずれの保持容器32に保持されたかを特定される。
【0047】
第2の搬送部22の保持容器32は、移替部24から下流に配置された複数の集合区分34に向けて卵Eを保持した状態で搬送する。第2の搬送部22には、保持容器32の動きに連動する第2のエンコーダ36が設けられており、第2のピッチP2で隣り合う保持容器32に保持された卵Eの位置が特定される。
【0048】
包装装置12は、第2の搬送部22に接続される複数の集合区分34を備える。各集合区分34は、引取条件に適合した卵Eを第2の搬送部22から引き取り、包装容器16に充填し、卵Eを包装する。第2の搬送部22から各集合区分34への卵の引き取りでは、従来よく知られたキック機構38により(たとえば、特開平8−82546号公報参照)、保持容器32のレバー32a(
図3参照)が稼動されて、保持容器32が開放する。これにより、卵Eが包装容器に向けて放出される。
【0049】
本実施の形態において、6個の集合区分34が設けられており、各集合区分34の引取条件に適合した卵Eが、キック機構38により、保持容器32から開放されて、対応する集合区分34に引き取られる。たとえば、上流の集合区分から、Lサイズ、Lサイズ、Mサイズ、Mサイズ、Sサイズ、LLサイズといったように、卵の重量により各集合区分の引取条件が制御装置14を介して設定される。本実施の形態において、選別包装システムは、6個の集合区分を備えるが、第1の搬送部20が6列で卵を搬送することとは関連しない。すなわち、集合区分の数は、第1搬送部の列数(n列)と異なる数であってもよい。
【0051】
移替部24は、第1の搬送部20と第2の搬送部22の間に介在し、第1の搬送部20から第2の搬送部22に卵Eを移し替える。本実施の形態において、移替部24は、第1の搬送部20から6列で搬送された卵Eの1行分にあたる6個の卵Eを受けて、1行で卵Eを搬送する第2の搬送部22に移し替える。第1の搬送部20および第2の搬送部22は、卵Eを連続搬送するため、移替部24も6個の卵を第2の搬送部24に連続して移し替える。
【0052】
移替部24は、
図2、
図4および
図8に示すように、第1の搬送部20から長軸を行方向に沿わせた状態で卵Eを受け、長軸を鉛直方向に沿わせた状態に卵Eの姿勢を変更する姿勢変更部40と、姿勢変更部40を介して、第1の搬送部20から6列に並んだ卵Eの一行分にあたる6個の卵Eを第1のピッチP1で略同時に受け、第1のピッチP1を、これより狭小な第2のピッチP2に変換するピッチ変換部42と、ピッチ変換部42から6個の卵Eを第2のピッチP2で受け、第2の搬送部22の保持容器32の搬送速度に同期させながら第2の搬送部22に第2のピッチP2のまま6個の卵Eを渡す速度同期部44とを備える。
【0053】
姿勢変更部40は、第1のピッチP1で配置された6つの姿勢変更構造46を備え、各姿勢変更構造46は、
図4に示すように、行方向に所定の間隔をおいて平行に並び、異なる長さで延在する2本のガイド48,50と、第1の搬送部20の終端付近に達した卵Eを第1の搬送部20の搬送方向に押圧して、2本のガイドに運ぶ押圧機構52を備える。押圧機構52は、従来よく知られるように、回転する羽根車54を有し、羽根車54が回転することにより、第1の搬送部20から2本のガイド48,50まで羽根車54の羽根56が卵Eを押圧して運ぶ。
【0054】
本実施の形態において、2本のガイド48,50のうち、長い第1のガイド48は卵Eの鈍端を、短い第2のガイド50は卵Eの鋭端側を支持するように配置される。両ガイドでは、卵Eが、第1の搬送部20の搬送方向に転がりながら搬送され、第2のガイド50の終端に到達し、第2のガイド50から離れることにより、第2のガイド50より長い第1のガイド48を軸に回転しながら落下する。したがって、卵Eは、鋭端側が下方を向くように姿勢を変更されて落下する。
【0055】
本実施の形態において、第1のガイド48は、列方向において第2のガイド50の終端付近に対応する位置で斜め上方に折曲げられている。卵Eは、羽根車54に押圧されることにより第1の搬送部20の搬送方向に進行するが、斜め上方に折曲げられた第1のガイド50上を転がることにより、速度が減じられる。速度を減じられた卵Eは、後述する第1の卵収容器60に向けて確実に落下する。
【0056】
