本発明は、ソケットコネクタ2に挿入したプラグコネクタ3をソケットコネクタ2から離脱させることによって電気回路を遮断する回路遮断装置1であって、ソケットコネクタ2に設けられ、電気回路に接続されるソケット主端子5と、信号回路に接続されるソケット信号端子6と、プラグコネクタ3に設けられるプラグ主端子8と、プラグ信号端子9と、を備え、ソケットコネクタ2にプラグコネクタ3を挿入することで、信号回路を遮断した状態で、プラグ主端子8がソケット主端子5に接触して電気回路を導通接続し、ソケットコネクタ2に挿入された状態のプラグコネクタ3を、挿入軸線を中心として回転することで、電気回路を導通接続した状態で、プラグ信号端子9がソケット信号端子6に接触して信号回路を導通接続する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、便宜上、各図において、Frを前方として設定すると共に、X方向を左右方向とし、Y方向を前後方向とし、Z方向を上下方向として設定する。
【0021】
図1ないし
図8を参照して、本発明の実施形態に係る回路遮断装置としてのサービスプラグ1の構成について説明する。ここで、
図1および
図2はサービスプラグ1を示す正面図および平面図である。
図3はサービスプラグ1であって、プラグコネクタ3をソケットコネクタ2から離脱させた状態を示す斜視図である。
図4はソケットコネクタ2を示す平面図である。
図5はプラグコネクタ3を示す斜視図である。
図6は、
図2におけるA−A断面図であって、プラグコネクタ3をソケットコネクタ2から離脱させた状態を示している。
図7は、
図2におけるA−A断面図であって、プラグコネクタ3をソケットコネクタ2に挿入し、回転させた状態を示している。
図8は、ソケットコネクタ2の各端子とプラグコネクタ3の各端子との接触を説明する正面図であって、(a)は接触前を示し、(b)は接触後を示している。
【0022】
このサービスプラグ1は、例えば、電気自動車やハイブリッドカー等の車両に搭載されたバッテリから負荷に電力を供給するための電源回路(電気回路)や蓄電池システムに設けられている。サービスプラグ1は、車両の電気系統のメンテナンス等での作業安全性を確保するために、バッテリと負荷との間の通電を遮断するものである。
【0023】
図1に示すように、サービスプラグ1は、電源回路側に設けられるソケットコネクタ2と、ソケットコネクタ2に嵌合可能に設けられるプラグコネクタ3と、を備えている。
【0024】
このサービスプラグ1では、ソケットコネクタ2に対して上方からプラグコネクタ3が嵌合することで、電源回路(図示せず)が導通接続(短絡)される。また、ソケットコネクタ2に嵌合したプラグコネクタ3が挿入軸線を中心として回転することで、信号回路(図示せず)が導通接続(短絡)される。また、上記とは逆の手順でプラグコネクタ3をソケットコネクタ2から離脱させることによって、信号回路が遮断(開放)され、電源回路が遮断(開放)される。なお、信号回路は、電源回路の導通接続が正常か否か等の接続状態を確認するために設けられている。なお、「導通接続」とは、回路に通電可能な状態で接続されていることを指すものであり、必ずしも通電している状態を指すものではない。
【0025】
まず、
図1ないし
図4、
図6を参照して、ソケットコネクタ2について説明する。ソケットコネクタ2は、ソケットハウジング4と、電源回路に接続されるソケット主端子5と、信号回路に接続されるソケット信号端子6と、を備えている。
【0026】
図1ないし
図3に示すように、ソケットハウジング4は、例えば、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体に形成され、ソケットコネクタ2の外形を構成している。ソケットハウジング4は、略直方体状に形成されるハウジング本体10と、ハウジング本体10の上面において左右方向中央に設けられるハウジング筒部11と、を有している。
【0027】
ハウジング本体10は、上下方向両端部に設けられる薄い板状の上下一対のフランジ部12,13と、上下一対のフランジ部12,13の間に設けられる本体中間部14と、を有している。
【0028】
本体中間部14の左右方向中間部は、ハウジング筒部11の下方に連なるように略円筒状に形成されている(
図3参照)。この略円筒状の中間部を挟んで本体中間部14の左右方向両側は、各フランジ部12,13の前後方向両端面よりも内側に設けられている。なお、本体中間部14の下部は、その上部よりも小さく形成されており、その上部の側面から内側に一段凹むように設けられている。
【0029】
本体中間部14の左右方向両端部には、それぞれ、六角ナットNを保持可能なナット保持部15が形成されている(
図1および
