(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-46651(P2015-46651A)
(43)【公開日】2015年3月12日
(54)【発明の名称】電話装置
(51)【国際特許分類】
H04Q 3/58 20060101AFI20150213BHJP
【FI】
H04Q3/58 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-175132(P2013-175132)
(22)【出願日】2013年8月27日
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】角谷 直純
(72)【発明者】
【氏名】八谷 文也
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】小林 史人
【テーマコード(参考)】
5K049
【Fターム(参考)】
5K049AA07
5K049BB04
5K049FF01
5K049FF15
5K049FF51
5K049HH07
5K049KK02
(57)【要約】
【課題】セキュリティモードを設定し忘れるという人為的ミスを防止し、人がいるにもかかわらず誤ってセキュリティモードに設定されてしまうことを防止する。
【解決手段】主装置1(制御部11)は、電話機2に備え付けられた異常検出センサ28が一定期間異常を検出しなくなったときに第1のモード(セキュリティスタンバイモード)に移行して電話機2に報知し、報知に対して一定期間応答がない場合に第2のモード(セキュリティモード)へ移行し、報知に対して応答があった場合に第2のモードへ(セキュリティモード)の移行を延期する制御を行う。なお、このときの報知は着信通知である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常検出センサを有する少なくとも1台の電話機と、主装置とを含む電話装置であって、
前記異常検出センサが一定期間異常を検出しなくなったときに第1のモードに移行して前記電話機に報知し、前記報知に対して一定期間応答がない場合に第2のモードへ移行し、前記報知に対して応答があった場合に前記第2のモードへの移行を延期する制御を行う制御部、
を有することを特徴とする電話装置。
【請求項2】
前記電話機への報知は着信通知であることを特徴とする請求項1記載の電話装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2のモードにおいて前記異常検出センサにより異常が検出された場合、前記電話機に報知し、前記報知に応答して行われる解除操作を検出すると前記第2のモードによる動作を解除することを特徴とする請求項1または2記載の電話装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第2のモードにおいて前記異常検出センサにより異常が検出された場合、前記電話機に報知するとともにメッセージを出力し、前記メッセージ出力に応答して行われる解除操作を検出すると、前記第2のモードによる動作を解除することを特徴とした請求項1または2記載の電話装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機に設けられた異常検出センサを利用して、セキュリティを監視する電話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
居室内への不審者の侵入を検知する異常検出センサ付電話機が知られている。異常検出センサ付電話機は、例えば、特許文献1に開示されているように、通常は一般的な電話機として機能し、セキュリティモード時には、人がいることを検知すると警報音や警告を発するとともに、指定した場所に通報を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−245667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した異常検出センサ付電話装置において、不審者の侵入を検知するためのセキュリティモードの設定のために、代表的には以下に説明する第1の方法と第2の方法とがある。第1の方法は、居室を最後に出る社員が電話機を操作して設定し、設定された何分か後にセキュリティモードに移行する方法である。第2の方法は、セキュリティモードを実行する時間を予め設定しておき、タイムアウトを検出することにより自動的にセキュリティモードへ移行させる方法である。
【0005】
