卵の姿勢変更構造は、卵の長軸を第1の方向に沿わせた状態で卵を搬送する搬送部から卵を受け、卵の長軸を鉛直方向に沿わせた状態に姿勢を変更して卵座に卵を渡す。卵の姿勢変更構造は、前記搬送部から卵を受けて案内すべく、前記搬送部側を始端として第1の水平方向に間隔をおいて、少なくとも第2の水平方向に延在する2つのガイドと、前記ガイド上を案内される卵の速度を減じる減速部とを備える。前記2つのガイドのうち、第1の前記ガイドは卵の鋭端側を、第2の前記ガイドは卵の鈍端側を支持する。前記第1および第2のガイドは、いずれか一方のガイドが他方のガイドよりも長く延在し、卵が前記他方のガイドの終端に達して前記他方のガイドから離れることにより、前記一方のガイドを軸として卵の姿勢を変更させながら前記卵座に向けて落下させる。
卵の長軸を第1の水平方向に沿わせた状態で卵を搬送する搬送部から卵を受け、卵の長軸を鉛直方向に沿わせた状態に姿勢を変更して卵座に卵を渡す卵の姿勢変更構造であって、
前記搬送部から卵を受けて案内すべく、前記搬送部側を始端として第1の水平方向に間隔をおいて、少なくとも第2の水平方向に延在する2つのガイドと、前記ガイド上を案内される卵の速度を減じる減速部とを備え、
前記2つのガイドのうち、第1の前記ガイドは卵の鋭端側を、第2の前記ガイドは卵の鈍端側を支持し、
前記第1および第2のガイドは、いずれか一方のガイドが他方のガイドよりも長く延在し、卵が前記他方のガイドの終端に達して前記他方のガイドから離れることにより、前記一方のガイドを軸として卵の姿勢を変更させながら前記卵座に向けて落下させ、
前記減速部は、落下する前の卵または落下する卵の速度を減じる、卵の姿勢変更構造。
両ガイドは、第2の水平方向に延在しながら少なくとも上方に折曲げられることにより、斜め上方に相互に間隔をおいて延在し、前記他のガイドは、斜め上方に延在する途中に終端を有する、請求項2に記載の卵の姿勢変更構造。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示すように、卵の選別包装システムS1は、卵Eを搬送する搬送装置10と、搬送装置10により搬送された卵Eを受けて容器に包装する包装装置12と、これらの装置を制御する制御装置14とを含む。搬送装置10は、本発明の第1の実施の形態に係る卵の姿勢変更構造を備え、卵Eを搬送する途中で卵の姿勢を変更し、姿勢を変更された卵Eをさらに搬送する。
【0027】
卵の選別包装システムS1は、様々な物理的性状(たとえば、重量、ヒビの有無、汚れの有無、卵内異常の有無)を有する多数の卵Eを受け、搬送装置10により搬送しながら、その物理的性状に基づいて卵Eを選別し、物理的性状ごとに選別した卵Eを包装装置12により包装容器16に包装する。
【0028】
選別包装システムS1は、従来よく知られるように、卵の重量を計る計量装置18(
図2参照)を備え、また、従来よく知られるように、卵のヒビ、汚れ、卵内異常等を検査する検査装置(たとえば、特開平9−47184号公報、特開2008−309678号公報、特開平11−41589号公報等参照)が組み込まれていてもよい。
【0029】
制御装置14は、卵の選別包装システムS1が物理的性状に基づいて卵Eを選別包装するように各装置を制御する。したがって、制御装置14は、CPU、メモリ等のハードウェアとプログラム等のソフトウェアとを備え、搬送装置10、包装装置12、前記検査装置等の選別包装システムS1の各構成装置を適切に制御する。
【0030】
ところで、卵Eは、先の少し尖った鋭端と、これと反対側の鈍端とを有し、鋭端と鈍端を結ぶ仮想的な軸線が長軸と称される。卵の選別包装システムS1は、搬送装置10の上流側に、方向整列装置(図示しない)を備え(たとえば、特開2007−222221号公報参照)、この方向整列装置により、複数の卵Eは、鋭端(および鈍端)が特定の方向に向く状態に、卵の方向(姿勢)を整列され、搬送装置10に渡される。
【0031】
搬送装置10は、卵Eを6列に並べた状態で、矢印Xの方向へ搬送する第1の搬送部20と、第1の搬送部20から卵Eを受け、矢印Yの方向に卵Eを搬送する第2の搬送部22と、第1の搬送部20から第2の搬送部22に卵Eを移し替える移替部24とを備える。以下の説明ではn=6として説明するが、n≧2であればよい。
【0032】
本実施の形態において、第1の水平方向(行方向)は矢印Yに沿う前後方向、第2の水平方向(列方向)は矢印Xに沿う前後方向となる。また、第1の水平方向と第2の水平方向とは略水平面内に規定されており、第1の搬送部20は6列に並んだ状態で卵Eを矢印Xの方向に搬送し、第2の搬送部22は一行に並んだ状態で卵Eを矢印Yの方向に搬送する。第1の水平方向と第2の水平方向の関係は、直交関係に限定されず、交差する関係であればよい。
【0033】
第1の搬送部20は、
図2に示すように、第1の水平方向および第2の水平方向に並ぶ多数のローラ26を備える。第1の搬送部20の多数のローラ26のうち、一行分のローラ26は軸部材28により連結され、1つのローラ群Rを構成する。多数のローラ群Rは、第2の水平方向に並んで配置されており、第2の水平方向に隣り合う一対のローラ26は、共同して1つの卵Eを挟持して保持する。
【0034】
本実施の形態において、1つのローラ群Rが6個のローラ26を備え、多数のローラ群Rが第2の水平方向に並ぶことにより、卵Eは、第1の搬送部20に6列に並んだ状態に置かれる。1つのローラ群Rの6個のローラ26は、第1のピッチP1で軸部材28に固定されて連結されており、第2の水平方向に隣り合う一対のローラ26に挟持される卵も第1の水平方向に第1のピッチP1で保持される。
【0035】
卵Eを保持した一対のローラ26を含むローラ群Rが、卵Eを保持した状態で矢印Xの方向に連続して移動することにより、卵が連続搬送される。第2の水平方向に隣り合う一対のローラ26は、前記方向整列装置から鋭端(および鈍端)が特定の方向に向いた状態で卵Eを受け、軸部材28を中心として回転しながら第2の水平方向に移動することにより、長軸を中心として卵Eを回転させながら搬送する。