図3参照)。各ナット保持部15は、本体中間部14の下部の正面から後方に向けて凹設されている。下側のフランジ部12の上面には、各ナット保持部15に向けて延びるナット進入溝16が凹設されている。六角ナットNは、ナット進入溝16に沿って前方から後方に向けてスライドし、ナット保持部15に押し込まれる。なお、六角ナットNは、ナット保持部15の上縁部に設けられる爪部15aによって抜け出し規制される。
【0030】
図6に示すように、下側のフランジ部12の下面には、ソケット主端子5の一部が嵌合する左右一対の嵌合凹部17が形成されている。各嵌合凹部17には、上記したナット保持部15に連通するネジ貫通孔17aが形成されている。
【0031】
図2および
図3に示すように、上側のフランジ部13の上面には、図示しない取付プレートに接触する複数の当接部13aが凸設されている。また、上側のフランジ部13の上面には、取付プレートを貫通した雄ネジ(図示せず)の先端が螺合する左右一対のネジ孔部13bが形成されている。各ネジ孔部13bは、当接部13aと同一の高さまで突出している。また、各ネジ孔部13bは、本体中間部14の上側半分程度まで穿設されている(
図6参照)。
【0032】
図3および
図4に示すように、ハウジング筒部11は、上側のフランジ部13の上面から上方に向けて延設されるソケット外筒部20と、ソケット外筒部20の内部に設けられるソケット内筒部21と、を有している。
【0033】
ソケット外筒部20は、平面視でフランジ部13の中央部分に配設されている。ソケット外筒部20は、中空円筒状に形成され、その上端縁部は、テーパー状に形成されている。ソケット外筒部20の高さは、ハウジング本体10の高さと略同一に形成されている。ソケット外筒部20の上面には、円形状のソケット外筒開口20aが形成され、その内部が開放されている。
【0034】
ソケット外筒部20の外周面には、一対のガイド溝22が互いに対向する位置に形成されている。各ガイド溝22は、ソケットコネクタ2に対するプラグコネクタ3の挿入方向である略上下方向に沿って凹設される挿入溝部22aと、挿入溝部22aの下端部からソケットコネクタ2に対するプラグコネクタ3の回転方向(例えば右回り)に沿って凹設される回転溝部22bと、回転溝部22bに凸設されるロック突起部22cと、を有している。
【0035】
各ガイド溝22は、挿入溝部22aと回転溝部22bとによって、正面視(または側面視)で略L字状に形成されている。一対の挿入溝部22aは、ソケット外筒部20の略正面および略背面に形成されている。各挿入溝部22aは、上端面からソケット外筒部20の高さの中央よりも上側位置までの間で、下方に向かって右回りとなるように斜めに形成されている。各回転溝部22bは、フランジ部13と略平行に形成されている。各ロック突起部22cは、回転溝部22bの突き当たり側に形成されている。各ロック突起部22cは、回転溝部22bを仕切るように上下方向に亘って突設されている。
【0036】
図6に示すように、ソケット外筒部20の内部には、ソケット外筒開口20aからフランジ部12の下面まで、ハウジング本体10を上下方向に貫通するように、ソケット外筒空間S1が形成されている。ソケット外筒空間S1は、上部に形成される小径空間S11と、ソケット外筒部20の略中央で一段外側に拡径し、小径空間S11の下側に形成される大径空間S12と、から構成されている。大径空間S12は、フランジ部12の下面に凹設された左右一対の嵌合凹部17を連通させている。大径空間S12に対する各嵌合凹部17の連通部分は湾曲形成されている。
【0037】
ソケット内筒部21は、ソケット外筒部20の内周面に対し所定間隔を有して、ソケット外筒部20と同一軸心上に配設されている。ソケット内筒部21の高さは、大径空間S12の高さと略同一に形成されている。ソケット内筒部21は、上部に設けられる大径内筒部23と、大径内筒部23の内部に設けられる小径内筒部24と、から構成されている。
【0038】
大径内筒部23は、有底円筒状に形成されている。大径内筒部23の上面には、円形状の内筒開口23aが形成され、大径内筒部23の内部に形成されるソケット内筒空間S2が開放されている。また、大径内筒部23の周側壁は、大径内筒部23の底部よりも下方に延出している。大径内筒部23の上端部には、僅かに径方向外側に延出する左右一対の内筒フランジ部23bが形成されている。各内筒フランジ部23bの上端縁部は、テーパー状に形成されている。各内筒フランジ部23bの下端面は、上記した小径空間S11と大径空間S12との段差面と略同一位置(高さ)に設けられている。
【0039】
小径内筒部24は、大径内筒部23よりも小径となる円筒状に形成され、大径内筒部23と同一軸心上に配設されている。小径内筒部24は、大径内筒部23の底部から下方に延設される端子接続部25と、大径内筒部23の底部から上方に延設される端子保持部26と、から構成されている。