しかしながら、第1の方法によれば、社員が設定し忘れ、結果的にセキュリティモードに移行せず、したがって不審者の侵入を許す場合がある。また、第2の方法によれば、最後に社員が居室を出る時間はまちまちであり、通常は誰もいなくなるのが確実と考えられる時間に設定されるため、実際には最後の社員が退室してから大分時間が経過した後にセキュリティモードに移行する。そのため、その間に不審者が侵入しても異常検出がされないことが考えられる。また、万が一設定時に社員が居室に残っているときには、社員がいちいち解除する必要があり、そのための操作が煩雑である。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、セキュリティモードを設定し忘れるという人為的ミスを防止し、人がいるにもかかわらず誤ってセキュリティモードに設定されてしまうことを防止することができる電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために本発明は、異常検出センサを有する少なくとも1台の電話機と主装置とからなる電話装置であって、前記異常検出センサが一定期間異常を検出しなくなったときに第1のモードに移行して前記電話機に報知し、前記報知に対して一定期間応答がない場合に第2のモードへ移行し、前記報知に対して応答があった場合に前記第2のモードへの移行を延期する制御を行う制御部、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記電話機への報知は着信通知であることを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記異常検出センサにより異常が検出された場合、前記電話機に報知し、前記報知に応答して行われる解除操作を検出すると前記第2のモードによる動作を解除することを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記制御部は、前記第2のモードにおいて前記異常検出センサにより異常が検出された場合、前記電話機に報知するとともにメッセージを出力し、前記メッセージ出力に応答して行われる解除操作を検出すると、前記第2のモードによる動作を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、セキュリティモードを設定し忘れるという人為的ミスを防止し、人がいるにもかかわらず誤ってセキュリティモードに設定されてしまうことを防止することができる電話装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態の電話装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の電話機の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る主装置の動作を示すシーケンス図である。
【
図4】
図1、
図3に示した主装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態という)について詳細に説明する。なお、本実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0014】
(実施形態の構成)
図1は本実施形態の電話装置10の構成を示すブロック図である。本実施形態の電話装置10は、主装置1と、それに収容されるN台(N≧2)の電話機2(2a〜2n)により構成される。
【0015】
主装置1は、1本以上の電話回線8に接続されており、内線伝送路6により電話機2(2a〜2n)に接続されている。なお、図示省略したが、主装置1には、PCやサーバが無線又は有線のLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク7を介して接続されている。このとき、主装置1とPCやサーバは、通信ネットワーク7を介して互いにデータ通信が可能である。
【0016】
主装置1は、電話機2の状態を管理し、この主装置1全体の制御等を行う制御部11と、電話回線8を終端制御する外線インターフェース部12と、内線伝送路6を介してボタン電話機2a〜2nを収容する内線インターフェース部13と、外線インターフェース部12と内線インターフェース部13とを交換接続する交換処理部14と、通信ネットワーク7を介したデータ通信のための処理を行う通信インターフェース部15と、記憶部16と、を備えている。
【0017】
制御部11は、電話機2が有する後述する異常検出センサ(
図2の符号28)が一定期間異常を検出しなくなったときに第1のモード(セキュリティスタンバイモード)に移行して電話機2に報知し、その報知に対して一定期間応答がない場合に第2のモード(セキュリティモード)へ移行し、報知に対して応答があった場合に第2のモードへの移行を延期する制御を行う。なお、ここでいう報知は着信音を含む報知音である。
【0018】
制御部11は、第2のモード(セキュリティモード)において異常検出センサ28により異常が検出された場合に電話機2(2a〜2n)に報知し、報知に応答して行われる解除操作を検出すると第2のモードによる動作を解除してもよい。また、制御部11は、第2のモード(セキュリティモード)において異常検出センサ28により異常が検出された場合、電話機2(2a〜2n)に報知するとともにメッセージを出力し、そのメッセージ出力に応答して行われる解除操作を検出すると第2のモードによる動作を解除してもよい。
【0019】