【0036】
本実施の形態において、第1の搬送部20では、卵の鋭端が矢印Yの方向を向いた状態で、各卵がローラ26に保持されている。第1の搬送部20は、従来よく知られたローラバーコンベアである。しかし、第1の搬送部20は、他のコンベアであってもよい。
【0037】
第1の搬送部20では、第2の水平方向に隣り合う一対のローラ26に1つの卵が挟持されるため、ローラ26の位置を特定することで、卵の位置を特定することができる。再び
図1を参照するに、第1の搬送部20には、ローラ群Rの搬送方向の動きに連動する第1のエンコーダ30が設けられており、一対のローラ群Rに挟持された卵が所定距離移動する毎にパルス信号が生成される。これにより、第1の搬送部20を6列で搬送される多数の卵Eは、第1の搬送部20での位置を特定される。
【0038】
移替部24は、
図1を参照するに、長軸を第1の水平方向に沿わせた状態で第1の搬送部20を搬送された卵Eを、長軸を鉛直方向に沿わせた状態に姿勢を変更して第2の搬送部22に移し替える。また、第2の搬送部22は、第1のピッチP1よりも狭小な第2のピッチP2で卵Eを搬送しており、移替部24は、第1の搬送部20から第1のピッチで6個の卵Eを受け、第2のピッチP2に6個の卵のピッチを変更して、第2の搬送部22に6個の卵Eを渡す。
【0039】
本発明の実施の形態に係る卵の搬送装置10では、第1の搬送部20の列間ピッチが第2の搬送部22の搬送ピッチに対応する。すなわち、第1のピッチは第1の搬送部20の列間ピッチとなり、第2のピッチは第2の搬送部22の搬送ピッチとなり、卵間のピッチを第1のピッチから、これより狭小な第2のピッチに変換することにより、選別包装システムS1の処理速度を高めることができる。
【0040】
例えば、第1の搬送部20において第1のピッチは、76.2mmで設計され、第2の搬送部22において第2のピッチは、57.15mmで設計された選別包装システムS1が周知である(たとえば、特開2008−179475号公報参照)。
【0041】
さらに、第2の搬送部22は、後述するように卵Eを連続搬送しており、移替部24は、第2の搬送部22の連続動作に同期するように卵Eを移動させながら、第2の搬送部22に渡す。したがって、移替部24は、卵の姿勢の変更と共に、6個の卵の間のピッチを変換し、さらに、卵Eを第2の搬送部の連続動作に同期させて第2の搬送部22に卵Eを渡す。
【0042】
第2の搬送部22は、姿勢とピッチとを変換された一行分にあたる6個の卵Eを、自身の連続動作に同期されて受け、矢印Yの方向に卵Eを順次、連続して搬送する。したがって、第2の搬送部22は、第1の搬送部20の約6倍の速度で卵Eを連続搬送する。第2の搬送部22は、移替部24の下方に配置され、
図3に示すように、移替部24から渡される卵Eを保持する多数の第1の卵座32を備える。第1の卵座32は、
図3には6個のみ図示されているが、実際は、多数の第1の卵座32が周回無限軌道を形成するように設けられる。
【0043】
すなわち、第2の搬送部22は、第2のピッチP2で等間隔に並ぶ多数の第1の卵座32が卵Eを保持して矢印Yの方向に連続移動することにより、卵Eを連続搬送するバケットコンベアである。第2の搬送部22は、第1の卵座32が周回無限軌道を形成し、周回運動することによりロータリー構造となる。
【0044】
第1の卵座32は、搬送において卵Eを保持できればよく、本実施の形態に示すような、卵Eを支持して保持するバケットに替えて、たとえば、卵Eを把持して保持するフィンガー(たとえば、特開平11−079345号公報参照)であってもよい。第1の搬送部20にて、第1のエンコーダ30により第1の搬送部20の搬送方向(矢印Xの方向)の位置を特定された卵Eは、第1の水平方向の位置を特定されることにより、第2の搬送部22のいずれの第1の卵座32に保持されたかを特定される。
【0045】
第2の搬送部22の第1の卵座32は、移替部24より下流に配置された複数の集合区分34に向けて卵Eを保持した状態で搬送する。第2の搬送部22には、第1の卵座32の動きに連動する第2のエンコーダ36が設けられており、第2のピッチP2で隣り合う卵座32に保持された卵の位置が特定される。
【0046】
包装装置12は、第2の搬送部22に接続される複数の集合区分34を備える。各集合区分34は、引取条件に適合した卵Eを第2の搬送部22から引き取り、包装容器16に充填し、卵Eを包装する。第2の搬送部22から各集合区分34への卵の引き取りでは、従来よく知られたキック機構により(たとえば、特開平8−82546号公報参照)、第1の卵座32のレバー32a(
図3参照)が稼動されて、第1の卵座32が開放する。これにより、卵が包装容器16に向けて放出される。
【0047】
本実施の形態において、6個の集合区分34が設けられており、各集合区分34の引取条件に適合した卵Eが、キック機構38により、保持容器32から開放されて、対応する集合区分34に引き取られる。たとえば、上流の集合区分から、Lサイズ、Lサイズ、Mサイズ、Mサイズ、Sサイズ、LLサイズといったように、卵の重量により各集合区分の引取条件が制御装置14を介して設定される。本実施の形態において、選別包装システムは、6個の集合区分を備えるが、第1の搬送部20が6列で卵を搬送することとは関連しない。すなわち、集合区分の数は、第1搬送部の列数(n列)と異なる数であってもよい
【0049】
移替部24は、第1の搬送部20と第2の搬送部22の間に介在し、第1の搬送部20から第2の搬送部22に卵Eを移し替える。本実施の形態において、移替部24は、第1の搬送部20から6列で搬送された卵の1行分にあたる6個の卵Eを受けて、1行で卵Eを搬送する第2の搬送部22に移し替える。第1および第2の搬送部22は、卵Eを連続搬送するため、移替部24も6個の卵を第2の搬送部24に連続して移し替える。
【0050】
移替部24は、
図2、
図4および