【0040】
端子接続部25は、略中空円筒状に形成されている。端子接続部25の下面には、接続開口25aが形成されている。図示は省略するが、接続開口25aには、信号回路から延びるケーブル付きのコネクタが下方から嵌合するようになっている。このコネクタを介して信号回路とソケット信号端子6とが電気的に接続される。
【0041】
端子保持部26は、端子接続部25よりも小径の略中空円筒状に形成されている。端子保持部26は、大径内筒部23の内周面に対し所定間隔を有している。端子保持部26の上面には、左右一対の矩形開口26aが貫通形成されている。また、端子保持部26の左右方向両側面には、それぞれ、上下方向略全体に亘って端子開口26bが貫通形成されている。端子接続部25および端子保持部26の内部には、端子空間S3が一体に形成されている。また、端子接続部25および端子保持部26の内部には、端子空間S3を左右方向に二等分するように仕切る端子保持板27が配設されている。
【0042】
大径内筒部23の底部よりも下方に延出した大径内筒部23の周側壁と、端子接続部25との間には、環状の係合溝Gが構成されている。この係合溝Gには、略円筒状に形成される端子固定部材28の上端部が係合するようになっている。
【0043】
図4および
図6に示すように、ソケット主端子5は、互いに離間する左右一対の分離主端子30を有している。左右一対の分離主端子30は、互いに左右方向に線対象となるように形成されているため、以下、右側の分離主端子30についてのみ説明する。
【0044】
分離主端子30は、内側主端子30aと外側主端子30bとが互いに対向する状態で概略構成されている。内側主端子30aおよび外側主端子30bは、それぞれ、導電性を有する金属板を適宜折り曲げ加工等を行うことで形成されている。
【0045】
図6および
図8(a)に示すように、内側主端子30aは、略平板状に形成される基部31と、基部31の左端部から上方に向けて湾曲して形成される湾曲部32と、湾曲部32の上端部に連設される帯状部33と、帯状部33の上端部から上方に延設される複数の内側端子片34と、を有し、一体に形成されている。
【0046】
基部31は、平面視で左右方向にやや長い略矩形状に形成されている(
図10参照)。また、基部31の中央よりも僅かに右寄りには、嵌合凹部17に形成されたネジ貫通孔17aに連通する基部貫通孔31aが貫通形成されている。
【0047】
湾曲部32は、大径空間S12の下部に位置しており、基部31に対して略直角を成すように折り曲げられている。湾曲部32は、平面視で基部31よりも前後方向の幅が狭く形成されている(
図10参照)。湾曲部32の上部は、平面視でソケット外筒部20の内周面と略平行に湾曲して形成されている。
【0048】
帯状部33は、平面視でソケット外筒部20の内周面と略平行に湾曲して形成されている。湾曲した帯状部33は、基部31の前後方向の幅と略同一幅に形成されている(
図10参照)。
【0049】
複数の内側端子片34は、帯状部33の湾曲に沿って(前後方向に)等間隔に並設されている。隣り合う内側端子片34の間には、所定の間隙が形成されている(
図10参照)。なお、複数の内側端子片34は、それぞれ同一形状であるため、以下、1本の内側端子片34に着目して説明する。なお、以下の説明では、「内側」とは径方向内側を指し、「外側」とは径方向外側を指すものとする。
【0050】
内側端子片34は、帯状部33の上端面から鉛直上方に延出する鉛直部35と、鉛直部35の上端部から内側斜め上方に向けて僅かに延出する屈曲部36と、屈曲部36の上端部から外側斜め上方に向けて延出する端子部37と、端子部37の上端部から内側斜め上方に向けて僅かに延出する先端部38と、を有している。
【0051】
内側端子片34の各部35〜38は、同一の幅(並設方向の幅)に形成されている。内側端子片34は、弾性変形可能に形成され、プラグ主端子8の内周面に圧接するようになっている(
図7および
図8(b)参照)。正確には、端子部37と先端部38との接続部分、すなわち外側に凸状を成すように折れ曲がった部分が、プラグ主端子8の内周面に接触する内側接点部39になっている。
【0052】
外側主端子30bは、上記した内側主端子30aと略同様に、基部41と、湾曲部42と、帯状部43と、複数の外側端子片44と、を有し、一体に形成されている。なお、以下、内側主端子30aと略同様の構成については、その説明を省略する。
【0053】