本実施の形態において、姿勢変更部40は、長さの異なる2本のガイド48,50上を搬送され、短小な第2のガイド50から卵Eの鋭端側が離れることにより、鋭端側が下方に向く状態に卵Eの姿勢を変更する。しかし、姿勢変更部40は、長軸が鉛直方向に向くように姿勢を変更できれば他の構造であってもよい。たとえば、卵Eを卵収容器に一度保持し、卵収容器を回転させて卵の姿勢を回転させた後に、保持した卵Eを開放するような機構により、卵の姿勢が変更されてもよい(たとえば、特開2011−173714号公報参照)。
【0057】
ピッチ変換部42は、姿勢変更部40の下方に設けられており、
図5〜
図7に示すように、第1の搬送部20から第1のピッチP1で6個の卵Eを一対一の関係で対応して受ける6個の第1の卵収容器60と、6個の第1の卵収容器60の間のピッチを変換するように駆動する駆動機構62とを備える。各第1の卵収容器60は、卵Eを収容又は放出するように構成されている。
【0058】
また、6個の第1の卵収容器60は、行方向に並んで配置されており、姿勢変更部40により長軸を鉛直方向に向けた状態に姿勢を変更された卵Eを第1の位置で受ける。第1の位置は、卵収容器が姿勢変更部40から第1のピッチP1で卵Eを受けるように位置決めされる。
図5では、第1の位置におかれ、第1のピッチP1で卵Eを受ける第1の卵収容器60が示されている。6個の第1の卵収容器は、第1の位置にて第1のピッチP1で6個の卵を第1の搬送部20から受ける。
【0059】
6個の第1の卵収容器60は、第1の位置で第1のピッチP1にて6個の卵Eを受けた後に、駆動機構62により第2の位置に移動され第2のピッチP2に変更される。第2に位置は、6個の卵収容器が第2のピッチP2で速度同期部44(
図8参照)に適切に卵Eを渡すことができるように位置決めされる。
図6では、第2の位置に移動して、第2のピッチP2で卵Eを放出する前の第1の卵収容器60が図示されている。6個の第1の卵収容器60は、第2の位置にて第2のピッチP2で6個の卵を第2の搬送部22に渡す。
【0060】
駆動機構62は、6個の第1の卵収容器60のうち両端に位置する第1の卵収容器60sに結合された両端部材66と、各第1の卵収容器60および両端部材66を貫通するように、行方向に延びる一対の貫通部材68と、各貫通部材68の両端が結合する駆動機構本体70と、6個の第1の卵収容器60を連結するように設けられ、6個の第1の卵収容器60の間で伸縮する伸縮部材72と、両端部材66に結合され、両端部材66の間隔を変更する間隔変更部材74とを備える。
【0061】
駆動機構本体70は選別包装システムSに固定されており、各第1の卵収容器60は、駆動機構本体70に結合された一対の貫通部材68を貫通されることにより、貫通部材68の延在する方向(行方向)に移動可能に支持されている。間隔変更部材74は、駆動源(図示しない)に接続されており、間隔変更部材74の回転部材76が回転することで回転部材76に結合された一対の棒状部材78が駆動して間隔変更部材74に結合された両端部材66の間隔を変更する(
図5および
図6参照)。間隔変更部材74の回転部材76は、第1の卵収容器60が第1の位置と第2の位置とで往復運動するように、前記駆動源に接続されて鉛直方向を軸として回転往復運動する。
【0062】
両端部材66の間隔が変更されると、両端部材66に結合された両側の第1の卵収容器60sが移動する。6個の第1の卵収容器60うち、隣り合う第1の卵収容器60は、相互に伸縮部材72に結合されており、両側の第1の卵収容器60sの移動にともない、伸縮部材72が伸縮することにより、各第1の卵収容器60が、相互に同一ピッチとなるように移動する。
【0063】
これにより、各第1の卵収容器60は、第1の位置にて相互に第1のピッチP1となり、第2の位置にて相互に第2のピッチP2になるように移動可能である。したがって、駆動機構62は、回転部材76が回転往復運動することにより、6個の第1の卵収容器60を第1の位置と第2の位置とで往復運動させる。
【0064】
本実施の形態において、6個の第1の卵収容器60は、第1の位置と第2の位置との間を行方向にのみ直線的に移動する。これにより、簡易な構造で往復運動を達成することができる。しかし、卵収容器が第1の搬送部20から卵Eを受け、第1のピッチP1から第2のピッチP2にピッチを変更して、速度同期部44に卵Eを渡せるように動作すれば、第1の位置と第2の位置は他の関係にあってもよい。たとえば、複数の卵収容器が、鉛直斜め(行方向を含む斜め方向)に第1の位置と第2の位置との間を移動するにしてもよい。
【0065】