図7に示すように、第1の搬送部20から長軸を第1の水平方向に沿わせた状態で卵Eを受け、長軸を鉛直方向に沿わせた状態に卵の姿勢を変更する姿勢変更部40と、姿勢変更部40を介して、第1の搬送部20から6列に並んだ卵の一行分にあたる6個の卵Eを第1のピッチP1で略同時に受け、第1のピッチP1を、これより狭小な第2のピッチP2に変換するピッチ変換部42と、ピッチ変換部42から6個の卵Eを第2のピッチP2で受け、第2の搬送部22の卵座32の搬送速度に同期させながら第2の搬送部22に第2のピッチP2のまま6個の卵Eを渡す速度同期部44とを備える。
【0051】
ピッチ変換部42は、姿勢変更部40の下方に設けられており、
図4〜
図6に示すように、第1の搬送部20から第1のピッチP1で6個の卵Eを一対一の関係で対応して受ける6個の第2の卵座46と、6個の第2の卵座46の間のピッチを変換するように駆動する駆動機構48とを備える。各第2の卵座46は、卵Eを収容又は放出するように構成されている。
【0052】
また、6個の第2の卵座46は、第2の水平方向に並んで配置されており、姿勢変更部40により長軸を鉛直方向に向けた状態に姿勢を変更された卵Eを第1の位置で受ける。第1の位置は、第2の卵座46が姿勢変更部40から第1のピッチP1で卵Eを受けるように位置決めされる。
図4では、第1の位置におかれ、第1のピッチP1で卵Eを受ける第2の卵座46が示されている。6個の第2の卵座46は、第1の位置にて第1のピッチP1で6個の卵Eを第1の搬送部20から受ける。
【0053】
6個の第2の卵座46は、第1の位置で第1のピッチP1にて6個の卵Eを受けた後に、駆動機構48により第2の位置に移動され第2のピッチP2に変更される。第2に位置は、6個の第2の卵座46が第2のピッチP2で速度同期部44(
図8参照)に適切に卵Eを渡すことができるように位置決めされる。
図5では、第2の位置に移動して、第2のピッチP2で卵Eを放出する前の卵座46が図示されている。6個の第2の卵座46は、第2の位置にて第2のピッチP2で6個の卵Eを第2の搬送部22に渡す。
【0054】
駆動機構48は、6個の第2の卵座46のうち両端に位置する第2の卵座46sに結合された両端部材50と、各第2の卵座46および両端部材50を貫通するように、第1の水平方向に延びる一対の貫通部材52と、各貫通部材52の両端が結合する駆動機構本体54と、6個の第2の卵座46を連結するように設けられ、6個の卵座46の間で伸縮する伸縮部材56と、両端部材50に結合され、両端部材50の間隔を変更する間隔変更部材58とを備える。
【0055】
駆動機構本体54は選別包装システムS1に固定されており、各第2の卵座46は、駆動機構本体54に結合された一対の貫通部材52を貫通されることにより、貫通部材52の延在する方向(第1の水平方向)に移動可能に支持されている。間隔変更部材58は、駆動源(図示しない)に接続されており、間隔変更部材58の回転部材60が回転することで回転部材60に結合された一対の棒状部材62が駆動して間隔変更部材58に結合された両端部材50の間隔を変更する(
図4および
図5参照)。間隔変更部材58の回転部材60は、6個の第2の卵座46が第1の位置と第2の位置とで往復運動するように、前記駆動源に接続されて鉛直方向を軸として回転往復運動する。
【0056】
両端部材50の間隔が変更されると、両端部材50に結合された両側の第2の卵座46sが移動する。6個の第2の卵座46うち、隣り合う第2の卵座46は、相互に伸縮部材56に結合されており、両側の第2の卵座46sの移動にともない、伸縮部材56が伸縮することにより、各第2の卵座46が、相互に同一ピッチとなるように移動する。
【0057】
これにより、各卵座46は、第1の位置にて相互に第1のピッチP1となり、第2の位置にて相互に第2のピッチP2になるように移動可能である。したがって、駆動機構48は、回転部材60が回転往復運動することにより、6個の卵座46を第1の位置と第2の位置とで往復運動させる。
【0058】
本実施の形態において、6個の卵座46は、第1の位置と第2の位置との間を第1の水平方向にのみ直線的に移動する。これにより、簡易な構造で往復運動を達成することができる。しかし、第2の卵座46が第1の搬送部20から卵Eを受け、第1のピッチP1から第2のピッチP2にピッチを変更して、速度同期部44に卵Eを渡せるように動作すれば、第1の位置と第2の位置は他の関係にあってもよい。たとえば、複数の第2の卵座46が、第1の位置と第2の位置との間を鉛直斜め(第1の水平方向を含む斜め方向)に移動するようにしてもよい。
【0059】
また、各第2の卵座46は、卵Eを支持すべく第2の水平方向に開閉可能な一対の支持部材64を備える(
図8参照)。一対の支持部材64は、第1の位置では、卵Eを受けて保持可能に閉状態となり、第2の位置では、速度同期部44に卵Eを渡すべく、卵Eを放出可能に開状態となる。第2の卵座46は、前記駆動源に接続されており、自身の卵座46の往復運動に連動して開閉される。
【0060】
本実施の形態において、貫通部材52が各支持部材64を貫通しており、貫通部材52を軸に支持部材64が回転可能にされている。これにより、貫通部材52は支持部材64を回転可能に、かつ第1の水平方向に移動可能に支持する。第2の卵座46は、自身が第1の位置に移動したことに連動し、支持部材64が回転して閉状態となり、第2の位置に移動したことに連動し、支持部材64が回転して開状態となる。
図6では、第2の位置にて第2のピッチP2で、第2の搬送部22に速度を同期させながら卵Eを放出すべく開いた状態の卵座46を示す。第2の卵座46は、第2の位置にて第2のピッチで6個の卵Eを速度同期部44に渡せればよい。
【0061】
速度同期部44は、
図7に示すように、ピッチ変換部42の下方に設けられており、ピッチ変換部42の6個の第2の卵座46に一対一の関係で対応して卵Eを受ける6個の第3の卵座72からなる容器ユニット66と、容器ユニット66を第1の水平方向に移動させ、第2の搬送部22の速度に同期させる同期ユニット68とを備える。
【0062】