外側主端子30bの基部41は、内側主端子30aの基部31の上面に密着して固定されている。すなわち、内側主端子30aと外側主端子30bとは、基部31,41同士が接続されることで一体に形成されている。外側主端子30bの基部41には、下側の基部貫通孔31aに連通するように基部貫通孔41aが形成されている。基部貫通孔41aの上面縁部には、フランジ部12の嵌合凹部17に形成されたネジ貫通孔17aに嵌合する環状突起部41bが突設されている。
【0054】
なお、湾曲部42および帯状部43は、それぞれ、内側主端子30aにおける湾曲部32および帯状部33と略同様に形成されている。
【0055】
複数の外側端子片44は、帯状部43の湾曲に沿って(前後方向に)等間隔に並設されている。隣り合う外側端子片44の間には、所定の間隙が形成されている(
図10参照)。なお、複数の外側端子片44は、それぞれ同一形状であるため、以下、1本の外側端子片44に着目して説明する。
【0056】
外側端子片44は、帯状部43の上端面から鉛直上方に延出する鉛直部45と、鉛直部45の上端部から外側斜め上方に向けて僅かに延出する屈曲部46と、屈曲部46の上端部から内側斜め上方に向けて延出する端子部47と、端子部47の上端部から外側斜め上方に向けて僅かに延出する先端部48と、を有している。つまり、外側端子片44は、上下方向に延びる線を対称軸として、内側端子片34と略線対称に形成されている。
【0057】
外側端子片44の各部45〜48は、同一の幅(並設方向の幅)に形成されている。外側端子片44は、弾性変形可能に形成され、プラグ主端子8の外周面に圧接するようになっている(
図7および
図8(b)参照)。正確には、端子部47と先端部48との接続部分、すなわち内側に凸状を成すように折れ曲がった部分が、プラグ主端子8の外周面に接触する外側接点部49になっている。
【0058】
ソケット主端子5(各分離主端子30)をソケットハウジング4に保持させる場合、作業者は、内側主端子30aの基部31上に、外側主端子30bの基部41を積層した状態で、基部31と基部41とを、ハウジング本体10のフランジ部12に形成された嵌合凹部17に嵌合させる。
【0059】
続いて、作業者は、端子固定部材28を下側から挿入して係合溝Gに係合させる(
図6参照)。図示は省略するが、端子固定部材28は、左右一対の内側主端子30aの帯状部33に当接するようになっている。これにより、ソケット主端子5が、ハウジング筒部11の内部に保持される。
【0060】
次に、
図1に示すように、作業者は、基部31,41を、電源回路から延びるケーブル付きの端子Cと一緒に、ソケットハウジング4に固定する。具体的には、作業者は、基部31,41の基部貫通孔31a,41aに、端子Cの孔(図示せず)を位置合せし、雄ネジ部材Bを挿入する。雄ネジ部材Bは、下側から、端子Cの孔、基部貫通孔31a,41aおよびネジ貫通孔17aを挿通し、ナット保持部15に保持された六角ナットNに螺合する。
【0061】
これにより、分離主端子30(内側主端子30aおよび外側主端子30b)が、ソケットハウジング4に固定される。同時に、ソケットコネクタ2が、ケーブル付きの端子Cを介して電源回路に電気的に接続される。
【0062】
図6および
図8(a)に示すように、ソケット主端子5(各分離主端子30)をソケットハウジング4に保持させた状態で、湾曲部42は、僅かな隙間を有して湾曲部32の上方に位置している。この状態で、帯状部43は、僅かな隙間を有して帯状部33の外側に位置すると共に帯状部33と略同一の高さに位置している。同様に、この状態で、各外側端子片44は、僅かな隙間を有して各内側端子片34の外側に位置すると共に各内側端子片34と略同一の高さに位置している。なお、各内側接点部39と各外側接点部49とは、僅かに離間した状態となっている。
【0063】
そして、湾曲部32,42、帯状部33,43、各内側端子片34および各外側端子片44は、それぞれ、ソケット外筒部20とソケット内筒部21との間において、非接触状態で大径空間S12に配設されている。したがって、各内側端子片34と各外側端子片44とは、それぞれ、大径空間S12内で径方向に弾性変形することができるようになっている。
【0064】
なお、ソケット主端子5(各分離主端子30)をソケットハウジング4に保持させた状態で、ソケット外筒部20と各内筒フランジ部23b(ソケット内筒部21)との間の寸法は、例えば、作業者の指が入らないように設定されている。これにより、作業者の指が、意図せず、ソケット主端子5(各分離主端子30)に接触することを防止することができる(所謂フィンガープロテクト)。
【0065】
図6および
図8(a)に示すように、ソケット信号端子6は、左右一対の分離主端子30の中間部において、互いに離間する左右一対の分離信号端子50を有している。左右一対の分離信号端子50は、それぞれ、導電性を有する金属板を適宜折り曲げ加工等を行うことで形成されている。一対の分離信号端子50は、小径内筒部24の端子空間S3において端子保持板27を挟み込むように配設されている。なお、左右一対の分離信号端子50は、互いに左右方向に線対象となるように形成されているため、以下、右側の分離信号端子50についてのみ説明する。
