特開2015-47770(P2015-47770A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015047770-押出ラミネート装置 図000003
  • 特開2015047770-押出ラミネート装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-47770(P2015-47770A)
(43)【公開日】2015年3月16日
(54)【発明の名称】押出ラミネート装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/02 20060101AFI20150217BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20150217BHJP
【FI】
   B29C47/02
   B29L9:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-180799(P2013-180799)
(22)【出願日】2013年8月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000229232
【氏名又は名称】日本テトラパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088111
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 正三
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】荻田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】小林 紀夫
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AD06
4F207AD27
4F207AD32
4F207AR12
4F207AR20
4F207KA01
4F207KB13
4F207KK65
(57)【要約】
【課題】ニップロールの交換作業を減らし、生産性を向上させることができる押出ラミネート装置を提供する
【解決手段】冷却ロール3とニップロール4とTダイ6とを備える押出ラミネート装置のニップロール4b、4c、4dが、上流から下流に冷却ロール3の外周上に3個配置され、ニップロール4b、4c、4dが、順次、大きな径を有し、且つ、より硬い表面を有し、各ニップロールが、冷却ロール側に均一に押圧する。ウェブ状積層包装材料を得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールからウェブ状基材を巻き出す巻き出し手段と、該基材の表面を活性化処理する活性化手段と、冷却ロールとニップロールとTダイとを備え、該冷却ロールと該ニップロールとで該基材を挟み、挟まれる位置に溶融樹脂をTダイから押出す押出ラミネート・ステーションと、得られたウェブ状積層包装材料を巻き取る巻き取り手段と、を有し、
該ニップロールが、該基材の搬送上流から下流方向に該冷却ロールの外周上に複数個配置され、上流から下流方向の順序の該ニップロールが、順次、大きな径を有し、且つ、より硬い表面を有し、
該各ニップロールが、該冷却ロール側に均一に押圧する
ことを特徴とする押出ラミネート装置。
【請求項2】
該ウェブ状基材が紙基材であり、該ウェブ状積層紙包装材料である請求項1記載の押出ラミネート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ状積層包装材料、例えば、プラスチックフィルム、紙、不織布などの基材に、熱可塑性材料を、ニップロールで押出しラミネートする押出ラミネート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乳飲料、牛乳、ミネラルウォーター、茶、ジュース、スープ、アルコール類等の流動食品を収容する包装容器を製造する場合、ウェブ状(帯状)の包装積層材料が使用され、包装積層材料がヒートシール、超音波シール等によってシールされることにより、包装容器が形成される。例えば、包装充填装置において、包装積層材料をチューブ状に成形し、縦シール装置によって長手方向(縦方向)にシールした後、チューブ状の包装積層材料の中に液体食品を充填しながら、横シール装置によって横方向にシールして切断し、枕状の容器を形成し、更に最終形状に成形して包装容器を完成させる。
【0003】
帯状包装積層材料は、低密度ポリエチレン(LDPE)/印刷インキ層/紙コア層/LDPE/アルミニウム箔(ガスバリア層としての)/LDPE/LDPE、LDPE/印刷インキ層/紙コア層/LDPE/LDPE、印刷インキ層/LDPE/紙コア層/LDPE/LDPE、また、LDPE/印刷インキ層/紙コア層/LDPE/アルミニウム箔/ポリエステル(PET)等が汎用されている。
【0004】