同期ユニット68は、容器ユニット66に連結し、第1の水平方向に延び、かつ延在方向に往復運動可能の長尺部材70に連結されている。これにより、容器ユニット66は、長尺部材70が第1の水平方向に移動することにより、第3の卵座72が長尺部材70に押され、または、引っ張られて第1の水平方向に移動する。第3の卵座72は、相互に固定されており、6個の第3の卵座72のピッチは、ピッチP2に維持される。
【0063】
長尺部材70は、前記駆動源に接続されており、ピッチ変換部42の往復運動に連動して、卵座72を第3の位置と第4の位置とで往復移動させる。長尺部材70が容器ユニット66を引き切った状態で第3の卵座72は第3の位置におかれ、長尺部材70が容器ユニット66を押し切った状態で卵座72は第4の位置におかれる。
【0064】
第3の位置は、第3の卵座72が第2の卵座46から6個の卵Eを受けるように位置決めされ、第4の位置は、第3の卵座72が第2の搬送部22の第1の卵座32に卵Eを渡せるように位置決めされる。第3の卵座72は、第3の位置で第2の卵座46から6個の卵Eを受け、また第4の位置で第1の卵座32に卵Eを渡すように往復運動できればよい。
【0065】
各第3の卵座72は、第2の位置で第2の卵座46から放出された卵Eを受けるように対応する卵座46の下方に位置し、第2の卵座46と同様に、第2の水平方向に開閉可能な一対の支持部材74を備える。一対の支持部材74は、第3の位置では、長軸が鉛直方向に沿った状態の卵Eを受けるべく卵Eを支持可能に閉状態となり、第4の位置では、第2の搬送部22の第1の卵座32に卵Eを渡すべく、卵Eを放出可能に開状態となる。すなわち、卵座72は、自身の往復運動に連動して開閉する。
【0066】
第3の卵座72は、第2の位置にて第2のピッチP2でおかれた第2の卵座46の下方に、第2のピッチP2に適合して第3の位置に配置される。これにより、第3の卵座72は、第3の位置でピッチ変換部42から第2のピッチP2にて6個の卵Eを受けることができる。また、第3の卵座72は、ピッチ変換部42から卵Eを受けた後、同期ユニット68により、第4の位置に向けて移動する。
【0067】
さらに、6個の第3の卵座72は、長尺部材70に押されて第4の位置に移動し、第2の搬送部22の第1の卵座32の速度と略同一の速度となってから、すなわち同期してから第2のピッチP2のまま6個の卵Eを放出する。同期とは、たとえば、第3の卵座72が第2の搬送部22の第1の卵座32と同一方向に速度成分を有することを含み、同一方向に同一速度成分を有することに限定されない。
【0068】
また、第4の位置で卵Eを放出した第3の卵座72は、長尺部材70に引っ張られて第2の搬送部22の搬送方向と逆方向に移動することにより、第3の位置に復帰する。
図7では、第1の位置におかれた第2の卵座46と第3の位置におかれた第3の卵座72が模式的に示されている。
【0069】
本実施の形態において、卵座72は、従来よく知られた、卵Eを保持又は放出可能なバケットである(たとえば、特開2008−179475号公報参照)。しかし、卵座は、卵収容器と把持部材とで卵Eを保持し、回転により卵Eを放出する保持機構であってもよい(たとえば、特開2011−173714号公報参照)。
【0070】
次にピッチ変換部と速度同期部の動作について説明する。
【0071】
卵Eは6列で第1の搬送部20を連続して搬送され、また第2の搬送部22でも連続搬送されるため、移替部24の姿勢変更部40、ピッチ変換部42、速度同期部44も連続して卵Eを処理する。すなわち、姿勢変更部40が卵の姿勢を変換しているときに、ピッチ変換部42は、他の卵Eを保持して6個の卵のピッチを変換するように卵収容器を移動させ、これらと同時に、速度同期部44は、第2の搬送部22の第1の卵座32に同期して他の卵Eを放出するように移動する。
【0072】
第1の搬送部20は、6列に並んだ卵Eを矢印Xの方向に連続して搬送しており、移替部24では、先ず、第2の卵座46が6列に並んだ卵の一行分にあたる6個の卵(第1の卵群)を前記第1の搬送部20から第1のピッチで受ける(ステップ1)。このとき、第3の卵座72は、第1の搬送部20で第1の卵群の一行分前に搬送された6個の卵(第2の卵群)を収容した状態で、第3の位置から第4の位置へ移動し、第2の搬送部22の第1の卵座32の搬送速度に同期させながら第2の卵群を放出する。
【0073】
次いで、第2の卵座46が前記第1のピッチを、これより狭小な第2のピッチに変換する(ステップ2)。このとき、第3の卵座72は、第2の卵群を放出し終え、第4の位置から第3の位置へ移動する。
【0074】
次いで、第2の卵座46が第1の卵群を第2のピッチで放出する。このとき、第3の卵座72は第3の位置へ復帰しており、第2の卵座46から6個の卵Eを第2のピッチで受ける(ステップ3)。
【0075】
次いで、第2の卵座46が、第1の卵群E1の次の一行分の卵群(第3の卵群)を受けるべく、第1の位置へ復帰する。このとき、第3の卵座72は、第3の位置から第4の位置に向けて移動する(ステップ4)。
【0076】
移替部24は、ステップ1からステップ4を繰り返すことにより、連続的に卵Eを第1の搬送部20から第2の搬送部22に移し替える。これらのステップの中で第2の卵座46と第3の卵座72は、それぞれ、往復運動により、ピッチ変換と速度同期を行っている。
【0077】
本発明の実施の形態に係る往復運動による移替部24は、周回運動のロータリー式の移替部24に比較して、卵収容器の数量が著しく少なくできる。これにより、卵が割れた場合などの選択的に卵収容器を清掃する場合においても、卵収容器の選択にロータリーを動かす等の大がかりな作業をすることない。また、装置の製造費用も大きく低減でき、装置の小型化も可能となる。特に、第1の搬送部20において複数列で卵Eを搬送し、第2の搬送部22において一行で卵Eを搬送する選別包装システムS1においては、卵収容器の数量を減す効果は大きい。
【0078】
本発明の実施の形態に係る移替部24は、卵の姿勢変更機能と、卵間のピッチ変換機能と、第2の搬送部22に対する速度同期機能とが分担されている。これにより、移替部24は、各機能を確実に達成し、安定した卵の移し替えができる。