記憶部16は、制御部11が各種処理を実行するときに使用するプログラム等が予め格納されているROM、制御部11が各種処理を実行するときに各種データ等を一時的に記憶するRAM等からなる。
【0020】
図1において、電話機2(2a〜2n)は後述する異常検出センサ28を具備するものとしないものとがあるが、異常検出センサ28の有無以外は同じ構成を持つため、以下、異常検出センサ28を具備する電話機2(2a〜2n)のいずれかを電話機2として説明する。
【0021】
図2に示すように、電話機2は、この電話機2全体の制御等を行う制御部21と、それぞれが制御部21に接続された内線インターフェース部22、音声処理部23、LCD表示部24、LED光源25、操作部26、記憶部27、及び異常検出センサ28を備えている。
【0022】
内線インターフェース部22は、内線伝送路6を介して主装置1と通信を行い、音声処理部23は、音声信号アンプ、スピーカ、及び受話器等を備えており、呼出音や各種報知音の発生等を行う。LCD表示部24は制御部21から送られてくる各種情報や後述する操作部26から入力される情報等を表示する。LED光源25は後述する操作部26を構成する各種キーの照明や状態表示を行うための光源である。操作部26は、ダイヤルキー、外線キー、フレキシブルキー、フックスイッチ等の各種キーを備え、ユーザがこれらのキーを用いて入力した情報を制御部21へ送る。
【0023】
記憶部27は、制御部21が各種処理を実行するときに使用するプログラム等が予め格納されているROM、制御部21が各種処理を実行するときに各種データ等を一時的に記憶するRAM等からなる。異常検出センサ28は、例えば、焦電センサ(赤外線センサ)であり、人体の発生する熱を検出することで電話機2の近くにいる人を検知する。
【0024】
(実施形態の動作)
以下、本実施形態の電話装置10の動作につき、
図3のシーケンス図を参照しながら説明を行う。
【0025】
電話機2では、常時、電話機2が有する異常検出センサ28によって近くにいる人の監視を行っている。主装置1は、電話機2からの信号に基づき、異常検出センサ28により人がいなくなってから一定時間経過したことを検出すると(人の検知無し)、人がいなくなったと判定しセキュリティスタンバイモード(第1のモード)に移行するための制御を行う(ステップS11)。ここでは図示省略したタイマによる時間監視を行なう。
【0026】
セキュリティスタンバイモード(第1のモード)へ移行後、ケース(a)として示すように、例えば、電話機2a(TEL−A)の異常検出センサ28が人を検知すると(ステップS101)、主装置1は、全ての電話機2(2a〜2n)に対し、音による確認用報知を行う(ステップS102)。ここで、電話機2b(TEL−B)がその確認通知に対して着信応答すると(ステップS103)、主装置1は、セキュリティスタンバイモード(第1のモード)を解除する制御を行う(ステップS12)。
【0027】
また、ケース(b)として示すように、タイマによる監視時間内に電話機2(2a〜2n)のいずれからも着信応答が無い場合(着信応答無し)、主装置1は、セキュリティモード(第2のモード)へ移行するための制御を行なう(ステップS13)。
【0028】
セキュリティモード(第2のモード)へ移行後、ケース(c)として示すように、例えば、電話機2b(TEL−B)が人を検知すると(ステップS104)、主装置は、全ての電話機2(2a〜2n)に対して警告確認用の着信を含む報知を行ない(ステップS105)、警告モードへ移行する(ステップS14)。警告モードに移行すると、アラーム発生、各電話機2(2a〜2n)のLEDの点滅等、セキュリティによる警報が始動する。そして、ケース(d)に示すように、例えば、電話機2cが着信応答すると(ステップS106)、主装置1は、その電話機2cに対して着信報知を行うと共に、例えば、「何の御用ですか?」のような音声メッセージを送信してパスワード入力を促す(ステップS107)。
【0029】
主装置1は、パスワードの入力(ステップS108)を待って登録してあるパスワードと一致した場合に限り警告モードおよびセキュリティモードを解除する(ステップS15)。パスワード入力がなければ侵入者と判断し、例えば、図示省略した管理サーバ経由で警備会社に連絡する等、その後のセキュリティに移行する。
【0030】
上記したように、本実施形態の電話装置10によれば、セキュリティスタンバイモード(第1のモード)からセキュリティモード(第2のモード)への移行時に、ユーザ確認のための処理を挿入することで、人がいるにもかかわらず、セキュリティモード(第2のモード)に移行してしまうことを防止することができる。このとき、確認のための方法として、着信報知、あるいは操作部26に割り付けられたフレキシブルキーの点灯、点滅等が考えられる。また、タイマが監視する一定時間内に応答することでセキュリティスタンバイモード(第1のモード)に移行させることも可能である。
【0031】