【0066】
図8(a)に示すように、分離信号端子50は、端子接続部25側において端子保持板27に密着して鉛直上方に延出する信号鉛直部51と、信号鉛直部51の上端部から右側斜め上方に向けて延出する第1端子部52と、第1端子部52の上端部から左側斜め上方に向けて延出する第2端子部53と、第2端子部53の上端部から右側斜め上方に向けて僅かに延出する信号先端部54と、を有している。
【0067】
分離信号端子50の各部52〜54は、同一の幅(並設方向の幅)で、弾性変形可能に形成されている。信号鉛直部51は、端子接続部25に開口した接続開口25aの近傍まで延出し(
図6参照)、接続開口25aに嵌合した信号回路用コネクタの端子(図示せず)に電気的に接続される。なお、信号鉛直部51の上部は、端子接続部25の内部に圧入されるため、各部52〜54よりも幅広に形成されている。
【0068】
第1端子部52と第2端子部53との接続部分、すなわち右側に凸状を成すように折れ曲がった部分が、プラグ信号端子9に接触する信号接点部55になっている。信号接点部55は、端子保持部26の端子開口26bから右側に突出し、ソケット内筒空間S2に露出している。信号先端部54は、端子保持部26の矩形開口26aの直下に位置している(
図6参照)。
【0069】
次に、
図3、
図5および
図6を参照して、プラグコネクタ3について説明する。プラグコネクタ3は、プラグハウジング7と、プラグハウジング7の内部に設けられるプラグ主端子8と、プラグ主端子8の内部に設けられるプラグ信号端子9と、を備えている。
【0070】
プラグハウジング7は、例えば、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体に形成され、プラグコネクタ3の外形を構成している。プラグハウジング7は、プラグ外筒部60と、プラグ外筒部60の内部に設けられるプラグ内筒部61と、を有している。
【0071】
プラグ外筒部60は、略有底円筒状に形成されている。プラグ外筒部60の上部には、作業者によって把持されるグリップ部62が形成されている。グリップ部62は、周方向に沿って4つの凹凸を有し、平面視で略十字状に形成されている。なお、グリップ部62には、上面から下方に向けて略円柱形状の肉抜き孔62aが凹設されている。プラグ外筒部60の下面には、円形状のプラグ外筒開口60aが形成され、その内部が開放されている。プラグ外筒部60の内部には、プラグ外筒開口60aからグリップ部62の下側まで、プラグ外筒空間S4が形成されている。
【0072】
図5に示すように、プラグ外筒部60の内周面には、上記した一対のガイド溝22に係合するように、一対のガイド突起63が互いに対向する位置に形成されている。各ガイド突起63は、径方向から見て略矩形状に形成され、プラグ外筒部60の内周面から内側に向けて突設されている。なお、各ガイド突起63の突出量は、各ガイド溝22の深さと略同一である。各ガイド突起63の上側および下側には、それぞれ、周方向に延びるスリット64が切り込まれている。上下一対のスリット64の間に設けられたガイド突起63は、弾性力をもって径方向に変位可能に構成されている。
【0073】
図5および
図6に示すように、プラグ内筒部61は、プラグ外筒部60の内周面に対し所定間隔を有して、プラグ外筒部60と同一軸心上に配設されている。プラグ内筒部61は、プラグ外筒部60の天面から下方に突出する内筒基部65と、内筒基部65から下方に延出する内筒本体66と、を有している。
【0074】
図6に示すように、内筒基部65は、グリップ部62に形成された肉抜き孔62aの底部を構成するように有底円筒状に形成されている。内筒基部65の外周面には、ゴム等の弾性材料で環状に形成されるOリング67が設けられている。内筒基部65の下面には、プラグ主端子8の一部が圧入される端子圧入溝68が凹設されている。
【0075】
図5および
図6に示すように、内筒本体66は、内筒基部65よりも小径となる円筒状に形成され、内筒基部65と同一軸心上に配設されている。内筒本体66は、プラグ外筒部60のプラグ外筒開口60aから下方に突出するように形成されている。内筒本体66の下面には、端子内設開口66aが形成され、内筒本体66の内部に形成されるプラグ内筒空間S5が開放されている。端子内設開口66aは、平面視で略U字状の外形となるように形成されている。プラグ内筒空間S5の下側は、端子内設開口66aと同一断面を有し、プラグ内筒空間S5の上側は、円柱断面を有している。
【0076】
図5および