【0079】
本発明の実施の形態に係る移替部24では、ピッチ変換部42と速度同期部44とが、共に往復運動により各機能を達成している。これにより、ピッチ変換部42と速度同期部44との同期が容易になり、各機能を確実に達成し、安定した卵の移し替えができる。
【0080】
本発明の実施の形態に係る移替部24では、第2の卵座46が、第1の水平方向にのみ往復運動する。これにより、第2の卵座46の移動と開閉とが容易に達成でき、装置の構造が簡易になり、ひいては、安定した卵の移し替えができる。
【0082】
移替部24は、本発明の第1の実施の形態に係る姿勢変更構造を備える。姿勢変更構造80は、
図2に示すように、第1のピッチP1で6つ配置されている姿勢変更部40を構成する。各姿勢変更構造80は、
図4に示すように、卵の長軸を第1の水平方向に向けた状態で卵Eを搬送する第1の搬送部20から卵Eを受け、卵の長軸を鉛直方向に向けた状態に姿勢を変更し、ピッチ変換部42の第2の卵座46に卵Eを渡す。
【0083】
各姿勢変更構造80は、第1の搬送部20側を始端として第1の水平方向に間隔をおいて、少なくとも第2の水平方向に延在する第1および第2のガイド82,84と、ガイド82,84上を移動する卵の速度を減じる減速構造86と、2つのガイド82,84上を移動させるように卵Eを押圧する押圧機構88とを備える。第1のガイド82は卵の鋭端側を、第2のガイド82は卵の鈍端側を支持し、両ガイド82,84は卵Eをピッチ変換部42の第2の卵座46に向けて卵Eを案内する。
【0084】
第1および第2のガイド82,84は、いずれか一方のガイドが他方のガイドよりも長く延在し、卵が前記他方のガイドの終端に達して前記他方のガイドから離れることにより、一方のガイドを軸として卵の姿勢を変更させながら第2の卵座46に落下させる。
【0085】
本実施の形態において、第2のガイド84が第1のガイド82より長く延在することにより、2つのガイド上を移動する卵Eは、先に第1のガイド82から離れることになる。また、第1のガイド82が鋭端側を支持し、第2のガイド84が鈍端側を支持している。したがって、本実施の形態において、卵Eは鋭端を下側として落下する。しかし、第1のガイドが第2のガイドより長く延在し、卵Eが鈍端を下側にして落下してもよい。
【0086】
本実施の形態において、第1のガイド82は第1の搬送部の搬送方向(第2の水平方向)にのみ延在しており、第2のガイド84は、第1のガイド82の終端に対応する第2の水平方向における位置から上方に折曲げられている。これにより、卵Eは、第2のガイド84の上方に折曲げられた部分により上方に向けて案内される。したがって、卵Eは、重力に逆らって案内されることにより、移動方向(第2の水平方向)に減速される。
【0087】
すなわち、第2のガイド84が減速構造86となる。また、卵Eは、移動方向に減速されながら、第2のガイド84を軸に回転して姿勢を変更させる。したがって、卵Eは、鋭端側をやや前方に向け、かつ鈍端側を上方に向けながら、ピッチ変換部42の第2の卵座46に向けて落下を始める。
【0088】
押圧機構88は、従来よくしられるように、回転する羽根車90を有し、羽根車90が回転することにより、第1の搬送部20から2本のガイド82,84まで羽根車90の羽根92が卵Eを押圧して移動させる。すなわち、押圧機構88は、第1及び第2のガイド82,84上を搬送するように卵Eを押圧する。押圧機構88は、第1のガイド82から卵Eが離れて落下するまで卵Eに接し続ける。
【0089】
これにより、卵Eは安定してガイド上を搬送され、かつ落下まで一定の力で押圧される。したがって、卵Eが確実にピッチ変換部42の第2の卵座46に受けられる。本実施の形態において、卵Eは押圧機構88により押圧され、2つのガイド上を移動するが、卵Eは2つのガイド上を案内されて移動できれば、押圧されず、慣性力により2つのガイド上を移動してもよい。
【0090】
本発明の第1の実施例に係る姿勢変更構造の第1の変形例について
図9を用いて説明する。
【0091】
第1の変形例に係る姿勢変更構造180は、
図2に示す姿勢変更構造80と同様に、第1のピッチP1で6つ配置され、姿勢変更部40を構成する。各姿勢変更構造180は、
図8に示す姿勢変更構造80とガイドの形状について異なる。したがって、本変形例のおいて同様の構成については、説明を省略し、ガイドについてのみ詳細に説明する。
【0092】
各姿勢変更構造180は、第1の搬送部20側を始端として第1の水平方向に間隔をおいて、少なくとも第2の水平方向に延在する第1および第2のガイド182,184と、前記ガイド182,184上を移動する卵の速度を減じる減速構造186を備える。第1のガイド182は卵の鋭端側を、第2のガイド184は卵の鈍端側を支持する。
【0093】
第1および第2のガイド182,184は、いずれか一方のガイドが他方のガイドよりも長く延在し、卵が前記他方のガイドの終端に達して前記他方のガイドから離れることにより、一方のガイドを軸として卵の姿勢を変更させながら第2の卵座46に落下させる。
【0094】
本変形例において、第2のガイド184が第1のガイドより長く延在することにより、2つのガイド上を移動する卵Eは、先に第1のガイド182から離れることになる。また、第1のガイド182が鋭端側を支持し、第2のガイド184が鈍端側を支持している。したがって、本実施の形態において、卵Eは鋭端側を下方に向けて落下する。しかし、第1のガイドが第2のガイドより長く延在し、卵Eが鈍端を下側にして落下してもよい。
【0095】
本変形例において、
図9に示すように、両ガイド182,184は、第2の水平方向に延在しながら、少なくとも上方に折曲げられている。これにより、両ガイドは、第2の水平方向を含む斜め上方に相互に間隔をおいて略平行に延在し、第1のガイド182は、斜め上方に延在する途中に終端を有し、第2のガイド184は、第1のガイド182の終端に対応する位置から第2の水平方向にのみ延在する。
【0096】