包装材料にガスバリア性を付与するガスバリア材としては、例えば、アルミニウム箔、樹脂系バリア材(例えば、EVOH(エチレンビニルアルコール)、またはPVOH(ポリビニルアルコール)、樹脂フィルムに積層した金属や無機酸化物の蒸着層などの優れた酸素ガス遮断性を持つ材料が既知である。
【0005】
ウェブ状積層包装材料は、通常、押出しラミネートによって得られる。
押出しラミネートは、溶融した樹脂を押出して直接基材上に積層を形成する。溶融した樹脂を2種の基材の間に挟んで3層に積層する加工をサンドラミネート、押出し装置を1台備えたシングルラミネーターと、押出し装置等を流れ方向に2台配置したタンデムラミネーターがある。
押出ラミネート装置では、ウェブ状基材がロールから巻き出され、基材の表面が活性化処理(例えば、コロナ処理)され、冷却ロールとニップロールとで挟まれる位置に送られ、その位置で高温に溶融された樹脂をTダイからウェブ状基材面と冷却ロール面との間に押出し、ニップロールによる圧力によって、溶融樹脂がウェブ状基材面上に均一に積層され、冷却ロールによって、溶融樹脂が冷やされてウェブ状基材面上に接着される。
【0006】
例えば、図2に示すような押出ラミネート装置では、ウェブ状基材1がロールから巻き出され、基材の表面がコロナ処理2され、第1の押出ステーションで、冷却ロール3とニップロール4と金属箔5で挟まれる位置に送られ、その位置で高温に溶融された樹脂をTダイ6からウェブ状基材面と金属箔面との間に押出し、ニップロール4による圧力によって、溶融樹脂がウェブ状基材面上に均一に積層され、冷却ロール3によって、溶融樹脂が冷やされてウェブ状基材面上に接着され、更に、第2の押出ステーションで、冷却ロール3aとニップロール4aで挟まれる位置に送られ、その位置で高温に溶融された樹脂をTダイ6aから金属箔面と冷却ロール面との間に押出し、ニップロール4aによる圧力によって、溶融樹脂が金属箔面上に均一に積層され、冷却ロール3aによって、溶融樹脂が冷やされて金属箔に樹脂層が積層される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6ー219442号公報
【特許文献2】特公昭62ー28059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
押出しラミネーション加工は、高速、幅広かつ薄肉化へと進行している。また、基材も多種多様である。
このような状況下において、押出ラミネート装置のニップロールは重要な役割を持ち、加工用途に合わせて、都度、ニップロールの種類、柔らかさ、あるいは径を変え、ニップロールを交換している。
【0009】
本発明は、ニップロールの交換作業を減らし、生産性を向上させることができる押出ラミネート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による押出ラミネート装置は、ロールからウェブ状基材を巻き出す巻き出し手段と、基材の表面を活性化処理する活性化手段と、冷却ロールとニップロールとTダイとを備え、冷却ロールとニップロールとで基材を挟み、挟まれる位置に溶融樹脂をTダイから押出す押出ラミネート・ステーションと、得られたウェブ状積層包装材料を巻き取る巻き取り手段と、を有し、
ニップロールが、基材の搬送上流から下流方向に冷却ロールの外周上に複数個配置され、上流から下流方向の順序のニップロールが、順次、大きな径を有し、且つ、より硬い表面を有し、
各ニップロールが、冷却ロール側に均一に押圧する
ことを特徴とする。
【0011】
この発明の好ましい態様において、ウェブ状基材が紙基材であり、ウェブ状積層紙包装材料である。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の本発明によれば、以下の作用機能を発揮し、有利な効果が得られる。
この発明による押出ラミネート装置は、ロールからウェブ状基材を巻き出す巻き出し手段を有する。
この発明において、使用されるウェブ状基材は、紙、プラスチックフィルム、不織布、金属箔などがある。好ましい態様では、紙基材、特に、液体食品を充填する包装容器用紙基材である。
この発明による押出ラミネート装置は、基材の表面を活性化処理する活性化手段を有する。活性化手段としては、コロナ放電処理装置、火炎処理装置、アンカーコート材塗布装置などがある。基材の表面を活性化することによって、積層された層の剥離を防ぐことができる。
【0013】
この発明による押出ラミネート装置は、冷却ロールとニップロールとTダイとを備え、冷却ロールとニップロールとで基材を挟み、挟まれる位置に溶融樹脂をTダイから押出す押出ラミネート・ステーションを有する。
押出ステーションでは、冷却ロールとニップロールとで基材を挟む位置で、高温に溶融された樹脂をTダイからウェブ状基材面と冷却ロール面との間に押出し、ニップロールによる圧力によって、溶融樹脂がウェブ状基材面上に均一に積層され、冷却ロールによって、溶融樹脂が冷やされてウェブ状基材面上に接着されることができる。
【0014】
この発明による押出ラミネート装置は、得られたウェブ状積層包装材料を巻き取る巻き取り手段を有する。