図6に示すように、プラグ主端子8は、導電性を有する金属板を円筒状に曲げ加工等を行うことで形成されている。プラグ主端子8は、内筒基部65よりも僅かに大径となる円筒状に形成されている。プラグ主端子8の上部には、切り込みが入れられて端子圧入部8aが形成されている。端子圧入部8aは、プラグ主端子8の一部分を内側に平行移動するようにクランク状に折り曲げることによって形成されている。
【0077】
プラグ主端子8をプラグハウジング7に保持させる場合、端子圧入部8aを内筒基部65に凹設された端子圧入溝68に圧入する(
図6参照)。この状態で、プラグ主端子8の上端部(端子圧入部8aを除く。)は、内筒基部65の外周部に嵌合している。
【0078】
これにより、プラグ主端子8は、プラグ外筒部60との間に間隙を有すると共に、内筒本体66との間に間隙を有する状態で、プラグハウジング7に保持される。なお、プラグ主端子8の下端部は、プラグ外筒部60の下端面よりも下方で、且つプラグ内筒部61の下端面よりも上方に位置している。
【0079】
図5に示すように、プラグ信号端子9は、導電性を有する金属板を平面視でU字形状を成すように曲げ加工等を行うことで形成されている。プラグ信号端子9は、U字状の開放された一対の端子先端部9aが拡開するように折曲して形成されている。なお、プラグ信号端子9のU字状の底部には、一対の切込み9bが形成されている。一対の切込み9bの間には、圧入片9cが形成されている。
【0080】
プラグ信号端子9は、内筒本体66に開口した端子内設開口66aからプラグ内筒空間S5に挿入され、プラグ内筒空間S5を構成する内周面に設けられる突起66bに圧入片9cが圧入されることによって、プラグハウジング7に保持される。なお、圧入されたプラグ信号端子9の下端面は、内筒本体66の下端面と略同一平面を成している。
【0081】
次に、
図6ないし
図10を参照して、サービスプラグ1の作用について説明する。ここで、
図9は、
図1におけるB−B断面図であって、回転溝部22bとガイド突起63との係合を模式的に示しており、(a)は回転前を示し、(b)は回転途中を示し、(c)は回転後(ロック状態)を示している。
図10は、ソケット信号端子6とプラグ信号端子9との接触を説明する平面図であって、(a)は接触前を示し、(b)は接触開始時を示し、(c)は接触後を示している。なお、
図9では、回転溝部22bとガイド突起63との係合の説明に不要な構成については、図示を省略している。
【0082】
まず、サービスプラグ1による電源回路の形成について説明する。なお、プラグコネクタ3は、ソケットコネクタ2から離脱している状態であるものとする(
図6参照)。
【0083】
作業者は、プラグコネクタ3のグリップ部62を把持し、プラグコネクタ3を、ソケットコネクタ2のハウジング筒部11の上方に臨ませる(
図6および
図8(a)参照)。作業者は、プラグコネクタ3に形成された一対のガイド突起63を、ハウジング筒部11に形成された一対の挿入溝部22a(ガイド溝22)に係合させ、各挿入溝部22aに沿ってプラグコネクタ3を上方から下方に向けて押し込む。このとき、ソケット外筒部20は、プラグ外筒部60とプラグ主端子8との間に挿入され、ソケット内筒部21は、プラグ主端子8とプラグ内筒部61(内筒本体66)との間に挿入される。また、ソケット内筒部21の端子保持部26は、内筒本体66の端子内設開口66aからプラグ内筒空間S5に挿入される。
【0084】
押し込みが進むと、プラグコネクタ3に内設されたプラグ主端子8の下端部が、左右一対の分離主端子30にそれぞれ形成された複数の内側端子片34の先端部38および複数の外側端子片44の先端部48に当接する。更に押し込みが進むと、プラグ主端子8は、各内側端子片34を内側に弾性変形させると共に各外側端子片44を外側に弾性変形させて、各内側端子片34と各外側端子片44との間に進入する(
図8(b)参照)。そして、各ガイド突起63が各挿入溝部22aの下端面に当接することで、プラグコネクタ3の下方への押し込みが規制される(
図9(a)参照)。このとき、プラグコネクタ3のプラグ外筒部60は、ハウジング筒部11に覆設されている(
図1および
図7参照)。
【0085】
この状態で、左右一対の分離主端子30は、それぞれ、プラグ主端子8を内周面と外周面とから挟み込むようにプラグ主端子8に接触している(
図8(b)参照)。詳細には、各内側端子片34の内側接点部39は、自身の弾性力によってプラグ主端子8の内周面に圧接している。同様に、各外側端子片44の外側接点部49は、自身の弾性力によってプラグ主端子8の外周面に圧接している。これにより、プラグ主端子8と各分離主端子30との接触状態を適切に維持することができる。また、各内側端子片34および各外側端子片44は弾性変形するため、プラグ主端子8の挿入を円滑に行うことができる。