このような両ガイド182,184によれば、卵Eは、両ガイド上を移動することで斜め上方に案内され、重力に逆らって案内されることにより、移動方向(第2の水平方向)に減速される。したがって、本変形例では、第1のガイド182と第2のガイド184が減速構造186となる。本変形例では、減速された後に、卵が落下を始めるため、卵の鋭端は、移動方向の力を受けることなくピッチ変換部42の第2の卵座46に向けて落下を始める。
【0097】
上記した姿勢変換構造80、180は、ガイドが棒状部材からなり、第1の水平方向に間隔をおいて少なくとも第2の水平方向に略平行に延在しており、卵を支持しながら案内する2つの棒状部材を備える。また、一方の棒状部材は卵の鋭端側又は鈍端側の一方を支持し、他方の棒状部材は卵の鋭端側又は鈍端側の他方を支持する。
【0098】
さらに、一方の棒状部材は、他方の棒状部材よりも長く第2の水平方向に延在しており、両棒状部材の少なくともいずれか一方は、第2の水平方向における前記他方の棒状部材の終端位置よりも始端側で、少なくとも上方に折曲げられている。
【0099】
本発明の第1の実施例に係る姿勢変更構造の第2の変形例について
図10および
図11を用いて説明する。
【0100】
第2の変形例に係る姿勢変更構造280は、
図2に示す姿勢変更構造80と同様に、第1のピッチP1で6つ配置され、姿勢変更部40を構成する。したがって、姿勢変更構造280は、
図10および
図11には図示しないが、押圧機構88を備える。各姿勢変更構造280は、
図2に示す姿勢変更構造80に対して、ガイドの形状と、減速構造について異なる。したがって、それら以外の同様の構成については、説明を省略し、ガイドの形状と減速構造とについてのみ詳細に説明する。
【0101】
各姿勢変更構造280は、第1の搬送部20側を始端として第1の水平方向に間隔をおいて、第2の水平方向に延在する第1および第2のガイド282,284と、前記ガイド282,284上を移動する卵の速度を減じる減速構造286を備える。
【0102】
第1および第2のガイド282,284は、いずれか一方のガイドが他方のガイドよりも長く延在し、卵が前記他方のガイドの終端に達して前記他方のガイドから離れることにより、一方のガイドを軸として卵の姿勢を変更させながら第2の卵座46に落下させる。
【0103】
本変形例において、第2のガイド284が第1のガイド282より長く延在することにより、2つのガイド282,284上を移動する卵Eは、先に第1のガイド282から離れることになる。また、第1のガイド282が鋭端側を支持し、第2のガイド284が鈍端側を支持している。したがって、本実施の形態において、卵Eは鋭端側を下方に向けて落下する。両ガイドは、
図10に示すように、第2の水平方向のみに相互に略平行に延在する。この形状は、姿勢変更構造として、従来よく知られる(たとえば、特開平9−150941号公報参照)。
【0104】
本変形例において、減速構造286は、暖簾の形状をした仕切部材288を備える。仕切部材288は、第2の水平方向に延在し、選別包装システムS1に固定される支持部材290と、支持部材290に上方を結合され下方を自由端として支持された垂壁部材292とを備える。垂壁部材292は、変形可能であり、卵の移動に沿って変形する。
【0105】
垂壁部材292は、
図11に示すように、卵の移動にともなって卵Eに接し、両ガイド上を移動する卵Eに摩擦を与えることで移動方向に対して卵を減速させる。これにより、卵Eは減速しながら第1のガイド282の終端に達し、落下を始める。本実施の形態において、垂壁部材292は、厚手のナイロンのような柔軟性を有する素材からなり、卵Eに接するように形状を変形する。したがって、垂壁部材292は、卵Eを包むように広い面積で卵Eに摩擦を与えることができる。しかし、剛性を有する素材であってもよい。また、卵Eは両ガイドを移動する際にガイド上を
図10の矢印aの方向に回転するため、垂壁部材292は、回転方向に対する摩擦力も付与する。
【0106】
減速構造286は、その位置を選択することにより、卵Eを減速させながら落下させるか、減速させた後に落下させるかを選択できる。すなわち、落下の地点で垂壁部材が卵Eに接する位置とすることで卵Eを減速させながら落下させることができ、落下の地点で垂壁部材292が卵Eに接しない位置とすることで卵Eを減速後に落下させることができる。
【0107】
本発明の第1の実施例に係る姿勢変更構造の第3の変形例について
図12および
図13を用いて説明する。
【0108】
第3の変形例に係る姿勢変更構造380は、
図2に示す姿勢変更構造80と同様に、第1のピッチP1で6つ配置され、姿勢変更部40を構成する。したがって、姿勢変更構造380は、
図12および
図13には図示しないが、押圧構造88を備える。各姿勢変更構造380は、
図10に示す姿勢変更構造280に対して、減速構造について異なる。したがって、同様の構成については、説明を省略し、減速構造についてのみ詳細に説明する。
【0109】
各姿勢変更構造380は、
図12に示すように、第1の搬送部20側を始端として第1の水平方向に間隔をおいて、第2の水平方向に延在する第1および第2のガイド382,384と、前記ガイド382,384上を移動する卵の速度を減じる減速構造386を備える。
【0110】
減速構造386は、
図13に示すように、卵の移動する方向に対して鉛直面におかれる平板部材388と、平板部材388を支持し、卵の移動する方向に延在する長尺部材390と、長尺部材390を摺動可能に形成され、長尺部材を自身の内部に受け入れる箱状部材392と、長尺部材390および箱状部材392を結合する弾性部材394とを備える。
【0111】
箱状部材392は、第2の水平方向に開放し、長尺部材390を挿通可能に保持する貫通口(図示しない)を平板部材388と対向する面に有し、長尺部材390は前記貫通口を通して箱状部材392に挿通可能とされている。また、弾性部材394は、長尺部材390と箱状部材392の前記貫通口が形成された面に対向する面とを接続しており、長尺部材390が箱状部材392に挿入されようとすると場合に、長尺部材390を挿出する方向に抗力を生ずる。