また、各第1の卵収容器60は、卵を支持すべく列方向に開閉可能な一対の支持部材80を備える(
図4参照)。一対の支持部材80は、第1の位置では、卵Eを受けて保持可能に閉状態となり、第2の位置では、速度同期部44に卵Eを渡すべく、卵Eを放出可能に開状態となる。第1の卵収容器60は、前記駆動源に接続されており、自身の往復運動に連動して開閉される。
【0066】
本実施の形態において、貫通部材68が各支持部材80を貫通しており、貫通部材68を軸に支持部材80が開閉可能に構成されている。これにより、貫通部材68は支持部材を回転可能に、かつ行方向に移動可能に支持する。支持部材80は、第1の卵収容器60が第1の位置に移動したことに連動して閉状態となり、第2の位置に移動したことに連動して開状態となる。
【0067】
図7では、第2の位置にて第2のピッチP2で、第2の搬送部22に速度を同期させながら卵Eを放出すべく開いた状態の第1の卵収容器60を示す。第1の卵収容器60は、第2の位置にて第2のピッチで6個の卵Eを速度同期部の第2の卵収容器82に渡せればよい。
【0068】
速度同期部44は、
図8に示すように、ピッチ変換部42の下方に設けられており、ピッチ変換部42の6個の第1の卵収容器60に一対一の関係で対応して卵Eを受ける6個の第2の卵収容器82からなる容器ユニット84と、容器ユニット84を矢印Yの方向に移動させ、第2の搬送部22の速度に同期させる同期ユニット86とを備える。
【0069】
同期ユニット86は、容器ユニット84に連結し、行方向に延び、かつその延在方向に往復運動可能の長尺部材88に連結されている。これにより、容器ユニット84は、長尺部材88が行方向に移動することにより、第2の卵収容器82が長尺部材88に押され、または、引っ張られて行方向に移動する。第2の卵収容器82は、相互に固定されており、6個の第2の卵収容器のピッチは、ピッチP2に維持される。
【0070】
長尺部材88は、前記駆動源に接続されており、ピッチ変換部42の往復運動に連動して、第2の卵収容器82を第3の位置と第4の位置とで往復移動させる。長尺部材88が容器ユニット84を引き切った状態で第2の卵収容器82は第3の位置におかれ、長尺部材88が容器ユニット84を押し切った状態で第2の卵収容器82は第4の位置におかれる。
【0071】
第3の位置は、第2の卵収容器82が第1の卵収容器60から6個の卵Eを受けるように位置決めされ、第4の位置は、第2の卵収容器82が第2の搬送部22の保持容器32に卵を同期させながら渡せるように位置決めされる。第2の卵収容器82は、第3の位置で第1の卵収容器60から6個の卵を受け、また第4の位置で保持容器32に卵を渡すように往復運動できればよい。
【0072】
各第2の卵収容器82は、第2の位置で第1の卵収容器60から放出された卵Eを受けるように、対応する第1の卵収容器60の下方に位置し、第1の卵収容器60と同様に、列方向に開閉可能な一対の支持部材90を備える。一対の支持部材90は、第3の位置では、長軸が鉛直方向に沿った状態の卵Eを受けるべく卵を支持可能に閉状態となり、第4の位置では、第2の搬送部22の保持容器32に卵Eを渡すべく、卵Eを放出可能に開状態となる。すなわち、第2の卵収容器82は、自身の往復運動に連動して開閉する。
【0073】
第2の卵収容器82は、第2の位置にて第2のピッチP2でおかれた第1の卵収容器60の下方に、第2のピッチP2に適合して第3の位置に配置される。これにより、第2の卵収容器82は、第3の位置でピッチ変換部42から第2のピッチP2にて6個の卵Eを受けることができる。また、第2の卵収容器82は、ピッチ変換部42から卵Eを受けた後、同期ユニット68により、第4の位置に向けて移動する。
【0074】
さらに、6個の第2の卵収容器82は、長尺部材88に押されて第4の位置に移動し、第2の搬送部22の保持容器32の速度と略同一の速度となってから、すなわち同期してから第2のピッチP2のまま6個の卵Eを放出する。同期とは、たとえば、第2の卵収容器82が第2の搬送部22の保持容器32と同一方向に速度成分を有することを含み、同一方向に同一速度成分を有することに限定されない。
【0075】
また、第4の位置で卵Eを放出した第2の卵収容器82は、長尺部材88に引っ張られて矢印Yの方向と逆方向に移動することにより、第3の位置に復帰する。
図8では、第1の位置におかれた第1の卵収容器60と第3の位置におかれた第2の卵収容器82が模式的に示されている。
【0076】