【0086】
また、この状態で、ソケット信号端子6は、プラグ信号端子9の内部に非接触状態で配置されている(
図10(a)参照)。すなわち、プラグ信号端子9の一対の端子先端部9aが、各分離信号端子50の並設方向(左右方向)に向いている。正確には、一対の端子先端部9aの間を結ぶ線は、各分離信号端子50の並設方向に対して、平面視で時計回りに30°程度傾いている。
【0087】
以上のように、ソケットコネクタ2にプラグコネクタ3を挿入することで、電源回路および信号回路がそれぞれ遮断された状態から、信号回路を遮断した状態で、プラグ主端子8がソケット主端子5に接触して電気回路を導通接続した状態に移行する。なお、このとき、Oリング67は、ソケット外筒部20の上部内周面に密着している(
図7参照)。
【0088】
続いて、作業者は、グリップ部62に表示された矢印に従って、例えば、プラグコネクタ3を右回転させる。各回転溝部22bには各ガイド突起63が係合しているため、プラグコネクタ3は、各回転溝部22bに沿って回転する。なお、各内側接点部39はプラグ主端子8の内周面上を相対的に摺動し、各外側接点部49はプラグ主端子8の外周面上を相対的に摺動する。各内側端子片34および各外側端子片44は弾性変形するため、プラグ主端子8の回転を円滑に行うことができる。なお、回転開始前の状態を基準(0°)として以下説明する。
【0089】
作業者がプラグコネクタ3を、例えば、基準から約30°回転させると、各ガイド突起63が、各回転溝部22bに設けられたロック突起部22cに当接する(
図9(b)参照)。ここから更に、作業者が力を加えてプラグコネクタ3を回転させると、各ガイド突起63は、僅かに径方向外側に変位しつつ、ロック突起部22cを乗り越え始める。このとき、プラグ信号端子9(各端子先端部9a側)が、左右一対の分離信号端子50の信号接点部55に接触し始める(
図10(b)参照)。
【0090】
また、プラグコネクタ3を、例えば、基準から約60°回転させると、回転溝部22bの突当りの端面とロック突起部22cとの間にガイド突起63が嵌合し、プラグコネクタ3の回転が規制される(
図9(c)参照)。この状態で、各ガイド突起63は、容易に逆回転(左回転)しない程度にロック突起部22cに係止され、プラグコネクタ3はソケットコネクタ2に対してロックされる。これにより、意図しないプラグコネクタ3の逆回転を抑制することができ、電気回路および信号回路の導通接続した状態を維持することができる。なお、作業者は、各ガイド突起63がロック突起部22cを乗越えたときに発せられる音や負荷の変化(振動)によって、プラグコネクタ3の回転が完了したことを認識することができる。
【0091】
この状態で、プラグ信号端子9の一対の端子先端部9aの間を結ぶ線が、左右一対の分離信号端子50の並設方向(左右方向)と略平行になる(
図10(c)参照)。すなわち、一対の端子先端部9aが、各分離信号端子50の並設方向に直交する方向に向いた状態で、U字状のプラグ信号端子9が、左右方向両側から左右一対の信号接点部55を挟み込むように接触する。プラグ信号端子9に挟まれた左右一対の信号接点部55は、それぞれ、僅かに内側に弾性変形している。このように、プラグ信号端子9をU字状の単純な構造にするだけで、プラグコネクタ3を回転したときにのみ、プラグ信号端子9を各分離信号端子50に接触させることができる。
【0092】
以上のように、ソケットコネクタ2に挿入された状態のプラグコネクタ3を、挿入軸線を中心として回転することで、電源回路を導通接続した状態で、プラグ信号端子9がソケット信号端子6に接触して信号回路を導通接続した状態に移行する(
図7参照)。信号回路が導通接続されると、信号回路に接続される制御装置(図示せず)によって電源回路の導通接続が正常か否か等の接続状態が判断され、正常である場合には、電源回路の通電が開始される。つまり、電源回路が形成される。
【0093】
次に、サービスプラグ1による電源回路の遮断について説明する。この電源回路の遮断は、上記で説明した電源回路の形成とは逆の手順によって行われる。
【0094】
図7に示す状態から、作業者は、グリップ部62を把持して、例えば、プラグコネクタ3を左回転させる。このとき、ガイド突起63がロック突起部22cを乗り越えるように、作業者は比較的大きな力でプラグコネクタ3を回転させる。左周りに約60°回転させると、ガイド突起63が挿入溝部22aに当接し、プラグコネクタ3の回転が規制される。この状態で、プラグ信号端子9とソケット信号端子6(左右一対の信号接点部55)との接触が解除される。すなわち、信号回路および電源回路がそれぞれ導通接続された状態から、信号回路が遮断され、電源回路が導通接続された状態に移行する。なお、信号回路が遮断されることで、制御装置によって電源回路への通電が停止(遮断)される。