【0112】
卵Eは、ガイドを矢印bの方向に回転しながら矢印Xの方向に、ガイド382,384に案内されて移動する。移動の途中で、減速構造386の平板部材388に当接し、卵が平板部材388を押し、長尺部材390が箱状部材392に挿入されようとする。これに対して弾性部材394が長尺部材390を挿出方向に押す抗力を生じ、卵Eは、移動方向の速度を減じられる。したがって、落下までに速度を減じられる。
【0113】
減速構造386は、板状部材388の第2の水平方向における位置を選択することにより、卵Eを減速させながら落下させるか、減速させた後に落下させるかを選択できる。すなわち、落下の地点で平板部材388が卵Eに接しない位置とすることで卵Eを減速後に落下させることができ、落下の地点で平板部材388が卵Eに接する位置とすることで卵Eを減速させながら落下させることができる。また、減速構造は、弾性の他、空圧等の他の手段により抗力を生じる構造であってもよい。
【0115】
卵の充填システムS2は、
図14に示すように、卵Eを搬送する第2の搬送装置210と、搬送された卵Eを容器に充填すべく容器を搬送する容器供給装置212と、各装置を制御する制御装置(図示しない)を備える。第2の搬送装置210は、本発明の第2の実施の形態に係る卵の姿勢変更構造240を備え、卵Eを搬送しながら卵の姿勢を変更し、容器供給装置212により搬送される容器216に卵Eを充填する。
【0116】
第2の搬送装置210は、所定の方向(
図14では矢印X1の方向)に延在し、容器供給装置212は、第2の搬送装置210の下方に配置され、また第2の搬送装置210の延在方向に対して所定の角度αで交差する方向(
図2では矢印Y1の方向)に延在する。本実施の形態において、第1の水平方向は矢印X1に直交する前後方向、第2の水平方向は矢印X1に沿う前後方向となる。また、第1の水平方向と第2の水平方向とは略水平面内に規定されている。第1の水平方向と第2の水平方向の関係は、直交関係に限定されず、交差する関係であればよい。
【0117】
前記制御装置は、卵の充填システムS2が容器216に卵を充填するように各装置を制御する。したがって、前記制御装置は、CPU、メモリ等のハードウェアとプログラム等のソフトウェアとを備え、第2の搬送装置210、容器供給装置212等の充填システムS2の各構成装置を適切に制御する。
【0118】
一般に、卵の充填システムS2は、その上流側に方向整列装置(図示しない)を備え(たとえば、特開2007−222221号公報参照)、この方向整列装置により、複数の卵Eは、鋭端(および鈍端)が特定の方向に向く状態に、その方向(姿勢)を整列され、第2の搬送装置210に渡される。
【0119】
第2の搬送装置210は、自身の延在方向(第2の水平方向)と直交する第1の水平方向に6列に設けられた6本の搬送ライン220を備え、方向整列装置により卵の長軸を第1の水平方向に沿わせた状態の卵Eを受け、その状態のまま6列に並んだ卵Eを矢印X1の方向に搬送する。また、第2の搬送装置210は、第1の水平方向に延び、矢印X1の方向に移動するバー222と、各バー222に搬送ライン220ごとに取り付けられた搬送部材224とを備える(
図15参照)。本実施の形態において、搬送部材224は、卵Eが容器216に向けて落下するまで卵Eを押圧する。
【0120】
本実施の形態において、第2の搬送装置210は6本の搬送ライン220を有する。第2の搬送装置210では、バー222が矢印X1の方向に移動し、搬送部材224が卵Eを押圧し、卵Eは矢印X1の方向に搬送される。すなわち、本実施の形態において、第2の搬送装置210は、いわゆるバーコンベアである。しかし、第2の搬送装置は、他の種類のコンベア等であってもよい。
【0121】
容器供給装置212は、第2の搬送装置210に対して下方に配置され、かつ第2の水平方向にαの角度で交差する方向(矢印Y1の方向)に延在しており、自身の延在方向に沿って複数の容器216を搬送する。容器供給装置212は、ベルトに容器を載置して搬送する、いわゆるベルトコンベアである。しかし、容器供給装置212は、他の種類のコンベア等であってもよい。
【0122】
容器216は、n列×m行の第4の卵座218を備える。本実施の形態において、容器216は、6列×5行の第4の卵座218を備える、いわゆるアメリカントレイであり、トレイ間隔を詰めて搬送される。容器供給装置212は、自身の搬送方向(矢印Y1の方向)と垂直な水平方向に容器の6列の第4の卵座218が並ぶ状態にトレイを向けて搬送する。
【0123】
本実施の形態に係る卵の充填システムS2では、第2の搬送装置210において6列で搬送される卵の列間ピッチは、容器216における卵の列間ピッチと異なるが、第2の搬送装置210の搬送方向に対して、容器216が斜めに搬送されながら卵が充填されるため、第2の搬送装置210を6列で搬送される卵Eは、ピッチを変更されて容器216に充填される。
【0124】
本実施の形態に係る卵の充填システムS2は、第2の搬送装置210で、第1の水平方向に長軸を沿わせた状態で卵Eを搬送し、鉛直方向に長軸を沿わせた状態で、容器供給装置212を搬送される容器216に卵充填する。したがって、第2の搬送装置210は、容器216に向けて卵Eの姿勢を変更して卵Eを放出する放出部230を備える。
【0126】
放出部230は、各搬送ライン220の終端に設けられた、本発明の第2の実施の形態に係る6個の姿勢変更構造240を備える。各姿勢変更構造240は、
図14および
図15に示すように、卵の長軸を第1の水平方向に沿わせた状態で卵Eを搬送する搬送ライン(搬送部)220から卵Eを受け、卵の長軸を鉛直方向に沿わせた状態に姿勢を変更し、容器216の第4の卵座218に向けて放出する。
【0127】