また、着信通知を含む報知は、特定の1台の電話機2でも、登録した複数の電話機2(2a〜2nのいずれか)でも、さらには主装置1の配下に接続されている全ての電話機2(2a〜2c)や、図示を省略した建屋外の別の主装置の配下にある電話機でもよい。図示を省略した管理サーバと連携させることにより、建屋内の全ての主装置を管理することができ、例えば、全ての建物がセキュリティモードに移行したら敷地内にセキュリティを稼動させる等、より強化したセキュリティシステムを構築できる。
【0032】
図4に本実施形態の電話装置10における主装置1の動作がフローチャートで示されている。ここでは、デフォルトであらかじめセキュリティモードが設定されているものとして説明する(ステップS201)。
【0033】
図4において、主装置1(制御部11)は、電話機2からの信号に基づき、異常検出センサ28により人がいなくなってから一定時間経過したことを検出すると(ステップS202“YES”)、人がいなくなったと判定しセキュリティスタンバイモードに移行するための制御を行う(ステップS203)。人を検知した場合(ステップS202“NO”)は、セキュリティスタンバイモードに移行せず、ステップS202へ戻る。セキュリティスタンバイモードへ移行すると制御部11は、内蔵のタイマによる時間監視のスタートと、全ての電話機2(2a〜2n)に対してセキュリティスタンバイモードへ移行したことを音で報知するモード移行通知を送信する(ステップS204)。
【0034】
ここで、制御部11は、モード移行通知を受信した電話機2(2a〜2n)からタイマが監視する一定時間内に応答がない場合(ステップS205“YES”)、セキュリティモードへ移行する制御を行い(ステップS206)、モード移行通知に対して応答があった場合(ステップS205“NO”)、セキュリティモードへの移行を延期し、ステップS202へ戻る。
【0035】
セキュリティモードへ移行した後、例えば、電話機2が人を検知すると(ステップS207“YES”)、制御部11は、警告モードへ移行し(ステップS208)、全ての電話機2(2a〜2n)に対して着信を含む確認報知とともに、アラーム発生、各電話機2(2a〜2n)のLED光源25の点滅等、セキュリティによる警報を始動させる。そして、電話機2が確認報知に対して着信応答すると、主装置1は、その電話機2cに対して音声メッセージを送信してパスワード入力を促す。
【0036】
制御部11は、ユーザが操作部26を操作してパスワード入力による解除操作があれば(ステップS209“YES”)、パスワード照合を行い、一致した場合に限り警告モードおよびセキュリティモードを解除する(ステップS210)。一方、パスワード入力がなければ(ステップS209“NO”)、侵入者と判断して警告モードにしたがう警告音を発生させ、例えば、図示を省略した管理サーバ経由で警備会社に連絡する等、その後のセキュリティ管理動作(ステップS211)に移行する。
【0037】
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態の電話装置10によれば、主装置1(制御部11)は、電話機2に備え付けられた異常検出センサ28が一定期間異常を検出しなくなったときに第1のモード(セキュリティスタンバイモード)に移行して電話機2に報知し、報知に対して一定期間応答がない場合に第2のモード(セキュリティモード)へ移行し、報知に対して応答があった場合に第2のモードへ(セキュリティモード)の移行を延期する制御を行う。なお、このときの報知は着信通知である。
【0038】
したがって、電話機2に備わっている異常検出センサによりモード移行を自動制御し、モード移行時にモード移行通知(着信音報知等)を行うことでユーザがセキュリティモードに設定し忘れるという人為的ミスを防止することができる。また、人がいるにもかかわらず誤ってセキュリティモードに設定されてしまうことも防止することができる。なお、本実施形態の電話装置10によれば、電話機2の設備のみで、設置工事や専用線の設置を不要とした低いコストでの高性能セキュリティ機能を実現できる。
【0039】
また、本実施形態の電話装置10によれば、制御部11は、第2のモード(セキュリティモード)において異常検出センサ28により異常が検出された場合、電話機2に報知し、報知に応答して行われる解除操作を検出すると第2のモード(セキュリティモード)による動作を解除する。このように、第2のモード(セキュリティモード)に対する解除手段を用意しておくことでユーザに利便性を提供することができる。
【0040】
更に、本実施形態の電話装置10によれば、制御部11は第2のモード(セキュリティモード)において異常検出センサ28により異常が検出された場合、電話機2に報知するとともにメッセージを出力し、メッセージ出力に応答して行われる解除操作を検出すると、第2のモード(セキュリティモード)による動作を解除する。このように、モード移行時に、音とメッセージで通知してユーザ確認のための処理を挿入することで簡単にモード移行を制御することができる。
【0041】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0042】
1 主装置、2(2a〜2n) 電話機、10 電話装置、11 制御部、28 異常検出センサ、25 LED光源、26 操作部