本実施の形態において、第1の卵収容器60および第2の卵収容器82等は、従来よく知られた、卵Eを保持又は放出可能なバケットである(たとえば、特開2008−179475号公報参照)。しかし、第1および卵収容器および第2の卵収容器82等は、卵収容器と把持部材とで卵Eを保持し、回転により卵Eを放出する保持機構であってもよい(たとえば、特開2011−173714号公報参照)。
【0077】
次に移替部24の動作について説明する。
【0078】
卵Eは6列で第1の搬送部20を連続して搬送され、また第2の搬送部22でも連続搬送される。したがって、移替部24の姿勢変更部40、ピッチ変換部42、速度同期部44も連続して卵Eを第1の搬送部20から第2の搬送部22に移し替える。すなわち、姿勢変更部40の卵の姿勢と、ピッチ変換部42の6個の卵のピッチを変換と、速度同期部44の同期とが平行して行われる。
【0079】
第1の搬送部は、6列に並んだ卵を矢印Xの方向に連続して搬送しており、移替部24では、先ず、ピッチ変換部42の第1の卵収容器60が6列に並んだ卵の一行分にあたる6個の卵(第1の卵群)を前記第1の搬送部から第1のピッチで受ける(ステップ1)。このとき、速度同期部44の第2の卵収容器82は、第1の搬送部で第1の卵群の一行分前に搬送された6個の卵(第2の卵群)を収容した状態で、第3の位置から第4の位置へ移動し、第2の搬送部22の保持容器32の搬送速度に同期させながら第2の卵群を放出する。
【0080】
次いで、第1の卵収容器60が前記第1のピッチを、これより狭小な第2のピッチに変換する(ステップ2)。このとき、第2の卵収容器82は、第2の卵群を放出し終え、第4の位置から第3の位置へ移動する。
【0081】
次いで、第1の卵収容器60が第1の卵群E1を第2のピッチで放出する。このとき、第2の卵収容器82は第3の位置へ復帰しており、第1の卵収容器60から6個の卵を前記第2のピッチで受ける(ステップ3)。
【0082】
次いで、第1の卵収容器60が、第1の卵群の次の一行分の卵群(第3の卵群)を受けるべく、第1の位置へ復帰する。このとき、第2の卵収容器82は、第3の位置から第4の位置に向けて移動する(ステップ4)。
【0083】
移替部24は、ステップ1からステップ4を繰り返すことにより、連続的に卵を第1の搬送部から第2の搬送部に移し替える。これらのステップの中で第1の卵収容器60と第2の卵収容器82は、それぞれ、往復運動により、ピッチ変換と速度同期を行っている。なお、同期とは、たとえば、第2の卵収容器82が第2の搬送部22の保持容器32と同一方向に速度成分を有することを含み、同一方向に同一速度成分を有することに限定されない。
【0084】
本発明の実施の形態に係る往復運動による移替部は、周回運動のロータリー式の移替部に比較して、卵収容器の数量が著しく少なくできる。これにより、卵Eが割れた場合などの選択的に卵収容器を清掃する場合においても、卵収容器の選択にロータリーを動かす等の大がかりな作業をすることない。また、装置の製造費用も大きく低減でき、装置の小型化も可能となる。特に、第1の搬送部において複数列で卵Eを搬送し、第2の搬送部において一行で卵Eを搬送する選別包装システムにおいては、卵収容器の数量を減す効果は大きい。
【0085】
本発明の実施の形態に係る移替部は、卵の姿勢変更機能と、卵間のピッチ変換機能と、第2の搬送部に対する速度同期機能とが分担されている。これにより、移替部は、各機能を確実に達成し、安定した卵の移し替えができる。
【0086】
本発明の実施の形態に係る移替部では、ピッチ変換部と速度同期部とが、共に往復運動により各機能を達成している。これにより、ピッチ変換部と速度同期部との同期が容易になり、各機能を確実に達成し、安定した卵の移し替えができる。
【0087】
本発明の実施の形態に係る移替部では、第1の卵収容器が、第2の搬送部の搬送方向にのみ往復運動する。これにより、第1の卵収容器の移動と開閉とが容易に達成でき、装置の構造が簡易になり、ひいては、安定した卵の移し替えができる。
【0088】
本実施の形態において、第1の搬送部は6列で卵を搬送するが、第1搬送部は、2列以上で卵を搬送すればよく、たとえば12列で卵を搬送する。また、第2の搬送部は1列で卵を搬送するが、第2搬送部は、少なくとも1列で卵を搬送すればよく、たとえば2列で卵を搬送してもよい。
【0089】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。