得られたウェブ状積層包装材料をロール状に巻き取ることができる。ウェブ状積層包装材料のロールを、包装充填システムに供することができる。
【0015】
この発明による押出ラミネート装置は、ニップロールが、基材の搬送上流から下流方向に冷却ロールの外周上に複数個配置される。
複数個のニップロールが、基材の搬送上流から下流方向に冷却ロールの外周上に配置され、それぞれが、ニップロールの機能を分担することができる。1つのニップロールで果たしきれない広範囲の機能を、複数のニップロールで果たすことができる。
【0016】
この発明による押出ラミネート装置は、上流から下流方向の順序のニップロールが、順次、大きな径を有し、且つ、より硬い表面を有する。
上流側のニップロールが、より小径で、より柔らかいので、冷却ロールへの接地面積を下げることができ、均一なコーティングを施すことができる。
中流側のニップロールが、より大きい径で、より硬いので、上流側ニップロール作用で不足した部分を補うことができる。
下流側のニップロールが、更により大きい径で、更により硬いので、より長い時間、硬い面で押付けられ、所望の仕様に仕上げることができる。
【0017】
この発明による押出ラミネート装置は、各ニップロールが、冷却ロール側に均一に押圧する。
各ニップロールの均一押圧によって、上流から下流の複数個のニップロールの夫々の押圧設定が不要にすることができ、ニップロールの交換設定を減らし、生産性を向上させることができる。
上述のように、ニップロールの交換作業を減らし、生産性を向上させることができる押出ラミネート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明による押出ラミネート装置の押出ラミネート・ステーションの一実施例を示す概略図である。
図2】押出ラミネート装置を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
この形態による押出ラミネート装置は、ロールからウェブ状基材1を巻き出す巻き出し手段(図1に図示せず)を有する。
この形態において、使用されるウェブ状基材は、紙基材、特に、液体食品を充填する包装容器用紙基材である。
この形態による押出ラミネート装置は、基材の表面を活性化処理する活性化手段(図1に図示せず)を有する。活性化手段としては、火炎処理装置である。基材の表面を活性化することによって、積層された層の剥離を防ぐ。
【0020】
この形態による押出ラミネート装置の押出ラミネート・ステーションでは、冷却ロール3とニップロール4b、4c、4dとTダイ6とを備え、冷却ロール3とニップロール4b、4c、4dとで基材1を挟み、挟まれる位置に溶融樹脂をTダイ6から押出す。
押出ステーションでは、冷却ロール3とニップロール4bとで基材1を挟む位置で、高温に溶融された樹脂をTダイ6からウェブ状基材面と冷却ロール面との間に押出し、ニップロール4b、4c、4dによる圧力によって、溶融樹脂がウェブ状基材面上に均一に積層され、冷却ロール3によって、溶融樹脂が冷やされてウェブ状基材面上に接着される。
【0021】
この形態による押出ラミネート装置は、得られたウェブ状積層包装材料を巻き取る巻き取り手段(図1に図示せず)を有する。
得られたウェブ状積層包装材料をロール状に巻き取る。ウェブ状積層包装材料のロールを、包装充填システムに供する。
【0022】
この形態による押出ラミネート装置は、ニップロール4b、4c、4dが、基材の搬送上流から下流方向に冷却ロール3の外周上に3個配置される。
3個のニップロール4b、4c、4dが、基材の搬送上流から下流方向に冷却ロール3の外周上に配置され、それぞれが、ニップロールの機能を分担する。単数のニップロールで果たしきれない広範囲の機能を、3個のニップロールで果たすことができる。
【0023】
この形態による押出ラミネート装置は、上流から下流方向の順序のニップロールが、順次、大きな径を有し、且つ、より硬い表面を有する。
上流側のニップロールが、より小径で、より柔らかいので、冷却ロールへの接地面積を下げ、均一なコーティングを施す。
中流側のニップロールが、より大きい径で、より硬いので、上流側ニップロール作用で不足した部分を補う。
下流側のニップロールが、更により大きい径で、更により硬いので、より長い時間、硬い面で押付けられ、所望の仕様に仕上げる。
【0024】
この形態による押出ラミネート装置は、各ニップロール4b、4c、4dが、冷却ロール側に均一に押圧する。
各ニップロールの均一押圧によって、上流から下流の複数個のニップロールの夫々の押圧設定が不要にし、ニップロールの交換設定を減らし、生産性を向上させる。
【0025】
なお、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明は、液体食品の包装充填の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ウェブ状基材
3 冷却ロール
4 ニップロール
6 Tダイ
図1
図2