各姿勢変更構造240は、搬送部220側を始端として第1の水平方向に間隔をおいて、少なくとも第2の水平方向に延在する第1および第2のガイド242,244と、前記ガイド242,244上を移動する卵の速度を減じる減速構造246とを備える。第1のガイド242は卵の鋭端側を、第2のガイド244は卵の鈍端側を支持する。第1および第2のガイド242,244は、いずれか一方のガイドが他方のガイドよりも長く延在し、卵が前記他方のガイドの終端に達して前記他方のガイドから離れることにより、一方のガイドを軸として卵の姿勢を変更させながら第4の卵座218に落下させる。
【0128】
本実施の形態において、第2のガイド244が第1のガイド242より長く延在することにより、2つのガイド242,244上を移動する卵Eは、先に第1のガイド242から離れることになる。したがって、本実施の形態において、卵Eは鋭端を下側として落下する。しかし、第1のガイド242が第2のガイド244より長く延在し、卵Eが鈍端を下側にして落下してもよい。
【0129】
本実施の形態において、第1のガイド242は第2の水平方向にのみ延在しており、第2のガイド244は、第1のガイド242の終端に対応する第2の水平方向における位置から上方に折曲げられている。これにより、卵Eは、第2のガイド244の上方に折曲げられた部分により上方に向けて案内される。したがって、卵Eは、重力に逆らって案内されることにより、移動方向(第2の水平方向)に減速される。
【0130】
すなわち、第2のガイド244が減速構造246となる。また、卵Eは、移動方向に減速されながら、第2のガイド244を軸に回転して姿勢を変更させる。したがって、卵Eは、鋭端側をやや前方に向け、かつ鈍端側を上方に向けながら、容器216の第4の卵座218に向けて落下を始める。
【0131】
本実施の形態において、搬送部材222は、卵Eが容器216の第4の卵座218に向けて落下するまで、卵Eを押圧するが、卵Eは2つのガイド上を案内されて移動できれば、押圧されず、慣性力により2つのガイド上を移動してもよい。また、第2の搬送部は、他の構成により卵を押圧してもよい。
【0132】
本実施の形態において、卵Eは、第2のガイドを軸に回転するため、鋭端側をやや前方に向けながら(矢印cの方向に回転するように)落下し、鉛直方向に長軸を沿わせる状態に姿勢を変更する。一方で、容器216は斜め前方に搬送されている。したがって、卵が鋭端側をやや前方に向けながら落下することにより、卵Eは、容器216の搬送方向と同一方向に鋭端を向けながら第4の卵座218に充填されることになる。これにより、卵の充填の衝撃を緩和することができる。
【0133】
本発明の第2の実施の形態にかかる放出部230は、姿勢変更構造240に代えて、第1の実施の形態に示した変形例に係る姿勢変更構造を備えていてもよい。また、各姿勢変更構造は、複数の減速構造を備えていてもよい。たとえば、第1の変形例に示す減速構造を有するガイドに第2の変形例に示す仕切部材による減速構造を組み合わせてもよい。
【0134】
上記したように、本発明の実施の形態に係る卵の姿勢変更構造によれば、減速構造では、2つのガイドから落下する前の卵または落下する卵は、移動方向の速度を減じられる。これにより、卵は、落下前に最適な速度で、2つのガイドにより姿勢を変更されながら卵座218に落下する。したがって、本発明に係る卵の姿勢変更構造は、搬送部から卵座へ卵を確実に落下させることができる。
【0135】
減速構造は、卵を案内するガイドにより構成されてもよい。この卵の姿勢変更構造によれば、卵の案内経路である2つのガイドのうち、少なくとも一方が減速構造となることにより、卵の案内機能と減速機能とが共通となり、非常に簡易な姿勢変更構造で卵座へ卵を確実に落下させることができる。
【0136】
第1および第2のガイドのうち、一方のガイドは、他方のガイドの終端に対応する第2の水平方向における位置から、上方に折曲げられていてもよい。この姿勢変更構造によれば、一方のガイドを軸に卵がやや前方に向けられながら落下するため、卵座が前方に位置する場合や、卵座が前方への移動成分を持っている場合に卵座への充填の衝撃を緩和することができる。
【0137】
両ガイドは、第2の水平方向に延在しながら上方に折曲げられることにより、斜め上方に相互に略平行に延在し、前記他のガイドは、斜め上方に延在する途中に終端を有していてもよい。この姿勢変更構造によれば、卵を減速させた後に、卵を卵座に向けて落下させるため、卵座が短いガイドの終端直下に位置する場合や、卵座が前方への移動成分を持っていない場合に卵Eを卵座に確実に落下させることができる。
【0138】
姿勢変更構造は、鋭端側を支持するガイドを短く、鈍端側を支持するガイドを長くすることにより、鋭端側を下方に向けて落下させても。この姿勢変更構造によれば、卵は鋭端側を下方に向けた状態で保存されることが望ましいため、容器等に卵を収容または充填する場合に、望ましい状態で直接卵座に落下させることができる。
【0139】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
卵の長軸を第1の水平方向に沿わせた状態で卵を搬送する搬送部から卵を受け、卵の長軸を鉛直方向に沿わせた状態に姿勢を変更して卵座に卵を渡す卵の姿勢変更構造であって、
前記搬送部から卵を受けて案内すべく、前記搬送部側を始端として第1の水平方向に間隔をおいて、少なくとも第2の水平方向に延在する2つのガイドと、前記ガイド上を案内される卵の速度を、前記ガイドの始端側より終端側で遅くなるように減じる減速部とを備え、
前記2つのガイドのうち、第1の前記ガイドは卵の鋭端側を、第2の前記ガイドは卵の鈍端側を支持し、
前記第1および第2のガイドは、いずれか一方のガイドが他方のガイドよりも長く延在し、卵が前記他方のガイドの終端に達して前記他方のガイドから離れることにより、前記一方のガイドを軸として卵の姿勢を変更させながら前記卵座に向けて落下させ、
前記減速部は、落下する前の卵または落下する卵の速度を減じる、卵の姿勢変更構造。
両ガイドは、第2の水平方向に延在しながら少なくとも上方に折曲げられることにより、斜め上方に相互に間隔をおいて延在し、前記他のガイドは、斜め上方に延在する途中に終端を有する、請求項1に記載の卵の姿勢変更構造。