【0095】
続いて、作業者は、ハウジング筒部11に覆設されたプラグコネクタ3を上方に向けて引き抜く(
図6参照)。各内側端子片34および各外側端子片44は弾性変形するため、プラグ主端子8の引き抜きを円滑に行うことができる。これにより、プラグ主端子8とソケット主端子5(左右一対の分離主端子30)との接触が解除される。すなわち、信号回路および電源回路がそれぞれ遮断された状態に移行する。
【0096】
以上説明した本発明の実施形態に係るサービスプラグ1によれば、プラグコネクタ3の挿抜動作によって電気回路の導通接続および遮断が行われ、プラグコネクタ3の正逆回転動作によって信号回路の導通接続および遮断が行われる。つまり、1つの動作で1つの回路の導通接続または遮断が行われる。これにより、各回路の導通接続および遮断に係る操作を簡易化することができ、操作性の向上を図ることができる。
【0097】
また、本発明の実施形態に係るサービスプラグ1によれば、ソケットコネクタ2にプラグコネクタ3を挿入すると、プラグ主端子8が、離間して配置された一対の分離主端子30の間に入り込み、互いに接続される。このとき、各分離主端子30は、プラグ主端子8の内外周両面に接触するため、例えば、外周面(または内周面)にのみ接触する場合に比して、接触面積を大きくすることができる。また、プラグ主端子8は円筒形状であるため、左右一対の分離主端子の間を結ぶルート(電気が流れる道)を2つ(プラグ主端子8の前側面および後側面)形成することができる。これにより、大電流を流すことができ、大電流を用いる電源回路(電気回路)に対応することができる。
【0098】
また、本発明の実施形態に係るサービスプラグ1によれば、各内側端子片34および各外側端子片44は弾性変形するため、例えば、サービスプラグ1の外部から加えられる振動を吸収することができる。これにより、例えば、このサービスプラグ1を激しく振動する自動車等の電気系統に使用したとしても、プラグ主端子8と各分離主端子30との接触状態を適切に維持することができる。
【0099】
本発明の実施形態に係るサービスプラグ1によれば、ソケット信号端子6は一対の分離主端子30の中間部に設けられ、プラグ信号端子9は、プラグ主端子8の内側に設けられているため、ソケットコネクタ2およびプラグコネクタ3をそれぞれ小型化することができる。また、各ガイド突起63をガイド溝22に係合させて案内させることによって、ソケットコネクタ2に対するプラグコネクタ3の挿抜および正逆回転を容易且つ正確に行うことができる。これにより、各回路の導通接続および遮断に係る操作性をより向上させることができる。
【0100】
なお、本実施形態に係るサービスプラグ1では、プラグコネクタ3を、約30°回転させたときに各ガイド突起63がロック突起部22cに当接し、約60°回転させたときに各ガイド突起63がロックされていたが、これに限定されるものではなく、プラグコネクタ3の回転角度は任意に設定することができる。また、プラグコネクタ3を回転させる方向も任意である。
【0101】
なお、本実施形態に係るサービスプラグ1では、プラグコネクタ3に各ガイド突起63が設けられ、ソケットコネクタ2に各ガイド溝22が設けられていたが、これに限定されるものではなく、例えば、各ガイド突起63をソケットコネクタ2に設け、各ガイド溝22をプラグコネクタ3に設けてもよい。
【0102】
なお、本実施形態に係るサービスプラグ1では、ソケット主端子5は一対の分離主端子30によって構成され、ソケット信号端子6は一対の分離信号端子50によって構成されていたが、これに限定されるものではなく、分離主端子30の配設数および分離信号端子50の配設数は、それぞれ任意である。また、内側端子片34および外側端子片44も、形成数や形状を任意に設定することができる。
【0103】
なお、本実施形態に係るサービスプラグ1では、ソケットコネクタ2に対してプラグコネクタ3を挿抜・回転させていたが、これに限定されるものではなく、例えば、プラグコネクタ3に対してソケットコネクタ2を挿抜・回転させてもよい。つまり、ソケットコネクタ2に対してプラグコネクタ3が相対的に挿抜・回転されていればよい。
【0104】
なお、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係るサービスプラグ1における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。さらに、上記した本発明の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、且つ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。